JP2007306532A - 非相反性干渉を補償するtdd用送受信機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送信ビット系列が送信ストリーム数分のビット系列に分けられる。各ビット系列は変調器で変調信号に変換される。送信補償器は、変調信号に対して、受信機から帰還された干渉雑音の相関行列と伝送路のインパルス応答を用いて生成された重み付け係数を乗算して送信信号として出力する。その重み付け係数は、受信機において最尤検出を行った際のビット誤り率を最小にするように拘束条件下で逐次的に計算される。送信信号はそれぞれRF周波数帯へ周波数変換された後、スイッチを通ってアンテナで送信される。さらに、各アンテナで受信された信号から、干渉測定器は干渉雑音の相関行列を、チャネル推定器は伝送路のインパルス応答を推定する。
【選択図】図2
Description
ここで,Hは複素共役転置を表し,UとVはそれぞれ,ユニタリ行列である.・は非負の実数を対角要素とし,それ以外の要素は零となる対角行列となる.MMSE規範に基づくMIMOプリコーディングでは,送信機での重み付け係数としてUの要素を,受信機での重み付け係数としてVHの要素を乗算することで,直交チャネルを形成し,数式(1)から変調信号を分離検出でき,かつVHがユニタリ行列であるため雑音の電力を増加させずに一定に保つことができる.なお,Uの代わりに,Uの右から正の実数を要素とする対角行列を乗算したものを用いる場合には,変調信号の送信電力を制御することができる.
請求項1記載の発明である非相反性干渉を補償するTDD用送受信機によれば,干渉雑音の統計的な情報と伝送路のインパルス応答の情報を用いて受信機において変調信号に重み付け係数を乗算して合成する送信補償処理を行うことで,TDD方式におけるダウンリンクとアップリンクの干渉の非相反性を補償し,優れた伝送特性を実現できる.
請求項2記載の発明である非相反性干渉を補償するTDD用送受信機によれば,受信機において最尤検出を行った際のビット誤り率を最小にする送信補償器により,干渉が存在する環境においても良好な伝送特性を実現できる.
請求項3記載の発明である非相反性干渉を補償するTDD用送受信機によれば,受信機において線形受信処理と最尤検出の結合推定を行った際のビット誤り率を最小にする送信補償器により,干渉が存在する環境においても良好な伝送特性を実現できる.
請求項4記載の発明である非相反性干渉を補償するTDD用送受信機によれば,請求項2乃至請求項3のいずれかに記載の送信補償器をOFDM伝送に適用できる.
請求項5記載の発明である非相反性干渉を補償するTDD用送受信機によれば,電力に関する拘束条件下で重み付け係数を逐次的に求めることができる.
まず,非相反性干渉を補償するTDD用送受信機に係る第1,第2及び第5の発明を実施するための最良の形態について説明する.以降では,移動通信システムにおけるダウンリンクを例として説明を行うが,本発明の適用範囲を移動通信システムにおけるダウンリンクに限るものではない.本発明の非相反性干渉を補償するTDD用無線機の送信アンテナ数NT=2の構成を図2に示す.TDD方式では他セルの干渉の影響により,ダウンリンクとアップリンクにおいて観測される干渉において相反性が成立しない.ダウンリンクにおいて観測される干渉とは,移動局で信号を受信した際に観測される干渉であり,アップリンクにおいて観測される干渉とは,基地局で信号を送信した際に観測される干渉である.基地局および移動局が本発明の無線機構成であるとする.本発明は,ダウンリンクとアップリンクにおいて観測される干渉の違いによって発生する伝送特性の劣化を補償するため,まず,移動局の干渉測定器16により,ダウンリンクにおいて観測される干渉雑音の情報を測定し,次に,移動局はアップリンクにより干渉雑音の情報を送信処理回路8により基地局に送信し,基地局は受信処理回路18により干渉雑音の情報を検出する.さらに,基地局は干渉情報を検出する際にチャネル推定器13で推定したアップリンクの伝送路のインパルス応答の情報と移動局から帰還された干渉雑音の情報を用いて,送信補償器4によりMIMOプリコーディングを行う.
そして,受信信号ベクトルyが各変調信号を要素に持つ送信変調信号ベクトルb,送信機での重み付け係数を要素に持つ重み付け係数行列W,インパルス応答行列H,干渉雑音ベクトルnIを用いて
と表せることから,所望信号の相関行列Rsは
となる.ここで,〈 〉はアンサンブル平均である.また,・nmをクロネッカーデルタとすると,送信変調信号ベクトルbの第m要素であるbmの統計的な性質
より,相関行列RsはWとHのみによって表せる.従って,干渉測定器16は,まず,受信信号の相関行列Rrを計算し,そこからチャネル推定器13で推定したチャネル推定値を用いて生成した所望信号の相関行列Rsを引き算することで,干渉雑音の相関行列RNIを求まる.さらに,精度を向上するため,所望信号が送信されていない場合には,RrとRNIが等しくなるので受信信号の相関行列を計算する.
を最大にする送信変調ベクトルbを総当たりで見つける.例えば,変調方式がQPSKの場合には,信号点のM乗(ここでは,M=2),すなわち,16通りの候補について数式(6)を計算し,最大となる候補を送信変調信号とする.このとき,最尤検出器14のビット誤り率の上限値は理論的に導出することができる.変調器3−1の変調信号をb1,変調器3−2の変調信号をb2とし,送信変調信号ベクトルb={b1,b2}とすると,最尤検出においてbを異なるcと誤るペアーワイズ誤りの確率P(b→c)は
と表すことができる.ここで,erfc(x)は誤差補関数である.また,Wは重み付け係数乗算器4−1に設定する重み付け係数を要素に持つ行列である.このP(b→c)にChernoffバウンドを用いると,その上限値は
と表すことができる.このとき,ビット誤り率Peの上限値は,ペアーワイズ誤りの確率P(b→c)を用いて
と表すことができる.ここで,P(b)はbを送信する確率,Ne(b→c)はbをcと誤るときの誤りビット数,Nbは送信ビット数である.P(b)が等確率ならば,数式(10)に数式(7)を代入して,
が得られ,さらに数式(9)を用いると
と表すことができる.
と表すことができる.ここで,wkmはWのk行m列成分である.数式(5)におけるbmの統計的性質より送信信号の平均電力和を一定に保つためには,
という拘束条件を満足する必要がある.ここで,tr()は行列のトレースを表す.また,各送信信号の平均電力を一定に保つためには,
という拘束条件を満足する必要がある.
ここで,・はステップサイズと呼ばれる正の定数であり,J(W)としてJe(W)またはJc(W)のどちらかを用いる.また,W(i)はiステップ目のWの更新値である.
この更新式は拘束条件,数式(16)を満足しないので,次式のように変更する.
W(i)は常に数式(16)の拘束条件を満足する.また,拘束条件として数式(17)を用いる場合は,
とすれば良い.なお,評価関数の偏微分は
と計算でき,A(b→c)は次式で定めるAm1m2を要素とするM行M列の行列である.
ここで,数式(19)と数式(20)の初期値W(0)は,従来のMMSE規範のMIMOプリコーディングの値を用いることもできる.また,数式(19)と数式(20)の更新は,予め定めた最大回数まで行うか,W(i)−W(i−1)のFrobeniusノルムがある閾値以下になるまで行う.
山田 洋治郎,府川 和彦,鈴木 博,須山 聡,「同一チャネル干渉環境におけるMIMO−OFDM最尤受信方式」電子情報通信学会技術報告,RCS2003−112,2003年8月.
なお,サブキャリア毎に,数式(16)と数式(17)の拘束条件の定数を適宜変えることも可能である.この場合,サブキャリア毎に平均送信電力が異なるが,全サブキャリアの平均送信電力の和が一定という条件を満足すれば良い.このように制御するとビット誤り率をさらに改善することができる.
さらに,第3の発明についても同様にMIMO−OFDM伝送にも適用でき,第5の発明である電力に関する拘束条件下で最急降下法を用いて重み付け係数を逐次的に求める手法についてもMIMO−OFDM伝送の各サブキャリアにおいて適用可能である.
なお,本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである.
Claims (5)
- 複数のアンテナを用いる時間分割複信(TDD)方式用送受信機において,受信機において干渉雑音の情報を測定する干渉測定器と,送信機において受信機から帰還された前記干渉雑音の情報と伝送路のインパルス応答の情報を基に,受信機において変調信号に重み付け係数を乗算して合成する送信補償器を含むことを特徴とする非相反性干渉を補償するTDD用送受信機.
- 請求項1の前記送信補償器は,受信機から帰還された干渉雑音の相関行列と伝送路のインパルス応答の情報を基に,受信機において最尤検出を行った際のビット誤り率を最小にする重み付け係数を変調信号に乗算して合成することを特徴とする非相反性干渉を補償するTDD用送受信機.
- 請求項1の前記送信補償器は,受信機から帰還された前記干渉雑音の相関行列と前記伝送路のインパルス応答の情報を基に,受信機において線形受信処理と最尤検出の結合推定を行った際のビット誤り率を最小にする重み付け係数を変調信号に乗算して合成することを特徴とする非相反性干渉を補償するTDD用送受信機.
- 請求項2乃至請求項3のいずれかに記載の前記送信補償器は,サブキャリア毎に前記重み付け合成された変調信号を生成し,これらをOFDM変調することで前記複数の送信信号を生成することを特徴とする非相反性干渉を補償するTDD用送受信機.
- 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の前記送信補償器は,電力に関する拘束条件下で最急降下法を用いて前記重み付け係数を逐次更新することを特徴とする非相反性干渉を補償するTDD用送受信機.
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