JP2007301741A - 液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な回路構成により、ピエゾ素子の温度を測定できる液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】ピエゾ素子11に加える電圧の制御を行う液滴吐出装置において、電圧変化を示す駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成部211と、駆動波形信号生成部211により生成された前記駆動波形信号を増幅し、増幅された前記駆動波形信号をピエゾ素子11に印加する駆動回路22と、駆動回路22に含まれる容量素子の静電容量を制御することにより、該駆動回路22から出力される前記駆動波形信号を歪ませる静電容量制御部213と、前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する比較器24と、を含んだことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】ピエゾ素子11に加える電圧の制御を行う液滴吐出装置において、電圧変化を示す駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成部211と、駆動波形信号生成部211により生成された前記駆動波形信号を増幅し、増幅された前記駆動波形信号をピエゾ素子11に印加する駆動回路22と、駆動回路22に含まれる容量素子の静電容量を制御することにより、該駆動回路22から出力される前記駆動波形信号を歪ませる静電容量制御部213と、前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する比較器24と、を含んだことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は液滴吐出装置に関し、特にピエゾ素子の温度を測定するための技術に関する。
インクジェットプリンタはインク吐出孔を多数備えており、各インク吐出孔から印刷画像に応じた量のインク液を吐出することにより印刷を行う。
各インク吐出孔から吐出するインク液の量は、ピエゾ素子の体積変化により制御される。ピエゾ素子はその端子電圧に応じて体積が変化する素子であり、その体積変化は、所定の電圧変化を示す電圧信号(駆動波形信号)をピエゾ素子の端子に印加することによって制御される。
この駆動波形信号は、増幅回路による増幅を経て、ピエゾ素子の端子に印加される。増幅回路は、入力された信号を一定の電圧利得で増幅して出力するものであるが、入力信号の周波数がある値(以下周波数上限値と称する。)以上になると、電圧利得が一定でなくなるという特性を有している。このため、駆動波形信号が周波数上限値以上の周波数成分を含むと、その波形が歪んでしまう。この周波数上限値は、増幅回路の内部又は外部に備えられる位相補償容量素子(出力信号の位相を進めることにより、増幅回路の発振を防止するための容量素子)の静電容量が大きいほど小さくなる。
ピエゾ素子は固有の静電容量を有しており、増幅回路にとってこの静電容量は、負荷であるとともに、上記位相補償容量素子の一部として作用する。このため、ピエゾ素子の静電容量が大きいほど、上記周波数上限値は小さくなる。そこで、上記駆動波形信号の周波数は、増幅回路に備えられる位相補償容量素子の静電容量とピエゾ素子の静電容量とによって決まる上記周波数上限値よりも小さい範囲に収まるように、予め設定される。駆動波形信号の波形が歪まないようにするためである。
なお、特許文献1には、ピエゾ素子の静電容量の測定技術が開示されている。また、特許文献2には、駆動波形信号の波形の歪みを改善するための技術が開示されている。
ここで、ピエゾ素子は、その温度が高くなるほど、その静電容量が増加するという性質を有している。このため、上記駆動波形信号の周波数は、温度によってピエゾ素子の静電容量が変動してもなお上記周波数上限値よりも小さい範囲に収まるように、予め設定されている。
しかし、ピエゾ素子の温度が高くなりすぎると別の問題が生ずる。すなわち、駆動波形信号は歪まないとしても、ピエゾ素子の静電容量が大きくなるために、その端子に印加された電圧(印加電圧)に対する端子電圧の追従性が悪くなってしまう。この結果、印刷結果に悪影響が及ぶ。
一方、ピエゾ素子の温度が低くなりすぎても問題がある。すなわち、ピエゾ素子とインク液は接しているので、ピエゾ素子の温度が低いとインク液の温度も低くなり、インク液の粘度が高くなってインク吐出孔から吐出されにくくなる。この結果、印刷結果に悪影響が及ぶ。
このため、ピエゾ素子の温度を測定し、適宜その温度を調節することが望まれている。
この点、特許文献3に記載の技術では、端子電圧が所定電圧に達するまでに要する時間(以下、到達時間という。)を定期的に測定し、この到達時間の長さによって、ピエゾ素子の静電容量を測定している。これはピエゾ素子の温度を測定していることに等しい。
また、特許文献4に記載の技術では、ピエゾ素子の温度を温度センサによって直接的に測定している。
特開平9−207325号公報
特開2002−210958号公報
特開平5−8411号公報
特開平9−131896号公報
しかしながら、上記特許文献3に記載の技術では、上記到達時間を測定するタイマー回路が必要となるため、回路が複雑になってしまっていた。また、上記特許文献4に記載の技術でも、温度センサが必要となるため、やはり回路が複雑になってしまっていた。
従って、本発明の課題の一つは、簡易な回路構成により、ピエゾ素子の温度を測定できる液滴吐出装置を提供することにある。
上記課題を解決するための液滴吐出装置は、ピエゾ素子の体積変化によりその容積が変化する液滴室を備え、該ピエゾ素子に加える電圧の制御を行うことによって、該液滴室からの液滴の吐出を制御する液滴吐出装置であって、電圧変化を示す駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成手段と、前記駆動波形信号生成手段により生成された前記駆動波形信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅された前記駆動波形信号を前記ピエゾ素子に印加する駆動波形信号印加手段と、前記増幅手段に含まれる容量素子の静電容量を制御することにより、該増幅手段から出力される前記駆動波形信号を歪ませる静電容量制御手段と、前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する測定手段と、を含むことを特徴とする。
容量素子の静電容量が大きくなると、上記周波数上限値が小さくなり、駆動波形信号の波形が歪む。この歪みの大きさはピエゾ素子の静電容量に応じた値となるので、上記測定手段により駆動波形信号の波形の歪みの大きさを測定することができる。すなわち、タイマー回路や温度センサを使用しない簡易な回路構成により、ピエゾ素子の温度を測定できる。
また、上記液滴吐出装置において、前記測定手段は、前記静電容量制御手段による制御に応じて、前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する、こととしてもよい。
これによれば、上記静電容量制御手段による制御の結果、上記周波数上限値が小さくなった場合に、上記測定手段により駆動波形信号の波形の歪みの大きさを測定するようにすることができる。
また、上記各液滴吐出装置において、前記静電容量制御手段は、前記駆動波形信号生成手段により生成される駆動波形信号に応じて、前記容量素子の静電容量を制御する、こととしてもよい。
駆動波形信号には、印刷に使用するもの(印字波形信号)と、インク液の固化を防止するためにピエゾ素子を揺らすためのもの(増粘防止波形信号)と、がある。上記液滴吐出装置によれば、駆動波形信号に応じて容量素子の静電容量を制御することができるので、駆動波形信号が増粘防止波形信号である場合に容量素子の静電容量を上げるようにすれば、印刷結果に影響を及ぼすことなく、ピエゾ素子の温度を測定できる。
また、上記各液滴吐出装置において、前記駆動波形信号の歪みの大きさと、前記ピエゾ素子の温度と、を対応づけて記憶する記憶手段と、前記測定手段により測定される歪みの大きさに基づき、前記記憶手段から前記ピエゾ素子の温度を取得する温度取得手段と、をさらに含むこととしてもよい。
これによれば、駆動波形信号の歪みの大きさに基づいて、ピエゾ素子の温度を取得することが可能となる。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態にかかる記録装置1のハードウェア構成を示す図である。記録装置1はインクジェットプリンタであり、同図に示すように、記録ヘッドアレイ10−n(n=K,M,C,Y)、インクタンク12−n(n=K,M,C,Y)、制御装置20、給紙トレイ31、搬送用ローラー32、無端ベルト状搬送体33、無端ベルト状搬送体駆動用ローラー34、吸着装置35、排紙トレイ36、メンテナンス装置40を含んで構成される。
記録装置1の動作機構は、用紙搬送機構、画像形成機構、メンテナンス機構に大別され、制御装置20がこれらを統括制御する。以下ではまず、各機構の概要を説明し、その後制御装置20が行う制御について詳細に説明する。
まず、用紙搬送機構について説明する。用紙搬送機構は、給紙トレイ31、搬送用ローラー32、無端ベルト状搬送体33、無端ベルト状搬送体駆動用ローラー34、吸着装置35、及び排紙トレイ36により構成される。
給紙トレイ31は記録紙を多数保持する。搬送用ローラー32は、給紙トレイ31に保持される記録紙のうちから1枚を取り出し、矢印A1の方向に搬送する。吸着装置35は、こうして搬送されてきた記録紙を無端ベルト状搬送体33に吸着させる。
無端ベルト状搬送体駆動用ローラー34は、無端ベルト状搬送体33を駆動し、記録紙を記録ヘッドアレイ10の下に搬送する。このとき、後述する画像形成機構により記録紙上に画像が形成される(印刷される)。搬送用ローラー32は、画像が形成された記録紙をさらに矢印A2の方向に搬送し、排紙トレイ36に蓄積する。なお、記録紙の裏面にも画像形成する場合には、搬送用ローラー32は矢印A3の方向に記録紙を搬送し、再度上述のようにして裏面に画像が形成される。
次に、画像形成機構について説明する。画像形成機構は、記録ヘッドアレイ10及びインクタンク12により構成される。
記録装置1は、4色のインク液(ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y))を利用して画像形成を行う。各インクタンク12はそれぞれ、対応する色のインク液を保持している。また、記録ヘッドアレイ10は、これら4色のインク液のそれぞれについて設けられる。
各記録ヘッドアレイ10はそれぞれ多数のピエゾ素子を有しており、ピエゾ素子ごとにインク室及びインク吐出孔を備えている。ピエゾ素子の体積は、当該ピエゾ素子に印加される電圧に応じて変化する。すなわち、印加電圧が大きいほど、ピエゾ素子の体積は増加する。また、印加電圧が小さくなると、ピエゾ素子の体積は減少する。この印加電圧は、制御装置20からピエゾ素子に対して送出される駆動波形信号により制御される。この点についての詳細は後述する。
インク室は、その内部にインク液を溜めている。インク室の容積は、ピエゾ素子の体積に応じて変化するように構成される。すなわち、ピエゾ素子の体積が増加するとインク室の容積が減少し、ピエゾ素子の体積が減少するとインク室の容積が増加する。インク室はインクタンク12と接続されており、インク室の容積が増加することによって生ずる負圧により、インクタンク12からインク室に対してインク液が供給される。インク室の容積が減少すると、容積の減少分に相当する量のインク液の液滴がインク吐出孔から吐出される。すなわち、記録装置1は液滴吐出装置として機能する。
画像形成機構は、こうして各インク吐出孔から吐出したインク液により、上述した用紙搬送機構により記録ヘッドアレイ10の下に搬送された記録紙上に画像を形成する。
画像形成機構は、用紙搬送機構の搬送に伴い徐々に記録ヘッドアレイ10の下を移動する記録紙の移動速度に基づいて決定されるタイミングで、副走査方向の位置が異なる複数のインク吐出孔のそれぞれからインク液を吐出する。具体的な例を挙げると、記録紙上に主走査方向の直線画像を形成する場合には、記録紙上の直線画像を形成する位置(直線画像形成位置)の移動により、その直線画像形成位置の真上に位置することとなったインク吐出孔から、インク液を吐出するようにする。
次に、メンテナンス機構について説明する。メンテナンス機構は、メンテナンス装置40により構成される。
記録ヘッドアレイ10は上述のように多数のインク吐出孔を備えているが、インク吐出孔は非常に小さいものであるので、インク液が固まると詰まってしまう。そこで、記録ヘッドアレイ10は、画像形成が行われないときには上方に移動するように構成されており、メンテナンス装置40はその下に移動する。そして、各インク吐出孔を覆ってインク液の固化を防止する。また、記録装置1では、インク液が固まってしまうのを防止するため、インク液を強制的に吐出する処理(ヘッドクリーニング処理)が行われる。メンテナンス装置40は、このとき吐出されたインク液の受け皿として機能する。
以下、制御装置20の回路構成及び機能ブロックを示す図を参照しながら、制御装置20が行う、ピエゾ素子の温度測定のための制御について説明する。
図2は、制御装置20の回路構成及び機能ブロックを示す図である。なお同図には、記録ヘッドアレイ10の一部についても記載している。
図2に示すように、制御装置20は、コントローラ21、駆動回路22、比較器24、複数のSWIC(スイッチングIC)25、抵抗R1、抵抗R2、容量素子C1、スイッチSW1を含んで構成される。コントローラ21は、機能的に、駆動波形信号生成部211、SWIC選択部212、静電容量制御部213、温度測定部214を含んで構成される。
また、記録ヘッドアレイ10は複数のピエゾ素子11を含んで構成される。SWIC25は、ピエゾ素子11ごとに設けられる。
駆動波形信号生成部211は、電圧の変化を示す駆動波形信号を生成する。具体的には、駆動波形信号生成部211は、複数の駆動波形データを記憶しており、用途に応じ、記憶している駆動波形データの中から1つを選択する。そして、選択した駆動波形データに応じて駆動波形信号を生成し、出力する。
より具体的には、駆動波形信号生成部211は、印刷時と非印刷時とで異なる駆動波形データを選択する。図3は、駆動波形信号の例を示す図である。駆動波形信号生成部211は、非印刷時に、図3に示す増粘防止波形信号を生成する。一方、印刷時には、図3に示す印字波形信号を生成する。以下、詳細に説明する。
非印刷時、制御装置20は、増粘防止波形信号によりピエゾ素子11に印加する電圧を変化させる。この増粘防止波形信号は、インク液が吐出されない程度にインク室の容積を変化させるよう設計されている。その結果、増粘防止波形信号をピエゾ素子11に入力しても、インク液が揺れるだけで吐出はされない。制御装置20は、こうしてインク液を揺らすことにより、インク室に溜まっているインク液の粘度が上がる(固まる)のを防止する。
印刷時には、制御装置20は、形成画像に応じて駆動波形データを選択することにより、形成画像に応じた印字波形信号を生成する。そして、該印字波形信号によりピエゾ素子11に印加する電圧を変化させることにより、インク液の吐出滴量を制御する。
駆動回路22は、非反転入力端子、反転入力端子、及び出力端子を有し、増幅回路として機能する。駆動波形信号生成部211により生成された駆動波形信号は、駆動回路22の非反転入力端子に入力される。
駆動回路22は、非反転入力端子の入力電圧をv+、非反転入力端子の入力電圧をv−、非反転入力端子の入力電圧をvoとすると、v+=v−となるように動作する。結果として、入力信号の周波数が周波数上限値以下の周波数であれば、上記各電圧の関係は以下の式(1)のようになる。
vo=v+×(R1+R2)/R1 ・・・(1)
すなわち、駆動波形信号は、駆動回路22において増幅率(R1+R2)/R1で増幅される。駆動回路22は、こうして増幅された駆動波形信号を、各SWIC25を介して、各ピエゾ素子11に印加する。
SWIC選択部212は、形成画像に応じて、駆動波形信号を供給するピエゾ素子11を選択する。そして、選択したピエゾ素子11に対応して設けられるSWIC25のみを選択するためのSWIC選択信号を生成し、各SWIC25に入力する。
SWIC25は、入力されたSWIC選択信号に応じて、駆動回路22から入力される駆動波形信号を、対応して設けられるピエゾ素子11に入力する。具体的には、入力されたSWIC選択信号により自身が選択されている場合に、駆動回路22から入力される駆動波形信号を、対応して設けられるピエゾ素子11に入力する。一方、入力されたSWIC選択信号により自身が選択されていない場合に、駆動回路22から入力される駆動波形信号を、対応して設けられるピエゾ素子11に入力しない。
SWIC選択部212は、駆動波形信号が上記増粘防止波形信号であるとき、全てのSWIC25を選択するためのSWIC選択信号を生成する。この結果、増粘防止波形信号である駆動波形信号は、全てのピエゾ素子11に入力される。
駆動制御器23は、容量素子C1(制御用容量素子)とスイッチSW1とを含んで構成される。スイッチSW1は、後述する静電容量制御部213により、そのON/OFFが制御される。スイッチSW1がONになっているとき、容量素子C1は駆動回路22の位相補償容量素子の一部として作用する。
駆動回路22の周波数上限値は、駆動回路22の内部又は外部に備えられる位相補償容量素子の静電容量が大きいほど小さくなる。このため、スイッチSW1がONとなって容量素子C1が回路要素として加わると、駆動回路22の周波数上限値が小さくなる。制御装置20は、この周波数上限値の変化を利用して、増粘防止波形信号が歪みやすいようにする。以下、詳細に説明する。
まず、位相補償容量素子の静電容量について説明する。ピエゾ素子11は固有の静電容量を有しており、駆動回路22にとってこの静電容量も位相補償容量素子の一部として作用する。この静電容量は記録ヘッドアレイ10の温度によって変化するので、ここではC11(t)と表す。tは記録ヘッドアレイ10の温度である。なお、記録ヘッドアレイ10に備えられる各ピエゾ素子11の温度は通常同じであり、ここでは、この温度を記録ヘッドアレイ10の温度と記載している。また、予定される温度範囲でのC11(t)の最大値をC11max、同最小値をC11minとする。
ここで、駆動制御器23でON/OFFされる容量素子C1(制御用容量素子)は記録ヘッドアレイ10と離れた位置にあり、記録ヘッドアレイ10の温度変化による影響を受けない。容量素子C1の静電容量をCC1、駆動回路22全体の静電容量をC22(t)と表すことにすると、C22(t)は、スイッチSW1のON/OFFにより、以下の式(2)又は式(3)により表される。なお、Cαはピエゾ素子11及び容量素子C1以外の回路要素による静電容量であり、ここでは定数であるとする。
スイッチSW1がOFFである時:C22(t)=C11(t)+Cα ・・・(2)
スイッチSW1がONである時:C22(t)=C11(t)+CC1+Cα ・・・(3)
上述のように、駆動回路22の周波数上限値は静電容量C22(t)が大きくなるほど小さくなる。そこで、駆動波形信号の周波数は、C22(t)=C11max+Cαとなっても、駆動回路22の周波数上限値を上回ることのないよう、予め設定されている。
一方、容量素子C1の静電容量CC1は、C22(t)=C11min+CC1+Cαとなった場合に、増粘防止波形信号の周波数が駆動回路22の周波数上限値を上回ることとなるよう、予め設定される。この結果、スイッチSW1がONになったとき、増粘防止波形信号である駆動波形信号は歪みやすくなることになり、さらに、歪みの大きさはC11(t)の値に依存することになる。
図4はスイッチSW1がOFFである場合の上記増粘防止波形信号を示す図である。同図に示すように、スイッチSW1がOFFである場合の増粘防止波形信号は三角波信号となっている。一方、図5はスイッチSW1がONである場合の上記増粘防止波形信号を示す図である。同図に示すように、スイッチSW1がONである場合には、増粘防止波形信号は歪み、その歪みの大きさは記録ヘッドアレイ10の温度に依存している。
静電容量制御部213は、駆動波形信号生成部211により生成される駆動波形信号に応じて、駆動回路22の位相補償容量素子の静電容量を制御する。具体的には、駆動波形信号が増粘防止波形信号であるとき、駆動回路22の位相補償容量素子の静電容量を制御することにより、駆動回路22から出力される増粘防止波形信号が歪みやすいようにする。より具体的には、静電容量制御部213は、スイッチSW1のON/OFFを切り替えるための測定切替え信号を出力する。そして、駆動波形信号が増粘防止波形信号であるとき、この測定切替え信号によりスイッチSW1をONにすることにより、増粘防止波形信号を歪みやすいようにする。
図6は、図3に示した駆動波形信号において、静電容量制御部213による制御を行った場合の例を示す図である。静電容量制御部213は駆動波形信号が増粘防止波形信号であるときスイッチSW1をONにし、駆動波形信号が増粘防止波形信号でないときスイッチSW1をOFFにしている。この結果、図6に示すように、駆動波形信号が増粘防止波形信号であるときその波形は歪み、駆動波形信号が増粘防止波形信号でないときその波形は歪んでいない。
比較器24は、駆動波形信号の歪みの大きさを測定する。具体的には、駆動波形信号生成部211から出力される駆動波形信号と、駆動回路22から出力される駆動波形信号と、を比較する。そして、測定結果を示す信号(比較により得られる両信号の差分を示す誤差信号)を、温度測定部214に出力する。
温度測定部214は、誤差信号により示される差分の値(駆動波形信号の歪みの大きさ)と、記録ヘッドアレイ10の温度と、を対応付けて記憶する差分−温度対応テーブルを記憶している。温度測定部214は、この差分−温度対応テーブルにおいて、比較器24から入力された誤差信号により示される差分と対応付けて記憶される温度を取得することにより、記録ヘッドアレイ10の温度を測定する。
なお、静電容量制御部213は、温度測定部214が温度測定を行う場合に、静電容量制御部213による制御を行うようにすることが好適である。また、温度測定部214は、温度測定を行う場合において、静電容量制御部213の制御に応じて、上記処理を行うようにすることが好適である。具体的には、静電容量制御部213の制御によりスイッチSW1がONになっている場合に、上記処理を行うようにすることが好適である。
以下、駆動回路22の回路構成のより具体的な実施例を示すとともに、増粘防止波形の歪みについてのシミュレーション結果を示しながら、さらに詳細に説明する。
図7は、駆動回路22の具体的な回路構成を示す図である。同図には、駆動制御器23、抵抗R1、R2についても記載している。
トランジスタQ611、Q612、抵抗R611、R612は、差動増幅回路を構成しており、両トランジスタのベース入力電圧(v+及びv−)の差に比例した電圧がQ611のコレクタ端子に発生する。Q62は電圧増幅回路を構成する。その負荷インピーダンスは、トランジスタQ641、R641、Q642、R642、R643からなる定電流回路で構成されている。このため、負荷インピーダンスは極めて高く、駆動回路22の裸の増幅率は事実上、無限大と見なせる。
MOSFETQ661、Q662は、ソースフォロアであり、電流増幅回路を構成する。トランジスタQ651、652は、電圧増幅回路と電流増幅回路の間に入るバッファを構成する。
MOSFETは高周波域まで高い増幅率を確保するために用いるが、ゲート/ソース間に入力容量を有するため、直接電圧増幅回路の負荷に接続すると、高周波数域でインピーダンスが下がる。結果として、高周波域で駆動回路22の裸の増幅率が下がることになる。上記バッファは、これを避けるために挿入されている。
トランジスタQ63、抵抗R631、R632は、トランジスタQ651、Q661、Q652、Q662のベース/エミッタ及び電圧ゲート/ソース間電圧を補償するバイアス回路を構成する。これらは、ピエゾ素子11に流れる電流が充電から放電に遷移する際及び放電から充電に遷移する際に波形が歪まないようにするために設けられる。
駆動制御器23は、駆動回路22が帰還回路を構成した際に発振しないための位相補償用コンデンサとして機能する可変容量コンデンサC2を含んで構成される。本実施例では、静電容量制御部213は、この可変容量コンデンサC2を制御用容量素子として使用し、その静電容量を2段階(Ca及びCb。Ca<Cbとする。)に変化させる。
図8及び図9は、可変容量コンデンサC2の静電容量をCaに設定した場合の増粘防止波形信号を示す図である。図10及び図11は、可変容量コンデンサC2の静電容量をCbに設定した場合の増粘防止波形信号を示す図である。なお、各図では、理想的な増粘防止波形信号(実線で示す。)と、記録ヘッドアレイ10の温度変化によりピエゾ素子11の静電容量(P容量)が3段階(低、中、高)に変化した場合の増粘防止波形信号(P容量低、中、高を、それぞれ点線、一点鎖線、二点鎖線で示す。)と、をそれぞれ示している。また、図9は図8に示した各信号を重ねて表示したもの、図11は図10に示した各信号を重ねて表示したもの、をそれぞれ示している。
図8及び図9に示すように、可変容量コンデンサC2の静電容量が小さい場合には、P容量が変化しても増粘防止波形信号の波形はほとんど変化しない。このため、比較器24から出力される誤差信号により示される差分の値は小さくなり、温度測定部214が該誤差信号に基づいて記録ヘッドアレイ10の温度を測定することは困難である。
一方、図10及び図11に示すように、可変容量コンデンサC2の静電容量が大きい場合には、P容量の変化により、増粘防止波形信号の波形が大きく変化する。この結果、比較器24から出力される誤差信号により示される差分の、P容量による差異が大きくなり、温度測定部214により該誤差信号に基づいて記録ヘッドアレイ10の温度を測定することが可能となる。
図12は、可変容量コンデンサC2の静電容量をCbに設定した場合の誤差信号を示す図である。すなわち、同図には、図10及び図11に示したP容量が低、中、高の各場合の増粘防止波形信号と、同じく図10及び図11に示した理想的な増粘防止波形信号と、の差分を示す誤差信号が示されている(P容量低、中、高を、それぞれ実線、点線、一点鎖線で示す。)。同図に示すように、誤差信号により示される差分は、P容量が高いほど大きくなっている。差分の大きさのP容量間での差異も大きくなっており、温度測定部214により記録ヘッドアレイ10の温度を測定することが可能となっている。
以上説明したように、記録装置1によれば、位相補償容量素子の静電容量を制御することにより、タイマー回路や温度センサを使用しない簡易な回路構成により、ピエゾ素子11の温度を測定できる。
また、温度測定部214は、静電容量制御部213による制御の結果、駆動回路22の周波数上限値が小さくなった場合に、駆動波形信号の波形の歪みの大きさを測定するようにすることができる。
さらに、静電容量制御部213は、駆動波形信号が増粘防止波形信号である場合に位相補償容量素子の静電容量を上げるようにしているので、印刷結果に影響を及ぼすことなく、ピエゾ素子11の温度を測定できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では制御用容量素子の回路内における位置を特定して説明したが、駆動回路22の位相補償容量素子として機能する位置であれば、どの位置に制御用容量素子を挿入してもよい。
また、抵抗R1を可変とすることにより、インク液の粘度に応じて駆動波形信号の振幅を可変とするようにしてもよい。
図13には、この例が示されている。同図に示すように、本変形例(第1変形例)にかかる制御装置20aは、制御装置20の構成に加え、可変抵抗VRと、スイッチSW2と、を備えている。スイッチSW2はスイッチSW1と連動しており、スイッチSW1がONのときに、スイッチSW2は抵抗R1側となる。また、スイッチSW1がOFFのときに、スイッチSW2は可変抵抗VR側となる。
また、制御装置20aは、コントローラ21に替えてコントローラ21aを備えている。コントローラ21aは、コントローラ21の機能に加え、温度測定部214の測定結果に応じて、可変抵抗VRの抵抗を制御する機能を有する。
式(1)から、抵抗R1が変化すると駆動回路22の増幅率が変化するので、コントローラ21aによる上記制御により、温度測定部214の測定結果に応じて、駆動回路22の増幅率が変化する。記録ヘッドアレイ10の温度が低い場合に、コントローラ21aが可変抵抗VRの抵抗を制御して駆動回路22の増幅率を比較的大きくすれば、比較的振幅の大きい駆動波形信号がピエゾ素子11に印加されるので、記録ヘッドアレイ10の温度が低くインク液の粘度が大きくなっていても、的確にインク液が吐出されるようになる。
さらに、記録ヘッドアレイ10にヒーターを取り付け、記録ヘッドアレイ10の温度が低くなっている場合に記録ヘッドアレイ10を直接暖めることとしてもよい。
図14には、この例が示されている。同図に示すように、本変形例(第2変形例)では、記録ヘッドアレイ10の側部にヘッドヒーター51が設置され、さらにヘッドヒーター51を駆動するためのヒーター駆動回路50が設置される。また、制御装置20bは、コントローラ21に替えてコントローラ21bを備えている。コントローラ21bは、コントローラ21の機能に加え、温度測定部214の測定結果に応じて、ヒーター駆動回路50を制御する機能を有する。
記録ヘッドアレイ10の温度が低い場合に、コントローラ21bがヒーター駆動回路50を制御してヘッドヒーター51を熱くすることにより、記録ヘッドアレイ10の温度が上がるので、記録ヘッドアレイ10の温度が低くインク液の粘度が大きくなっていたとしても、的確にインク液が吐出されるようになる。
1 記録装置、10 記録ヘッドアレイ、11 ピエゾ素子、12 インクタンク、20 制御装置、21 コントローラ、22 駆動回路、23 駆動制御器、24 比較器、25 SWIC、31 給紙トレイ、32 搬送用ローラー、33 無端ベルト状搬送体、34 無端ベルト状搬送体駆動用ローラー、35 吸着装置、36 排紙トレイ、40 メンテナンス装置、50 ヒーター駆動回路、51 ヘッドヒーター、211 駆動波形信号生成部、212 SWIC選択部、213 静電容量制御部、214 温度測定部。
Claims (4)
- ピエゾ素子の体積変化によりその容積が変化する液滴室を備え、該ピエゾ素子に加える電圧の制御を行うことによって、該液滴室からの液滴の吐出を制御する液滴吐出装置であって、
電圧変化を示す駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成手段と、
前記駆動波形信号生成手段により生成された前記駆動波形信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段により増幅された前記駆動波形信号を前記ピエゾ素子に印加する駆動波形信号印加手段と、
前記増幅手段に含まれる容量素子の静電容量を制御することにより、該増幅手段から出力される前記駆動波形信号を歪ませる静電容量制御手段と、
前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する測定手段と、
を含むことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記測定手段は、前記静電容量制御手段による制御に応じて、前記駆動波形信号の歪みの大きさを測定する、
ことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、
前記静電容量制御手段は、前記駆動波形信号生成手段により生成される駆動波形信号に応じて、前記容量素子の静電容量を制御する、
ことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴吐出装置において、
前記駆動波形信号の歪みの大きさと、前記ピエゾ素子の温度と、を対応づけて記憶する記憶手段と、
前記測定手段により測定される歪みの大きさに基づき、前記記憶手段から前記ピエゾ素子の温度を取得する温度取得手段と、
をさらに含むことを特徴とする液滴吐出装置。
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CN109414931A (zh) * | 2016-06-30 | 2019-03-01 | 赛尔科技有限公司 | 微滴沉积装置及其测试电路 |
-
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- 2006-05-08 JP JP2006129634A patent/JP2007301741A/ja active Pending
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