JP2007299597A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】フラッディングの要因がアノードかカソードかを推測できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】アノード2およびカソード3でイオン伝導膜11を挟持した複数のセル10と、セル10を冷却する冷却通路4とを備えるスタック1を備える。スタック1のセル10は、カソード3が冷却通路4に対面すると共にアノード2が冷却通路4に対面しないカソード冷却型セル13と、アノード2が冷却通路4に対面すると共にカソード3が冷却通路4に対面しないアノード冷却型セル15とを含む。カソード冷却型セル13の発電出力の低下に関する物理量とアノード冷却型セル15の発電出力の低下に関する物理量とを直截または間接的に比較する。比較結果に応じて、発電電圧の低下要因がカソード3であるかアノード2であるかを判定する。
【選択図】図2
【解決手段】アノード2およびカソード3でイオン伝導膜11を挟持した複数のセル10と、セル10を冷却する冷却通路4とを備えるスタック1を備える。スタック1のセル10は、カソード3が冷却通路4に対面すると共にアノード2が冷却通路4に対面しないカソード冷却型セル13と、アノード2が冷却通路4に対面すると共にカソード3が冷却通路4に対面しないアノード冷却型セル15とを含む。カソード冷却型セル13の発電出力の低下に関する物理量とアノード冷却型セル15の発電出力の低下に関する物理量とを直截または間接的に比較する。比較結果に応じて、発電電圧の低下要因がカソード3であるかアノード2であるかを判定する。
【選択図】図2
Description
本発明はセルにおいてフラッディングが発生するおそれがある燃料電池システムに関する。
スタックは、アノードおよびカソードでイオン伝導膜を挟持した複数のセルと、セルを冷却する冷却通路とを備えている(特許文献1)。スタックを構成するセルにおいては、発電反応に伴い水が生成される。このためセルのカソードまたはアノードにおいてフラッディングが発生するおそれがある。フラッディングとは、反応ガスが流れる流路断面積を水が狭めることをいう。フラッディングが発生していると、反応ガスの円滑な流れが損なわれ、反応ガスの分配性が低下し、スタックの目標とする発電性能が得られないおそれがある。
特開2002−252011号公報
ところで、フラッディングがアノードで発生しているか、カソードで発生しているかが必ずしも明らかではない。フラッディングがアノードで発生しているか、カソードで発生しているかを確定することは、フラッディングに対する対策を適切化し、スタックの発電性能を高めるためには重要である。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、フラッディングがアノードで発生しているか、カソードで発生しているかを推測でき、フラッディングに対する対策を適切化し、スタックの発電性能を高めるのに有利な燃料電池システムを提供することを課題とする。
(1)スタックの内部には、冷却水等の冷却媒体が流れる冷却通路が内蔵されている。近年、スタックの小型化等を図るため、冷却通路の数が減少する方向に移行しつつある。そこで、本発明者は、図2に示すように、カソード冷却型セル13およびアノード冷却型セル15がスタック1の内部に併用されていることに着目した。
図2に示すように、カソード冷却型セル13は、カソード3が冷却通路4に対面しており冷却通路4で直接的に冷却されると共に、アノード2は冷却通路4に対面しておらず冷却通路4で直接的に冷却されないという冷却特性を有する。
図2に示すように、アノード冷却型セル15は、アノード2が冷却通路4に対面して冷却通路4で直接的に冷却されると共に、カソード3が冷却通路4に対面しておらず冷却通路4で直接的に冷却されないという冷却特性を有する。このようにカソード冷却型セル13およびアノード冷却型セル15は、冷却特性が相違することに本発明者は着目した。
上記した冷却特性の相違により、図2に示す特性線Tが得られる。特性線Tは、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における温度分布を模式的に示す。かかる冷却特性の相違により、本発明者は、図2の特性線Tから理解できるように、(i)カソード冷却型セル13のカソード3の温度Tc1とアノード冷却型セル15のカソード3の温度Tc2とを比較するとき、温度Tc1は温度Tc2よりも相対的に低いことに着目し、また、(ii)アノード冷却型セル15のアノード2の温度Ta1と、カソード冷却型セル13のアノード2の温度Ta2とを比較すると、温度Ta1は温度Ta2よりも相対的に低いことに着目した。
ここで、温度の高低は、反応ガスの飽和蒸気圧に影響を与え、ひいては反応ガスがセルから持ち去る水分量に影響を与える。即ち、反応ガスがセルからセル外に持ち去る水分量を考えると、通常の発電運転条件であれば、温度が低いと、飽和蒸気圧が低いため、反応ガスがセル外に持ち去る水分量が相対的に少なくなる。ひいてはセルが濡れ易くなり、フラッディングが発生し易くなるといえる。これに対して、温度が高いと、飽和蒸気圧が高いため、反応ガスがセルから持ち去る水分量が相対的に多くなる。ひいては乾燥し易くなるといえる。
換言すると、カソ−ド同士を比較するとき、温度が低い方が、飽和蒸気圧が低いため、反応ガスにより持ち去られる水分量が少なく、フラッディングが発生し易いといえる。これに対して温度が高いと、飽和蒸気圧が高いため、反応ガスにより持ち去られる水分量が多く、乾燥が発生し易いといえる。アノード同士を比較するときにおいても同様である。
図2に示すように、カソード冷却型セル13においては、カソード3は冷却通路4で冷却されているため、カソード3の温度Tc1は、アノード冷却型セル15のカソード3の温度Tc2よりも相対的に低いといえる。故にカソード冷却型セル13においては、反応ガスがカソード3から持ち去る水分量が相対的に少なくなり、ひいてはカソード3が濡れ易くなり、カソード3においてフラッディングが発生し易くなるといえる。
ここで、フラッディングが発生して発電出力が低下しているとき、フラッディングがカソ−ドで発生しているかアノードで発生しているかを判定する必要がある。この場合、カソード冷却型セル13の発電出力(またはその平均値)と、アノード冷却型セル15の発電出力(またはその平均値)とを比較する。
カソード冷却型セル13の発電出力の低下量が、アノード冷却型セル15の発電出力の低下量よりも大きいときには、カソード冷却型セル13の発電が制約されているため、カソード冷却型セル13の温度が低いカソード3においてフラッディングが発生していると推測される。あるいは、カソード冷却型セル13の発電出力の低下時期が、アノード冷却型セル15の発電出力の低下時期よりも早いときには、カソード冷却型セル13の発電が制約されているため、カソード冷却型セル13の温度が低いカソード3においてフラッディングが発生していると推測される。
これに対して、フラッディングが発生して発電出力が低下しているとき、アノード冷却型セル15の発電出力の低下量が、カソード冷却型セル13の発電出力の低下量よりも大きいときには、次のように考えられる。即ち、カソード冷却型セル13の発電出力がアノード冷却型セル15の発電出力よりも高めに維持されている。このため、カソード冷却型セル13のカソ−ド3では、温度が低いにも拘わらずフラッディングが発生していないと推測される。従って、アノード冷却型セル15のうち冷却されて温度が低くなっているアノード2において、フラッディングが発生していると推測される。あるいは、アノード冷却型セル15の発電出力の低下時期がカソード冷却型セル13の発電出力の低下時期よりも早いときには、同様に、温度が低いアノード2においてフラッディングが発生していると推測される。上記した知見に基づいて、本発明に係る燃料電池システムは開発されたものである。
(2)即ち、様相1に係る燃料電池システムは、アノードおよびカソードでイオン伝導膜を挟持した複数のセルと、セルを冷却する冷却通路とを備えるスタックを具備しており、
スタックのセルは、カソードが冷却通路に対面すると共にアノードが冷却通路に対面しないカソード冷却型セルと、アノードが冷却通路に対面すると共にカソーが冷却通路に対面しないアノード冷却型セルとを含む燃料電池システムにおいて、
カソード冷却型セルの発電出力とアノード冷却型セルの発電出力とを直接的に又は間接的に検知するセル発電出力検知手段と、
カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較するセル発電出力比較手段と、
セル発電出力比較手段の結果に応じて、発電出力の低下要因がカソードであるかアノードであるかを判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
スタックのセルは、カソードが冷却通路に対面すると共にアノードが冷却通路に対面しないカソード冷却型セルと、アノードが冷却通路に対面すると共にカソーが冷却通路に対面しないアノード冷却型セルとを含む燃料電池システムにおいて、
カソード冷却型セルの発電出力とアノード冷却型セルの発電出力とを直接的に又は間接的に検知するセル発電出力検知手段と、
カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較するセル発電出力比較手段と、
セル発電出力比較手段の結果に応じて、発電出力の低下要因がカソードであるかアノードであるかを判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
様相1によれば、セル発電出力検知手段は、カソード冷却型セルの発電出力とアノード冷却型セルの発電出力とを直接的に又は間接的に検知する。直接的に検知するとは、発電出力を直接検知することを意味する。間接的に検知するとは、他のパラメータを介して発電出力を検知することを意味する。
セル発電出力比較手段は、カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較する。物理量としては、発電出力の低下量および/または発電出力の低下時期が例示される。
ここで、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力と、アノード冷却型セルの発電出力とを直接的に比較することにより、カソード冷却型セルの発電出力の低下と、アノード冷却型セルの発電出力の低下とを検知することにしても良い。あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力の低下量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下量とを直接的に比較しても良い。
あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力と基準電圧とを比較して、カソード冷却型セルの発電出力の低下量を求め、且つ、アノード冷却型セルの発電出力と基準電圧とを比較して、アノード冷却型セルの発電出力の低下量を求め、両者の低下量同士を比較しても良い。あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力の低下時期と、アノード冷却型セルの発電出力の低下時期とを直接的に比較しても良い。
ここで、カソード冷却型セルの発電出力の低下がアノード冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著であるとき、判定手段は、セルのカソードおよびアノードのうち、カソードにおいてフラッディングが発生していると推測することができる。
また、アノード冷却型セルの発電出力の低下がカソード冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著であるとき、判定手段は、セルのカソードおよびアノードのうち、アノードにおいてフラッディングが発生していると推測することができる。ここで、『顕著である』とは、発電出力の低下が大きいこと、および/または、発電出力の低下が早いことを意味する。
(3)様相2に係る燃料電池システムによれば、スタックは、スタックのセル積層方向において、乾燥よりもフラッディングが発生し易いフラッディング発生領域と、フラッディングよりも乾燥が発生し易い乾燥発生領域とを備えており、
セル発電出力比較手段は、フラッディング発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
判定手段は、セル発電出力比較手段の結果に応じて、フラッディング発生領域におけるフラッディングの要因がアノードであるかカソードであるかを判定することを特徴とする。物理量としては、発電出力の低下量および/または発電出力の低下時期が例示される。
セル発電出力比較手段は、フラッディング発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
判定手段は、セル発電出力比較手段の結果に応じて、フラッディング発生領域におけるフラッディングの要因がアノードであるかカソードであるかを判定することを特徴とする。物理量としては、発電出力の低下量および/または発電出力の低下時期が例示される。
フラッディング発生領域は、通常の発電運転において、スタックのうち乾燥よりもフラッディングが発生し易い領域を意味する。フラッディング発生領域は、一般的には、スタックのセル積層方向における中央領域を除いた端領域となる。ここで、スタックを構成するセル積層数を100と相対表示するとき、フラッディング発生領域としては、スタックのセル積層方向における最も一端側のセルからそのセルを含めてセル積層数が5〜20と相対表示される領域と、スタックのセル積層方向における最も他端側のセルからそのセルを含めてセル積層数が5〜20と相対表示される領域を例示することができる。
また、乾燥発生領域は、通常の発電運転において、スタックのうちフラッディングよりも乾燥が発生し易い領域を意味する。乾燥発生領域は、一般的には、スタックのセル積層方向における端領域(フラッディング発生領域)を除いた中央領域となる。
様相2によれば、セル発電出力比較手段は、フラッディング発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較する。
この場合、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力と、アノード冷却型セルの発電出力とを直接的に比較することにより、フラッディング発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下と、アノード冷却型セルの発電出力の低下とを検知することにしても良い。
あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力の低下量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下量とを直接的に比較しても良い。あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力と基準電圧とを比較して、カソード冷却型セルの発電出力の低下量を求め、且つ、アノード冷却型セルの発電出力と基準電圧とを比較して、アノード冷却型セルの発電出力の低下量を求め、両者の低下量同士を比較しても良い。あるいは、セル発電出力比較手段としては、カソード冷却型セルの発電出力の低下時期と、アノード冷却型セルの発電出力の低下時期とを直接的に比較しても良い。
スタックのフラッディング発生領域において、カソード冷却型セルの発電出力の低下がアノード冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著であるとき、判定手段は、セルのカソードおよびアノードのうちカソードにおいてフラッディングが発生していると推測する。『顕著である』とは、発電出力の低下が大きいこと、および/または、発電出力の低下が早いことを意味する。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、スタックのフラッディング発生領域においてカソード冷却型セルの発電出力が低下する要因としては、乾燥よりもフラッディングが考えられる。フラッディングが発生するとしたら、アノードまたはカソ−ドであるが、カソード冷却型セルでは、カソ−ドが冷却通路で直接冷却されており、カソ−ドの温度がアノードよりも低い。温度が低いカソ−ドでは、反応ガスが持ち去る水分量が少ない。従ってカソード冷却型セルでは、温度が低いカソ−ドは、温度が高いアノードよりもフラッディングし易いといえる。
またフラッディング発生領域において、アノード冷却型セルの発電出力の低下がカソ−ド冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著であるとき、判定手段は、セルのカソードおよびアノードのうちアノードにおいてフラッディングが発生していると推測する。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、フラッディング発生領域においてアノード冷却型セルの発電出力が低下する要因としては、乾燥よりもフラッディングが考えられる。フラッディングが発生するとしたら、アノードまたはカソ−ドであるが、アノード冷却型セルでは、アノードが冷却通路で直接冷却されており、アノードの温度が低い。温度が低いアノードでは、持ち去られる水分量が少ない。従ってアノード冷却型セルでは、温度が低いアノードは、温度が高いカソ−ドよりもフラッディングし易いためである。
(4)様相3に係る燃料電池システムによれば、カソードのフラッディングであると判定されるとき、カソードに供給する酸化剤ガスの加湿量を減少させる操作、カソードに供給する酸化剤ガスの流量を増加させる操作のうちの少なくとも一つを実行し、
アノードのフラッディングであると判定されるとき、アノードに供給する燃料ガスの流量を増加させる操作、アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を減少させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする。これによりカソ−ドおよびアノードのフラッディングが抑制される。
アノードのフラッディングであると判定されるとき、アノードに供給する燃料ガスの流量を増加させる操作、アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を減少させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする。これによりカソ−ドおよびアノードのフラッディングが抑制される。
(5)様相4に係る燃料電池システムによれば、スタックは、スタックのセル積層方向において、乾燥よりもフラッディングが発生し易いフラッディング発生領域と、フラッディングよりも乾燥が発生し易い乾燥発生領域とを備えており、
セル発電出力比較手段は、乾燥発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
判定手段は、セル発電出力比較手段の結果に応じて、乾燥発生領域における乾燥の要因がアノードであるかカソードであるかを判定することを特徴とする。
セル発電出力比較手段は、乾燥発生領域におけるカソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
判定手段は、セル発電出力比較手段の結果に応じて、乾燥発生領域における乾燥の要因がアノードであるかカソードであるかを判定することを特徴とする。
ここで、セルの温度が高いと飽和蒸気圧が高いため、前述したように、反応ガスがセルから持ち去る水分量が相対的に多くなり、セルが乾燥し易くなる。
この前提に立つと、スタックの乾燥発生領域によれば、アノード冷却型セルのカソードの温度は、カソード冷却型セルのカソードの温度よりも相対的に高いため、反応ガスがカソードから持ち去る水分量が相対的に多くなり、アノード冷却型セルのカソードは乾燥し易くなる。
このためスタックの乾燥発生領域によれば、アノード冷却型セルの発電出力の低下と、カソード冷却型セルの発電出力の低下とを比較するとき、アノード冷却型セルの発電出力の低下がカソード冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著である場合には、カソードの乾燥が発生し、カソードの乾燥が原因して発電出力が低下していると推測される。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、スタックの乾燥発生領域においてアノード冷却型セルの発電出力が低下する要因としては、フラッディングよりも乾燥が考えられる。乾燥が発生するとしたら、アノードまたはカソ−ドであるが、アノード冷却型セルでは、アノードが冷却通路で直接冷却されており温度が低いものの、カソ−ドが冷却通路で直接冷却されておらず、温度が高い。このため温度が高いカソ−ドでは、反応ガスが持ち去る水分量が多い。従って、温度が高いカソ−ドは、温度が低いアノードよりも乾燥し易いためである。
またスタックの乾燥発生領域においては、カソード冷却型セルの発電出力の低下がアノード冷却型セルの発電出力の低下よりも顕著であるときには、アノードの乾燥が原因でスタックの発電出力が低下しているものと推測される。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、乾燥発生領域においてカソ−ド冷却型セルの発電出力が低下する要因としては、フラッディングよりも乾燥が考えられる。乾燥が発生するとしたら、アノードまたはカソ−ドであるが、カソ−ド冷却型セルでは、カソ−ドが冷却通路で直接冷却されており温度が低いものの、アノードが冷却通路で直接冷却されておらず、温度が高い。このため温度が高いアノードでは、反応ガスが持ち去る水分量が多い。従って、温度が高いアノードは、温度が低いカソ−ドよりも乾燥し易いためである。
(6)様相5に係る燃料電池システムによれば、カソードの乾燥であると判定されるとき、カソードに供給する酸化剤ガスの加湿量を増加させる操作、カソードに供給する酸化剤ガスの流量を減少させる操作のうちの少なくとも一つを実行し、
アノードの乾燥であると判定されるとき、アノードに供給する燃料ガスの流量を減少させる操作、アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を増加させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする。これによりカソ−ドおよびアノードの乾燥が抑制される。
アノードの乾燥であると判定されるとき、アノードに供給する燃料ガスの流量を減少させる操作、アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を増加させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする。これによりカソ−ドおよびアノードの乾燥が抑制される。
本発明に係る燃料電池システムによれば、フラッディングにより発電出力が低下するとき、フラッディングがアノードで発生しているかカソードで発生しているかを推測することができる。従って、フラッディングに対する対策を適切化するのに有利となる。故にスタックの発電性能を高めるのに有利となる。
図1〜図5は本発明の実施形態を示す。図1はエンドプレート19e,19fと共にセル10をこれの厚み方向に積層したスタック1を模式的に示す。図2はスタック1の内部を模式的に示す。図2に示すように、スタック1は、アノード2およびカソード3で固体高分子型のイオン伝導膜11(プロトン伝導膜)を挟持した複数のセル10と、冷却水などの冷却媒体Wによりセル10を冷却する冷却通路4とを備えている。複数のセル10について、サイズ、構造、材料等は基本的には同一であり、同一の条件であれば、基本的には同様の発電電圧を示す。
図3はアノード2およびカソ−ド3を拡大して示す。図3に示すように、アノード2は、イオン伝導膜11に対面するアノード触媒層2aと、アノード触媒層2aに対面する多孔質でガス透過性をもつアノードガス拡散層2cと、アノードガス拡散層2cに対面するセパレータ2dに形成された燃料ガス用のセパレータ通路2eとを備える。図3に示すように、カソード3は、イオン伝導膜11に対面するカソード触媒層3aと、触媒層3aに対面する多孔質でガス透過性をもつカソードガス拡散層3cと、カソードガス拡散層3cに対面するセパレータ3dに形成された酸化剤ガス用のセパレータ通路3eとを備える。
本実施形態によれば、図1に示すように、カソード3に酸化剤ガス(一般的には空気)を供給する酸化剤ガス供給通路5が設けられている。酸化剤ガス供給通路5には、酸化剤ガスを搬送する流量を調整できる酸化剤流量調整手段として機能するポンプ50と、酸化剤ガスを加湿する酸化剤加湿要素として機能する酸化剤加湿器52とが設けられている。
また、図1に示すように、アノード2に燃料ガス(一般的には水素ガス、水素含有ガス)を供給する燃料ガス供給通路6が設けられている。燃料ガス供給通路6には、開度の調整により燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整手段として機能する燃料バルブ60と、燃料ガスを加湿する燃料加湿要素として機能する燃料加湿器62とが設けられている。制御部8は、ポンプ50および酸化剤加湿器52、燃料バルブ60および燃料加湿器62を制御する。
図1において特性線T2は、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)におけるマクロ的な温度分布を示す。特性線T2に示すように、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における最も一端側のセル10e付近、最も他端側のセル10f付近では、放熱性が高いため、セル10の温度は相対的に低いといえる。また、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における中央付近では、放熱性が少なく、セル10の温度は相対的に高いといえる。
図1に示すように、スタック1は、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)において、乾燥よりもフラッディングが発生し易いフラッディング発生領域11と、フラッディングよりも乾燥が発生し易い乾燥発生領域12とを備えている。フラッディング発生領域11は、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における端側の領域を示す。乾燥発生領域12は、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における中央の領域を示す。
フラッディング発生領域11においては、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)における端のセル10e,セル10fに近いため、内部温度が低めとなり、ひいては飽和蒸気圧が低めとなり、反応ガスがセル10から持ち出す水分量が少なくなり、通常の発電運転条件であれば、乾燥よりもフラッディングが発生し易いといえる。
これに対して乾燥発生領域12においては、スタック1のセル10e、10fから離れて位置しており、スタック1のセル積層方向(矢印X方向)の中央付近であるため、セル10e付近、セル10f付近よりも内部温度が高めとなり、ひいては飽和蒸気圧が高めとなり、反応ガスがセル10から持ち出す水分量が多くなり、通常の発電運転条件であれば、フラッディングよりも乾燥が発生し易いといえる。
上記したように、フラッディング発生領域11は、通常の発電運転では、乾燥よりもフラッディングが発生し易い領域を意味し、スタック1のセル積層方向における中央領域を除いた端領域に相当する。ここで、スタック1を構成するセル積層数を100であると相対表示するとき、フラッディング発生領域11は、一般的には、スタック1の最も一端側のセル10eから、そのセル10eを含めてセル積層数が5〜20である領域と相対表示され、また、スタック1の最も他端側のセル10fから、そのセル10fを含めてセル積層数が5〜20である領域と相対表示される。
また乾燥発生領域12は、スタック1のうち、フラッディングよりも乾燥が発生し易い領域を意味する。従って乾燥発生領域12は、スタック1のセル積層方向における端領域(フラッディング発生領域11)を除いた中央領域に相当する。通常の発電運転条件によれば、乾燥発生領域12では、フラッディングよりも乾燥が発生し易い。
図2に示すように、発電電圧検知手段として機能するセル電圧検知手段7(セル電圧計)がスタック1には設けられている。セル電圧検知手段7の信号は制御部8に入力される。セル電圧検知手段7は、フラッディング発生領域11におけるカソード冷却型セル13の発電電圧Vcと、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaとを検知する。また、セル電圧検知手段7は、乾燥発生領域12におけるカソード冷却型セル13の発電電圧Vcと、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaとを検知する。
図2に示すように、スタック1は、カソード冷却型セル13と、アノード冷却型セル15とを含む。図2に示すように、カソード冷却型セル13では、カソード3が冷却通路4に対面すると共に、アノード2が冷却通路4に対面しない。この結果、カソード冷却型セル13では、カソード3は冷却通路4により直接冷却されると共に、アノード2は冷却通路4により直接冷却されない。また、アノード冷却型セル15では、アノード2は冷却通路4により直接冷却されると共に、カソード3は冷却通路4により直接冷却されない。
本実施形態によれば、図2に示すように、2つの冷却通路4の間に2個のセル10が配置されている冷却構造、即ち、2個並設させたセル10の両端にそれぞれ冷却通路4が存在する冷却構造とされている。
前記した図2の特性線Tから理解できるように、カソード冷却型セル13のカソード3の温度Tc1は、アノード冷却型セル15のカソード3の温度Tc2よりも相対的に低いこと、また、アノード冷却型セル15のアノード2の温度Ta1は、カソード冷却型セル13のアノード2の温度Ta2よりも相対的に低い。
ここで前述したように、反応ガスがセル外に持ち去る水分量を考えると、セルの温度が低いと、温度が低い方が飽和蒸気圧が低いため、反応ガスが電極から電極外に持ち去る水分量が相対的に少なくなり、セルが濡れ易くなり、セルにおいてフラッディングが発生し易くなるといえる。これに対して、セルの温度が高いと、温度が高いほど飽和蒸気圧が高いため、反応ガスがセルの電極から持ち去る水分量が相対的に多くなり、セルの電極が乾燥し易くなるといえる。
ここで、図2の特性線Tから理解できるように、カソード冷却型セル13のカソード3では、カソード3が冷却通路4で直接冷却されているため、カソード3の温度Tc1は、アノード冷却型セル15のカソード3の温度Tc2よりも相対的に低く、反応ガスがカソード3から持ち去る水分量が相対的に少なくなり、濡れ易くなり、カソード3においてフラッディングが発生し易くなる。
このため、制御部8は、フラッディング発生領域11においては、カソード冷却型セル13の発電電圧Vcとアノード冷却型セル15の発電電圧Vaとを定期的または不定期的に比較する。ここで、カソード冷却型セル13の発電電圧Vcの低下が大きいとき、すなわち、発電電圧Vcが発電電圧Vaよりも所定のしきい値以上小さいとき(Vc<Va)、カソード3においてフラッディングが発生していると推測される。あるいは、発電電圧Vcの低下時期が発電電圧Vaの低下時期よりも早いとき、カソード3においてフラッディングが発生していると推測される。
また、フラッディング発生領域11において、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaの低下量が大きいとき、すなわち、発電電圧Vaが発電電圧Vcよりも所定のしきい値以上小さいとき(Va<Vc)、アノード2においてフラッディングが発生していると推測される。あるいは、発電電圧Vaの低下時期が発電電圧Vcの低下時期よりも早いとき、アノード2においてフラッディングが発生していると推測される。
図4および図5は、通常の発電運転において制御部8が実行する判定処理のフローチャートの一例を示す。判定処理のフローチャートは、これに限定されるものではない。通常の発電運転において、制御部8は、フラッディング発生領域11における複数のカソード冷却型セル13のそれぞれの発電電圧Vcと、複数のアノード冷却型セル15のそれぞれの発電電圧Vaとを求める(ステップS104)。更に、制御部8は、フラッディング発生領域11における複数の発電電圧Vcの平均値Vcaveと、複数の発電電圧Vaの平均値Vaaveとを求める(ステップS106)。同様に、制御部8は、乾燥発生領域12における複数のカソード冷却型セル13のそれぞれの発電電圧Vcと、複数のアノード冷却型セル15のそれぞれの発電電圧Vaとを求める(ステップS108)。更に、制御部8は、乾燥発生領域11における複数の発電電圧Vcの平均値Vcaveと、複数の発電電圧Vaの平均値Vaaveとを求める(ステップS110)。
また制御部8は、発電電圧が低下しているセルがあるか否かを判定する(ステップS112)。
発電電圧が低下しているセルが存在する場合(ステップS112のYES)には、制御部8は、発電電圧が低下しているセルがフラッディング発生領域11に存在するか、乾燥発生領域12に存在するかについて判定する(ステップS114)。発電電圧が低下しているセルがフラッディング発生領域11に存在する場合には、制御部8は、ステップS116に進み、フラッディング発生領域11における発電電圧Vcと発電電圧Vaとを比較する。あるいは、発電電圧Vcの低下時期と発電電圧Vaの低下時期とを比較する(セル発電出力比較手段、セル電圧比較手段、ステップS116)。
ここで、スタック1のフラッディング発生領域11において、カソード冷却型セル13の発電電圧Vcがアノード冷却型セル15の発電電圧Vaよりも小さく(Vc<Va)、且つ、発電電圧Vcの低下量が所定のしきい値よりも大きいときには、即ち、(Va−Vc)が所定のしきい値よりも大きいときには、即ち、制御部8は、フラッディング発生領域11のカソード3においてフラッディングが発生していると推測する。あるいは、発電電圧Vcの低下時期が発電電圧Vaよりも早いときには、制御部8は、フラッディング発生領域11のカソード3においてフラッディングが発生していると推測する(判定手段、ステップS118)。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、カソード冷却型セル13の発電電圧Vcが低下する要因としては、乾燥またはフラッディングが考えられるが、フラッディング発生領域11では乾燥よりもフラッディングが発生する頻度が高い。更に、フラッディングが発生するとしたら、アノード2またはカソ−ド3であるが、カソード冷却型セル13では、カソ−ド3が冷却通路4で直接冷却されており、カソ−ド3の温度が低い。このため、温度が低いカソ−ド3の方が温度が高いアノード2よりもフラッディングし易いためである。なお、所定のしきい値はスタック1の種類、運転条件などに応じて適宜設定される。
そして、制御部8は、カソード3におけるフラッディングを抑制する指令を出力する(ステップS120)。即ち、制御部8は、カソード3に供給する酸化剤ガスを酸化剤加湿器52が加湿する加湿量を減少させる操作と、ポンプ50の駆動量を増加させて、カソード3に供給する酸化剤ガスの流量を増加させる操作との双方を実行する指令を出力する。これによりカソ−ド3におけるフラッディングが抑制される。
ただし、制御部8は、カソード3に供給する酸化剤ガスを酸化剤加湿器52が加湿する加湿量を減少させる操作と、ポンプ50の駆動量を増加させて、カソード3に供給する酸化剤ガスの流量を増加させる操作とのうちの少なくともいずれか一方を実行する指令を出力することにしても良い。
また、ステップS116における判定の結果、フラッディング発生領域11において、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaがカソード冷却型セル13の発電電圧Vcよりも小さく(Va<Vc)、且つ、発電電圧Vaの低下量が所定のしきい値よりも大きいときには、即ち、(Vc−Va)が所定のしきい値よりも大きいときには、制御部8は、フラッディング発生領域11のアノード2においてフラッディングが発生していると推測する。あるいは、発電電圧Vaの低下時期が発電電圧Vcよりも早いときには、フラッディング発生領域11のアノード2においてフラッディングが発生していると推測する(判定手段、ステップS138)。
このように推測できる理由としては次のようである。即ち、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaが低下する要因としては乾燥またはフラッディングが考えられるが、フラッディング発生領域11では、乾燥よりもフラッディングが発生する頻度が高い。更に、フラッディングが発生するとしたら、アノード2またはカソ−ド3であるが、アノード冷却型セル15では、アノード2が冷却通路4で直接冷却されているため温度が低い。従って、温度が低いアノード2の方が温度か高いカソ−ド3よりも、フラッディングし易いためである。なお、所定のしきい値はスタック1の種類、運転条件などに応じて適宜設定される。
そして、制御部8は、アノード2におけるフラッディングを抑制する指令を出力する(ステップS140)。即ち、制御部8は、アノード2に燃料ガスを供給する燃料バルブ60の開度を増加させて、アノード2に供給する燃料ガスの流量を増加させる操作と、燃料加湿器62による加湿量を減少させる操作との双方を実行する。これによりアノード2におけるフラッディングが抑制される。
ただし、制御部8は、アノード2に供給する燃料ガスの流量を増加させる操作と、燃料加湿器62による加湿量を減少させる操作とのうちのいずれか一方を実行することにしても良い。
また、ステップS114における判定の結果、発電電圧が最も低下しているセルが乾燥発生領域12に存在する場合には、制御部8は、ステップS160に進み、乾燥発生領域12における発電電圧Vcの平均値Vcaveと、発電電圧Vaの平均値Vcaveとを比較する(発電出力比較手段、セル電圧比較手段、ステップS160)。
ここで、発電電圧Vcの平均値Vcaveが、発電電圧Vaの平均値Vaaveよりも小さく、平均値Vcaveの低下に関する物理量が所定のしきい値よりも大きいときには、制御部8は、乾燥発生領域12のアノード2において乾燥が発生していると推測する(ステップS162)。あるいは、平均値Vcaveの低下時期が、発電電圧Vaの平均値Vaaveの低下時期よりも早いときには、制御部8は、乾燥発生領域12のアノード2において乾燥が発生していると推測する(ステップS162)。
このように推測できる理由として次のようである。即ち、カソード冷却型セル13の発電電圧Vcの平均値Vcaveが低下する要因としては、カソード冷却型セル13のアノード2またはカソ−ド3における乾燥およびフラッディングが考えられる。しかし通常の発電運転においては、乾燥発生領域12ではフラッディングの発生頻度よりも乾燥の発生頻度が高い。更に、カソード冷却型セル13においてはカソ−ド3は冷却通路4で直接冷却されているため、カソード冷却型セル13におけるカソード3の温度よりもアノード2の温度が高い。このため温度が高いアノード2が、温度が低いカソード3よりも乾燥し易いと推定されるためである。なお、所定のしきい値はスタック1の種類、運転条件などに応じて適宜設定される。
上記したようにアノード2における乾燥が発生していると推測したら、制御部8は、アノード2における乾燥を抑制する指令を出力する(ステップS164)。即ち、制御部8は、アノード2に供給する燃料ガスを燃料加湿器62が加湿する加湿量を増加させる操作と、燃料バルブ60の開放量を減少させて、アノード2に供給する燃料ガスの流量を減少させる操作との双方を実行する指令を出力する。これによりアノード2の乾燥が抑制される。
ただし、制御部8は、アノード2に供給する燃料ガスを燃料加湿器62が加湿する加湿量を増加させる操作と、燃料バルブ60の開放量を減少させて、アノード2に供給する燃料ガスの流量を減少させる操作とのうちのいずれか一方を実行する指令を出力することにしても良い。
また、ステップS160における判定の結果、乾燥発生領域12において、発電電圧Vaの平均値Vaaveが発電電圧Vcの平均値Vcaveよりも小さく(Vaave<Vcave)、且つ、発電電圧Vaの平均値Vaaveの低下に関する物理量が所定のしきい値よりも大きいときには、即ち、(Vcave−Vaave)が所定のしきい値よりも大きいときには、制御部8は、乾燥発生領域12のカソ−ド3において乾燥が発生していると推測する(判定手段、ステップS182)。
このように推測できる理由として次のようである。即ち、アノード冷却型セル15の発電電圧Vaの平均値Vaaveが低下する要因としては、アノード冷却型セル15のアノード2またはカソ−ドにおける乾燥またはフラッディングが考えられる。しかし通常の発電運転においては、乾燥発生領域12ではフラッディングの発生頻度よりも乾燥の発生頻度が高い。更に、アノード冷却型セル15においてはアノード2は冷却通路4で直接冷却されているため、アノード冷却型セル15におけるアノード2の温度よりもカソ−ド3の温度が高い。このため温度が高いカソ−ド3が、温度が低いアノード2よりも乾燥し易いと推定されるためである。なお、所定のしきい値はスタック1の種類、運転条件などに応じて適宜設定される。
そして、カソ−ド3において乾燥が発生していると推測したら、制御部8は、カソ−ド3における乾燥を抑制する指令を出力する(ステップS184)。即ち、制御部8は、カソ−ド3に酸化剤ガスを供給するポンプ50の駆動量を減少させて、カソ−ド3に供給する酸化剤ガスの流量を減少させる操作と、酸化剤加湿器52による加湿量を増加させる操作との双方を実行する。これによりカソ−ド3の乾燥が抑制される。
但し、制御部8は、カソ−ド3に供給する酸化剤ガスの流量を減少させる操作と、酸化剤加湿器52による加湿量を増加させる操作とのうちのいずれか一方を実行することにしても良い。
以上説明したように本実施形態によれば、スタック1のフラッディング発生領域11においてセル10の発電電圧が低下するとき、フラッディング発生領域11においてフラッディングがアノード2で発生しているか、カソード3で発生しているかを推測できる。従って、フラッディングに対する対策を適切化し、スタック1の発電性能を高めるのに有利となる。
更に本実施形態によれば、スタック1の乾燥発生領域12におけるセル10の発電電圧が低下するとき、乾燥発生領域12において乾燥がアノード2で発生しているか、カソード3で発生しているかを推測できる。従って、乾燥に対する対策を適切化し、スタック1の発電性能を高めるのに有利となる。
上記したように本実施形態によれば、フラッディング発生領域11においてフラッディングを抑制する場合には、発電電圧Vaの平均値Vaave、発電電圧Vcの平均値Vcaveではなく、発電電圧Va、発電電圧Vcを基準として判定している。フラッディングが原因で発電電圧が低下する場合には、複数のセル10のうちフラッディングが発生した特定のセルにおいて、発電電圧が急激に低下するため、平均値を採用すると、発電電圧の低下に関する物理量の絶対値が小さくなり、判定精度が低下するおそれがあるためである。
これに対して、乾燥発生領域12における乾燥を抑制する場合には、発電電圧Vaの平均値Vaave、発電電圧Vcの平均値Vcaveを基準として判定する。乾燥が原因で発電電圧が低下する場合には、特定のセルの発電電圧が急激に低下するよりも、複数のセルにおいて発電電圧が緩やかに平均的に低下するためである。
上記した実施形態によれば、燃料ガスを加湿する燃料加湿器62が設けられているが、燃料加湿器62を廃止し、燃料ガスを加湿しない方式としても良い。この場合には、燃料ガスの流量の調整によりフラッディング、乾燥を抑制する。
なお、フラッディング発生領域11においてフラッディングを抑制する場合には、必要に応じて、発電電圧Vaの平均値Vaave、発電電圧Vcの平均値Vcaveを基準として判定しても良い。また、乾燥発生領域12における乾燥を抑制する場合には、発電電圧の平均値ではなく、必要に応じて、単セルの発電電圧Va、単セルの発電電圧Vcを基準として判定しても良い。
上記した実施形態によれば、図2に示すように、2個並設させたセル10の両端に冷却通路4が存在する冷却構造とされているが、これに限らず、3個並設させたセル10の両端に冷却通路4が存在する冷却構造とされていても良い。要するに、カソード冷却型セル13とアノード冷却型セル15とを併有するスタック1に適用することができる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器、携帯用の燃料電池システムに適用できる。
1はスタック、10はセル。11はイオン伝導膜、13はカソード冷却型セル、15はアノード冷却型セル、2はアノード、3はカソード、4は冷却通路、8は制御部を示す。
Claims (5)
- アノードおよびカソードでイオン伝導膜を挟持した複数のセルと、前記セルを冷却する冷却通路とを備えるスタックを具備しており、
前記スタックの前記セルは、前記カソードが前記冷却通路に対面すると共に前記アノードが前記冷却通路に対面しないカソード冷却型セルと、前記アノードが前記冷却通路に対面すると共に前記カソードが前記冷却通路に対面しないアノード冷却型セルとを含む燃料電池システムにおいて、
前記カソード冷却型セルの発電出力と前記アノード冷却型セルの発電出力とを直接又は間接的に検知するセル発電出力検知手段と、
前記カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、前記アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較するセル発電出力比較手段と、
前記セル発電出力比較手段の結果に応じて、発電出力の低下要因が前記カソードであるか前記アノードであるかを判定する判定手段とを具備することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1において、前記スタックは、前記スタックのセル積層方向において、乾燥よりもフラッディングが発生し易いフラッディング発生領域と、フラッディングよりも乾燥が発生し易い乾燥発生領域とを備えており、
前記セル発電出力比較手段は、前記フラッディング発生領域における前記カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と前記アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
前記判定手段は、前記セル発電出力比較手段の結果に応じて、前記フラッディング発生領域におけるフラッディングの要因が前記アノードであるか前記カソードであるかを判定することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項2において、前記カソードのフラッディングであると判定されるとき、前記カソードに供給する酸化剤ガスの加湿量を減少させる操作、前記カソードに供給する酸化剤ガスの流量を増加させる操作のうちの少なくとも一つを実行し、
前記アノードのフラッディングであると判定されるとき、前記アノードに供給する燃料ガスの流量を増加させる操作、前記アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を減少させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1において、前記スタックは、前記スタックのセル積層方向において、乾燥よりもフラッディングが発生し易いフラッディング発生領域と、フラッディングよりも乾燥が発生し易い乾燥発生領域とを備えており、
前記セル発電出力比較手段は、前記乾燥発生領域における前記カソード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量と、前記アノード冷却型セルの発電出力の低下に関する物理量とを比較し、
前記判定手段は、前記セル発電出力比較手段の結果に応じて、前記乾燥発生領域における乾燥の要因が前記アノードであるか前記カソードであるかを判定することを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項4において、前記カソードの乾燥であると判定されるとき、前記カソードに供給する酸化剤ガスの加湿量を増加させる操作、前記カソードに供給する酸化剤ガスの流量を減少させる操作のうちの少なくとも一つを実行し、
前記アノードの乾燥であると判定されるとき、前記アノードに供給する燃料ガスの流量を減少させる操作、前記アノードに供給する燃料ガスを加湿する加湿量を増加させる操作のうちの少なくとも一つを実行することを特徴とする燃料電池システム。
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JP2011049104A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法 |
-
2006
- 2006-04-28 JP JP2006125752A patent/JP2007299597A/ja active Pending
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