JP2007299462A - テープリール及びテープカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】テープリールへのテープの巻き始めにおいて、テープエッジのフランジへの乗り上げを防止し、巻き縞を発生しないテープリールを提供することを目的とする。
【解決手段】磁気テープMTが巻回される円筒状のハブ2の両端に、上フランジ4及び下フランジ3がそれぞれ設けられたテープリール1において、ハブ2の外周面の上端部又は下端部の少なくとも何れか一方に環状の溝2a1,2a2を設け、テープエッジのフランジ3,4への乗り上げを防止するとともに、折れ曲がったテープエッジを収容する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気テープ等のテープを巻回するテープリール及びテープが巻回されたテープリールを収容するテープカートリッジに関する。
コンピュータ等の外部記録装置媒体として、例えば、磁気テープを巻回したテープリールをカートリッジケース内に収容した磁気テープカートリッジが知られている。テープリールは、一般的には、その軸心部を構成し外周に磁気テープが巻回されるハブと、ハブの軸線方向両端から、それぞれ径方向外側に張り出した一対のフランジとを備えて構成される。このようなテープリールとして、例えば、特許文献1を挙げることができる。
ところで、磁気テープは記憶容量の高容量化のために、テープの厚さを薄くして、テープリールに巻回するテープを長くする方法が取られている。一方、樹脂を用いて成形加工されるテープリールは、一方のフランジとハブを一体成形する際に、金型からの離型性をよくするため、及びコーナー部おける応力集中により過大な応力がかかるのを避けるために、ハブとフランジの接するコーナー部に丸みを帯びた形状(Rをつけた形状)としている。そのため、ハブとフランジとが垂直に接していなかった。
図11を参照して、ハブとフランジとが垂直に接していない場合に生じる不具合について説明する。図11は、従来のテープリールにおけるハブとフランジとの接点の形状と、その形状による不具合を説明するための、テープリールの断面図であり、(a)はテープがフランジに乗り上げる様子を示し、(b)はフランジに乗り上げて折れ曲がったテープに、テープが巻回される様子を示す。
図11(a)に示すように、従来のテープリール101は、ハブ102の両端部に一対のフランジ103、104を備えて構成される。ハブ102と一方のフランジ103とが一体成形されており、前記したように、ハブ102とフランジ103との接点は丸み102aを帯びている。磁気テープカートリッジの製造工程においては、磁気テープMTの長さ方向の先端部を、エタノール、水等の液体を介してハブ102の外周面に貼付し、磁気テープMTを数回巻き取ってから、所定の長さの磁気テープMTをテープリールに巻回するが、ハブ102の外周面に対する磁気テープMTの巻き始めにおいて、磁気テープMTの端部(テープエッジ)MTaは、ハブ102とフランジ103との接点の丸み102aの形状に沿ってフランジ103側に乗り上げ易くなっていた。(磁気テープをハブに貼付する方法については、例えば、特開2005−259273号公報、特開2005−322353号公報を参照のこと。)
図11(b)に示すように、フランジ103側に乗り上げた磁気テープMTの端部MTaは、上から巻回される磁気テープMTの巻き圧によって、折れ曲がり、さらにその上に巻き取られる磁気テープMTに対して放射状の巻き縞を生じさせる原因となっていた。そして、巻き縞が生じると、磁気テープMTにしわ等の癖がつき、記録再生ヘッドとの密着性が低下するため、記録再生の品質に影響を及ぼしていた。このような、磁気テープMTのフランジ103への乗り上げは、特に、テープの厚さが8.9μm以下になると顕著であり、高容量の磁気テープカートリッジの製造において問題であった。
特開2006−65988号公報(段落0031、図4)
本発明は、このような問題を解決するために創案されたものであり、テープの巻き始めにおいて、テープエッジのフランジへの乗り上げを防止し、巻き縞を発生しないテープリール及びテープカートリッジを提供することを目的とする。
そこで、前記目的を達成するために、請求項1に記載のテープリールは、テープが巻回される円筒状のハブの両端に、第1フランジ及び第2フランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、前記ハブの外周面の両端部の少なくとも何れか一方に環状に溝を設けたことを特徴とする。
かかる構成によれば、テープリールのハブの外周に磁気テープ等のテープを巻回する際に、テープの巻き始めにおいてハブとテープの間のスリップ又はハブに対するテープの巻き位置のずれ等のために、テープがハブの中心からずれ、第1フランジ又は第2フランジの何れかのフランジ側に寄った場合において、テープの幅方向の端部は、テープがハブの外周面に接する部分に倣って環状に設けられた溝の上を跨ぎ、フランジと略垂直に接触する。このため、テープはフランジからテープの幅方向に垂直抗力を受けるため、テープが、それ以上フランジ側に寄り難くなる。
また、テープがフランジからの垂直抗力に抗して、さらにフランジ側に寄った場合においても、フランジを越えて寄り過ぎたテープの幅方向の端部は、溝の内部に折れ曲がって収容される。このため、さらに上から巻回されるテープは、1巻き目のテープの折れ曲がった端部の影響を受けることなく、ハブの外周面と平行を保って巻回される。
請求項2に記載のテープリールは、請求項1に記載のテープリールにおいて、前記溝の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下であることを特徴とする。
かかる構成によれば、請求項1に記載の作用を有効に奏することができる。
請求項3に記載のテープリールは、請求項1又は請求項2に記載のテープリールにおいて、前記テープの厚さが8.9μm以下であることを特徴とする。
かかる構成によれば、特に、8.9μm以下の薄いテープを用いた場合において、テープのフランジへの乗り上げを効果的に防止することができる。
請求項4に記載のテープカートリッジは、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のテープリールと、前記テープリールの前記ハブの外周に巻回されたテープと、前記テープリールを回転可能に収容するカートリッジケースと、からなることを特徴とする。
かかる構成によれば、テープカートリッジは、ハブの両端に環状に溝を形成したテープリールを用いてテープを巻回したテープリールを収容するため、巻き縞の発生が抑制されたテープカートリッジを得ることができる。
このような発明によれば、テープリールへのテープの巻き始めにおいて、テープがフランジに乗り上げることを効果的に防止でき、また、テープがフランジを超えてフランジ側に寄った場合においても、テープの端部の折れ曲がりによる影響を低減することができるため、テープリールに巻回されるテープに巻き縞が発生することを抑制することができる。そのため、本発明のテープリールを用いたテープカートリッジの製造の歩留まりを向上することができる。
(第1の実施形態)
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るテープリールの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るテープリールの構成を示す分解図であり、(a)は斜視図、(b)は回転軸を含む平面で切った断面図である。
第1の実施形態のテープリール1は、有底円筒状のハブ2と円盤状の下フランジ3(請求項の第1フランジに相当する)とが一体的に形成されたリール部材5と、下フランジ3と同じ径を有する円盤状の上フランジ4(請求項の第2フランジに相当する)とから構成され、ハブ2の外周面の両端には、環状に溝2a1、2a2が形成されている。上フランジ4は中心部に開口部を有し、開口部に沿ってハブ2側に円筒部4aが立設されている。円筒部4aの外径は、ハブ2の上端側の内径に略等しく、円筒部4aの外径の方が若干小さく形成されている。円筒部4aは、ハブ2の上端側の開口部に嵌合し、両者を接合することでテープリール1が形成される。
ハブ2に形成される溝2a1、2a2の幅は1mm以下、かつ深さは1mm以下に形成される。ハブ2の幅(下フランジ3と上フランジ4との間隔)が12.75mm、テープリール1に巻回する磁気テープMTの幅が1/2インチ(12.65mm)、厚さが6.6μmの場合においては、溝2a1、2a2の幅は0.05mm〜1mm程度、深さは0.05mm〜1mm程度の範囲とすることができる。
次に、図2を参照して、第1の実施形態に係るテープリール1のハブ2の端部において環状に形成された溝2a1、2a2による作用について説明する。ここで、図2は、第1の実施形態に係るテープリールの構成を示す断面図であり、(a)はテープの巻き始めにおけるテープの様子を示し、(b)はテープの端部がフランジ面より、そのフランジ側に寄った場合のテープの様子を示し、(c)は(b)において、テープがフランジ側に寄り過ぎた場合に、さらに上に巻回されたテープの様子を示す図である。
本第1の実施形態に係るテープリール1のハブ2は、その外周面上の端部、すなわち、下フランジ3及び上フランジ4と接する部位に、それぞれ溝2a1及び溝2a2を有する。このため、図2(a)に示すように、テープリール1のハブ2の外周面上に磁気テープMTを巻回する際に、磁気テープMTの巻き始めにおいて、ハブ2と磁気テープMTとの間のスリップ、あるいはハブ2に対する磁気テープMTの巻き位置のずれ等のために、磁気テープMTがハブ2の中心からずれ、下フランジ3側に寄った場合において、磁気テープMTの幅方向の端部MTaは、磁気テープMTがハブ2の外周面に接する部分に倣って溝2a2の上を跨ぎ、下フランジ3と略垂直に接触する。このため、磁気テープMTは下フランジ3から磁気テープMTの幅方向に垂直抗力を受けるため、テープが、下フランジ3側にそれ以上寄ることを難しくしている。このため、磁気テープMTの下フランジ3への乗り上げを防止することができる。
ここでは、磁気テープMTが下フランジ3側に寄った場合について説明したが、上フランジ4側に寄った場合でも同様である。すなわち、ハブ2の端部に溝2a1、2a2を設けることにより、磁気テープMTは下フランジ3、上フランジ4への乗り上げを効果的に防止することができる。したがって、さらに上に巻回される磁気テープMTは、ハブ2の外周面と略平行を保つことができるため、テープリール1に巻回される磁気テープMTに放射状の巻き縞が発生することを抑制することができる。
また、図2(b)に示すように、磁気テープMTが下フランジ3からの垂直抗力に抗して、さらに下フランジ3側に寄った場合においては、下フランジ3を越えて寄り過ぎた磁気テープMTの幅方向の端部MTaは、溝2a1内に折れ曲がって収まることができる。そして、図2(c)に示すように、2巻き目以降の磁気テープMTの巻き圧によって、下フランジ3側に寄り過ぎた1巻き目の磁気テープMTの端部MTaは、溝2a1内に押し込められるため、2巻き目以降の磁気テープMTのテープ面は、1巻き目の磁気テープMTの折れ曲がった端部MTaの影響を受けることなく、ハブの外周面と平行を保って巻回される。このため、テープリール1に巻回される磁気テープMTに、放射状の巻き縞が発生することを抑制することができる。
なお、溝2a1、2a2の幅及び深さは、磁気テープMTの剛性、厚さ、及び想定する(許容する)磁気テープMTの寄り量に応じて適宜決めることができる。
前記したように、下フランジ3側に寄った磁気テープMTの端部MTaは、溝2a1の上を跨いで下フランジ3と接触する。ここで、磁気テープMTの端部MTaが下フランジ3と略垂直に接触するためには、磁気テープMTが溝2a1の幅だけ跨ぎ、折れ曲がることなく下フランジ3に接触するだけの剛性が必要である。したがって、用いる磁気テープMTの剛性に応じて溝2a1の幅を決めることができる。
また、溝2a1の深さは、下フランジ3を越えて下フランジ3側に寄った磁気テープMTの端部MTaが、折れ曲がって溝2a1に収容できるだけの深さが必要である。したがって、溝2a1の深さは、予め想定する(許容する)磁気テープMTが下フランジ3を越えて下フランジ3側に寄る、寄り量と、磁気テープMTの厚さとに応じて決めることができる。なお、溝2a2についても、溝2a1と同様に幅と深さを決定することができる。
また、磁気テープMTの厚さが8.9μm以下になると、磁気テープMTの剛性の低下が著しく、図11に示したように、ハブ102とフランジ103の接点が垂直でない従来のテープリール101においては、フランジ103への乗り上げが顕著になる。このため、特に、厚さが8.9μm以下の磁気テープMTを用いる場合において、ハブ2の端部に溝2a1、2a2を設ける構成は、磁気テープMTのフランジへの乗り上げ防止に顕著な効果を奏するものである。
次に、図3を参照して第1の実施形態のテープリール1の製造方法について説明する。ここで、図3は、第1の実施形態に係るテープリールの製造工程を説明するための図であり、(a)は、射出成形によって成形されたリール部材であり、(b)は追加工によって溝を形成したリール部材を示す。
第1の実施形態のテープリール1は、ハブ2と下フランジ3とが、リール部材5として一体成形されている。図3(a)に示すように、このリール部材5は、まず、射出成形によって、溝2a2が形成されたハブ2と下フランジ3とが一体になったリール部材5を作製することができる。その後、切削等の追加工を施すことによって、図3(b)に示すように、ハブ2の下フランジ3と接する端部に環状の溝2a1を形成することができる。
一方、上フランジ4は、溝2a1のように追加工を必要とする形状を有さないので、図1に示すような円筒部4aを備えた形状を、射出成形によって作製することができる。
そして、上フランジ4の円筒部4aをリール部材5のハブ2の上端側の開口部に嵌合し、超音波溶着又は接着等によって接合することにより、テープリール1が作製される。
以上、説明した第1の実施形態のテープリール1においては、磁気テープMTのフランジへの寄りは、下フランジ3側及び上フランジ4側の何れにも起きることを前提として、ハブ2の両端に溝2a1、2a2を設ける構成としたが、何れか一方に溝を形成することでも、本発明の効果を得ることができる。例えば、磁気テープMTを原反から製品幅に切り出す際に、テープの長手方向に対して湾曲(例えば、長さ1mに対して、1mm程度の湾曲)を持たせることで、磁気テープMTをハブ2に巻き付ける際に、湾曲の内側に磁気テープMTが寄り易くなるため、磁気テープMTの湾曲に対応して、巻き付け時に磁気テープMTが寄り易い方の端部に溝を設けるようにすることができる。
このとき、上フランジ4側に寄るように磁気テープMTに湾曲を持たせるようにすれば、ハブ2には、上フランジ4側の端部に溝2a2を設ければよく、下フランジ3側の溝2a1の形成は不要となる。そのため、第1の実施形態のテープリール1において、リール部材5として図3(a)の段階の部材を用いることができ、溝2a1を形成する追加工が不要となり、製造工程を簡略化することができる。
(第2の実施形態)
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係るテープリールの構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係るテープリールの構成を示す分解図であり、(a)は斜視図、(b)は回転軸を含む平面で切った断面図である。
第2の実施形態のテープリール1と、第1の実施形態のテープリール1との相違点は、円筒状のハブ2と円盤状の下フランジ3とが、それぞれ一つの部材として作製され、円盤状の上フランジ4と併せて、3つの部材から構成されることである。
ハブ2の外周面の両端には、環状に溝2a1、2a2が形成されている。円盤状の下フランジ3の中心部には開口部を有し、開口部に沿ってハブ2側に円筒部3aが立設されている。円筒部3aの外径は、ハブ2の下端側の内径に略等しく、円筒部3aの外径の方が若干小さく形成されている。また、上フランジ4は、下フランジ3と同じ径を有する円盤状の部材であり、中心部には開口部を有し、開口部に沿って下向きに円筒部4aが立設されている。円筒部4aの外径は、ハブ2の上端側の内径に略等しく、円筒部4aの外径の方が若干小さく形成されている。
円筒部3a及び円筒部4aは、それぞれハブ2の下端側の開口部及び上端側の開口部に嵌合し、これらを互いに接合することでテープリール1が形成される。
これら3つの部材を接合してなるテープリール1は、第1の実施形態のテープリール1と同様なので、テープリール1の構成についての更なる説明は省略する。
次に、第2の実施形態のテープリール1の製造方法について説明する。
下フランジ3及び上フランジ4は、同様の形状であり、第1の実施形態の上フランジ4の製造方法と同様に、射出成形により作製することができる。
第2の実施形態のハブ2は、第1の実施形態のリール部材5の溝2a1(図1参照)のように、射出成形によって形成することができない部位がないため、切削等の追加工を施すことなく、射出成形によって作製することができる。したがって、ハブ2、下フランジ3及び上フランジ4は、何れも射出成形によって作製することができる。
次に、下フランジ3の円筒部3a及び上フランジ4の円筒部4aを、それぞれハブ2の下端側の開口部及び上端側の開口部に嵌合し、ハブ2の下端部と下フランジ3の上面及びハブ2の上端部と上フランジ4の下面を、超音波溶着、接着等により接合することによりテープリール1が作製される。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態のテープカートリッジについて説明する。第3の実施形態のテープカートリッジは、いわゆるLTO(Linear Tape Open)規格に準拠した単リール型の磁気テープカートリッジを例にして説明する。また、第3の実施形態に係る磁気テープカートリッジ内には、本発明に係るテープリールが収容される。
まず、図5乃至図7を参照して第3の実施形態に係る磁気テープカートリッジの構成を説明する。図5は、第3の実施形態に係る磁気テープカートリッジの構成を分解して示す斜視図であり、図6は磁気テープカートリッジがドライブ装置のスピンドルとチャッキングする前の状態を示す断面図であり、図7は磁気テープカートリッジがスピンドルとチャッキングした使用時の状態を表す断面図である。
第3の実施形態の磁気テープカートリッジ10は、図5に示すように、下ハーフ11bと上ハーフ11aとに分割構成されたカートリッジケース11の内部に、磁気テープMTが巻回された単一のテープリール1、磁気テープMTの長さ方向の端部にスプライステープSを介して一端が接続されたリーダテープL、リーダテープLの他端に固定されたリーダピン20、テープリール1の回転をロックするためのロックプレート13および圧縮コイルばね14、テープリール1のロック状態を解除するためのリリースパッド15、下ハーフ11bおよび上ハーフ11aに跨ってカートリッジケース11に形成された磁気テープ引出口11c を開閉するスライドドア16、スライドドア16を磁気テープ引出口11cの閉位置に付勢するコイルばね17、誤消去防止爪18、ICチップ19などを組み込んで構成される。
図6に示すように、テープリール1は磁気テープMTが外周に巻回される有底円筒状のハブ2と、このハブ2の上下端外周からそれぞれ径方向に円盤状に張り出した上フランジ4および下フランジ3とからなる。
ハブ2と下フランジ3とは、第1の実施形態のテープリール1と同様に、一体的に成形されており、ハブ2の上側開口部に、上フランジ4の中心開口部に沿って立設された円筒部4aが嵌合して構成されている。また、ハブ2の外周面の両端部には、環状に溝2a1、2a2が形成されている。
さらに、ハブ2は中心側下部が底壁2bにより閉塞され、この底壁2bの下面外周部には、磁気テープドライブ側のスピンドル21の金属製の駆動ギヤ23と噛合するリールギヤ2cが環状に設けられている。また、マグネット吸引用の環状金属板からなるリールプレート12が、リールギヤ2cと共に下ハーフ11bの底面の開口11dに臨むように配置されている。
なお、テープリール1は、チャッキングする前の状態においては、圧縮コイルバネ14により下方に付勢されたロックプレート13の接続突起13aと下フランジ3の係止溝2dが接続したロック状態となり、回転が禁止されている。
次に、磁気テープカートリッジ10とスピンドル21がチャッキングして使用状態となる動作について説明する。
図6に示すように磁気テープドライブ側の金属製のスピンドル21は、回転シャフト22の上端に固定された円盤部25の上面に環状の駆動ギヤ23とマグネット(図示せず)とを備えている。
磁気テープカートリッジ10と金属製のスピンドル21とのチャッキングは、図示しない磁気テープドライブ側のバケットに装填された磁気テープカートリッジ10が回転シャフト22に向かって下降して、駆動ギヤ23が前記リールギヤ2cに噛合するとともに、マグネットにより前記リールプレート12を吸引して前記の噛合状態を保持することによって行なわれる。これにより、磁気テープカートリッジ10は図7に示す使用状態となる。
図7に示す磁気テープカートリッジ10の使用状態においては、底壁2bに設けられたリール底透孔2eから突出するリリースパッド15の脚15aを駆動ギヤ23が上ハーフ11a側の方向へ押すことにより、リリースパッド15を圧縮コイルバネ14に抗して押し上げ、テープリール1はロック状態から解除される。そしてテープリール1は、リールギヤ2cに噛合した駆動ギヤ23を介して回転シャフト22によって回転させられる。
次に図8乃至図10を参照して、第3の実施形態の磁気テープカートリッジ10のテープリール1に磁気テープMTを巻回する磁気テープカートリッジ製造装置について説明する。
ここで、図8は、第3の実施形態に係る磁気テープカートリッジに磁気テープを巻回するテープワインダ(磁気テープカートリッジ製造装置)の概略図であり、図9は、テープワインダを構成するテープ貼付装置のテープ搬送部の斜視図であり、図10は、第3の実施形態に係る磁気テープカートリッジ内のテープリールに磁気テープの先端部を貼付するテープ貼付装置の動作を示す図である。なお、本磁気テープカートリッジ製造装置では、テープ貼付装置80が、垂直に立設するテープワインダWのパネルPに設置された図8の状態を基準に上下左右の方向を定めて説明するものとする。
まず、テープワインダWの構成について説明する。
図8に示すテープワインダWは、いわゆるパンケーキ状に巻回された磁気テープMTを、所定の長さに切断して、カートリッジケース11内に組み込まれているテープリール1のハブ2に巻き取るための装置である。そして、このテープワインダWには、カートリッジケース11内に組み込まれているテープリール1のハブ2に、磁気テープMTの長さ方向の先端部MT1を貼り付けるためのテープ貼付装置80が設置されている。
図8に示すように、テープワインダWは、主に、テープ供給装置30と、テープ貼付装置80と、磁気テープMTの表面を研磨するブレード装置40と、磁気テープMTの両面を清掃するクリーニング装置50,50と、走行中の磁気テープMTの張力を調整する張力調整装置60と、ストックされているカートリッジケース11をテープ貼付装置80に供給するカートリッジケース供給部70と、テープリール1に磁気テープMTが巻回されたカートリッジケース11を排出するカートリッジケース排出部90とを備えて構成されている。また、磁気テープMTをテープ貼付装置80まで案内するための複数のテープガイドGがパネルPの適所に配置されている。なお、テープ貼付装置80は磁気テープMTをハブ2に巻き取るための機能も有している。また、図中のSPは、テープワインダWの運転を操作する操作盤である。
テープ供給装置30は、テープ貼付装置80に磁気テープMTを供給するための装置であり、パンケーキ状の磁気テープMTが巻回されたリールR1とリールR2とを有している。このテープ供給装置30は、リールR1(またはR2)を、図示しないリール駆動装置によって所定の回転数で回転させ、テープ貼付装置80に向けて磁気テープMTを送り出す。なお、テープ供給装置30は、2つのリールR1,R2を有しているので、片方のリールR1の磁気テープMTがなくなったときは、リールR2に切り換えて、テープ貼付装置80に磁気テープMTを連続的に供給するようになっている。
テープ貼付装置80は、カートリッジケース11を設置するケース設置部81と、テープ供給装置30から供給される磁気テープMTをカートリッジケース11まで搬送するテープ搬送部82と、を備えて構成される。
ケース設置部81は、例えば、パネルPのおよそ右下に配置されている。このケース設置部81には、磁気テープ引出口11cを左下に向けた状態でカートリッジケース11が設置される。
また、ケース設置部81は、カートリッジケース11内のテープリール1を回転駆動可能に支持し、図示しないリール駆動手段によって磁気テープMTをハブ2に巻き取ることができるように構成されている。
図9は、テープ搬送部の斜視図である。
図9に示すように、テープ搬送部82は前後長の長いブロックである。テープ搬送部82は、ケース設置部81に設置されるカートリッジケース11の磁気テープ引出口11cから水平方向に離れた位置に設置され(図8参照)、テープ供給装置30から供給される磁気テープMTの先端部MT1付近を吸着して搬送する機能を有する。そのため、テープ搬送部82は、図示しないエアシリンダ等の駆動手段によって、磁気テープ引出口11cからカートリッジケース11の内部に移動可能に構成されている。
テープ搬送部82の上面側には、先端側(カートリッジケース11寄り)から、スポンジ載置部83と、第1の吸着部84(保持部)と、第2の吸着部85が形成されており、第1の吸着部84と第2の吸着部85の間にはスポンジ87(弾性部材)が配設される設置部86が形成されている。
スポンジ載置部83は、コの字状に形成され、スポンジ88(第1のスポンジ)を載置される。このスポンジ載置部83は、例えば、メタノール、エタノール、IPA(イソプロパノール)等の貼付用のアルコール(液体)をその内部に供給されるように構成されており、スポンジ88には常に適量のアルコールが滲み込むようになっている。
第1の吸着部84には、複数の孔H1が開口している。この孔H1は、テープ搬送部82のブロック内で一本の通路に集結され、この通路にホース、切替弁等を介して真空ポンプおよびコンプレッサが接続される。磁気テープMTの搬送時には、真空ポンプに接続された状態で、孔H1は磁気テープMTを真空吸着できる。また、コンプレッサに接続されるように切替弁で切り替えることで、孔H1は、磁気テープMTをハブHに吹き付けることができる。
また、第2の吸着部85にも同様に、複数の孔H2が開口している。この孔H2は、テープ搬送部82のブロック内で一本の通路に集結され、この通路にホース、ソレノイドバルブ等を介して真空ポンプが接続される。磁気テープMTの搬送時には、真空ポンプに接続された状態で、孔H2も磁気テープMTを真空吸着できる。
設置部86は、設置面86aと、この設置面86aから第1の吸着部84または第2の吸着部85に連続する面取り部86b,86bとから溝状に形成される。この設置面86aの幅Aは11mm以下、長さBは19mm以上、深さCは0.5mm以上が望ましい。幅Aを磁気テープMTの幅(1/2インチ=12.65mm)以下にすることで、図5に示すカートリッジケース11内のテープリール1のフランジ3,4との干渉を防止する。また、長さB、深さCを前記のように設定することで、設置面86aとハブ2の接触時に、面取り部86bがハブ2に接触するのを防止する。
設置部86の設置面86aには、スポンジ87がビスVで固定されている。もちろん、両面テープや接着剤等、種々の固定手段で固定するものであってもよい。
スポンジ87は、テープ搬送部82をハブ2に向けて上昇させたときに、磁気テープMTをハブ2に押し付ける部分である。スポンジ87で押し付けることで、ハブ2に塗布されたアルコールが磁気テープMTに馴染むとともに、ハブ2の形状に沿って磁気テープMTが押し付けられる。
なお、このテープ搬送部82は、磁気テープMTを真空吸着する孔H1,H2および通路をその内部に形成されるだけなので、薄く仕上ることができ、カートリッジケース11の磁気テープ引出口11cの大きさに合わせて小さく形成することができる。
次に、図8及び図10を参照して、本テープワインダW(磁気テープカートリッジ製造装置)の動作について説明する。
テープワインダWは、まず、図8に示すように、カートリッジケース供給部70からストックされているカートリッジケース11を1個供給し、そのカートリッジケース11をケース設置部81において、カートリッジケース11内のテープリール1が回転駆動可能に支持して設置するとともに、テープ供給装置30から磁気テープMTを、ブレード装置40、クリーニング装置50,50、張力調整装置60を介し、テープ貼付装置80に供給する。
テープ貼付装置80は、供給された磁気テープMTの先端部MT1を保持し、ケース設置部81に設置されたカートリッジケース11内のテープリール1のハブ2に貼付する。
以下、図10を参照して、テープ貼付装置の動作について説明する。図10は、テープ貼付装置の動作説明図である。
図10(a)に示すように、まず、磁気テープMTを図示しない真空ポンプからテープ搬送部82の孔H1,H2(図9参照)に真空吸着させる。そして、図10(b)に示すように、テープ搬送部82をそのまま水平方向に移動させ、スポンジ88をカートリッジケース11内のハブ2に接触させる。こうすることで、ハブ2にスポンジ88に滲み込んだ適量のアルコールが塗布される。
図10(c)に示すように、テープ搬送部82をさらに前進させて、設置部86がハブ2の下方に位置するまで移動させる。そして、図10(d)に示すように、ハブ2を回転させつつ、テープ搬送部82を上方に移動させて、例えば、0.005MPaの押付力で、磁気テープMTをハブ2に押し付ける。こうすることで、図10(d)の右側に拡大して示すように、ハブ2に塗布されたアルコールが磁気テープMTに馴染むとともに、ハブ2に形状に沿って磁気テープMTが押し付けられる。また、同時に、孔H2には磁気テープMTを真空吸着させたまま、孔H1の真空吸着を解除して孔H1に圧縮エアを供給することで、磁気テープMTの先端部MT1をハブ2に吹き付ける。こうすることで、先端部MT1がハブ2に貼り付けられる。
その後、図10(e)に示すように、テープ搬送部82を少し下方に下げて、カートリッジケース11内から後退させるとともに、テープリール1を所定の角度だけ回転させ、磁気テープMTの先端部MT1をハブ2に巻き付けて、磁気テープMTの先端部MT1をハブ2に貼り付ける作業を完了する。
なお、テープリール1のハブ2には、外周面の両端に溝2a1、2a2が形成されており、磁気テープMTの先端部MT1をハブ2に貼り付ける際に、磁気テープMTの上下フランジ3、4(図6、図7参照)への乗り上げを防止し、また、磁気テープMTが上下フランジ3、4側に寄り過ぎた場合においても、磁気テープMTの端部MTaを溝2a1、2a2内に収容できるため、さらにその上に巻回される磁気テープMTに巻き縞が発生することを抑制することができる。
磁気テープMTの先端部MT1がハブ2へ貼り付けられると、ケース設置部81の図示しないリール駆動手段によって、テープリール1を高速回転させることにより、所定量の磁気テープMTをテープリール1に巻き取る。なお、このテープの巻き取りにおいて、テープリール1は、一定回転数で回転するのではなく、磁気テープMTの巻き始めから徐々に回転数を上昇させ、所定の回転数まで達すると一定時間はその回転数を維持する。そして、巻き終わり時間を予測しておいて、徐々に回転数を低下させ、巻き終わったときに回転が停止するようにする。
所定量の磁気テープMTの巻き取りを終えると、図示しない磁気テープMTの切断装置を用いて磁気テープMTを切断する。この後、図示しないリーダテープ供給装置から供給されるリーダテープL(図5参照)を、図示しないテープ連結装置を用いて磁気テープMTの切断した端部に接続し、さらに接続したリーダテープLの他端に、図示しないリーダピン取付装置によって、リーダピン20(図5参照)を取り付けることにより、磁気テープカートリッジ10(図5参照)が完成する。磁気テープカートリッジ10が完成すると、ケース設置部81は、磁気テープMTが巻回されたカートリッジケース11(磁気テープカートリッジ10)の支持を解除する。支持を解除されたカートリッジケース11は、カートリッジケース排出部90から排出される。
以上、説明した製造方法によって、巻き縞の発生を抑制し、歩留まりよく磁気テープカートリッジ10を製造することができる。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態として示したテープリール1は、それぞれ2部材及び3部材で構成するようにしたが、更に他の機能部材を組み合わせてもよい。また、製造方法も前記した方法に限定されるものではなく、テープリール1を構成する材料も樹脂に限定されず、金属で構成してもよいし、金属と樹脂を組み合わせて構成してもよい。
さらに、第3の実施形態で示した磁気テープカートリッジ10は、単リール型の磁気テープカートリッジであるが、本発明によるテープリールを2個用い、2リール型の磁気テープカートリッジに適用することもできる。また、テープリールに巻回するテープは磁気テープに限定されるものではなく、他の用途のテープに対しても適用することもできる。
第1の実施形態に係るテープリールの構成を示す分解図であり、(a)は斜視図、(b)は回転軸を含む平面で切った断面図である。 第1の実施形態に係るテープリールの断面図であり、(a)はテープの巻き始めにおけるテープの様子を示し、(b)はテープの端部がフランジ面より、そのフランジ側に寄った場合のテープの様子を示し、(c)は(b)において、テープがフランジ側に寄り過ぎた場合に、さらに上に巻回されたテープの様子を示す図である。 第1の実施形態に係るテープリールの製造工程を説明するための図であり、(a)は、射出成形によって成形されたリール部材であり、(b)は追加工によって溝形成したリール部材を示す。 第2の実施形態に係るテープリールの構成を示す分解図であり、(a)は斜視図、(b)は回転軸を含む平面で切った断面図である。 第3の実施形態に係るテープカートリッジの構成を示す分解斜視図である。 第3の実施形態に係るテープカートリッジのチャッキング前の断面図である。 第3の実施形態に係るテープカートリッジのチャッキング後の断面図である。 テープワインダ(磁気テープカートリッジ製造装置)の構成を示す概略図である。 テープワインダを構成するテープ貼付装置のテープ搬送部の斜視図である。 テープ貼付装置の動作を示す図である。 従来のテープリールの構成を示す図であり、(a)はテープがフランジに乗り上げた様子を示し、(b)はさらにその上にテープが巻回された様子を示す図である。
符号の説明
1 テープリール
2 ハブ
2a1、2a2 溝
3 下フランジ(第1フランジ)
4 上フランジ(第2フランジ)
10 磁気テープカートリッジ(テープカートリッジ)
11 カートリッジケース
11c 開口部
MT 磁気テープ(テープ)
MTa 端部

Claims (4)

  1. テープが巻回される円筒状のハブの両端に、第1フランジ及び第2フランジがそれぞれ設けられたテープリールにおいて、前記ハブの外周面の両端部の少なくとも何れか一方に環状に溝を設けたことを特徴とするテープリール。
  2. 前記溝の幅が1mm以下、かつ深さが1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のテープリール。
  3. 前記テープの厚さが8.9μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテープリール。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のテープリールと、
    前記テープリールの前記ハブの外周に巻回されたテープと、
    前記テープリールを回転可能に収容するカートリッジケースと、
    からなることを特徴とするテープカートリッジ。
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