JP2007298131A - 水素貯蔵容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素貯蔵容器内の無駄スペースを減少して水素吸蔵量を増大する水素貯蔵容器を提供する。
【解決手段】本発明は、水素を吸蔵、放出する水素吸蔵合金Xが充填される水素吸蔵合金容器5と、この水素吸蔵合金容器を内装するライナー2とを備える水素貯蔵容器において、前記水素吸蔵合金容器は、充填された水素吸蔵合金が水素吸蔵時に膨張した場合に水素吸蔵合金との接触状態を維持したまま膨張する第1材料と、水素吸蔵合金の熱に応じて所定形状に変形し、前記水素吸蔵合金容器の容積を増加する第2材料とから構成され、前記第2材料は、前記ライナーと前記水素吸蔵合金容器間の間隙を減少するように変形することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素貯蔵容器、特に水素吸蔵合金を内装した水素貯蔵合金の改良に関するものである。
従来の水素貯蔵容器の一例として、特許文献1に記載の技術がある。
この技術は、内蔵した水素吸蔵合金の膨張による水素貯蔵容器の変形を防止するため、水素吸蔵合金を封入した中容器と水素貯蔵容器の内壁との間に外側室を設け、中容器の変形を外側室により吸収するように構成したものである。
この技術では、水素吸蔵合金の熱を吸収する冷却手段を備えておらず、中容器の膨張を吸収する外側室の容積が必要となり、この容積分は高圧にて水素を貯蔵できず、水素貯蔵時の効率低下を招くことになる。
この課題を解決する技術として、水素吸蔵合金の水素吸蔵に伴う熱を吸収する熱交換器を備えた技術がある(特許文献2参照のこと)。
この技術では、熱交換器により水素吸蔵合金の熱を吸収して膨張を抑制することで、前述の外側室に相当する容積を水素吸蔵合金の充填に用いることで水素貯蔵量を増大することができる。
特開平4−243901号公報 特開2004−286177号公報
通常の水素貯蔵容器は、高圧に耐え得るように円筒状の本体部と、その上下開口部を略半球状の蓋部から構成される。一方、特許文献2に記載の熱交換器は、円柱状の形状を有しているため、半球状の蓋部との間に間隙を生じることになる。この間隙は、水素貯蔵時の効率低下を招き、言い換えると水素貯蔵量を増大する余地があることになる。
したがって、本発明の目的は、さらなる水素貯蔵量の増大を可能とする水素貯蔵容器を提供することである。
本発明は、水素を吸蔵、放出する水素吸蔵合金が充填される水素吸蔵合金容器と、この水素吸蔵合金容器を内装するライナーとを備える水素貯蔵容器において、前記水素吸蔵合金容器は、充填された水素吸蔵合金が水素吸蔵時に膨張した場合に水素吸蔵合金との接触状態を維持したまま膨張する第1材料と、水素吸蔵合金の熱に応じて所定形状に変形し、前記水素吸蔵合金容器の容積を増加する第2材料とから構成され、前記第2材料は、前記ライナーと前記水素吸蔵合金容器間の間隙を減少するように変形することを特徴とする。
本発明では、水素吸蔵合金の熱により変形する第2材料を用いて、前記ライナーと前記水素吸蔵合金容器間の間隙を減少して水素吸蔵合金容器の容積を増加するため、水素貯蔵容器内の無駄なスペースを減少して、水素吸蔵合金の水素吸蔵量を増大することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態の水素貯蔵容器の構成図である。
図1に示す水素貯蔵容器1は、圧力容器であるアルミニウムまたは樹脂製のライナー2と、ライナー2を補強する補強部材3と、水素貯蔵容器1内の水素、及び水素吸蔵合金Xの冷却のための冷媒の出入りを制御する一対のバルブユニット4a、4bと、水素吸蔵合金Xを内装する水素吸蔵合金容器5とから構成されている。
ライナー2は、円筒状の本体部2aと、この本体部2aの開口端部を塞ぐ略半球状のドーム部2b、2cと、このドーム部2b、2cに形成され、水素貯蔵容器1内と外部とを連通する貫通孔2dを備えたボス部2eとからなる。
補強部材3は、ライナー2の外周面に巻き付けられ、例えば繊維強化プラスチック(FRP)から形成される。ライナー2が補強部材3により補強されることで、強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
バルブユニット4a、4bはドーム部2a、2bのボス部2eに形成された貫通孔2dに取付けられ、図示しないコントローラにより制御され、水素貯蔵容器1への水素及び冷媒の流入量、流出量を調整する。
水素吸蔵合金容器5は、水素吸蔵合金Xを充填する有蓋円筒状の容器であり、円筒状の本体部5aとその開口両端を塞ぐ平板状の蓋部5bからなる。水素吸蔵合金容器5には、水素吸蔵合金Xを冷却する冷媒が流通する冷媒配管5cが中心軸方向に貫通して設置される。この冷媒配管5cは、前述のバルブユニット4a、4bのいずれか一方から冷媒が供給され、水素吸蔵合金Xの熱を吸収した後、他方のバルブユニットに排出するように構成される。
水素吸蔵合金容器5は、水素吸蔵時に膨張して変形する水素吸蔵合金Xの形状を考慮して、材料、形状等が設定される。熱伝達効率の観点から充填された水素吸蔵合金Xと水素吸蔵合金容器5の内面とが常に接していることが望ましく、例えば径方向の伸び量が水素吸蔵合金Xの膨張量より水素吸蔵合金容器5が大きい場合には、その径変化の差分の間隙が生じることになり、熱伝達が低下することになり好ましくない。そこで、このような間隙が生じないように水素吸蔵合金容器5、特に本体部5aは、水素吸蔵合金Xの発熱により膨張すると共に、水素吸蔵合金Xの膨張により変形するように材料、形状等が設定される。例えば、材料としてTi−Nb系合金、Ti−Ni系合金等を用いる。
また、水素吸蔵合金容器5は、水素吸蔵合金Xの熱による変形を規制するように構成される。つまり、水素吸蔵合金変形時に、水素吸蔵合金の熱に応じて水素吸蔵合金容器5の所定部分が変形し、水素吸蔵合金容器5の容積が大きくなるように設定しておき、この変形部分に水素吸蔵合金Xの膨張に伴う体積増加分が導かれるように構成され、水素吸蔵合金の膨張時に生じる水素吸蔵合金容器5の応力を低減する。具体的には、図1のb)に示すようにライナー2のドーム部2a、2b内に、水素吸蔵合金容器5の蓋部5bの一部である伸長部5gが伸出するように構成する。ここで伸長部5gは、図2に示すようにドーム部2a、2bに対向する位置に設定され、水素吸蔵合金の熱に応じて所定形状に変形する材料、例えば超弾性合金や形状記憶合金で形成される。
このように本実施形態では、水素吸蔵合金Xが水素を吸蔵し、膨張する場合にも、水素吸蔵合金Xと水素吸蔵合金容器5との間の間隙の発生を抑制するため、水素吸蔵合金の熱を効率よく放出でき、冷媒量の低減や水素充填時間の短縮を図ることができる。また、水素吸蔵合金容器5の一部に超弾性合金からなる伸長部5gを設け、水素吸蔵合金容器5の容積を可変として水素吸蔵合金Xの膨張に対応する。水素吸蔵合金容器5の容積の増大は、伸長部5gをドーム部2a、2b内に伸出させて確保するため、ドーム部内の無駄なスペースを利用でき、水素吸蔵合金Xはより多くの水素を吸蔵することができる。また、伸長部5gには超弾性合金を用いるため、水素吸蔵合金容器5の変形により生じる応力を低減し、水素吸蔵合金容器5の異常変形を防止することができる。
水素吸蔵合金容器5を貫通する冷媒配管5cには、軸方向に所定間隔で冷媒と水素吸蔵合金Xとの熱交換効率を高めるため、水素吸蔵合金Xと接するフィン5dが固定される。
図3はフィン5dの配置例を示す構成図であり、水素吸蔵合金容器5内に2本配置された冷媒配管5cのそれぞれにフィン5dが固定される。各フィン5dは円板状に形成され、冷媒配管5cに固定された形状記憶合金からなる支持部材5eの変形により所定形状に変形する。支持部材5eを構成する形状記憶合金は、所定温度で予め規定された形状となるため、その特性を用いて、図1のb)に示すように水素吸蔵合金容器5の軸方向中心を境として、図中右側のフィン5dが右側、図中左側のフィン5dが左側に変形するように支持部材5eの形状を設定する。このとき、支持部材5eは、水素吸蔵合金容器5の中央側ほどその変形量が小さくなるように設定される。
水素吸蔵合金容器5は、その伸長部5gが前述したようにドーム部2a、2b内に突出するように変形し、フィン5dの変形も伸長部5gの変形に合わせて、水素吸蔵合金Xの体積増加分を変形した伸長部5gに導くように設定する。
また、軸方向に複数のフィン5dを設けることで、フィン5d間に水素吸蔵合金が充填されることになる。水素吸蔵合金は、水素の吸蔵及び放出を繰り返すことにより割れ、微細化が進み、その細片が水素吸蔵合金容器5の一部に蓄積、固化して水素吸蔵合金容器5の変形を招くが、本実施形態の場合にはフィン5dが水素吸蔵合金容器5内を区画することになり、水素急増合金の微細化が進んでもその細片が一部に蓄積し、固化することを抑制することができる。
図4は、フィンの他の配置例を示すものであり、図3で2枚のフィン5dを4枚のフィン5hにした構成である。この構成では、図3の構成に比して水素吸蔵合金容器5内の水素吸蔵合金をドーム部2a、2b方向へ変位するようにさらに規制することができる。
図5は、フィンのさらなる他の配置例を示すものであり、フィン5iを半円状に構成し、一対の半円状のフィン5dを所定間隔を持って円板状に配置した構成である。フィン5hはさらにフィン5i1〜5i3に3分割され、それぞれに冷媒配管5fと、フィン5i1〜5i3を変形するための形状記憶合金からなる支持部材5eが固定される。このような構成により、水素吸蔵合金の膨張の方向性をさらに規制することができる。
図6は、これまで水素貯蔵容器1内に1つの水素吸蔵合金容器5を設置した場合の実施形態について説明してきたが、この図では、複数の水素吸蔵合金容器6a、6b(図では9個)を水素貯蔵容器1内に設置したものである。
9個の水素吸蔵合金容器中、中央に配置された水素吸蔵合金容器6aの一部を水素吸蔵合金の膨張を吸収しうる変形可能な材料、例えば超弾性合金で形成する。このため、水素吸蔵合金容器6aは、水素吸蔵合金が水素吸蔵時に膨張する際に、水素貯蔵容器1の軸方向へと変形して水素吸蔵合金の膨張を吸収し、水素吸蔵合金容器6aはドーム部2a、2b内に伸長するため、ドーム部内のスペースを有効に活用することになり、より大量の水素を吸蔵することができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
第1の実施形態の水素貯蔵容器の断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 フィンの配置を説明する図である。 フィンの他の配置を説明する図である。 第2の実施形態の水素貯蔵容器の断面図である。
符号の説明
1:水素貯蔵容器
2:ライナー
2a:本体部
2b、2c:ドーム部
2d:貫通孔
2e:ボス部
3:補強部材
4a、4b:バルブユニット
5:水素吸蔵合金容器
5a:本体部
5b:蓋部
5c:冷媒配管
5d:フィン
5e:支持部材
5g:伸長部
5h、5i:フィン
6a、6b:水素吸蔵合金容器

Claims (7)

  1. 水素を吸蔵、放出する水素吸蔵合金が充填される水素吸蔵合金容器と、
    この水素吸蔵合金容器を内装するライナーとを備える水素貯蔵容器において、
    前記水素吸蔵合金容器は、充填された水素吸蔵合金が水素吸蔵時に膨張した場合に水素吸蔵合金との接触状態を維持したまま膨張する第1材料と、水素吸蔵合金の熱に応じて所定形状に変形し、前記水素吸蔵合金容器の容積を増加する第2材料とから構成され、
    前記第2材料は、前記ライナーと前記水素吸蔵合金容器間の間隙を減少するように変形することを特徴とする水素貯蔵容器。
  2. 前記第2材料は、超弾性合金または形状記憶合金であることを特徴とする請求項1に記載の水素貯蔵容器。
  3. 前記ライナーは、有蓋円筒形状であって、円筒部の両端を塞ぐ蓋部が略半球状に形成され、
    前記水素吸蔵合金容器は、有蓋円筒形状であって、円筒部の両端を塞ぐ蓋部が円板状に形成され、
    前記第2材料は、前記水素吸蔵合金容器の蓋部の一部に用いられ、水素吸蔵合金の熱に応じて、前記ライナーの蓋部と前記水素急増合金容器の蓋部との間の間隙を減少するように変形することを特徴とする請求項1または2に記載の水素貯蔵容器。
  4. 前記水素吸蔵合金容器内に配置され、水素吸蔵合金の熱を吸収する冷媒が流通する冷媒配管と、
    前記水素吸蔵合金容器内の前記冷媒配管に所定間隔で配置されるフィンと、
    このフィンを水素吸蔵合金の熱に応じて変形させる支持部材とを設けたことを特徴とする請求項3に記載の水素貯蔵容器。
  5. 前記支持部材は、形状記憶合金からなり、前記第2材料近傍ほど前記フィンを大きく変形させることを特徴とする請求項4に記載の水素貯蔵容器。
  6. 前記フィンの変形量は、前記水素吸蔵合金容器の中央側ほど小さくなるように設定されることを特徴とする請求項5に記載の水素貯蔵容器。
  7. 前記水素吸蔵合金容器を複数個設け、
    前記水素貯蔵装置の中央部に前記第1材料と前記第2材料とからなる水素吸蔵合金容器を配置し、
    その周囲に前記第1材料からなる水素吸蔵合金容器を配置することを特徴とする請求項3に記載の水素貯蔵容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008151206A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Samtec Kk 水素貯蔵タンクおよびその製造方法
WO2010098172A1 (ja) 2009-02-25 2010-09-02 独立行政法人産業技術総合研究所 耐水素疲労フェライト鋼とその製造方法
CN104197188A (zh) * 2014-08-25 2014-12-10 上海宇航系统工程研究所 一种形状记忆合金丝驱动喷气装置

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