JP2007292670A - 干渉計センサおよびそれを用いた光学測定装置 - Google Patents

干渉計センサおよびそれを用いた光学測定装置 Download PDF

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Abstract


【課題】 回折格子や分光器を用いないで、対象物の表面の色、吸収などを簡易迅速に検出するための軽量、小型、低コストのセンサを与えること。
【解決手段】 筐体と、筐体に設けられた窓と、電源と、交番電圧を発生する交番電圧発生回路と、窓から入ってきた物体光Bを直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して干渉光Fとする干渉部と、干渉光Fを受光する受光素子と、受光素子によって得られた時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算部と、フーリエ変換によって得られた波数分布Q(ν)を記憶表示する記憶表示部よりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象物から出る物体光を分光して対象物の色分布を検出するセンサに関する。自ら発光する対象物、太陽光あるいは人工照明によって照らされた対象物からの物体光Bの波長分布を調べると対象物についてのいろいろな情報が得られる。物体光Bの色が分かると物体を特定できることもある。また火災の発生などを炎の色あるいは赤外線を検出することによって求めることができる。
スペクトル分布を表すために波長λを使っても良いし、波数νを使っても良い。波長というのは一つの波の長さである。波数νというのは単位長さに存在する波の数である。両者の間には、λ=1/νの関係がある。振動数fとはλ=c/f=1/νの関係がある。cは真空中での光の速度である。ここではスペクトルを表現するのに波数νを使うが、振動数fあるいは波長λを用いることもできる。dν=−dλ/λであるから、R(ν)dν=−R(λ)dλ/λである。
dν=50cm−1という波数間隔は、波長λが例えば500nmとすると、dλ=1.25nmの波長範囲に当たる。
同じdν=50cm−1という波数間隔は、波長λが例えば1000nmとすると、dλ=5nmの波長範囲に当たる。以後、波長分布という言葉と波数分布という言葉を同じように用いるが上のような関係によって結び付けられている。
対象物から出る物体光Bを感受するのだから波長・波数範囲は広い。強度も広い。どのような波長域・波数域を対象にするかによって、受光素子が変わる。適当な感受波長を持つ受光素子を選ぶ必要がある。800nm以下の可視光を感受する場合はSiのフォトダイオードを受光素子とすることができる。それより上の1000nm〜1600nm程度の近赤外を感受するにはInGaAs系(InP基板)の受光素子を用いる。物体光Bが弱いという場合はアバランシェフォトダイオードを用いることもできる。
本発明は対象となる物体の色とその強度を検出するための、低コストで振動に強い小型のセンサを与えることを目的とする。
波数分布あるいは波長分布を求めるには分光器を用いるのが一つの方法である。周期uで平行溝を多数切った回折格子に白色光を当てるとブラッグ角の方向(dsinΘ=mλ:mは整数)に回折が起こる。波長によって回折角Φが違うので波長成分を空間的に分離することができる。
回折の方向に多数の小型のフォトダイオードを一次元的に並べたフォトダイオードアレイを設置しておき回折角Φの方向のフォトン数Phをカウントする。それによって反射光の波長分布R(λ)あるいは波数分布R(ν)を求めることができる。これは波長ごとに光成分を空間的に分離するから測定時間が短くて済みしかも正確である。分光法にはそのような優れた利点がある。
しかし分光器を用いる方法は精密な回折格子や多数のフォトダイオードの集合であるフォトダイオードアレイが必要である。精密な回折格子は高価である。全体としてコスト高になる。空間的に波長(波数)成分を分離するのでかなり広い空間的な広がりを必要とし小型化が難しい。そのような欠点がある。
分光器を用いないで光の波長分布(スペクトル)を求める手法として干渉法によるものがある。これは波長・波数ごとに光を空間的に分離しないで時間的に分離するものである。波数成分を時間的に分離してそれをフーリエ変換して波数・波長ごとの光量を求めるようにする。高速フーリエ変換が実現できるようになったので可能になった方法である。
光を波数・波長によって空間的に分離しないので回折格子が不要であり、フォトダイオードアレイも不要である。それによって低コストで小型の波長分布検出のためのセンサを与える可能性がある。
まず単一波長λでコヒーレントで強度1の光があるとする。コヒーレントというのは位相が揃っており分波合波した後も干渉可能という意味である。これに付いては後で述べる。波長λ、強度1のコヒーレント光を分波器で二つの光g、hに分離する。分離した光g、hはそれぞれ別の光路G、Hを進み、合波器で一つに統合される。それが光検出器で検出される。分波器から合波器までのGの光路長をLgとして、Hの光路長をLhとする。光路長Lというのは部分光路の長さlに屈折率nを掛けたものである(L=nl)。光路長差が波長の整数倍(Lg−Lh=mλ:mは整数)であれば、位相が合致するから合波された光の強度は1である。
光路長差が波長の整数倍でない時は合波された光の強度は減る。
2π(Lg−Lh)=(2πm+θ)λ (1)
のような場合は、HとGの分配が1:1であった場合、合波したものの強度はcosθに減る。位相が180゜違うとき両者は完全に打ち消し合う。干渉光は0となる。光路長差を変えて行くと合波光の強度は1と0の間でcosθの周期変化をする。
光路長差をλで割った(Lh−Lg)/λが一つ増えるごとに一つの山谷ができる。あるいはν(Lh−Lg)が一つ増えるごとに一つの山谷ができるということもできる。山と谷との光量差が波長λの光の強度R(λ)に等しい。だから光路長差をλだけ変える間での光量差を検出器で検出すると波長λの光の強度が求められる。
光路Hは一定にし、光路Gだけを変化させることによって光路長差(Lh−Lg)を変化させることができる。GとHの光路長差(Lh−Lg)をxとすると、合波光強度はR(λ)cos(2πx/λ)となる。実際には波長λのように短い間隔だけ光路差を動かすことは難しい。波長λよりもずっと長く光路Gを変化させて、変化の最中での合波光強度を検出器で調べる。ある範囲のxでのR(λ)cos(2πx/λ)が求められる。これを波数νで書くと、R(ν)cos(2πxν)である。これをxでフーリエ変換する。
フーリエ変換というのはcos(2πxν’)を掛けてxで積分することである。(2/K)∫R(ν)cos(2πxν)cos(2πxν’)dxを計算する。Kはxの変域である。xの変域Kはλよりずっと広い。ν’≠νのとき上の積分は0になる。ν’=νのとき上の積分はR(ν)を与える。それによって波数ν、波長λでの合波光強度が求められる。λ<<Kとなるような広い変域をとるようにxを変化させてフーリエ変換してR(ν)を求めるというのは一度の計測でなくて同じ計測を何度も繰り返して行ったものの平均値を求めることに等しい。だから1回の測定よりも信頼性が向上するという利点もある。
上の例ではコヒーレントな単一波長λだけを含む光を問題にした。単一波長だけなら分光作用は不要である。もともと多様な波長の光を含むから分光しなければならない。今度は多数の波長λ、多数の波数νを含む光を考える。つまりR(ν)はあるνの範囲で連続的に分布するのである。その場合も光路Gだけを変化させて光路長差を作り出す。光路Gを変化させている間連続して検出器で光の強度を求める。これはxの関数でありr(x)と書くことができる。波数がνの光成分にとって、xは位相差2πxνを発生させる。だから波数νの光T(ν)のr(x)への寄与はT(ν)cos(2πxν)である。全ての波数νについて足し併せることによってr(x)が得られる。
r(x)=∫T(ν)cos(2πxν)dν (2)
である。xを0〜Kの範囲で変化させすべてのxに対するr(x)を得る。1回の掃引(x=0〜K)によって多数のデータを得る。(2/K)cos(2πxν’)を掛けてxで積分する(x=0〜K)。それはxでフーリエ変換するということである。
(2/K)∫r(x)cos(2πxν’)dx=(2/K)∫T(ν)cos(2πxν)cos(2πxν’)dνdx
(3)
この積分はν’≠νのとき0である。ν’=νのときはT(ν’)となる。だからxのフーリエ変換によって、多数の波数νを含む光であってもその波数分布T(ν)を求めることができる。
光路差を発生させるGの光路Lgを動かす操作は一度だけでなく何度も繰り返すようにするとその度にt(x)が求められ、その都度フーリエ変換をしてT(ν)を何度も求めることができ精度が向上する。それにT(ν)に時間変化がある場合それが一度の掃引時間より遅ければ時間変化するT(ν)を求めることもできる。
これが干渉計による光の波数分布(波長分布)を求める方法である。そのためにかなり高精度の干渉計が必要である。干渉計として第1に思いつくのはマイケルソン干渉計である。十文字の交差光路の二つの端に直角のミラーを、交差点に45゜傾斜ハーフミラーを設置し、残りの光路に沿って光をハーフミラーへ当て透過光、反射光の二光束G、Hに分離しそれぞれを終端のミラーで反射させ同じハーフミラーで合成して入射路と90゜をなす光路へ合波光を取り出しそれを光検出器で検出するものである。一方のミラーを前後に動かすとλ/2ごとに干渉光が増減を繰り返す。
一方のミラーをx/2動かした時の光量をr(x)として先程のフーリエ変換によってT(ν)を計算することができる。マイケルソン干渉計は分波合波のハーフミラーが同一であり、光路G、Hが対称になるという利点がある。マイケルソン干渉計を用いて光路を変化させるようにする干渉計は第1原理に基づくものであり光の波長分布つまり色分布を求めることができる。
しかしマイケルソン干渉計はミラーを前後に動かす機構が必要である。ミラーを正確に平行移動させるための機構、ミラーを動かす機械的駆動部のために大型で重いものになる。精密な機構部を持つので高コストになる。また振動に弱いので携帯型のセンサとして適していない。
特許文献1は、回折格子を用いないで赤外光を分光する分光器を与えることを目的とする。二つの半円柱の間に電歪素子を挟んだボビンに光ファイバを巻き付けたものを用いる。(赤外の)被測定光をハーフミラーによって2光束に分け、一方の光束を電歪素子によって直径が伸縮するボビンに巻き付けたファイバコイルに入れコイル内を伝搬させ、一方の光束はそのまま空間伝送し、再び合体して合体した干渉光の強度を光検出器で検出するようにしたものである。
電歪素子は電圧によって歪を生ずる素子であり、電圧を掛けることによって電歪素子が伸縮する。するとボビンの直径が変化するので光ファイバの長さが変わる。光ファイバの長さが変わると伝搬距離が変わりそれを透過した一方の光束の位相が変わる。他方の光束の位相は不変であるから、それが合体した光の強度は位相のずれのぶんだけ変化する。電歪素子に加える電圧が振動するなら、合体した干渉光の強度も同じ振動をする。検出器の出力を距離に関しフーリエ変換すると波長ごとの光強度を求めることができる。
特許文献2はレーザを光源とし、レ−ザ光を対象物に当て、被測定光を2つの光に分け、片方の光が伝搬する光ファイバのクラッドを剥ぎ、外部との相互作用で得られるエバネッセント波と参照光が干渉することによってインターフェログラムを作り出している。
特開平08−005458 特開平04−221743
特許文献1は直径を変動させることができる光ファイバコイルを用いている。光ファイバの長さを変化させ、光ファイバ長さ変化xの関数として、干渉光の強度を検出し、干渉光をxに関してフーリエ変換して成分の強度を求めるというものである。マイケルソン干渉計のようにミラーを前後に機械的に動かすのではない。機械的振動部分がないからより小型化できるという。
しかし特許文献1は電歪素子を使って光ファイバを巻き付けた半円柱の距離を変動させるので実際に機械的振動が発生している。光ファイバは強く曲げると破断する。安全な最小曲げ半径が(R=30mm〜50mm)決められているがこれがかなり大きいので、ファイバコイルの直径はかなり大きいものとなる。光ファイバコイルの存在のためにかなりの容積を必要とする。光ファイバを繰り返し伸縮させるので光ファイバが疲労して断線する恐れがある。それに二つに分岐した光束の光路長がかなり違うので、コヒーレンシーの良い光源でないと干渉しない。
通常の白色光は非干渉光(インコヒーレント)であるから、特許文献1は白色光の分光には用いることができない。光の干渉性は干渉可能な長さ(コヒーレント長)で表現する。レーザ光の場合はかなり長いので光ファイバコイル長差を越えて干渉するが、ランプの白色光ではそのような光路長差があると干渉しない。白色光源などの場合は使いものにはならない。特許文献1は光源が幾つかの波長の決まったレーザ光源である場合にしか適用できない。インコヒーレントな白色光には役に立たない。本発明のように対象物から出る物体光Bを受光しても可干渉性でないのでフーリエ変換して色成分の強さを求めることはできない。
特許文献2はエバネッセント波を作るため対象物に光ファイバを強く接触させなければならない。エバネッセント波は数μmの範囲しか広がらないので試料との密着性が必要である。光源は単色のレーザであるから試料の一部の性質しか分からない、という難点がある。本発明のように任意の対象物の発するインコヒーレント光を感受して色情報に分解することはできない。またクラッドのない光ファイバを対象物に当てるから光ファイバが破壊され易い、という欠点もある。
本発明の干渉計センサは、筐体と、外部の対象物から発生した物体光Bを内部へ取り込むための筐体に設けられた窓と、筐体の内部に設けられ交番電圧を発生する交番電圧発生回路と、対象物から窓を通して入射してきた物体光Bを直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して干渉光Fとする干渉部と、干渉部からの干渉光Fを受光する受光素子とを含む。
これはセンサをコンピュータに接続してコンピュータで交番電界のタイミングをあたえ、それに同期したフーリエ変換の計算をし、波数分布(波長分布)を記憶表示するようにする。このようにするとセンサ部分をより軽量小型にできる。ポッケルス効果素子よりなる干渉部は小さい寸法でよいし、光源は不要であるし、電源も外部から取るようにしており嵩高いものがない。軽く小さい手ごろなセンサとすることができる。
あるいは電源やフーリエ変換計算素子、記憶・表示素子も筐体の内部に一体に設けてよい。そのようなものは次のようになる。
本発明の干渉計センサは、
筐体と、外部の対象物から発生した物体光Bを内部へ取り込むための筐体に設けられた窓と、筐体内部に設けられた電源と、筐体の内部に設けられ交番電圧を発生する交番電圧発生回路と、対象物から窓を通して入射して来た物体光Bを直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して、分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して干渉光Fとする干渉部と、干渉部からの干渉光Fを受光する受光素子と、受光素子によって得られた干渉光Fの時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算素子と、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶し表示する機構を含む。
本発明の干渉計は、複数の波長の光を含む光を発生する光源から出た光を、分岐し、一方の分岐光gは交番電界を印加するようにしたポッケルス効果素子によって構成した屈折率変動路を通し他方の分岐光hは屈折率固定路或いは反対の交番電界を印加したポッケルス効果素子による屈折率変動路を通し、合体させて、合体した光を受光素子で受光し、受光量を電界に同期して屈折率変化についてフーリエ変換することによって、試料からの反射光の波長分布(波数分布)を求めるようにしたものである。
本発明の特徴は幾つかあるが、一つは分岐光路の長さlを伸縮変化させるのではなくて、分岐光路の屈折率nを変化させることによって分光するというものである。特許文献1はボビンに長い光ファイバを巻いてボビン直径を変動させ光路長を変える。機械的な振動が生ずるので寿命が短いし外部衝撃にも弱い。疲労によって光ファイバの変動長さも変化してくるのでフーリエ変換してもある波長の強度について正しい結果が得られない。
本発明は、屈折率を変化させるので二つの光路g、hの長さをほぼ同一にできるし、光路長を短くできる。コヒーレンス長が短い白色光であっても干渉させることができる。それは任意の色を干渉法によって検出できるわけで優れている。対象物から生ずる光は波長分布も強度分布も多様であるし、コヒーレント長も様々である。レーザ光のように長いコヒーレント長を持たない光を対象とするから光路差が短い方が良い。特許文献1、2は光路差が初めから長いのでレーザ光のようなコヒーレント長の長いものにしか使えない。
本発明は電界を掛けないときは二つの光路G、Hの長さを同一にできるl=l(E=0)。またそもそも光路長lが短いという利点がある。フーリエ変換の範囲を大きくとるとコヒーレント長を越えてしまうのでフーリエ変換の範囲は短いものになる。しかしそれでも光路の長さlを代表波長λで割った値l/λを10〜100倍程度にしてもコヒーレント長を越えない場合も多い。
それは対象物が自身で発光するのか太陽光で照らされているのか人工光を受けているのか個個別別の事情による。l/λが大きい方がフーリエ変換による色の分解精度は上がる。しかし10〜100程度であっても繰り返しフーリエ変換し平均値をとることになるのでS/N比を上げることができる。
ポッケルス効果を持つ素子を用いた光変調器はすでに良く知られている。しかし本発明はポッケルス効果素子を変調に用いるのではない。変調と屈折率変化による干渉は違う。この点を混同してはならない。
[光変調器]
誤解混同を避けるため初めにポッケルス効果を用いた変調器について簡単に述べる。変調器というのは複屈折を利用したものでありLiNbOの単結晶を用いることがある。ポッケルス効果は反転対称性のない単結晶に現れる性質である。複屈折は三方晶系、六方晶系、斜方晶系など軸の関係が総て等しくない結晶に現れる性質である。だから複屈折と、ポッケルス効果のある結晶は異なるが、同じ結晶が両方の効果を持つ場合もある。LiNbOは両方の性質を持つ。そこに混同の起こる可能性がある。複屈折のある単結晶を想定する。
その結晶の複屈折の起こる方向がyとzである。つまりz方向に電界成分(z偏光)を持つ光が異常光で屈折率nを持つ。y方向に電界成分(y偏光)を持つ光が正常光で屈折率nを持つ。yzに直交する方向がx方向である。x方向に長い直方体の結晶を作る。光の進行方向をx方向として、結晶の長手方向を進行方向に平行におく、±zx面に電極を形成し、z方向に電圧Vzを印加するものとする。電界Ezはz方向に発生し、y方向には存在しない。
y方向偏光の屈折率はnで不変である。z方向偏光の屈折率は異常光であるからnなのであるが、z方向に電界を掛けるので、n、nともに電界Eに比例して変化する。一次の変化をポッケルス効果という。二次の効果をカー効果という。二次の効果は弱い。
ここでは一次のポッケルス効果だけを問題にする。屈折率は次のように書ける。
常光線(y偏光) n(1−n 13) (4)
異常光線(z偏光) n(1−n 33) (5)
13,r33は結晶によって決まる非線形係数である。第1偏光子によって入射光を直線偏光にする。偏光の方向はy、zに対し45度の角度をなす方向とする。y偏光は常光線で、z偏光は異常光線である。初めにλ/4板を入れて自然複屈折の(n−n)の部分を消去することもある。電界Eを掛けると、常光線、異常光線の位相差をπにできる。そのときに必要な電圧を半波長電圧Vπという。電気光学素子を評価する重要なパラメータとなる。位相差をπにすると、偏光方向(偏波)がy,z何れかに対し−45度の角度になる。つまり直線偏光の偏波面が90度回転したということである。
出口側に初めの偏光板と同じ偏光方向を持つ第2偏光板を設置しておくと、90度偏波面が回転した光はもはや第2偏光子を通過できない。そのように偏波面をΥ=0〜90度の範囲で回転させると、第2偏光子を通る光の強度はcosΥになる。それによって第2偏光子を通る光は強度変調されることになる。y偏光、z偏光の複屈折に電界によって差異を与えたものである。最大の電界は180度の位相差を発生させるにたるものであれば良い。つまり電圧としては先程の180度位相を変えるVπだけ掛ければ良い。つまりVπ/2の振幅の交番電圧を印加すれば良い。
[ポッケルス効果干渉計素子]
そのような光変調器はありふれたものである。本発明の干渉計に用いる非線形素子はそのようなものとは異なる。異なるが一見して良く似た構造となっているので誤解あるいは混同を起こす可能性がある。本発明の干渉計の場合は前分岐と二つの光路G、Hと後分岐があり、試験光は前分岐で二本の光に分離されて、光路G、Hを通り、後分岐で合一して一つの光になる。Hは一定屈折率nであり、Gは変動屈折率nである。HをGと反対方向に屈折が変化する変動屈折率の光路としても良い。それは電界を反対向きに掛けるものである。
ここではHは固定屈折率路だとして説明する。光路の長さは何れもlであり、それは変化しない。光路長は屈折率と長さの積である。光路Hはnlの一定光路長を持つ。光路Gはnlの変動光路長を持つ。nは変数で印加電圧V(またはV)によって変動する。光路の方向をx方向とする。
直線偏光で偏光方向はz方向である。変調器のようにz偏波、y偏波はなく、z偏波だけが存在する。だから複屈折を利用しない。光路長差は(n−n)lである。電圧Vが0であるとき、光路長差が0になる(n=n)ようにする。光路長差を波長λで割って2πを掛けたものが位相差である。固定屈折率光hと、変動屈折率光gの位相差ΘはΘ=(2πl/λ)(n−n)である。入口側の分岐では同じ位相であり分岐路G、Hを通ることによって位相差ができる。Θの位相差があると合波の強度はcosΘに減少する。そこで電圧Vzを増減して、光路Gの屈折率nを大きく変動させる。そして位相差Θを0〜πというような狭い範囲でなく、±100πとか±1000πで変動させる。その点で前述の変調器と全く違う。光路長差の変動を100倍とか1000倍に大きくしなければならない。そのようにしないとフーリエ変換できないからである。
しかし屈折率nの変動はそれほど大きくないから光路の長さlを大きくする必要がある。変調器のように複屈折を利用しない。異常光、常光の何れか一つを使う。
異常光の偏波をz方向にとり電界Eをz方向に印加するとすると先述のように屈折率は以下のようにかわる。
常光線(y偏光) n(1−n 13) (4)
異常光線(z偏光) n(1−n 33) (5)
異常光の偏波をz方向にとり電界Eをy方向に印加すると
常光線(y偏光) n(1−n 22) (6)
異常光線(z偏光) n (7)
(7)は電圧によって不変なので使えない。(4)、(5)、(6)は使える可能性がある。非線形係数のr13,r33,r22は非対称性を持つ結晶によって異なる。これらの値の大きい結晶を使う必要がある。しかしこれら非線形係数は光の波長によって異なる。つまり分散がある。また同じ材料の単結晶でも製造方法の巧拙によって非線形係数の値が異なる。だから正確なことは試料ごとに測定して初めて分かることである。先述のLiNbOはこれら非線形係数が大きい材料である。λ=633nmに対して、一例として
=2.29、n=2.20、r13=10×10−12m/V、r33=32×10−12m/V、r22=7×10−12m/V
の程度の値を持つ。屈折率のうち電界E、Eに依存する部分Δnを計算してみる。
13=275×10−12m/V
33=749×10−12m/V
22=192×10−12m/V
この評価からz方向に偏波を持つ異常光にz方向に電界を掛けるときに最も大きい屈折率変化が起こることが分かる。フーリエ変換可能であるためには、l△n/λが100〜1000である必要がある。光変調器のようにlΔn/λが0.5(lΔn/λ=0.5という変化を発生するのがVπである)といったものではない。その100倍〜1000倍の変化範囲が必要である。だからこの点で干渉器と変調器とは全く違う。
但し対象物から出る物体光Bは単色でなく多様な波長を含むのでλは代表的な値を意味する。紫外ならλは200nm、可視なら600nm程度、近赤外なら1500nmといった程度である。それは対象物をどのようなものにするのか?というセンサの目的によって異なる。受光素子もそれによって異なってくる。波長によってポッケルス効果素子も異なってくる。必要な屈折率変化の最大幅Δnは対象物の色の範囲、光強度の範囲、必要な波数(波長)分解能などによって異なる。
例えば、フーリエ変換の範囲を±100にするとすれば、lΔn/λ=100としなければならない。素子長・波長比がl/λ=10000であっても、Δnが1/100の程度必要である。先程の値で最も大きいn 33=749×10−12m/Vを採用して、E=1.3×10V/m=13kV/mmという程度のz方向の電界振幅が必要である。最も小さいn 22=192×10−12m/Vを採用した場合は,E=52kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
同じようにフーリエ変換の範囲を±100とするため、lΔn/λ=100とする。素子長を10倍して、素子長・波長比をl/λ=100000とすると電界振幅をより小さくできる。Δnが1/1000の程度に減る。最も大きいn 33=749×10−12m/Vを採用して、E=1.3×10V/m=1.3kV/mmという程度のz方向の電界振幅が必要である。最も小さいn 22=192×10−12m/Vを採用した場合は,E=5.2kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
フーリエ変換の範囲を10倍の±1000にして、例えばlΔn/λ=1000とする。素子長・波長比がl/λ=10000とする。Δnが1/10の程度必要である。先程の値で最も大きいn 33=749×10−12m/Vを採用して、E=1.3×10V/m=130kV/mmという程度のz方向電界振幅が必要である。最も小さいn 22=192×10−12m/Vを採用した場合は,E=520kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
フーリエ変換の範囲を同じく10倍の±1000にして、lΔn/λ=1000とする。素子長・波長比がl/λ=100000とする。Δnが1/100の程度必要である。先程の値で最も大きいn 33=749×10−12m/Vを採用して、E=1.3×10V/m=13kV/mmという程度のz方向電界振幅が必要である。最も小さいn 22=192×10−12m/Vを採用した場合は,E=52kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
対象物から発生、反射する光はコヒーレント長が短いので、フーリエ変換の範囲をあまり長くできないという場合もある。例えば、フーリエ変換の範囲を±10とする場合は次のようになる。lΔn/λ=10とするということである。素子長・波長比をl/λ=1000とする。Δnが1/100の程度あればよい。最も大きいn 33=749×10−12m/Vを採用して、E=13×10V/m=1、3kV/mmという程度のz方向の電界振幅が必要である。最も小さいn 22=192×10−12m/Vを採用した場合は,E=5、2kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
=13kV/mmにするため、例えばポッケルス効果素子の厚みdを10μmとすると、V=130Vということになる。またdを半分の5μmとすると、V=65Vとなる。
波長・波数の分解能をどれだけにするかによって、フーリエ変換の必要な範囲(代表波長の100倍とか1000倍とか)が決まる。
干渉器の二つの光路G、HのうちHを通常の誘電体の固定屈折率光路に、Gをポッケルス効果素子による変動屈折率光路にし交番電界Esinωtを印加して、位相差をHだけで発生させることもできる。これまでの説明はそうなっていた。
しかし必要な電界が大きい場合は、G、Hともポッケルス効果素子で構成し、必要電界を二つに分け正負逆転した電界を掛けることも有効である。光路Gには+Esinωt(或いは+Esinωt)を印加し、光路Hには−Esinωt(或いは−Esinωt)を印加する。そうなると合計の電界はその2倍の2Esinωt(或いは2Esinωt)になる。屈折率変化も2倍にできる。位相差も2倍にすることができる。
ただしここでは正弦波V=sinωtの電圧を与え、E=(V/d)sinωtの電界(z方向又はy方向)の電界を発生させると簡単に述べているが、それは最上の手法ではない。電圧・電界変化の半周期ごとにフーリエ変換を行うためにむしろ三角波を印加する方が良い。三角波の電圧上昇の半周期でフーリエ変換を行う。電圧下降の半周期でフーリエ変換を行うようにする。正弦波の電圧変化を与えた場合は、フーリエ変換の変数が少し変わってくる。
そのように対象物からの物体光Bを干渉路に入れて交番電界によって位相変化させさらに合波して位相差のある二つの光の混合を作る。それが干渉光Fである。干渉光Fは時間的に色が代わる光である。対象物の色を反映しており単色光ではない。対象物の物体光Bの主要な成分を最も強く含む。それ以外の波長の光をも含む。干渉光Fは常に多数の色の混合で混合比が変わるような光である。
干渉光Fを受光素子で受光する。受光素子から光路差時間変化に応じ時間的に変動するデータが得られる。これをインターフェログラムという。それは時間変動するデータである。干渉路の電界の変化(三角波、正弦波)と同期して受光素子の出力をフーリエ変換する。フーリエ変換の後の波数分布をQ(ν)とする。それは対象物の発する光の強度と色を表現する。
たとえばz偏光した異常光を用いたとする。電界Eはz方向に印加するものとする。波長λに対するg、h間の位相差は
2πn 33l/λ (9)
となる。波数νに変数を変える(ν=1/λ)と、
2πνn 33l (10)
物体光BのスペクトルをB(ν)であるとする。固定光路を出た光は(1/2)∫B(ν)dνの波動関数を持つ。変動光路を出た光の波動関数は(1/2)∫B(ν)exp(2πiνn 33l)dνのスペクトルを持つ。これが干渉して干渉光Fとなるので、
F(t)=∫B(ν)cos(πνn 33l)dν (11)
となる。時間tは電界Eの中に含まれる。これを電界Eによってフーリエ変換するというのはcos(πν’n 33l)(n 33)dElを掛けてEで積分するということである。
∫F(t)cos(πν’n 33l)(n 33l)dE
=∫B(ν)cos(πνn 33l)cos(πν’n 33l)(n 33l)dE=B(ν’)
(12)
というようになり、物体光のスペクトルB(ν’)を計算によって求めることができる。上の計算は一回のフーリエ変換による結果である。実際には周波数ω/2πの三角波で電界を掛けるので、単位時間での積分は、(ω/2π)B(ν’)となる。物体の動き物体の色の変化B(ν、t)があっても、(δB/δt)<Bω/2πであれば、その時刻変動を追跡することができる。
同じことを屈折率差Δnで表現すると次のようになる。固定光路を出た光は(1/2)∫B(ν)dνの波動関数を持つ。変動光路を出た光の波動関数は(1/2)∫B(ν)exp(2πiνlΔn)dνのスペクトルを持つ。これが干渉して干渉光Fとなるので、
F(t)=∫B(ν)cos(πνlΔn)dν (13)
となる。時間tは電界Eを通しΔnの中に含まれる。これを屈折差Δnによってフーリエ変換するというのはcos(πν’lΔn)ld(Δn)を掛けてΔnで積分するということである。
∫F(t)cos(πν’lΔn)ld(Δn)
=∫B(ν)cos(πνlΔn)cos(πν’lΔn)ld(Δn)=B(ν’)
というように物体光のスペクトルB(ν’)を求めることができる。
試料の反射光の色分布を調べるために回折格子による分光器を用いない。だから低コスト、小型化が可能になる。機械的な振動部分もない。屈折率を変動させるだけであるから外部からの衝撃、振動にも耐える安定したセンサとすることができる。
本発明は光源からの白色光を二つの分岐光g、hに分岐させ屈折率変動光路によって位相差を与えて合波し干渉させ位相差を含む光を作る。分岐路G、Hの光路の長さlを変化させるのではなくて、長さlは一定として屈折率nを変化させる。長いファイバコイルを用いる必要がない。ファイバコイルを使うと装置が大型化するが本発明の場合は小さいポッケルス効果素子を用いるだけなので小型化できる。分岐光g、hの間に光路長差があまりないのでコヒーレンス長の短い光でも干渉させることができる。引用文献1、2の場合はもともとの光路長の差が大きくてコヒーレント長の十分長いレーザ光などしか干渉させることができなかった。だから白色光源は扱えない。
しかし本発明の場合は短いコヒーレント長の光でも干渉させることができる。白色光源であっても干渉させて分光することが可能になる。白色に近い光源を使うことができるようになるから対象物の色情報をより正確に迅速に得ることができる。
さらに機械的な振動部分がない、という利点がある。繰り返し機械振動するようなものがあると、外部のショックに弱い。また繰り返しの振動によって故障するということもある。光ファイバの場合は疲労によって断線することもある。本発明の場合は機械振動する部分がないので外部の振動があっても差し支えない。また長寿命である。
また分岐した光g、hを干渉させてから対象物にあてるので干渉自体は安定している。時時刻刻と色の変化する試験光を対象物に当てるということになる。
図1によって本発明の実施例に係る干渉計センサの構造を述べる。筐体2はプラスチック、金属などの閉じられた容器である。大きさ形状は自在に決定できる。内部の素子を小さくできるのでシャープペンシルの程度の小型のものにできる。筐体2の中に、電源部3、ポッケルス効果光路部分を含むマッハツエンダ型の干渉部4、受光素子9、干渉部4のポッケルス効果光路の電極に電圧を与える交番電圧発生部7、干渉部4の出力光(干渉光F)を受光する受光素子9、受光素子9の出力を交番電圧発生部7と同期してフーリエ変換する演算部8と、演算部8によって計算された波数・波長分布Q(ν)(Q(λ))を記憶、表示する記憶表示部10等を持つ。
筐体2の中に光源はない。外部の対象物30の発する光(物体光B)を窓20から取り込んで干渉部4に入れる。
これは窓20から入ってきた対象物の物体光Bを検出するものである。受光素子9は目的とする波長帯(可視光、近赤外、近紫外)によって適当なものと選ぶ。可視ならSiフォトダイオード、近赤外ならInGaAsフォトダイオードを用いることができる。近紫外ならGaNフォトダイオードを使うことができる。
窓20の前方に集光レンズZ1がある。窓20から入ってきた物体光Bを集光し、マッハツエンダ型の干渉部4の入口22に導く。マッハツエンダ型干渉部4は入口22に続く分岐23と出口25に続く分岐24を有する。二つの分岐23、24の間には二つの光経路5、6がある。物体光Bは二分されて何れかの光路5、6を通過する。
一つは通常の誘電体によって形成した屈折率固定路6(H)である。他方はポッケルス効果素子を有する屈折率変動路5(G)である。二つの光路に時間的に変化する位相差を与えるためである。
或いは5、6の両方ともポッケルス効果素子で構成し反対向きの電圧を掛ける屈折率変動路としても良い。
屈折率の変化するポッケルス効果というのは、結晶に電圧を印加することによって電圧に比例してある偏波面を持つ光に対する屈折率が変化するという現象である。
電界の一次の効果であるから、中心対称性のない結晶に現れる。三方晶系、六方晶系、斜方晶系など対称性の低い晶系のものに多い。原因が違うので複屈折のある結晶と同じではない。変調器は複屈折を利用するが本発明は複屈折は使わない。ポッケルス効果だけを利用する。ポッケルス効果のある結晶は数多い。しかしポッケルス効果の指標である非線形係数r12、r22、r13の大きい結晶でなければ使いものにならない。
KHPO、KDPO、SrBaNb、LiNbO、LiTaO結晶などを用いることができる。これらの電気光学結晶は複屈折もあるので変調器に用いられることがあるが、本発明のように干渉部の一方の経路の素子に用いられるという例はない。
光は二つに分岐して、半分ずつのパワーが屈折率固定路6と屈折率変動路5を通過する。屈折率変動路5は交流電圧を加えたポッケルス効果素子を含むので屈折率が変化し光路(nl)が変化する。両方の光路を通った光が分岐24で合流し出口25から外部に出る。これは発散するがレンズZ2によって集光され受光素子9に入る。
電圧が0の場合は、位相差はないので合波した光のパワーは1である。しかし電圧があると、位相差Θが出て合波した光のパワーはcosθになる。そのθが時間的に変動する。受光素子出力P(t)はその時間変化を正確に反映する。受光素子の出力P(t)は独立変数が時間tであるが、電界E(又はE)と時間tの関係は予め分かっている。三角波の場合、正弦波の場合であっても、時間tから電界Eを知ることができる。フーリエ変換は屈折率nについて行うべきである。
屈折率nが上昇する半周期について一回のフーリエ変換計算をし、屈折率nが下降する半周期について一回のフーリエ変換計算をする。ポッケルス効果は一次の効果で電界と屈折率nは一次の関係がある。だから屈折率変化についてフーリエ変換するというのは電界Eについてフーリエ変換すると表現することもできる。
電界Eが上昇する半周期について一回のフーリエ変換計算をし、電界Eが下降する半周期について一回のフーリエ変換計算をする。
電界Eと時間tはその関係が既知なので、時間tでフーリエ変換するということもできる。しかし時間の始点、終点が電界変化あるいは屈折率変化と同期していなければならない。そのために交番電界の変化と同期して受光素子の出力をフーリエ変換するのである。
このように本発明では干渉計の2つの光路の光路長差を与えるために幾何学的に光路を伸縮するのではなく屈折率nを変化させる。
本発明で最も重要なのは干渉部4である。屈折率固定路6も屈折率変動路5も同じLiNbOで作ることができる。そうでなくて、屈折率固定路6はその他の透明導波材を用いることもできる。以前の説明では電圧=0での屈折率が同一であるとしたがそれは別段必要でない、屈折率差が電圧によって変動し光路長の変動を波長で割った変動率がフーリエ変換に必要な10〜1000倍あれば良い。必要な波長・波数分解能が高い場合は1000倍程度いる。必要分解能が低い場合は光路長変動を波長で割った変動率が10倍程度でも十分である。
例えば対象物30が発する可視光分布を調べたいとする。例えば波長範囲は400nm〜800nm程度であり連続スペクトルを持っている。代表的な波長は600nm程度である。その場合、Siのフォトダイオードを受光素子とすることができる。
例えば素子長(l)・波長(λ)比をl/λ=10000とする。素子長がl=6mmとなる。異常光の電界方向をz方向にし常光の電界方向をy方向にし進行方向をx方向にする座標において、z方向に薄く、x方向に6mmの長さがあり、±xy面に対向電極を持つポッケルス効果素子をLiNbOによって作る。偏光子を入れて電界方向がz方向になるような直線偏光とする。
Δnを0.01程度にするために、z方向の電界を掛けてr33という非線形係数を利用する。±100のフーリエ変換の範囲を得るため、E=13kV/mmという電界振幅の交番電界をz方向に掛ける。交番電界の周波数f=ω/2πは速くなくても良い10Hz〜1000Hz程度で良い。フーリエ変換計算は0.5Hz毎になされる。10Hzであれば1秒間に20回のフーリエ変換を行う。1000Hzであれば、1秒間に2000回のフーリエ変換計算をする。フーリエ変換の容易さを考えると電界は正弦波でなくて三角波で与える方が良い。
ポッケルス効果素子の厚みdを例えば10μmとすれば、電圧振幅は130Vとなる。しかしそれでも高電圧すぎるという場合は、干渉部の両方の光路G、Hともにポッケルス効果素子として、電圧の方向を反対にして、+Ezsinωt,-Ezsinωtという反対方向の電圧をG、Hに加えて屈折率変動を反対方向に引き起こすという方法も有効である。そのようにすると同じd=10μmでも一方の電圧振幅を65Vに減らすことができる。
あるいはd=5μmとすると、一方の光路だけ屈折率を変化させるにしても65Vで足る。
物体光Bを干渉部4で干渉させ合一した干渉光Fを受光素子9に入れてそれを強度信号として求める。
受光素子9で受光したものは時間的に変動する光強度データである。干渉光Fを干渉部4に掛けた交番電圧の半周期ごとの光強度データを屈折率nに関してフーリエ変換する。その結果得られた波数分布Q(ν)は対象物30の発する色情報と光強度を示している。
本発明の実施例に係る干渉計センサの概略構成図。
干渉部の一方の光路に設けるポッケルス効果素子の電界方向、伝搬方向、形状の説明図。
干渉部の両方の光路にポッケルス効果素子を設け加える電界の方向を反対にすることによって2倍の屈折率差をもたらすようにした説明図。
符号の説明
2 筐体
3 電源
4 干渉部
5 屈折率変動光路
6 屈折率固定光路
7 交番電圧発生部
8 演算部
9 受光素子
10 記憶表示部
20 窓
22 入口
23 分岐
24 分岐
25 出口
30 対象物
Z1 集光レンズ
Z2 集光レンズ
B 物体光
F 干渉光
G 光路
H 光路
g 第1分岐光
h 第2分岐光

Claims (2)

  1. 筐体と、外部の対象物から発生した物体光Bを内部へ取り込むための筐体に設けられた窓と、筐体の内部に設けられ交番電圧を発生する交番電圧発生回路と、対象物から窓を通して入射してきた物体光Bを直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して干渉光Fとする干渉部と、干渉部からの干渉光Fを受光する受光素子とを含むことを特徴とする干渉計センサ。
  2. 筐体と、外部の対象物から発生した物体光Bを内部へ取り込むための筐体に設けられた窓と、筐体の内部に設けられ交番電圧を発生する交番電圧発生回路と、対象物から窓を通して入射してきた物体光Bを直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して干渉光Fとする干渉部と、干渉部からの干渉光Fを受光する受光素子と、受光素子によって得られた干渉光Fの時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算部と、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示する記憶・表示部を含むことを特徴とする光学測定装置。


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