JP2007303954A - 干渉計センサおよびそれを用いた光学測定装置ならびに光学測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 回折格子や分光器を用いないで、対象物の表面の色、吸収などを簡易迅速に検出するための軽量、小型、低コストのセンサを与えること。
【解決手段】 筐体と、筐体の内部に設けられ複数の波長の光を発生する光源と、筐体の内部に設けられ光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとする干渉部と、試験光Sを外部の試料にあてるための筐体に設けられた窓と、試料からの反射光を受光する受光素子と、受光素子によって得られた時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算部と、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示する記憶表示部を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、対象物にスペクトルの広い光を当てて反射光を分光して対象物の色分布を検出するセンサに関する。波長範囲の広い試験光を当てて対象物からの反射光の分布を調べると対象物についての色々な情報が得られる。初めの試験光の波長分布と反射光の波長分布を比較すると、吸収があるとか強い反射があるとかが分かる。試験光の波数分布をS(ν)とし、反射光の波数分布をR(ν)とする。その光量差Q(ν)=R(ν)−S(ν)によって対象物の様々の物性を求めることができる。光量差は発光、吸収、散乱、反射などによって発生する。吸収には、通常の散乱角度の違いに基づく吸収、電子励起による吸収、分子振動による吸収、それらの倍音吸収、薄膜の干渉による吸収などがある。反射には、通常の表面反射、ラマン散乱による反射、薄膜の干渉による反射がある。そのほかに電子線,X線、中性子線などを当てるとか加熱した場合は、電子励起後の緩和による発光、プランク輻射則による熱放射などの自発的な発光もある。吸収、散乱、発光などによって対象物の表面形状、表面、内部の組成、結合状態などが分かる。
スペクトル分布を表すために波長λを使っても良いし、波数νを使っても良い。波長というのは一つの波の長さである。波数νというのは単位長さに存在する波の数である。両者の間には、λ=1/νの関係がある。振動数fとはλ=c/f=1/νの関係がある。cは真空中での光の速度である。ここではスペクトルを表現するのに波数νを使うが、振動数fあるいは波長λを用いることもできる。dν=−dλ/λ2であるから、R(ν)dν=−R(λ)dλ/λ2である。
dν=50cm−1という波数間隔は、波長λが例えば500nmとすると、dλ=1.25nmの波長範囲に当たる。
同じdν=50cm−1という波数間隔は、波長λが例えば1000nmとすると、dλ=5nmの波長範囲に当たる。以後、波長分布という言葉と波数分布という言葉を同じように用いるが上のような関係によって結び付けられている。
広い波長範囲での性質を調べる必要がある場合は、スペクトルの広い試験光S(ν)を用いる。全ての波長成分を等しく持つ光を白色という。試験光S(ν)はレーザ光のように単一波長の光ではなく多様な波長・波数成分を含む白色光に近いものである。白熱電球のような熱によって生ずる光は様々の波長の光を連続的に含む。実際に理想的な白色は得られないがS(ν)は幅広い波長範囲の光を含むものとする。対象物の求めようとする性質によって光源の波長は違うが、X線ランプ、ハロゲンランプ、白熱球などのランプを光源に用いる。
波数分布あるいは波長分布を求めるには分光器を用いるのが一つの方法である。周期uで平行溝を多数切った回折格子に白色光を当てるとブラッグ角の方向(dsinΘ=mλ:mは整数)に回折が起こる。波長によって回折角Φが違うので波長成分を空間的に分離することができる。
回折の方向に多数の小型のフォトダイオードを一次元的に並べたフォトダイオードアレイを設置しておき回折角Φの方向のフォトン数Pをカウントする。それによって反射光の波長分布R(λ)あるいは波数分布R(ν)を求めることができる。これは波長ごとに光成分を空間的に分離するから測定時間が短くて済みしかも正確である。分光法にはそのような優れた利点がある。
しかし分光器を用いる方法は精密な回折格子や多数のフォトダイオードの集合であるフォトダイオードアレイが必要でコスト高になる。空間的に成分を分離するのでかなり広い空間的な広がりを必要とし小型化が難しい。そのような欠点がある。
分光器を用いないで光の波長分布(スペクトル)を求める手法として干渉法によるものがある。これは波長・波数ごとに光を空間的に分離しないで時間的に分離するものである。波数成分を時間的に分離してそれをフーリエ変換して波数・波長ごとの光量を求めるようにする。高速フーリエ変換が実現できるようになったので可能になった方法である。光を波数・波長によって空間的に分離しないので回折格子が不要であり、フォトダイオードアレイも不要である。これによって低コストで小型の波長分布検出のためのセンサを与える可能性がある。
まず単一波長λでコヒーレントで強度1の光があるとする。コヒーレントというのは位相が揃っており分波合波した後も干渉可能という意味である。これについては後で述べる。波長λ、強度1のコヒーレント光を分波器で二つの光g、hに分離する。分離した光g、hはそれぞれ別の光路G、Hを進み、合波器で一つに統合される。それが光検出器で検出される。分波器から合波器までのGの光路長をLgとして、Hの光路長をLhとする。光路長Lというのは部分光路の長さlに屈折率nを掛けたものである(L=nl)。光路長差が波長の整数倍(Lg−Lh=mλ:mは整数)であれば、位相が合致するから合波された光の強度は1である。
光路長差が波長の整数倍でない時は合波された光の強度は減る。
2π(Lg−Lh)=(2πm+θ)λ (1)
のような場合は、HとGの分配が1:1であった場合、合波したものの強度はcosθに減る。位相が180゜違うとき両者は完全に打ち消しあう。干渉光は0となる。光路長差を変えて行くと合波光の強度は1と0の間でcosθの周期変化をする。光路長差をλで割った(Lh−Lg)/λが一つ増えるごとに一つの山谷ができる。あるいはν(Lh−Lg)が一つ増える毎に一つの山谷ができるということもできる。山と谷との光量差が波長λの光の強度R(λ)に等しい。だから光路長差をλだけ変える間での光量差を検出器で検出すると波長λの光の強度が求められる。
のような場合は、HとGの分配が1:1であった場合、合波したものの強度はcosθに減る。位相が180゜違うとき両者は完全に打ち消しあう。干渉光は0となる。光路長差を変えて行くと合波光の強度は1と0の間でcosθの周期変化をする。光路長差をλで割った(Lh−Lg)/λが一つ増えるごとに一つの山谷ができる。あるいはν(Lh−Lg)が一つ増える毎に一つの山谷ができるということもできる。山と谷との光量差が波長λの光の強度R(λ)に等しい。だから光路長差をλだけ変える間での光量差を検出器で検出すると波長λの光の強度が求められる。
光路Hは一定にし、光路Gだけを変化させることによって光路長差(Lh−Lg)を変化させることができる。GとHの光路長差(Lh−Lg)をxとすると、合波光強度はR(λ)cos(2πx/λ)となる。実際には波長λのように短い間隔だけ光路差を動かすことは難しい。波長λよりもずっと長く光路Gを変化させて、変化の最中での合波光強度を検出器で調べる。ある範囲のxでのR(λ)cos(2πx/λ)が求められる。これを波数νで書くと、R(ν)cos(2πxν)である。これをxでフーリエ変換する。フーリエ変換というのはcos(2πxν’)を掛けてxで積分することである。(2/K)∫R(ν)cos(2πxν)cos(2πxν’)dxを計算する。Kはxの変域である。xの変域Kはλよりずっと広い。ν’≠νのとき上の積分は0になる。ν’=νのとき上の積分はR(ν)を与える。それによって波数ν、波長λでの合波光強度が求められる。λ<<Kとなるような広い変域をとるようにxを変化させてフーリエ変換してR(ν)を求めるというのは一度の計測でなくて同じ計測を何度も繰り返して行ったものの平均値を求めることに等しい。だから1回の測定よりも信頼性が向上するという利点もある。
上の例ではコヒーレントな単一波長λだけを含む光を問題にした。単一波長だけなら分光作用は不要である。もともと多様な波長の光を含むから分光しなければならない。今度は多数の波長λ、多数の波数νを含む光を考える。つまりR(ν)はあるνの範囲で連続的に分布するのである。その場合も光路Gだけを変化させて光路長差を作り出す。光路Gを変化させている間連続して検出器で光の強度を求める。これはxの関数でありr(x)と書くことができる。波数がνの光成分にとって、xは位相差2πxνを発生させる。だから波数νの光T(ν)のr(x)への寄与はT(ν)cos(2πxν)である。全ての波数νについて足しあわせることによってr(x)が得られる。
r(x)=∫T(ν)cos(2πxν)dν (2)
である。xを0〜Kの範囲で変化させすべてのxに対するr(x)を得る。1回の掃引(x=0〜K)によって多数のデータを得る。(2/K)cos(2πxν’)を掛けてxで積分する(x=0〜K)。それはxでフーリエ変換するということである。
である。xを0〜Kの範囲で変化させすべてのxに対するr(x)を得る。1回の掃引(x=0〜K)によって多数のデータを得る。(2/K)cos(2πxν’)を掛けてxで積分する(x=0〜K)。それはxでフーリエ変換するということである。
(2/K)∫r(x)cos(2πxν’)dx=(2/K)∫T(ν)cos(2πxν)cos(2πxν’)dνdx
(3)
(3)
この積分はν’≠νのとき0である。ν’=νのときはT(ν’)となる。だからxのフーリエ変換によって、多数の波数νを含む光であってもその波数分布T(ν)を求めることができる。
光路差を発生させるGの光路Lgを動かす操作は一度だけでなく何度も繰り返すようにするとその度にT(x)が求められ、その都度フーリエ変換をしてT(ν)を何度も求めることができ精度が向上する。それにT(ν)に時間変化がある場合それが一度の掃引時間より遅ければ時間変化するT(ν)を求めることもできる。
これが干渉計による光の波数分布(波長分布)を求める方法である。そのためにかなり高精度の干渉計が必要である。干渉計として第1に思いつくのはマイケルソン干渉計である。十文字の交差光路の二つの端に直角のミラーを、交差点に45゜傾斜ハーフミラーを設置し、残りの光路に沿って光をハーフミラーへ当て透過光、反射光の二光束G、Hに分離しそれぞれを終端のミラーで反射させ同じハーフミラーで合成して入射路と90゜をなす光路へ合波光を取り出しそれを光検出器で検出するものである。一方のミラーを前後に動かすとλ/2ごとに干渉光が増減を繰り返す。
一方のミラーをx/2動かした時の光量をr(x)として先程のフーリエ変換によってT(ν)を計算することができる。マイケルソン干渉計は分波合波のハーフミラーが同一であり、光路G、Hが対称になるという利点がある。マイケルソン干渉計を用いて光路を変化させるようにする干渉計は第1原理に基づくものであり光の波長分布つまり色分布を求めることができる。
しかしマイケルソン干渉計はミラーを前後に動かす機構が必要である。ミラーを正確に平行移動させるための機構、ミラーを動かす機械的駆動部のために大型で重いものになる。精密な機構部を持つので高コストになる。また振動に弱いので携帯型のセンサとして適していない。
特許文献1は、回折格子を用いないで赤外光を分光する分光器を与えることを目的とする。二つの半円柱の間に電歪素子を挟んだボビンに光ファイバを巻き付けたものを用いる。(赤外の)被測定光をハーフミラーによって二光束に分け、一方の光束を電歪素子によって直径が伸縮するボビンに巻き付けたファイバコイルに入れコイル内を伝搬させ、一方の光束はそのまま空間伝送し、再び合体して合体した干渉光の強度を光検出器で検出するようにしたものである。電歪素子は電圧によって歪を生ずる素子であり、電圧を掛けることによって電歪素子が伸縮する。するとボビンの直径が変化するので光ファイバの長さが変わる。光ファイバの長さが変わると伝搬距離が変わりそれを透過した一方の光束の位相が変わる。他方の光束の位相は不変であるから、それが合体した光の強度は位相のずれの分だけ変化する。電歪素子に加える電圧が振動するなら、合体した干渉光の強度も同じ振動をする。検出器の出力を距離に関しフーリエ変換すると波長ごとの光強度を求めることができる。
特許文献2はレーザを光源とし、レ−ザ光を対象物に当て、被測定光を二つの光に分け、片方の光が伝搬する光ファイバのクラッドを剥ぎ、外部との相互作用で得られるエバネッセント波と参照光が干渉することによってインターフェログラムを作り出している。
特許文献1は直径を変動させることができる光ファイバコイルを用いている。光ファイバの長さを変化させ、光ファイバ長さ変化xの関数として、干渉光の強度を検出し、干渉光をxに関してフーリエ変換して成分の強度を求めるというものである。マイケルソン干渉計のようにミラーを前後に機械的に動かすのではない。機械的振動部分がないからより小型化できるという。
しかし特許文献1は電歪素子を使って光ファイバを巻き付けた半円柱の距離を変動させるので実際に機械的振動が発生している。光ファイバは強く曲げると破断する。安全な最小曲げ半径が(R=30mm〜50mm)決められているがこれがかなり大きいので、ファイバコイルの直径はかなり大きいものとなる。光ファイバコイルの存在のためにかなりの容積を必要とする。光ファイバを繰り返し伸縮させるので光ファイバが疲労して断線する恐れがある。それに二つに分岐した光束の光路長がかなり違うので、コヒーレンシーの良い光源でないと干渉しない。通常の白色光は非干渉光(インコヒーレント)であるから、白色光の分光には用いることができない。光の干渉性は干渉可能な長さ(コヒーレント長)で表現する。レーザ光の場合はかなり長いので光ファイバコイル長差を越えて干渉するが、ランプの白色光ではそのような光路長差があると干渉しない。白色光源などの場合は使いものにはならない。特許文献1は光源が幾つかの波長の決まったレーザ光源である場合にしか適用できない。
特許文献2はエバネッセント波を作るため対象物に光ファイバを強く接触させなければならない。エバネッセント波は数μmの範囲しか広がらないので試料との密着性が必要である。光源は単色のレーザであるから試料の一部の性質しか分からない、という難点がある。またクラッドのない光ファイバを対象物に当てるから光ファイバが破壊され易い、という欠点もある。
本発明の干渉計センサは、筐体と、筐体の内部に設けられ複数の波長の光を発生する光源と、筐体の内部に設けられ光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第1光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第2光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとする干渉部と、試験光Sを外部の試料にあてるための筐体に設けられた窓と、試料からの反射光を受光する受光素子とを含む。
光源光を第1分岐で二分して同等な光路長をもつ第1、第2光路に通し周期変動する位相差を与えて分岐路を通った光を第2分岐で合一し干渉させて位相差によって干渉光の強度を変化させ変化した干渉光を受光素子で受光する。受光素子の出力を位相差の変化に同期してフーリエ変換する。それは後に述べるように波長分布あるいは波数分布に対応する。この干渉部は一種のマッハツエンダ型干渉計ということができる。
光源光を第1分岐で二分して同等な光路長をもつ第1、第2光路に通し周期変動する位相差を与えて分岐路を通った光を第2分岐で合一し干渉させて位相差によって干渉光の強度を変化させ変化した干渉光を受光素子で受光する。受光素子の出力を位相差の変化に同期してフーリエ変換する。それは後に述べるように波長分布あるいは波数分布に対応する。この干渉部は一種のマッハツエンダ型干渉計ということができる。
一方の第1光路Gをポッケルス効果素でつくり交番電界をかけて屈折率を周期変動させ他方の第2光路Hを透明誘電体で作りこれは屈折率変化しないようにする。電界が0のときに両光路G,Hの光路長(距離×屈折率)が大体等しくなるようにする。光路Gを通る第1分岐光gの実質的な光路長が変化し、光路Hを通る第2分岐光hの光路長は一定である。だから干渉した光には位相差が現れる。位相差は第1光路Gの屈折率変動による。あるいは、第1光路G、第2光路Hともにポッケルス効果素子で作り反対向きの交番電界を与えるようにしても良い。そうすると位相差が2倍になる。
光路長lを変えるのではなく、ポッケルス効果素子によって屈折率nを変動させるようにしたところが新規である。機械的な振動がないので部分品に疲労がおこらない。外部の振動の影響を受けない、小型化できるというような利点がある。
上のセンサ部分とコンピュータを接続して、フーリエ変換の計算と、波数・波長分布を計算とはコンピュータによって行い、表示もディスプレイに表示するようにすることができる。その場合は、筐体のなかに光源を駆動する電源を内蔵してもよいし、光源駆動も外部電源から取るようにもできる。
或いは、フーリエ変換する演算部、波数表示装置も筐体に内蔵することもできる。その場合の本発明の装置は次のようになる。
光路長lを変えるのではなく、ポッケルス効果素子によって屈折率nを変動させるようにしたところが新規である。機械的な振動がないので部分品に疲労がおこらない。外部の振動の影響を受けない、小型化できるというような利点がある。
上のセンサ部分とコンピュータを接続して、フーリエ変換の計算と、波数・波長分布を計算とはコンピュータによって行い、表示もディスプレイに表示するようにすることができる。その場合は、筐体のなかに光源を駆動する電源を内蔵してもよいし、光源駆動も外部電源から取るようにもできる。
或いは、フーリエ変換する演算部、波数表示装置も筐体に内蔵することもできる。その場合の本発明の装置は次のようになる。
本発明の光学測定装置は、筐体と、筐体の内部に設けられ複数の波長の光を発生する光源と、筐体の内部に設けられ光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとする干渉部と、試験光Sを外部の試料にあてるための筐体に設けられた窓と、試料からの反射光を受光する受光素子と、受光素子によって得られた時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算部と、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示する記憶表示部を含む。
あるいは筐体に電源を含めても良い。そうするとコンピュータと接続することなく独立した装置とすることができる。
初めに試料の変わりに総ての光を反射するミラーを窓において試験光を総て反射させそれの受光素子の強度変化をフーリエ変換して光源の波数分布S(ν)を得ておき、)R(ν)−S(ν)によって試料独自の波数分布Q(ν)を求めることができる。これは試料による吸収、散乱、発光などを波数の関数として含む。
あるいは筐体に電源を含めても良い。そうするとコンピュータと接続することなく独立した装置とすることができる。
初めに試料の変わりに総ての光を反射するミラーを窓において試験光を総て反射させそれの受光素子の強度変化をフーリエ変換して光源の波数分布S(ν)を得ておき、)R(ν)−S(ν)によって試料独自の波数分布Q(ν)を求めることができる。これは試料による吸収、散乱、発光などを波数の関数として含む。
本発明の光学測定方法は、筐体の内部に設けられた光源から複数波長の光を発生させ、干渉部において光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第1光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第2光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとし、筐体の窓を通し試験光Sを外部の試料にあて、試料からの反射光を受光素子で受光し、受光素子で受光した試料からの反射光の時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換し、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示し、光源から出た試験光Sを受光素子へ導き受光素子出力を干渉部の電界に同期してフーリエ変換することによって光源の波数分布S(ν)を求めておき、試料からの反射光から得た波数分布R(ν)を、S(ν)で差し引くことによって試料からの光の波数分布Q(ν)を求める。これは試料の発光、散乱、吸収などを波数の関数として含む。
本発明の干渉センサ、光学想定装置の共通の工夫は、複数の波長の光を含む光を発生する光源から出た光を分岐し、一方はポッケルス効果素子によって構成した屈折率変動路を通し他方は屈折率固定路或いはポッケルス効果素子によって反対方向に屈折率が変動する屈折率変動路を通した後、合体させて、合体した光を試料に当て、試料からの反射光を受光素子で受光し、受光量を屈折率によってフーリエ変換することによって、試料からの反射光の波長分布(波数分布)を求めるようにしたものである。
本発明の特徴は幾つかあるが、一つは分岐光路の長さを伸縮変化させるのではなくて、分岐光路の屈折率を変化させることによって分光するというものである。
屈折率を変化させるので二つの光路G、Hの長さをほぼ同一にできるし、光路長を短くできる。コヒーレンス長が短い白色光であっても干渉させることができる。それは白色を干渉法によって分光できるので優れている。
もう一つの特徴は、屈折率変化によって分光した後試料に当てるものであり試料からの反射光を受光素子で受光してフーリエ変換する。特許文献1、2のように、試料からの反射光を干渉させるのではなく、干渉させたものを試料に当てて反射させる。
そのようにすると試料に当てる光自体が変調されているので照射光自体の色が変わっているということである。
そのようにすると試料に当てる光自体が変調されているので照射光自体の色が変わっているということである。
ポッケルス効果を持つ素子を用いた光変調器はすでによく知られている。しかし本発明はポッケルス効果素子を変調に用いるのではない。変調と屈折率変化による干渉は違う。この点を混同してはならない。
[光変調器]
誤解混同を避けるため初めにポッケルス効果を用いた変調器について簡単に述べる。変調器というのは複屈折を利用したものでありLiNbO3の単結晶を用いることがある。ポッケルス効果は反転対称性のない単結晶に現れる性質である。複屈折は三方晶系、六方晶系、斜方晶系など軸の関係が総て等しくない結晶に現れる性質である。だから複屈折と、ポッケルス効果のある結晶は異なるが、LiNbO3は両方の性質を持つ。そこに混同の起こる可能性がある。複屈折のある単結晶を想定する。
誤解混同を避けるため初めにポッケルス効果を用いた変調器について簡単に述べる。変調器というのは複屈折を利用したものでありLiNbO3の単結晶を用いることがある。ポッケルス効果は反転対称性のない単結晶に現れる性質である。複屈折は三方晶系、六方晶系、斜方晶系など軸の関係が総て等しくない結晶に現れる性質である。だから複屈折と、ポッケルス効果のある結晶は異なるが、LiNbO3は両方の性質を持つ。そこに混同の起こる可能性がある。複屈折のある単結晶を想定する。
その結晶の複屈折の起こる方向がyとzである。つまりz方向に電界成分(z偏光)を持つ光が異常光で屈折率neを持つ。y方向に電界成分(y偏光)を持つ光が正常光で屈折率noを持つ。yzに直交する方向がx方向である。x方向に長い直方体の結晶を作る。光の進行方向をx方向として、結晶の長手方向を進行方向に平行におく、±zx面に電極を形成し、z方向に電圧Vzを印加するものとする。電界Ezはz方向に発生し、y方向には存在しない。
y方向偏光の屈折率はnoで不変である。z方向偏光の屈折率は異常光であるからneなのであるが、z方向に電界を掛けるので、no、neともに電界Ezに比例して変化する。一次の変化をポッケルス効果という。二次の効果をカー効果という。二次の効果は弱い。
ここでは一次のポッケルス効果だけを問題にする。屈折率は次のように書ける。
常光線(y偏光) no(1−no 3r13Ez) (4)
異常光線(z偏光) ne(1−ne 3r33Ez) (5)
常光線(y偏光) no(1−no 3r13Ez) (4)
異常光線(z偏光) ne(1−ne 3r33Ez) (5)
r13,r33は結晶によって決まる非線形係数である。第1偏光子によって入射光を直線偏光にする。偏光の方向はy、zに対し45度の角度をなす方向とする。
y偏光は常光線で、z偏光は異常光線である。初めにλ/4板を入れて自然複屈折の(no−ne)の部分を消去することもある。電界Ezを掛けると、常光線、異常光線の位相差をπにできる。そのときに必要な電圧を半波長電圧Vπという。電気光学素子を評価する重要なパラメータとなる。位相差をπにすると、偏光方向(偏波)がy,z何れかに対し−45度の角度になる。つまり直線偏光の偏波面が90度回転したということである。出口側に初めの偏光板と同じ偏光方向を持つ第2偏光板を設置しておくと、90度偏波面が回転した光はもはや第2偏光子を通過できない。そのように偏波面をΥ=0〜90度の範囲で回転させると、第2偏光子を通る光の強度はcosΥになる。それによって第2偏光子を通る光は強度変調されることになる。これはy偏光、z偏光の複屈折を電界によって差異を与えたものである。最大の電界は180度の位相差を発生させるに足るものであればよい。つまり電圧としては先程の180度位相を変えるVπだけ掛ければよい。つまりVπ/2の振幅の交番電圧を印加すればよい。
y偏光は常光線で、z偏光は異常光線である。初めにλ/4板を入れて自然複屈折の(no−ne)の部分を消去することもある。電界Ezを掛けると、常光線、異常光線の位相差をπにできる。そのときに必要な電圧を半波長電圧Vπという。電気光学素子を評価する重要なパラメータとなる。位相差をπにすると、偏光方向(偏波)がy,z何れかに対し−45度の角度になる。つまり直線偏光の偏波面が90度回転したということである。出口側に初めの偏光板と同じ偏光方向を持つ第2偏光板を設置しておくと、90度偏波面が回転した光はもはや第2偏光子を通過できない。そのように偏波面をΥ=0〜90度の範囲で回転させると、第2偏光子を通る光の強度はcosΥになる。それによって第2偏光子を通る光は強度変調されることになる。これはy偏光、z偏光の複屈折を電界によって差異を与えたものである。最大の電界は180度の位相差を発生させるに足るものであればよい。つまり電圧としては先程の180度位相を変えるVπだけ掛ければよい。つまりVπ/2の振幅の交番電圧を印加すればよい。
[ポッケルス効果干渉計素子]
そのような光変調器はありふれたものである。本発明の干渉計に用いる非線形素子はそのようなものとは異なる。異なるが一見してよく似た構造となっているので誤解あるいは混同を起こす可能性がある。本発明の干渉計の場合は前分岐と二つの光路G、Hと後分岐があり、試験光は前分岐で2本の光に分離されて、光路G、Hを通り、後分岐で合一して一つの光になる。Hは一定屈折率n0であり、Gは変動屈折率nである。光路の長さは何れもlであり、それは変化しない。光路長は屈折率と長さの積である。光路Hはn0lの一定光路長を持つ。光路Gはnlの変動光路長を持つ。nは変数で印加電圧Vzによって変動する。光路の方向をx方向とする。直線偏光で偏光方向はz方向である。変調器のようにz偏波、y偏波はなく、z偏波だけが存在する。だから複屈折を利用しない。光路長差は(n−n0)lである。電圧Vzが0であるとき、光路長差が0になる(n=n0)ようにする。光路長差を波長λで割って2πを掛けたものが位相差である。固定屈折率光hと、変動屈折率光gの位相差ΘはΘ=(2πl/λ)(n−n0)である。入口側の分岐では同じ位相であり分岐路G、Hを通ることによって位相差ができる。Θの位相差があると合波の強度はcosΘに減少する。そこで電圧Vzを増減して、光路Gの屈折率nを大きく変動させる。そして位相差Θを0〜πというような狭い範囲でなく、±100πとか±1000πで変動させる。この点で変調器と全く違う。光路長差の変動を100倍とか1000倍に大きくしなければならない。そのようにしないとフーリエ変換できないからである。
そのような光変調器はありふれたものである。本発明の干渉計に用いる非線形素子はそのようなものとは異なる。異なるが一見してよく似た構造となっているので誤解あるいは混同を起こす可能性がある。本発明の干渉計の場合は前分岐と二つの光路G、Hと後分岐があり、試験光は前分岐で2本の光に分離されて、光路G、Hを通り、後分岐で合一して一つの光になる。Hは一定屈折率n0であり、Gは変動屈折率nである。光路の長さは何れもlであり、それは変化しない。光路長は屈折率と長さの積である。光路Hはn0lの一定光路長を持つ。光路Gはnlの変動光路長を持つ。nは変数で印加電圧Vzによって変動する。光路の方向をx方向とする。直線偏光で偏光方向はz方向である。変調器のようにz偏波、y偏波はなく、z偏波だけが存在する。だから複屈折を利用しない。光路長差は(n−n0)lである。電圧Vzが0であるとき、光路長差が0になる(n=n0)ようにする。光路長差を波長λで割って2πを掛けたものが位相差である。固定屈折率光hと、変動屈折率光gの位相差ΘはΘ=(2πl/λ)(n−n0)である。入口側の分岐では同じ位相であり分岐路G、Hを通ることによって位相差ができる。Θの位相差があると合波の強度はcosΘに減少する。そこで電圧Vzを増減して、光路Gの屈折率nを大きく変動させる。そして位相差Θを0〜πというような狭い範囲でなく、±100πとか±1000πで変動させる。この点で変調器と全く違う。光路長差の変動を100倍とか1000倍に大きくしなければならない。そのようにしないとフーリエ変換できないからである。
しかし屈折率nの変動はそれほど大きくないから光路の長さlを大きくする必要がある。変調器のように複屈折を使わないので異常光、常光の何れか一つを使う。
異常光の偏波をz方向にとり電界をz方向に印加するとすれば先述のように屈折率は以下のように変わる。
常光線(y偏光) no(1−no 3r13Ez)
(4)
異常光線(z偏光) ne(1−ne 3r33Ez)
(5)
(4)
異常光線(z偏光) ne(1−ne 3r33Ez)
(5)
異常光の偏波をz方向にとり電界Eyをy方向に印加すると
常光線(y偏光) no(1−no 3r22Ey)
(6)
異常光線(z偏光) ne
(7)
常光線(y偏光) no(1−no 3r22Ey)
(6)
異常光線(z偏光) ne
(7)
(7)は電圧によって不変なので使えない。(4)、(5)、(6)は使える可能性がある。非線形係数のr13,r33,r22は非対称性を持つ結晶によって異なる。これらの値の大きい結晶を使う必要がある。しかしこれら非線形係数は光の波長によって異なる。つまり分散がある。また同じ材料の単結晶でも製造方法の巧拙によって非線形係数の値が異なる。だから正確なことは試料ごとに測定して初めて分かることである。先述のLiNbO3はこれら非線形係数が大きい材料である。λ=633nmに対して、一例として
no=2.29、ne=2.20、r13=10×10−12m/V、r33=32×10−12m/V、r22=7×10−12m/V
の程度の値を持つ。屈折率のうち電界Ez、Eyに依存する部分Δnを計算してみる。
の程度の値を持つ。屈折率のうち電界Ez、Eyに依存する部分Δnを計算してみる。
no 4r13=275×10−12m/V
ne 4r33=749×10−12m/V
no 4r22=192×10−12m/V
ne 4r33=749×10−12m/V
no 4r22=192×10−12m/V
この評価からz方向に偏波を持つ異常光にz方向に電界を掛けるときに最も大きい屈折率変化が起こることが分かる。フーリエ変換可能であるためには、l△n/λが100〜1000である必要がある。光変調器のようにlΔn/λが0.5と言ったものではない。その100倍〜1000倍の変化範囲が必要である。だからこの点での干渉器と変調器とは全く違う。
但し光源は単色でなく多様な波長を含むのでλは代表的な値を意味する。紫外ならλは200nm、可視なら600nm程度、近赤外なら1500nmといった程度である。
例えば、フーリエ変換の範囲を±100にするとすれば、lΔn/λ=100としなければならない。素子長・波長比がl/λ=10000であっても、Δnが1/100の程度必要である。先程の値で最も大きいne 4r33=749×10−12m/Vを採用して、Ez=1.3×107V/m=13kV/mmという程度のz方向の電界振幅が必要である。最も小さいno 4r22=192×10−12m/Vを採用した場合は,Ey=52kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
同じようにフーリエ変換の範囲を±100とするため、lΔn/λ=100とする。素子長を10倍して、素子長・波長比をl/λ=100000とすると電界振幅をより小さくできる。Δnが1/1000の程度に減る。最も大きいne 4r33=749×10−12m/Vを採用して、Ez=1.3×106V/m=1.3kV/mmという程度のz方向の電界振幅が必要である。最も小さいno 4r22=192×10−12m/Vを採用した場合は,Ey=5.2kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
フーリエ変換の範囲を10倍の±1000にして、例えばlΔn/λ=1000とする。素子長・波長比がl/λ=10000とする。Δnが1/10の程度必要である。先程の値で最も大きいne 4r33=749×10−12m/Vを採用して、Ez=1.3×108V/m=130kV/mmという程度のz方向電界振幅が必要である。最も小さいno 4r22=192×10−12m/Vを採用した場合は,Ey=520kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
フーリエ変換の範囲を同じく10倍の±1000にして、lΔn/λ=1000とする。素子長・波長比がl/λ=100000とする。Δnが1/100の程度必要である。先程の値で最も大きいne 4r33=749×10−12m/Vを採用して、Ez=1.3×107V/m=13kV/mmという程度のz方向電界振幅が必要である。最も小さいno 4r22=192×10−12m/Vを採用した場合は,Ey=52kV/mmというようなy方向の電界振幅が必要である。
波長・波数の分解能をどれだけにするかによって、フーリエ変換の必要な範囲(代表波長の100倍とか1000倍とか)が決まる。
干渉器の二つの光路G、HのうちHを通常の誘電体の固定屈折率光路に、Gをポッケルス効果素子による変動屈折率光路にして、位相差をHだけで発生させることもできる。これまでの説明はそうなっていた。
しかし必要な電界が大きい場合は、G、Hともポッケルス効果素子で構成し、必要電界を二つに分け正負逆転した電界を掛けることも有効である。光路Gには+Ezsinωt(或いは+Eysinωt)を印加し、光路Hには−Ezsinωt(或いは−Eysinωt)を印加する。そうなると合計の電界はその2倍になる。位相差も2倍にすることができる。
そのように位相変化させ、更に合波して位相差のある二つの光の混合を作る。それが試験光Sである。試験光Sは時間的に色が変わる光であるが単色光ではない。常に多数の色の混合で混合比が変わるような光である。それを試料に当てる。試料からの反射光Rを受光素子で受光する。時間的に変動するデータが得られる。これをインターフェログラムという。インターフェログラムにも様々の段階のものがある。それぞれ異なるのであって混同してはならない。
受光素子で受光したものは色彩も分離されておらず、単一の光強度データである。それを干渉部4に掛けた交番電圧の半周期ごとの光強度データを屈折率nに関してフーリエ変換する。
まず初めに窓に試料の代わりに総ての光を100%反射するミラーをおいて受光素子でデータを取る。それは光源インターフェログラムである。それを半周期毎にフーリエ変換する。それを平均したものが試験光のスペクトルS(ν)である。
このように光源の色分布を予め波数νの関数として得ておく。その後本発明の装置の窓に試料を押しつけて、試験光S(n)を試料に当てる。試料からの反射光R(n)が生ずる。R(n)−S(n)が試料による発光、散乱、吸収の波数分布Q(n)を与える。Q(n)=R(n)−S(n)。受光素子が反射光R(n)のデータを生ずる。これは反射光インターフェログラムである。電圧印加の半周期ごとに反射光R(n)を屈折率nでフーリエ変換する。そうすると、反射光の波数(波長)分布R(ν)を得ることができる。もともとの試験光の波数分布(光源のスペクトル)はS(ν)で既知である。R(ν)−S(ν)を求めることによって試料での発光、散乱、吸収などを含むスペクトルQ(ν)=R(ν)−S(ν)が求められる。
試料の反射光の色分布を調べるために回折格子による分光器を用いない。だから低コスト、小型化が可能になる。
本発明は光源からの白色光を二つの分岐光g、hに分岐させ屈折率変動光路によって位相差を与えて合波し干渉させ位相差を含む光を作る。分岐路G、Hの光路の長さlを変化させるのではなくて、長さlは一定として屈折率nを変化させる。長いファイバコイルを用いる必要がない。ファイバコイルを使うと装置が大型化するが本発明の場合は小さいポッケルス効果素子を用いるだけなので小型化できる。分岐光g、hの間に光路長差があまりないのでコヒーレンス長の短い光でも干渉させることができる。特許文献1、2の場合はもともとの光路長の差が大きくてコヒーレント長の十分長いレーザ光などしか干渉させることができなかった。だから白色光源は扱えない。
しかし本発明の場合は短いコヒーレント長の光でも干渉させることができる。白色光源であっても干渉させて分光することが可能になる。白色に近い光源を使うことができるようになるから対象物の色情報をより正確に迅速に得ることができる。
さらに機械的な振動部分がない、という利点がある。繰り返し機械振動するようなものがあると、外部のショックに弱い。また繰り返しの振動によって故障するということもある。光ファイバの場合は疲労によって断線することもある。本発明の場合は機械振動する部分がないので外部の振動があっても差し支えない。また長寿命である。
また分岐した光g、hを干渉させてから対象物に当てるので干渉自体は安定している。時時刻刻と色の変化する試験光を対象物に当てるということになる。
図1によって本発明の実施例に係る干渉計センサの構造を述べる。筐体2はプラスチック、金属などの閉じられた容器である。大きさ形状は自在に決定できる。内部の素子を小さくできるのでシャープペンシル程度の小型のものにできる。筐体2の中に、光源3が設けられる。これは対象物の色を検出するものであるから、可視光の白色光を出すものが適している。光源3の前方に集光レンズZ1があって、マッハツエンダ型の干渉部4の入口20に導かれる。マッハツエンダ型干渉部4は入口20に続く分岐22と出口24に続く分岐23を有する。二つの分岐22、23の間には二つの経路がある。一つは通常の誘電体によって形成した屈折率固定路5である。他方はポッケルス効果素子を有する屈折率変動路6である。ポッケルス効果というのは、電圧を印加することによって電圧に比例して屈折率が変化するという現象であり中心対称性のない結晶に現れる。KH2PO4、KD2PO4、SrBaNb2O6、LiNbO3、LiTaO3結晶などを用いることができる。これらの電気光学結晶は変調器に用いられることがあるが、本発明のように干渉部4の一方の経路の素子に用いられるという例はない。
光は二つに分岐して、半分ずつのパワーが屈折率固定路5と屈折率変動路6を通過する。屈折率変動路6は交流電圧を加えたポッケルス効果素子を含むので屈折率が変化し光路(nl)が変化する。両方の光路を通った光が分岐23で合流し出口24から外部に出る。これは発散するがコリメータレンズZ2によって平行ビームに整形される。電圧が0の場合は、位相差はないので合波した光のパワーは1である。しかし電圧があると、位相差Θが出て合波した光のパワーはcosΘになる。そのΘが時間的に変動する。
合一した平行ビームである干渉光は反射鏡7で反射される。これは試験光Sとして窓25の向こうにある試料8に当てられる。試料8は試験光Sを反射する。反射光Rは集光レンズZ3によって絞られて受光素子9に入射する。
このように本発明では干渉計の2つの光路の光路長差を与えるために幾何学的に光路を伸縮するのではなく屈折率nを変化させる。
しかも本発明では試料からの反射光を干渉させるのではなくて、一旦干渉させた光を試料に当てる。試料と干渉計の順序が反対である。
本発明で最も重要なのは、干渉部4である。屈折率固定路5も屈折率変動路6も同じLiNbO3で作ることができる。そうでなくて、屈折率固定路5はその他の透明導波材を用いることもできる。以前の説明では電圧=0での屈折率が同一であるとしたがそれは別段必要でない。屈折率差が電圧によって変動し光路長の変動を波長で割った変動率がフーリエ変換に必要な100〜1000倍あればよい。必要な波長・波数分解能が低い場合は光路長変動を波長で割った変動率が50倍程度でも十分である。
例えば可視光を発生する光源3を用いたとする。波長範囲は400nm〜800nm程度であり連続スペクトルを持っている。代表的な波長は600nm程度である。例えば素子長(l)・波長(λ)比をl/λ=10000とする。素子長がl=6mmとなる。異常光の電界方向をz方向にし常光の電界方向をy方向にし進行方向をx方向にする座標において、z方向に薄く、x方向に6mmの長さがあり、±xy面に対向電極を持つポッケルス効果素子をLiNbO3によって作る。偏光子を入れて電界方向がz方向になるような直線偏光とする。Δnを0.01程度にするために、z方向の電界を掛けてr33という非線形係数を利用する。±100のフーリエ変換の範囲を得るため、Ez=13kV/mmという電界振幅の交番電界をz方向に掛ける。交番電界の周波数f=ω/2πは速くなくても良く、10Hz〜1000Hz程度でよい。フーリエ変換計算は0.5Hz毎になされる。10Hzであれば1秒間に20回のフーリエ変換を行う。1000Hzであれば、1秒間に2000回のフーリエ変換計算をする。
ポッケルス効果素子の厚みdを例えば10μmとすれば、電圧振幅は130Vとなる。しかしそれでも高電圧過ぎるという場合は、干渉部4の両方の光路G、Hともにポッケルス効果素子として、電圧の方向を反対にして、+Ezsinωt,−Ezsinωtという反対方向の電圧をG、Hに加えて屈折率変動を反対方向に引き起こすという方法も有効である。そのようにすると同じd=10μmでも一方の電圧振幅を65Vに減らすことができる。
干渉部4で干渉させ合一した試験光Sを試料に当て反射光Rを受光素子9に入れてそれを強度信号として求める。その後の信号処理は既に述べた通りである。
受光素子9で受光したものは時間的に変動するが、色彩も分離されておらず単一の光強度データである。それを干渉部4に掛けた交番電圧の半周期ごとの光強度データを屈折率nに関してフーリエ変換する。初めに窓25に試料8の代わりに総ての光を100%反射するミラーをおいて受光素子9でデータを取る。それが光源インターフェログラムである。それを干渉部4の印加電界の半周期毎にフーリエ変換する。それを平均したものが試験光のスペクトルS(ν)である。このように光源の色分布を予め波数νの関数として得ておく。その後本発明の装置の窓25に試料8を押しつけて、試験光S(n)を試料8に当てる。反射光R(n)が生ずる。R(n)−S(n)が試料8による発光、散乱、吸収を表す波数分布Q(n)を与える。Q(n)=R(n)−S(n)。受光素子9が反射光R(n)のデータを与える。これもインターフェログラムという。電圧印加の半周期ごとに反射光R(n)を屈折率nでフーリエ変換する。そうすると、反射光の波数(波長)分布R(ν)を得ることができる。もともとの試験光の波数分布(光源のスペクトル)はS(ν)で既知である。
R(ν)−S(ν)を求めることによって試料8での発光、散乱、吸収などをあらわす波数で表現したスペクトルQ(ν)=R(ν)−S(ν)が求められる。
2 筐体
3 光源
4 干渉部
5 屈折率固定光路
6 屈折率変動光路
7 反射鏡
8 試料
9 受光素子
20 入口
22 分岐
23 分岐
24 出口
Z1 集光レンズ
Z2 コリメータレンズ
Z3 集光レンズ
d 厚み
g 第一分岐光
h 第二分岐光
光路 G
光路 H
試験光 S
反射光 R
3 光源
4 干渉部
5 屈折率固定光路
6 屈折率変動光路
7 反射鏡
8 試料
9 受光素子
20 入口
22 分岐
23 分岐
24 出口
Z1 集光レンズ
Z2 コリメータレンズ
Z3 集光レンズ
d 厚み
g 第一分岐光
h 第二分岐光
光路 G
光路 H
試験光 S
反射光 R
Claims (3)
- 筐体と、筐体の内部に設けられ複数の波長の光を発生する光源と、筐体の内部に設けられ光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第1光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第2光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとする干渉部と、試験光Sを外部の試料にあてるための筐体に設けられた窓と、試料からの反射光を受光する受光素子とを含むことを特徴とする干渉計センサ。
- 筐体と、筐体の内部に設けられ複数の波長の光を発生する光源と、筐体の内部に設けられ光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第1光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第2光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとする干渉部と、試験光Sを外部の試料にあてるための筐体に設けられた窓と、試料からの反射光を受光する受光素子と、受光素子で受光した試料からの反射光の時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換する演算部と、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示する記憶表示部を含むことを特徴とする光学測定装置。
- 筐体の内部に設けられた光源から複数波長の光を発生させ、干渉部において光源から発生した複数波長の光を直線偏光にして分岐し第1分岐光gを交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第1光路Gに通し第2分岐光hを誘電体あるいは反対向きの交番電界を掛けたポッケルス効果素子を含む第2光路Hに通して分岐光g、hの間に周期的な位相差を与え合波して試験光Sとし、筐体の窓を通し試験光Sを外部の試料にあて、試料からの反射光を受光素子で受光し、受光素子で受光した試料からの反射光の時間的光強度変化を、交番電界の変化に同期してフーリエ変換し、フーリエ変換によって得られた波数分布R(ν)を記憶表示し、光源から出た試験光Sを受光素子へ導き受光素子出力を干渉部の電界に同期してフーリエ変換することによって光源の波数分布S(ν)を求めておき、試料からの反射光から得た波数分布R(ν)から光源の波数分布S(ν)を差し引いた波数分布Q(ν)を求めることを特徴とする光学測定方法。
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CN103048047A (zh) * | 2011-10-11 | 2013-04-17 | 中国科学院微电子研究所 | 包含相位元件的垂直入射宽带偏振光谱仪和光学测量系统 |
CN103968948A (zh) * | 2013-02-04 | 2014-08-06 | 清华大学 | 偏振光的检测方法 |
CN104111114A (zh) * | 2014-06-18 | 2014-10-22 | 中山大学 | 一种光谱测量方法、装置和系统 |
CN104204740A (zh) * | 2012-04-11 | 2014-12-10 | 雪佛龙美国公司 | 用于在原地对目标材料进行查询的系统和方法 |
JP2016133437A (ja) * | 2015-01-21 | 2016-07-25 | 日本電信電話株式会社 | 分光装置及び分光検出方法 |
-
2006
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