JP2007289030A - 自脱型コンバイン - Google Patents

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Abstract

【課題】 走行機体の前部横一方側に運転部を配備するとともに、走行機体の前部横他方側に刈取り部を揺動昇降可能に配備し、刈取り部の前端部にチェーン横回し仕様の引起し装置を複数台並列配置した自脱型コンバインにおいて、回り刈り作業および中割り作業を行うことができる引起し構造を備えるものでありながら、良好な引起し性能を発揮できるようにする。
【解決手段】 引起し装置7R,7Lのうちの最も運転部側に位置する引起し装置7Rにおける下端部の横回し移動幅aを、他の引起し装置7Lにおける下端部の横回し移動幅bよりも大きく設定するとともに、最も運転部側に位置する引起し装置7Rにおける引起しチェーン35の巻回径路上端を、他の引起し装置7Lにおける引起しチェーン45の巻回径路上端より高く設定してある。
【選択図】 図6

Description

本発明は、比較的小型の自脱型コンバインに関する。
自脱型コンバインは、走行機体の前部横一方側に運転部を配備するとともに、走行機体の前部横他方側に刈取り部を揺動昇降可能に配備し、刈取り部の前端部にチェーン横回し仕様の引起し装置を複数台並列配置して構成されており、2条ないし3条刈り仕様の小型機種では、走行機体の踏み代(左右走行装置全体の左右幅)よりも刈り幅(左右両端の分草具の間隔)が小さいものとなっている。
刈り幅の小さい刈取り部は運転部と反対側(通常の回り刈りにおける未刈り地側)において、踏み代の未刈り地側の端部近くに片寄せ、もしくは、踏み代よりも未刈り地側に突出するように刈取り部を配備して、次工程において刈り取る未刈作物から走行装置をできるだけ離し、これによって湿田において走行装置の沈下によって横側に盛り上がった泥土が未刈作物の株元に近づくことを回避し、次工程において盛り上がった泥土に刈取り装置が突入しないようにする。しかし、刈り幅の小さい刈取り部を踏み代に対して未刈り地側に偏って配置すると、踏み代が刈り幅よりも運転部側にはみ出ることになり、左右両側を未刈り地とする中割り作業においては、運転部側において作物を走行装置で踏みつけてしまうことになる。
そこで、このような不具合を解消する一手段として、例えば、特許文献1に示されているように、運転部側(通常回り刈り時の既刈り地側)に位置する引起し装置を、その下端部における横回し移動幅を他の引起し装置の下端部における横回し移動幅より大きくし、刈取り部の刈り幅を踏み代に近い大きさにして、回り刈り作業および中割り作業を可能にすることが考えられている。
特開2003−47318号公報
上記構成によると、所期の機能を期待することができるのであるが、各引起し装置に巻回張設した引起しチェーンに同周長のものを使用していたために、横回し移動幅を大ききした引起し装置においては、下端部でチェーン径路を拡張した分、引起しチェーンの巻回径路上端を低くすることになり、その分だけ引起し可能な高さが低くなってしまい、長稈作物の引起し性能が低下してしまう。
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、回り刈り作業および中割り作業を行うことができる引起し構造を備えるものでありながら、良好な引起し性能を発揮できるようにすること目的としている。
第1の発明は、走行機体の前部横一方側に運転部を配備するとともに、走行機体の前部横他方側に刈取り部を揺動昇降可能に配備し、刈取り部の前端部にチェーン横回し仕様の引起し装置を複数台並列配置した自脱型コンバインにおいて、
前記引起し装置のうちの最も前記運転部側に位置する引起し装置における下端部の横回し移動幅を、他の引起し装置における下端部の横回し移動幅よりも大きく設定するとともに、最も前記運転部側に位置する前記引起し装置における引起しチェーンの巻回径路上端を、他の引起し装置における引起しチェーンの巻回径路上端より高く設定してあることを特徴とする。
上記構成によると、最も運転部側に位置する引起し装置における下端部の横回し移動幅を、他の引起し装置における下端部の横回し移動幅よりも大きく設定することで、刈り幅を走行機体の踏み代に近いものにすることができる。
ここで、最も運転部側に位置する引起し装置とこれに隣接する引起し装置とを、互いの引起し経路を対向して配置すると、両引起し装置の引起し爪を突合せ対向させて引起し作動させることで、作物を引起し爪から逃がすことなく確実に引に起すことができる。このように対向する引起し装置を引起し爪の突合せ状態で同調駆動するには、両引起し装置に備えた引起しチェーンの周長を爪ピッチの整数倍の長さに設定しておく必要がある。
この場合、両引起し装置の引起しチェーンを同じ周長のものを使用すると、下端部での横回し移動幅を大きくした引起し装置では、引起しチェーンの巻回径路上端が横回し移動幅の小さい引起し装置の巻回径路上端より低くなってしまうが、横回し移動幅を大きくした引起し装置における引起し爪の装着本数を増やして、周長の長い引起しチェーンを使用することにより、引起しチェーンの巻回径路上端を横回し移動幅の小さい引起し装置の巻回径路上端より高くする。これにより、下端部での横回し移動幅を大きくした引起し装置において、引起し可能な高さが高くなる。
従って、第1の発明によると、通常の回り刈り作業および中割り作業を行うことができる引起し構造を備えるものでありながら、良好な引起し性能を確保することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記引起し装置を左右一対配備して前記刈取り部を2条刈り仕様に構成してあるものである。
上記構成によると、走行機体の踏み代と刈り幅との差が大きくなる2条刈り仕様において本発明の上記効果を顕著に発揮させることができる。
図1および図2に、本発明に係る自脱型コンバインの全体側面と全体平面がそれぞれ示されている。この自脱型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部左側に2条刈り仕様に構成された刈取り部3が揺動昇降自在に連結されるとともに、走行機体2の前部右側に運転部4が設けられ、走行機体2上に脱穀装置5、および、穀粒回収タンク6、が搭載された構造となっている。
刈取り部3には、植立作物を所定の刈取り姿勢に引起す左右一対の引起し装置7L,7R、引起した植立作物を切断するバリカン型の刈取り装置8、引起し中の作物を刈り幅中央に向けて斜め後方に係止搬送する左右一対の補助搬送装置9L,9R、作物の株元を掻き込み合流す左右一対の掻き込み回転パッカ10L,10R、合流された刈取り作物を後方上方に向けて挟持搬送する供給搬送装置11、等を備えて構成されており、刈取り部3全体が後部上方の支点pを中心にして油圧シリンダ12で揺動昇降されるようになっている。
前記供給搬送装置11は、作物の株元側を挟持して搬送する株元挟持搬送機構11aと作物の穂先側を係止して搬送する穂先係止搬送機構11bとから構成されており、この供給搬送装置11全体を前記支点pを中心に上下に揺動調節することで、搬送される作物の挟持位置を変更して、脱穀装置5に備えられたフィードチェーン13への作物受け渡し位置を作物の稈長方向に変更調節する扱き深さ調節機能が備えられている。
図5に、伝動構造の概略が示されている。前記運転部4における座席下方にはエンジン14が配備されており、このエンジン14からの出力の一部が静油圧式の無段変速装置(HST)15を介してミッションケース16に伝達され、左右のクローラ走行装置1が無段変速で前後進駆動されるとともに、エンジン動力の一部が脱穀装置5に分岐伝達されるようになっている。ミッションケース16にはPTO軸17が備えられており、このPTO軸17から取出された作業用動力の正転動力が、刈取り部3の支点pに沿って横架されたカウンタ軸18にベルト伝達される。
刈取り部3の基部からは前記カウンタ軸18にベベルギヤ連動された前向き伝動軸19が前方上方に向けて延出され、その延出端から第1縦向き伝動軸20に伝達された動力の一部が機体右側の引起し装置7Rの引起し駆動軸21に伝達されるようになっている。第1縦向き伝動軸20の下部が、縦向きに配備された内軸22と外筒軸23とにそれぞれベベルギヤ連動され、外筒軸23によって機体右側の補助搬送装置9Rと機体右側の掻き込み回転パッカ10Rが駆動されるようになっている。機体左側の掻き込み回転パッカ10Lは機体右側の掻き込み回転パッカ10Rに噛み合い連動されており、この機体左側の掻き込み回転パッカ10Lに噛み合い伝達された動力で機体左側の補助搬送装置9Lが駆動されるようになっている。
内軸22の下部がクランク機構24に連動され、刈取り装置8の刈刃8aがクランク機構23によって一定ストロークで左右に往復駆動されるようになっている。内軸22の下端が、刈取り装置8の後方箇所に横架された横向き伝動軸25に連動連結されるとともに、この横向き伝動軸25の左端部に第2縦向き伝動軸が26がベベルギヤ連動され、この第2縦向き伝動軸26に伝達された動力で機体左側の引起し装置7Lの引起し駆動軸27が駆動されるようになっている。
前記供給搬送装置11はカウンタ軸18の左端部にベベルギヤ連動されており、前記支点p周りに上下揺動可能に動力伝達されるようになっている。
図6に示すように、機体右側(運転部4側)の引起し装置7Rは、引起しケース30の上部に配備されて前記引き起し駆動軸21に連結された駆動スプロケット31、その横において上下変位可能かつ上方にバネ付勢して配備されたテンションスプロケット32、引起しケース30の下部に並列配備された第1チェーン案内ローラ(第1チェーン案内部材)33と第2チェーン案内ローラ(第2チェーン案内部材)34に亘って引起しチェーン35を横回し状に巻回張設して構成されており、引起しチェーン35には引起し爪36が起伏揺動可能に等ピッチで枢支連結されている。
引起しチェーン35が下方移動する戻り径路では、引起し爪36は引起しチェーン35に沿った倒伏姿勢で下方移動し、第1チェーン案内ローラ33の外周に案内されて起立しながら横移動径路に回り込み、引き続き固定配備された案内レール37によって起立姿勢を維持された状態で横移動するよう構成されている。横移動径路に沿って起立姿勢で横移動してきた引起し爪36は、第2チェーン案内ローラ34の外周に案内されて起立姿勢を維持しながら引起し径路に導かれ、引起し径路脇に固定配備された案内レール38によって起立案内された状態で上方移動し、案内レール38の上端から外れた引起し爪36は倒伏して戻り径路に回り込んでゆくよう構成されている。
機体左側の引起し装置7Lは、引起しケース40の上部に配備されて前記引き起し駆動軸27に連結された駆動スプロケット41、その横において上下変位可能かつ上方にバネ付勢して配備されたテンションスプロケット42、引起しケース40の下部に配備されチェーン案内ローラ44に亘って引起しチェーン45を横回し状に巻回張設して構成されており、引起しチェーン45には引起し爪46が起伏揺動可能に等ピッチで枢支連結されている。
引起しチェーン45に沿った倒伏姿勢で下方移動してきた引起し爪46は、チェーン案内ローラ44の外周に案内されて起立しながら引起し径路に回り込み移行し、引起し径路脇に固定配備された案内レール48によって起立案内された状態で上方移動するよう構成されている。
両引起し装置7R,7Lの引起し径路は互いに対向して隣接するように配置され、各引起しチェーン35,45が同速度で回動駆動されることで、各引起し装置7R,7Lの引起し爪36,46が引起し径路において互いに突き合わせ状態を維持して上方移動して、作物を逃がすことなく引起こすようになっている。
機体右側の引起し装置7Rにおける引起しチェーン35の巻回周長は、機体左側の引起し装置7Lにおける引起しチェーン45の巻回周長よりも、引起し爪36,46の爪ピッチの整数倍だけ長いものとなっている。この例では、機体右側の引起し装置7Rにおける引起しチェーン35の巻回径路上端に位置する駆動スプロケット31の軸心位置を、機体左側の引起し装置7Lにおける引起しチェーン45の巻回径路上端に位置する駆動スプロケット41の軸心位置より高く設定することで、長い周長の引起しチェーン35と短い周長の引起しチェーン45とを引起し爪36,46の突き合せ状態で同調駆動するよう設定されている。両引起し装置7R,7Lの引起しケース30,40は同一高さに構成されて、アーチ形の補強ステー49で架橋連結されている。
機体右側の引起し装置7Rにおいては下端部の横回し移動幅aが、機体左側の引起し装置7Lにおける下端部の横回し移動幅bよりも大きく設定され、これによって、刈取り部3の刈り幅w、つまり、両引起し装置7R,7Lの前端に配備した分草具50の先端間隔が左右のクローラ走行装置1の踏み代Hにできるだけ近くなるよう設定されており、図7(イ)に示すように、通常の回り刈り作業時には、両引起し装置7R,7Lのそれぞれで1条づつの引起しを行い、図7(ロ)に示すように、中割り作業時には両引起し装置7R,7Lで3条の引起しを行う。
前記第1チェーン案内ローラ33は第2チェーン案内ローラ34より小径に構成されて、第2チェーン案内ローラ33によるチェーン巻回曲率が、第2チェーン案内ローラ34によるチェーン巻回曲率より小さくなっている。これによって、第1チェーン案内ローラ33に案内されて起立回動する引起し爪36の先端回動軌跡の曲率が小さくなり、作物の掻き込み洩れを少なくすることができる。
機体右側の引起し装置7Rにおける第2チェーン案内ローラ34を大径に構成することで、中割り作業時に刈り幅wの右端近くに位置する作物が引起し装置7Rの下端をくぐり抜けて引起し径路に導かれる際に、引起し装置7Rの下端における引起し径路側の角部によって作物がきつく折られることが回避されている。
図8の正面図に示すように、機体右側の補助搬送装置9Rは機体左側の補助搬送装置9Lよりも高い位置に配置されており、中割り作業時に刈り幅wの右端近くに位置する作物が補助搬送装置9Rによって刈り幅中央側に係止搬送される際に、作物が無理に屈曲されることがないよう構成されている。
前記運転部4の前端には操縦塔51が設けられ、この操縦塔51の右寄り箇所に操縦レバー52が立設されている。操縦レバー52は十字操作可能に構成されており、中立位置から左方あるいは右方に揺動操作することで、左右のクローラ走行装置1に速度差を与えてレバー操作方向に走行機体2を操向させるよう構成されている。操縦レバー52は刈取り部昇降レバーを兼ねており、中立から後方に揺動操作することで刈取り部3を上昇作動させ、前方に揺動操作することで刈取り部3を下降作動させるように、操縦レバー52と前記油圧シリンダ12の作動を司る図示されない制御バルブとが連係されている。
図3,4,9,10に示すように、前記操縦塔51の前面における左半部が凹入後退されており、この凹入箇所sが、刈取り部4が上昇作動した際に機体右側の補助搬送装置9Rの右端側箇所が入り込む上昇移動スペースとなっている。これによると、刈取り部4が上昇した時に機体右側の補助搬送装置9Rが操縦塔51に干渉するのを避けるために、引起し装置7R,7Lおよび補助搬送装置9R,9Lを前方に移動させて配備する必要がなくなり、刈取り部4の前後長さが増大することを抑制できる。
〔他の実施例〕
上記実施例では2条刈り仕様の自脱型コンバインを例示したが、3台の引起し装置を並列配備した3条刈り仕様の自脱型コンバインに適用することもでき、この場合は、最も運転部に近い引起し装置における下端部の横回し移動幅を他の2台の引起し装置における下端部の横回し移動幅よりも大きくし、通常の回り刈り作業時には各引起し装置に1条づつ作物を導入して3条の引起しを行い、中割り作業時には最も運転部に近い引起し装置に2条の作物を導入して4条の引起しを行うようにする。
自脱型コンバインの全体側面図 自脱型コンバインの全体平面図 刈取り部の正面図 刈取り部の平面図 伝動構造の概略図 引起し装置の正面図 回り刈取り作業形態(イ)と中割り作業形態(ロ)を示す概略平面図 補助搬送装置を示す正面図 下降された刈取り部の側面図 上昇された刈取り部の側面図
符号の説明
2 走行機体
3 刈取り部
4 運転部
7R 引起し装置
7L 引起し装置
35 引起しチェーン
45 引起しチェーン
a 横回し移動幅
b 横回し移動幅

Claims (2)

  1. 走行機体の前部横一方側に運転部を配備するとともに、走行機体の前部横他方側に刈取り部を揺動昇降可能に配備し、刈取り部の前端部にチェーン横回し仕様の引起し装置を複数台並列配置した自脱型コンバインにおいて、
    前記引起し装置のうちの最も前記運転部側に位置する引起し装置における下端部の横回し移動幅を、他の引起し装置における下端部の横回し移動幅よりも大きく設定するとともに、最も前記運転部側に位置する前記引起し装置における引起しチェーンの巻回径路上端を、他の引起し装置における引起しチェーンの巻回径路上端より高く設定してあることを特徴とする自脱型コンバイン。
  2. 前記引起し装置を左右一対配備して前記刈取り部を2条刈り仕様に構成してある請求項1記載の自脱型コンバイン。
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