JP2007285729A - 地層内の比抵抗測定方法 - Google Patents

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芳博 杉本
Tetsuo Aono
哲雄 青野
Sugio Imamura
杉夫 今村
Keisuke Ushijima
恵輔 牛島
Hideki Mizunaga
秀樹 水永
Koichi Suzuki
浩一 鈴木
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Abstract

【課題】地層の比抵抗が小さい場合に、ケーシングパイプ10を用いる流電電位法による比抵抗測定方法の探査精度を改善する。
【解決手段】ケーシングパイプ10内に電流源を挿入して、電流源深度を変更しつつ又は/及び地表測線に沿う付加電流源を設けて及び/又はケーシングパイプ10内に一定間隔で電流源を配設してケーシングパイプ10に通電することで比抵抗トモグラフィ測定を実施すると共に、そのデータ解析においては、線要素およびジョイント要素を使ってケーシングパイプ10の挙動を適切に評価しつつ解析を行うか、別途ケーシングパイプ10内で計測した電流分布のデータを基に解析を行うかいずれか/又は両方を組み合わせた方法によって、地下の2次元又は3次元的な比抵抗分布を精度よく求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は、比抵抗トモグラフィを用いて地層内の比抵抗を測定する方法に関する。さらに詳しくは、鋼製など導電性のケーシングパイプで保孔されたボーリング孔を使って、ケーシングパイプ内の多数の深度に電流源又は電位測定点をおいて、地下の比抵抗分布を測定する方法に関する。
なお、本発明においてケーシングパイプとは、ボーリング孔内壁を被覆するケーシングチューブパイプを言う。
比抵抗トモグラフィは、ボーリング孔内および地表に電極を設置し、任意の1つの電極に電流を通電することによって励起された電位を他の電極で計測することを繰り返し、多数の電極の組み合わせによって測定されたデータから地下の2次元的又は3次元的な比抵抗の分布を推定する探査手法である。
一般に、ボーリング孔内に電極を設置して比抵抗トモグラフィを実施する場合は、裸孔(ケーシングパイプが入っていないボーリング孔)であることを測定の前提条件とし、塩化ビニル管等の絶縁性のケーシングパイプが挿入されている場合は、ケーシングパイプにストレイナーと呼ばれるスリット又は円孔をあけて、周囲の地盤や岩盤とボーリング孔内を、水を介入して電気的につながった状態にして測定を行う。
しかし、ボーリング孔に鋼製のケーシングパイプが入っている場合は、ケーシングパイプ自体が一つの線電極として振舞うため通常の比抵抗トモグラフィを適用することはできなかった。このような場合には、ケーシングパイプを1つの線電極として使った探査法が開発されており、流電電位法、鉱体流電法、Mise−a−la−Masse Method等の様々な名称で呼ばれている。
最近、石油分野において、石油の回収率を向上させるためボーリング孔から水中に水や水蒸気、CO等を注入して、これによって移動した石油を別の生産井にて回収するEOR(Enhanced Oil Recovery)と呼ばれる石油生産技術がある。この技術においても、流電電位法は石油貯留槽のモニタリング・ツールとして用いることが研究されている。
従来の流電電位法では、ケーシングパイプを導電率が無限大の理想的な線電極と考え、その応答を均質な半無限媒質中の理論解で近似して解析していた。しかし、石油を対象とする探査では、ケーシングパイプを囲繞する区域の比抵抗(バックグランド比抵抗)が低いことが多く、流電電位法の適用に際してもケーシングパイプ自体の抵抗を無視することができなくなり、特に電流がケーシングパイプの先端まで到達しなくなることが分かってきた。その場合には流電電位法を適用してもケーシングパイプ先端付近の地下深部の情報を得ることは難しい。
またシミュレーション検討によると、バックグランド比抵抗が小さい場合には、ケーシングパイプ内の各深度位置に電流源を配置すると、電流源の深度によって異なった電位分布が測定されることも分かってきた。この性質を利用すると、ケーシングパイプ内の異なった多数の深度に測定点を配置することにより、従来は不可能とされた鋼製のケーシングパイプを有するボーリング孔における比抵抗トモグラフィの適用が可能となり、地下の比抵抗分布を精度よく求めることができる。本発明技術は従来の比抵抗トモグラフィと流電電位法の間を結ぶ技術である。
また、データ解析においては、ケーシングパイプをFEM(有限要素法)の線要素で近似する他、周辺地盤とケーシングパイプとの接地抵抗やケーシングパイプ径の影響をFEMのジョイント要素を使って考慮することで、ケーシングパイプ周辺の電位応答を正確に計算する方法が有効である(例えば、非特許文献1参照。)。
物理探査学会 第97回 学術講演会論文集(1997) p84〜88、 『比抵抗トモグラフィにおける孔内水の影響』
本発明は導電性のケーシングパイプが挿入された大深度ボーリングを使って比抵抗トモグラフィを適用することで、従来の流電電位法の探査精度、特に鉛直方向の分解能を改善し、例えば効率的な石油回収のためのEORモニタリングやCO2地下貯留におけるモニタリング・ツールとして比抵抗測定方法の技術的基礎を確立することを目的とする。
なお、ケーシングパイプの内部に電流源をおいた時の電位分布を、シミュレーションする技術は、本探査手法の実現には欠かせない要素であり、これを確立することを課題とする。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、次の技術手段を講じたことを特徴とする地層内の比抵抗測定方法である。
すなわち、本発明は、導電性のケーシングパイプを有するボーリング孔中に電極を挿入し、ボーリング孔内の電極と地表に設置した電極アレイ間又は、ボーリング孔中の電極と他のボーリング孔中の電極間で比抵抗トモグラフィ測定を実施して、地下の2次元的又は3次元的な比抵抗分布を求めることを特徴とする地層内の比抵抗測定方法である。
本発明は、比抵抗を測定するに当たり、導電性のケーシングパイプを有するボーリング孔に電極を挿入し所定の深度で通電する。通電によって励起された電位分布を地表や別のボーリング孔内にセットした電極で計測する。通電深度を変えて同様の測定を繰り返し、多数の電流源―電位測定点の組み合わせのデータを取得し、これらのデータから逆解析プログラムを使って比抵抗分布を求める。
この場合にケーシングパイプへの通電は、電流源深度を変更しつつ行うことにすれば測定精度が向上し、好ましい。
解析のアルゴリズムは一般の比抵抗逆解析と同様の手順に従う。まず初期比抵抗モデルを与え、それに基づいて測定データと同じ電極配置でシミュレーションを行う。シミュレーションで求められた電位(抵抗又は見掛け比抵抗の場合もある)と測定された電位(抵抗又は見掛け比抵抗の場合もある)の食い違いが小さくなるように初期比抵抗モデルを修正する。修正された比抵抗モデルを初期モデルとして同様の修正を繰り返し、シミュレーション結果と測定結果が十分一致するような比抵抗モデルを求め、これを最終結果とする。
従来の比抵抗トモグラフィ解析との相違点は、シミュレーションにおいて導電性のケーシングパイプの影響を適切に評価することである。通常の比抵抗トモグラフィの解析プログラムでは電流源を点ソースとしてシミュレーションが行われるが、ケーシングパイプ中に電流源が存在する場合には、ケーシングパイプに沿った線状区間で連続的に電流が流れ出す(線電流源)。その効果を適切に反映させて計算を行うためには2つの方法が考えられる。
一つは、有限要素法(FEM)を使った電位シミュレーションにおいて、ケーシングパイプをこれと等価な線要素及び接地抵抗要素(ジョイント要素とも云う)によって近似して、解析モデル中に組み込む方法である。ケーシングパイプをFEMの線要素及び接地抵抗要素を使ってモデル化してケーシングパイプの影響を適切に評価し、ケーシングパイプ上の電流密度を評価することによって、比抵抗の解析精度を向上することができる。
もう一つは、ケーシングパイプ中に電流源を設置したときの電流分布を別途計測したのち、これを基に線電流源を多数の点ソース又は微小線ソースの重ね合わせとして取り扱う方法である。ケーシングパイプ電流分布測定装置を用いて計測した電流密度分布を使い、測定されたケーシングパイプから流出する電流を点電流源又は微小線電流源の重ね合わせとして計算し、FEM又は差分法によって解析することができる。
後者の方法による場合には、既往の差分法又は有限要素法による比抵抗トモグラフィ解析プログラムを若干改良するだけで容易に対応することができる。
本発明によれば、バックグランド比抵抗が小さく、かつボーリングの深度が数100m以上の場合には、ボーリング孔に導電性のケーシングパイプが挿入されていても、ボーリング孔内に測定点を設けた比抵抗トモグラフィを実施することができる。これによって、ケーシングパイプの1ヶ所に電流源を設けて測定を行う通常の流電電位法に比べると深度方向の比抵抗分布の情報がより多く得られるとともに、ケーシングパイプ先端付近の地下深部の探査精度も大幅に改善される。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図6は、本発明に係る比抵抗測定方法の全体を概念的に示す説明図であって、本発明を実施する対象の地層内を透視した模型図に、本発明の実施に用いる解析装置を配置したものを示した。図6の配置に加えて複数のボーリング孔があってもかまわない。また、この他に地表の測定点を直線上に並べた2次元探査の配置も可能である。
図6に示すように、地層の比抵抗解析対象区域100に地表からケーシングパイプ10が沈設され、その頭部又は内部に電極が設置される。トランスミッタ11は電線ケーブルを介して電極に電圧を負荷する。
地表101に、所望の配列で多数の各測点が102が配設されており、これらの測点の2点間又はこれらの測点と遠方の基準電極(遠電極)間の2点間のそれぞれの電位差の測定を行う。この2点間の電位差測定値はレコーダ20に記録される。この記録はコンピュータ21に送られ、コンピュータ21はこのデータを解析して地層の比抵抗を算出する。
先に言及したように、ケーシングパイプ10内に電流源がある場合の比抵抗トモグラフィの解析では、一般にケーシングパイプ10から流出する電流12の密度がケーシングパイプ10の長手方向に沿って一定であるものとして近似計算が行われていた(流電電位法)。しかし、ケーシングパイプ10から流出する電極上の実際の電流12の密度分布はケーシングパイプと地山との間の接地抵抗及びケーシングパイプ10自身の電気抵抗によって変化する。
特に比抵抗解析対象区域100の地山の比抵抗(バックグランド比抵抗)が低い場合、流電電位探査方法の解析におけるケーシングパイプ10の抵抗が近似精度に与える影響を評価することが重要な課題であり、このためには、何らかの手段によってケーシングパイプ10の長手方向に沿って流出する電流分布を測定することが必要である。
また、計測された電流分布を使って流電電位探査方法の解析を行うことができれば、解析の精度はこれまでより以上に向上することを期待することができる。
ケーシングパイプ10から流出する電流密度に影響を与える第1の要因であるケーシングパイプ10と地山との間の接地抵抗は、ケーシングパイプ10と地山とのクリアランス、ケーシングパイプ10の周囲の腐食、ケーシングパイプ10の周りに充填したセメントの影響、ケーシングパイプ10の径、あるいは周辺地山の比抵抗というような様々な要因と関連している。
また、第2の要因であるケーシングパイプ10自身の電気抵抗は、バックグランド比抵抗が1Ωm以下の極端に低い区域において、特に大きな影響を与えることがシミュレーションによって明らかになっている。
FEM(有限要素法)による解析プログラムではケーシングパイプ10と地山との間の接地抵抗及びケーシングパイプ10自身の電気抵抗を線要素と接地抵抗要素で近似することによって、これらの影響をある程度考慮した電位シミュレーションを行うことができる。しかし、そのためにはケーシングパイプ10と地山との間の接地抵抗及びケーシングパイプ10自身の電気抵抗を予め精度良く求めておく必要がある。
図5に電位シミュレーションの例を模式的に示した。例えば、長さL=1000m、直径20cm、肉厚6mm、導電率10S/mのケーシングパイプ10を対象区域100内で鉛直方向(深度z方向)に沈下し、ケーシングパイプ10に直交する地表面101を設定し、この地表面101に距離pをとって多数の測定点を設定する。地表面101とケーシングパイプ10との交点103を座標(0、0)とすると、任意の測点102は座標(p、z)で表わされる。
電位シミュレーションは3次元FEMによって実施することとし、図1〜図4に示すような解析用3次元FEMモデル1を作成した。実際の適用で2次源測線を設定した場合には、3次元FEMの代わりに2.5次元FEMを使ってシミュレーションすることも可能である。
図1は比抵抗を測定すべき対象区域のFEMモデル1の斜視図、図2はその平面図、図3はその中心位置の立面断面図、図4は図3の1a部の部分拡大図である。図1に示すように、対象区域はケーシングパイプ10を中心とし、X,Y方向がそれぞれ100,000m、深度50,000mの直方体状の区域であり、ケーシングパイプ10が、図4に示すように、深度1000mまで打ち込まれた場合のFEMモデル1である。
FEMの計算では、半無限媒質を四面体要素で分割するとともに、ケーシングパイプ10については線要素(長さ5m)および接地抵抗を表す接地抵抗要素を組み合わせてモデルを作成した。線要素の物性値パラメータに関しては、ケーシングパイプ10の断面積と比抵抗から単位長さあたりの抵抗を算出した。線要素は太さを表すパラメータを本来持たないが、離散化効果によって周辺の三次元領域の要素の形状やサイズに従った等価な電極径に対する電位応答を示すことが知られているのでこれを利用した。
図7に、3次元FEM(四面体要素を使った場合)の要素サイズおよび要素形状と等価電極径(直径)との関係を示した。図7は、FEMモデルの四面体要素のサイズ(m)を横軸に取り、縦軸に等価電極径(cm)を取って、その関係をプロットしたものである。解析結果次式の関係が得られている。
D=0.3611×x1.0243 ……(1)
ここで、 D:等価電極径(cm)
x:線要素サイズ(m)
である。
図1に示した電位シミュレーションのためのFEMモデル1では要素サイズが5mであり要素形状は正方形であるから、図7に示す経験式からその等価電極径は43.8cmと評価される。そのままでは電極径43.8cmの電極に対する電位分布が計算されることになる。そこで直径20cmの電極に対する電位シミュレーションを行うため、目標とする電極径と等価電極径の差を接地抵抗に換算して、これに相当する接地抵抗要素を、線要素と3次元要素の間に挿入した。
次に、ケーシングパイプ長1000mの場合の電位シミュレーション結果について説明する。
バックグランド比抵抗を1Ωm、10Ωm、100Ωm、1000Ωmとし、それぞれについて1A通電したときの計算電位の分布を図9〜図12に示す。図9〜図12は等電位線によって分布を示し、等電位線に電位の値を併記した。
図9に示すように、バックグランド比抵抗が1Ωmの場合、測定範囲内(地表部)における電位が概ね0.1mV〜8mVであり、測定電位レベルとしてはやや小さいが、電流量を5A〜10A程度まで増やすことによって十分に測定可能なレベルとなる範囲である。また、図10〜図12に示すように、バックグランド比抵抗がそれぞれ10Ωm、100Ωm、1000Ωmと大きくなるにつれて測定電位も大きくなり、十分に測定可能な電位レベルが得られることが確認された。
FEMによって定式化された電流と電位との関係式を使うことによって、解析された電位から要素間でやりとりされる電流を求めることができる。
図8は、このようにして線電極上の電位から求めた、ケーシングパイプとバックグランド領域の間でやりとりされる電流密度分布を示したものである。図8に示す4本の電流密度曲線31、32、33、34はそれぞれ図9〜図12に対応するもので、バックグランド比抵抗が1Ωm、10Ωm、100Ωm、1000Ωmの場合を示している。
バックグランド比抵抗が1000Ωmの場合(曲線34)では、ケーシングパイプ上の電流密度は深度1000mに亘ってほぼ一定となり、理想的な線電極周辺の電位分布を示すが、曲線33、32、31に示すように、バックグランド比抵抗が小さくなるにつれてケーシングパイプ10自身の電気抵抗を無視することができなくなり、ケーシングパイプ先端まで電流が到達しなくなることが分かる。
図9に示す電位分布でも、バックグランド比抵抗が1Ωmのケースでは、通常の点電流源に対する電位分布とそれほど変わらない電位分布を示すようになる。
このように、バックグランド比抵抗が低い場合には、ケーシングパイプ10に通電しても従来考えられてきたように線電極の電位応答を示すわけではない。そのため、流電電位法をそのまま適用しても深部の情報を取得できないということも起こり得る。これは、実際のケーシングパイプが理想的な導電体でないため、ケーシングパイプ自身の電気抵抗の影響が現れるためである。しかし逆に考えると、このことは電流源の位置情報がケーシングパイプによって完全にマスクされないということを意味しており、電流源深度を変えることによって異なる配置のデータを取得することができるので、ケーシングパイプで保孔されたボーリング孔を使った比抵抗トモグラフィの可能性を示すものでもある。
次に、流体流動電位法をEORに適用することを目的として流動電位法におけるケーシングパイプの抵抗の影響を検討するため、塩水で飽和した低比抵抗の堆積岩地帯に流電電位法を適用したケースを想定してシミュレーション・モデルを作成し、シミュレーション検討を行った。
シミュレーションに用いた比抵抗モデルを図13、図14に示す。図13は平面図でケーシングパイプ10を中心とするX,Y方向1000mの解析対象区域100を示している。図14はそのケーシングパイプ10の位置を通る立面断面図である。ケーシングパイプ10が深度500mまで挿入されており、その下端から10m離れた側方に比抵抗1Ωmの厚さ40mの扇形平板状の比抵抗異常体40が設けられている。図13に示すように、その平板状の比抵抗異常体40の平面形は中心角45度の扇形である。この扇形内に比抵抗測定部が配置されている。この解析対象区域100のバックグランド比抵抗は10Ωmである。
このシミュレーション・モデルは比抵抗10Ωmの媒質中にある深度500mのケーシングパイプに通電することを想定しており、比抵抗異常体40を検出しようとするものである。
ケーシングパイプ10は直径20cm、肉厚6mm、比抵抗10−6Ωmとした。
図13に示すように、ケーシングパイプ10を中心として12方向に展開した長さ500mの測線41上に20m間隔で電位測定点42(図中に●で示す電位電極)を設定した。また、電流源43(図中に○で示す電流源)の位置については以下の(1)〜(4)の4ケースを想定してシミュレーション・データを作成し、それぞれを解析した。
また、図14に示すようにケーシングパイプ10内に深度50mごとにケーシングパイプ内電流源44を配置した。
(1)流電電位法(300データ)
ケーシングパイプの上端部及び下端部に1点通電した。これは通常の流電電位法測定に相当する。
(2)流電電位法に地表電流源を追加(18,240データ)
流電電位法測定に加えて、地表測線に100m間隔で電流源を設けて測定することとした。
(3)流電電位法にケーシングパイプ内電流源を追加(3,300データ)
上記(1)の流電電位法に加えて、ケーシングパイプ内に50m問隔で電流源を設けて測定することとした。
(4)流電電位法に地表電流源及びケーシングパイプ内電流源を追加(21,240データ)
上記の(2)と(3)を併用した測定を行うこととした。
ここで検討したモデルでは、バックグランド比抵抗が10Ωmと低いのでケーシングパイプ自身の電気抵抗の影響が現れて完全な導体の挙動は示さない。
図15、図16はそれぞれ、電流源43の深度が異なる場合の電位分布の変化を示す立面図で、図15は電流源43の深度が深度0m、図16は電流源44が深度500mの位置にあるときの電位分布を示している。電流源43,44がケーシングパイプ10内にあっても電流源43,44の深度によってケーシングパイプ10外の電位分布は若干変化する。
この情報をトモグラフィ・データとして活用することによって、深部のトモグラフィの解析精度を向上することができる。このような測定配置は、地震探査におけるオフセットVSP(Vertical Seismic Profiling)や坑井と地表間のトモグラフィに相当するものである。
次に、図17〜図18に示すように、ケーシングパイプを中心として同心円筒形にグリッド51を配置した。図17は水平断面図、図18は図17の中心を通る立面断面図(鉛直断面図)である。各グリッド点52に比抵抗を与えることとし、各要素の比抵抗はグリッド点52の比抵抗から内挿されるものとして定義することとした。このように各要素51の比抵抗を定義すると、要素51の比抵抗とグリッド点52の比抵抗は線形関係となる。従って、各要素51の感度に内挿の際の重み係数(内挿関数の係数)をかけることによって、容易にグリッドの感度を導くことができる。このようにして求められた各グリッドの感度を使って制約付最小二乗法による逐次修正法を適用し、最適な比抵抗モデルを求めた。なお、初期モデルは均一な比抵抗分布であるとし、比抵抗の値は全データの見掛比抵抗のメディアン値を使った。
逆解析した結果を図19〜図22に示した。図19〜図22はケーシングパイプ10を含む縦断面図で、測定された比抵抗分布を等高線で描いたもので、等高線に付されている数字は比抵抗値(Ωm単位)を示したものである。
図19は通常の流電電位法による測定に係るもので、ケーシングパイプ10の孔口に電流源43を設けて通電した通常の流電電位法の測定結果である。深度500mに存在する低比抵抗異常体40は全く検出されずに、その上方の深度100m付近にバックグランド比抵抗の値よりやや低い比抵抗の擬像61が現れており、低比抵抗異常体40について、検出精度及び深度方向位置決定精度が低いことが確認された。
これに対して図20に示すように、地表101に多数の電流源43を設けて測定データを追加すると、精度はやや改善され、深度500mのケーシングパイプ10の先端付近に右上に伸びる低比抵抗部異常体40の像62が検出された。このように、通常の流電電位法にケーシングパイプ10以外の地表部に電流源43を迫加することによって、探査精度が向上することが示された。
図21は、図20にケーシングパイプ10の深度方向に沿って50mごとにケーシングパイプ内電流源44を追加して測定した結果を示す断面図で、ケーシングパイプ100の先端付近の低比抵抗異常体40の直上にやや上向きに拡がる像63が明瞭に検出されている。
さらに、地表101及びケーシングパイプ10内の双方に電流源43及び44を追加した結果、図22に示すように、低比抵抗異常体40の近傍に、その明確な像64が現出した。従って、探査精度の大幅な改善が認められた。
ケーシングパイプ10自身の電気抵抗を無視することができる場合は、坑井内のどの位置に電流源があってもケーシングパイプ外の電位分布は変わらないため、ケーシングパイプ10内で電流源の位置を変えた測定を実施しても探査精度の向上は望めない。しかし、バックグランド比抵抗が小さな場合には、ケーシングパイプ10内の各深度の位置に電流源を配設したトモグラフィ的な測定によって、探査精度が大きく向上することが分かった。
以上のように、塩水で飽和した低比抵抗の堆積岩地帯に流電電位法を適用した場合の問題点をミュレーションによって検討した結果、低比抵抗領域で流電電位法を適用した場合には、ケーシングパイプ長の増大とともにケーシングパイプの抵抗の影響によって電流が先端まで流れなくなり、その場合には流電電位法を適用してもケーシングパイプ先端付近の情報が得られないという可能性があったが、ケーシングパイプ内部の複数の深度に電流源をおいて逆VSP型の測定を行うことも原理的には可能であり、これによって探査精度を大幅に改善することができた。
本発明の解析用FEMモデルの斜視図である。 図1の平面図である。 図1の中心位置の立面断面図である。 図3の部分拡大図である。 電位シミュレーションを示す模式図である。 本発明方法の全体説明図である。 FEM要素サイズ及び要素形状と等価電極径との関係を示すグラフである。 ケーシングパイプの長手方向に沿う流出電流密度分布を示すグラフである。 バックグランド比抵抗が1Ωmのときの地中電位分布を示す図である。 バックグランド比抵抗が10Ωmのときの地中電位分布を示す図である。 バックグランド比抵抗が100Ωmのときの地中電位分布を示す図である。 バックグランド比抵抗が1000Ωmのときの地中電位分布を示す図である。 シミュレーションに用いた比抵抗モデルの平面図である。 図13の中心を通る立面断面図である。 電流源深度が0mの場合の電位分布を示す断面図である。 電流源深度が500mの場合の電位分布を示す断面図である。 同心円筒形にグリッドを配したモデルの平面図である。 図17の中心を通る立面断面図である。 逆解析結果を示す低比抵抗部の検出を示す立面断面図である。 逆解析結果を示す低比抵抗部の検出を示す立面断面図である。 逆解析結果を示す低比抵抗部の検出を示す立面断面図である。 逆解析結果を示す低比抵抗部の検出を示す立面断面図である。
符号の説明
1 FEMモデル
10 ケーシングパイプ
11 トランスミッタ
12 電流
13 流体流
20 レコーダ
21 コンピュータ
31、32、33、34 電流密度曲線
40 比抵抗異常体
41 測線
42 電位測定点
43、44 電流源
51 グリッド(要素)
52 グリッド点
61 擬像
62、63、64 像
100 解析対象区域
101 地表
102 測点
103 交点

Claims (4)

  1. 導電性のケーシングパイプを有するボーリング孔中に電極を挿入し、ボーリング孔内の電極と地表に設置した電極アレイ間又は、ボーリング孔中の電極と他のボーリング孔中の電極間で比抵抗トモグラフィ測定を実施して、地下の2次元的又は3次元的な比抵抗分布を求めることを特徴とする地層内の比抵抗測定方法。
  2. 前記ケーシングパイプへの通電を電流源深度を変更しつつ実施することを特徴とする請求項1記載の地層内の比抵抗測定方法。
  3. 前記ケーシングパイプをFEMの線要素及び接地抵抗要素を使ってモデル化してケーシングパイプの影響を適切に評価し、ケーシングパイプ上の電流密度を評価することによって、比抵抗の解析精度を向上することを特徴とする請求項1又は2記載の地層内の比抵抗測定方法。
  4. ケーシングパイプ電流分布測定装置を用いて計測した電流密度分布を使い、測定されたケーシングパイプから流出する電流を点電流源又は微小線電流源の重ね合わせとして計算し、FEM又は差分法によって解析することを特徴とする請求項1又は2記載の地層内の比抵抗測定方法。
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