JP2007283793A - 路面凹凸検出装置 - Google Patents

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和弘 竹藤
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Abstract

【課題】走行路面が悪路であるかどうかをより精度よく判定できる路面凹凸検出装置を提案する。
【解決手段】左右の車輪1を回転自在に支持する左右のアクスル2を、トレーリングアーム3を介してビーム部材5で連結する。そのビーム部材5の、上下方向への傾きの変位に基づき、路面凹凸を判定する。ビーム部材5に対し車両前後方向軸まわりに回転自在に支持される質量体と、その質量体のビーム部材に対する回転方向の相対変位検出手段により検出した相対変位に基づき、上記傾きを求める。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両に設けられる路面凹凸検出装置に関する。
路面の凹凸状態を検出する装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術は、車両のロール運動に着目したもので、検出した横加速度に基づき車両のロール方向の運動方程式によって車両の推定ロール角φaを演算すると共に、検出されたロールレートφdに基づきその積分値として検出ロール角φを演算し、検出ロール角φと推定ロール角φaとの偏差△φに基づいて走行路面が悪路であるか否かの判定を行う技術である。
特開2002−12138号公報
上記従来技術では、横加速度の検出結果を利用して車両のロール方向の運動方程式から推定ロール角を推定しているが、この推定精度の向上に限度がある。例えば、一般的に車両のロール方向の運動方程式のパラメータには車両の重量があるが、実際の使用時における車両の重量は、乗員の数や積載物の重量などで異なるため、その分だけ推定ロール角と実際のロール角との間に乖離が生じ誤差となる。また、車両のロール方向の運動方程式のパラメータに路面の摩擦係数がある。しかし、路面状況は逐次変化するので、その分だけ推定ロール角と実際のロール角との間に乖離が生じ誤差となる。
そこで本発明は、走行路面が悪路であるかどうかをより精度よく判定できる路面凹凸検出装置の提案を課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の路面凹凸検出装置は、左右の車輪を回転自在に支持する左右の回転支持部材間を連結するビーム部材の、車両正面視における傾きの変位(以下、傾動変位とも呼ぶ)に基づき、路面凹凸を判定する装置である。
本発明によれば、左右の車輪支持部材をビーム部材で連結するので、車両正面視において、ビーム部材が水平線に対して傾くのは、路面に凹凸があって左右輪が車両上下方向逆位相でストロークするときであり、車両旋回時に車体がロールするときには、水平線に対してビーム部材は傾かない。したがって、ビーム部材の傾動変位を検出することによって、路面凹凸を判断することができる。つまり、本発明によれば、乗員が感じる車体のロール変位に含まれる、路面凹凸によるロール変位と転舵時のロール変位とを分離して認識することが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
本実施形態のサスペンション構成は、トレーリングアーム式サスペンションであって、図1に示す平面図のように、左右の車輪1がそれぞれ左右のアクスル2(回転支持部材)に回転自在に支持されている。その左右のアクスル2にそれぞれトレーリングアーム3の後端部が連結し、その各トレーリングアーム3は車両前後方向前方に延在している。上記トレーリングアーム3の前端部はブッシュ4を介して車体に上下揺動可能な状態で連結している。さらに上記左右のトレーリングアーム3間が車幅方向に延在するビーム部材5によって連結されている。この構成によって、左右のトレーリングアーム3を介して、左右のアクスル2は、上記ビーム部材5を介して連結されている。
なお、本実施形態の適用できるサスペンション装置は、上記トレーリングアーム式サスペンションの構成に限定されない。左右のアクスル2を直接ビーム部材5で連結するサスペンション構成などであっても、本発明を適用可能である。
そして、上記ビーム部材5に対し傾動変位検出装置6(傾動変位検出手段)が設けられている。すなわち、車両前後方向に向けた回転軸8周りに質量体10が支持されている。その構造を、図2及び図3を参照して次に説明する。
ビーム部材5にブラケット7が固定されている。そのブラケット7は、車両前後方向後方に向く取付け面7aを有する。なお、ブラケット7の取付け位置は、車幅方向中央位置である必要はない。車両前後方向から見た、ビーム部材5の傾き(以下、単に傾動と呼ぶ)を検出するので、ビーム部材5に固定されていれば、場所は限定されない。他の部品との干渉を考慮して取付け位置を決定すればよい。
上記ブラケット7の取付け面7aから車両前後方向後方に向けて回転軸8が突出し、その回転軸8に対して質量体10が回転自在に支持されている。本実施形態の質量体10は、円板形状をしていて、その中心部が軸受9を介して上記回転軸8に支承されている。
また、上記質量体10と同軸に、当該質量体10の外周側に外筒11が配置されている。その外筒11は上記取付け面7aに固定されている。外筒11の内径面には、円周方向に沿って延在すると共に、一部が切り欠かれた環状の導体12が2条設けられていている。本実施形態では、図3に示すように、2条の環状の導体12は、最下部で切り欠かれている。
そして、上記質量体10の最下部位置(環状の導体12の切欠き部分に向く位置)には、小型の導体13が外筒11側に突出するように設けられている。この小型の導体13は、取付け面7aに対して質量体10が相対的に回転変位して上記環状の導体12と対向する位置まで移動すると、2条の環状の導体12の両方に摺接するようになっている。なお、小型の導体13は、摺接抵抗を小さくするため、摺接部がリップ状や弾性を有することが好ましい。
また、上記小型の導体13が最下部に位置するように、上記質量体10は、下部の質量が相対的に重くなるように偏心していても良い。例えば、最下部側に重りを付けても良い。または、質量体10の形状を円板形状とする代わりに円弧状の形状などにしても良い。質量体10の形状は、特に限定はなく、回動変位する際に外筒11と接触することが無ければ良い。導体12,13は、相対変位検出手段を構成する。
さらに、取付け面7aと質量体10とは、回転軸8に同軸に配置されたコイルバネ17によって連結されている。このコイルバネ17は、弾性部材を構成し、上記小型の導体13が最下部となる初期位置に質量体10を付勢している。
また、2条の環状の導体12は、ケーブル14を介してバッテリその他の電源15に接続されている。
そして、路面凹凸判定部16(路面凹凸判定手段)は、上記ケーブル14に流れる電流値に基づき、取付け面7aに対する質量体10の回転変位量を検出し、その回転変位によって路面の凹凸状況(悪路状況)を推定する。ここで、ビーム部材5の傾動変位に伴い取付け面7aに対し質量体10が回転変位して小型の導体13が2条の環状の導体12の両方に摺接することで通電状態となる。そして、小型の導体13の上記2条の環状の導体12に対する摺接位置によって2条の環状の導体12による抵抗値が変わることで、上記回転変位量が検出される。
上記路面凹凸判定部16による路面の凹凸状況(悪路状況)の推定は、例えば、傾動変位に対応する相対回転変位量の最大値で推定したり、回転変位の周期、角速度などに基づいて判定したりする。
(作用効果)
左右輪のアクスル2をビーム部材5で連結すると、ビーム部材5が水平線に対して傾動するのは、路面に凹凸があって左右輪が車両上下方向逆位相でストロークするときであり、車両旋回時に車体がロールするときには、水平線に対してビーム部材5は傾かない。したがって、車両前後方向から見たビーム部材5の傾動変位を検出し、所定以上に傾いているときには路面凹凸があると判断することができる。このように、本実施形態にあっては、乗員が感じる車体のロール変位に含まれる、路面凹凸によるロール変位と車両旋回によるロール変位とを分離して、路面凹凸によるロール変位だけを認識して路面凹凸を判断することができる。
また、路面の凹凸と直接的に関係するビーム部材5の車両正面視における傾く変位によって路面凹凸を判断することで、誤差を小さく抑えられる。
また、本実施形態では、ビーム部材5の傾動変位を、車両前後軸周りに回転自在な質量体10の相対回転変位に基づき検出している。すなわち、質量体10がビーム部材5に対し回転自在に連結されているため、ビーム部材5に回転方向変位が発生したときに、質量体10は慣性質量によってもとの位置に留まる、若しくは回転変位が遅れる。この結果、質量体10とビーム部材5との間に、回転方向の相対変位が発生し、その相対変位がビーム部材5の傾動変位に相当するものとして検出される。このような構成とすることで、簡易な構成によってビーム部材5の傾動変位を検出することができる。
すなわち、路面から左右輪に逆相入力が入るまでは、模式図である図5に示すように、外筒11と質量体10は相対的に回転しない。更に、車両が走行して、路面の凹凸に遭遇し、左右輪に高低差がついてビーム部材5が傾動する、ビーム部材5に連結されている外筒11が回転変位する。外筒11が回転し、質量体10に対しコイルバネ17によって回転方向の力が付加されても、質量体10は自身の慣性により回転が遅れるため、外筒11と質量体10の回転に差が生じ、模式図である図5のように相対回転角度θが発生する。この相対回転角度θの発生によって、図6のように、小型の導体13と環状の導体12が触れて通電し、その左右輪の高低差に応じた相対回転角度θ、つまり路面の凹凸を検出することができる。
ここで、上記質量体10の慣性質量が大きくして、外筒11に対する質量体10の回転が遅れるようにして、質量体10とビーム部材5とのあいだに生じる回転方向の相対変位をより大きくするようにしても良い。慣性質量を大きくする方法としては、例えば質量体10の外周側を重くしたり(例えばリブを設けたり)、質量体10の径を大きくしたりすることで実現できる。
また、上記のように取付け面7aに対する質量体10の回転方向を初期位置に付勢するバネ17を設けることで、質量体10の不必要な回転変位(揺動)を抑えられる。例えば、車両旋回時に質量体10に車両幅方向の加速度が作用したときに、コイルバネ17による付勢がないと、質量体10が若干回転してしまい、ビーム部材5に傾動変位が発生した、つまり所定以上の路面凹凸があると誤判定してしまうおそれがあるため、路面凹凸を検出する回転変位量の閾値を大きく設定しておく必要がある。これに対し、コイルバネ17で質量体10を初期位置に付勢しているため、横加速度による質量体10の揺動を小さく抑えられ、路面凹凸を検出する回転変位量の閾値をその分、小さく設定しても、誤判定の頻度を少なくすることができる。
また、質量体10の質量とコイルバネ17の剛性とで決まる固有振動の周波数を、路面凹凸が発生する周波数帯域の最低周波数と一致させるか、その最低周波数よりも低い周波数に設定すると良い。
すなわち、質量体10とコイルバネ17とで構成される振動系は、その固有振動周波数より低い周波数帯域では、質量体10とビーム部材5とが同位相で回転方向変位し、その固有振動周波数より高い周波数帯域では、質量体10とビーム部材5とが逆位相で回転方向変位する。したがって、路面凹凸により発生するビーム部材5と質量体10との回転方向相対変位を検出するためには、路面凹凸が発生する周波数帯域に対して、固有振動数周波数を一致または低く設定することが好ましい。
また、車両旋回時の横加速度により生じる質量体10の振動の周波数は、路面凹凸発生周波数帯域に対して低いため、前述のように固有振動周波数を設定することにより、車両旋回時の横加速度により生じる質量体10の振動を抑制することができる。その結果、車両旋回時を路面凹凸発生時と誤判定する可能性を低減することができる。
以上のことを詳説すると、路面入力周波数が低周波の場合、質量体10の遅れが小さくなるため、図8に示すように相対回転角度θが小さい。また、質量体10の質量とコイルバネ17のばね定数によって決まる共振周波数付近の路面入力周波数では、ビーム部材5の回転に対して質量体10の回転が90度の位相遅れを持つため、図8のように相対回転角度θが大きくなる。更に、共振周波数より高い周波数になると、質量体10がビーム部材5の回転に追従できずにほとんど回転しなくなるため、図9に示すようにビーム部材5の回転がほぼ相対回転角度θとなる。以上の結果から、相対回転角度θの周波数特性は図10に示す通りとなる。
このように、相対回転角度θを検出することで、検出したい周波数を、凹凸検出と判断する相対回転角度θの閾値で決定することができる。
ここで、上記実施形態では、回転軸8と同軸に配置したコイルバネ17のバネ力によって、ビーム部材5に対して質量体10を回転方向における初期位置に付勢しているが、これに限定されない。模式図である図11のように、車両前後方向からみて対称に配した一対の弾性部材20(バネなど)によって質量体10とブラケット7とを連結して、初期位置に付勢しても良い。
また、上記説明では、電気抵抗を利用して相対回転変位を検出しているが、これに限定されない。図12のように、質量体10の表面に周方向に沿って並ぶ複数の突起21や溝などを設け、それに対向するようにロータリーエンコーダ22を配置して外筒に固定し、相対回転変位を検出しても良い。
また、上記実施形態では、回転変位によって傾動変位を検出しているが、傾動変位が検出できれば、他の方法によって傾動変位を検出するようにしても良い。
本発明に基づく実施形態に係るサスペンション装置を示す模式的平面図である。 本発明に基づく実施形態に係る傾動変位検出装置を示す側面図である。 本発明に基づく実施形態に係る傾動変位検出装置を示す正面図である。 傾きが発生していない状態を示す模式図である。 傾きが発生している状態を示す模式図である。 傾きが発生している場合における導体の状態を示す図である。 路面入力周波数が低周波の場合の状態を説明する図である。 質量体の質量とコイルバネのばね定数によって決まる共振周波数付近の路面入力周波数の場合の状態を説明する図である。 質量体の質量とコイルバネのばね定数によって決まる共振周波数より高い路面入力周波数の場合の状態を説明する図である。 路面逆相入力周波数と相対回転角度との関係を示す図である。 弾性体の配置の別の例を示す模式図である。 相対回転を検出する別の方法を説明する側面図である。
符号の説明
1 車輪
2 アクスル(回転支持部材)
5 ビーム部材
6 傾動変位検出装置
7a 取付け面
8 回転軸
10 質量体
11 外筒
12 環状の導体
13 小型の導体
16 路面凹凸検出部
17、20 コイルバネ(弾性体)
22 ロータリーエンコーダ
θ 相対回転角度

Claims (4)

  1. 左右の車輪をそれぞれ回転自在に支持する左右の回転支持部材と、車幅方向に延在して上記左右の回転支持部材を連結するビーム部材と、を備えるサスペンション装置を備えた車両に設けられる路面凹凸検出装置において、
    上記ビーム部材の車両正面視における傾きを検出する傾動検出手段と、その傾動検出手段が検出した傾きに基づき路面凹凸を判定する路面凹凸判定手段と、を備えることを特徴とする路面凹凸検出装置。
  2. 上記傾動検出手段は、
    上記ビーム部材に対し車両前後方向軸まわりに回転自在に支持される質量体と、その質量体のビーム部材に対する回転方向の相対変位を検出する相対変位検出手段と、を備え、相対変位検出手段が検出した相対変位に基づき、ビーム部材の上記傾きを求めることを特徴とする請求項1に記載した路面凹凸検出装置。
  3. ビーム部材に対する質量体の回転方向位置を初期位置に付勢する弾性部材を備えることを特徴とする請求項2に記載した路面凹凸検出装置。
  4. 質量体の質量と弾性部材の剛性とで決まる固有振動の周波数を、路面凹凸が発生する周波数帯域の最低周波数と一致または、その最低周波数より低い周波数に設定することを特徴とする請求項3に記載した路面凹凸検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018001901A (ja) * 2016-06-30 2018-01-11 アイシン精機株式会社 走行支援装置
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