JP2007274770A - ブラシ支持構造 - Google Patents

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Kenji Mori
賢二 森
Yoji Higuchi
陽二 樋口
Mitsuharu Morishita
光晴 森下
Toshio Fujiwara
利雄 藤原
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Abstract

【課題】ブラシホルダの材料とブラシの材料との熱膨張係数の相違に起因した騒音の増加を効果的に低減すること。
【解決手段】本発明は、回転体に摺動接触するブラシ10をブラシホルダ30内に摺動可能に保持するブラシ支持構造であって、前記ブラシホルダの内周面に囲繞される前記ブラシの外周面に、前記ブラシホルダの材料と略同一の熱膨張係数の材料により形成されるブラシ被覆部材40(40A〜40F)を設けたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転体に摺動接触するブラシをブラシホルダ内に摺動可能に保持するブラシ支持構造に関する。
従来から、銅合金の薄板からなる表板と裏板の2重構造を形成し、表板と裏板の間に、高分子材料よりなる振動吸収体を設けたブラシホルダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭63−105472号公報
しかしながら、上述の従来技術では、銅合金とブラシの材料との熱膨張係数の相違により、温度変化に伴って、ブラシの外周面とブラシホルダの内周面の隙間(クリアランス)が変化する。このため、例えば、銅合金の熱膨張係数がブラシの材料の熱膨張係数よりも大きく、温度上昇時にブラシの外周面とブラシホルダの内周面の隙間が大きくなる場合には、ブラシとコンミュテータの間で安定した摺動が得られなくなり、ブラシとコンミュテータとの間の不安定な摺動に起因する騒音や、ブラシとブラシホルダの間の打音に起因する騒音が大きくなる。他方、ブラシの材料の熱膨張係数が銅合金の熱膨張係数よりも大きく、温度上昇時にブラシの外周面とブラシホルダの内周面の隙間が小さくなる場合には、ブラシとブラシホルダの間の固着が問題となる。この固着を防止するには、ブラシの外周面とブラシホルダの内周面の隙間を、熱膨張係数の差を考慮して予め大きめに設定せざるを得ず、上述の各種騒音に対して不利な構成を取らざるを得なくなる。
また、ブラシの材料は、一般的にカーボン系材料であり、ブラシホルダの材料は、一般的に樹脂系材料であり、現実的に、ブラシの材料とブラシホルダの材料を、熱膨張係数の略同一の材料により構成することは困難である。即ち、ブラシを樹脂系材料により形成した場合には、樹脂系材料の高い電気抵抗に起因して、電圧降下が大きくなりすぎる等の問題が生ずる。また、逆に、ブラシホルダをカーボン系材料により形成した場合には、カーボン系材料の低い耐衝撃性に起因して、ブラシホルダが欠ける等の問題が生ずる。
そこで、本発明は、ブラシホルダの材料とブラシの材料との熱膨張係数の相違に起因した騒音の増加を効果的に低減することができるブラシ支持構造の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、回転体に摺動接触するブラシをブラシホルダ内に摺動可能に保持するブラシ支持構造であって、
前記ブラシホルダの内周面に囲繞される前記ブラシの外周面に、前記ブラシホルダの材料と略同一の熱膨張係数の材料により形成されるブラシ被覆部材を設けたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係るブラシ支持構造において、
前記ブラシ被覆部材は、一体成形又は圧入により、前記ブラシと一体化されることを特徴とする。これにより、例えばブラシ被覆部材の材料の方がブラシの材料よりも熱膨張係数が大きい場合にも、熱膨張時にブラシ被覆部材とブラシとの間に発生しうる隙間を無くす又は低減することができる。
第3の発明は、第1又は2の発明に係るブラシ支持構造において、
前記ブラシ被覆部材は、前記ブラシの外周面に対して離間して対向する基部と、前記ブラシの外周面に当接する当接部とを一体的に備え、
前記当接部は、可撓性を有するように前記基部に接続されていることを特徴とする。これにより、例えばブラシ被覆部材の材料の方がブラシの材料よりも熱膨張係数が大きい場合にも、当接部の可撓性により、熱膨張時にブラシ被覆部材とブラシとの間に発生しうる隙間を無くす又は低減することができる。
第4の発明は、第3の発明に係るブラシ支持構造において、
前記当接部は、前記基部に比べて薄肉に形成された部位を介して、前記基部に接続されていることを特徴とする。これにより、当接部に適切な可撓性を付与することができる。
第5の発明は、第3又は4の発明に係るブラシ支持構造において、
前記当接部は、撓んだ状態で前記ブラシの外周面を押圧していることを特徴とする。これにより、例えばブラシ被覆部材の材料の方がブラシの材料よりも熱膨張係数が大きい場合にも、当該熱膨張量の差が当接部の撓みにより吸収されるので、熱膨張時にブラシ被覆部材とブラシとの間に発生しうる隙間を無くす又は低減することができる。
第6の発明は、第1の発明に係るブラシ支持構造において、
前記ブラシ被覆部材は、前記ブラシの外周面に対して離間して対向する基部を備え、
該基部と前記ブラシの外周面との間の隙間に弾性部材が設けられることを特徴とする。これにより、例えばブラシ被覆部材の材料の方がブラシの材料よりも熱膨張係数が大きい場合にも、当該熱膨張量の差が弾性部材の弾性変形により吸収されるので、熱膨張時にブラシ被覆部材とブラシとの間に発生しうる隙間を無くす又は低減することができる。
第7の発明は、第1から6のいずれかの発明に係るブラシ支持構造において、
前記ブラシホルダの内周面と前記ブラシ被覆部材の外周面の隙間は、略ゼロに設定されることを特徴とする。これにより、ブラシホルダの内周面と前記ブラシ被覆部材の外周面の隙間に起因した各種騒音を最小化しつつ、ブラシホルダに対するブラシ被覆部材(ブラシ)の摺動を確保することができる。
本発明によれば、ブラシホルダの材料と略同一の熱膨張係数の材料により形成されるブラシ被覆部材を設けることで、ブラシホルダの材料とブラシの材料との熱膨張係数の相違に起因した騒音の増加を効果的に低減することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明によるブラシ支持構造の一実施例を示す断面図である。図1は、ブラシ付きDCモータ7にブラシ支持構造が適用された例を示し、図1には、ブラシ10に接触するコンミュテータ(整流子)20が概略的に示されている。コンミュテータ20は、アーマチァ(電機子)に巻きつけられたコイル(巻き線)が接続され、アーマチァの周辺には、永久磁石(界磁石)を備えるステータが配置される。モータ7の動作時には、ブラシ10が、ブラシリード線12から供給される電気を、コンミュテータ20に摺動接触を介して供給することで、モータ7(アーマチァ)の回転運動が引き起こされる。
ブラシ10は、コンミュテータ20に摺動接触を介して電気を供給する部品であり、例えばカーボン系材料の焼結体からなる。本例のブラシホルダ30は、矩形の断面を有する。ブラシ10の背面には、ブラシリード線12が接続される。ブラシリード線12は、ブラシホルダ30の背面31に形成された貫通穴32を介して、図示しないDC電源に接続される。
ブラシ10は、先端部10aを除いて、ブラシ被覆部材40により外周面が被覆される。即ち、先端部10aを除くブラシ10の外周面には、ブラシ10の外周面を全周に亘って囲繞するブラシ被覆部材40が設けられる。ブラシ被覆部材40は、ブラシホルダ30との間でがたつきが生じないような適切な長さを有する。図示の例では、ブラシ被覆部材40は、ブラシ10の新品状態(磨耗の無い状態)で、ブラシ10の先端部10a(使用可能部位)を除く全部位を嵌合し、ブラシホルダ30の背面31に着座する位置まで延在する。ブラシ被覆部材40の断面形状の詳細は後述する。
ブラシ被覆部材40は、ブラシホルダ30と略同一の熱膨張係数を有する材料により形成される。ブラシ被覆部材40は、ブラシホルダ30と同一の材料(例えば後述の樹脂)又は同質の材料により形成されてよい。ブラシ被覆部材40とブラシ10とは、インサート成型により一体的に形成されてもよく、或いは、別々に形成され、圧入により一体化されてもよい。以下、ブラシ10とブラシ被覆部材40の一体品を、「ブラシアセンブリ11」という。
ブラシホルダ30は、例えばフェノール系やPBT(ポリブチレンテレフタレート)系等の樹脂材料の成型品である。ブラシホルダ30は、断面矩形の筒状の形態を有し、ブラシアセンブリ11を収容するための内部空間を有する。ブラシホルダ30は、ブラシ10の先端面がコンミュテータ20の外面に径方向から対向するように、図示しないモータ7のハウジングに対して固定支持される。
ブラシホルダ30の内部空間には、ブラシアセンブリ11が収容される。ブラシアセンブリ11の外周面(ブラシ被覆部材40の外周面)とブラシホルダ30の内周面の間には、隙間が設定される。即ち、ブラシアセンブリ11は、ブラシホルダ30に対して摺動可能に支持される。
ブラシホルダ30の内部空間には、ブラシスプリング14が収容される。ブラシスプリング14の一端は、ブラシホルダ30の背面31に着座し、他端は、ブラシアセンブリ11の背面(ブラシ10の背面)に当接する。ブラシアセンブリ11は、ブラシスプリング14の弾性力により、コンミュテータ20に向けて付勢される。従って、ブラシ10の先端部10aがコンミュテータ20との摺動接触により経時的に磨耗していくと、その磨耗分の長さだけ、ブラシアセンブリ11がコンミュテータ20に向けてブラシホルダ30内を摺動(移動)する。これにより、ブラシ10とコンミュテータ20との摺動接触が長期に亘って維持される。
本実施例では、ブラシアセンブリ11のブラシ被覆部材40は、上述の如く、ブラシホルダ30と略同一の熱膨張係数を有するので、温度変化に伴ってブラシアセンブリ11及びブラシホルダ30が熱膨張又は熱収縮した場合でも、ブラシアセンブリ11の外周面(ブラシ被覆部材40の外周面)とブラシホルダ30の内周面の隙間は、実質的に変化しない。従って、本実施例では、ブラシアセンブリ11の外周面とブラシホルダ30の内周面の隙間は、ブラシホルダ30に対するブラシアセンブリ11の摺動を実現する上で必要な最小値に設定することができる。即ち、ゼロより僅かに大きな値(略ゼロ)に設定することができる。これにより、ブラシホルダ30に対するブラシアセンブリ11の動きが最大限に抑制されるので、モータ7の動作時に生じうる各種騒音(例えば、ブラシ10とコンミュテータ20との間の不安定な摺動に起因する騒音や、ブラシアセンブリ11とブラシホルダ30の間の打音)が低減される。また、電流リップル成分を検出してモータ7の回転数制御を行う構成では、リップル電流の変動が小さくなるため、精度良く安定してモータ7の回転数を検出することができる。
次に、図2〜図7を参照して、ブラシ被覆部材40とブラシ10との接続態様(嵌合態様)について、幾つかの実施例に分けて説明する。図2〜図7は、モータ7の中心軸から径方向に視たブラシ被覆部材40(40A〜40F)及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。尚、形式上、各実施例によるブラシ被覆部材40の構成は異なるので、各実施例によるブラシ被覆部材40には、アルファベットの大文字を用いた異なる参照符号40A〜40Fを付す。
実施例1によるブラシ被覆部材40Aは、図2に示すように、全体としてブラシ10の外形に対応した矩形のボックス断面を有し、基部42Aと、当接部44Aを備える。基部42Aは、厚肉に形成され、ブラシ被覆部材40Aに必要な剛性・強度を確保する機能を有する。基部42Aは、ブラシ10の4隅の角部に対応して4隅に設定され、当接部44Aは、ブラシ10の4面に対応して、各基部42Aの間に設定される。
基部42Aの外周面は、ブラシアセンブリ11の外周面を構成する。即ち、基部42Aの外周面とブラシホルダ30の内周面の隙間は略ゼロである。基部42Aの内周面とブラシ10の外周面との間には、図2に示すように、僅かな隙間があってもよい。
当接部44Aは、薄肉部位46Aを介して基部42Aに接続されている。これにより、当接部44Aに可撓性が付与される。即ち、当接部44Aは、基部42Aに対して相対的に、ブラシ10の外周面に直角な方向(図2の矢印Y1、Y2参照)に沿って撓むことができる。
ブラシ被覆部材40Aとブラシ10が嵌合された状態では、各当接部44Aは、図2に示すように、ブラシ10の外周面に接触(当接)している。この状態では、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との隙間はゼロであり、これにより、ブラシ10とブラシ被覆部材40Aの隙間に起因した打音等の騒音が防止される。
ところで、モータ7の周辺温度の変化やモータ7の発する作動熱等に起因して、ブラシ周辺の温度は、変化しうる。ブラシ周辺の温度が上昇すると、樹脂成形品であるブラシ被覆部材40Aの熱膨張係数の方が、カーボン焼結品であるブラシ10の熱膨張係数よりも大きいため、ブラシ被覆部材40Aの方が、ブラシ10よりも大きく熱膨張する。従って、ブラシ周辺の温度が上昇すると、これら2つの部材40A,10の熱膨張量の差に起因して、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との間に隙間が発生しうる。
このため、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10の嵌合態様は、好ましくは、想定される最も高い温度Tで、ブラシ10の外周面に対する当接部44Aの接触(隙間ゼロ)が維持されるように構成される。尚、温度Tは、上昇しうる最大温度周辺の温度であってよく、モータ7の使用環境等を考慮して、適切に決定される。
具体的には、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10とを圧入により一体化する構成の場合には、対向する2つの当接部44A間の幅寸法を、ブラシ10の幅L1(ノミナル値)よりも、少なくとも熱膨張量の差(想定される最大値)の分だけ小さく設定しておけばよい。この場合、温度Tより低い温度環境下では、各当接部44Aが、ブラシ10の外周面から離間する方向(図2のY1方向)に撓む。即ち、各当接部44Aは、ブラシ10の外周面を図2のY2方向に押圧した状態となる。これにより、温度T付近まで温度が上昇し、ブラシ被覆部材40Aがブラシ10よりも大きくY1方向に熱膨張しても、その熱膨張量の差異が各当接部44Aの撓み分で吸収されるので、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との接触を維持することができる。
また、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10をインサート成型により一体成形する構成の場合には、成型時の熱によりブラシ被覆部材40Aが熱膨張した状態でブラシ10と一体化されるので、冷却時には、各当接部44Aが、ブラシ10の外周面から離間する方向(図2のY1方向)に撓むことになる。即ち、インサート成型により、焼き嵌めと同様の原理で、各当接部44Aとブラシ10の外周面とが押圧し合う状態で一体化される。これにより、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Aがブラシ10よりも大きくY1方向に熱膨張しても、これら2つの部材40A,10の熱膨張量の差が各当接部44Aの撓み分で吸収されるので、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との接触を維持することができる。
尚、何れの場合であっても、ブラシ周辺の温度が低下した場合には、ブラシ被覆部材40Aの方が、ブラシ10よりも大きく収縮するので、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との一体化が促進され、それ故に、ブラシ10とブラシ被覆部材40Aの間の隙間の問題は生じない。
このように本実施例によれば、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10とを隙間ゼロで嵌合するので、ブラシ10とブラシ被覆部材40Aとの間の打音等が適切に防止される。また、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10とを、圧入又は一体成形により一体化することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Aがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、当接部44Aの可撓性により、ブラシ被覆部材40Aとブラシ10との接触を維持することができる。これにより、温度上昇に伴う熱膨張に起因して、ブラシ10とブラシ被覆部材40Aとの間の打音等が発生しうることを防止することができる。
実施例2によるブラシ被覆部材40Bは、図3に示すように、上述の実施例1によるブラシ被覆部材40Aに対して、薄肉部位46Bのみが異なる。薄肉部位46Bは、図3に示すように、当接部44B側又は基部42B側で更に薄肉に形成されている。これにより、当接部44Bの可撓性が高められる。
本実施例2によっても、ブラシ被覆部材40Bとブラシ10とを隙間ゼロで嵌合するので、ブラシ10とブラシ被覆部材40Bとの間の打音等が適切に防止される。また、ブラシ被覆部材40Bとブラシ10とを、圧入又は一体成形により一体化することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Bがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、当接部44Bの高められた可撓性により、ブラシ被覆部材40Bとブラシ10との接触を維持することができる。
実施例3によるブラシ被覆部材40Cは、図4に示すように、上述の実施例1によるブラシ被覆部材40Aに対して、薄肉部位46Cと当接部44Cが一体的に略同等の薄肉で形成されている点が、主に異なる。薄肉部位46Cと当接部44Cは、図4に示すように、ブラシ10の外周面側が凸となる円弧状に形成される。当接部44Cは、この円弧の中央部により構成される。
本実施例3によっても、ブラシ被覆部材40Cとブラシ10とを隙間ゼロで嵌合するので、ブラシ10とブラシ被覆部材40Cとの間の打音等が適切に防止される。また、ブラシ被覆部材40Cとブラシ10とを、圧入又は一体成形により一体化することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Cがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、当接部44Cの可撓性により、ブラシ被覆部材40Cとブラシ10との接触を維持することができる。特に本実施例3では、薄肉部位46Cと当接部44Cが全体として円弧状に形成されるので、可撓性が高い。即ち、温度変化に伴うブラシ被覆部材40Cの熱膨張及び熱収縮に応じて円弧の曲率半径が変化することで、単位温度変化幅当たりの当接部44CのY2方向及びY1方向の変位量が大きくなる。これにより、熱膨張の差を当接部44Cにより効率的に吸収することができる。
実施例4によるブラシ被覆部材40Dは、図5に示すように、上述の実施例3によるブラシ被覆部材40Cに対して、薄肉部位46Dと当接部44Dの肉厚が更に薄くなっている点が、主に異なる。これにより、当接部44Dの可撓性が更に高められる。
本実施例4によっても、ブラシ被覆部材40Dとブラシ10とを隙間ゼロで嵌合するので、ブラシ10とブラシ被覆部材40Dとの間の打音等が適切に防止される。また、ブラシ被覆部材40Dとブラシ10とを、圧入又は一体成形により一体化することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Dがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、当接部44Dの高められた可撓性により、ブラシ被覆部材40Dとブラシ10との接触を維持することができる。
実施例5によるブラシ被覆部材40Eは、図6に示すように、上述の実施例1によるブラシ被覆部材40Aに対して、基部42Eが全周に亘って存在する点が、主に異なる。基部42Eは、略一定の厚みを有し、基部42Eの内周面全体がブラシ10の外周面に当接する。
本実施例5によっても、ブラシ被覆部材40Eとブラシ10とを隙間ゼロで嵌合するので、ブラシ10とブラシ被覆部材40Eとの間の打音等が適切に防止される。また、本実施例5では、当接部を構成する基部42Eには上述の各実施例に比べて大きな可撓性が付与されていないが、ブラシ被覆部材40Eとブラシ10とを、圧入又は一体成形により一体化することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Eがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、ブラシ被覆部材40Eとブラシ10との接触を維持することができる。また、本実施例5では、ブラシ被覆部材40Eが簡易な断面形状を有するので、成形が容易である。尚、本実施例5は、ブラシ被覆部材40Eの材料自体の可撓性が比較的高く、且つ、ブラシ被覆部材40Eとブラシ10の熱膨張係数の差が小さい場合に特に好適である。これは、ブラシ被覆部材40Eとブラシ10の熱膨張量の差が小さければ、上述の如く基部42Eに大きな可撓性を付与しなくても、基部42E自体の変形により吸収することができるからである。
実施例6によるブラシ被覆部材40Fは、図7に示すように、上述の実施例5によるブラシ被覆部材40Eに対して、基部42Fとブラシ10との間に弾性部材50が存在する点が、主に異なる。弾性部材50は、ゴムや発泡体のような弾性を有する材料からなり、ブラシ被覆部材40Fとブラシ10との間の隙間に充填される。弾性部材50は、図7に示すように、ブラシ10の全周に亘って設けられてもよいし、図2に示した当接部44Aのように、ブラシ10の外周面に対して局所的に接触するような態様で設けられてもよい。
弾性部材50は、好ましくは、弾性変形した状態で、ブラシ被覆部材40Fとブラシ10との間の隙間に装填される。これにより、温度T付近まで温度が上昇し、ブラシ被覆部材40Fがブラシ10よりも大きくY1方向に熱膨張しても、その熱膨張量の差異が弾性部材50の弾性復元分で吸収されるので、ブラシ被覆部材40Fとブラシ10との接触を維持することができる。
本実施例6によっても、ブラシ被覆部材40Fとブラシ10との隙間に弾性部材50が設けられるので、ブラシ10がブラシ被覆部材40Fに対して自由に動くことができず、ブラシ10とブラシ被覆部材40Fとの間の打音等が適切に防止される。また、ブラシ被覆部材40Fとブラシ10との間に、弾性部材50を弾性変形させた状態で装填することで、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40Fがブラシ10よりも大きく熱膨張しても、弾性部材50が弾性変形(膨張)することで、ブラシ被覆部材40F及びブラシ10と弾性部材50との接触を維持することができる。これにより、温度上昇に伴う熱膨張に起因して、ブラシ10とブラシ被覆部材40Fとの間の打音等が発生しうることを防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本発明によるブラシ支持構造は、DCモータに限られず、ブラシを用いて回転体との電気の受電又は給電を行う電気部品であれば、如何なる電気部品に対しても適用可能である。例えば、図8に示すように、発電機7’等のスリップリング22に摺動接触するブラシ10に対しても適用可能である。
また、図2〜図7に示したブラシ被覆部材40A〜40Fは、必ずしも等断面を有している必要はない。例えば、図1に示した断面視でブラシアセンブリ11を示す図9に示すように、ブラシ被覆部材40A〜40Fは、嵌合範囲において、図2〜図7に示した断面を有し、非嵌合範囲において、嵌合範囲とは異なる簡易な断面を有してもよい。例えば、図9に示すように、非嵌合範囲と嵌合範囲との境界部に、ブラシ10の背面に当接する段差41を形成してもよい。これにより、温度上昇に伴ってブラシ被覆部材40A〜40Fとブラシ10の間に僅かな隙間が生じた場合でも、ブラシ10の径方向の位置を拘束することができる。
また、上述の実施例では、矩形断面のブラシ10に対応して、ブラシ被覆部材40A〜40Fが略矩形のボックス断面であったが、ブラシ10の断面が多角形又は円形等であれば、当該断面形状に応じたボックス断面のブラシ被覆部材40A〜40Fを形成すればよい。
以上のとおり本発明は、ワイパモータやブロアモータ等のような、車両に搭載される各種モータ用のブラシ支持構造に限らず、家庭電化製品又は携帯電話等のような身の回りの多くの製品において使用される各種モータ用のブラシ支持構造にも適用可能である。例えばDVDドライブのようなディスク装置やプロッタ、コピー機等で使用される各種モータ用のブラシ支持構造にも適用可能である。
本発明によるブラシ支持構造の一実施例を示す断面図である。 実施例1によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 実施例2によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 実施例3によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 実施例4によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 実施例5によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 実施例6によるブラシ被覆部材40及びブラシ10の嵌合状態を示す断面図である。 本発明によるブラシ支持構造のその他の適用例を示す図である。 図1に示した断面視でブラシアセンブリ11を示す断面図である。
符号の説明
7 モータ
10 ブラシ
11 ブラシアセンブリ
20 コンミュテータ
22 スリップリング
30 ブラシホルダ
31 背面
32 貫通穴
40(40A〜40F) ブラシ被覆部材

Claims (7)

  1. 回転体に摺動接触するブラシをブラシホルダ内に摺動可能に保持するブラシ支持構造であって、
    前記ブラシホルダの内周面に囲繞される前記ブラシの外周面に、前記ブラシホルダの材料と略同一の熱膨張係数の材料により形成されるブラシ被覆部材を設けたことを特徴とする、ブラシ支持構造。
  2. 前記ブラシ被覆部材は、一体成形又は圧入により、前記ブラシと一体化される、請求項1に記載のブラシ支持構造。
  3. 前記ブラシ被覆部材は、前記ブラシの外周面に対して離間して対向する基部と、前記ブラシの外周面に当接する当接部とを一体的に備え、
    前記当接部は、可撓性を有するように前記基部に接続されている、請求項1又は2に記載のブラシ支持構造。
  4. 前記当接部は、前記基部に比べて薄肉に形成された部位を介して、前記基部に接続されている、請求項3に記載のブラシ支持構造。
  5. 前記当接部は、撓んだ状態で前記ブラシの外周面を押圧している、請求項3又は4に記載のブラシ支持構造。
  6. 前記ブラシ被覆部材は、前記ブラシの外周面に対して離間して対向する基部を備え、
    該基部と前記ブラシの外周面との間の隙間に弾性部材が設けられる、請求項1に記載のブラシ支持構造。
  7. 前記ブラシホルダの内周面と前記ブラシ被覆部材の外周面の隙間は、略ゼロに設定される、請求項1〜6のいずれかに記載のブラシ支持構造。
JP2006094617A 2006-03-30 2006-03-30 ブラシ支持構造 Pending JP2007274770A (ja)

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