JP2007273542A - 伝導冷却型超電導磁石装置 - Google Patents

伝導冷却型超電導磁石装置 Download PDF

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Toshiyuki Amano
俊之 天野
Kaoru Nemoto
薫 根本
Shigehisa Kusada
栄久 草田
Tomoji Hirano
智士 平野
Takaya Tominaga
誉也 富永
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Abstract

【課題】超電導コイルの定常運転時における熱侵入を防止する。
【解決手段】真空容器1内に熱シールド板2を介して超電導コイル3を配置して、熱シールド板3を冷凍機7の第1段冷却ステージ7aで冷却し、超電導コイル3を冷凍機7の第2段冷却ステージ7bで冷却するようにした伝導冷却型超電導磁石装置において、第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を純銅の予冷部材8で熱的に接合して、さらに第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を純アルミニウムの冷却部材で熱的に接合したものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、超電導コイルを冷凍機からの伝導冷却により冷却するようにした伝導冷却型超電導磁石装置に関するものである。
従来の伝導型の極低温装置は、冷凍機の高温側冷却ステージに端板を介して取り付けられた円筒体と、低温側冷却ステージに端板を介して取り付けられた円筒体とが微少間隔で対向配置されている。そして、各円筒体は両端板と内壁及び外壁で囲まれた密閉容器内に収納されている。
冷凍機で超電導コイルの冷却を始めると、高温側冷却ステージに接触している熱シールド板が冷却される。一方、冷凍能力の低い低温側冷却ステージに接触している超電導コイル側は常温のままである。高温側冷却ステージ側の円筒体の温度が低くなると、低温側冷却ステージ側の円筒体から高温側冷却ステージの円筒体へと液化ガスを介して熱が移動する。高温側冷却ステージに取り付けられた円筒体の温度が充填されているガスの沸点と同じ温度になると液化ガスの液化が始まり、液滴が低温側冷却ステージ側の端板に落ちる。液化ガスの液滴が蒸発する際に低温側冷却ステージ側の円筒体より潜熱として熱を奪う。このように、液化ガスが液化と蒸発を繰り返すことにより得られる液滴を介して伝熱が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−128742号公報(第4頁、図2)
従来の伝導冷却型の極低温装置では、初期冷却として高温側冷却ステージで熱シールド板を冷却した後、低温側冷却ステージで超電導コイルを定常運転温度まで冷却するが、初期冷却においては低温側冷却ステージの円筒体から高温側冷却ステージの円筒体へと液化ガスを介して伝熱が行われるので、定常運転温度まで冷却する時間がかかるという問題があった。さらに、初期冷却が完了しても高温側冷却ステージと低温側冷却ステージとの間に内壁及び外壁の熱的接合が残っているので、超電導コイルの定常運転時に熱スイッチの内壁及び外壁を通して熱伝導による熱侵入成分が存在するという問題があった。
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、初期冷却時間を短縮すると共に初期冷却が終了した超電導コイルの定常運転時に熱侵入を防止することができる伝導冷却型超電導磁石装置を提供することを目的としたものである。
この発明にかかる伝導冷却型超電導磁石装置は、真空容器内に熱シールド板を介して超電導コイルを配置して、熱シールド板を冷凍機の第1段冷却ステージで冷却し、超電導コイルを冷凍機の第2段冷却ステージで冷却するようにした伝導冷却型超電導磁石装置において、第2段冷却ステージと超電導コイルとの間を銅の予冷部材で熱的に接合して、さらに第2段冷却ステージと超電導コイルとの間を純アルミニュウムの冷却部材で熱的に接合したものである。
この発明は、冷凍機の第2段冷却ステージと超電導コイルとの間を銅の予冷部材とアルミニウムとで熱的に接合したことにより初期冷却時間を短縮すると共に、超電導コイルと外部との間で熱を伝導するものがないので、初期冷却後の定常運転時に超電導コイルへの熱侵入を防止することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における構成図である。図1において、真空容器1内に熱シールド板2が配置されている。そして、超電導コイル3が熱シールド板2を介して熱シールド板2に覆われるように真空容器1内に配置されている。超電導コイル3はFRP等の熱伝導率の低い荷重支持材4で真空容器1に断熱的に支持されている。超電導コイル3の電流リード5は熱シールド板2に固定されたサーマルアンカ6を介して真空容器1の外部へ導出されている。真空容器1に固定された冷凍機7の第1段冷却ステージ7aが熱シールド板2に熱的に接合されている。冷凍機7の第2段冷却ステージ7bと超伝導コイル3との間が、タフピッチ銅あるいはタフピッチ銅以上の残留抵抗比になる純度を有する銅の板状の予冷部材8で熱的に接合されている。さらに、第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間が、残留抵抗比100以上の純度を有するアルミニウムの板状の冷却部材9で熱的に接合されている。
次に動作について説明する。図2は銅とアルミニウムの熱伝導率温度依存性を示す説明図、図3は銅とアルミニウムの抵抗率に与える磁気抵抗効果を示す説明図である。
一般的に使用される熱良導体として銅やアルミニウムがある。これらの純金属は図2に示すように低温領域において熱伝導率が温度によって大きく変化する。図2において、特性10,11は銅の熱伝導率であり、特性12,13はアルミニウムの熱伝導率である。RRR(residual resistivity ratio)は残留抵抗比で、室温における抵抗と液体ヘリウム温度(1気圧下で4.2K)における抵抗との比である。特性10,11は銅、特性12,13はアルミニウムの残留抵抗比である。
図3に示すように磁場環境中における純金属は磁気抵抗効果により磁場がない場合に比べて抵抗率が大きくなる。特性14は純度99.999%(焼鈍)の銅の抵抗率、特性15は純度99.999%(焼鈍)のアルミニウムの抵抗率を示す。金属の熱伝導率は、伝導電子の寄与が大きいため熱伝導率と電気伝導度(抵抗率に反比例)は同じ大小関係になることから、磁場環境中では熱伝導率が小さくなる。特に銅は磁気抵抗効果が顕著に現れる。
図2に示すように、同じ残留抵抗比である銅の特性10,11とアルミニウムの特性12,13とを比較した場合、銅の方がアルミニウムより熱伝導率が大きい。しかし、図3から明らかなように、銅はアルミニウムに比べて磁気抵抗効果が大きく、磁場による熱伝導率(抵抗率に反比例)の低下量が大きい。
このため、50K以下に超電導コイルを伝導冷却する場合、冷却部材としてアルミニウムが適用される。しかし、超電導コイルは室温から50K以下まで冷却するのに必要な寒冷量(熱容量に相当)が大きいのに対して、室温から80Kの温度領域におけるアルミニウムの熱伝導率が銅に比べて小さいため、アルミニウムの冷却部材だけでは初期冷却時間が長くなる。
上記を勘案して実施の形態1においては、2段式冷凍機7の第1段冷却ステージ7aで熱シールド板2を冷却する。超電導コイル3の初期冷却は予冷部材8を介して第2段冷却ステージ7bにより行われる。なお、初期冷却は超電導コイル3が超電導状態で運転可能な定常運転温度まで行われる。このとき、同時に第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を熱的に接合した冷却部材9側も初期冷却に寄与する。
しかし、室温から80Kの温度領域では銅の熱伝導率がアルミニウムの熱伝導率より大きいので、初期冷却時には予冷部材8の方が有効に働く。初期冷却が完了して超電導コイル3の定常運転温度ではアルミニウムの熱伝導率が銅の熱伝導率より大きくなるので、冷却部材9の方が有効に働いて定常運転温度を保持する。このとき、熱伝導率は小さいが予冷部材8側も超電導コイル3の冷却に寄与している。
以上のように、冷凍機7の第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を銅の予冷部材8とアルミニウムとで熱的に接合したことにより初期冷却時には予冷材8が有効に働いて初期冷却時間を短縮すると共に、超電導コイル3と外部との間で熱を伝導するものがないので、初期冷却後の定常運転時に超電導コイル3への熱侵入を防止することができる。
実施の形態1の伝導冷却型超電導磁石装置において、第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を、残留抵抗比100以上の純度を有するアルミニウムの冷却部材9で熱的に接合したものについて説明したが、冷却部材9を純度99.99%(通称4N)以上のアルミニウムで構成することにより、さらに冷却効率を向上させることができる。
実施の形態1の伝導冷却型超電導磁石装置において、例えば超電導磁気浮上式鉄道に使用されている超電導コイルを仮に20K(−253℃)で運用する場合、冷却負荷は超電導コイル1台あたり数Wである。純度99.99%以上の高純度アルミニウム(4Nアルミニウム)の場合、RRR(残留抵抗比)は400〜500であることから、冷却部材は長さが数百mm、幅100〜200mm、厚さ2〜1mm程度の板で構成できる。仮にRRR(残留抵抗比)が100の場合では、冷却部材の厚さはRRR(残留抵抗比)400〜500のものに対して2倍程度の板厚が必要になる。このような構成において、純度99.99%以上の高純度アルミニウム(4Nアルミニウム)の冷却部材9のみで初期冷却もさせると、初期冷却に必要な日数は10日以上となる。これに対して、予冷部材8を設けることにより、初期冷却に必要な日数は1/3〜1/2に短縮することが可能である。
実施の形態1の伝導冷却型超電導磁石装置において、冷凍機7の第2段冷却ステージ7bと超伝導コイル3との間が、タフピッチ銅あるいはタフピッチ銅以上の残留抵抗比になる純度を有する銅の板状の予冷部材8で熱的に接合されたものについて説明したが、予冷部材として室温から80Kレベルにおいてアルミニウムより熱伝導率が大きい金属を使用しても同様の効果を期待することができる。
実施の形態2.
図4は、この発明を実施するための実施の形態2における構成図である。図4において、1〜7は実施の形態1のものと同様のものである。
冷凍機7の第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間が予冷部材16で熱的に接合されている。予冷部材16は第2段冷却ステージ7bと当接された銅の当接部材16a、超電導コイル3と当接された銅の当接部材16b、及び両当接部材16a、16b間を接続した可とう性を有する銅の接続部材16cとで構成されている。予冷部材16を構成している銅は、タフピッチ銅あるいはタフピッチ銅以上の残留抵抗比になる純度を有するものである。なお、接続部材16cは銅を数十ミクロンから数百ミクロンの箔状にして可とう性を持たせて複数枚で構成している。さらに、第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間が冷却部材17で熱的に接合されている。冷却部材17は第2段冷却ステージ7bと熱的に接合されたアルミニウムの接合部材17a、超電導コイル3と熱的に接合されたアルミニウムの接合部材17b、及び両接合部材17a、17b間を接続した可とう性を有するアルミニウムの接続部材17cとで構成されている。なお、接続部材17cはアルミニウムを数十ミクロンから数百ミクロンの箔状にして可とう性を持たせて複数枚で構成している。
上記構成において、冷凍機7の第1段冷却ステージ7aで熱シールド板2が冷却される。超電導コイル3の初期冷却は予冷部材16を介して第2段冷却ステージ7bにより行われる。このとき、同時に冷却部材17側も初期冷却に寄与する。室温から80Kの温度領域では銅の熱伝導率がアルミニウムの熱伝導率より大きいので、初期冷却時には予冷部材16の方が有効に働く。初期冷却が完了して超電導コイル3の定常運転温度ではアルミニウムの熱伝導率が銅の熱伝導率より大きくなるので、冷却部材17の方が有効に働いて定常運転温度を保持する。このとき、熱伝導率は小さいが予冷部材16側も超電導コイル3の冷却に寄与している。
以上のように、予冷部材16及び冷却部材17をそれぞれ可とう性を有する接続部材16c、17cで構成したことにより、超電導コイル3を室温から定常運転温度に冷却するときの温度差による予冷部材16及び冷却部材17の熱収縮に対応することができる。
実施の形態2において、予冷部材16及び冷却部材17はそれぞれ箔状で構成したものについて説明したが、箔状を細線状に裁断しても同様の効果を期待することができる。
また、実施の形態2において、予冷部材16及び冷却部材17はそれぞれ箔状で構成したものについて説明したが、編組線で構成しても同様の効果を期待することができる。
さらに、実施の形態2において、第2段冷却ステージ7bと超電導コイル3との間を、残留抵抗比100以上の純度を有するアルミニウムの冷却部材17で熱的に接合したものについて説明したが、冷却部材17を純度99.99%(通称4N)以上のアルミニウムで構成することにより、さらに冷却効率を向上させることができる。
実施の形態の伝導冷却型超電導磁石装置において、冷凍機7の第2段冷却ステージ7bと超伝導コイル3との間が、銅の予冷部材16で熱的に接合されたものについて説明したが、予冷部材として室温から80Kレベルにおいてアルミニウムより熱伝導率が大きい金属を使用しても同様の効果を期待することができる。
この発明を実施するための実施の形態1における構成図である。 銅とアルミニウムの熱伝導率温度依存性を示す説明図である。 銅とアルミニウムの抵抗率に与える磁気抵抗効果を示す説明図である。 この発明を実施するための実施の形態2における構成図である。
符号の説明
1 真空容器、2 熱シールド板、3 超電導コイル、7 冷凍機、
7a 第1段冷却ステージ、7b 第2段冷却ステージ、8,16 予冷部材、
9,17冷却部材、16c,17c 接続部材。

Claims (3)

  1. 真空容器内に熱シールド板を介して超電導コイルを配置して、上記熱シールド板を冷凍機の第1段冷却ステージで冷却し、上記超電導コイルを上記冷凍機の第2段冷却ステージで冷却するようにした伝導冷却型超電導磁石装置において、上記第2段冷却ステージと上記超電導コイルとの間を銅の予冷部材で熱的に接合して、さらに上記第2段冷却ステージと上記超電導コイルとの間をアルミニウムの冷却部材で熱的に接合したことを特徴とする伝導冷却型超電導磁石装置。
  2. 請求項1において、上記予冷部材及び上記冷却部材は可とう性を有することを特徴とする伝導冷却型超電導磁石装置。
  3. 真空容器内に熱シールド板を介して超電導コイルを配置して、上記熱シールド板を冷凍機の第1段冷却ステージで冷却し、上記超電導コイルを上記冷凍機の第2段冷却ステージで冷却するようにした伝導冷却型超電導磁石装置において、上記第2段冷却ステージと上記超電導コイルとの間を室温から80Kレベルにおいてアルミニウムより熱伝導率が大きい金属の予冷部材で熱的に接合して、さらに上記第2段冷却ステージと上記超電導コイルとの間をアルミニウムの冷却部材で熱的に接合したことを特徴とする伝導冷却型超電導磁石装置。
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