JP2007271555A - 直接型電磁超音波送信方法、直接型電磁超音波受信方法、直接型電磁超音波測定方法、直接型電磁超音波探触子及び直接型電磁超音波測定装置 - Google Patents

直接型電磁超音波送信方法、直接型電磁超音波受信方法、直接型電磁超音波測定方法、直接型電磁超音波探触子及び直接型電磁超音波測定装置 Download PDF

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Abstract

【目的】本発明の目的は、高精度な流体の状態測定や構造物の非破壊検査を行うことができる電磁超音波探触子を提供することである。
【構成】本発明は、磁石と交流電流の通電手段又は誘導起電力の測定手段から構成され、電磁相互作用を利用して超音波を被測定対象物中に送信する又は被測定対象物中を伝播する超音波を受信する電磁超音波探触子において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の超音波発振部4又超音波受信部に接続される電流端子対5a、5bと、前記交流電流7の通電方向又は前記超音波14の伝播方向に直交又は斜交する磁界11を形成する1対以上の磁石対から構成され、前記電流端子対5a、5bにより交流電流7を前記導電性被測定対象物中に直接通電させる又は前記磁界中の超音波振動により発生する誘導起電力を直接計測する直接型電磁超音波探触子である。
【選択図】 図5

Description

本発明は、被測定対象物に超音波を送受信する電磁超音波送受信方法及び電磁超音波探触子に関し、更に詳細には、電磁相互作用により超音波を送信又は受信して、被測定対象物の非破壊検査や厚さ測定などに用いられる電磁超音波送受信方法、電磁超音波探触子及びこれらを用いた被測定対象物における超音波の測定方法と測定装置に関する。
従来、固体中や液体中に超音波を送信又はその超音波を受信して被測定対象物の温度や流量の測定を行う、もしくは被測定対象物中の探傷を行う非破壊検査等には、特開平9−138149号公報(特許文献1)に記載されるように、超音波探触子として圧電素子を利用する超音波送信器及び超音波受信器が用いられてきた。しかし、圧電素子を用いた被測定対象物の超音波測定装置において、超音波を高効率に送信又は超音波を高感度で受信するためには、超音波を伝播させる接触媒体を必要とし、超音波の再現性を著しく低減させていた。
上述のような課題を解消するため、本発明者等の一部は、接触媒体を必要せず、被測定対象物と非接触状態で超音波を送受信する非接触型電磁超音波探触子を開発しており、これを流体温度測定方法に利用することが特開2001−74759号公報(特許文献2)及び特開2001−74567号公報(特許文献3)に開示されている。図19は、特許文献1及び2における従来の電磁超音波探触子101を用いた超音波測定装置の概略図である。超音波測定装置は、超音波送信器として配管113に配設された電磁超音波探触子101と超音波受信器103から構成されている。図中の超音波測定装置は、超音波114の伝達時間及び超音波受信器103上で受信される伝播位置から配管113中を流通する流体112の流速を測定し、この流速から流量を導出するができる。また、特許文献2では、超音波114の伝播速度に基づいて流体112の温度が導出されている。例えば、原子力工学における増殖炉では、約400℃の液体ナトリウムが作動流体として用いられているが、配管中の液体ナトリウムの高精度な流量及び流体温度の測定が重要な課題となっている。
図20は、従来の電磁超音波探触子101における超音波の発振機構の概略説明図である。従来の電磁超音波探触子101は、電流線106と、この電流線106に高周波電流を通電させる交流電流供給手段108と、配管113中に外部から磁界111を形成する磁石(図示せず)から構成されている。電流線106に電流が矢印107aの方向に通電すると、導電性の配管113中に誘導電流107bが流れる。この誘導電流107bは、前記磁石体によって形成される磁界111と相互作用して、ローレンツ力124が作用する。このローレンツ力124の作用方向は、前記電流線106に通電される高周波電流に連動して振動し、この振動するローレンツ力124により縦波超音波114a、114bが発生する。波動114cは、前記縦波超音波114aの波動を模式的に表記したものである。これらの縦波超音波114a、114bは、配管113中の流体に伝播し、図1に示した超音波受信器103へ送信される。
特開平9−138149号公報 特開2001−74759号公報 特開2001−74567号公報
しかしながら、従来の電磁超音波探触子101の場合、前述のように、前記電流線106に通電される高周波電流により誘導電流107bを誘起し、この誘導電流107bと磁界111の電磁相互作用により超音波を発生させている。従って、配管113を介して超音波114a、114bを送信しているため、前記配管113と流体112との境界面における超音波114a、114bの多重反射やこの多重反射や境界面の凹凸による散乱等によってモード変換が発生し、超音波信号の解析や処理が複雑となり、超音波の測定には熟練した技術が必要とされていた。
更に、高周波電流により誘起される誘導電流107bと磁界111との相互作用により超音波を発生させるから、高強度の超音波を伝播させ、超音波の受信精度を向上させるためには、電流線106に高電圧の高周波を印加する必要があった。この場合、電磁超音波探触子101には、大型の交流電流供給手段108を設置するため、電磁超音波探触子101の小型化と製造コストの低減化を困難にしていた。また、超音波の強度が電流線106と配管の間隔Dsに大きく依存しており、流体112中の所定方向に超音波114を送信する場合、前記間隔Dsを高精度に調整するか、もしくは超音波信号の処理段階で補正を加える必要があり、超音波測定を複雑なものにしていた。更に、長期間の使用による電磁超音波探触子101の僅かな配置のずれに対しても超音波信号が変化し、高精度な流体112の流量や温度測定を困難なものにしていた。
上述のように、圧電素子を利用した超音波探触子や非接触型の電磁超音波探触子を用いた構造物の非破壊検査や流体の状態測定等では、簡易で高精度な超音波測定を行うことが非常に困難であった。従って、本発明の目的は、簡易に安定して高強度の超音波を送信又は高感度で受信して、高精度な流体の状態測定や構造物の非破壊検査を簡単に行うことができる電磁超音波の送受信方法及び電磁超音波探触子を提供することである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、磁界と交流電流との電磁相互作用により超音波を発生させ、この超音波を被測定対象物中に送信する電磁超音波送信方法において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定象物中に交流電流を直接通電させると同時にこの交流電流に直交又は斜交する磁界を形成し、前記交流電流に連動する前記磁界との電磁相互作用により前記導電性被測定象物中に作用方向が振動するローレンツ力を発生させ、この振動ローレンツ力の作用により前記被測定対象物中に超音波を直接発生させる直接型電磁超音波送信方法である。
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記導電性被測定対象物に突設された突状部に前記交流電流を直接通電させると同時に前記磁界を形成して、前記突状部内に前記振動ローレンツ力を発生させ、この突状部内から超音波を送信する直接型電磁超音波送信方法である。
本発明の第3の形態は、第1の形態において、前記導電性被測定対象物が流路内を流通する導電性流体であり、この導電性流体を前記流路側面に設けられた発振槽内に流入させ、この発振槽内の導電性流体に交流電流を直接通電させると同時に前記磁界を形成し、前記振動ローレンツ力を発生させて前記発振槽内から超音波を送信する直接型電磁超音波送信方法である。
本発明の第4の形態は、第1〜3のいずれかの形態において、前記超音波の伝播経路における送信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、λは超音波の波長、nは自然数)となる位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力を作用させる直接型電磁超音波送信方法である。
本発明の第5の形態は、第1〜4のいずれかの形態において、前記超音波を前記導電性被測定対象物中の複数の点で発生させ、所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相を調整する直接型電磁超音波受信方法である。
本発明の第6の形態は、被測定対象物中を伝播する超音波を受信する電磁超音波受信方法において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の一部又は全体に磁界を形成し、この磁界と超音波の伝達により振動する導電性被測定対象物の電磁相互作用によって前記磁界の直交方向に誘導起電力を発生させ、前記導電性被測定対象物に直接接続された電流端子対を介して前記誘導起電力又は誘導電流を計測し、前記超音波を受信する直接型電磁超音波受信方法である。
本発明の第7の形態は、第6の形態において、前記被測定対象物に突設された突状部内に磁界を形成し、この突状部内に前記超音波が伝播して発生する誘導起電力又は誘導電流を直接計測する直接型電磁超音波受信方法である。
本発明の第8の形態は、第6の形態において、前記被測定対象物が流路内を流通する導電性流体であり、この導電性流体を前記流路に設けられた受信槽内に流入させ、この受信槽内の導電性流体に対して磁界を形成し、前記受信槽内に前記超音波が伝達して発生する誘導電流又は誘導起電力を直接計測する直接型電磁超音波受信方法である。
本発明の第9の形態は、第1〜5のいずれかの形態の直接型電磁超音波送信方法により前記被測定対象物中に超音波を送信し、第6〜8のいずれかの形態の直接型電磁超音波受信方法により前記超音波を受信する直接型電磁超音波測定方法である。
本発明の第10の形態は、第1又は2の形態の直接型電磁超音波送信方法により発生する横波超音波を伝播させ、この横波超音波の伝播方向に配設された超音波受信器により前記横波超音波を受信する直接型電磁超音波測定方法である。
本発明の第11の形態は、第1〜5のいずれかの形態の直接型電磁超音波送信方法により前記被測定対象物中に超音波を送信し、圧電素子又は電磁超音波探触子から構成される超音波受信器により前記超音波を受信する直接型電磁超音波測定方法である。
本発明の第12の形態は、磁石と交流電流の通電手段又は誘導起電力の測定手段から構成され、電磁相互作用を利用して超音波を被測定対象物中に送信する又は被測定対象物中を伝播する超音波を受信する電磁超音波探触子において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の超音波発振部又超音波受信部に接続される電流端子対と、前記交流電流の通電方向又は前記超音波の伝播方向に直交又は斜交する磁界を形成する1対以上の磁石対から構成され、前記電流端子対により交流電流を前記導電性被測定対象物中に直接通電させる又は前記磁界中の超音波振動により発生する誘導起電力又は誘導電流を直接計測する直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第13の形態は、第12の形態において、前記超音波発振部又は前記超音波受信部が前記導電性被測定対象物の一部を突出させて設けられた1つ以上の突状部であり、この突状部側面に前記電流端子対と前記磁石対が配設される直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第14の形態は、第12の形態において、前記導電性被測定対象物が流路を流通する導電性流体であり、前記超音波発振部又は超音波受信部が前記流路に設けられた1つ以上の発振槽内又は受信槽に流入する導電性流体である直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第15の形態は、第14の形態において、前記発振槽又は受信槽が複数槽設けられ、各発振槽に一対以上の電流端子が配設される直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第16の形態は、第12〜15のいずれかの形態において、前記超音波の伝播経路における送信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、λは超音波の波長、nは自然数)で表される位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力が作用するように又は誘導電流が通電するように前記電流端子対と磁石対が配設される直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第17の形態は、第12〜16のいずれかの形態において、前記超音波発振部が複数配設され、これらの発振部から所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相を調整する制御手段が設けられる直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第18の形態は、第12〜17のいずれかの形態において、前記磁石対が電磁石対であり、この電磁石対により発生する磁界の強さが自在に調整される直接型電磁超音波探触子である。
本発明の第19の形態は、第12〜18のいずれかの形態の直接型電磁超音波探触子を超音波送信器及び/又は超音波受信器として具備する直接型超音波測定装置である。
本発明の第20の形態は、第12又は13の形態の直接型電磁超音波探触子から発生する横波超音波を前記被測定対象物中に伝播させるように前記電流端子対と磁石対が配設され、前記横波超音波の伝播方向に超音波受信器が設置される直接型電磁超音波測定装置である。
本発明の第21の形態は、第12〜18のいずれかの形態の直接型電磁超音波探触子を超音波送信器として具備し、超音波受信器として圧電素子又は電磁超音波探触子から構成される超音波受信器が配設される直接型超音波測定装置である。
本発明の第1の形態によれば、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定象物中に交流電流を直接通電させるから、従来の電磁超音波送信方法において磁界と相互作用する誘導電流に比べ、電磁相互作用に寄与する電流値を増大させることができ、高効率に超音波を発生させることができる。即ち、前記電磁相互作用により誘起されて振動するローレンツ力の発生に交流電流を直接寄与させることができるから、この振動ローレンツ力の作用により発生する超音波の駆動効率を格段に増大させることができる。更に、前記導電性被測定象物中に振動ローレンツ力を直接発生させて超音波を駆動することにより、前記導電性被測定象物のケーシング(流体を流通させる配管など)による超音波の多重反射及びこれを起因とする多重エコーを抑制できると共に、この多重反射による干渉や前記導電性被測定象物とケーシングの境界面における散乱等によって発生する超音波のモード変換を防止することができる。従って、超音波信号のS/N比や安定性が格段に向上して、超音波信号の処理が単純化されるから、高精度な導電性構造物の探傷測定や導電性流体の状態測定を簡易に行うことができる。
更に、前記電極端子対を導電性被測定対象物の所望の位置に設置し、この電極端子対間に通電する交流電流に直交又は斜交する磁界を形成することにより、前記導電性被測定対象物中の所望の位置に超音波を発生させることができる。従って、導電性被測定対象物に作用する圧力や加重等が大きい領域や導電性被測定対象物の状態を検出する上で重要な部位及びその近傍などに超音波を発生させ、この超音波を受信することにより、超音波による状態測定の精度を格段に向上させることができる。例えば、原子力工学における増殖炉では、導電性の液体である約400℃の液体ナトリウムが作動流体として用いられており、本発明に係る直接型電磁超音波送信方法によれば、配管中の液体ナトリウムの高精度な流量及び流体温度の測定を行うことができる。液体ナトリウムは、配管の材料として用いられるステンレス鋼(SUS304、SUS316など)より高い電気伝導度を有しており、直接液体ナトリウム中に超音波を駆動することにより、高強度の超音波を高効率に発生させることができる。
本発明の第2の形態によれば、前記導電性被測定対象物に突設された突状部に前記交流電流を直接通電させると同時に前記磁界を形成し、この突状部内から超音波を送信するから、導電性被測定対象物の機能や状態に対する影響が抑制され、前記導電性被測定対象物の固有状態を高精度に測定することができる。即ち、前記導電性被測定対象物中における前記交流電流や前記磁界の影響が抑制され、前記超音波振動と導電性被測定対象物及び/又はこの導電性被測定対象物中の不純物や欠陥等との相互作用のみを反映した超音波信号を受信することができる。従って、より高精度で簡易な導電性被測定対象物中の超音波測定を実現することができる。ここで、前記突状部は、導電性被測定対象物と一体形成されており、同一の物質から形成されている。導電性被測定対象物と突状部に界面が存在すると、前述のように、多重反射や超音波のモード変換により超音波信号の解析が非常に困難になる。従って、導電性被測定対象物が固体の場合、前記突状部は、固体物の製造時に一体形成されることが好ましい。または固体物を切削して、前記突状部を形成しても良い。
更に、導電性被測定対象物に突設された突状部を電磁超音波の送信源とすることにより、前記交流電流の通電方向や形成される磁界の方向を簡単に設定変更することができる。従って、導電性被測定対象物の状態や測定量に応じて、この導電性被測定対象物中に送信される超音波の伝播方向や特性を簡易に調整することができる。
本発明の第3の形態によれば、この導電性流体を流路側面に設けられた発振槽内に流入させ、この発振槽内から超音波を送信するから、前記導電性流体の流動状態に与える影響を抑制し、前記導電性流体の状態をより高精度に測定することができる。更に、第2の形態と同様に、流路側面に設けられた発振槽内を電磁超音波の送信源とすることにより、前記交流電流の通電方向や形成される磁界の方向を簡単に設定変更することができ、導電性流体の状態や測定量に応じて送信される超音波の伝播方向や特性を簡易に調整することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記伝播経路上の送信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、λは超音波の波長、nは自然数(n=1,2,・・))となる位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力を作用させることにより、単一周波数で一定振幅の断続波(バースト波)を安定に発生させることができる。従って、前記バースト波の伝達時間を高精度に測定することができ、導電性被測定対象物中の探傷や物理量の測定精度を向上させることができる。前記振動ローレンツ力を作用する位置は、発生する超音波の腹の中心位置に相当し、d=(λ/4+(n−1)λ/2)となる位置に前記振動ローレンツ力を作用させるから、前記伝播経路上の送信側端部が超音波の節と一致する。従って、導電性流体が流通する配管の送信側内壁や導電性固体の送信側界面又は表面で超音波が反射される場合、反射超音波における腹の中心位置が発生する超音波の腹の中心位置と一致し、超音波の安定したバースト波を高効率に発生させることができる。更に、上記した導電性流体配管の送信側内壁や導電性固体の送信側界面又は表面に超音波の振動エネルギーが伝達することが抑制され、導電性被測定対象物以外に超音波が伝播することを低減できる。また、超音波の周波数は、交流電流の周波数fに一致し、超音波の波長λは、音速vと交流電流の周波数fより、λ=v/fで与えられるから、前記電流端子対や磁石対の設置位置に応じて、交流電流の周波数fを調整して、前記振動ローレンツ力を作用する位置をd=(λ/4+(n−1)λ/2)に設定することができる。更に、n=1に設定することが好適であるが、前記電流端子対や磁石対の設置位置やバースト波における超音波振動の持続時間に応じてnの値を適宜選択することができる。
本発明の第5の形態によれば、前記超音波を導電性被測定対象物中の複数の点で発生させ、所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相が調整されるから、所定方向に高強度の超音波を送信することができる。例えば、前記導電性被測定対象物中の超音波の発振点が直線上に配置され、各超音波が同一振動数を有し、隣り合う発振点の位相差がλ/2に設定された場合、各超音波は、隣り合う発振点から送信される超音波の行路差がλ/2となる方向に伝播すると互いに強め合う。従って、発振点間の距離を設定されると、各超音波の位相差を調整することにより、所望の方向に伝播する超音波の強度を増大させることができる。また、超音波の伝播方向と同一線上に前記発振点が配列された場合、各超音波の振動数を同一に設定し、各発振点間の距離を波長の整数倍に設定することにより、超音波の強度を増強させることができる。上述のように、超音波が発生する発振点の間隔を設定し、振動数及び/又は位相を調整することにより、各超音波が強め合う方向を自在に選択することが可能である。従って、前記導電性被測定対象物中の所望の方向に高強度の超音波を送信でき、超音波による探傷検査や種々の物理量測定の精度を格段に向上させることができる。
本発明の第6の形態によれば、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の一部又は全体に磁界を形成し、この磁界と超音波の伝達により振動する導電性被測定対象物との電磁相互作用によって前記磁界の直交方向に誘導起電力を発生させるから、高精度な超音波測定を実現することができる。即ち、前記導電性被測定対象物に直接接続された電流端子対を介して前記誘導起電力を計測することにより、高強度の超音波信号を受信することができ、S/N比が向上すると共に、前記ケーシングの影響が低減化することができる。測定対象となる流体を流通させる配管などからなるケーシングによって引き起こされる超音波の多重反射の影響が抑制され、受信信号の処理が単純化される。また、前記導電性被測定対象物とケーシングの境界面における散乱や多重反射によって超音波のモード変換が発生する場合がある。しかし、前記電流端子対により前記導電性被測定対象物中の誘導起電力を直接測定することにより、モード変換された超音波信号成分を受信することが抑制される。従って、受信した超音波信号から送信された信号のみを簡易に抽出することができ、超音波による探傷検査や種々の物理量の測定精度を向上させることができる。
更に、前記導電性被測定対象物中の所望の位置に磁界を形成し、超音波の伝達により発生する誘導起電力又はその誘導電流を測定することにより、所望の位置で超音波信号を受信することができる。従って、前記導電性被測定対象物に作用する圧力や加重等が大きな領域や前記導電性被測定対象物の状態を検出する上で重要な部位等の近傍で超音波信号を受信することができ、前記導電性被測定対象物の構造、検査対象、測定物理量などに応じて超音波の受信位置を設定することができる。
本発明の第7の形態によれば、前記被測定対象物に突設された突状部内に伝播する超音波を直接計測するから、前記導電性被測定対象物に接続された電流端子や形成される磁界が前記導電性被測定対象物の状態に与える影響を低減化することができ、より高精度で簡易な導電性被測定対象物中の超音波測定を実現することができる。即ち、前記超音波振動と導電性被測定対象物及び/又はこの導電性被測定対象物中の不純物や欠陥等の作用のみを反映した超音波信号を受信することができる。また、前記突状部は、超音波を送信する場合と同様に、導電性被測定対象物と一体形成されており、同一の物質から形成されている。従って、導電性被測定対象物と突状部との界面における多重反射や超音波のモード変換等を防止することができ、より簡易に超音波信号の解析を行うことができる。前述のように、導電性被測定対象物が固体の場合、前記突状部は、固体物の製造時に一体形成されることが好ましく、固体物を切削して前記突状部を形成しても良い。更に、前記突状部で超音波を受信することにより、超音波の伝播方向に応じて形成される磁界の方向を簡単に調整することができ、超音波送信器の設置位置の変更した場合においても、高い測定精度を保持することができる。
本発明の第8の形態によれば、導電性流体が流入する流路に設けられた受信槽内で超音波を受信するから、磁界の形成や電流端子の設置によって導電性流体の流動状態に与える影響が低減化され、前記導電性流体の固有状態を受信信号から解析することができる。更に、第7の形態と同様に、流路側面に設けられた受信槽が受信器としての機能を有することにより、超音波振動により誘導起電力を誘起する磁界の方向を自在に設定することができ、測定対象となる導電性流体の流路形態や物理量によって受信器の設定を簡易に調整することができる。
本発明の第9の形態によれば、第1〜5のいずれかの形態の直接型電磁超音波送信方法により前記被測定対象物中に超音波を送信し、第6〜8のいずれかの形態の直接型電磁超音波受信方法により前記超音波を受信するから、より高精度な電磁超音波の測定方法を提供することができる。上述のように、本発明に係る電磁超音波の送受信方法は、導電性被測定対象物中の超音波を前記電流端子対により直接送信又は受信することができ、送信する超音波の強度や超音波の受信感度を格段に向上させることができる。更に、前記ケーシング等の外部構造の影響を低減化させ、超音波信号の処理や解析をより単純化することができる。
本発明の第10の形態によれば、第1又は2の形態の直接型電磁超音波送信方法により固体中に発生する横波超音波を伝播させるから、横波超音波を利用した導電性被測定対象物の探傷や物理量の測定方法を提供することができる。前記振動ローレンツ力により駆動される超音波は、ローレンツ力の振動方向に直交する面方向に拡がっていく。従って、複数の超音波受信器を横波超音波の伝播方向に配設することにより、前記導電性被測定対象物中の広範囲な領域の情報を超音波により測定することができる。更に、縦波超音波と横波超音波を併用して測定することにより、本発明に係る超音波測定方法により導電性被測定対象物の多くの情報を得ることができる。前記超音波受信器としては、本発明に係る直接型電磁超音波探触子と共に、圧電素子を用いたものや従来の電磁超音波探触子(図20に示したような非接触型電磁超音波探触子など)から構成される受信器を用いることができる。
本発明の第11の形態によれば、第1〜5のいずれかの形態の直接型電磁超音波送信方法により前述の多重反射やモード変換等の影響が低減化された高強度の超音波を送信できると共に、従来の圧電型超音波受信器や電磁超音波探触子(図20に示したような非接触型電磁超音波探触子など)を用いて超音波測定を行うことができる。従って、既存の圧電型超音波受信器又は電磁超音波受信器とそれらの信号処理方法を用いて、本発明に係る直接型電磁超音波測定方法を簡易に実施することが可能であり、イニシャルコストを低減化することができる。
本発明の第12の形態によれば、導電性被測定対象物中の超音波発振部に電流端子対が直接接続されるから、磁界と相互作用する交流電流を前記導電性被測定対象物中に直接通電することができ、高効率に超音波を発生させる直接型電磁超音波送信器を提供することができる。即ち、前記交流電流が超音波の発振点に直接供給されるから、従来の電磁超音波探触子に比べ、電磁相互作用に寄与する電流値を増大させることができ、磁界との相互作用により誘起されて振動するローレンツ力の強度を増大させ、超音波の駆動効率を格段に向上させることができる。更に、本発明に係る直接型電磁超音波探触子によれば、前記導電性被測定象物中に超音波の発振部が設けられるから、ケーシングによる超音波の多重反射及びこれを起因とする多重エコーを抑制できると共に、モード変換の発生を防止することができる。従って、超音波信号のS/N比や安定性が格段に向上して、超音波信号の処理が単純化され、高精度な導電性構造物の探傷測定や導電性流体の状態測定を簡易に行うことができる直接型電磁超音波探触子を提供することができる。
また、本発明に係る直接型電磁超音波探触子は、導電性被測定対象物中の所望の位置に前記発振部を設定することができ、この発振点から超音波を送信することができる。従って、導電性被測定対象物に作用する圧力や加重等が大きい領域や導電性被測定対象物の状態を検出する上で重要な部位及びその近傍などに、本発明に係る直接型電磁超音波探触子を設置することができる。
更に、本発明に係る直接型電磁超音波探触子によれば、磁石対により超音波の伝播方向に直交又は斜交する磁界を形成し、前記磁界中の超音波振動により発生する誘導起電力を前記電流端子により直接受信する直接型電磁超音波受信器を提供することができる。即ち、電磁超音波を直接送信場合と同様に、S/N比が改善されると共に、前記ケーシングの影響を低減化することができ、多重反射やモード変換の発生を抑制し、受信した超音波の信号処理を単純化することができる。また、前記導電性被測定対象物中の所望の位置に前記受信部を設定することができ、前記導電性被測定対象物中において圧力や加重等の付加が比較的高い部位などの近傍に前記受信部を設定し、導電性被測定対象物の状態を観測することができる。従って、前記導電性被測定対象物の構造、検査対象、測定物理量などに応じて直接型電磁超音波探触子の設置位置を設定することができる。
本発明の第13の形態によれば、前記超音波発振部又は前記超音波受信部が導電性被測定対象物の一部を突出させて設けられた1つ以上の突状部であるから、直接型電磁超音波探触子を導電性被測定対象物に設置することによって、被測定対象物固有の機能や状態に影響を及ぼすことを抑制することができる。即ち、前記導電性被測定対象物中に通電される前記交流電流や形成される磁界の影響が抑制され、傷の存在や物理量のみを反映した超音波信号を受信することができる。
従って、より高精度で簡易な導電性被測定対象物中の超音波測定を実現することができる。ここで、前記突状部は、導電性被測定対象物と一体形成されており、導電性被測定対象物と同一の物質から形成されている。導電性被測定対象物と突状部に界面が形成されないことにより、前述のように、多重反射や超音波のモード変換を防止することができ、S/N比が良く、超音波信号における所望の伝播成分を高効率に受信することができる。従って、前記超音波信号の解析を簡易に行うことができる。前記導電性被測定対象物が固体の場合、前記突状部は、固体物の製造時に一体形成されることが好ましく、固体物を切削して、前記突状部を形成しても良い。
更に、前記突状部側面に前記電流端子対と磁石対が配設され、この突状部を前記超音波発振部又は前記超音波受信部とすることにより、前記交流電流の通電方向や形成される磁界の方向を簡易に設定することができる。従って、導電性被測定対象物の形態や測定物理量に応じて超音波の伝播方向や受信位置を簡易に調整することができる。
本発明の第14の形態によれば、前記超音波発振部又は超音波受信部が導電性流体を流通させる流路に設けられた1つ以上の発振槽内又は受信槽内に形成されるから、前記導電性流体の流動状態に与える影響を低減化することができる。従って、前記導電性流体の流量や温度等をより高精度に測定することができる。更に、第13の形態と同様に、流路側面に設けられた発振槽内又は受信槽に形成される磁界や前記発振槽内に供給される前記交流電流の通電方向を簡単に設定することができ、導電性流体の流路形態や測定物理量に応じて超音波の伝播方向又は受信方向を簡易に調整することができる。
本発明の第15の形態によれば、前記発振槽又は受信槽が複数槽設けられ、各発振槽に一対以上の電流端子が配設されるから、直接型電磁超音波探触子によって送信される超音波の強度又は受信される超音波信号の受信感度を格段に向上させることができる。本発明に係る直接型電磁超音波探触子により超音波を送信する場合、各発信槽内に通電される交流電流の周波数や位相を調整する制御手段を設置することが好ましい。この制御手段により各発振槽内から送信される各々の超音波の振動数や位相を制御することができる。また、各受信槽内に誘起されるそれぞれの誘導起電力を計測し、複数の電圧値又は電流値から前記導電性流体の物理量を解析・導出する超音波信号処理手段を具備することが好ましく、より高精度な導電性流体の状態測定を行うことができる。
本発明の第16の形態によれば、前記伝播経路上の送信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)となる位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力を作用させる前記電流端子対と磁石対が配設されるから、前記バースト波を安定に発生させることができる。従って、前記バースト波の伝達時間を高精度に測定することができ、導電性被測定対象物中の探傷や物理量の測定精度を向上させることができる。前記振動ローレンツ力を作用する位置は、発生する超音波の腹の中心位置に相当し、d=(λ/4+(n−1)λ/2)となる位置に前記振動ローレンツ力を作用させるから、前記伝播経路上の送信側端部が超音波の節と一致する。従って、導電性流体が流通する配管の送信側内壁や導電性固体の送信側界面又は表面で超音波が反射される場合、反射超音波における腹の中心位置が発生する超音波の腹の中心位置と一致し、超音波の安定したバースト波を高効率に発生させることができる。第4の形態と同様に、上記した導電性流体配管の送信側内壁や導電性固体の送信側界面又は表面に超音波の振動エネルギーが伝達することが抑制され、導電性被測定対象物以外に超音波が伝播することを低減できる。また、交流電流の周波数fを調整して、前記振動ローレンツ力が作用する位置をd=(λ/4+(n−1)λ/2)に設定することができる。また、上記の位置がdからずれる場合においても、そのずれはλ/16以下に設定されることが好ましい。
また、本発明に係る電磁超音波探触子により超音波を受信する場合においても前記伝播経路上の受信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)となる位置又はその近傍で受信することが好ましく、n=1、つまりd=λ/4となる位置で受信することがより好適である。即ち、d=(λ/4+(n−1)λ/2)の位置を誘導電流が通電するように電流端子対を配設することにより、超音波の腹の中心位置が電流端子対間に位置するから、前記回路中を貫く磁束数の変化量が増大し、受信する超音波信号を増強することができる。
本発明の第17の形態によれば、前記超音波発振部が複数配設され、前記制御手段により、所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相を調整するから、高強度の超音波を送信する直接型電磁超音波探触子を提供することができる。前記超音波発振部における超音波の発振点が直線上に配置された場合、各超音波が同一振動数に設定し、隣り合う発振点の位相差をπに設定することにより、隣り合う発振点から送信される超音波の行路差がλ/2となる方向に伝播する超音波が互いに強め合う。ここで、隣り合う発振点間の間隔Wに設定され、前記発振点が配設される直線に対する角度が(π/2−θ)となる方向に各超音波が強め合う場合、上記の行路差はW・sinθで表される。従って、前記交流電流の周波数を調整して、W・sinθ=λ/2となるように超音波の波長を設定すればよい。従って、発振点間の距離を設定されると、各超音波の位相差を調整することにより、所望の方向に伝播する超音波の強度を増大させることができる。
また、超音波の伝播方向と同一線上に前記発振点が配列された場合、各超音波の振動数を同一に設定し、各発振点間の距離を波長の整数倍に設定することにより、超音波の強度を増強させることができる。上述のように、超音波が発生する発振点の間隔を設定し、振動数及び/又は位相を調整することにより、各超音波が強め合う方向を自在に選択することができる。
本発明の第18の形態によれば、前記磁石対が電磁石対であり、この電磁石対により発生する磁界の強さが調整されるから、超音波の強度又は受信感度を必要に応じて自在に設定できる直接型電磁超音波探触子を提供することができる。前記振動ローレンツ力FはF=J×B(ここで、Jは交流電流、Bは磁界の強さ)で表され、電磁石対により形成される磁界の強さBを調整することにより、超音波の強度を自在に設定することができる。また、前記誘導起電力Veは、Ve∝−(dΦ/dt)(ここで、Φは前記電流端子対と測定手段から構成される回路を貫く磁束、tは時間)で表される。従って、電磁石対により形成される磁束Φ(t=0)を増大させることにより、超音波振動により変動する磁束Φ(t)の変化量dΦを増加させ、前記誘導起電力Veを増強することができ、超音波信号の受信感度を向上させることができる。
本発明の第19の形態によれば、第12〜18のいずれかの形態の直接型電磁超音波探触子を超音波送信器及び/又は超音波受信器として具備するから、前記導電性被測定対象物の探傷検査や物理量の測定を高精度に行う直接型超音波測定装置を提供することができる。更に、本発明に係る直接型超音波測定装置を用いることにより、前述のように、前記ケーシングの影響を低減化することができ、超音波信号の解析・処理を単純化することができる。
本発明の第20の形態によれば、横波超音波を前記被測定対象物中に伝播させ、前記横波超音波の伝播方向に超音波受信器が設置されるから、この横波超音波により前記導電性被測定対象物の情報を得る直接型電磁超音波測定装置を提供することができる。前述のように、前記振動ローレンツ力により駆動される超音波は、振動方向に対して直交する面方向に拡がっていく。従って、本発明の第20の形態によれば、複数の超音波受信器を配設することにより、前記導電性被測定対象物中における広範囲な領域の情報を得ることができる。更に、縦波超音波と横波超音波を併用することにより、前記導電性被測定対象物に関する多くの情報を得ることができる。
本発明の第21の形態によれば、第12〜18のいずれかの形態の直接型電磁超音波探触子により多重反射やモード変換等の影響が低減化された高強度の超音波を送信できると共に、従来の圧電型超音波受信器や電磁超音波探触子(図20に示したような非接触型電磁超音波探触子など)を用いて超音波測定を行うことができる。従って、既存の圧電型超音波受信器又は電磁超音波受信器とそれらの信号処理方法を用いることができ、直接型電磁超音波探触子から構成される直接型超音波測定装置を低コストで提供することができる。
以下に、本発明に係る直接型電磁超音波探触子の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明に係る直接型電磁超音波探触子から構成される超音波測定装置の概略図である。この超音波測定装置は、(1A)に示すように、直接型電磁超音波探触子からなる直接型電磁超音波送信器1と超音波受信器3から構成され、導電性流体12が流通する配管13の側面に配設さている。前記超音波送信器1の超音波発振部は、流動する導電性流体12に形成されており、(1A)のA−A線断面図である(1B)に示すように、前記導電性流体12に交流電流7を通電させる電流端子5a、5b(電流端子対)が超音波発振部に接続されている。これらの電流端子5a、5bに通電される交流電流7に直交又は斜項する磁界11を形成する磁石体10a、10bが配設され、前記交流電流7と磁界11の電磁相互作用によりこの交流電流7に連動して振動するローレンツ力が超音波発振部に発生する。従って、前記振動ローレンツ力により駆動される超音波14が導電性流体12中に送信される。また、前記電流端子5a、5bには電流線6を介して交流電流を通電させる交流電流供給手段8が接続され、この交流電流供給手段8に交流電流制御手段(図示せず)を接続して、前記交流電流の周波数及び位相を制御することができる。更に、(1A)及び(1B)に示すように、本発明に係る直接型電磁超音波送信器1は、既成の導電性流体が流通する配管に簡易に設置することができる。
図2は本発明に係る直接型電磁超音波測定装置が配設された配管13の拡大断面図であり、(2A)は流通方向に直交する面の拡大断面図を示している。この実施例では、配管13の本体内を超音波14により検査することができる。配管13には、電流端子5a、5b(電流端子対)が接続され、配管13の壁面中に交流電流7を直接通電させる。流通方向に平行な拡大断面図である(2B)に示すように、磁石体10a、10bが配設され、交流電流7に直交又は斜項する磁界11が形成され、前記交流電流7と磁界11の電磁相互作用により振動ローレンツ力24が超音波発振部に発生する。従って、前記振動ローレンツ力により駆動される超音波14が配管13の壁面中に送信され、超音波受信器3を所定の位置に配設することにより、配管本体の探傷検査等を行うことができる。(2B)では、配管13の内面で反射した超音波14を超音波受信器3により受信して、配管本体の検査を行っている。図2においても、図1と同様に、既成の配管13に電磁超音波発信器1を容易に設置することができる。
図3は本発明に係る直接型電磁超音波探触子から構成される超音波測定装置の概略図である。これ以降、同一の機能を有する同一部材については、説明を一部省略する。前記超音波測定装置は、直接型電磁超音波探触子からなる直接型電磁超音波送信器1と超音波受信器3から構成され、導電性流体12が流通する配管13の側面に配設さている。前記直接型超音波送信器1の超音波発振部4は、後に詳述するように、前記配管13に設けられた発振槽内に流入する導電性流体12から形成されている。
図4は本発明に係る直接型電磁超音波測定装置が配設された配管13の断面図であり、(4A)は図3のA−A線断面図を示している。(4A)に示すように、前記交流電流に直交する磁界11を形成する磁石体10a、10bが配設され、前記交流電流と磁界11の電磁相互作用によりこの交流電流11に連動して振動するローレンツ力が作用し、この振動ローレンツ力により駆動される超音波14が導電性流体12中に送信される。前記超音波受信器3には、圧電素子からなる従来の圧電型超音波受信器が用いられ、既存の超音波信号の処理システムを利用することができる。
(4B)には、本発明に係る直接型電磁超音波探触子を超音波受信器として用いた直接型電磁超音波測定装置が示されている。直接型電磁超音波受信器2は、超音波受信部16、磁石対18及び電流端子対15から構成され、前記超音波受信部16の両側面に磁石対18を形成する磁石体18a、18bが配設されている。前記超音波受信部16は、配管13の側面に形成された受信槽と受信槽内に流入する導電性流体12から構成される。前記磁石体18a、18b間に形成される磁界22中に前記導電性流体12内を伝播する超音波14が伝達すると、誘導起電力が発生し、この誘導起電力を電圧計20によって測定することにより、超音波信号を受信することができる。
次に、本発明に係る直接型電磁超音波測定装置による超音波を用いた流速uの測定方法を簡単に説明する。図1及び図3に示すように、前記直接型超音波送信器1から超音波を矢印14aの方向に送信し、時間τ後に超音波検出器3がその超音波を検出したとする。もし導電性流体12が静止していれば静止到達点Oに到達するが、実際には媒質である導電性流体12が流動しているため、矢印14bの経路で超音波が伝播して流動到達点Pに到達する。間隔OPをΔLで表わすと、ΔLはuτに等しいはずであり、これから流速uがu=ΔL/τから算出できる。従って、この方法では、間隔ΔLおよび超音波伝達時間τを測定して流速uを導出する。また、直径Dの配管1の断面積SはS=πD/4となるから、この配管を流通する導電性流体12の流量QがQ=πuD/4として導出される。本発明に係る直接型電磁超音波測定装置によれば、前記超音波が導電性流体12中に直接駆動されるから、前記超音波伝達時間τを高精度に測定することができ、より正確な流量Qを導出することができる。
また、前記導電性流体12の温度Tを測定する場合には、先ず導電流体12中を伝播する超音波の音速cを測定する。超音波の伝達媒質である導電性流体が決まれば、流体温度Tと音速cの間には関係式T=g(c)が成立し、音速cから一義的に流体温度Tを導出することができる。超音波が矢印14aの方向に送信された場合、音速cは前記超音波伝達時間τと配管1の直径Dからc=D/τとなり、上記の関係式T=g(c)から温度Tが導出される。上記した増殖炉の作動流体として用いられる液体ナトリウムは、配管13の材料として用いられるステンレス鋼(SUS304、SUS316など)より高い電気伝導度を有しており、直接液体ナトリウム中に超音波を駆動することにより、高強度の超音波を発振することができる。従って、配管中を流通する液体ナトリウムの高精度な流量・温度測定を行うことができる。
図5は、本発明に係る直接型電磁超音波送信器1の断面概略図である。前述のように、前記超音波発振部4は、前記配管13に設けられた発振槽4aとこの発振槽4a内に流入する導電性流体12から構成され、この発振槽4aの側面に配設された電流端子5a、5b間に通電する交流電流7と磁界11の電磁相互作用によりローレンツ力24が発生する。図中に示した、ローレンツ力24の矢印の向きは、交流電流7が矢印の向きに通電し、磁界11が図のように形成されたときに作用するローレンツ力24の向きを示しており、交流電流7の通電方向に連動して、ローレンツ力24の向きと大きさが振動し、前記超音波14が駆動される。また、前記電流端子5a、5b間の距離を近づけることにより、前記発振槽4a内に流入する導電性流体12に対して局所的に電流を通電させることができ、超音波14の発振領域を微小な領域又は略点状に設定することができる。従って、模式的に示した超音波波形14cに近い超音波14を発生させることができ、後述するように、定常波や超音波14の重ね合わせによる高強度の超音波ビームを形成することができる。また、磁界11が形成される領域を狭めることによっても微小な領域又は略点状の超音波発振点が形成される。
更に、前記振動ローレンツ力を作用させる位置は、発生する超音波の腹14gの中心位置に相当する。従って、前記伝播経路上の送信側端部32aからの距離dがd=λ/4(ここで、λは超音波の波長)となる位置に前記振動ローレンツ力を作用させることにより、前記伝播経路上の送信側端部32aが超音波の節14hと一致する。前記振動ローレンツ力は、d=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、nは自然数)となる位置又はその近傍に作用させることが好ましく、上述のように、n=1、つまりd=λ/4となる位置に前記振動ローレンツ力を作用させることがより好適である。上記した機構については、次に詳述する。
図6は、本発明に係る直接型電磁超音波発信器1の設置位置を示す断面概略図である。超音波14は、単一周波数で一定振幅の断続波(バースト波)から形成され、交流電流の断続的に通電させることにより、バースト波を発生させることができる。また、交流電流の連続通電時間を調整することによりバースト波の単位持続長Lを自在に設定することができる。前記バースト波を受信側端部32bに伝達させることにより、超音波受信器3により超音波の伝播時間が測定される。図5に示したように、超音波14が導電性流体12を流通させる配管13の送信側端部32a(配管内壁)で反射される場合、反射超音波における腹の中心位置が発生する超音波14の腹14gの中心位置と一致し、高強度で安定した超音波のバースト波を高効率に発生させることができる。更に、上記した導電性流体配管13に超音波14の振動エネルギーが伝達することが抑制され、導電性流体の外部に超音波14が伝播することが低減される。
以上のことから、外部から配管壁面を介して超音波を送信する又は配管壁面内に超音波を発生させる従来の超音波送信器に対し、本発明に係る直接型電磁超音波探触子を用いて導電性液体12中に超音波を直接発生させる顕著な利点としては、以下のことが挙げられる。
(1)λ/4又はλ/4近傍に超音波を発生させるので、配管壁面からの反射成分と強め合い、高強度の超音波が発生できる。
(2)配管壁面内での多重反射による多重エコーの影響が抑制され、信号処理が容易になる。
(3)配管壁面内部からの超音波発生に比べると、壁面内でロスするエネルギーを抑制でき、結果として、超音波強度を高めることができる。
図7は、本発明に係る直接型電磁超音波受信器の断面概略図である。直接型電磁超音波受信器は、前述のように、超音波受信部16が配管13の側面に形成された受信槽16aと受信槽16a内に流入する導電性流体12から構成される。この受信槽16aの側壁には、この側壁を貫通させて電流端子15a、15bが配設され、これらの電流端子15a、15bには、電流線22を介して電圧計20が接続され回路を形成している。導電性流体12内を伝播する超音波14が前記超音波受信部16に伝達すると、超音波振動により超音波受信部16が振動し、前記回路中を貫く磁界11の磁束数が変化して回路に誘導起電力が発生する。この誘導起電力を電圧計20によって測定することにより、超音波信号を受信される。また、電圧計20に換えて電流計(図示せず)を接続し、前記誘導起電力によって通電する誘導電流30を測定しても良い。更に、超音波振動によって誘起される誘導起電力又は誘導電流30を受信側端部32bからの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)となる位置又はその近傍で受信することが好ましく、n=1、つまりd=λ/4となる位置で受信することがより好適である。超音波14の腹14gの中心位置が電流端子対間に位置するから、前記回路中を貫く磁束数の変化量が増大し、高強度の超音波信号を受信することができる。
図8は、本発明に係る複数の超音波発振部41、42、43を具備する直接型電磁超音波送信器1の断面概略図である。各超音波発振部を構成する各々の発振槽には電流端子対が配設されており、中心に位置する超音波発振部42の側壁には、電流端子5b、5cが両端に形成された電流線6aを貫通させて配設されている。従って、超音波発振部42には、電流線6a、6bに形成された電流端子5c、5eにより交流電流が供給される。複数の超音波発振部41、42、43を具備することにより、高強度の超音波を送信することができる。
図9は、本発明に係る複数の超音波発振部41、42を具備する直接型電磁超音波送信器1の断面概略図である。この実施例では、超音波発振部41、42の各々に交流電流供給手段8a、8bが接続されており、これらの交流電流供給手段8a、8bにより超音波14d、14eの位相や振動数を独立に調整することができ、後述するように、各超音波14d、14eの位相や振動数を調整することにより互いの超音波が強め合うように設定することができる。
図10は、本発明に係る直接型電磁超音波測定装置の他の配置例を示す概略図である。本発明に係る直接型電磁超音波送信器1及び超音波受信器3は、設置される位置や条件などに応じて、それらの配置を設定することができる。(10A)は、配管13の屈曲部近傍に直接型電磁超音波測定装置を配設した場合を示している。配管13の側面に磁石体10a、10bを磁極の向きが逆になるように対向配置し、発生する超音波14が配管13に沿って伝播するように配置されている。従って、超音波14は、配管13の屈曲部に配設された超音波受信器3で受信され、屈曲部を流通する導電性流体の状態を測定することができる。また、前記屈曲部では、流通による負荷が大きく、配管13の損傷等による流動状態の変化を高精度に検出することができる。(10B)は、(10A)において、磁石体10a、10bの位置をずらしたものであり、流動方向に斜交する磁界11を形成することにより、配管13の向きに傾斜した方向に超音波14を送信することができる。即ち、磁石体10a、10bの位置を自在に変更して、超音波14の送信方向を適宜調整することができる。
図11は、本発明に係る直接型電磁超音波測定装置を被測定対象物である導電性固体9に配設した場合の構成概略図である。本発明に係る直接型電磁超音波探触子は、導電性の被測定対象物であれば、液体や固体を問わず電磁超音波を発生又は受信することができる。この実施例では、導電性固体9に電流端子5a、5bが直接接続され、電流端子5a、5b間に通電される交流電流と磁石体10a、10b間に形成される磁界との電磁相互作用により振動ローレンツ力が発生して、導電性固体9中に超音波14が送信される。この超音波14により金属材料や導電性の有機材料等を用いた構造物の探傷や物性測定を行うことができる。
図12は、本発明に係る超音波発振部4が導電性固体9に突設された直接型電磁超音波送信器1の構成概略図である。ここで、前記突状部は、導電性固体と一体形成されると共に、同一の物質から形成されている。導電性固体と突状部に界面が形成されないことにより、前述のように、多重反射や超音波のモード変換を防止することができる。前記突状部は、固体物の製造時に一体形成されることが好ましく、直接型電磁超音波送信器1が配設される導電性固体を切削して前記突状部を形成しても良い。前記超音波発振部4が導電性固体9に突設された突状部から形成され、この突状部に電流端子対(図12には電流端子5aのみが示されている)が接続されて直接交流電流が通電される。更に、磁石体10a、10bにより磁界11が形成され、電磁相互作用によって発生する振動ローレンツ力により超音波14が駆動される。前記突状部に超音波発振部4を設けることにより、前記交流電流や磁界の影響が抑制され、導電性固体固有の状態を反映した超音波信号を受信することができる。また、前記突状部を前記超音波発振部とすることにより、前記交流電流の通電方向や形成される磁界の方向を簡単に調整することができる。
図13は、本発明に係る直接型電磁超音波探触子により導電性固体中に横波超音波が送信される実施例の1つを示す構成概略図である。縦波超音波は振動するローレンツ力24の振動方向に送信されるが、固体中では弾性により横波超音波14が前記振動ローレンツ力24の振動方向に対して垂直な面方向に送信される。従って、超音波14の強度は、伝播距離の逆数に比例して減衰していく。しかしながら、超音波14が振動方向に対して垂直な面方向に伝播することにより、広範囲に亘り導電性固体中に超音波14が送信される。従って、超音波受信器3の位置を適宜調整して、導電性固体中おける所望の領域に対して超音波測定を行うことができる。また、超音波受信器3を複数配置して(図示せず)、導電性固体中の拡範囲な領域を同時に測定することも可能である。
図14は、本発明に係る直接型電磁超音波受信器2の構成概略図である。直接型電磁超音波受信器2は、導電性固体と一体に突設された超音波受信部16、磁石体18a、18b、電流端子15a、15b及びこの電流端子対に接続された電圧計から構成されている。また、電圧計に換えて電流計(図示せず)を接続し、前記誘導起電力によって通電する誘導電流を測定しても良い。
前述のように、超音波受信部16は、超音波14が伝播してきた導電性固体と同一の物質から形成されると共に、一体形成されていることが好ましく、導電性固体と超音波受信部16との界面における多重反射やモード変換が防止される。前記超音波受信部16の両側面に磁石体18a、18bが非接触状態で配設されている。この超音波受信部16は、導電性固体の側面に突設された突出部として形成されている。前記磁石体18a、18b間に形成される磁界11中に前記導電性流体12内を伝播する超音波14の振動が伝達すると、電流端子15a、15b、電流線22、電圧計20及び導電性固体の一部からなる回路を貫く磁束量が変動して、誘導起電力が発生する。この誘導起電力を電圧計20によって測定することにより、超音波信号を受信することができる。例えば、超音波14により矢印34の方向に振動した場合、前記回路を貫く磁束数が減少し、前記誘導起電力により誘導電流30が誘起される。
図15は、本発明に係る2つの超音波発振部4から送信される超音波14a、14bが互いに強め合うように構成された直接型電磁超音波送信器1の構成概略図である。この実施例において、直接型電磁超音波送信器1は、2つの超音波発振部4から構成され、これらの超音波発振部41、42には、互いに逆向きの磁界が形成されている。従って、同一位相の交流電流を通電させることにより、作用するローレンツ力Fの振動方向が逆向きとなり、超音波14a、14bの位相がπずれる。各超音波14a、14bの波長をλとすると、これらの伝播経路の行路差がλ/2ずれたとき、各超音波12が強め合う。即ち、超音波発振点間隔をWとすると、超音波が強め合う方向は条件(W/2)・sinθ=λ/2が満足される方向であり、θ=sin−1(λ/W)の関係式を満たす入射角θの方向となる。
図16は、図11に示した直接型電磁超音波送信器1により送信された超音波信号の測定結果である。図11に示す導電性固体9としては、ステンレス鋼が用いられ、直接型電磁超音波送信器1により駆動された超音波14が距離Lを伝播して、超音波受信器3で受信される。また、図9における超音波14の伝播距離Lは、L=200mmに設定されている。受信超音波信号の測定では、超音波受信器3として圧電素子型超音波受信器が用いられ、図14の縦軸は圧電素子型超音波受信器からの出力電圧を示している。図に示すように、直接型電磁超音波送信器1によって高強度の超音波14を駆動することにより、良好なS/N比を有する超音波信号の第1波Wが測定されている。従って、第1波Wが伝達するまでの時間Δtの高精度な値が得られ、超音波の音速VがV=L/ΔtよりV=5630m/sと見積もられる。
図17は、本発明に係る直接型電磁超音波送信器1により導電性液体52中に超音波14を送信する場合の受信超音波の測定配置図である。この実施例では、導電性液体52として、容器36中の水(塩化ナトリウム溶液)が用いられている。超音波発振部4は、受信槽4aに流入した導電性液体52から構成され、交流電源により電流端子5a、5b間に通電される交流電流と磁石対(図示せず)により形成される磁界の電磁相互作用により振動ローレンツ力24を作用させ、導電性液体52中に超音波14を発生させている。この測定では、超音波受信器3には、圧電素子型超音波受信器が用いられている。また、超音波14の伝播距離Lは、L=75mmに設定されている。
図18は、図17に示した直接型電磁超音波送信器1により送信された超音波信号の測定結果である。図18の縦軸は圧電素子型超音波受信器からの出力電圧を示しており、直接型電磁超音波送信器1により導電性液体中に高強度の超音波14を直接駆動することにより、良好なS/N比を有する超音波信号の第1波Wが測定されている。更に、第1波Wが伝達するまでの時間Δtの高精度な値が得られており、導電性液体中の超音波の音速VがV=L/ΔtよりV=1540m/sと見積もられる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例や設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明に係る直接型電磁超音波探触子は、導電性被測定対象物中に直接超音波を発生させるから、高強度の超音波を送信又は高感度で受信できると共に、ケーシングによる多重反射や超音波のモード変換等を防止して、良好なS/N比を有する超音波信号を送受信することができる。従って、超音波測定装置や探傷装置の超音波送信器として用いることにより、導電性流体や導電性個体の物理量測定や金属試料の検査方法の精度を格段に向上させることができ、微細な材質劣化や物理量を検出・測定することができる。従って、本発明に係る直接型電磁超音波探触子を用いることにより、原子力発電所や有害な化学物資を取り扱う化学プラント等において、金属材料中の材料劣化や金属管中の流体温度等を高精度に測定することができる。
本発明に係る直接型電磁超音波探触子から構成される超音波測定装置の概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波測定装置が配設された配管の拡大断面図である。 本発明に係る直接型電磁超音波探触子から構成される超音波測定装置の概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波測定装置が配設された配管の断面図である。 本発明に係る直接型電磁超音波送信器の断面概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波発信器の設置位置を示す断面概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波受信器の断面概略図である。 本発明に係る複数の超音波発振部を具備する直接型電磁超音波送信器の断面概略図である。 本発明に係る複数の超音波発振部を具備する直接型電磁超音波送信器の断面概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波測定装置の他の配置例を示す概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波測定装置を被測定対象物である導電性固体に配設した場合の構成概略図である。 本発明に係る超音波発振部が導電性固体に突設された直接型電磁超音波送信器の構成概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波探触子により導電性固体中に横波超音波が送信される実施例の1つを示す構成概略図である。 本発明に係る直接型電磁超音波受信器の構成概略図である。 本発明に係る2つの超音波発振部から送信される超音波が互いに強め合うように構成された直接型電磁超音波送信器の構成概略図である。 図9に示した直接型電磁超音波送信器により送信された超音波信号の測定結果である。 本発明に係る直接型電磁超音波送信器により導電性液体中に超音波を送信する場合の受信超音波の測定配置図である。 図15に示した直接型電磁超音波送信器1により送信された超音波信号の測定結果である。 従来の電磁超音波探触子を用いた超音波測定装置の概略図である。 従来の電磁超音波探触子における超音波の発振機構の概略説明図である。
符号の説明
1 直接型電磁超音波送信器
2 直接型電磁超音波受信器
3 超音波受信器
4 超音波発振部
4a 発振槽
5a 電流端子
5b 電流端子
6 電流線
7 交流電流
8 交流電流供給手段
9 導電性固体
10a 磁石体
10b 磁石体
11 磁界
12 導電性流体
13 配管
14 超音波
14a 矢印
14b 矢印
14c 波動
14d 超音波
14e 超音波
14f 超音波
14g 腹
14h 節
15a 電流端子
15b 電流端子
16 超音波受信部
18a 磁石体
18b 磁石体
20 電圧計
22 電流線
24 ローレンツ力
30 誘導電流
32a 送信側端部
32b 受信側端部
34 矢印
36 容器
41 超音波発振部
42 超音波発振部
43 超音波発振部
52 導電性液体
101 電磁超音波探触子
103 超音波受信器
106 電流線
107a 矢印
107b 誘導電流
108 交流電流供給手段
111 磁界
112 流体
113 配管
114a 超音波
114b 超音波
114c 波動
124 ローレンツ力
Ds 間隔
d 距離
L 伝播距離
W 間隔
θ 入射角
δ 行路差

Claims (21)

  1. 磁界と交流電流との電磁相互作用により超音波を発生させ、この超音波を被測定対象物中に送信する電磁超音波送信方法において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定象物中に交流電流を直接通電させると同時にこの交流電流に直交又は斜交する磁界を形成し、前記交流電流に連動する前記磁界との電磁相互作用により前記導電性被測定象物中に作用方向が振動するローレンツ力を発生させ、この振動ローレンツ力の作用により前記被測定対象物中に超音波を直接発生させることを特徴とする直接型電磁超音波送信方法。
  2. 前記導電性被測定対象物に突設された突状部に前記交流電流を直接通電させると同時に前記磁界を形成して、前記突状部内に前記振動ローレンツ力を発生させ、この突状部内から超音波を送信する請求項1に記載の直接型電磁超音波送信方法。
  3. 前記導電性被測定対象物が流路内を流通する導電性流体であり、この導電性流体を前記流路側面に設けられた発振槽内に流入させ、この発振槽内の導電性流体に交流電流を直接通電させると同時に前記磁界を形成し、前記振動ローレンツ力を発生させて前記発振槽内から超音波を送信する請求項1に記載の直接型電磁超音波送信方法。
  4. 前記超音波の伝播経路における送信側端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、λは超音波の波長、nは自然数)となる位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力を作用させる請求項1〜3のいずれかに記載の直接型電磁超音波送信方法。
  5. 前記超音波を前記導電性被測定対象物中の複数の点で発生させ、所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相を調整する請求項1〜3のいずれかに記載の直接型電磁超音波送信方法。
  6. 被測定対象物中を伝播する超音波を受信する電磁超音波受信方法において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の一部又は全体に磁界を形成し、この磁界と超音波の伝達により振動する導電性被測定対象物の電磁相互作用によって前記磁界の直交方向に誘導起電力を発生させ、前記導電性被測定対象物に直接接続された電流端子対を介して前記誘導起電力又は誘導電流を計測し、前記超音波を受信することを特徴とする直接型電磁超音波受信方法。
  7. 前記被測定対象物に突設された突状部内に磁界を形成し、この突状部内に前記超音波が伝播して発生する誘導起電力又は誘導電流を直接計測する請求項6に記載の直接型電磁超音波受信方法。
  8. 前記被測定対象物が流路内を流通する導電性流体であり、この導電性流体を前記流路に設けられた受信槽内に流入させ、この受信槽内の導電性流体に対して磁界を形成し、前記受信槽内に前記超音波が伝達して発生する誘導起電力又は誘導電流を直接計測する請求項6に記載の直接型電磁超音波受信方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の直接型電磁超音波送信方法により前記被測定対象物中に超音波を送信し、請求項6〜8のいずれかに記載の直接型電磁超音波受信方法により前記超音波を受信することを特徴とする直接型電磁超音波測定方法。
  10. 請求項1又は2に記載の直接型電磁超音波送信方法により発生する横波超音波を伝播させ、この横波超音波の伝播方向に配設された超音波受信器により前記横波超音波を受信することを特徴とする直接型電磁超音波測定方法。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載の直接型電磁超音波送信方法により前記被測定対象物中に超音波を送信し、圧電素子又は電磁超音波探触子から構成される超音波受信器により前記超音波を受信することを特徴とする直接型電磁超音波測定方法。
  12. 磁石と交流電流の通電手段又は誘導起電力の測定手段から構成され、電磁相互作用を利用して超音波を被測定対象物中に送信する又は被測定対象物中を伝播する超音波を受信する電磁超音波探触子において、前記被測定対象物が導電性被測定対象物であり、この導電性被測定対象物中の超音波発振部又超音波受信部に接続される電流端子対と、前記交流電流の通電方向又は前記超音波の伝播方向に直交又は斜交する磁界を形成する1対以上の磁石対から構成され、前記電流端子対により交流電流を前記導電性被測定対象物中に直接通電させる又は前記磁界中の超音波振動により発生する誘導起電力又は誘導電流を直接計測することを特徴とする直接型電磁超音波探触子。
  13. 前記超音波発振部又は前記超音波受信部が前記導電性被測定対象物の一部を突出させて設けられた1つ以上の突状部であり、この突状部側面に前記電流端子対と前記磁石対が配設される請求項12に記載の直接型電磁超音波探触子。
  14. 前記導電性被測定対象物が流路を流通する導電性流体であり、前記超音波発振部又は超音波受信部が前記流路に設けられた1つ以上の発振槽内又は受信槽に流入する導電性流体である請求項12に記載の直接型電磁超音波探触子。
  15. 前記発振槽又は受信槽が複数槽設けられ、各発振槽に一対以上の電流端子が配設される請求項14に記載の直接型電磁超音波探触子。
  16. 前記超音波を伝播させる伝播経路上の端部からの距離dがd=(λ/4+(n−1)λ/2)(ここで、λは超音波の波長、nは自然数)となる位置又はその近傍に前記振動ローレンツ力が作用するように又は誘導電流が通電するように前記電流端子対と磁石対が配設される請求項12〜15のいずれかに記載の直接型電磁超音波探触子。
  17. 前記超音波発振部が複数配設され、これらの発振部から所定の方向に伝播する各超音波が互いに強め合うように各超音波の振動数及び/又は位相を調整する制御手段が設けられる請求項12〜16のいずれかに記載の直接型電磁超音波探触子。
  18. 前記磁石対が電磁石対であり、この電磁石対により発生する磁界の強さが自在に調整される請求項12〜17に記載の直接型電磁超音波探触子。
  19. 請求項12〜18のいずれかに記載の直接型電磁超音波探触子を超音波送信器及び/又は超音波受信器として具備することを特徴とする直接型超音波測定装置。
  20. 請求項12又は13に記載の直接型電磁超音波探触子から発生する横波超音波を前記被測定対象物中に伝播させるように前記電流端子対と磁石対が配設され、前記横波超音波の伝播方向に超音波受信器が設置されることを特徴とする直接型電磁超音波測定装置。
  21. 請求項12〜18のいずれかに記載の直接型電磁超音波探触子を超音波送信器として具備し、超音波受信器として圧電素子又は電磁超音波探触子から構成される超音波受信器が配設されることを特徴とする直接型超音波測定装置。
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