JP2007268494A - ろ過装置及びその運転方法 - Google Patents

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彰 後藤
Kazuya Hirata
和也 平田
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Abstract

【課題】フィルターの運転中に被処理液中の不純物がフィルターに付着、堆積し、圧密されてフィルターの目詰まりを生じることを防止して、膜ろ過装置の逆洗頻度や薬品洗浄の頻度を低下させて、効率的な運転を可能にするろ過装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うための機材を配設したことを特徴とするろ過装置。上記の装置の運転時において、原液中に含まれる対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させる際に、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うことを特徴とするろ過装置の運転方法。
【選択図】図1

Description

本発明は分離膜(以下、本明細書においては、分離膜とフィルターは同義語として扱う)を用いたろ過装置及びその運転方法に関するものである。
膜ろ過装置は、原液から膜の細孔径以上の固体物質を確実に固液分離することが可能であることから、安定して清澄な処理液を得ることができるろ過技術として近年普及しつつある。
膜ろ過方法は、膜面に対する原液の流入方法の違いで2種類に分けることができる。1つは、原液を膜面に対して垂直方向に流入させてろ過を行う全量ろ過と呼ばれるろ過法である。もう1つは膜面に対して平行に原液を流入させて膜面に付着した物質をせん断力で剥ぎ取りながらろ過を行うクロスフローと呼ばれるろ過方法である。
ろ過方法及び装置における被処理液の代表例は水であるので、分かり易くするために、以下においては被処理液を被処理水(「原水」ともいう)の場合で説明することがある。
膜ろ過装置を運転すると、ろ過方法に関わらず、ろ過の継続とともに膜の原水側で濁質分の蓄積や膜内の目詰まりが生じて膜のろ過性能が低下する。このため、定期的にろ過水を膜のろ過側から逆通水するいわゆる逆洗を行って、膜のろ過性能を回復させる。
ところで、通常運転時にフィルターに不純物が付着してしまうのは、フィルターの上流(原水)側と下流(処理水)側に生じる差圧(以下単に、差圧と略記する)が原因であるため、一度付着した不純物を運転中に除去することは困難である。
また不純物が堆積しても、運転中であれば差圧は常に生じているため、堆積した不純物は圧密(圧力により密度が上がり,押し潰された状態)されてフィルターの目詰まりを招く。
そのため、上記差圧を減少もしくは逆向きに差圧を設けて不純物を除去するために逆洗工程が必要である。逆洗工程中は水処理装置全体の運転を停止する必要があるため、極力逆洗工程の時間および頻度は少ないほうが望ましい。
逆洗工程削減のために従来から様々な技術が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。しかして、特許文献1は、原水をフィルター表面に噴流を噴射してその動圧成分を用いてフィルター表面に不純物が付着することを防止するものである。また同公報には、超音波発信器を併設してその強制振動によって不純物を除去する技術が記載されている。
特開2005−342609号公報
ところが、特開2005−342609号公報に示されているような噴流による効果は局所的であり、フィルター全面を網羅することが困難である。またフィルターの上流側と下流側に差圧が生じている状態で、超音波発信器による加振によって不純物が取り除かれる効果も少ない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フィルターの運転中に被処理液中の分離対象物である不純物がフィルターに付着、堆積し、圧密されてフィルターの目詰まりを生じることを防止して、膜ろ過装置の逆洗頻度や薬品洗浄の頻度を低下させて、効率的な運転を可能にするろ過装置とその運転方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意研究を行い、フィルター部分において圧力脈動を起して大きな差圧の変動を生じさせれば、分離対象物としての不純物がフィルター面に堆積及び圧密することが防止できることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は下記の構成とすることにより、上記の目的を達成することに成功した。
(1)原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うための機材を配設したことを特徴とするろ過装置。
(2)原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動させる圧力変動部材を具備したことを特徴とするろ過装置。
(3)前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する配管内に設置した柱状物体であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のろ過装置。
(4)前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜モジュールの固有振動数に合うように調整して形成されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のろ過装置。
(5)前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する際に用いる圧力発生装置として大きな圧力変動を発生するポンプを用いたことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のろ過装置。
(6)前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜の固有振動数になるように調整して形成されていることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のろ過装置。
(7)原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、前記圧力発生装置を加振源として前記配管系内に形成される圧力定在波の腹付近に分離膜を設置したことを特徴とするろ過装置。
(8)前記ろ過装置において、前記圧力発生装置を加振源として前記配管系内に形成される圧力定在波の節付近にポンプを設置したことを特徴とする前記(7)に記載のろ過装置。
(9)原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管を備えたろ過装置の運転方法において、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させる際に、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うことを特徴とするろ過装置の運転方法。
(10)原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備えたろ過装置の運転方法において、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させる際に、圧力変動機材によって分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動するように運転することを特徴とするろ過装置の運転方法。
(11)前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する配管内に設置した柱状物体であることを特徴とする前記(10)に記載のろ過装置の運転方法。
(12)前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜モジュールの固有振動数に合うように調整して運転することを特徴とする前記(10)又は(11)に記載のろ過装置の運転方法。
(13)前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する際に用いる圧力発生装置として大きな圧力変動を発生するポンプを用いたことを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれか1項に記載のろ過装置の運転方法。
(14)前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜の固有振動数になるように調整して運転することを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれか1項に記載のろ過装置の運転法。
本発明のろ過装置の分離膜(フィルター)の逆洗工程の頻度及び時間を低下、短縮する原理の基本は、原液のろ過中にフィルターの差圧を変動させることにより、不純物がフィルター表面に堆積すること、及び圧密することを防止することである。これを実施する方策として、不純物をフィルター表面に押し付ける力(圧力)を周期的に変動させて、フィルター表面に近づいた不純物を周期的に押し付け及び離脱を繰り返すようにする。
その結果フィルター内の不純物がフィルター表面に堆積、および圧密しづらくなるため、運転時間を長時間続けることが可能になり、逆洗工程削減の効果がある(図1参照)。
以下、本発明のろ過装置及びその運転方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明は、これらの実施形態のみに限定されるものではない。
本発明が対象とする原液には、表流水、地下水、食品分野、および医薬分野等の水が含まれ、あらゆる水処理分野で広く適用可能である。そして、河川水、井戸水など水道用原水中に含まれる濁度成分、細菌類、クリプトスポリジウム等の原虫類を完全に除去できるだけでなく、ワインやミネラルウォーター等の精製、半導体研磨液等の精製、菌体分離・濃縮等の医学・工業分野に効果的に利用可能でもある。原液としては、水以外の液状媒体について適用できる。
フィルター部分には、高分子材料やセラミック材料を用いたものが実用化されている。
高分子分離膜としては、表面に1〜0.001μmの緻細孔を有するポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン又はシリコーンゴム製の中空糸膜が、本発明においては好適用使用である。この中空子膜を利用して下水を飲料水化するための浄化コストは40〜60円/トンであり、日本国内の上水道価格は一般的に170〜200円/トンであるから、高分子分離膜使用造水はコスト面での競争力は十分有ると言える。
一方、セラミックフィルターは孔径が0.1μm程度であるが、細粒層の細孔分布がシャープで、均一であるため、分離性能が優れ、ろ過精度が高い。しかも高分子中空糸膜に比べて下記の特徴を有し、本発明において特に好適に使用できる材料である。
1.化学的な劣化、熱や圧力による変質がなく、寿命が長い。
2.耐熱性、耐食性に優れ、不純物の溶出がない。
3.機械的な強度が高く、膜破損がない。
4.耐薬品性に優れ、薬品洗浄による膜性能の回復が容易。
5.使用済みの膜は窯業原料としてリサイクルが可能。
本発明に使用できるセラミックエレメントの一例としては、アルミナ質セラミック製で、孔径0.1μm、直径180mm、長さ1000mm、膜面積15mの内圧式モノリス型セラミックエレメントが挙げられる。
このセラミック膜エレメントをステンレスケーシング中に1〜10個エレメント収容して膜モジュールを作製する。
これらフィルターを用いたろ過装置、例えば水処理施設の運用時には、フィルターが原水内の不純物によって目詰まりを起こし処理性能が低下するのを防ぐために30分〜数時間毎に一度、数分間の逆洗工程が必要である。
基本的なろ過装置のシステムを図2に示す。図2のフィルターは円筒状のものを仮定しており、円筒の内部に原液を注入して周辺から処理液を排出する構造になっている。
逆洗とは通常のろ過方向とは逆に液を流して、フィルターの内側に付着した不純物を除去するものである。すなわち、図2のシステムにおいて通常の流れと反対方向に流すことにより、逆洗を行う。
本発明は、ろ過装置のフィルター部分に圧力脈動を起して大きな差圧の変動を生じさせ、逆洗頻度を低下させるものであるが、フィルター上流側及び下流側の差圧を変動させるために、様々な方法が利用できる。
フィルターに原液を送る配管11内に柱状の物体12を設けると、柱状物体の下流側にはカルマン渦14と呼ばれる千鳥配列上の渦が生じる(図4参照)。カルマン渦が生じている流れ場では、渦の放出および移送によって圧力の変動が生じるため、差圧に変動を与えることが可能である。カルマン渦の周波数fは、柱状物体の幅D及び配管内流速Vを用いて、ストロハル数Stにより以下の式で示される。
St=fD/V
柱状物体を円柱と仮定した場合には、レイノルズ数Reにも依存するが、ストロハル数Stは0.1〜0.21程度である。よって、上式によりレイノルズ数Reを鑑みてストロハル数Stを算出して得た後、配管内流速Vや柱状物Dを好適に運転できるよう選定、および設計することによってカルマン渦の放出周波数fを調整することが可能である。
その結果配管などを含めた水処理装置系の固有振動数や、その等倍波の周波数を発生させることも可能である。すなわちフィルター部分において共振現象を起こすことによって、大きな差圧の変動を生じることが可能である。これらの差圧変動により不純物が堆積および圧密することを防止して、逆洗工程を削減することが可能である。
柱状物体として直径D=19mmの円柱12を、200Aの配管(外径216.3mm、内径203.3mm)の中心部分に設置(図3参照)して,配管内の流速Vを2.5m/sの条件で運転した時に,円柱の下流側5D(つまり柱状物体の95mm下流側)の位置で静圧Pを測定したところPはカルマン渦の影響で周期的に変動していた。その圧力変動は以下の式1で定式化することが可能であった。
Figure 2007268494
ただし、ここでA:圧力変動の振幅,ω:角速度,およびt:時刻である。当該条件におけるストロハル数が0.15である場合には,カルマン渦の放出周波数fが20Hz([0019]内の式参照)である。
柱状物体の下流側5Dの位置における圧力変動の振幅Aは7kPaであった。通常のMF膜の運転時は70kPa程度の膜差圧を設けて、その際にフィルターを通過する流速は4m/day(約4.6×10−5m/s)である。このような低いRe数においては、フィルターを通過する流速は膜差圧に比例する。よって柱状物体の下流5Dの部分にフィルターを設置したと仮定すると、フィルターを通過する流体の流速は10%の周期的な変動成分を有している。よってフィルターを通過する流体が脈動することにより、フィルター表面への不純物の付着及び圧密が低減されるため、逆洗の頻度を下げることが可能になった。なお圧力変動の振幅Aは、柱状物体から離れるにしたがって減衰する。図5に横軸に柱状物体からの距離,縦軸に振幅Aとして示す。図5より明らかなように振幅Aは対数減衰であるため、圧密防止には柱状物体とフィルターの位置関係を好適に設計する必要があろう。仮に本発明を適用して図5のような振幅の変動が見られた水処理装置において、圧密低減には少なくとも3kPa程度の圧力変動が必要なフィルターでは、柱状物体とフィルターとの距離は6D以下に設置することが必要である。
なお上記の事柄は流体の各種物性、温度、運転条件等によって変化する。よって運用する水処理装置に応じて、好適に各種条件を設定することにより対応可能である。
仮にフィルターモジュール部分の固有振動数が20Hz、配管内流速が2.5m/s、および当該条件におけるストロハル数Stが0.15であった場合には、配管内に幅が約19mmの柱状物体を設ければ、固有振動数と共振するようなカルマン渦を放出することが可能である。また、上記のシステムにおいて、通常は流速2.0m/sで運転中するように設定して、不純物の堆積が懸念されるときに、一時的に流速を2.5m/sに上げることによって共振を起して不純物除去を行っても良い。
上記のシステムにおいて不純物堆積度合の検出方法として差圧、処理水の流量、目視、および超音波のいずれを用いても良い。
また、本明細書に記載のろ過装置には、原液をフィルターまで移送しフィルターを通過させるために、圧力発生装置(以下、単に「ポンプ」と称する)が不可欠である。ポンプはターボ形及び容積形に大別できる。一般にポンプを運転すると移送する液体中に圧力の変動(圧力脈動)が不可避的に生じる。過大な圧力脈動は配管などの機材を介して装置全体の振動の原因となるため、通常のポンプ運用時には圧力脈動は歓迎されないものであり、従来は、できるだけ小さな圧力脈動となるように配慮されてきた。ただし、ポンプ部分で発生した圧力脈動は、ポンプからの距離が離れるにつれ急速に減衰するため、ポンプ周りの振動対策に留意すれば十分なことが大半で、特にフィルター設置部分の原液における圧力脈動は実質的に無視できる程度に小さくなっている。本発明では、こうした従来の知見と全く異なる発想で、フィルター部での圧力脈動を積極的に制御することにより、フィルター部への不純物の堆積及び圧密を防止する手段を提供するものである。
例えば、本発明において圧力脈動を増大させる手段としては、遠心、斜流、及び軸流形に代表されるターボ形ポンプにおいて、回転する羽根車とそれを収納するケーシングとの隙間を小さくして舌部干渉を増大させる、羽根枚数を減らして一枚当たりの負荷を増す、もしくは一部の羽根の長さを短くして流れの歪を増大させるなどの諸方法が挙げられる。上記の技術は単独でも、これらを組み合せ併用して用いても良い。また、圧力脈動をさらに積極的に導入するために、一般に圧力脈動が大きいとされるピストンポンプ等を単独で、あるいはターボ形ポンプと組み合せ併用して用いることも有効である。ただし、本発明で示す以下の手段をろ過装置の配管系に適用しなければ、ポンプ位置で導入された圧力脈動は急速に減衰し、フィルター部への不純物の堆積及び圧密を防止する手段として有効に利用することはできない。
ここで図7に示したような配管系を持つポンプループを考える。ポンプへの吸込み管の口径は150mm、吐き出し口径は100mmで、羽根車外形はD=156mm、羽根車とケーシング間の隙間は羽根車外径の4.6%、羽根枚数はz=5枚で、ポンプ設計回転数はN=2280rpmであり、回転数はインバータにより可変とすることができる。羽根車の回転により、各羽根とケーシングとの干渉による圧力変動が周期的に発生し、その周期はf=zN/60=190Hzである。このとき、配管系内の液は水であり、その圧力波が伝播する速度(水の音速)は1020m/sである。従って、ポンプにより発生する圧力変動の波の波長は、λ=1020/190=5.4mである。ろ過装置の原液槽あるいはろ過液槽の容量は、それにつながる配管径に対し十分に大きく、この場合の配管系は両端が開放端で、そこでの圧力変動ゼロとみなすことができる。
この時、例えば両タンク間の配管長さがλと同じ5.4mであったとすると、配管両端を波の節(圧力変動ゼロ)として配管系に定在的に発生する圧力波(定在波)が発生し、その腹の位置では大きな圧力変動が発生することになる。配管長さが半波長に相当する場合は、圧力波の腹は配管系の1箇所に、配管長さが1波長に相当する場合は、圧力波の腹は配管系の2箇所に現れる(図6参照)。
実施例1
図8は、圧力波の半波長が配管の長さと一致した場合と、1波長が一致した場合の圧力変動の振幅を示したものである。なお、図中の配管長さls及びldは、吸込み及び吐き出しの各配管径で無次元化した値である。配管長さやポンプの位置を同じとし、ポンプの回転数Nを1296rpmと2328rpmに変化させ、ポンプにより発生する発力変動の周波数を各々f=108Hz(N=1296rpm)、f=194Hz(N=2328rpm)とすることにより、圧力波の波長を変えた。変動圧力の無次元振幅p・p値|P|* p-p(両振幅)の最大値は、ポンプが圧力波の腹の部分に位置している場合には0.037、ポンプが圧力波の節の近くに位置している場合には0.16となった。ここで、変動圧力は羽根車の回転速度の動圧ρ(πDN/60)で無次元化している。f=108Hzの場合はρ(πDN/60)=56kPaであるので、圧力振幅は56×0.037=2kPa(ポンプ設計揚程の約4%)、f=194Hzの場合はρ(πDN/60)=180kPaであるので、圧力振幅は180×0.16=29kPa(ポンプ設計揚程の約19%)となっている。
この実施例から明らかなように、ポンプにより発生する圧力変動の周波数を、配管系内に形成される圧力波の固有周波数と一致させることにより、特に付加的なエネルギーを投入することなく、圧力振幅を増大させることができる。また、その圧力振幅の大きさは、配管系におけるポンプの位置を適切に選択することにより、自由に制御することができる。本実施例におけるポンプ回転数N=2328rpmの場合、フィルター位置は圧力波の腹の位置にあり、その大きな圧力振幅により分離膜モジュールの膜前後の瞬間差圧を大きく変動させながら原液を分離でき、その結果、フィルター部への不純物の堆積及び圧密を防止することが可能となる。
図9は、ポンプ吐き出し側の配管長さが長い場合の実施例で、この場合も、ポンプの配管系内の位置が圧力波の腹付近にある場合の無次元圧力振幅は0.03(N=1296rpm)であったのに対し、ポンプ位置が圧力波の節付近にある場合の無次元圧力振幅は0.2(N=2400rpm)となる。すなわち、配管系の出口側長さや入り口側長さを適切に選択することにより、圧力振幅を適正化することができる。
なお、フィルターやバルブなどを付加することにより配管系の固有周波数が変化するので、本発明により、配管系に応じて好適に配管系の長さ、ポンプ位置、及びフィルター設置位置を設計する必要がある。本発明によれば、適切な分離膜前後の瞬間差圧の周期的変動を起こすことができ、長時間の連続運転の継続が可能となり、逆洗頻度の低下が可能となる。また、同一のポンプ揚程を実現するポンプは、羽根車外径、羽根枚数、羽根車の回転速度など種々の組み合わせで実現できる。従って、本発明に基づき、周波数や得られる圧力振幅を適切に選択すれば、装置として振動などの問題の無いレベルに押さえながら、フィルター部への不純物の堆積及び圧密を防止するに十分な適切な機能を発揮させることができる。
本発明を具体的に実施する際には、前に説明したようにろ過方式のうち、どのろ過方式を取るかによって、その全体のフローシートが変わってくる。ろ過方式としてカウンターフロー方式に適用した場合の液のろ過システムのフローシートを図10に示す。また、ろ過方式として全ろ過方式に適用した場合のろ過システムはこれと少し異なる。
図10においては、原液1は、原液槽2に入り、そこから供給ポンプ3により脈動を与えられてろ過装置4でろ過され、ろ過により得られたろ過液5はろ過液槽6に入り、ろ過装置4でろ過されなかった原液の残りは循環液7として原液槽2に戻る。ろ過装置4において逆洗を行う際には、その逆洗排液は排液8として排出される。全ろ過方式の場合には、循環液7として戻る配管は必要がない。
本発明のろ過装置及びその運転方法に使用する分離膜使用浄液システム、例えば分離膜使用浄水システムは、逆洗頻度を低下できるばかりでなく、原水の濁度の急激な変動にも安定した処理能力を維持でき、沈殿池や急速ろ過池などが不要なため、狭い用地でも建設が可能であり、逆洗工程も含めた全自動化により無人運転が可能であり、全量ろ過(デッドエンド)方式の採用により水の回収率が高くなり(98%以上)、単位ろ過量あたりのランニングコストが低いので、表流水(水道用原水)及び地下水(井戸水)の清浄化、食品分野及び医薬分野の精製、菌体分離や濃縮などの生産分野に広い用途を有するものである。水以外の液状媒体についてのろ過にも適用することができる。
差圧の周期変動の有無による不純物の堆積、圧密の相違を説明する模式図である。 本発明のろ過装置の構成を説明するフロー図である。 液が流れる管内に柱状物体を配置する説明図であり、(a)が上面図、(b)が正面図、(c)が側面図である。 レイノルズ数Reとカルマン渦の形成関係の説明図である。 図2において、柱状物体との距離による圧力変動の振幅の変化を示すグラフである。 圧力定在波の腹部にフィルター部を設置したポンプループの模式図である。 原液槽、吸引管、供給ポンプ、排出管、ろ過液槽からなる配管系からなるポンプループを示す。 図7に示すポンプループにおいて、圧力波の半波長が配管の長さと一致している場合と、1波長が一致した場合の圧力変動の振幅を示した図である。 図7に示すポンプループにおいて、ポンプ吐き出し側の配管長さが長い場合の圧力変動の振幅を示した図である。 カウンターフロー方式に適用した本発明の水処理システムのフローシート図である。
1 原液
2 原液槽
3 供給ポンプ
4 ろ過装置
5 ろ過液
6 ろ過液槽
7 循環液
8 排液
9 ポンプ
10 フィルター
11 管
12 柱状物体
13 静圧測定装置
14 カルマン渦
15 節
16 腹
21 吸引管
22 排出管
23 管端
24 ろ過ユニット

Claims (14)

  1. 原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うための機材を配設したことを特徴とするろ過装置。
  2. 原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動させる圧力変動部材を具備したことを特徴とするろ過装置。
  3. 前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する配管内に設置した柱状物体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のろ過装置。
  4. 前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜モジュールの固有振動数に合うように調整して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のろ過装置。
  5. 前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する際に用いる圧力発生装置として大きな圧力変動を発生するポンプを用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のろ過装置。
  6. 前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜の固有振動数になるように調整して形成されていることを特徴とする請求項1〜5に記載のろ過装置。
  7. 原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備え、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させるように構成したろ過装置において、前記圧力発生装置を加振源として前記配管系内に形成される圧力定在波の腹付近に分離膜を設置したことを特徴とするろ過装置。
  8. 前記ろ過装置において、前記圧力発生装置を加振源として前記配管系内に形成される圧力定在波の節付近にポンプを設置したことを特徴とする請求項7に記載のろ過装置。
  9. 原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管を備えたろ過装置の運転方法において、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させる際に、分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動する運転を行うことを特徴とするろ過装置の運転方法。
  10. 原液を分離膜モジュールに移送する圧力発生装置と、タンクと、分離膜モジュールと、それらを接合する配管類を備えたろ過装置の運転方法において、原液を分離膜により膜分離して、原液中に含まれる分離対象物を分離し、透過した液を処理液として流出させる際に、圧力変動機材によって分離膜モジュールの膜間差圧を周期的に変動するように運転することを特徴とするろ過装置の運転方法。
  11. 前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する配管内に設置した柱状物体であることを特徴とする請求項10に記載のろ過装置の運転方法。
  12. 前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜モジュールの固有振動数に合うように調整して運転することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のろ過装置の運転方法。
  13. 前記圧力変動機材は、原液を分離膜モジュールに移送する際に用いる圧力発生装置として大きな圧力変動を発生するポンプを用いたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のろ過装置の運転方法。
  14. 前記圧力変動機材による圧力変動周波数を、分離膜の固有振動数になるように調整して運転することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のろ過装置の運転法。
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