JP2007263919A - 分注機および分注機を用いた分注方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検体の検出感度が低下するのを防ぐことができる分注機および分注機を用いた分注方法を提供する。
【解決手段】測定対象の検体3を基板2の分注位置に分注するための分注機であり、吸引した検体3を、基板2の分注位置に分注する透明のノズル20を有する分注ヘッド11と、ノズル20に対応して配置されて、検体3を吸引中にノズル20内を通過する気泡または異物250を検出する検出センサ13とを備え、検体3を吸引するためのノズル20の吸引領域部分Dの内径は、検体3を吐き出すノズル20の先端部24にかけて連続的に縮小されている。
【選択図】図1
【解決手段】測定対象の検体3を基板2の分注位置に分注するための分注機であり、吸引した検体3を、基板2の分注位置に分注する透明のノズル20を有する分注ヘッド11と、ノズル20に対応して配置されて、検体3を吸引中にノズル20内を通過する気泡または異物250を検出する検出センサ13とを備え、検体3を吸引するためのノズル20の吸引領域部分Dの内径は、検体3を吐き出すノズル20の先端部24にかけて連続的に縮小されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、分注機および分注機を用いた分注方法に関し、特に測定対象の検体を基板の分注位置に分注するための分注機および分注機を用いた分注方法に関する。
生体高分子に関する研究は、臨床検査、創薬や環境・食品検査分野への展開等様々な対象に対して行なれているが、この生体高分子が持つ情報を高感度で解析するための検出装置が、ますます重視されている。
従来の検出装置は、測定対象の基板に溶液である検体に対して光を当てることで、検体の蛍光色素が発光する蛍光を受光する。例えばレーザ光を試料台上の検体の反応領域に当てて、その反応領域から励起される反射光を光検出器により検出する。
この種の測定対象の基板には、ウェルと呼ばれる複数の凹部が配列して形成されており、各凹部には、分注機を用いてピペットを用いて分注するようになっている。(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2006/013832号公報
各凹部に検体を分注した基板に対しては、プラスチック板を溶着することで、外部から凹部内の検体に異物が混入するのを防いでいる。
しかし、凹部内に収容された検体には空気や異物が混入している場合がある。空気が混入すると、基板の凹部内の検体には空気層(気泡)が形成される。空気層(気泡)が検体に形成されたり、検体内に異物が入っていると、光の乱反射や散乱により検体から得られるレーザ光の測定光量が低下するので、検体の検出感度が低下してしまうという課題があった。
そこで、本発明は上記課題を解消するために、検体の検出感度が低下するのを防ぐことができる分注機および分注機を用いた分注方法を提供することを目的とする。
上記課題を解消するために、本発明の分注機は、測定対象の検体を基板の分注位置に分注するための分注機であって、吸引した前記検体を、前記基板の前記分注位置に分注する透明のノズルを有する分注ヘッドと、前記ノズルに対応して配置されて、前記検体を吸引中に前記ノズル内を通過する気泡または異物を検出する検出センサと、を備えることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記検出センサは、前記ノズル内に液体である前記検体が不連続となる様に形成された前記気泡を検出し、前記ノズルは、ガラス製であることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記検体を吸引するための前記ノズルの吸引領域部分の内径は、前記検体を吐き出す前記ノズルの先端部にかけて連続的に縮小されている。
本発明の分注機は、好ましくは複数の前記ノズルを有しており、各前記ノズルは、前記基板における前記検体の各前記分注位置に対応してそれぞれ配置されることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記ノズルの周囲には、保護部材が配置されていることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記基板における前記検体の前記分注位置は、前記基板に形成された凹部であることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記分注ヘッドと前記検出センサとは、別々に配置されていることを特徴とする。
本発明の分注機は、好ましくは前記ノズルの縦断面形状において、前記ノズルの外面の曲線と内面の曲線が、ともに変曲点を有する構造であることを特徴とする。
本発明の分注機を用いた分注方法は、測定対象の検体を基板の分注位置に分注するための分注機を用いた分注方法であって、分注ヘッドの透明のノズルに吸引した前記検体を、前記基板の前記分注位置に分注する際に、前記ノズルに対応して配置されて検出センサが、前記検体を前記ノズル内に吸引中に前記ノズル内を通過する気泡または異物を検出することを特徴とする。
本発明の分注機を用いた分注方法は、好ましくは前記検出センサが前記ノズル内を通過する前記検体内の前記気泡または前記異物を検出した時に、前記検体の吸引を止めて、吸引した前記検体を前記ノズルから吐き出して、再度前記ノズルにより前記検体を吸引することを特徴とする。
本発明の分注機を用いた分注方法は、好ましくは前記ノズルはガラス製であり、前記検体を吸引するための前記ノズルの吸引領域部分の内径は、前記検体を吐き出す前記ノズルの先端部にかけて連続的に縮小されており、前記検体は、前記案内通路を通じて、前記基板における前記検体の前記分注位置に吐き出されることを特徴とする。
本発明の分注機を用いた分注方法は、好ましくは複数の前記ノズルを有しており、各前記ノズルは、前記基板における前記検体の各前記分注位置に吐き出されることを特徴とする。
本発明の分注機を用いた分注方法は、好ましくは前記ノズルが連続している部分にだけ前記検体を吸引することを特徴とする。
本発明の分注機および分注機を用いた分注方法によれば、検体の検出感度が低下するのを防ぐことができる。
図1は、本発明の分注機の好ましい実施形態を示す図である。図2は、分注機のノズルの先端部の付近と、ノズルの保護部材を示す正面図であり、図3は、図2のB−B線におけるノズルと保護部材の軸方向の断面図である。
図1に示すように、分注機10は、分注ヘッド11と、吸引吐出駆動部12と、検出センサ13と、直線移動操作部14と、受光部15と、発光部16と、制御部100を有している。
図1の分注ヘッド11は、ノズル20と、ノズル20の保護部材21を有している。ノズル20は透明の材料、例えば透明のガラスにより作られ、ノズル20は例えば先細り部分25と、延長部23を有している。ノズル20の先細り部分25は、図2と図3に示すように、後で説明する基板2の検体3を吸引する吸引領域部分Dの範囲において、延長部23から先端部24に至るにしたがって先細りになるように形成されている。すなわち、ノズル20により検体3を吸引する場合には、検体3は、検体収容槽(図1では図示せず)から先端部24から吸引領域部分Dの範囲で先細り部分25の案内通路30内に吸引されるようになっている。
ノズル20の先細り部分25は、図1と図3に示すように、下に向けたほぼ円錐状を有し、内径が先端部24に向けて徐々に小さく形成されている。図3に示すように、先細り部分25の内面がなめらかになるように内径方向の断面積が急激に変化しないように、先細り部分25の案内通路30が形成されている。あるいは先細り部分25の案内通路30の軸方向の形状がなめらかになり急激に変化しないように、先細り部分25の案内通路30が形成されている。
図1に例示するように、先細り部分25の先端部25とは反対の部分26は、延長部23の一端部27に連続して形成されている。延長部23は、軸方向に沿って同じ内径を有しており、延長部23の空気の通路31は、先細り部分25の案内通路30に接続されている。延長部23の他端部28は、図1の吸引吐出駆動部12に対して、例えば、図1のような構成で接続される。図14では、ガラス製のノズル20は、延長部(平行部ともいう)23と先細り部(縮径部ともいう)25を有しており、延長部23の端部はSUS製のチューブ29Dに対して熱収縮チューブ29Bを用いて接続されている。熱収縮チューブ29Bは、固定兼シールの役割を果たす。SUS製のチューブ29Dの代わりに樹脂製フレキシブルチューブ29を介して接続しても良い。
図1の吸引吐出駆動部12が制御部100の指令により空気の吸引動作をすることで、ノズル20の先細り部分25は、検体の貯蔵部から検体3を先細り部分25の案内通路30内に吸引して、この検体3を案内通路30内に保持できる。そして、吸引吐出駆動部122が制御部100の指令により空気の吐き出し動作をすることで、案内通路30内の検体を、図1に示す基板2の凹部3へ吐き出すことができる。
このように、ノズル20の先細り部分25が、先端部24に向けた円錐状を有し、内径が先端部24に向けて徐々に小さく形成されていることで、ノズル20の先細り部分25は、先細り部分25の案内通路30内おいてスムーズに検体3を吸引して保持し、案内通路30内の検体3をスムーズに基板2の凹部4内に吐き出すことができる。
好ましくは、ノズル20の縮径部の形状を図23に示す構造とする。すなわち、中心軸上で切断する断面形状において、外面と内面の曲線がともに、変曲点701,702を有する構造とする。このような構造とする事で、ノズル20の縮径部703に段差や角部が発生しないので、検体吐出後のノズル内に空気層(気泡)が残らなくなる。一方、図24,25に示すように縮径部705に角部706や段差707がある場合、角部706や段差707に残液(検体3)と空気層(気泡250)の一部が残留し、検体を再吸引しても再びノズル内に気泡が入ってしまう事があり、再吐出と再吸引を頻繁に行う場合がある。
次に、図1の分注機10の分注ヘッド11の保護部材21に説明する。
保護部材21は、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属により作られており、円筒状の部材である。保護部材21は、延長部23とノズル20の一部の周囲を覆っている。保護部材21が最もG方向に下がった状態では、保護部材21はノズル20の先端部24を含む露出領域Fを露出している。好ましくは、領域Fを無くし、検体の吸引と吐出以外は保護部材21でノズル全体を覆う事ができ、検体の吸引時だけ保護部材21を移動させ、ノズル先端を露出できる構成(保護部材の移動機構は図示せず)とする。保護部材21には、検出センサ13の光入出射部13Hと緩衝がないように、切り欠き280が設けられている(図20を参照)。
図1に示す直線移動操作部14が制御部100の指令により動作することで、検体3の分注作業中では、図4に示すように直線移動操作部14は保護部材21をH方向に沿って上方位置に上昇させる。しかし、分注作業をしない待機時には、図1〜図3に示すように直線移動操作部14が保護部材21をG方向に沿って下方位置に下げて、ガラス製のノズル20が外部からの力により損傷しないように、ノズル20は保護部材21により確実に保護することができる。
次に、図1の検出センサ13について説明する。
図5は、検出センサ13と、ノズル20の先細り部分25と、検体3を示している。
図5において、検体収容槽40には、検体3が収容されており、ノズル20の先細り部分25の案内通路30内には、図1の吸引吐出駆動部12が動作すると検体3を吸引できる。この吸引動作の際に、検出センサ13は、検体3内に気泡(または異物)250を含んでいる場合には、検体3から得られる光が、気泡の場合は反射し、異物の場合は散乱し、受光量が変化するので、その気泡(または異物)250の存在を光学的に検出することができる。
図5の検出センサ13は、例えばバンドル型光ファイバセンサである。バンドルファイバ41の中心の光ファイバ42と外周部の光ファイバ44の外径はそれぞれ0.5mm、0.25mmとした。中心の1本の光ファイバ42の外周に、4本の光ファイバ44を光ファイバ42を中心とした同心円上に4等配した。また、光源43は赤色発光ダイオード(650nm)とした。検体3がノズル20の先細り部分25の案内通路30内おいてH方向に移動すると、バンドルファイバ41の中心の光ファイバ42には、光源43から測定光が検体3に送られる。検体3を通り、入射部と反対側のガラス管内面で反射された光は、再び検体中を通りバンドルファイバ41の外周部の光ファイバ44を経て受光部45に受光される。これにより、図1の制御部100は、検体3内に気泡または異物250が存在すれば、受光部45で得られる信号が変化することから、検体3内に気泡または異物250が存在していることを判断できる。
なお、光の出射と受光の効率を良くするため、光ファイバの開口数(NA)は、光ファイバ42では低い開口数、例えば0.2とし、光ファイバ44では高い開口数、例えば0.5とするのが好ましい。
好ましい実施例を図15〜図22に示す。
図15に示すように、内径1mmノズル20では気泡250の長軸の長さBが1mm以上の気泡の場合、図15に示すようにガラス管のノズル20に検体3が接しない長さLの部分が発生する。このとき、光ファイバ42からの測定光LPはガラスから空気への入射となり、水に近い屈折率の検体への入射の場合と比較し、反射率が大きくなる。例えば、測定光LPが垂直に入射する場合、ガラスの屈折率n1=1.46、空気の屈折率n0=1として、屈折率比nα=n0/n1=0.685なので、反射率Rα={(nα−1)/(nα+1)}2=0.035となる。同様に、検体3が水の屈折率とほぼ同じ場合、その屈折率n2=1.33として、屈折率比nβ=n2/n1=0.911なので、反射率Rβ={(nβ−1)/(nβ+1)}2=0.022となる。すなわち、検体とガラスの屈折率比が0.69より大きい場合、反射率が大きくなる。
また、入射角度φの場合、反射率はP偏光、S偏光で異なるが、それぞれ式1、式2で示される。例えば、ガラス管内が空気の場合と屈折率比Nβの検体の場合での反射率(P偏光)の差Zは式3で示され、両者の大小関係は式3の正負で判定できる。なお、本実施例のように、外径Rが1.58mm、内径rが1.00mmのガラス管、光ファイバ42の光出射端面とガラス管の間隔Lが0.5mmとすると、開口数0.2の光ファイバ42を使用する場合、図21に示したようにガラス管内面への入射角は最大18.4度となる。すなわち、式1ないし式3では、0度<θ4≦18.4度の範囲で考えれば十分である。
式3においては、0.1度≦φ≦18.4度でZ>0となるNβの最大値、最小値が表−1のようになる。
屈折率比nβが0.69〜1.4の範囲内の溶液であれば、入射角度が0.1〜18.4度の範囲で、Z>0となるので、空気の場合は溶液の場合に比べ、反射率が高くなる。
図15の構成で大きな気泡250の場合に実験した結果を図17に示す。気泡250を図15中下方から上方へ移動させた場合の結果であり、気泡が検知センサ部13の光入出射部13Hを通過中に光量レベルが大きくなる事を確認した。なお、図16に示すように検知しようとする対象が水や他の溶液の場合は、第1のガラス内面での反射が小さく、かつ、第1のガラス内を透過した光も水中で減衰するため、反射光量が高まる事はない。
屈折率の検体を屈折率1.46の石英ガラス管で水を吸引する場合、表―1に示したように、第1のガラス内面から0.1〜18.4度の範囲の反射角で反射される光を測光できるように、受光用光ファイバ44を配置すれば良い。
他の溶液、検体の場合も、以上の説明と同様に考える事ができる。
一方、内径1mmノズルでは気泡直径が1mm未満の気泡の場合、図22に示すようにガラス管に検体が接する事が少なく、また、光が気泡球面で散乱するため、反射光量は小さくなる。更に、ノズルを通過する異物についても、図19に示すように光が散乱するため、反射光量は小さくなる。よって、反射光量が小さくなる事を検知し、小さい気泡、または、異物が通過している事を知ることができる。
以上のように、反射光量の増減で、「ガラス内面に接する大きな気泡」と「ガラス内面に接しない小さな気泡、および、異物」を判別する事ができる。
検出センサ13と分注ヘッド11は、図5の例では分離された別部材である。しかし、図6の示すように連結部材46を用いて、検出センサ13と分注ヘッド11の例えばノズル20が機械的に一体的に構成されるようにしても良い。これにより、検出センサ13とノズル20の位置関係が常に一定に保てる。
次に、図7と図8を参照して、測定対象であるDNAチップ1について説明する。
DNAチップ1は、DNAマイクロアレイとも呼ばれており、スライドガラスのような基板2の上の各分注位置には、複数の検体3が配置されている。図8に示す基板2の上の各分注位置の凹部4は、高密度に配置してアレイ化されている。この例では検体3は、DNA断片であり、各検体3は蛍光色素により標識されている。このDNAチップ1は、半導体技術を利用して作製されたアフィメトリクス型や、ピンスポットを有するスタンフォード型のものがある。検体3は、例えば試薬や生体試料を液体に分散させたサンプル液である。
図8は、基板2の断面構造を示しており、複数のウェルと呼ばれる凹部4が、高密度に配列して形成されている。これらの凹部4は、断面で見て台形状に形成されており、凹部4の開口部4Bから底部4Cにかけて先細りに形成されている。図8の例では各凹部4の縁部の近傍に沿って、隆起部分5が形成されている。この凹部4の中に検体3が収容されるようになっている。例えば0.5μL以下の検体3が凹部4の中に収容されている。各検体3は、反応を起こしたり、検体3の特性を検出する際に、並列的に処理して検体3に関する大量の情報を引き出すことに用いられる。
図9は、ノズル20から検体3が凹部4内に分注された状態を示している。図10は、検体3が各凹部4内に分注された後に、基板2の隆起部分5に対して透明なプラスチック製のカバー部材6を載せる状態を示している。図11は、基板2とカバー部材6を超音波振動により溶着して、凹部4内を密封した状態を示している。カバー部材6により密封することにより、凹部4内の検体3が外部に漏れるのを防げる。
次に、図12のフロー図を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の分注機10を用いて実施される検体3の分注方法の好ましい実施形態について説明する。
図5に示すように、検体収容槽40には検体3が収容されており、図1の各ノズル20の先細り部分25の案内通路30内には、図12のステップST1において図1の吸引吐出駆動部12が動作すると検体3を吸引できる。この吸引動作の際に、各ノズル20に対応する各検出センサ13は、検体3内に気泡(または異物)250を含んでいる場合には、その気泡(または異物)250を光学的に検出することができる。
なお、ST1の吸引は検体が図14のノズル延長部23の上部までの範囲で行う。これ以上吸引すると、ガラスノズルとSUS製チューブ29Dの内面で形成される段差により、空気層(気泡)が発生する事がある。さらに、吐出後にも断差部に検体が残り、洗浄した場合にも洗浄液が残るので、次の吸引時のコンタミネーションとなり問題となってしまう。ノズル延長部23の上部を越えるまで吸引してしまった場合はノズルを取り外し、SUS製チューブ29D内を洗浄後、清浄なノズルを取り付ける必要がある。
このように、図12のステップST2において気泡(または異物)250が、ノズル20の先細り部分25の案内通路30内の検体3に存在していると、ステップST3において図1の制御部100は、吸引吐出駆動部12による検体3の吸引を停止して、いったんノズル20の先細り部分25の案内通路30内から検体3を検体収容槽40に吐き出す。
図12のステップST4では、再度検体収容槽40から検体3の吸引動作を行って、検体3をノズル20の先細り部分25の案内通路30内に吸引する。そして、再度ST2で検知されるか判断する。再び検知した場合は、ST3、ST4を行う。所定回数(例えば、3回)繰り返しても、再び気泡、または、異物が検知される場合は、ステップST5において、図1の制御部100は、吸引作業を中断する。このように、検体3を凹部4に分注する前に検体3の気泡や異物を検出することにより、気泡や異物が入った検体3を凹部3内に分注してしまうことを確実に防ぐことができる。
前記検出センサは、前記ノズル内に液体である前記検体が不連続となる様に形成された前記気泡を検出することができる。
次に、図12のステップST2において検出センサ13が吸引した検体3に気泡(または異物)250が存在していないことを検出できると、図12のステップST6では、図8の基板2の各凹部4に対して、図9に示すように各ノズル20が位置決めされる。図1の制御部100が吸引吐出駆動部12を動作させて、図9に示すように、各ノズル20の先端部24が、凹部4の開口部4Bに挿入され、検体3が先端部24からは吐き出されて、あらかじめ定めた量の検体3が凹部4内に収容される。
次に、図12のステップST7において、図10と図11に示すように、カバー部材6を基板2に載せてカバー部材6と基板2を溶着させる。この際に、凹部3内には気泡などが混入しないように注意をする。
このようにして、検体3がそれぞれ凹部4内に封入された基板2は、図12のステップST8において湯中で加熱して、例えば試薬と検体の反応を促進し、ステップST9では、各検体3の蛍光強度を、例えば図13に例示するような蛍光強度の測定装置400で測定する。
なお、本実施例では、ノズル先端から検体を吸引しているが、図14のSUS製チューブ29D側から検体を導入する場合にも、同様に気泡を検知する事ができる。この場合、ガラスノズルとSUS製チューブ29Dの内面で形成される段差により、空気層(気泡)が発生する事がある。さらに、吐出後にも断差部に検体が残り、洗浄した場合にも洗浄液が残るので、次の吸引時のコンタミネーションとなり問題となる。この様にSUS製チューブ29D側から検体を導入する場合は、1検体の分注ごとに、ガラス製ノズルを取り外し、SUS製チューブ29D内を洗浄後、清浄なノズルを取り付ける必要がある。
図13は蛍光強度の測定装置例を示しており、蛍光強度の測定装置400は、本発明の分注機10に付設することができるし、別の装置であっても良い。
蛍光強度の測定装置400は、検体の光情報認識装置とも言うことができ、光測定部420と光導波路422を有している。光導波路422は、光ファイバ423とレンズ428を有している。光ファイバ423は、光測定部420と検体3との間に光を伝搬させる。
光測定部420は、光源416と、光検出部418と、ビームスプリッタ426を有しており、光源416が発生する光は、ビームスプリッタ426を通ってレンズ428で集光されて、光ファイバ423を通じて検体3に照射される。光の照射により、検体3から発生した蛍光情報は、光ファイバ423とレンズ428を通じて、ビームスプリッタ426により光検出部418に受光されることにより、図示しない分析装置が検体3の蛍光強度を分析する。
上述したように、本発明の好ましい実施形態の分注機10を用いることにより、適量の検体3を基板2の各凹部4内に、注入して付着させ、基板2に対してカバー部材を固定した後に、凹部2を封止して、その後検体3の測定を行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形例を採用することができる。
例えば、図1〜図3に示すノズル20では、先細り部分25と延長部23はガラスにより一体的に一部材として形成されているが、先細り部分25と延長部23は、ガラス以外の透明の材料を用いて形成することもできる。先細り部分25と延長部23は、別部材にして両者を例えばはめ込むことで接続することができる。
図8に示す基板2には、凹部4の縁部の周囲に突起5が形成されているが、これに限らず、突起5を省略しても良い。
図8では、基板2の分注位置には、複数のウェルと呼ばれる凹部4が、高密度に配列して形成されている。これらの凹部4は、断面で見て台形状に形成されており、凹部4の開口部4Bから底部4Cにかけて先細りに形成されている。しかし、これに限らず、凹部4の断面形状は他の形状例えば長方形断面形状などを採用することもできる。
本発明は、遺伝子、免疫系、タンパク質、アミノ酸、糖類の生体高分子に関する検査、解析、分析が要求される分野、例えば工学分野、食品、農産、水産加工等の農学全般、薬学分野、衛生、保健、免疫、疫病、遺伝等の医学分野、化学もしくは生物学等の理学分野等、あらゆる分野に適用できる。
1 DNAチップ(測定対象)
2 基板
3 検体
10 分注機
11 分注ヘッド
12 吸引吐出駆動部
13 検出センサ
14 直線移動操作部
20 ノズル
21 ノズルの保護部材
24 ノズルの先端部
30 ノズルの案内通路
100 制御部
250 気泡(または異物)
400 検体の測定装置
D 吸引領域部分
2 基板
3 検体
10 分注機
11 分注ヘッド
12 吸引吐出駆動部
13 検出センサ
14 直線移動操作部
20 ノズル
21 ノズルの保護部材
24 ノズルの先端部
30 ノズルの案内通路
100 制御部
250 気泡(または異物)
400 検体の測定装置
D 吸引領域部分
Claims (13)
- 測定対象の検体を基板の分注位置に分注するための分注機であって、
吸引した前記検体を、前記基板の前記分注位置に分注する透明のノズルを有する分注ヘッドと、
前記ノズルに対応して配置されて、前記検体を吸引中に前記ノズル内を通過する気泡または異物を検出する検出センサと、
を備えることを特徴とする分注機。 - 前記検出センサは、前記ノズル内に液体である前記検体が不連続となる様に形成された前記気泡を検出し、前記ノズルは、ガラス製であることを特徴とする請求項1に記載の分注機。
- 前記検体を吸引するための前記ノズルの吸引領域部分の内径は、前記検体を吐き出す前記ノズルの先端部にかけて連続的に縮小されていることを特徴とする請求項2に記載の分注機。
- 複数の前記ノズルを有しており、各前記ノズルは、前記基板における前記検体の各前記分注位置に対応してそれぞれ配置されることを特徴とする請求項3に記載の分注機。
- 前記ノズルの周囲には、保護部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の分注機。
- 前記基板における前記検体の前記分注位置は、前記基板に形成された凹部であることを特徴とする請求項5に記載の分注機。
- 前記分注ヘッドと前記検出センサとは、別々に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の分注機。
- 前記ノズルの縦断面形状において、前記ノズルの外面の曲線と内面の曲線が、ともに変曲点を有する構造であることを特徴とする請求項3に記載の分注機。
- 測定対象の検体を基板の分注位置に分注するための分注機を用いた分注方法であって、
分注ヘッドの透明のノズルに吸引した前記検体を、前記基板の前記分注位置に分注する際に、
前記ノズルに対応して配置されて検出センサが、前記検体を前記ノズル内に吸引中に前記ノズル内を通過する気泡または異物を検出する、
ことを特徴とする分注機を用いた分注方法。 - 前記検出センサが前記ノズル内を通過する前記検体内の前記気泡または前記異物を検出した時に、前記検体の吸引を止めて、吸引した前記検体を前記ノズルから吐き出して、再度前記ノズルにより前記検体を吸引することを特徴とする請求項9に記載の分注機を用いた分注方法。
- 前記ノズルはガラス製であり、前記検体を吸引するための前記ノズルの吸引領域部分の内径は、前記検体を吐き出す前記ノズルの先端部にかけて連続的に縮小されており、前記検体は、前記案内通路を通じて、前記基板における前記検体の前記分注位置に吐き出されることを特徴とする請求項10に記載の分注機を用いた分注方法。
- 複数の前記ノズルを有しており、各前記ノズルは、前記基板における前記検体の各前記分注位置に吐き出されることを特徴とする請求項11に記載の分注機を用いた分注方法。
- 前記ノズルが連続している部分にだけ前記検体を吸引することを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1つの項に記載の分注機を用いた分注方法。
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