JP2007261539A - 舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法とその構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 船舶に搭載される荷液タンクの大きさ変更に対し、パイプタワーの固有振動数を好ましい値に設定する設計変更を最小限に抑えて迅速に対応することができる舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法を提供すること。
【解決手段】 船舶に搭載する荷液タンク1の内部に、この荷液タンク1の上部から下部まで延びるパイプタワー4を設け、このパイプタワー4の下端に、このパイプタワー4の外径よりも大径の側板と上板とで形成した下部円筒部9を設け、この下部円筒部9の大きさ調整により、この下部円筒部9の側板と上板との接合部13がパイプタワー4の下部振動基点とみなすことができるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、船舶に搭載した荷液タンクにおけるパイプタワーの共振を回避するための固有振動数設定方法とその構造に関する。
従来より、船舶に液化天然ガス等の液化ガスを積載して輸送するためのタンクとして荷液タンクが用いられている。このような荷液タンクには、球形タンクや矩形タンクがある。以下、このような荷液タンクの一例として、液化天然ガス運搬船に搭載される球形液化天然ガスカーゴタンク(以下の説明では、主に「荷液タンク」という。)を例に図示して説明する。なお、この「球形液化天然ガスカーゴタンク」には、「球形」のみではなく、楕円のように曲率が変化する形状や、上下が半球状で間にストレート部を有するような形状等も含む。
図5は、従来の荷液タンクの一例である球形液化天然ガスカーゴタンクを示す垂直断面図である。この荷液タンク51としては、アルミニウム合金等で球形の外郭が形成され、スカート52を介して基台53(foundation deck)にて支持されている。図示する荷液タンク51は外径dで形成され、内部の中心には、直径eのパイプタワー54が上下方向に延びるように設けられている。このパイプタワー54も、アルミニウム合金等で形成されている。このパイプタワー54の下端は、大径短円筒59を介して荷液タンク51に固定されている。図では、荷液タンク51は断面にし、内部のパイプタワー54は外面を表している。
パイプタワー54の内部には、荷液タンク51の内部に液化ガスを積載又は内部から液化ガスを排出するための複数本の荷液パイプ55と、荷液タンク51を予冷するための複数本のスプレーパイプ56等が設けられている。これらのパイプ55,56は、パイプタワー54の上部から吊るされた状態で設けられており、荷液パイプ55の下端にはカーゴポンプ63が、スプレーパイプ56の下端にはスプレーポンプ64がそれぞれ設けられている。また、パイプタワー54には、液位ゲージや電気配線等(図示略)も設けられている。さらに、パイプタワー54の内部には、このパイプタワー54の上部から荷液タンク51の内部に作業者が入るための梯子57が設けられている。この梯子57は、パイプタワー54の上部から下部まで設けられている。梯子57としては、パイプタワー54の上部から下部まで連続したものや、パイプタワー54の上下方向に複数段の床58を形成し、それらの床58の間にそれぞれ設けたものがある。図示するように床58を設けた構成の場合には、前記荷液パイプ55とスプレーパイプ56とを上下方向に挿通させるための複数の貫通孔(図示略)やこれらのパイプ55,56のパイプサポート、及び前記電気配線を通す貫通孔(図示略)等が床58に設けられている。パイプタワー54は、これらの内部部品をタンク内の液の運動による荷重から保護する目的で設けられている。
しかし、このような荷液タンク51は、例えば、天然液化ガスカーゴタンクの場合には、荷液が−163℃と超低温であるため、この天然液化ガスを積載することによって生じる荷液タンク51の熱収縮、天然液化ガスの重量による上下左右方向の変形及び温度分布に応じた縮収変形、船体振動による変形(振動)等を生じる。また、このようにして荷液タンク51が変形すると、この荷液タンク51内のパイプタワー54も変形するため、このパイプタワー54を荷液タンク51に固定している部分において高応力を生じる。
図6は、図5に示す荷液タンクのパイプタワーの全体変形に伴うパイプタワー下端の変形を示す模式図である。この図に示すように、前記した荷液タンク51の熱収縮や上下方向の変形(振動)に対しては、パイプタワー54の下端に設けた高さhの大径短円筒59の上板60が点線qで示すように上下方向に変形することによって吸収し、水平方向の変形(振動)に対しては、パイプタワー54と共に大径短円筒状リング59の側板61が荷液タンク51の接合部62から二点鎖線rで示すように水平方向に変形して吸収している。このようなパイプタワー54は、船体の各種振動源と共振しないように設計されている。
なお、このようなパイプタワーが荷液タンクの熱収縮や荷液の重量によって上下方向に変形しても、このパイプタワーと荷液タンクとの間に高い応力が発生しないようにするための従来技術として、荷液タンクにおけるパイプタワーの下端を、上下方向に可撓性を有する同軸的大径短円筒を介してタンクの底板に溶接するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
実公平4−29200号公報(第2頁、第1図)
ところで、図7に示すように、前記したような液化天然ガス運搬船Sは、複数個の球形荷液タンク51を搭載して大量の液化天然ガスを一度に運搬するように構成されているが、近年、需要増加への対応やコスト低減を図るために、液化天然ガス積載量を増やしてより大量の液化天然ガスを一度の航海で運搬したい、という要望がある。そのため、搭載する荷液タンク51の大型化を図ろうとする動きがある。
しかしながら、荷液タンク51を大型化して、その中心に設けられているパイプタワー54の上下方向長さlが長くなると、パイプタワー54の固有振動数が下がってしまう。そのため、このパイプタワー54の直径を大きくしてパイプタワー54の固有振動数を上げる等の防振対策を施さなければ、前記船体振動の振動源との関係において空載時(タンク内に液化ガスを積載しない空の時)に共振の問題を生じる場合がある。
前記液化天然ガス運搬船Sの場合、主な起振源はプロペラであり、プロペラが回転することにより発生する圧力変動がプロペラ直上の船体底部を起振し、船体全体に伝搬して船体振動を生じる。この船体振動は、プロペラの回転中は常に受けている。このような船体振動の起振振動数は、プロペラ回転数×プロペラ翼数で表される。そして、前記したようにこの起振振動数とパイプタワー54が共振しないように、つまり、この起振振動数とパイプタワー54の固有振動数とが近くならないようにパイプタワー54が設計されている。この設計としては、起振振動数に比べてパイプタワー54の固有振動数が高くなるような設計と、パイプタワー54の固有振動数が低くなるような設計とが存在している。
ここで、例えば、起振振動数に比べてパイプタワー54の固有振動数が高くなるように設計されている場合、荷液タンク51の大型化に伴ってパイプタワー54の長さlが長くなるとパイプタワー54の固有振動数が下がって前記起振振動数に近づいてしまう。そのため、パイプタワー54の共振を避けるためには、パイプタワー54の径を大きくする等、パイプタワー54の剛性を増加させて固有振動数を上げるような対策が必要となる。この対策として、例えば、パイプタワー54の径を大きくしようとすると、前記複数本のパイプ55,56がパイプタワー54の上部から吊るされた状態でパイプタワー54の内部を上下方向に通っているため、これらのパイプ55,56の配置を変更しなければならなくなる。これらのパイプ55,56の配置を変更するためには、パイプ55,56の取付け位置の変更、パイプサポート位置の変更、パイプ55,56を上下方向に挿通させる貫通孔が設けられた複数段の床58の設計変更、複数段の床58の間に設けられた梯子57の配置変更等、多くの構成について設計変更をしなければならなくなる。
その上、パイプタワー54の径を大きくすると、パイプタワー54の大幅な重量増加による材料コストアップを伴う。前記したように、パイプタワー54には高価なアルミニウム合金を使用しているため、パイプタワー54の外径を大きくすることにより高価なアルミニウム合金の重量増加による大幅なコストアップが発生する。
そこで、本発明の発明者は、前記パイプタワー54の水平方向の固有振動数は次の[数1]で示す式で概略推定することができ、この式から、パイプタワー54の水平方向の固有振動数fは、長さ(l+h)に大きく影響し、長さが長くなると固有振動数fは下がり、長さが短くなると固有振動数fは上がるので、この固有振動数に大きく影響するパイプタワー54の長さ(l+h)の変更による影響を自由にコントロールする方法が見つかれば、パイプタワー54の固有振動数が変化するのを抑えることができ、これによって荷液タンクの外径を変更してもパイプタワーは大きく変更せずに対応できる、と考えた。そして、これにより、荷液タンク51の外径変更等に対してパイプタワーに大幅な設計変更等を加えることなく迅速に固有振動数を好ましい値に設定できると考えた。
Figure 2007261539
この式において、Iは、パイプタワー54の断面二次モーメントであり、Aは、断面積である。
本発明の目的は、船舶に搭載される荷液タンクの大きさ変更に対し、パイプタワー固有振動数を好ましい値に設定するための設計変更を最小限に抑え、荷液タンクの大きさ変更に迅速に対応することができる舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法とその構造を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法は、船舶に搭載する荷液タンクの上部から下部まで延びるパイプタワーの下端に、該パイプタワーの外径よりも大径の側板と上板とで形成した下部円筒部を設け、該下部円筒部の大きさ調整により、該下部円筒部の側板と上板との接合部がパイプタワーの下部振動基点とみなすことができるようにしている。
この方法によれば、荷液タンクの大きさを変更しても、下部円筒部の側板と上板との接合部がパイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさに下部円筒部が形成されているので、荷液タンクにおけるパイプタワーの振動部分の高さが変更されるのを抑えてパイプタワーの固有振動数変化を抑えることができ、荷液タンクの大きさを変更しても、パイプタワーの内部に設ける構成等に大きな変更を加えることなくパイプタワーの共振を回避できる荷液タンクを容易に設計することができる。
また、前記下部円筒部の大きさ調整を、該下部円筒部の高さおよび外径を調整することで行えば、前記効果を奏しつつ、下部円筒部の大きさを最適な高さと外径に設定でき、材料のコストアップを抑えることができる。
この場合、前記下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる下部円筒部の高さと外径との関係を求め、パイプタワーの固有振動数が船体の振動源と共振しないように推定して決定した該パイプタワーの長さに応じて下部円筒部の高さを決定し、前記下部円筒部の高さと外径との関係に基いて、該下部円筒部の高さから下部円筒部の外径を決定することが可能である。これにより、下部円筒部の側板と上板との接合部がパイプタワーの下部振動基点とみなすことができる下部円筒部の高さと外径との関係を求めておけば、パイプタワーの固有振動数が船体の各種振動源と共振しないように推定して決定したパイプタワーの長さに応じて下部円筒部の高さを決定し、前記下部円筒部の高さと外径との関係から下部円筒部の外径を容易に決定することができる。
一方、本発明の舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定構造は、船舶に搭載する荷液タンクの内部に、該荷液タンクの上部から下部まで延びるパイプタワーを設け、該パイプタワーの下端に、該パイプタワーの外径よりも大径の側板と上板とで形成した下部円筒部を設け、該下部円筒部を、該下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさで構成している。
この構造によって、荷液タンクの大きさを変更しても、下部円筒部の側板と上板との接合部がパイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさで下部円筒部が形成されているので、基準の荷液タンクにおけるパイプタワーの振動部分の長さが変更されるのを抑えてパイプタワーの固有振動数変化を抑えることができ、荷液タンクの大きさを変更しても、パイプタワーの内部に設ける構成等に大きな変更を加えることなくパイプタワーの共振を回避できる荷液タンクを容易に設計することができる。
また、前記下部円筒部の側板と上板との接合部を前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさとなるように該下部円筒部の高さおよび外径を設定することが可能である。これにより、前記効果を奏しつつ、下部円筒部の大きさを最適な高さと外径に設定でき、材料のコストアップを抑えることができる。
本発明は、以上のような新しい着眼点によって、荷液タンクの大きさを変更してもパイプタワーの共振を容易に回避することが可能となるようにパイプタワーの固有振動数を迅速に設定することができ、荷液タンクの大きさ変更に対して設計変更を最小限に抑えた迅速な対応が可能となる。
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する荷液タンクの一実施の形態を示す球形液化天然ガスカーゴタンクの垂直断面図であり、図2は、図1に示す荷液タンクのパイプタワー下端に作用する力によるパイプタワー下端の変形(振動)を示す模式図である。なお、以下の実施の形態では、前記図5,6に示す荷液タンク51を、基準の荷液タンクとして説明する。
図1に示すように、この実施の形態の荷液タンク1は、外径Dの球形液化天然ガスカーゴタンクであり、スカート2を介して基台3に支持されている。この荷液タンク1の内部の中心には、上部から下部まで上下方向に延びるパイプタワー4が設けられている。この図では、荷液タンク1は断面にし、内部のパイプタワー4は外面を表している。このパイプタワー4の内部には、荷液タンク1の内部に液化天然ガスを積載又は排出するための荷液パイプ5や、荷液タンク1を予冷するためのスプレーパイプ6等が設けられている。これらのパイプ5,6は、パイプタワー4の上部から吊るされた状態で設けられており、荷液パイプ5の下端にはカーゴポンプ14が、スプレーパイプ6の下端にはスプレーポンプ15がそれぞれ設けられている。また、パイプタワー4には、液位ゲージや電気配線等(図示略)も設けられている。さらに、パイプタワー4の内部には、パイプタワー4の上部から荷液タンク1の内部に作業者が入るための梯子7が設けられており、この梯子7はパイプタワー4の上部から下部まで設けられている。この実施の形態の梯子7は、パイプタワー4の上下方向に複数段の床8を形成し、その床8の間にそれぞれ設けられている。この床8には、前記荷液パイプ5とスプレーパイプ6とを上下方向に挿通させるための複数の貫通孔(図示略)や、これらのパイプ5,6のパイプサポート、及び前記電気配線を通す貫通孔(図示略)等が設けられている。
そして、前記パイプタワー4の下端に、パイプタワー4の外径よりも大径で形成された下部円筒部9が設けられている。この下部円筒部9は、円筒状の側板11と、この側板11の上端とパイプタワー4の下端との間を塞ぐ上板10とで形成されている。上板10は、パイプタワー4の軸線方向と直交する水平方向に配置されている。下部円筒部9の高さHは、この実施の形態では、前記図5に示す荷液タンク51の外径dを図1に示す荷液タンク1の外径Dへと大径にした上下方向の寸法増加分(D−d)を、図5に示す大径短円筒状リング59の高さhに加えた高さにしている。つまり、この下部円筒部9の高さHは、「荷液タンク1の外径D−荷液タンク51の外径d+大径短円筒状リング59の高さh」となっている。このような高さHで下部円筒部9を形成することにより、パイプタワー4の長さLを、従来(基準)のパイプタワー54の長さlと同等の長さLにしている。また、このパイプタワー4は、前記図5のパイプタワー54の直径eと略同一の直径Eで形成されている。
一方、図2に示すように、前記下部円筒部9の外径Gは、前記図5の下部円筒部59の外径g(図6参照)に比べて大きく形成されている。この下部円筒部9の外径Gは、パイプタワー4の下端に作用する垂直方向の変形(振動)は、このパイプタワー4の下端に接合された上板10が上下方向に変形して支持することができ、パイプタワー4の下端に作用する水平方向の変形(振動)は、このパイプタワー4の下端に接合された上板10が側板11との間で吸収できるような外径Gに形成されている。つまり、パイプタワー4に作用する水平方向の変形(振動)を上板10で吸収し、側板11は変形(振動)しないものとみなされるような大きさで外径Gが形成されている。このパイプタワー4の水平方向固有振動数は、次の[数2]で示す式で概略推定することができる。
Figure 2007261539
この下部円筒部9としては、上板10でパイプタワー4に作用する垂直方向及び水平方向の変形(振動)を吸収できる大きさで形成される。すなわち、下部円筒部9の外径Gは、上板10と側板11との接合部13が、パイプタワー4の下端と下部円筒部9の上板10との接合部12に作用するパイプタワー4の水平方向に作用する変形(振動)と、パイプタワー4の下端に作用するパイプタワー4の垂直方向に作用する変形(振動)とを支持する基点とみなすことができるように形成されている。つまり、下部円筒部9は、パイプタワー4の垂直方向の振動を上板10の変形で吸収し、水平方向の振動を上板10が側板11との間で吸収し、下部円筒部9の上板10と側板11との接合部13が、パイプタワー4の下部振動基点とみなすことができるような「大きさ」で形成されている。この実施の形態では、このパイプタワー4の下部振動基点とみなすことができるような「大きさ」を、下部円筒部9の高さHおよび外径Gを調整することによって設定している。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中で、「振動基点とみなすことができる」ようにしている「部分」である接合部13は、その部分でほぼ固定、すなわち、振動時の変形がほとんど起こらないと見なせるような部分をいう。
これにより、パイプタワー4に作用する水平方向の力は、図2に二点鎖線Rで示すように、このパイプタワー4の下端と下部円筒部9の上板10との接合部12から上部が変形(振動)して吸収することができる。また、垂直方向の力は、下部円筒部9の上板10が側板11との接合部13から点線Qで示すように変形(振動)して吸収することができる。
このように、前記パイプタワー4の長さLを従来のパイプタワー54の長さlと同等にし、このパイプタワー4の下端における下部円筒部9の上板10と側板11との接合部13を振動基点としてパイプタワー4に生じる変形(振動)を二点鎖線Rと点線Qとで示すように変形して吸収することができるようにしているので、パイプタワー4の外径Eを従来のパイプタワー54の外径eと同等にしても、このパイプタワー4の固有振動数が従来のパイプタワー54の固有振動数から大きく変化しないようにできる。
以上のように、前記荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定構造16によれば、荷液タンク1の外径を変更しても、その荷液タンク1の内部の中心に設けられているパイプタワー4の下端に設けられた下部円筒部9の高さと、外径、板厚を変更することによって、このパイプタワー4の下端に作用する水平方向及び垂直方向の変形(振動)を、下部円筒部9の上板10と側板11との接合部13を振動基点とみなすことができるようにし、パイプタワー4の長さLを従来(基準)のパイプタワー54と同等にすることによりパイプタワー4の外径を変更することなくパイプタワー4の水平方向の固有振動数が変化するのを抑えることができる。従って、このパイプタワー4の内部構成を従来(基準)と同等にして、パイプタワー4の内部構成を新たに設計するために要する時間や労力を大幅に削減して、設計の容易化と共に製作時間の増加抑止等を図ることが可能となる。
つまり、基準となる荷液タンク1を設計しておけば、荷液タンク1の大きさが変更されても、その荷液タンクの外径に応じて下部円筒部9の外径、高さ、板厚等を新規に設計すれば、パイプタワーの固有振動数を基準となる荷液タンク1のパイプタワー4とほぼ同等にすることができ、このパイプタワー4の内部に設けられるパイプ5,6等に関する設計変更や、梯子7や床8等の内部部品の配置等の設計変更に要する時間を大幅に削減して、迅速に荷液タンク1の大きさ変更に対応することができる。
その上、パイプタワー4の外径Eが変更されるのを抑えることによってパイプタワー4自体の重量増加を抑えることができるので、高価なアルミニウム合金の重量増加による材料コストアップを抑え、経済的な液化天然ガス運搬船を構成することが可能となる。
図3は、図1に示す荷液タンクのパイプタワー下端に設けた下部円筒部の高さおよび外径を変化させた場合の、パイプタワーの水平方向固有振動数変化を示すグラフであり、図4は、図3に示すグラフから得られた下部円筒部の接合部を振動基点とみなすことができる高さと外径との関係を示すグラフである。これらの図面に基いて、前記図2に示すパイプタワー4の下端における下部円筒部9の上板10と側板11との接合部13を、パイプタワー4の下端における水平方向の変形(振動)に対する振動基点とみなすことができるようにする具体的な一実施例を以下に説明する。
この実施例1の条件としては、荷液タンク1の外径Dを40m、パイプタワー4の外径Eを4m、パイプタワー4の板厚を20mm、下部円筒部9の上板10の板厚Ttを20mm、側板11の板厚Tsを20mmとしている。
図3のグラフは、この条件で、下部円筒部9の高さHを、3000mm、4000mm、5000mm、6000mmと変化させ、各高さHにおいて下部円筒部9の外径Gを6000mm〜13000mmの間で1000mm間隔で変化させた場合のパイプタワー4の水平方向固有振動数の変化を示している。このグラフから、パイプタワー4の外径Eと下部円筒部9の外径Gとの外径差である幅W(図2)が大きくなるにつれてパイプタワーの水平方向固有振動数が上がることが分る。これは、外径差である幅Wが小さいとパイプタワー4と一体的に下部円筒部9も振動し、この幅Wが大きいと下部円筒部9の振動が抑止されることによるものといえる。
図4は、前記図3の結果から、下部円筒部9の高さHに対して、この下部円筒部9の接合部13が振動の基点とみなせる外径Gとの関係を導き出したグラフである。このグラフのラインは、各高さHにおいて固有振動数がほぼ一定となる最小の外径Gを、接合部13が振動の基点とみなせる点としたものである。このグラフの関係を求めておくと、荷液タンク3の外径Dが決まると、船体の各種振動源と共振しない固有振動数となるように簡易式から推定して決定したパイプタワー4の長さから下部円筒部9の高さHが決まるので、このグラフから下部円筒部9の外径Gを容易に求めることができる。
このように、荷液タンク1を大径化しても、下部円筒部9の上板10と側板11との接合部13を下部振動基点とみなして、この接合部13から上部のパイプタワー4を振動する構成とみなすことができるように下部円筒部9の大きさを変更すれば、パイプタワー4は基準となる構成と同等の構成で、このパイプタワー4の共振を回避した荷液タンク1を迅速に設計することができる。
また、荷液タンク1において、接合部13を振動の基点と見なすことができる下部円筒部9の高さHと外径Gとの関係を予め求めておけば、その関係グラフから、荷液タンク1の外径Dが変化しても下部円筒部9の高さHを決めれば下部円筒部9の外径Gを容易に導き出すことができるので、パイプタワー4の固有振動数を従来と同等に保って、パイプタワー4の共振を回避できるように設計することが迅速にできる。
なお、前記した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前記した実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る荷液タンクの固有振動数設定方法は、荷液タンクの大型化等で大きさが変更される荷液タンクにおけるパイプタワーの設計時において利用することができる。
本発明を適用する荷液タンクの一実施の形態を示す球形液化天然ガスカーゴタンクの垂直断面図である。 図1に示す荷液タンクのパイプタワー下端に作用する力によるパイプタワー下端の変形(振動)を示す模式図である。 図1に示す荷液タンクのパイプタワー下端に設けた下部円筒部の高さおよび外径を変化させた場合の振動数変化を示すグラフである。 図3に示すグラフから得られた下部円筒部の接合部を振動基点とみなすことができる高さと外径との関係を示すグラフである。 従来の荷液タンクの一例である球形液化天然ガスカーゴタンクを示す垂直断面図である。 図5に示す荷液タンクのパイプタワーの全体変形に伴うパイプタワー下端の変形を示す模式図である。 図5に示す球形液化天然ガスカーゴタンクを搭載した運搬船を示す全体図である。
符号の説明
1…球形液化天然ガスカーゴタンク(荷液タンク)
2…スカート
3…基台
4…パイプタワー
5…荷液パイプ
6…スプレーパイプ
7…梯子
8…床
9…下部円筒部
10…上板
11…側板
12,13…接合部
14…カーゴポンプ
15…スプレーポンプ
16…パイプタワー固有振動数設定構造
D…荷液タンクの外径
E…パイプタワーの外径
L…パイプタワーの長さ
G…下部円筒部の外径
H…下部円筒部の高さ

Claims (5)

  1. 船舶に搭載する荷液タンクの上部から下部まで延びるパイプタワーの下端に、該パイプタワーの外径よりも大径の側板と上板とで形成した下部円筒部を設け、該下部円筒部の大きさ調整により、該下部円筒部の側板と上板との接合部がパイプタワーの下部振動基点とみなすことができるようにする舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法。
  2. 前記下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができるようにする下部円筒部の大きさ調整を、該下部円筒部の高さおよび外径の調整によって行うことを特徴とする請求項1に記載の舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法。
  3. 前記下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる下部円筒部の高さと外径との関係を求め、パイプタワーの固有振動数が船体の振動源と共振しないように推定して決定した該パイプタワーの長さに応じて下部円筒部の高さを決定し、前記下部円筒部の高さと外径との関係に基いて、該下部円筒部の高さから下部円筒部の外径を決定することを特徴とする請求項2に記載の舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定方法。
  4. 船舶に搭載する荷液タンクの内部に、該荷液タンクの上部から下部まで延びるパイプタワーを設け、該パイプタワーの下端に、該パイプタワーの外径よりも大径の側板と上板とで形成した下部円筒部を設け、該下部円筒部を、該下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさで構成する舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定構造。
  5. 前記下部円筒部の側板と上板との接合部が前記パイプタワーの下部振動基点とみなすことができる大きさとなるように該下部円筒部の高さおよび外径を設定したことを特徴とする請求項4に記載の舶用荷液タンクのパイプタワー固有振動数設定構造。
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