JP2007260891A - 樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを用いてなる樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】特別な技能取得が不要で、二次キズ発生の恐れが少ない樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを適用してなる樹脂成形品を提供する。
【解決手段】樹脂フィルム表面に砥粒層が形成された研磨シートを用いて、樹脂成形品を研磨する工程Aを有する樹脂成形品の仕上げ方法とこれを適用してなる樹脂成形品。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂フィルム表面に砥粒層が形成された研磨シートを用いて、樹脂成形品を研磨する工程Aを有する樹脂成形品の仕上げ方法とこれを適用してなる樹脂成形品。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂成形品、特に自動車部品用樹脂成形品の表面を仕上げるのに好適な樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを用いてなる樹脂成形品に関する。
近年、自動車の燃費向上、環境負荷低減を目的として、自動車部品の軽量化が求められている。軽量化するための主な手段としては、部品の構造材を金属から樹脂に変更することであり、例えば、バンパーなどは樹脂製のものが主流となっている。一方、バックドアのように、鋼板製のものがいまだ主流となっている部品もある。
ところで、自動車部品等として使用される樹脂成形品や鋼板の表面には、その耐食性や意匠性(外観やデザイン)を高めるために塗装仕上げが施されるが、当該塗装前には、通常、その表面を研磨し、塗膜の密着性等を向上させることが行われている。
しかし、鋼板の塗装前表面仕上げに用いる研磨材を用いて樹脂成形品を鋼板と同様に研磨すると、その研磨目が塗装後の不良となってしまう。また、樹脂成形品の塗装前表面仕上げに好適な研磨材というものは存在しない。そこで、樹脂成形品の塗装前表面仕上げには、通常、塗装後の鋼板を補修するための研磨材を使用し、研磨の技能を向上させていく方法をとっている。しかしながら、一定以上の技能を得る為には多大な時間とコストが必要であり、また、未熟者による仕上げでは、研磨材による二次キズが発生してしまう恐れが高く、研磨に多大な時間を費やしてしまう。このような樹脂成型品の仕上げ時の問題点を解決する為、特許文献1では、低圧プレス成形により形成された2枚以上の成形体を貼合わせたスポイラーを提案している。
特開平06−032114号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、成形品の成形時の工数が増えるため、その生産性に劣る。
上記を鑑みて、本発明は、樹脂成形品の成形方法を変えることなく適用可能な仕上げ方法であって、特別な技能取得が不要で、二次キズ発生の恐れが少ない樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを適用してなる樹脂成形品を提供することを目的とする。
発明者らは、二次キズの発生原因・高技能者の研ぎ実施時の特徴調査等を検討することにより、従来の研磨材や研磨紙ではなく、特殊な研磨シートを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(16)の事項をその特徴とするものである。
(1)樹脂フィルム表面に砥粒層が形成された研磨シートを用いて樹脂成形品を研磨する工程Aを有することを特徴とする樹脂成形品の仕上げ方法。
(2)前記樹脂フィルムの厚さが、100μm以下であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(3)前記砥粒層の砥粒の番手が、400(P400)〜4000(P4000)であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(4)前記樹脂フィルムの厚さが、10〜50μmであることを特徴とする上記(1)又は(3)記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(5)前記樹脂フィルムの引張り強度が、19.6〜88.2MPaであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(6)前記樹脂フィルムの伸びが、250〜1000%であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(7)前記樹脂フィルムの100%伸びにおける引張強度が、0.98〜19.6MPaであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(8)前記樹脂フィルムの、前記砥粒層形成面と反対面にスポンジを貼り付けて樹脂成形品を研磨することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(9)前記工程Aの後に、研磨された樹脂成形品を塗装する工程Bをさらに有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(10)前記工程Aの前に、研磨紙を用いて樹脂成形品を予備研磨する工程Cをさらに有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(11)前記研磨紙の番手が、200(P200)〜1500(P1500)であることを特徴とする上記(10)記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(12)樹脂成形品が、自動車部品であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(13)前記自動車部品が、バックドア、バンパー又はスポイラーであることを特徴とする上記(12)記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の仕上げ方法を用いて製造された樹脂成形品。
(15)自動車部品であることを特徴とする上記(14)に記載の樹脂成形品。
(16)前記自動車部品が、バックドア、バンパー又はスポイラーであることを特徴とする上記(15)に記載の樹脂成形品。
本発明によれば、特別な技能取得が不要で、二次キズ発生の恐れが少ない樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを適用してなる樹脂成形品を提供することが可能となり、特に、表面品質や高い生産性が要求されるバックドア、バンパー又はスポイラー等の自動車部品用樹脂成形品を製造する上で本発明の仕上げ方法は極めて有効である。
本発明の樹脂成形品の仕上げ方法は、樹脂フィルム表面に砥粒層が形成された研磨シートを用いて、樹脂成形品を研磨する工程Aを少なくとも有することが必要とされる。また、研磨された樹脂成形品を塗装する工程Bや上記工程Aの前に研磨紙を用いて樹脂成形品を予備研磨する工程Cを有することが好ましい。なお、本発明で仕上げ対象となる樹脂成形品の樹脂組成は特に限定されない。
上記研磨シートは、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、柔軟性と耐水性を有する樹脂フィルム上に砥粒を付着させたものであることが好ましい。
また、上記樹脂フィルムの厚さは、100μm以下であることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、20〜50μmであることが特に好ましい。樹脂フィルムの厚さが100μmを越えると、樹脂フィルムの角が立ち、樹脂成形品に二次キズを付け易くなってしまい、塗装工程Bの不良につながってしまう。
また、上記樹脂フィルムの引張り強度は、19.6〜88.2MPa(200〜900kgf/cm2)であることが好ましく、34.3〜53.9MPa(350〜550kgf/cm2)であることが特に好ましい。
また、上記樹脂フィルムの伸びは、250〜1000%であることが好ましく、600〜800%であることが特に好ましい。
また、上記樹脂フィルムの100%伸びにおける引張り強度は、0.98〜19.6MPa(10〜200kgf/cm2)であることが好ましく、1.47〜2.94MPa(15〜30kgf/cm2)であることが特に好ましい。
また、上記樹脂フィルムは、好ましくは、ポリウレタン樹脂、NBR、SBR等のエマルジョン溶液を離型フィルムの離型剤付与面上にコーティングし、乾燥させることによって製造されたものであり、より好ましくは、当該樹脂フィルムが上記した引張り強度等の柔軟特性を有する。
また、上記砥粒層は、好ましくは、樹脂フィルムの上面に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の接着樹脂溶液を塗付し、当該接着樹脂塗布層に静電電着法などにて砥粒を付着させて、乾燥した後、さらに上記樹脂フィルムと同じ材料、物性を有する樹脂溶液を、砥粒がその高さ(粒径)の7〜9割程度埋没するように塗布、乾燥して形成されたものである。
また、上記砥粒層における砥粒の番手は、仕上げ対象となる樹脂成形品の表面状態、樹脂成形品の種類、研磨者の技能の程度、求められている仕上げ表面の程度、研磨時間などを考慮に入れ、適宜決定すればよく、特に限定されないが、400(P400)〜4000(P4000)であることが好ましく、1000(P1000)〜2000(P2000)であることより好ましい。また、工程Aにおける研磨の際には、必要に応じて、用いる樹脂フィルム付き研磨シートの砥粒層の番手を段階的に大きくしていってもよい。
本発明では、上記のような研磨シートを用いることで、特別な技能や手段を要せずに樹脂成形品の表面を、二次キズを発生させることなく研磨し、その表面粗さを極めて小さくすることができ、その後の塗装工程Bによる塗膜の外観を良好なものとすることができる。また、樹脂フィルムの、砥粒層形成面と反対面にスポンジパッドを貼り付けて樹脂成形品を研磨することで、より良好な研磨表面、塗膜を得ることができる。なお、工程Aにおける研磨は手作業で行っても、ランダムサンダやオービタルサンダ等に研磨シートを取り付けて行ってもよい。また、工程Bにおける塗装方法や条件は、塗装対象となる樹脂成形品の樹脂種、形状、大きさ、用途や塗料組成等により適宜決定すればよく、特に限定されない。
また、上記工程Cの予備研磨を行うことで、樹脂成形品の比較的大きな形状不良を予め修正することが可能となり、その後の工程AやBを効率的に行うことが可能となる。
上記C工程において用いる研磨紙としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、基本的には、工程Aで用いる砥粒層の砥粒の番手以下のものを、形状不良の程度により適宜選択することが望ましい。好ましくは、その番手が200(P200)〜1500(P1500)であり、より好ましくは400(P400)〜1000(P1000)であり、特に好ましくは800(P800)〜1000(P1000)である。上記研磨紙として、200(P200)未満の番手を使用すると、工程Cでの研ぎ目を工程Aで消すことができず、工程Bの不良につながる傾向があり、1500(P1500)より大きい番手を使用すると、成形不良等が修正するのが困難となる傾向にある。
以下、本発明の仕上げ方法について、実施例により具体的に説明するが、当該実施例は、本発明を限定するものではない。なお、本実施例で表面仕上げの対象となる樹脂成形品は、ノリルとナイロンの混合樹脂製のバックドアであり、また、各実施例および比較例における研磨は、研磨経験が浅い者(経験豊富な熟練工ではない者)が行った。
<表面仕上げ>
(実施例1)
研磨紙(コバックス(株)製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1000)をオービタルサンダに装着し、樹脂成形品の予備研磨を行った後、スポンジパッドを貼り付けた樹脂フィルム研磨シート(コバックス(株)製、商品名アシレックス、砥粒番手1000)でその表面仕上げを行った。
(実施例1)
研磨紙(コバックス(株)製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1000)をオービタルサンダに装着し、樹脂成形品の予備研磨を行った後、スポンジパッドを貼り付けた樹脂フィルム研磨シート(コバックス(株)製、商品名アシレックス、砥粒番手1000)でその表面仕上げを行った。
(比較例1)
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
(比較例2)
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1500)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手1500)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
(比較例3)
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手2000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
樹脂フィルム研磨シートの代わりに、研磨紙(コバックス製、商品名ハイピッチペーパー、砥粒番手2000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形品の表面仕上げを行った。
<表面塗装>
次に、上記各実施例および比較例で得た樹脂成形品の表面を塗装した後、(目視確認できる研磨キズを有する樹脂成形品の数)/(全樹脂成形品の数(1458個))を算出することにより、表面仕上げ状態の評価を行った。結果を表1に示す。
次に、上記各実施例および比較例で得た樹脂成形品の表面を塗装した後、(目視確認できる研磨キズを有する樹脂成形品の数)/(全樹脂成形品の数(1458個))を算出することにより、表面仕上げ状態の評価を行った。結果を表1に示す。
表1から、実施例1のように、樹脂フィルム研磨シートを用いて樹脂成形品の表面仕上げを行うと、研磨経験が浅い者であっても、短い研磨時間で研磨キズの発生率を顕著に低下させることが可能であることが分かる。これに対して、比較例の方法では、二次キズの発生を抑えることができず、きれいに仕上げようと細かい砥粒番手の研磨紙を用いても、研磨に多大な時間がかかり、しかも実施例1の二次キズ発生率に劣る結果となった。
1 研磨シート
2 樹脂フィルム
3 砥粒層
4 スポンジパッド
2 樹脂フィルム
3 砥粒層
4 スポンジパッド
Claims (16)
- 樹脂フィルム表面に砥粒層が形成された研磨シートを用いて樹脂成形品を研磨する工程Aを有することを特徴とする樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの厚さが、100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記砥粒層の砥粒の番手が、400(P400)〜4000(P4000)であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの厚さが、10〜50μmであることを特徴とする請求項1又は3記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの引張り強度が、19.6〜88.2MPaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの伸びが、250〜1000%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの100%伸びにおける引張強度が、0.98〜19.6MPaであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記樹脂フィルムの、前記砥粒層形成面と反対面にスポンジを貼り付けて樹脂成形品を研磨することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記工程Aの後に、研磨された樹脂成形品を塗装する工程Bをさらに有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記工程Aの前に、研磨紙を用いて樹脂成形品を予備研磨する工程Cをさらに有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記研磨紙の番手が、200(P200)〜1500(P1500)であることを特徴とする請求項10記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 樹脂成形品が、自動車部品であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 前記自動車部品が、バックドア、バンパー又はスポイラーであることを特徴とする請求項12記載の樹脂成形品の仕上げ方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の仕上げ方法を用いて製造された樹脂成形品。
- 自動車部品であることを特徴とする請求項14に記載の樹脂成形品。
- 前記自動車部品が、バックドア、バンパー又はスポイラーであることを特徴とする請求項15に記載の樹脂成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006269992A JP2007260891A (ja) | 2006-02-28 | 2006-09-29 | 樹脂成形品の仕上げ方法およびこれを用いてなる樹脂成形品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016031142A1 (ja) * | 2014-08-27 | 2016-03-03 | 株式会社フジミインコーポレーテッド | 曲面形状を有する部材の研磨加工工具と加工方法 |
-
2006
- 2006-09-29 JP JP2006269992A patent/JP2007260891A/ja active Pending
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WO2016031142A1 (ja) * | 2014-08-27 | 2016-03-03 | 株式会社フジミインコーポレーテッド | 曲面形状を有する部材の研磨加工工具と加工方法 |
JP2016047565A (ja) * | 2014-08-27 | 2016-04-07 | 株式会社フジミインコーポレーテッド | 曲面形状を有する部材の研磨加工工具と加工方法 |
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