JP2007260526A - 低含水率汚泥の輸送方法及び輸送装置並びにセメント製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の低含水率汚泥の輸送方法は、低含水率汚泥をパイプライン31を用いて輸送する方法であり、解砕機24及び注水ライン25を用いて低含水率汚泥を解砕し塊状物とするとともにその含水率を調整し、次いで、混合押込ホッパー28を用いて塊状物と高含水率汚泥とを混合し、この混合汚泥を圧送ポンプ30及びパイプライン31を経由してセメント焼成炉等に供給し、燃焼処理することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この脱水汚泥の処理方法としては、例えば、含水汚泥を、乾燥することなく、また、添加剤を用いて前処理することなく直接、ロータリーキルンの窯尻部分又は仮焼炉にパイプライン輸送にて導入して焼却する方法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
図4は、従来の有機系の脱水汚泥の輸送装置を備えたセメント焼成設備を示す模式図であり、図において、1はセメント原料貯蔵庫、2はセメント原料を乾燥・粉砕する原料ミル、3はセメント原料粉を分離するサイクロン、4はサスペンションプレヒータ、5は仮焼炉、6はロータリーキルン、7はクリンカクーラ、8は電気集塵機、9は排気煙突、10はバーナー、11は脱水汚泥を貯留する貯留ホッパー、12は圧送ポンプ、13は脱水汚泥を輸送するパイプラインである。
また、セメント焼成設備において処理される脱水汚泥は、セメント焼成設備に容易にパイプ輸送し投入することが可能な高含水率汚泥に限られており、その含水率は80%前後であるものが一般的である。
一方、消石灰や塩化第二鉄等の無機系凝集剤を添加した場合、フィルタープレス型脱水機を用いて脱水されるために、得られる脱水汚泥は、含水率が60%前後の低含水率汚泥であることが多い。
通常、パイプライン輸送における滑材の吐出量の制御は、滑材注入個所より下流のパイプラインの二点間の圧力差を検出し、この圧力差が設定値の範囲内になるように滑材注入ポンプの吐出量を自動的に制御することでなされている。
ここで用いられている赤外線水分計は、近赤外領域で水分に対して高い吸収特性を示す波長の測定光を被測定物に照射し、被測定物からの反射光量を予め求めてある検量線に基づいて水分値に換算することにより、非接触で被測定物中の水分量を測定している。
したがって、高含水率汚泥をロータリーキルンの窯尻部分又は仮焼炉に導入して焼却する場合、高含水率汚泥の投入量を制限する必要があり、クリンカ焼成量に対して、せいぜい数重量%までの処理が限度であった。
特に、低含水率汚泥をパイプライン輸送する場合には、通常の汚泥に比べてかさ密度が大きく、特に塊状物が最適な含水率に調整できていない場合には、パイプライン内部での充填性が悪くなり正確な圧力差が得られないため、滑材注入量の調整がうまくいかず、最悪の場合パイプライン管内で閉塞するという問題点があった。
(1)低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕工程と、この塊状物に滑材を添加する滑材添加工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備えた低含水率汚泥の輸送方法。
(2)滑材を含む低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備えた低含水率汚泥の輸送方法。
(4)低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕手段と、この塊状物に滑材を添加する滑材添加手段と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送手段とを備えた低含水率汚泥の輸送装置。
一方、従来の赤外線水分計を用いた水分量の測定では、対象物表面の水分を測定するため、低含水率汚泥のように表面と内部の水分値が不均一であるような対象物の場合は測定誤差が大きくなり、またパイプラインのような狭い閉空間での測定も困難であるという問題点があった。
前記滑材を含む塊状物のかさ密度は0.6g/cm3以上であることが好ましい。
前記低含水率汚泥の含水率は70%以下であることが好ましい。
この低含水率汚泥の輸送装置では、含水率調整手段を、塊状物または滑材を含む塊状物の含水率を測定する含水率測定手段と、含水率測定後の塊状物または滑材を含む塊状物に注水し所定の範囲内の含水率とする注水手段とを備えた構成とすることにより、塊状物または滑材を含む塊状物の含水率を容易かつ速やかに調整することが可能になり、最適な含水率に調整された滑材を含む塊状物を容易かつ速やかに作製することが可能になる。
しかも、低含水率汚泥をパイプライン輸送することにより、含水率が安定した状態でのセメント焼成炉への安定供給が可能になり、セメント焼成の操業への影響を小さくすることが可能になる。
したがって、含水率が70%以下の低含水率汚泥であっても、安定した状態で容易にパイプライン輸送することができる。
また、含水率が調整された塊状物をパイプライン輸送するので、塊状物の含水率が安定した状態でセメント焼成炉へ安定供給することができる。また、パイプラインが目詰まりする等の不具合が生じる虞がなく、セメント焼成の操業への影響を小さくすることができる。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
水分計23としては、表面の水分だけでなく内部の水分が測定可能な高周波方式の水分計が好ましく、より好ましくは、表層部位の含水率に最も影響を受けにくいマイクロ波式水分計であり、さらに好ましくは、インライン式のマイクロ波式水分計である。
マイクロ波式水分計は、マイクロ波が誘電体の内部に浸透する特徴があるので、透過性に優れ、色や表面状態の影響を受けにくく、また表面や内部の水分の分布にバラツキがあるような下水汚泥等の低含水汚泥でも高精度の測定が可能である。
特に、低含水率汚泥は貯留ホッパー21からの排出が難しいため、スクリュー式供給装置を用いることで、解砕機24に速やかに送り込むことができる。
解砕機24としては、二軸型解砕機が好適に用いられる。
混合押込ホッパー28としては、ホッパー内部に立軸スクリューとパドルスクリューを併用した供給構造機構を設けたもの等が好適に用いられる。
低含水率汚泥は、通常、石灰系の脱水汚泥であって、フィルタープレスで圧搾脱水されているため、厚みが数十mmの板状の固形物である。
この低含水率汚泥を、貯留ホッパー21から供給装置22により所定の供給速度にて解砕機24に送り込む。送り込む途中で水分計23により低含水率汚泥の含水率を測定する。この測定は、供給装置22から送り出される低含水率汚泥の最初のサンプルについて行ってもよく、所定の時間毎に繰り返し行ってもよい。
通常、脱水汚泥をパイプライン輸送する際のパイプライン31の内径は200mm〜400mmであるから、塊状物の最大粒径は100mm程度となる。したがって、この塊状物の平均粒径は5mm以上かつ40mm以下が好ましい。
ここでは、水分計23により解砕機24から送り出される加水後の塊状物の含水率を測定し、この含水率を注水ライン25にフィードバックし、注水ライン25の噴霧注水量を制御することにより、最適な水量で噴霧注水を行い、塊状物の表面の含水率を増加させ、流動性を調整する。
ここでは、水分計23を用いて高含水率汚泥の含水率を測定し、この含有率に基づいて供給装置27から送り出される高含水率汚泥の供給速度を調整することにより、混合汚泥の含水率及び流動性を調整する。
ここでは、滑材として高含水率汚泥を用いているが、この滑材としては、高含水率汚泥の他、水、従来からセメント焼成炉にて焼却処理もしくは副燃料として利用していた廃油、再生油等の油類、廃酸等の酸性廃液、廃アルカリ水等のアルカリ性廃液、酸性廃液やアルカリ性廃液を中和した中和処理液の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。滑材として、高含水率汚泥、水、廃油、再生油、酸性廃液、アルカリ性廃液、中和処理液の群から選択される1種または2種以上を使用することにより、同一設備を用いて低含水率汚泥と同時に滑材も処理することが可能になり、より多くの含水汚泥の処理が可能となる。
この混合汚泥の含水率を水分計23を用いて連続測定する場合、混合汚泥のかさ密度は0.6以上が好ましく、より好ましくは0.8以上である。
かさ密度が0.6以上の状態で測定をすることにより、マイクロ波の透過性が安定し、含水率測定値の誤差も非常に小さくすることができ、精度の高い含水率の測定を行うことができる。したがって、安定した状態で容易にパイプライン輸送することができる。
さらに、任意に設定した区間の平均値(移動平均)で管理することにより、塊状物や混合汚泥の水分管理をさらに正確に行うことができる。
この混合押込ホッパー28で混合された混合汚泥を、オーガーフィーダー29により加圧して圧送ポンプ30に供給し、この圧送ポンプ30によりパイプライン31を経由してセメント焼成炉等に供給し、燃焼処理する。
パイプライン輸送される混合汚泥のずり応力は、混合汚泥における高含水率汚泥の混合率、および解砕機4やパイプライン31での注水量によって調整することができる。
また、低含水率汚泥をパイプライン輸送するので、低含水率汚泥を含水率が安定した状態でセメント焼成炉へ安定供給することができる。また、パイプラインが目詰まりする等の不具合が生じる虞がなく、セメント焼成の操業への影響を小さくすることができる。
したがって、含水率が70%以下の低含水率汚泥であっても、安定した状態で容易にパイプライン輸送することができる。
また、含水率が調整された混合汚泥をパイプライン輸送するので、混合汚泥をセメント焼成炉へ安定供給することができる。また、パイプラインが目詰まりする等の不具合が生じる虞がなく、セメント焼成の操業への影響を小さくすることができる。
いずれの方法にしても、パイプラインの輸送を可能とすることができる。
(実施例)
低含水率汚泥としては、下水処理場より入手した石灰凝集系の脱水汚泥であり、かつフィルタープレスにて圧搾脱水した低含水率汚泥を用いた。この低含水率汚泥の性状は、厚みが6〜12mm、一辺の長さが30〜400mmの繊維質で湿った厚紙様のもので、含水率は61.7%(加熱式水分計)であった。
同様に、上記の塊状物に、含水率75%になるように水分を添加後、直径が120mm、高さが5cmの円筒容器にいれ、混練後24時間静置し、含水率を75%に調整したサンプルを作製した。
表1に測定結果を示す。この表1では、塊状物を「加水なし」、サンプルを「70%」、「75%」と表示してある。
表1に測定結果を示す。また、表2に、マイクロ波式水分計の測定値の平均値、加熱式水分計の測定値及び近赤外線式水分計の測定値の比較結果を示す。
なお、加熱式水分計及び近赤外線式水分計の測定値は、かさ密度による測定値への影響より、表面の状態等が大きく測定値に影響するため、タッピング後のサンプルの測定は行っていない。
また、上記のサンプルを用いてマイクロ波式水分計により測定した含水率とかさ密度との関係を図2に、また、マイクロ波式水分計の測定値と加熱式水分計の測定値との関係を図3に、それぞれ示す。
図2によれば、同一含水率に調整されたサンプルであっても、かさ密度が含水率の測定値に大きく影響するため含水率が変動するが、かさ密度が0.6g/cm3以上になると、かさ密度に影響される含水率の変動幅が数%以内となり、加熱式水分計の測定値と比較しても殆ど差がないことが分かった。さらに、かさ密度を0.8g/cm3以上とすることにより誤差がほぼなくなることも分かった。
また、かさ密度が0.6g/cm3以上で測定した含水率の平均値は、ほぼ加熱式水分計の測定値と同一値となった。
なお、塊状物は、サンプルに比べて含水状態が安定しているため、かさ密度が0.5g/cm3以下であっても精度よく測定できた。
以上により、マイクロ波式水分計を使用し、かつ、かさ密度を0.6g/cm3以上とし、かつ移動平均値で管理を行えば、低含水汚泥の水分管理用に十分利用可能であることが分かった。
22 低含水率汚泥を供給する供給装置
23 水分計
24 解砕機
25 注水ライン
26 高含水率汚泥を貯留する貯留ホッパー
27 高含水率汚泥を供給する供給装置
28 混合押込ホッパー
29 オーガーフィーダー
30 圧送ポンプ
31 パイプライン
32 パイプラインへの注水ライン
Claims (7)
- 低含水率汚泥をパイプライン輸送する方法であって、
前記低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕工程と、この塊状物に滑材を添加し滑材を含む塊状物とする滑材添加工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備え、
前記解砕工程、前記滑材添加工程、前記輸送工程のいずれか1つ以上の工程は、前記塊状物または前記滑材を含む塊状物の含水率を調整する含水率調整工程を有することを特徴とする低含水率汚泥の輸送方法。 - 前記滑材を含む塊状物の含水率は60%以上かつ80%以下であることを特徴とする請求項1記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記滑材を含む塊状物のかさ密度は0.6g/cm3以上であることを特徴とする請求項1または2記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記低含水率汚泥の含水率は70%以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 低含水率汚泥をパイプライン輸送する装置であって、
前記低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕手段と、この塊状物に滑材を添加し滑材を含む塊状物とする滑材添加手段と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送手段とを備え、
前記解砕手段、前記滑材添加手段、前記輸送手段のいずれか1つ以上に、前記塊状物または前記滑材を含む塊状物の含水率を調整する含水率調整手段を設けてなることを特徴とする低含水率汚泥の輸送装置。 - 前記含水率調整手段は、前記塊状物または前記滑材を含む塊状物の含水率を測定する含水率測定手段と、含水率測定後の前記塊状物または前記滑材を含む塊状物に注水し所定の範囲内の含水率とする注水手段とを備えてなることを特徴とする請求項5記載の低含水率汚泥の輸送装置。
- セメント焼成炉に請求項5または6記載の低含水率汚泥の輸送装置を備え、
この輸送装置により輸送される前記滑材を含む塊状物を前記セメント焼成炉に投入し焼却処理することを特徴とするセメント製造設備。
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