JP2007260389A - 転倒推知装置および転倒用プロテクタ - Google Patents

転倒推知装置および転倒用プロテクタ Download PDF

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真史 森田
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義之 石原
Tetsushi Yanami
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Abstract

【課題】人がバランスを崩して転倒に至ることを短時間で推知できるとともに誤推知が少なく、また、大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は、特に確実に検出することができ、さらに、小型かつ軽量に構成することが可能な転倒推知装置、およびそれを用いたエアバッグ式の転倒用プロテクタを提供する。
【解決手段】 人の体幹に取り付けるための取り付け手段2と、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の運動の角速度を検知する角速度検知手段16aと、前記軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度を検知する傾斜角度検知手段16bと、角速度検知手段16aにより検知された体幹の角速度、および、傾斜角度検知手段16bにより検知された体幹の傾斜角度に基づいて、人が転倒することを推知して、該転倒を推知したことを表す所定の信号を出力する転倒推知手段16cとを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、人が転倒することを推知して信号を出力する転倒推知装置、および、人が転倒した際に、身体の所定部位の損傷を防止する転倒用プロテクタに関する。
人が転倒した際に、骨折等の損傷を負ってしまう場合がある。特に高齢者や骨粗しょう症患者においては、若年の健常者に比較して骨の強度が弱くなっており、転倒したときに臀部の側部を地面や床に打って大腿骨頚部を骨折することが多い。特に高齢者が大腿骨頚部を骨折すると、統計上、寝たきり状態や認知症(痴呆症)になることが多いことが知られている。
そこで、転倒時に大腿骨頚部等を骨折しないよう、従来、衝撃吸収パッドを装着したパンツ等の衣類が用いられている。このような衝撃吸収パッド付き衣類が、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、転倒時に打つことの多い身体の所定部位(例えば大腿骨頚部近傍の臀部)の対応位置に、衝撃吸収パッドを配設した、パンツ、ズボン下、アンダーシャツ等の衝撃吸収パッド付き衣類が記載されている。
しかしながら、衝撃吸収パッドが装着された衣類では、強い衝撃に対しては衝撃吸収効果が不十分であるという問題があり、また、衝撃吸収性を高めるべく衝撃吸収パッドを厚く形成した場合には、衝撃吸収パッドの対応部位(関節等)の動きを妨げてしまうといった問題がある。
このような問題を解決する手段として、エアバッグ式の転倒用プロテクタが提案されている。
特許文献2には、人の転倒を感知するセンサー部と、センサー部からの信号を受け取りガスを発生させるガス発生部と、身体の所定部位の対応位置に設けられ、ガス発生部により発生されたガスによって膨らむ(展開される)エアバッグ部とを備える転倒用のプロテクタが記載されている。
特許文献2記載の転倒用プロテクタは、人が転倒する際、身体が地面等に衝突する前にセンサー部により人の転倒を感知し、ガス発生部からのガスによりエアバッグを展開させて、前記所定部位の損傷を防止する。
このようなエアバッグ式の転倒用プロテクタによれば、従来の衝撃吸収パッドを備えたプロテクタと比較し、強い衝撃をも好適に吸収して身体の損傷を防げるとともに、バッグが萎んだ状態のときには、身体の対応部位(関節等)の動きを妨げるといった問題もないというメリットがある。
ところで、特許文献2記載の技術においては、センサー部は、加速度、傾斜角度、筋肉の緊張、地上との距離等から、人の転倒を感知するとの記載がみられる(特許文献2 段落0011参照)が、転倒を検出するための具体的な構成については、特段の記載がない。
人の転倒を検出するための具体的な構成の一例が、特許文献3に開示されている。
特許文献3記載の転倒判定装置は、被験者の体幹に取り付けた互いに直行する3軸の方向の加速度、及び、前記3軸周りの角速度を検知するセンサの検出値に基づいて、被験者の体幹の鉛直方向の変位を所定の演算式(特許文献3 請求項2参照)で算出し、その変位に基づいて被験者の転倒を判定する。さらに、被験者が転倒したと判定されたときには、予め設定された連絡先に被験者の転倒を連絡する連絡部を備える(特許文献3 請求項3等参照)。
特開2003−3004号公報 特開平11−335911号公報 特開2005−237576号公報
さて、エアバッグ式の転倒用プロテクタにおいては、人がバランスを崩してから転倒して地面等に衝突するまでの短い時間に、エアバッグの展開が完了している必要がある。したがって、人がバランスを崩して転倒に至ることを、短時間で推知できることが求められるという課題がある。
また、一度エアバッグを展開させると、再使用のためにはエアボンベを交換するなどの再設定が必要となる。したがって、転倒でないのに転倒であると誤推知してエアバッグを展開してしまうと、コストや労力の無駄となるため、前記誤推知を極力発生させないことが求められるという課題がある。
また、その上で、重大な障害を引き起こす可能性の高い前述の大腿骨頚部の骨折を防止すべく、特に大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は確実に検出することが求められているという課題がある。
さらに、エアバッグ式の転倒用プロテクタは、人が日常身に付けるものであるから、小型かつ軽量に構成する要請があるという課題がある。
この点、前記特許文献2には、加速度、傾斜角度等から人の転倒を感知する旨の記載がみられるのみであって、人の転倒を短時間に推知するとともに誤推知を防ぎ、さらに小型かつ軽量に構成するための具体的な構成については、特段の記載はなされていない。
また、特許文献3に記載の転倒判定装置は、体幹の鉛直方向の変位を算出するものであるから、人が転倒したことを事後的に検知することはできるが、人が転倒することを、身体が地面等に衝突するまでの短時間に推知することはできない。
また、特許文献3の段落0038には、「起き上がったり、寝転んだりして加速度センサが反応した場合でも、それが転倒によるものか否かを判定することができる。これにより、誤判定を減少させ、より正確な判定が可能になる」との記載がみられるが、例えば転倒と寝転がる動作とでは体幹の鉛直方向の変位はほぼ同じであると考えられるところ、それらをどのように判定するのか、その構成が不明である。また、特許文献3の段落0039では、「他の指標も考慮して被験者の転倒を判定することにより、転倒判定の確実性をさらに向上させることができる」旨の記載があるが、その構成も明確に記載されていない。
さらに、特許文献3記載の転倒判定装置は、3軸の方向の加速度、及び、前記3軸周りの角速度を検知するセンサのそれぞれを要するものであり、すなわち多数のセンサが必要であるために、装置の小型化および軽量化が困難なものである。
本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、人がバランスを崩して転倒に至ることを短時間で推知できるとともに誤推知が少なく、また、大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は、特に確実に検出することができ、さらに、小型かつ軽量に構成することが可能な転倒推知装置、およびそれを用いたエアバッグ式の転倒用プロテクタを提供することにある。
本願発明者らは、上記課題を解決すべく、特に高齢者を中心に、日常動作時と転倒時との身体の運動の相違について鋭意研究を重ねたところ、日常動作時には、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の運動の角速度、および体幹の直立状態に対する傾斜角度が、同時には大きく変化せず、他方、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)時には、それらが同時に変化することを見出し、これに基づいて本願発明を完成させた。
本願発明に係る転倒推知装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、人の体幹に取り付けるための取り付け手段と、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の運動の角速度を検知する角速度検知手段と、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度を検知する傾斜角度検知手段と、前記角速度検知手段により検知された体幹の角速度、および、前記傾斜角度検知手段により検知された体幹の傾斜角度に基づいて、人が転倒することを推知して、該転倒を推知したことを表す所定の信号を出力する転倒推知手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度、および体幹の直立状態に対する傾斜角度を検出するのみの簡単な構成で、人がバランスを崩してから短時間に、かつ日常動作と誤認することなく、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)を推知することができる。
さらに、前記転倒推知手段は、前記角速度検知手段により検知された体幹の角速度、および、前記傾斜角度検知手段により検知された体幹の傾斜角度が、それぞれ所定の閾値よりも大きいとき、人が転倒すると推知することを特徴とする。
さらに、前記体幹の角速度の前記所定の閾値は、毎秒40°〜60°であり、前記体幹の傾斜角度の前記所定の閾値は、10°〜20°であることを特徴とする。
これによれば、誤推知が少なく、かつ転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)をほぼ確実に推知することができることが、実験により確認された。
さらに、前記体幹の角速度の前記所定の閾値は、毎秒50°であることを特徴とする。
また、前記体幹の傾斜角度の前記所定の閾値は、15°であることを特徴とする。
これによれば、さらに誤推知が少なく、かつ転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)をさらに確実に推知することができることが、実験により確認された。
また、前記体幹の前後方向の軸の軸周りの角速度を検出可能に設けられた角速度センサと、前記体幹の左右方向の加速度を検出可能に設けられた横軸加速度センサとを備え、前記角速度検知手段は、前記角速度センサの検出値に基づいて、前記体幹の運動の角速度を検知し、前記傾斜角度検知手段は、前記角速度検知手段により検知された前記体幹の角速度と、前記横軸加速度センサにより検出された前記体幹の左右方向の加速度とに基づいてカルマンフィルタ処理を行って、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける傾斜角度を算出して検知することを特徴とする。
これによれば、多数のセンサを用いることなく、装置を小型かつ軽量に構成することができるとともに、前記傾斜角度を高精度に検知することができる。
また、前記体幹の重力方向の加速度を検知する重力方向加速度検知手段を備え、前記転倒推知手段は、前記重力方向加速度検知手段により検知された体幹の重力方向の加速度が所定の閾値よりも大きいときには、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする。
これによれば、体幹が重力方向に移動することによって、体幹の重力方向の加速度が重力加速度(g)よりも小さい所定の閾値より、さらに小さくなったときのみ、人が転倒したと推知するから、さらに誤推知を少なくすることができる。
また、前記取り付け手段により、人の腹部または胸部に取り付け可能に設けられていることを特徴とする。
これによれば、装置を、曲げ動作等の少ない腹部または胸部に取り付けることができ、装置の位置ずれ等が発生しにくく、精度の高い推知を行うことができる。
また、前記体幹の直立状態に対する傾斜角度が所定角度より大きいことを検知する傾斜検知手段を備え、前記転倒推知手段は、前記傾斜検知手段が前記体幹の傾斜角度が前記所定角度より大きいことを検知している状態においては、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする。
これによれば、寝たり起きたりする動作や、寝た状態中の動作を、転倒動作として誤推知してしまうことを、より的確に防ぐことができる。
また、人の臀部、および股関節の前面の少なくとも一方に取り付けられて、臀部、および股関節の前面の少なくとも一方の圧迫を検出可能な感圧センサに接続され、前記転倒推知手段は、前記感圧センサが前記圧迫を検出しているときには、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする。
これによれば、臀部を椅子や床等に着けて行う座る動作や寝転がる動作、および、股関節を曲げてかがみこむ動作やかがんだ状態での動作を、転倒動作として誤推知してしまうことを、より的確に防ぐことができる。
また、本願発明に係る転倒用プロテクタは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、人が転倒した際に、身体の所定部位の損傷を防止する転倒用プロテクタにおいて、請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置と、前記所定部位、または該所定部位の近傍に取り付け可能に設けられたエアバッグと、前記転倒推知装置の前記転倒推知手段から前記所定の信号を受信した際に、前記エアバッグを展開するエアバッグ展開手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、人がバランスを崩してから短時間に、かつ日常動作と誤認することなく、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)を推知して、エアバッグの展開をすることができる。
さらに、前記所定部位は、大腿骨頚部であり、前記エアバッグは、人の転倒時の大腿骨頚部の損傷を防止すべく、大腿骨頚部近傍の臀部に取り付け可能に設けられていることを特徴とする。
これによれば、転倒時に大腿骨頚部近傍の臀部から地面に落ちても、大腿骨頚部の骨折を好適に防止することができる。
また、人の腰回りおよび/または臀部回りに着脱可能に設けられた布体を備え、前記エアバッグは、人が前記布体を着けた際に、前記所定部位、または該所定部位の近傍に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする。
これによれば、布体を身体に着けることで、転倒用プロテクタを身体に取り付けることができる。
さらに、前記転倒推知装置は、人が前記布体を着けた際に、人の腹部に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする。
これによれば、布体を身体に着けることで、曲げ動作等の少ない腹部に転倒推知装置を簡単に取り付けることができ、装置の位置ずれ等が発生しにくく、精度の高い転倒の推知を行うことができる。
また、前記転倒推知装置は、請求項10記載の転倒推知装置であり、前記感圧センサは、前記布体を腰周りに着けた際に、人の臀部、および股関節の前面の少なくとも一方に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする。
これによれば、布体を身体に着けることで簡単に感圧センサを臀部、および股関節の前面の少なくとも一方に取り付けることができ、臀部を椅子や床等に着けて行う座る動作や寝転がる動作、および、股関節を曲げてかがみこむ動作やかがんだ状態での動作を、転倒動作として誤推知してしまうことを、より的確に防ぐことができる。
本発明に係る転倒推知装置によれば、人がバランスを崩して転倒に至ることを短時間で推知できるとともに誤推知が少なく、また、大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は、特に確実に検出することができ、さらに、小型かつ軽量に構成することができる。
また、本発明に係る転倒用プロテクタによれば、人がバランスを崩してから短時間に、かつ日常動作と誤認することなく、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)を推知して、エアバッグの展開をすることができる。
以下、本願発明に係る転倒推知装置および転倒用プロテクタを実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPの説明図である。
転倒用プロテクタPは、人の腰回りおよび臀部回りに着脱可能に設けられた長方形状の布体2を備える。布体2は、その一長辺の縁部に、伸縮性を有する材料であるゴムにより構成されたベルト部2aを有する(図1は、ベルト部2aを伸ばした状態を示している)。また、布体2は、その両短辺の縁部に、互いにくっつき合うマジック部2b,2cを有する。
図2は、転倒用プロテクタPを人の腰回りおよび臀部回りに着けた状態を示し、(a)は、その正面説明図であり、(b)は、X−X断面説明図である。転倒用プロテクタPは、布体2を人の腰回りおよび臀部回りを覆うように巻いて、マジック部2b,2c(図1参照)同士を貼り合わせることで、人の腰回りおよび臀部回りに取り付けることができる。この際、ゴムから成るベルト部2aの伸縮性により、転倒用プロテクタP(布体2)は腰回りおよび臀部回りに保持される。
布体2上には、2つのエアバッグ4a,4bが取り付けられている。図2(a),(b)に示すように、エアバッグ4a,4bは、人が布体2を着けた際に、大腿骨頚部B近傍の臀部、すなわち臀部の側面がわに位置するよう、布体2上に配設されている。
エアバッグ4a,4bは、特に限定されないが、それぞれ容積が200〜300ml程度のものを採用するとよい。なお、エアバッグの容積は、使用者の体格に応じて、体重が重いほど大きい容積のエアバッグを採用するようにするとよい。
さらに、布体2上には、制御ユニットUが取り付けられている。図2(a),(b)に示すように、制御ユニットUは、人が布体2を着けた際に、腹部の臍の位置またはその近傍に位置するよう、布体2上に配設されている。
制御ユニットUは、後述する転倒推知装置Aと、エアバッグ4a,4b内にエアを吹き込ませてエアバッグ4a,4bを展開させるための後述するエアバッグ展開手段18とを有する。
転倒推知装置Aは、布体2上に設けられていることで、布体2が人に取り付けられることで、人の体幹に取り付けられる。すなわち、布体2は、転倒推知装置Aを人の体幹に取り付けるための取り付け手段を成している(兼ねている)。
またさらに、布体2上には、エアバッグ展開手段18のエアボンベ18a(後述)から吹き出すエアを各エアバッグ4a,4b内へ導くチューブ6a,6bが設けられている。
また、布体2上には、感圧センサ8a,8bが設けられている。図2(a),(b)に示すように、感圧センサ8a,8bは、人が布体2を着けた際に臀部に位置するよう、布体2上に配設されている。感圧センサ8a,8bは、薄膜状に設けられ、その少なくとも一部に、面に垂直な方向の押圧力が掛かったことを検出するセンサであり、例えば人が座ったり寝転がったりしたこと等により、臀部に押圧力(圧迫力)が掛かったことを検出するために設けられている。
感圧センサ8a,8bは、制御ユニットUの転倒推知装置Aに接続され、臀部に押圧力(圧迫力)が掛かった際に、転倒推知装置Aに対し信号を出力する。
感圧センサ8a,8bは、特に限定されないが、厚さ0.2mm程度の薄膜感圧センサを採用するとよい。
なお、感圧センサ8a,8bは、臀部の位置でなく、股関節の前面(下腹部と脚との間の、脚の付け根の前面、言い換えれば、股関節を前方に屈曲させた際に折れ曲がる箇所)に位置するよう配設してもよい。この場合、股関節を曲げてかがみこむ動作やかがんだ状態での動作を検出することができる。もちろん、感圧センサを、臀部と、股関節の前面との両方の位置に配設してもよい。
次に、制御ユニットUの構成について説明する。
図3は、制御ユニットUおよびそれに含まれる転倒推知装置Aの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御ユニットUは、転倒推知装置Aと、エアボンベ18aおよびエアボンベ開封機構18bから成るエアバッグ展開手段18とを有する。
本実施の形態に係る転倒推知装置Aは、人の体幹の前後方向の軸の軸周りの角速度を検出可能に設けられた角速度センサ10と、前記体幹の左右方向の加速度を検出可能に設けられた横軸加速度センサ12と、前記体幹の上下方向の加速度を検出可能に設けられた縦軸加速度センサ14と、体幹の直立状態に対する傾斜角度が所定角度より大きいこと検知する傾斜検知手段としての傾斜センサ15と、CPUやメモリ等を有し、CPUによりROMに記録されたファームウェアプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する制御部16とを備える。
なお、「人の体幹の前後方向の軸」とは、図4中のx軸のことであり、言い換えれば、体幹の正面が向かう方向の軸のことである。また、「人の体幹の左右方向の軸」とは、図4中のy軸のことであり、「人の体幹の上下方向の軸」とは、図4中のz軸のことである。
すなわち、制御ユニットUが取り付けられる人の腹部の臍の位置を原点とする体幹の前後方向、左右方向、上下方向にそれぞれ対応するx軸,y軸,z軸の3軸を想定し、角速度センサ10はx軸の軸周りの角速度を検出可能なように、制御ユニットU(転倒推知装置A)内に位置決めされて配設されている。同様に、横軸加速度センサ12はy軸の、縦軸加速度センサ14はz軸の、それぞれ加速度を検出可能なように、制御ユニットU(転倒推知装置A)内に位置決めされて配設されている。傾斜センサ15は、体幹のx軸周りおよびy軸周りの傾斜角度が、所定角度より大きいこと(体幹が傾斜していること)を検出可能に設けられる。このためには、例えば、傾斜センサ15を、x軸周りの傾斜を検出するセンサと、y軸周りの傾斜を検出するセンサとの、2つのセンサから構成すればよい。なお、本発明はこの構成に限定されるわけではなく、傾斜センサ15を、特定の軸周りのみ(たとえばy軸周りのみ)の傾斜を検出するよう構成してもよい。
制御部16は、ROMに記録されたファームウェアプログラムを実行することにより、角速度検知手段16a、傾斜角度検知手段16b、重力方向加速度検知手段16c、および転倒推知手段16dを実現可能に設けられる。
角速度検知手段16aは、角速度センサ10の検出値に基づいて、体幹の前後方向の軸(x軸)の軸周りにおける、体幹の運動の角速度を検知する。
傾斜角度検知手段16bは、角速度検知手段16aにより検知された前記体幹の角速度と、横軸加速度センサ12により検出された前記体幹の左右方向の加速度とに基づいて、公知のカルマンフィルタ処理を実行して、前記体幹の前後方向の軸(x軸)の軸周りにおける、前記体幹の傾斜角度を算出して検知する。
図5はカルマンフィルタの原理を表す式であり、この式に基づいてx軸周りにおける体幹の傾斜角度θestが求められる。なお、傾斜角度検知手段16bが実行するカルマンフィルタ処理は、図5で表された数式に基づく演算をそのままソフトウェア的に実現するものであるから、具体的な処理アルゴリズムについては説明を省略する。
なお、図5中のθACCは、横軸加速度センサ12で検出された左右方向加速度Ayに基づいて、θACC= sin-1(Ay/g) (gは重力加速度)の計算によって算出される値である。すなわち、図6に示すように、体幹が、直立状態から、体幹の前後方向の軸(x軸)の軸周りのみで傾斜した場合、横軸加速度センサ12は、その傾斜角度θACCに応じた加速度Ay = g・sinθACCを検出することになる。θACCは、この式で表される傾斜角度を示すものである(なお、実際には、体幹はx軸の軸周りのみで傾斜するとは限らないため、このθACCをもって体幹のx軸の軸周りの傾斜角度とするのは、精度を欠く)。
重力方向加速度検知手段16cは、縦軸加速度センサ14の検出値に基づいて、体幹の重力方向の加速度を検知する。
傾斜センサ15は、体幹のx軸周りおよびy軸周りの傾斜角度が、所定角度より大きいこと(体幹が傾斜していること)を検出する。
後述するように、寝たり起きたりする動作や、寝た状態中の動作を、転倒推知手段16dが転倒動作として誤推知してしまうことを的確に防ぐために、傾斜センサ15が用いられる。すなわち、傾斜センサ15は、体幹の所定角度以上の傾斜を検出している状態(寝たり起きたりする動作中や、寝た状態)では、転倒を推知しないよう制御するために用いられる。
ここで、転倒中には体幹が傾斜するため、単に体幹が傾斜していることを以って転倒を推知しないよう転倒推知手段16dを構成してしまうと、転倒を正しく推知できない。したがって、傾斜センサ15は、転倒の動作が起こる前における、体幹の傾斜状態を検知するよう構成される。例えば、傾斜センサ15は、傾斜状態の出力値を、遅延回路により所定時間だけ遅延させて、制御部16(転倒推知手段16d)に出力するよう構成される。あるいは、制御部16に、所定時間分の傾斜センサ15の出力値を記憶するバッファを設け、転倒推知手段16dが所定時間分前の傾斜センサ15の出力値を参照するよう構成してもよい。
転倒推知手段16dは、角速度検知手段16aにより検知された体幹の角速度、および傾斜角度検知手段16bにより検知されたx軸の軸周りにおける体幹の傾斜角度が、それぞれ所定の閾値よりも大きく、なおかつ、重力方向加速度検知手段16cにより検知された体幹の重力方向の加速度が所定の閾値よりも小さく、なおかつ、感圧センサ8a,8bが前記臀部への圧迫(押圧)を検出しておらず、さらになおかつ、傾斜センサ15の所定時間だけ前の出力値がOFF信号であった(体幹の直立状態に対する傾斜角度が所定角度より大きいと検知していない)状態であったとき、エアボンベ開封機構18bに対して所定の信号を出力する。
好適には、前記体幹の角速度の所定の閾値は、毎秒50°、前記体幹のx軸の軸周りにおける傾斜角度の所定の閾値は、15°、前記体幹の重力方向の加速度の所定の閾値は、8.82m/s2、傾斜センサ15が体幹の傾斜を検知する閾値である前記所定角度は、45〜75°、傾斜センサ15の出力値を読み取る遅延時間は、0.5〜1sに設定するとよい。
転倒推知手段16dの処理を図7のフローチャートを用いて説明する。
転倒推知手段16dは、転倒推知装置Aの電源が投入されて制御部16による所定の初期化処理が終了すると実行され、図7のフローチャートで表される所定の処理を行う。
転倒推知手段16dは、まず、前述した角速度検知手段16aが検出した角速度ωgyroを取得する(ステップS1)。同様に、転倒推知手段16dは、傾斜角度検知手段16bが検出した傾斜角度θestを取得する(ステップS2)。さらに、転倒推知手段16dは、重力方向加速度検知手段16cが検出した重力方向加速度Azを取得する(ステップS3)。
なお、これらステップS1〜S3の処理は、特に限定されるものではないが、例えば、角速度検知手段16a、傾斜角度検知手段16b、重力方向加速度検知手段16cの処理をサブルーチン化して転倒推知手段16dが呼び出すよう構成してもよいし、または、角速度ωgyro、傾斜角度θest、重力方向加速度Azの各値をメモリの所定領域に随時記憶させ、それを転倒推知手段16dが参照するよう構成してもよい。
続いて、転倒推知手段16dは、角速度ωgyro、傾斜角度θestの各値が所定の閾値(それぞれ、毎秒50°,15°)より大きく、なおかつ、重力方向加速度Azの値が所定の閾値(8.82m/s2)より小さいか否かを判定する(ステップS4)
ステップS4の判定で、これらの値のうち少なくとも一つでも前記条件を満たさないものがあれば(図7中のステップS4の“NO”)、転倒推知手段16dは前記ステップS1〜S4の処理を再び繰り返して実行する。
また、ステップS4の判定で、全ての値が前記条件を満たした場合には(図7中のステップS4の“YES”)、感圧センサ8a,8bのいずれかが臀部の圧迫を感知しているか、または、傾斜センサ15が、体幹の傾斜角度が前記所定角度より大きいと検知していたか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5の判定で、感圧センサ8a,8bが圧迫を感知しているか、または傾斜センサ15が所定角度以上の傾斜を検知していた場合には、転倒推知手段16dは前記ステップS1〜S5(もしくはS1〜S4)の処理を再び繰り返して実行する。
また、ステップS5の判定で、感圧センサ8a,8bが圧迫を感知しておらず、なおかつ傾斜センサ15が所定角度以上の傾斜を検知していなかった場合には、転倒推知手段16dは、エアバッグ展開手段18(エアボンベ開封機構18b)へ前記所定の信号の出力を行う(ステップS6)。
すなわち、転倒推知手段16dは、ステップS6に係るエアバッグ展開手段18(エアボンベ開封機構18b)への信号出力の処理を行わない限り、ステップS1〜S4もしくはステップS1〜S5の処理を繰り返し、角速度ωgyro、傾斜角度θest、重力方向加速度Azを常時監視するポーリング状態となっている。
エアボンベ開封機構18bは、転倒推知手段16dから前記所定の信号を受けると、エアボンベ18aを開封することで、チューブ6a,6bを介してエアボンベ18a内のエアをエアバッグ4a,4b内に導入してエアバッグ4a,4bを展開させる。
エアボンベ開封機構18bの構成は、特に限定されないが、例えば、中空に形成され、その中空の空間がチューブ6a,6bに連通する針を備え、前記所定の信号を受けた際にはこの針をエアボンベ18aを封している部材に刺して、エアボンベ18a内のエアを、中空の針の内部空間およびチューブ6a,6bを介してエアバッグ4a,4bに導く構成にするとよい。
次に、本実施の形態における転倒推知装置Aによって、転倒を的確に推知できるとともに、日常動作を転倒と誤推知することがほとんどないことを、実験データに基づいて説明する。
図8は、本実施の形態に係る転倒推知装置Aにより検出された、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフ(図8(a))と、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフ(図8(b))である。
図8(a),(b)のグラフの縦軸は、前記x軸周りにおける体幹の傾斜角度および体幹の角速度をそれぞれ表しているが、便宜上、プラスの値は被験者からみて右回り、マイナスの値は被験者からみて左回りの方向の傾斜角度および各速度を、それぞれ表している。なお、本グラフにおいては、便宜上、右回り方向の値と左回り方向の値をそれぞれ正と負の値で表しているが、本願特許請求の範囲および詳細な説明における各閾値は、それぞれ傾斜角度および角速度の絶対値により表現されている。
図8のグラフでは、時間軸(横軸)上の6.93sの時点あたりで人がバランスを崩し、7.20sの時点あたりで、前記体幹のx軸周りの傾斜角度と角速度との両者が、それぞれ15°と毎秒50°を超えている。このケースでは、身体が地面に接地する時点は、7.49sあたりであり、前記閾値を超えることにより転倒推知手段16dが転倒を推知してエアバッグ展開手段18を起動してから、身体が接地するまでに、290ms程度の時間がある。
本実施の形態に係る200〜300ml程度のエアバッグ4a,4bの展開を完了するには、エアボンベの開封から約200ms程度掛かるところ、このケースでは、身体が接地するまでにエアバッグ4a,4bを展開することが可能である。
図9は、図8とは別人の転倒時のケースを示した同様のグラフであるが、この場合も、5.74sあたりの時点で転倒を推知でき、接地までに330ms程度の時間があり、接地前にエアバッグ4a,4bを展開することができることが分かる。
さて、図8と同じ実験データを用い、前記傾斜角度と前記角速度との前記所定の閾値を、それぞれ22°と毎秒62°とした場合について考察する。この場合、図10(a),(b)に示すように、転倒の推知時点は7.34sあたりとなり、接地までに150ms程度の余裕しかなく、エアバッグ4a,4bの展開が間に合わなくなることが分かる。
本願発明者らは、鋭意実験を重ねた結果、前記傾斜角度の閾値は20°以下、前記各速度の閾値は毎秒60°以下に設定すれば、転倒の推知から身体が接地するまでに、約200ms以上の、エアバッグ4a,4bを展開するのに十分な時間を確保できることを確認した。
さて、前述の通り前記傾斜角度の閾値は20°以下、前記各速度の閾値は毎秒60°以下に設定すべきであることが明らかとなったが、これらの閾値をあまりに低く設定すると、転倒以外の日常動作でも転倒であると誤推知してしまう場合が出る。したがって、以下、各閾値の好適な下限値について考察する。
図11、図12、図13は、日常動作として、それぞれ、歩行動作、階段の上り動作、椅子への着席動作をした時の、前記体幹の傾斜角度および角速度の遷移を、それぞれ傾斜角度検知手段16bおよび角速度検知手段16aにより検出したグラフである。
これらのグラフからも読み取れるが、本願発明者らは実験の結果、日常動作では、前記角速度は大きく振れる場合があるものの、体幹の前後方向の軸の軸周りでの前記傾斜角度は、10°を超えることはほとんどなく、15°を超えることはさらにほぼ皆無に等しいことを見出した。また、前記角速度に関しては、毎秒40°以上とすれば、日常動作ではx軸周りの傾斜角度と同時にそれぞれ閾値を超えることはほとんどなく、より好適には毎秒50°程度に設定することが望ましいことを見出した。
なお、本実施の形態において、転倒推知手段16dは、角速度検知手段16aにより検知された体幹の角速度、および、傾斜角度検知手段16bにより検知された体幹の傾斜角度が、それぞれ所定の閾値よりも大きいとき、人が転倒すると推知するよう構成した。
しかしながら、本願発明における転倒推知手段は、この構成に限定されるものではなく、前記角速度検知手段により検知された体幹の角速度、および、前記傾斜角度検知手段により検知された体幹の傾斜角度に基づいて、人の転倒を推知するものを全て含む。
例えば、転倒推知手段は、前記体幹の角速度および傾斜角度の値のそれぞれを単純に閾値と比較するのではなく、それらを所定の関数に代入して複合的な計算を行い、その計算結果に基づいて転倒を推知するよう構成してもよい。また、この関数は固定的なものに限定されず、例えば、統計学習理論に基づく学習法の一つとして公知であるサポートベクターマシンの技術を用いて、条件を学習するよう構成してもよい。
また、本実施の形態においては、転倒推知手段16dは、転倒を推知する上で、重力方向の加速度も参酌するよう構成したが、これは、重力方向の加速度を参酌しない構成を採用して実験した結果、被験者が一歩毎に足を踏み出す方向を左右に入れ替えるようなジグザグ歩行やS字歩行を行った際に、本実施の形態に係る転倒推知装置Aが、被験者が転倒したと誤推知するケースがあったためである。すなわち、この誤推知を防ぐために、体幹の重力方向の加速度が、重力加速度gよりも小さい所定の閾値よりさらに小さい(すなわち体幹が重力方向に所定の加速度で落下している)ことを、転倒を推知する条件に加えたものである。したがって、このような不自然な動作を転倒と誤推知してしまう特殊なケースを除けば、必ずしも、転倒を推知する上で重力方向の加速度を参酌する構成を採る必要はない。特に本転倒推知装置Aを、高齢者等の動作がゆっくりで単調である人に適用する場合には、必ずしも重力方向の加速度を参酌する構成は採用しなくともよい。
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPおいては、臀部に感圧センサ8a,8bを設け、これが圧迫を感知しているときにはエアバッグ4a,4bの展開を行わない構成とした。これは、例えば椅子に座った状態から身をよじりながら背もたれにもたれかかる動作や、床に座った状態から身をよじりながら寝転がる動作を行った際に、転倒であると誤推知してしまうことを防ぐものである。この構成も有効であるが、用途条件に応じて取捨選択してよい。
また、前述のように、感圧センサ8a,8bを股関節の前面に位置するよう設けて、これが圧迫を感知しているときにはエアバッグ4a,4bの展開を行わない構成とした場合には、股関節を曲げてかがみこむ動作やかがんだ状態での動作を、転倒であると誤推知してしまうことを防ぐことができる。
もちろん、感圧センサを臀部と、股関節の前面との両方に設ければ、いずれの誤推知をも防ぐことができ好適である。
さらに、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPおよび転倒推知装置Aにおいては、傾斜センサ15を設け、体幹の傾斜角度が前記所定角度以上の状態であったときには、エアバッグ4a,4bの展開を行わない構成とした。これは、寝たり起きたりする動作や、寝た状態中の動作を、転倒であると誤推知してしまうことを防ぐものである。この構成も有効であるが、用途条件に応じて取捨選択してよい。
また、本実施の形態においては、角速度検知手段16aおよび傾斜角度検知手段16bは、角速度センサ10および横軸加速度センサ12を用いて前記体幹のx軸周りの角速度および傾斜角度を検出するよう構成したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、前記体幹の角速度および傾斜角度を検知や算出することができるものであれば、他のセンサを採用してもよい。
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPにおいては、大腿骨頚部Bの対応位置にエアバッグ4a,4bを配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば転倒時に打ちやすい頭部や肘や肩や背中等の他の部位の対応位置に、エアバッグを配設してもよい。
また、布体をパンツやズボン状に構成してもよいし、上半身に装着する場合にはベスト状等に構成してもよい。特に転倒用プロテクタPを上半身に取り付ける場合には、転倒推知装置や制御ユニットは、曲げ動作等の動きの少ない胸部に位置するよう配設すると、位置ずれを起こしにくく好適である。
本実施の形態に係る転倒推知装置Aによれば、人がバランスを崩して転倒に至ることを短時間で推知できるとともに誤推知が少ない。また、体幹の前後方向の軸の軸周りに所定の角速度を持った転倒、すなわち側方への転倒は特に確実に推知できることから、大腿骨頚部の骨折を起こしやすい、臀部側面から地面等に落ちるような転倒は、特に確実に検出することができる(なお、転倒の際にはほとんどの場合、体幹は、その前後方向の軸の軸周りに所定の角速度を持った運動を行うことから、ほとんどの転倒は検知可能である)。さらに、従来のように3軸の角速度センサおよび3軸の加速度センサを採用する構成に比較して、少ないセンサ数で正確な推知を行うことができ、小型・軽量かつ経済的に構成することができる。
また、本実施の形態に係る転倒用プロテクタPによれば、人がバランスを崩してから短時間に、かつ日常動作と誤認することなく、転倒(特に臀部側面から地面等に落ちるような転倒)を推知して、エアバッグ4a,4bの展開をすることができる。
本発明に係る転倒用プロテクタの説明図である。 本発明に係る転倒用プロテクタを人の腰回りおよび臀部回りに着けた状態を示し、(a)は、その正面説明図であり、(b)は、X−X断面説明図である。 制御ユニットUおよびそれに含まれる本発明に係る転倒推知装置Aの構成を示すブロック図である。 人の体幹の前後方向の軸(x軸)、左右方向の軸(y軸)、上下方向の軸(z軸)の説明図である。 カルマンフィルタの原理を示す式を表す図である。 横軸加速度センサによる傾斜角度θACCの求め方の説明図である。 転倒推知手段の処理を表すフローチャートである。 (a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。 (a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。 (a)は、人が転倒した際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。 (a)は、人が歩行動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。 (a)は、人が階段の上り動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。 (a)は、人が椅子への着席動作をした際の、体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度の遷移を表すグラフであり、(b)は、そのときの、前記軸周りにおける、体幹の運動の角速度の遷移を表すグラフである。
符号の説明
P 転倒用プロテクタ
A 転倒推知装置
U 制御ユニット
2 布体
4a,4b エアバッグ
8a,8b 感圧センサ
10 角速度センサ
12 横軸加速度センサ
14 縦軸加速度センサ
15 傾斜センサ(傾斜検知手段)
16 制御部
16a 角速度検知手段
16b 傾斜角度検知手段
16c 重力方向加速度検知手段
16d 転倒推知手段
18 エアバッグ展開手段
18a エアボンベ
18b エアボンベ開封機構

Claims (15)

  1. 人の体幹に取り付けるための取り付け手段と、
    前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の運動の角速度を検知する角速度検知手段と、
    前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける、体幹の直立状態に対する傾斜角度を検知する傾斜角度検知手段と、
    前記角速度検知手段により検知された体幹の角速度、および、前記傾斜角度検知手段により検知された体幹の傾斜角度に基づいて、人が転倒することを推知して、該転倒を推知したことを表す所定の信号を出力する転倒推知手段とを備えることを特徴とする転倒推知装置。
  2. 前記転倒推知手段は、前記角速度検知手段により検知された体幹の角速度、および、前記傾斜角度検知手段により検知された体幹の傾斜角度が、それぞれ所定の閾値よりも大きいとき、人が転倒すると推知することを特徴とする請求項1記載の転倒推知装置。
  3. 前記体幹の角速度の前記所定の閾値は、毎秒40°〜60°であり、
    前記体幹の傾斜角度の前記所定の閾値は、10°〜20°であることを特徴とする請求項2記載の転倒推知装置。
  4. 前記体幹の角速度の前記所定の閾値は、毎秒50°であることを特徴とする請求項3記載の転倒推知装置。
  5. 前記体幹の傾斜角度の前記所定の閾値は、15°であることを特徴とする請求項3または4記載の転倒推知装置。
  6. 前記体幹の前後方向の軸の軸周りの角速度を検出可能に設けられた角速度センサと、
    前記体幹の左右方向の加速度を検出可能に設けられた横軸加速度センサとを備え、
    前記角速度検知手段は、前記角速度センサの検出値に基づいて、前記体幹の運動の角速度を検知し、
    前記傾斜角度検知手段は、前記角速度検知手段により検知された前記体幹の角速度と、前記横軸加速度センサにより検出された前記体幹の左右方向の加速度とに基づいてカルマンフィルタ処理を行って、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける傾斜角度を算出して検知することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置。
  7. 前記体幹の重力方向の加速度を検知する重力方向加速度検知手段を備え、
    前記転倒推知手段は、前記重力方向加速度検知手段により検知された体幹の重力方向の加速度が所定の閾値よりも大きいときには、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置。
  8. 前記取り付け手段により、人の腹部または胸部に取り付け可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置。
  9. 前記体幹の直立状態に対する傾斜角度が所定角度より大きいことを検知する傾斜検知手段を備え、
    前記転倒推知手段は、前記傾斜検知手段が前記体幹の傾斜角度が前記所定角度より大きいことを検知している状態においては、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置。
  10. 人の臀部、および股関節の前面の少なくとも一方に取り付けられて、臀部、および股関節の前面の少なくとも一方の圧迫を検出可能な感圧センサに接続され、
    前記転倒推知手段は、前記感圧センサが前記圧迫を検出しているときには、前記体幹の前後方向の軸の軸周りにおける角速度および傾斜角度が転倒を推知する条件を満たした場合であっても、例外的に、前記所定の信号を出力しないことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置。
  11. 人が転倒した際に、身体の所定部位の損傷を防止する転倒用プロテクタにおいて、
    請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の転倒推知装置と、
    前記所定部位、または該所定部位の近傍に取り付け可能に設けられたエアバッグと、
    前記転倒推知装置の前記転倒推知手段から前記所定の信号を受信した際に、前記エアバッグを展開するエアバッグ展開手段とを備えることを特徴とする転倒用プロテクタ。
  12. 前記所定部位は、大腿骨頚部であり、
    前記エアバッグは、人の転倒時の大腿骨頚部の損傷を防止すべく、大腿骨頚部近傍の臀部に取り付け可能に設けられていることを特徴とする請求項11記載の転倒用プロテクタ。
  13. 人の腰回りおよび/または臀部回りに着脱可能に設けられた布体を備え、
    前記エアバッグは、人が前記布体を着けた際に、前記所定部位、または該所定部位の近傍に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする請求項11または12記載の転倒用プロテクタ。
  14. 前記転倒推知装置は、人が前記布体を着けた際に、人の腹部に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする請求項13記載の転倒用プロテクタ。
  15. 前記転倒推知装置は、請求項10記載の転倒推知装置であり、
    前記感圧センサは、前記布体を腰周りに着けた際に、人の臀部、および股関節の前面の少なくとも一方に位置するよう、布体上に配設されていることを特徴とする請求項13または14記載の転倒用プロテクタ。
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