JP2007259860A - 糖タンパク質ホルモンスーパーアゴニスト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】別種生物由来の、上記糖タンパク質ホルモンのホモログであってより高活性のもののアミノ酸配列の相同性及び相似性の解析により、有効と推定される部位、及び置換アミノ酸を判定する。その結果、上記ホルモンのα−サブユニットの特定の位置に塩基性アミノ酸を導入することによって、高活性物を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
発明の分野
本発明は、概して、修飾糖タンパク質ホルモンに関する。特に本発明は、スーパーアゴニスト活性を生じるヒト糖タンパク質に対する修飾に関する。
チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)およびゴナドトロピン、絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、ルトロピン(黄体形成ホルモン、LH)、並びにフォリトロピン(卵胞刺激ホルモン、FSH)は、糖タンパク質ホルモンのファミリーを構成する。各ホルモンは、2つの非共有結合サブユニットであるαおよびβのヘテロ二量体である。同一種内では、α−サブユニットのアミノ酸配列は全ホルモンで同一であり、一方β−サブユニットの配列はホルモン特異的である(Pierce,J.G.and Parsons,T.F."Glycoprotein hormones:strcture and function."Ann.Rev.Biochem.50:465-495(1981))。サブユニットの配列が魚類から哺乳類まで高度に保存されているという事実は、これらのホルモンが共通の先祖タンパク質から進化したことを意味する(Fontaine Y-A.and Burzawa-Gerard,E."Esquisse de l'evolution des hormones gonadotopes et threotropes des vertebres."Gen.Comp.Endocrinol.32:341-347(1977))。これらのホルモンの進化的変化は、ある場合に生物学的活性の修飾を引き起こした(Licht,P.et al.,"Evolution of gonadotropin structure and function."Rec.Progr.Horm.Res.,33:169-248(1977)およびCombarnous,Y."Molecular basis of the specificity of binding of glycoprotein hormones to their receptors."Endocrine Rev.13:670-691(1992))が、生物作用を調節する特異的構造的決定因子は明らかにされていない。例えば、ヒト甲状腺刺激ホルモン(hTSH)およびウシ甲状腺刺激ホルモン(bTSH)は、α(70%)およびβ(89%)サブユニット配列において高度な相同性を有するが、bTSHはhTSHより6〜10倍効力がある(Yamazaki,K.et al.,"Potentthyrotropic activity of human chorionic gonadotropin variants in terms of 125I incorporatin and de novo synthesized thyroid hormone release in human thyroid follicles."J.Clin.Endocrinol.Metab.80:473-479(1995))。
をもたらす。あるいは、排卵を誘発するために用いられる糖タンパク質ホルモンは、スーパーアゴニストに置き換えられる。これは、今日、受精能治療における大きな医学的問題であるホルモンの必要量を低下させる(Ben-Rafael,Z.,et al.,"Pharmacokinetics of follicle-stimulating hormone:clinical significance."Fertility and Sterility 63:689(1995))。野生型卵胞刺激ホルモンの使用が、多胎妊娠および流産の過刺激および高率を、明らかに多数の卵胞を刺激する多数のホルモン分子によりもたらしている場合には、卵胞刺激ホルモンのスーパーアゴニストを投与して不妊を治療し得る。この修飾ホルモンのアゴニストの使用は、少数のホルモン分子を投与して所望の結果を達成し得るために、多数の卵胞の刺激頻度を低くし得る。
本明細書中に具体化され、広範に説明されているような本発明の目的により、本発明は、一態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
本発明は、本発明の好ましい実施態様の下記の詳細な説明およびそこに含まれる実施例を、そして図面およびそれらについての前述のおよび後述の説明を参照することにより、さらに容易に理解される。
それ以上がヒト甲状腺刺激ホルモン中の対応する位置のアミノ酸と相同であるならば、「ヒト」のものと考えられる。
ある。一般的方法は、Sambrook et al.,"Molecular Cloning,a Laboratory Manual,"Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている。
Epitopes in Human Growth Hormone Identified by Homolog-Scanning Mutagenesis,"Science,243:1330-1336(1989))は、重複および相補的合成オリゴヌクレオチドを先ず構築し、そしてこれらの断片を一緒に連結することにより、ヒト成長ホルモン遺伝子をコードする合成遺伝子を構築した。合成オリゴヌクレオチドからの1057塩基対の合成ウシロドプシン遺伝子の合成を開示したFerretti,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.82:599-603(1986)も参照。この方法で糖タンパク質ホルモンを構築することにより、α−サブユニット、β−サブユニットのいずれか又は両方の単数又は複数のあらゆる特定位置に塩基性アミノ酸を有するあらゆる特定の糖タンパク質ホルモンを、当業者は容易に得られる。合成遺伝子の製造の酵素鋳型反応法を記載した米国特許第5,503,995号も参照。このような技法は当業界では一般的なことであり、十分記載されている。糖タンパク質ホルモンをコードするDNA断片は、次に、下記のようにin vivo又はin vitroで発現される。
る。使用に適したその他の微生物宿主としては、桿菌属、例えばBacillus subtilisおよびその他の腸内細菌科、例えばサルモネラ属、セラチア属、および種々のシュードモナス属の種が挙げられる。これらの原核生物宿主中で、典型的には宿主細胞に適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する発現ベクターを作製し得る。さらに、十分公知の多数の種々のプロモーターが存在し、その例としては、例えばラクトースプロモーター系、トリプトファン(Trp)プロモーター系、βラクタマーゼプロモーター系又はラムダファージ由来のプロモーター系がある。プロモーターは、典型的には、任意にオペレーター配列を有して発現を制御し、例えば転写および翻訳を開始および終了するためのリボソーム結合配列を有する。必要な場合には、下流の核酸挿入体の5'側でインフレームのMetコドンの挿入により、アミノ末端メチオニンが提供される。さらに、核酸挿入体のカルボキシ末端エクステンションが、標準的オリゴヌクレオチド突然変異誘発法を用いて除去される。
ピローマウイルス等に由来するプロモーターである。当該核酸セグメントを含有するベクターは、細胞宿主の種類によって変わる十分公知の方法により宿主中に移される。例えば、塩化カルシウム形質転換は一般に原核生物細胞に対して利用されるが、一方リン酸カルシウム、DEAEデキストランまたはリポフェクチン介在性トランスフェクションや電気穿孔法は、他の細胞宿主に用いられる。
プチドを合成的に構築し得る。この方法は、2工程化学反応からなる(Dawson,et al.,"Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation,"Science,266:776-779(1994))。第一工程は、非保護合成ペプチド−α−チオエステルとアミノ末端Cys残基を含有する別の非保護ペプチドセグメントとを化学選択的に反応させて初期共有生成物としてチオエステル結合中間体を生成する反応である。反応条件を変えずに、この中間体は自発性迅速分子内反応を経て、連結部位に本来のペプチド結合を形成する。タンパク質分子の全合成へのこのネイティブ化学的連結法の適用は、ヒトインターロイキン8(IL−8)の調製により例示される(Clark-Lewis,I.,et al.,FEBS Lett.,307:97(1987),Clark-Lewis,I.,et al.,J.Biol.Chem.,269:16075(1994),Clark-Lewis,I.,et al.,Biochemistry,30:3128(1991)、および、Rajarathnam,K.,et al.,Biochemistry,29:1689(1994))。
ィド結合し得るアミノ酸を除去/付加するとか、その生物寿命を増大するといったような、いくつかの付加的特性を提供し得る。いかなる場合にも、ペプチドは生物活性特性、例えば結合活性、結合ドメインでの結合の調節等を保有しなければならない。糖タンパク質ホルモンの機能性又は活性領域は、ホルモンの特定領域の突然変異誘発、並びにその後の発現および発現ポリペプチドの試験により確認し得る。このような方法は当業者には明らかであり、その例としては、受容体をコードする核酸の特定部位の突然変異誘発が挙げられる(Zoller,M.J.等)。
れる位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト甲状腺刺激ホルモンであって、β−サブユニットの位置58、63および69からなる群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を有するものも提供する。本発明の一実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置58に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置63に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置69に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンは、β−サブユニットの位置58、63および69の各々に塩基性アミノ酸を有する。本発明のさらに別の実施態様では、β−サブユニットの位置58、63および69からなる群から選択される少なくとも1つの位置での塩基性アミノ酸は、アルギニンである。
う一つのアプローチである。このアプローチでは、遺伝子が細胞中で発現され、それらの細胞のその後の世代が導入遺伝子を発現できるように、修飾糖タンパク質ホルモンをコードする遺伝子を、例えば生殖系細胞又は体細胞中に導入し得る。例えば、あらゆる特定の性腺刺激ホルモンが卵巣細胞、又はその前駆体中に挿入されて、排卵を増強し得る。あるいは、甲状腺刺激ホルモンのスーパーアゴニストをコードする遺伝子を保有する甲状腺細胞を、甲状腺癌を有する個体に導入すると、甲状腺癌の放射性ヨウ素取込みを刺激するためのTSHの継続投与の必要がなくなる。コード配列を送達するのに適したベクターは、当業界で十分公知である。例えば、ベクターは、ウイルス、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス又は非ウイルス、例えば陽イオン性リポソームである。
anubis)を含めたいくつかの霊長類のαサブユニット中の11〜20領域の配列を決定し、それらを従来公知の哺乳類配列、例えば、アカゲザル(Macaca mulatta;旧世界猿)、マーモセット(Callithrix jacchus;新世界猿)及びヒトと比較した(図1a)。異なる種間の同時比較は、この領域の塩基性残基が霊長類進化の相対的に遅い時期に置換された、ということを示唆した。アカゲザルαサブユニットでは、位置11、16及び20のLys残基及び位置13のArg残基をコードし2、ヒヒ配列は位置16のGlnをコードするが、一方テナガザル配列は位置13にHisの弱塩基性イミダゾリウム基を1つだけ含有する(図1a)。明らかに、この領域の正荷電アミノ酸のクラスターは脊椎動物進化の間に保持され、修飾されたが、しかし高等類人猿及びヒト配列中には認められない。αサブユニットの11〜20領域の正荷電残基の漸進的排除は、旧世界猿からのヒト科動物(ヒト及び類人猿)の進化的分岐と一致する。この領域が受容体との結合を調節し得るという我々の仮説は、以下の事項によりさらに支持された。1)bTSH中のTyr21のヨウ素化への最高反応性3、2)hCGにおける抗原決定因子のマッピング4、3)個々のサブユニットのアシル化5、無水酢酸による標識6及びペジレーション(pegylation)により試験した場合の有効ホルモン−受容体相互反応のためのヒツジ及びヒトαサブユニットのLysのアミノ基の役割。
野生型(WT)又は突然変異ヒトα及びhTSHβ7又はhCGβのcDNAの種々の組合せでのCHO−K1細胞中への同時トランスフェクションは、14のhTSH及び11のhCGヘテロ二量体の発現を引き起こした(表I)。多数の他の突然変異誘発試験8,9に対照的に、突然変異体の発現は一般的にWTに匹敵するものであった。T11K、Q13K、P16K、Q20K、Q50P及びQ13K+P16K+Q20KのhTSH α突然変異体は、WT−hTSHより高いレベルで発現された。したがって、これらの進化的に正しいと思われる突然変異はhTSH又はhCG分子の合成を、大規模に損なわなかったが、しかしある場合にはホルモン産生を促すことがある。
部位特異的役割を強調する9。
効力の最高増大に別々に関与したLys残基の作用をさらに調べるために、多数の置換を含有する突然変異体が作成された。最も活性な突然変異体を図2及び3に示す。二重Pro16→Lys+Gln20→Lys及び三重Pro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys突然変異体は、それぞれWT−hTSHの12及び24倍の活性を示し、TSHβサブユニットのLeu69→Arg置換後は35倍まで効力がさらに増大した(図2a)。Glu14→Lys置換(マグロ配列中に存在するこの位置のLys)を含めた付加的最適化は、95倍までの生物活性のさらなる増大を引き起こした。これらの最も有効な多重突然変異体は、効能を少なくとも1.5倍上げた(最大反応)(図2b)。これらの増大は、ブタ並びにヒトTSH受容体に結合してFRTL−5細胞(図2e)での増殖並びに培養ヒト甲状腺小胞でのT3産生を誘発するhTSH突然変異体の能力を試験することにより確認された。特に、Pro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/WT−hTSHβ及びPro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/Leu69→Arg突然変異体はそれぞれ、FRTL−5細胞における3H−チミジン取込みの最大刺激の半分を得るためにはWT−hTSHの1/18及び1/27の濃度を要した(図2e)。TSH生物活性に及ぼす多重突然変異の相乗効果は、αサブユニットの13〜20領域でのLys残基の受容体との局所的共働に限定されなかったが、しかしβサブユニットの反対側ループでのArg69の関与を伴った(表II)。
て、組換え体hTSHアナログの固有の活性を、ラットTHS受容体(FRTL−5細胞)及びヒトTSH受容体(CHO−hTSHr細胞)で試験した。両系において、単一置換(I58R、E63R)はhTSHの効力を2倍〜4倍増大し、効率のわずかな増大を生じた(図2g)。2つの置換の組合せ(I58R+E63R)は、野生型hTSHの15倍の効力及び1.5倍の効率を生じた(図2g)。3つの塩基性残基が導入された組合せ突然変異体I58R+E63R+L69Rの能力及び効率は、それぞれ50倍及び1.7倍上昇した(図2g)。固有活性のこれらの増大は、CHO−JP09細胞を用いた受容体−結合アッセイで判定した結果、受容体結合親和性の同時増大を伴った(図2h)。同様に、マウスにI58R+E63R+L69R突然変異体を注入すると、それらのT4刺激は偽処理(MOCK)又は対照処理マウスより有意に高かった(図2i)。
糖タンパク質ホルモンの従来の部位特異的突然変異誘発は、アラニン走査突然変異誘発11又は多重置換法9のような戦略を用いて、高度保存領域及び残基に主に焦点を当てた。
いくつかの重要な研究は、カセット突然変異誘発および/または制限断片交換を用いたキメラサブユニットの作製を基礎にした12、13、14。非保存性残基の他の種に認められる残基への置換を基礎にした我々の戦略は首尾よくいって、生物活性の増大したhFSH突然変異体を含めた他の糖タンパク質ホルモンアナログの生成を可能にした。ヒトαサブユニットの11〜20領域での塩基性残基の導入によるhTSH、hCG及びhFSHの生物活性の平行改良は、この領域がhCGの結晶構造ベースのモデルにおける、そしてhTSHの我々の相同性モデルにおけるβサブユニットから距離があるという事実に関連がある。両モデルにおけるこの領域の仮想の同定及び11〜26領域と結合する抗体がサブユニット組合せに大きな影響を及ぼさないという観察15は、このドメインがすべての糖タンパク質ホルモンで同様に機能することを示唆する。αサブユニットが首尾よく工学処理されてhTSH、hCG又はhFSHのより強力なアゴニストを作られさえすれば、同一パラダイムが、それぞれのβサブユニットを修飾するのに用いられて、各糖タンパク質ホルモンの最終的スーパーアゴニストを生成する。例えば、TSHβユニット中の非極性Leu69のArgへの付加的置換は、hTSH生物活性のさらなる増大を引き起こした。さらに、我々のアナログの血漿半減期は、特定の治療的要求に関して改変され得る。
制限酵素、DNAマーカー及びその他の分子生物学的試薬は、Gibco BRL(Gaithersburg,MD)又はBoehringer-Mannheim(Indianapolis,IN)から購入した。細胞培養液、ウシ胎児血清及びLipofectAMINEは、Gibco BRL(Gaithersburg,MD)から購入した。VentR DNAポリメラーゼは、New England Biolabs(Beverly,MA)から購入した。pcDNA I/Neoベクター(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)のBamHI/XhoI部位にサブクローニングした全長ヒトα cDNA(840bp)及びhCG−β遺伝子は、T.H.Ji博士(University of Wyoming,Laramic,WA)から入手した。最初のイントロンを含有せず、非翻訳第一エキソン及び真正翻訳開始部位を有するhTSH−βミニ遺伝子は、我々の実験室で構築された。rhTSH−G標準は、Genzyme Corp.(Framingham,MA)からのものであった。安定発現hTSH受容体を有するCHO細胞(CHO−hTSHRクローンJP09及びクローンJP26)は、G.Vassart博士(Universiry of Brussels,Belgium)が提供いただいた。ヒトLH受容体cDNAは、T.Minegishi博士(Gunma University,Gunma,Japan)から入手した。FRTL−5細胞は、L.D.Kohn博士(NIDDK,NIH,Bethesda,MD)のご厚意により得た。MA−10細胞は、M.Ascoli博士(University of Iowa,Iowa City,IA)に提供いただいた。125I−cAMP及び125I−hTSHは、Hazleton Biologicals(Vienna,VA)からのものであった。種々の霊長類の血液試料は、Yerkes Regional Primate Research Center(Emory University,Atlanta,GA)及びAnimal Resources(University of Oklahoma,Oklahoma City,OK)から入手した。
チンパンジー(Pan troglodytes)、オランウータン(Pongo pygmaeus)、テナガザル(Hylobates sp.)及びヒヒ(Papio anubis)の全血試料からのゲノムDNAの抽出のために、QIAampR血液キット(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA)を用いた。ゲノムDNAをPCRに用いた。使用した合成オリゴヌクレオチドプライマーは、
5'-CCTGATAGATTGCCCAGAATGC-3'(センス)(配列番号1)及び
5'-GTGATAATAACAAGTACTGCAGTG-3'(アンチセンス)(配列番号2)
であって、ヒト糖タンパク質ホルモンの共通αサブユニットをコードする遺伝子のヌクレオチド配列にしたがって合成した19。10mM Tris−HCl(25℃でpH9.0)、50mM KCl、2.5mM MgCl2、200μM dNTP及び2UのTaq DNAポリメラーゼ(Promega Corp.,Madison,WI)を含有する100μl反応容量中の800〜1000ngのゲノムDNA鋳型及び10picomolの各プライマーを用いて、PCRを行った。反応混合物を鉱油で覆い、各試料を先ず、95℃で10分間加熱した。PCRプログラムは95℃で1分30秒間の変性、55℃で1分30秒間のアニーリング、及び72℃で1分間の伸長のサイクルを32回、その後の72℃で7分間の最終伸長期間で構成された。次に、反応物を、臭化エチジウムの存在下で、1%アガロースゲル上で直接電気泳動処理した。エキソン3、イントロン3及びエキソン4に及ぶ増幅PCR産物(〜700bp)を、QIAquickPCR生成キット(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA)を用いて精製し、OriginalTAクローニングキット(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)を用いてpCRTMII中にサブクローニングした。サブクローニング後、又は直接Sequenaseキット(U.S.Biochemical Corp.,Cleveland,OH)を用いてジデオキシシーケンシングにより、断片の配列を得た。
モデリングは、hCGとhTSHとの間の強い配列相同性によるものである。システインノット残基を対応物にして並べ、同一並びに高度保存性置換のパーセンテージを前記のように算出した1。hCGとhTSHの間の配列同一性は58%、2つのβサブユニット配列の31%が同一で、別の17%はβサブユニットの高度保存性変化を含有した。hTSHの分子モデルは、Brookhaven Data Bankから得られた結晶座標から得られるhCGモデルの鋳型に依った。全座標操作及びエネルギー計算は、Convexに対しCHARMmリリース21.2を用いて実行し、分子グラフパッケージQUANTA(バージョン3.3、Molecular Simulation Inc.,University of York,York,英国)を用いて改変した。
PCRベースのメガプライマー法21により、ヒトα−cDNA及びhTSHβミニ遺伝子の突然変異誘発を行った。VentRDNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を用いて、増幅を最適化した。BamHI及びXhoIで消化後、切断されたBamHI/XhoI断片を用いて、PCR産物をpcDNA I/Neo(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)中に連結した。Ultracomp大腸菌形質転換キット(Invitrogen Corp.)を用いて、MC106/p3大腸菌細胞を形質転換した。QIAprep 8プラスミドキット(QIAGEN Inc.,Chatsworth,CA)を多重プラスミドDNA調製に用いた。QIAGEN Mega及びMaxi精製プロトコールを用いて、大量のプラスミドDNAを精製した。さらなる突然変異誘発のために鋳型として単一突然変異を用いてα−cDNAを含有するプラスミドを用いて、同一方法で、多重突然変異体を作った。サンガーのジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法を用いて二本鎖シーケンシングにより、突然変異を確認した。
CHO−K1細胞(ATCC,Rockville,MD)を、グルタミン及び10%FBS、ペニシリン(50単位/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)を含有するハムのF−12培地中に維持した。プレートの細胞(100mm培養皿)をpcDNA I/NEO中の野生型又は突然変異体α−cDNA、及び、LipofectAMINE(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を用いてp(LB)CMVベクター7、又はhCGβ−cDNA8を含有するpcDNAI/Neo中に挿入したhTSHミニ遺伝子で同時
トランスフェクトした。24時間後、トランスフェクトした細胞をCHO−無血清培地(CHO−SFM−II,Gibco BRL)に移した。遺伝子挿入物を含有しない発現プラスミドを用いた偽トランスフェクションからの対照培地を含む培地をトランスフェクション後72時間目に回収し、濃縮して、遠心分離した。アリコートを−20℃で凍結させ、各アッセイ前に一回だけ解氷した。WT及び突然変異体hTSHを、前記のような四つの異なるイムノアッセイ9を用いて測定し確認した。WT及び突然変異体hCGの濃縮物を化学発光アッセイ(hCGキット、Nichols Institute,San Juan Capistrano,CA)及び免疫放射能測定アッセイ(hCG IRMA、ICN,Costa Mesa,CA)を用いて測定した。
hTSH受容体cDNA(JP09)で安定的にトランスフェクト処理したCHO細胞を増殖させて、前記9のようにWT及び突然変異体hTSHの連続希釈液と一緒にインキュベートした。培地中に放出されたcAMPを、ラジオイムノアッセイにより測定した22。等量の総培地タンパク質を、偽対照及びトランスフェクト細胞からのhTSH含有試料として用いた。
hLH受容体cDNAで一時的にトランスフェクト処理したCHO細胞を増殖させて、本質的には前記23と同様にWT及び突然変異体hCGの連続希釈液と一緒にインキュベートした。培地中に放出されたcAMPを、ラジオイムノアッセイにより測定した22。等量の総培地タンパク質を、偽対照及びトランスフェクト細胞からのhCG含有試料として用いた。
96ウエル(well)培養プレート中で増殖させた形質転換ネズミLeydig細胞(MA−10)を前記24のようにアッセイ培地中で6時間、WT及び突然変異体hCGとともにインキュベートした。培地中に放出されたプロゲステロンの量を、ラジオイムノアッセイにより測定した(CTプロゲステロンキット、ICNBiomedicals,Inc.,Costa Mesa,CA)。
hTSHアナログの受容体結合活性を、可溶化ブタ甲状腺膜から125I−bTSHを置き換えるその能力により、アッセイした224。ヒトTSH受容体との選択アナログの結合活性を、JP09細胞を用いて試験した。hCGアナログのMA−細胞との、そしてヒトLH受容体で一時的にトランスフェクト処理したCOS−7細胞との結合活性を、前記24のように125I−hCG及びアッセイ培地を用いて測定した。
ラット甲状腺細胞(FRTL−5)の増殖を、前記22のようにモニタリングした。
WT及び突然変異体TSHのin vivo生物活性を、マッケンジーのバイオアッセイ22,25の変法を用いて測定した。WT及び突然変異体TSHを、6日間、飲料水中に3μg/mlのT3を投与することにより予め内因性TSHを抑制した雄アルビノSwiss Cr1:CF−1マウス中に腹腔内投与した。6時間後に眼窩洞から血液試料を採取し、血清T4及びTSHレベルをそれぞれ化学発光アッセイ(Nichols Institute)により測定した。
説明するために、これらの記載内容は、参照により、本明細書中に含める。
Claims (54)
- 野生型ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、野生型ヒト黄体形成ホルモン、または野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)、または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトCG、LHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該α−サブユニットは位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で少なくとも3つの塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11、13及び20に存在する請求項1の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、14及び20に存在する請求項1の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、16及び20に存在する請求項1の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で少なくとも4つの塩基性アミノ酸を含む請求項1の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11、13、16及び20に存在する請求項5の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、14、16及び20に存在する請求項5の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で5つの塩基性アミノ酸を含む請求項5の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を含むようにさらに修飾された請求項1〜8のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項9の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項9の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項9の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項9の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項1〜13のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 請求項1〜8のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSHのα−サブユニットをコードする核酸。
- 請求項15の核酸を含むベクター。
- 請求項16のベクターを含む宿主。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に5つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に4つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に3つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位
置に2つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。 - α−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に対応する野生型ヒトCG、LHまたはFSHと同一のアミノ酸配列を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 野生型ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、野生型ヒト黄体形成ホルモン、または野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)、または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトCG、LHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該α−サブユニットは位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される少なくとも1つの位置で塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11に存在する請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13に存在する請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置14に存在する請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16に存在する請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置20に存在する請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項23〜28のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される少なくとも2つの位置に塩基性アミノ酸を含むようにさらに修飾された請求項23の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16及び20に存在する請求項30の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16及び13に存在する請求項30の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置20及び13に存在する請求項30の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸をさらに含むようにさらに修飾された請求項23〜34のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項35の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項35の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項35の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項35の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 請求項23〜34のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSHのα−サブユニットをコードする核酸。
- 請求項40の核酸を含むベクター。
- 請求項41のベクターを含む宿主。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位
置に5つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。 - さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に4つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に3つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に2つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- α−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に対応する野生型ヒトCG、LHまたはFSHと同一のアミノ酸配列を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 野生型ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、野生型ヒト黄体形成ホルモン、または野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)、または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトCG、LHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項48の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項48の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項48の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項48の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項48〜52のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSH。
- 適切な量の請求項1〜14,18〜39,43〜53のいずれか1項の修飾ヒトCG、LHまたはFSHを含む、生殖を補助するための医薬。
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