JP2007259525A - 永久磁石同期電動機/発電機 - Google Patents

永久磁石同期電動機/発電機 Download PDF

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Abstract

【課題】高回転運転時の逆起電圧を低減できるようにした永久磁石同期電動機/発電機を提供する。
【解決手段】永久磁石同期電動機/発電機(20)は、固定子(23)を同心円状の外側固定子(31)と内側固定子(30)の二重構造とし、内側固定子の内周面に周方向等間隔のスロット(32)を形成して該スロットに電機子巻線(33)を巻装するとともに、外側固定子と内側固定子とを回転軸周り方向に相対回転可能に構成し、且つ、外側固定子の内周面に凹部(34)を形成する。該凹部は、前記相対回転によって隣り合うスロット間に位置されるように構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、永久磁石を界磁に用いた永久磁石同期電動機/発電機に関する。
永久磁石同期電動機/発電機(以下、単にモータと言うこともある)は、保守性、制御性、耐環境性に優れ、しかも、強力な磁石を用いることによって、高効率、高出力運転が可能であることから産業界において広く使用されており、特にそれに限定されないが、たとえば、下記の特許文献1に示されているようなハイブリッド自動車への適用例が知られている。
ハイブリッド自動車は、駆動源としてエンジンと電動モータの二つを備えるが、電動モータに対しては、高効率で高出力、かつ、コンパクトさが求められる。このような要求に応えるためには、強力な永久磁石を界磁に用いたモータ(永久磁石同期電動機/発電機)を使用することが効果的である。しかし、かかる強力な永久磁石を界磁に用いたモータは、回転数の上昇に伴い、モータに生じる逆起電圧が比例的に増大するため、インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧を上げざるを得ないという不都合がある。
ここで、モータに生じる逆起電圧をEとすると、Eは次式(1)で与えられる。
E=k×ψ×n ・・・・(1)
ただし、kはモータ毎の定数、nは回転数、ψは鎖交磁束量である。
上式(1)において、鎖交磁束量ψは界磁の強さに対応する。したがって、出力を高めるために、強力な永久磁石を界磁に用いた場合は、この鎖交磁束量ψの値が大きくなり、それ故、逆起電圧Eが鎖交磁束量ψの増大分だけ比例的に大きくなるから、モータの最高回転運転領域(回転数nの最大領域)における逆起電圧Eが、インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧を上回ってしまうことがある。
この対策としては、たとえば、(a)モータの最高回転運転領域を引き下げる、(b)インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧を上げる、などが考えられるが、(a)の対策は、ハイブリッド自動車の走行速度に上限を設けることとなるので現実的でなく、一方、(b)の対策は、モータ及びインバータ等のコストアップの要因となるので、いずれの対策も根本的な解決策とは成り得ない。
したがって、逆起電圧が低くなるような設計、具体的には巻線の太さを大きくし、巻き数を少なくするような構成とせざるを得なくなり、その結果、電動機/発電機の設計や製造上の制約を多く受けることになるという不都合を招来し、また、後述するように、インバータ容量の増大を招くという不都合も招来する。
そこで、下記の特許文献1では、永久磁石を有する回転子を、その回転軸方向に二分割構造とし、二分割された回転子上のN極とS極の相対位置を周方向にずらすことにより、鎖交磁束量ψを調整できる仕組みとしている。
図5は、同文献に記載されたモータの構造図である。この図において、モータ1の固定子2のスロット3には電気子巻線4が巻装されており、この固定子2は、内部に冷却水が流れる冷却水流路5が形成されたハウジング6に焼ばめまたは圧入されている。
固定子2の内周面側に、若干の隙間を空けて回転子7が収装されている。この回転子7は、モータ1の回転軸であるシャフト8の軸方向に二分割(以下、第一回転子7a及び第二回転子7bという)されており、第一回転子7aはシャフト8に固定されているが、第二回転子7bはシャフト8に沿って移動可能に取り付けられている。
第一回転子7a及び第二回転子7bには、それぞれ複数の永久磁石(図中の“N”及び“S”参照)が埋め込まれており、それらの永久磁石の磁極は、第一回転子7a及び第二回転子7bの回転方向に沿って交互に並べられている。
ここで、第二回転子7bの内径側はナット状をなしており、その内径に対向するシャフト8の外径側に形成されたボルトと噛み合うようになっている。すなわち、シャフト8と第二回転子7bとの相対的な回転により、シャフト8に沿って第二回転子7bが図面の左右方向(つまりモータ1の回転軸方向)と、軸周り方向(つまりモータ1の回転軸の周方向)とに移動可能な構造になっている。
なお、かかる第二回転子7bの軸方向の移動を規制するためのストッパ9が設けられており、このストッパ9の位置は、アクチュエータ10によって可変できるようになっている。
これによれば、モータ1を発電機として用いる場合で、且つ、逆起電圧Eが問題となり得る高回転運転時には、第二回転子7bをシャフト8に沿って図示のように移動させて、二分割された回転子(第一回転子7aと第二回転子7b)上のN極とS極の相対位置を周方向にずらすことにより、N極の磁束とS極の磁束をキャンセルさせて鎖交磁束量ψを減少せしめ、以て、モータ1の高回転運転時における逆起電圧Eを低減して前記不都合を解消している。
特開2001−69609号公報
上記の従来技術にあっては、以下の問題点があった。
図6は、従来技術の問題点を説明する図である。この図に示すように、第二回転子7bをシャフト8に沿って移動させると、第二回転子7bの一部が固定子2の内周面から若干外部にはみ出す。このため、コイルエンド(電気子巻線4の折り返し部分)が形成された鉄心歯部2aへの第二回転子7bからの磁束11が増えることとなり、この磁束11によって、鉄心歯部2aが局部加熱されてしまうという問題点がある。
したがって、本発明は、回転側部材ではなく固定側部材に工夫を凝らすことにより、鉄心歯部の局部加熱を引き起こさずに、高回転運転時の逆起電圧Eを低減できるようにした永久磁石同期電動機/発電機を提供することにある。
請求項1記載の永久磁石同期電動機/発電機は、固定子を同心円状の外側固定子と内側固定子の二重構造とし、前記内側固定子の内周面に周方向等間隔のスロットを形成して該スロットに電機子巻線を巻装するとともに、前記外側固定子と内側固定子とを回転軸周り方向に相対回転可能に構成し、且つ、前記外側固定子の内周面に凹部を形成し、該凹部は、前記相対回転によって隣り合うスロット間に位置されるように構成されたことを特徴とする。
請求項2記載の永久磁石同期電動機/発電機は、請求項1記載の永久磁石同期電動機/発電機において、前記外側固定子と内側固定子の一方を回転軸周り方向に回転させるためのアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内側固定子の内周側に設けられる回転子の回転数または該回転数の指令値が高回転数域にあるとき、前記凹部が隣り合うスロット間に位置するように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする。
請求項3記載の永久磁石同期電動機/発電機は、請求項1又は2記載の永久磁石同期電動機/発電機において、前記外側固定子と内側固定子の一方を回転軸周り方向に回転させるためのアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内側固定子の内周側に設けられる回転子の回転数または該回転数の指令値が低中回転数域にあるとき、前記スロットと前記凹部の位置を揃えるように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする。
請求項4記載の永久磁石同期電動機/発電機は、請求項1乃至3いずれかに記載の永久磁石同期電動機/発電機において、前記凹部に非磁性物質を充填したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、上記のとおりの構成としたから、内側固定子と外側固定子とを回転軸周り方向に相対回転させることにより、永久磁石の磁束が通る磁路幅を変化させることができる。このため、逆起電圧問題が生じそうな回転数にあるときには、磁束の磁路幅を減少させて鎖交磁束量ψを減らすことができ、当該問題の解消を図ることができる。
また、請求項2及び3記載の発明によれば、上記のとおりの構成としたから、永久磁石同期電動機/発電機の回転数に合わせて適応的に磁束の磁路幅を変化させることができ、たとえば、逆起電圧問題が生じるおそれがない低中回転数域にある場合には、鎖交磁束量ψを増やして出力と効率の改善を図ることができ、一方、逆起電圧問題が生じるおそれがある高回転数域にある場合には、鎖交磁束量ψを減らして、逆起電圧Eが、インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧を上回らないようにすることができる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記のとおりの構成としたから、凹部内の空気に代わって、当該凹部内の充填材料(非磁性物質)により、鎖交磁束量ψを減少させることができる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
図1は、実施形態の永久磁石同期電動機/発電機の構造図である。この図において、永久磁石同期電動機/発電機(以下、モータという)20は、内部に冷却水が流れる冷却水流路21が等間隔に形成された円筒状のハウジング22と、そのハウジング22の内周側に実装された円筒状の固定子23と、この固定子23の内周側に微小な間隙を空けて収装された回転子24とを含んで構成されている。
回転子24は、このモータ20の回転軸であるシャフト25に固定されている。回転子24の内部には、複数の永久磁石(この例では4個の永久磁石26〜29)が埋め込まれており、それらの永久磁石26〜29は、回転子24の周方向に沿ってN極とS極が交互に並ぶように配置されている。なお、図中の“N”はN極を表し、“S”はS極を表している。
ここで、本実施形態の固定子23は、内外二重の同心円構造を有している。すなわち、本実施形態の固定子23は、内側(回転子24に近い側)の固定子(以下、内側固定子という)30と、外側(ハウジング22に近い側)の固定子(以下、外側固定子という)31とからなる。内側固定子30と外側固定子31は、いずれも非導電性の磁性材料、典型的には、焼結コアやケイ素鋼板等で形成されている。
内側固定子30には、回転子24を臨む方向に開口したスロット32が周方向に等間隔で形成されており、そのスロット32に電気子巻線33が巻装されている。一方、外側固定子31には、内側固定子30を臨む方向に開口した凹部34が周方向に等間隔で形成されており、この凹部34には、たとえば、樹脂や非金属等の非導電性の物質が充填されている。なお、当該物質は非磁性のものであればよく、例えば、アルミ等の導電性のものを排除しない。また、物質を“空気”と読み替えてもよい。空気も、磁束を通しにくいからである。この場合、当然ながら凹部34は開口状態のままになる。
凹部34の間隔はスロット32の間隔と同一であり、且つ、凹部34の幅はスロット32の幅と同一またはそれに近い値に設定されている。
内側固定子30と外側固定子31は、相対的にモータ20の軸周りを回転できるようになっている。図中の矢印Fは、この相対回転方向を示しており、たとえば、ハウジング22と外側固定子31とを固定した場合は、固定側の外側固定子31の内周面に沿って内側固定子30が周方向に回転できるようになっており、或いは、ハウジング22と内側固定子30とを固定した場合は、固定側の内側固定子30の外周面に沿って外側固定子31が周方向に回転できるようになっている。
本実施形態における重要な点の一つは、内側固定子30と外側固定子31が相対的にモータ20の軸周りを回転できるようになっていることにある。以下、説明の便宜上、ハウジング22と内側固定子30とが固定されているものとする。すなわち、固定側の内側固定子30の外周面に沿って外側固定子31が周方向に回転できるようになっているものとする。
図2は、モータの要部拡大図であって、図2(a)は、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34との位置を合わせた状態図、図2(b)は、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34との位置をずらした状態図である。
まず、図2(a)の状態について説明する。この状態は、内側固定子30と外側固定子31とをモータ20の軸周りに相対的に回転させ、各々のスロット32と凹部34との位置を合わせたときのものである。以下、この状態のことを「スロット合致状態」ということにする。
このスロット合致状態においては、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34の全てが、モータ20の回転軸(シャフト25)を中心とした放射方向に揃う。このため、回転子24の外周面から出た磁束(または回転子24の外周面に入る磁束)35は、内側固定子30の鉄心部分、つまり、内側固定子30のスロット32を除く内側磁束経路部分30aと、外側固定子31の鉄心部分、つまり、外側固定子31の凹部34を除く外側磁束経路部分31aとを通ることとなり、これらの内側磁束経路部分30a及び外側磁束経路部分31aの幅(磁束35が通過する幅)は最大であるから、このスロット合致状態においては、前式(1)の鎖交磁束量ψを最大にすることができる。
次に、図2(b)の状態について説明する。この状態は、内側固定子30と外側固定子31とをモータ20の軸周りに相対的に回転させ、各々のスロット32と凹部34との位置を周方向(図1の矢印Fの方向)にずらしたときのものである。以下、この状態のことを「スロット不一致状態」ということにする。
このスロット不一致状態においては、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34の全てが相互にずれており、具体的には、内側固定子30の内側磁束経路部分30aの真上に外側固定子31の凹部34が位置している。このため、回転子24の外周面から出た磁束(または回転子24の外周面に入る磁束)36は、内側固定子30のスロット32を除く内側磁束経路部分30aと、当該スロット32と内側固定子30の外周面との間の狭隘な脇道磁束経路部分30bとを通ることとなり、これらの内側磁束経路部分30a及び脇道磁束経路部分30bの幅(磁束36が通過する幅)は、最も面積が小さな脇道磁束経路部分30b相当となるので、結局、磁束36の通過面積が最小となる。
したがって、このスロット不一致状態においては、前式(1)の鎖交磁束量ψを最小にすることができるから、モータ20の高回転運転時における逆起電圧Eを低減することができる。これにより、たとえば、ハイブリッド自動車に適用した場合に高回転時の逆起電圧の上昇を緩和し、インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧問題を解決することができる。
ちなみに、本実施形態においては、固定子23と回転子24との軸方向位置関係が全く変化しないため、冒頭の従来技術の不都合(鉄心歯部2aの局部加熱)は生じない。
次に、内側固定子30と外側固定子31とをモータ20の軸周りに相対的に回転させる機構の一例について説明する。
図3は、外側固定子31の回転機構概念図である。この図において、外側固定子31の一端側(図面に向かって右端側)は、内側固定子30やハウジング22及び回転子24の右端面から突き出すように若干延長されており、その延長部分の周方向に沿って歯面31bが形成されている。この歯面31bは、対向して配置された歯車37と歯合するようになっており、この歯車37はシャフト38を介して連結するアクチュエータ39によって正逆方向に回転させられるようになっている。したがって、外側固定子31は、アクチュエータ39を駆動して歯車37を回転させることにより、矢印40で示す方向に正逆回転するようになっている。
次に、外側固定子31の回転軸方向の構造について説明する。
図4は、外側固定子31の回転軸方向の構造図である。なお、“回転軸方向”とは、シャフト25の軸方向、つまり、モータ20の回転軸方向のことを言う。この図においては、二つの構造例が示されている。
まず、(a)に示す構造は、外側固定子31の回転軸方向に、同一の深さの凹部34を“連続的”に形成した例である。このような構造を有する外側固定子31は、たとえば、焼結コアやケイ素鋼板等の透磁性(磁束を通しやすい性質)を有する薄板を打ち抜き加工等することによって成形された環状部材43を前記の回転軸方向に所要枚数積層して製造することができる。この場合、環状部材43の内周に沿って等間隔で形成された窪み43aが外側固定子31の凹部34となる。
一方、(b)に示す構造は、外側固定子31の回転軸方向に、同一の深さの凹部34を“断続的”に形成した例である。このような構造を有する外側固定子31は、たとえば、焼結コアやケイ素鋼板等の強透磁性材によって成形された上記と同様の環状部材43(窪み43aを有するもの)と、窪み43aを有さない環状部材44とを前記の回転軸方向に適当な割合で所要枚数積層して製造することができる。これら二種類の環状部材43、44の積層割合は、要求される鎖交磁束量ψの低減度合いに応じて適宜に設定すればよい。つまり、要求される鎖交磁束量ψの低減度合いが大きい場合には、窪み43aを有さない環状部材44の積層割合を減らせばよく、その逆に、鎖交磁束量ψの低減度合いが小さい場合には、窪み43aを有さない環状部材44の積層割合を増やせばよい。ちなみに、窪み43aを有さない環状部材44の積層量をゼロにした場合には(a)の構造になる。
このように、鎖交磁束量ψを調節できるようにすると、たとえば、ハイブリッド自動車に適用した場合、高回転時の逆起電圧の上昇を緩和し、且つ、インバータ素子や固定子巻き線等の耐圧問題を解決することができる。鎖交磁束量ψを調節、つまり、界磁調整ができるということは、以下に説明するように、インバータの容量を小さくすることができ、加えて、モータの巻線構成も、より細い線を更に多数回巻くような構成とすることができるようになり、設計や製造上の制約も緩和される。
モータの設計や製造上の制約とは、界磁調整ができないと低い電圧状態で使う様に設計しなければならないため、太い巻線を少ない巻き数で巻く必要が出てくることを意味する。太い巻線を用いるということは、作りにくくなる(取り回しし難くなる、巻線設備が大規模になる・・・・等々)。巻き数が少ないと設計的に調整がし辛く、制約となる。例えば、適正巻き数が約100回と約10回を比較した場合、100回巻きだと巻き数調整は99や101といった比率でいうと1%毎の調整ができるが、10回巻きだと巻き数調整は9や11といった10%程度の調整しかできない。さらに、極端に2回が適正巻き数の場合、1や3といった50%毎の調整となる。つまり、巻き数が多い方が巻き数の調整が容易となり、設計的に制約が小さくなる。
インバータの容量低減について説明する。まず、モータの使用条件として、可変速運転と空回し運転を考える。これらの条件(可変速運転や空回し運転)は、例えば、ハイブリッド自動車に適用した場合の運転条件に相当する。ハイブリッド自動車では、車速に応じてモータの回転数が変化し、また、モータのの回転軸がエンジン等の動力源に直結されている場合には、モータを動作させていない状態であっても、エンジンのトルクでモータが空回し運転されるからである。
モータの逆起電圧Eは、前式(1)で与えられるが、永久磁石型の同期電動機/発電機の場合、上式(1)における鎖交磁束量ψは一定である。永久磁石型の同期電動機/発電機は、巻き線型の同期電動機/発電機と違って界磁の調整ができないからである。
したがって、上式(1)によると、永久磁石同期電動機/発電機の逆起電圧Eは、一定の鎖交磁束量ψのもと、回転数nに比例して増減することになる。
さて、逆起電圧Eは、同期電動機/発電機の周辺制御要素であるインバータのスイッチング素子や同期電動機/発電機の巻き線の耐圧を越えてはならない。過大な逆起電圧Eは、スイッチング素子や巻き線に損傷を与えて故障の原因になるからである。
このため、通常は、使用可能な回転数nの最大値(最大回転数nmax)を定め、そのnmaxのときの逆起電圧が制限値(例えば、インバータのスイッチング素子や同期電動機/発電機の巻き線の耐圧)を越えないように永久磁石同期電動機/発電機を設計する。例えば、ハイブリッド自動車を例にすれば、nmaxを仕様上の最高車速に対応した6000rpmなどと定め、永久磁石同期電動機/発電機の回転数nが6000rpmに達したときの逆起電圧が上記の制限値を越えないように設計する。
しかしながら、ハイブリッド自動車を仕様上の最高車速で運転することはきわめて希であり、通常はnmaxを大きく下回る、例えば、0〜3000rpm程度の領域(以下、常用領域)で運転することがほとんどである。このため、永久磁石同期電動機/発電機を上記のように設計した場合、すなわち、nmax(6000rpm)に達したときの逆起電圧が上記の制限値を越えないように設計した場合、この常用領域においては、永久磁石同期電動機/発電機を非常に小さな電圧と大きな電流で運転する必要があった。
すなわち、低回転の大トルク領域では「小さな電圧」と「大きな電流」となり、一方、高回転の高出力領域では「小又は中程度の電流」と「大きな電圧」となり、大電流が要求される回転数範囲と、大電圧が要求される回転数範囲とが大きく相違する結果となっていた。このため、インバータの容量は「電圧」と「電流」の積に比例するから、実際の出力よりも大きな容量のインバータを必要とすることとなり、不経済であった。また、モータの巻き線も大きな電流に対応して太くする必要があり、この点においても不経済であった。
しかしながら、本発明のようにすれば、上式(1)の鎖交磁束量ψを調節することが可能となり、各々の回転数領域における電流と電圧の適正化を図ることができ、インバータの容量を小さくし、且つ、モータの巻き線を太くする必要が無くなり、経済性を改善することができる。
極端な例として、前式(1)の鎖交磁束量ψを50%〜100%の範囲で任意に調節できる場合を考えてみる。
モータの使用回転数範囲を0〜6000rpmとすると、本来なら、最大回転数の6000rpmで逆起電圧が上限電圧ギリギリになるように設計(第一設計例)するが、例えば、3000rpmで逆起電圧が上限電圧ギリギリになるように設計(第二設計例)したとする。
今、2000rpmで最大トルクを出す必要があるとすると、第一設計例と第二設計例では逆定電圧が倍の値になる。具体的には、第一設計例の逆定電圧を100Vとした場合、第二設計例では200Vの逆起電圧となり、結局、負荷に印加する電圧も倍の値になる(第一設計例を150Vとした場合、第二設計例は300Vになる)ことになる。
これは、トルク(回転数が同じなので、同じ出力)を得るのに必要な電流が、電圧とは逆に半分になる(第一設計例を200Aとした場合、第二設計例は100A)からである。
一方、最高回転数の6000rpmでは、第二設計例の逆起電圧は600V、第一設計例は300Vとなり、このことは、第一設計例と第二設計例のいずれにおいても、印加できる最大電圧が共通であれば、第二設計例では、第一設計例に対して大きな弱め界磁制御をする必要があることを意味している。
同期機の場合、「逆起電圧>印加できる最大電圧」であっても、弱め界磁運転をすることで動作可能である(もちろん弱め界磁できる範囲には限界がある)。ちなみに、弱め界磁とは、D軸電流(基本的にトルクには寄与しない位相の電流)を通電することにより、端子電圧を下げてやることをいう。大きな弱め界磁(逆起電圧に対して端子電圧を大きく下げる)の場合、大きなD軸電流を通電する必要がある。弱め界磁をすると無駄な電流が必要であり、電流の絶対値が大きくなる。電流の増加量は、どの程度の弱め界磁をするかによる。
ただし、この動作点で必要となる第二設計例の電流が、最大トルク時の電流を超えないかぎり問題はない(ここでは、最大トルク時の電流を超えていないとする)。
以上のことより、第一設計例、第二設計例に要求されるインバータ容量は、それぞれ以下のように算出することができ、第二設計例のインバータ容量が小さくなる。
<第一設計例>
電流:200A、電圧:300V
インバータ容量=√3×200×300≒104kVA
<第二設計例>
電流:100A、電圧:300V
インバー夕容量=√3×100×300≒52kVA
空回し(通電していない状態)の場合は、第二設計例では、上式(1)の鎖交磁束量ψを小さくしてやることで、逆起電圧が上限を超えないようにすることができる。
このように、上式(l)の鎖交磁束量ψが調整できれば、インバータ容量を小さくでき、且つ、モータの巻き線を太くする必要も無くなり、経済性を改善することができる。
実施形態の永久磁石同期電動機/発電機の構造図である。 (a)は、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34との位置を合わせた状態図、(b)は、内側固定子30のスロット32と外側固定子31の凹部34との位置をずらした状態図である。 外側固定子31の回転機構概念図である。 外側固定子31の回転軸方向の構造図である。 特許文献1に記載されたモータの構造図である。 従来技術の問題点を説明する図である。
符号の説明
20 モータ(永久磁石同期電動機/発電機)
23 固定子
24 回転子
30 内側固定子
31 外側固定子
32 スロット
33 電機子巻線
34 凹部
39 アクチュエータ
42 のアクチュエータ制御部(制御手段)

Claims (4)

  1. 固定子を同心円状の外側固定子と内側固定子の二重構造とし、前記内側固定子の内周面に周方向等間隔のスロットを形成して該スロットに電機子巻線を巻装するとともに、前記外側固定子と内側固定子とを回転軸周り方向に相対回転可能に構成し、且つ、前記外側固定子の内周面に凹部を形成し、該凹部は、前記相対回転によって隣り合うスロット間に位置されるように構成されたことを特徴とする永久磁石同期電動機/発電機。
  2. 前記外側固定子と内側固定子の一方を回転軸周り方向に回転させるためのアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内側固定子の内周側に設けられる回転子の回転数または該回転数の指令値が高回転数域にあるとき、前記凹部が隣り合うスロット間に位置するように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする請求項1記載の永久磁石同期電動機/発電機。
  3. 前記外側固定子と内側固定子の一方を回転軸周り方向に回転させるためのアクチュエータと、該アクチュエータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記内側固定子の内周側に設けられる回転子の回転数または該回転数の指令値が低中回転数域にあるとき、前記スロットと前記凹部の位置を揃えるように、前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の永久磁石同期電動機/発電機。
  4. 前記凹部に非磁性物質を充填したことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の永久磁石同期電動機/発電機。
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