JP2007258082A - 電子放出素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子放出のために消費する電力がより小さい電子放出素子を提供すること
【解決手段】 電子放出素子10は、下部電極12と、誘電体からなるエミッタ部13と、エミッタ部13を挟んで下部電極12に対向するようにエミッタ部13の上部に形成された上部電極14と、を備える。上部電極14には、微細貫通孔14cが複数形成されている。上部電極14は、微細貫通孔14cの近傍領域における上部電極14の下面とエミッタ部13の上面との距離(ギャップ距離)t1が、微細貫通孔14cに依らず略一定となるようにエミッタ部13の上部に配置・構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電体からなるエミッタ部と下部電極と微細貫通孔を有する上部電極とを備え、エミッタ部の上面に蓄積した電子を微細貫通孔を通して外部に放出させる電子放出素子に関する。
従来から知られる電子放出素子の一つは、図15に示したように、エミッタ部101と、下部電極102と、上部電極103と、を備えている。エミッタ部101は誘電体からなっている。エミッタ部101の上部は、結晶粒界による凹凸が形成されている。下部電極102は、エミッタ部101の下部に形成されている。上部電極103は、エミッタ部101を挟んで下部電極102に対向するようにエミッタ部101の上部に形成されている。この上部電極103には、微細貫通孔103aが複数形成されている。エミッタ部101の上部には凹凸が存在するから、上部電極103の下面であって微細貫通孔103aの近傍は、エミッタ部101の上面から離間している。この上部電極103とエミッタ部101とがなす構造は「庇構造」と呼ばれる(特許文献1を参照。)。
特開2005−142134号公報。
この電子放出素子の作動について、下部電極102の電位を基準とした下部電極102と上部電極103の実際の電位差Vka(即ち、素子端電圧Vka)が正の所定電圧Vpに維持され(即ち、上下電極間に電圧Vpが印加され)、且つ、電子がエミッタ部101の上面に蓄積されていない状態から説明を開始する。このとき、エミッタ部101の双極子の負極はエミッタ部101の上面(Z軸正方向、即ち、上部電極103側)に向いた状態となっている。この状態は、図16に示したグラフ上の点p1の状態である。図16のグラフは、電子放出素子の分極−素子端電圧特性(Q−V特性)を表している。
この状態において、上下電極間に負の所定電圧Vmが印加されると、素子端電圧Vkaは図16の点p2を経由して点p3に向けて減少する。そして、素子端電圧Vkaが図16に示した負の抗電界電圧Vaの近傍の電圧になると、エミッタ部101の双極子の負極が下部電極102側に向くように双極子が反転し始める。即ち、図17に示したように、分極反転(負側分極反転)が開始する。この分極反転により、エミッタ部101の上面と、上部電極103と、これらの周囲の媒質(この場合、真空)と、の接触箇所(トリプルジャンクション)及びトリプルジャンクションの近傍における電界が大きくなり、上部電極103からエミッタ部101に向けて電子が供給され始める。
この供給された電子は、主としてエミッタ部101の上面であって上部電極103の微細貫通孔103aから露呈している部分の近傍及び微細貫通孔103aを形成している上部電極103の端部近傍に蓄積される。その後、所定の時間が経過して負側分極反転が完了すると、素子端電圧Vkaは負の所定電圧Vmに向けて急激に変化し、負の所定電圧Vmに到達する。この結果、電子の蓄積が完了する(電子の蓄積飽和状態に至る)。この状態が、図16の点p4の状態である。
次に、上下電極間に正の所定電圧Vpが印加されると、素子端電圧Vkaは増大し始める。このとき、素子端電圧Vkaが図16の点p5により示される正の抗電界電圧Vdを超えると、図18に示したように、双極子の負極がエミッタ部101の上面側(上部電極103側)に向き始める。即ち、正側分極反転が開始する。そして、正側分極反転した双極子の数が増大すると、エミッタ部101の上面に蓄積されていた電子は双極子からクーロンの反発力を受け、微細貫通孔103aを通って上方に放出される。その後、正側分極反転が完了すると、素子端電圧Vkaは急激に増大を開始し、素子端電圧Vkaは正の所定電圧Vpに到達する。この結果、エミッタ部101の状態は図15に示した当初の状態(図16の点p1の状態)に復帰する。
このように、エミッタ部101の上面に蓄積されていた電子は、エミッタ部101の上部近傍において正側分極反転した双極子から、ある大きさ以上のクーロンの反発力を受けたときに放出される。換言すると、蓄積されていた電子は、エミッタ部101の上部近傍において正側分極反転した双極子の密度が所定値以上にならなれければ放出されない。一方、エミッタ部101の上部近傍において正側分極反転する双極子の数は、下部電極102の電位を基準電位としたときのエミッタ部101の上面の電位(エミッタ部電圧)Vferが高いほど多くなる。従って、エミッタ部101の上面の電位Vferが所定電位Vth以上にならないと電子は放出されない。
いま、上下電極間に電圧Vinが印加されていると仮定する。このとき、図19に示したエミッタ部101の上面の点Q1及び点Q2の電位について考察する。点Q1は上部電極103の下面からの距離(ギャップ距離)が比較的小さい距離d1である点、点Q2は上部電極103の下面からの距離(ギャップ距離)が距離d1より大きい距離d2の点である。
図19に示したように、点Q1に着目すると、下部電極102と点Q1との間の強誘電体であるエミッタ部101にはコンデンサCf1(容量値=Cf1)が形成され、点Q1におけるエミッタ部101の上面と上部電極103の下面との間の空間にはコンデンサCg1(容量値=Cg1)が形成される。従って、点Q1の位置において、上下電極間は、これらのコンデンサCf1及びCg1が直列に接続された線路により接続されていると等価的にみなすことができる。同様に、点Q2に着目すると、下部電極102と点Q2との間の強誘電体であるエミッタ部101にはコンデンサCf2(容量値=Cf2)が形成され、点Q2におけるエミッタ部101の上面と上部電極103の下面との間の空間にはコンデンサCg2(容量値=Cg2)が形成される。従って、点Q2の位置において、上下電極間は、これらのコンデンサCf2及びCg2が直列に接続された線路により接続されていると等価的にみなすことができる。
このとき、コンデンサCg1の電極間電圧及びコンデンサCf1の電極間電圧を、それぞれVgap1及びVfer1と表すと下記の(1)式が成立し、コンデンサCg2の電極間電圧及びコンデンサCf2の電極間電圧をそれぞれVgap2及びVfer2と表すと下記の(2)式が成立する。
Vin=Vgap1+Vfer1 …(1)
Vin=Vgap2+Vfer2 …(2)
いま、d1<d2であるから、コンデンサの静電容量を表す式(C=ε・S/d、εは誘電率、Sは電極面積、dは電極間距離)に基づけば、Cg1>Cg2である。従って、Cf1とCf2とが殆ど同じ容量値であることを踏まえて考えると、電圧Vinのうち、コンデンサCg1に印加される分圧Vgap1とコンデンサCg2に印加される分圧Vgap2との間にはVgap1<Vgap2の関係が成立する。この結果、上記(1)式及び(2)式から、Vfer1>Vfer2が得られる。
以上から明らかなように、上下電極間の電圧Vinを次第に上昇させたとき、点Q1の電位Vfer1の方が点Q2の電位Vfer2よりも先に所定電位Vthに到達するから、点Q1の近傍に蓄積されている電子が点Q2の近傍に蓄積されている電子よりも先に放出され始める。即ち、図16に示したように、上下電極間の電圧Vinが第1電圧V1に到達したとき点Q1の近傍に蓄積されている電子が放出され、上下電極間の電圧Vinが第1電圧V1より大きい第2電圧V2に到達したときに点Q2の近傍に蓄積されている電子が放出される。
このように、従来の電子放出素子においては、エミッタ部101の上面と上部電極103の下面との距離(ギャップ距離)が一定ではないので、エミッタ部101の上面に蓄積されている電子を総て放出するためには、ギャップ距離の最大値に応じた高い電圧が上下電極間に印加されなければならない。その結果、電子放出素子の消費電力(図16に示したQ−V線により囲まれる面積)が大きいという問題がある。
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであって、その目的の一つは、電子放出のために消費する電力がより小さい電子放出素子を提供することにある。
この目的を達成するための本発明による電子放出素子は、
誘電体からなるエミッタ部と、同エミッタ部の下部に形成された下部電極と、同エミッタ部を挟んで同下部電極に対向するように同エミッタ部の上部に形成されるとともに微細貫通孔が複数形成され且つ同微細貫通孔の近傍領域であって同エミッタ部と対向する面が同エミッタ部から所定のギャップ距離だけ離間しているように形成されてなる上部電極と、を有し、同上部電極の電位が同下部電極の電位よりも低い場合に同エミッタ部の双極子の負極が同下部電極側に向くように同双極子が反転するのに伴って同エミッタ部の上面に電子を蓄積し、同上部電極の電位が同下部電極の電位よりも高い場合に同エミッタ部の双極子の負極が同上部電極側に向くように同双極子が反転するのに伴って同エミッタ部の上面に蓄積されている電子を前記微細貫通孔を通して外部に放出する電子放出素子であって、
前記上部電極は、前記所定のギャップ距離が前記何れの微細貫通孔に対しても略同一の距離となるように形成された電子放出素子である。
これによれば、微細貫通孔の近傍領域における上部電極の下面とエミッタ部の上面との距離(ギャップ距離)が略一定であるから、下部電極の電位に対する上部電極の電位を正の電位にする電圧(電子放出電圧)が印加されたとき、微細貫通孔の近傍領域におけるエミッタ部上面の電位が略一定となる。従って、電子放出電圧が所定の大きさになると、エミッタ部の双極子は一斉に反転し、電子は一斉に放出される。その結果、ギャップ距離を小さくすれば、電子放出電圧が小さくてもエミッタ部上面に蓄積されている電子が確実に放出させられる。即ち、電子放出に係る電力消費が小さい電子放出素子を提供することができる。
この場合、
前記上部電極は、
前記微細貫通孔が形成された膜状の微細貫通孔形成部と、
前記微細貫通孔形成部の下面が前記エミッタ部の上面と略平行になるように同微細貫通孔形成部を同エミッタ部に対して支持する支持部と、
を備えることが好適である。
これによれば、簡素な構造で消費電力が小さい電子放出素子が提供される。なお、微細貫通孔形成部の厚みは略一定であることが望ましい。
更に、前記微細貫通孔形成部は、
前記エミッタ部の上面に向けて突出した突起部を備えることが好適である。
これによれば、下部電極の電位に対する上部電極の電位を負の電位にする電圧(電子蓄積電圧)が印加されたとき、突起部近傍の電界が大きくなる。その結果、より大きさの小さい電子蓄積電圧により上部電極からエミッタ部上面に電子を供給することができる。即ち、電子電子放出に係る消費電力がより一層小さい電子放出素子を提供することができる。
一方、上部電極に形成される微細貫通孔の孔径は0.1μm以上0.5μm以下であることが好適である。
なお、微細貫通孔の平面視における形状は特に限定されない。即ち、その形状は、円形、多角形、長円形及び楕円形等であってもよい。このとき、電子放出素子が効率良く電子を放出するためには、微細貫通孔の孔径は0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。この理由は次の通りである。
微細貫通孔の直径が0.1μmより小さい場合、エミッタ部から放出された電子が上部電極に捕獲されてしまう割合が多くなる。
微細貫通孔の直径が0.5μmより大きい場合、微細貫通孔の直下に位置するエミッタ部の部分において分極反転が発生し難くなり、同部分において電子の蓄積及び放出が発生し難くなる。
更に、前記下部電極と前記上部電極との間に印加される電圧を駆動電圧Vin、同駆動電圧Vinの分圧であって同下部電極と前記エミッタ部の上面との間の同エミッタ部に印加される電圧をエミッタ部電圧Vfer、同駆動電圧Vinの分圧であって同エミッタ部の上面と同上部電極の下面との間の空間に印加される電圧を空間電圧Vgapとすると、同駆動電圧Vinは同エミッタ部電圧Vferと同空間電圧Vgapの和であり、同エミッタ部電圧Vferの大きさが同駆動電圧Vinの大きさの50%以上となるように前記ギャップ距離が定められていることが好適である。
このようにギャップ距離が設定されると、電子放出のための駆動電圧(電子放出電圧)Vinがそれほど大きくなくとも、エミッタ部電圧Vferは電子を放出するための電圧Vthに到達する。従って、電子放出のための駆動電圧Vinを小さくできるので、電子放出素子の消費電力を小さくすることができる。
以下、本発明による電子放出素子の各実施形態について図面を参照しながら説明する。この電子放出素子は、蛍光体を用いた光源(例えば、液晶ディスプレイのバックライト)、ディスプレイ、電子部品製造装置及び電子照射線装置等の放出される電子を利用する種々の装置に適用することができる。
<第1実施形態>
(構造)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子放出素子10の部分縦断面図である。電子放出素子10は、基板11、下部電極(下部電極層)12、エミッタ部13及び上部電極(上部電極層)14を備えている。
基板11は、互いに直交するX軸及びY軸により形成される平面(X−Y平面)に平行な上面及び下面を有し、X軸及びY軸のそれぞれに直交するZ軸方向に厚み方向を有する薄板体である。基板11は、酸化ジルコニウムを主成分とした材料(例えば、ガラス又はセラミックス)からなっている。
下部電極12は、導電性物質(例えば、白金)からなる薄膜であり、基板11の上面の上に形成されている。
エミッタ部13は、基板11と同様な薄板体である。エミッタ部13は、比誘電率が大きい誘電体(例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)及びジルコン酸鉛(PZ)の3成分系材料PMN−PT−PZ)又は強誘電体(本明細書において「誘電体」は「強誘電体」を含む語として使用する。)からなり、下部電極12の上面の上に形成されている。エミッタ部13の材料にはできるだけ粒径の小さい材料が選択される。これにより、エミッタ部13の上面は、実質的に平坦であって、X−Y平面と平行な面内に存在している。
上部電極14は、導電性物質からなっている。上部電極14は、エミッタ部13の上面の上方に形成されている。上部電極14は、平面部14aと支持部14bとからなっている。
平面部14aは、難エッチング性の金属(エッチング液に溶解し難い金属)であるCr又はAgからなっている。平面部14aは薄膜である。平面部14aの厚みは0.01μm以上且つ10μm以下である。平面部14aの上面及び下面は、エミッタ部13の上面と平行になっている。即ち、平面部14aの上面及び下面は、X−Y平面と平行な面内に存在している。平面部14aの下面とエミッタ部13の上面との距離t1は、約0.5μmである。平面部14aには図1及び平面図である図2に示したように、複数の微細貫通孔14cが形成されている。微細貫通孔14cの平面視における形状は略円形である。平面視において、微細貫通孔14cのそれぞれの中心は正方格子の格子点上に位置している。平面部14aの一部であって微細貫通孔14cが形成されている部分は、微細貫通孔形成部Haとも称呼される。
なお、微細貫通孔14cの平面視における形状は、円形に限定されず、多角形、長円形及び楕円形等であってもよい。更に、微細貫通孔14cの平面視における形状が略円形であるとみなしたとき、効率良く電子を放出するためには、微細貫通孔14cの直径(孔径)は、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。この理由は次の通りである。
微細貫通孔14cの直径が0.1μmより小さい場合、エミッタ部13から放出された電子が上部電極14に捕獲されてしまう割合が多くなる。
微細貫通孔14cの直径が0.5μmより大きい場合、微細貫通孔14cの直下に位置するエミッタ部13の部分において分極反転が発生し難くなり、同部分において電子の蓄積及び放出が発生し難くなる。
支持部14bは、易エッチング性の金属(エッチング液に容易に溶解し、除去される性質を備える金属)であるMo又はAlからなっている。支持部14bは、頂面が下方側(エミッタ部13側、即ち、Z軸負方向側)に位置し、底面が上方側(Z軸正方向側)に位置する逆円錐台形状を有している。以下、下方に位置する頂面を下面、上方に位置する底面を上面と言う。
支持部14bの下面はエミッタ部13の上面に接している。支持部14bの上面は平面部14aの下面と接合している。これにより、支持部14bは、平面部14aの下面(微細貫通孔14cの近傍領域であってエミッタ部13と対向する上部電極14の下面、即ち、微細貫通孔形成部Haの下面)がエミッタ部13の上面と平行となるように、平面部14aを支持している。
<製造方法>
次に、上記電子放出素子10の製造方法の一例について説明する。
(下部電極12)
下部電極には、導電性を有する物質(例えば、白金、モリブデン、タングステン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属導体)が使用される。以下、下部電極に好適な物質を列挙する。
(1)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体(例えば、金属単体又は合金)
例)白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点金属
例)銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするもの
(2)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する絶縁性セラミックスと金属単体との混合物
例)白金とセラミック材料とのサーメット材料
(3)高温酸化雰囲気に対して耐性を有する絶縁性セラミックスと合金との混合物
(4)カーボン系、又は、グラファイト系の材料
下部電極12は、各種の膜形成法により形成され得る。例えば、下部電極12は、スクリーン印刷、スプレー及びディッピング塗布等の厚膜形成手法、又は、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD及びめっき等の薄膜形成手法のうちの適宜の方法により形成される。
(エミッタ部13)
エミッタ部13を構成する誘電体としては、上述したように比誘電率が比較的高い(例えば、比誘電率が1000以上)の誘電体又は強誘電体を採用することができる。以下、エミッタ部13に好適な物質を列挙する。なお、前述したように、エミッタ部13を構成する物質は、その結晶粒径が出来るだけ小さいものから選択される。
(1)チタン酸バリウム、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等
(2)上記(1)に記載の物質のうちの任意の物質を組み合わせたものを含有するセラミックス
(3)上記(2)に記載のセラミックスに、更に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル及びマンガン等の酸化物を添加したもの、上記(2)に記載のセラミックスにこれらの酸化物の任意の物質を組み合わせたものを添加したもの、又は、更に他の化合物を適切に添加したもの
(4)主成分が上記(1)に記載の物質を50%以上有する物質
例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25とすると比誘電率は5500、PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125とすると比誘電率は4500となり、このような組成のPMN−PT−PZはエミッタ部の材料として特に好ましい。
エミッタ部13は、以下のステップを経て製造される。
ステップ1:基板11及び下部電極12の上に上述した材料をスクリーン印刷法によって所定の厚さを有する層状(薄板状)に形成する。なお、スクリーン印刷法の他、ディッピング法、塗布法、電気泳動法、沈降法及びエアロゾルデポジション法等の各種厚膜形成法を用いてもよい。更に、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)及びめっき等の各種薄膜形成法を用いても良い。
ステップ2:層状に印刷された上述の材料を、電気炉を用いて所定の焼成温度にて加熱し、焼成する。これによりエミッタ部13が製造される。なお、エミッタ部13の上面をできるだけ平坦化するために、通常よりも若干低い焼成温度にてエミッタ部13を焼成してもよい。
(上部電極14)
上部電極14は、次に述べるステップを経て製造する。
ステップ1:図3に示したように、エミッタ部13の上に所定の厚みt1を有する易エッチング性の金属(ここではMo)からなる膜141をスパッタリングによって形成する。この膜はAl等により形成することもできる。
ステップ2:図4に示したように、フォトリソグラフィによって所定のパターンを有するレジスト142を易エッチング性金属膜141の上に形成する。レジストの高さt2は厚さt1と同程度(例えば、0.5μm)とする。
ステップ3:図5に示したように、ステップ2にて形成したレジスト142の上に難エッチング性金属の薄膜(ここでは、Crの薄膜)143を形成する。この膜はAg等により形成することもできる。
ステップ4:ステップ2にて形成したレジスト142を除去する。その結果、図6に示したように、ステップ3にて形成した難エッチング性金属の薄膜143のうち易エッチング性金属膜141の上面に接触している部分が残される。この段階における難エッチング製金属膜143の平面視におけるパターンは、図2に示したパターンと一致している。換言すると、ステップ2において、レジスト142は図2に示したパターンが得られるようなパターンに形成される。
ステップ5:エッチング液により易エッチング性金属膜141をエッチングする。この結果、図7に示したように、大きな面積を有していた難エッチング性金属膜143の部分Lsの直下にある易エッチング性金属膜141が逆円錐台状に残存する。この部分が、上述した支持部14bとなる。一方、その他の部分に存在していた易エッチング性金属膜141はエッチングにより除去される。この結果、難エッチング性金属膜143により上述した平面部14aが形成される。
(作動)
次に、上記のように構成された電子放出素子10の作動について図8乃至図10を参照しながら説明する。先ず、上下電極間に正の所定電圧Vp1が印加されていて且つエミッタ部13の上面に電子が蓄積されていない状態にあるとする。この状態は、図8に示したグラフ上の点p1の状態である。図8のグラフは、横軸に素子端電圧Vkaをとり、縦軸にエミッタ部13上面の電荷Qをとったグラフである。このグラフは、電子放出素子の分極−素子端電圧特性(Q−V特性)を表している。
この状態において、上下電極間に負の所定電圧Vm(電子蓄積電圧Vm)が印加されると、素子端電圧Vkaは次第に低下する。即ち、電子放出素子10の状態は、図8の点p1から点p2を経由して点p3に向けて変化する。そして、素子端電圧Vkaが図8に示した負の抗電界電圧Vaの近傍の電圧になると、エミッタ部13の双極子は、その負極が下部電極12側に向くように反転し始める。この負側分極反転により、図9に示したように、エミッタ部13の上面と、上部電極14(支持部14b)と、これらの周囲の媒質(この場合、真空)と、の接触箇所であるトリプルジャンクションTJにおける電界が大きくなる。この結果、上部電極14からエミッタ部13の上面に電子が供給される。
その後、所定の時間が経過して負側分極反転が完了すると、素子端電圧Vkaは負の所定電圧Vmに向けて急激に変化し、負の所定電圧Vmに到達する。この結果、電子の蓄積が完了する。この状態が、図8の点p4の状態である。
次に、上下電極間に正の所定電圧Vp1(電子放出電圧Vp1)が印加されると、素子端電圧Vkaは増大し始める。このとき、素子端電圧Vkaが図8の点p5により示される正の抗電界電圧Vd1を超えると、図10に示したように、双極子は、その負極が上部電極14側に向き始める。即ち、正側分極反転が開始する。そして、素子端電圧Vkaが図8の点p6により示される正の閾値電圧Vthに至ると、正側分極反転した双極子の数が所定数以上となり、正側分極反転した双極子の密度が所定値以上となる。その結果、図10に示したように、エミッタ部13の上面に蓄積されていた電子はエミッタ部13の双極子からクーロンの反発力を受け、微細貫通孔14cを通って一斉に上方に放出される。その後、正側分極反転が完了すると、素子端電圧Vkaは急激に増大を開始し、素子端電圧Vkaは正の所定電圧Vp1に復帰する。
このように、第1実施形態に係る電子放出素子10においては、エミッタ部13の上面と上部電極14の下面(微細貫通孔14cが形成されている領域Ha内にある平面部14aの下面、即ち、微細貫通孔形成部Haの下面)との距離(ギャップ距離)t1が一定であり、且つ、微小な距離である。従って、電子放出素子10は、素子端電圧Vkaが正の抗電界以上の比較的小さい電圧Vthに到達したときに、一斉に電子を放出することができる。
ここで、上記距離(ギャップ距離)t1について述べる。下部電極12と上部電極14との間に駆動電圧Vinを印加した場合において、その駆動電圧Vinの分圧であって下部電極12とエミッタ部13の上面との間のエミッタ部13に印加される電圧をエミッタ部電圧Vfer、駆動電圧Vinの分圧であってエミッタ部13の上面と上部電極14の下面との間の空間に印加される電圧を空間電圧Vgapとすると、下記(3)式が成立する。
Vin=Vfer+Vgap …(3)
即ち、駆動電圧Vinはエミッタ部電圧Vferと空間電圧Vgapの和である。
このとき、上記距離(ギャップ距離)t1は、エミッタ部電圧Vferの大きさが駆動電圧Vinの大きさの50%以上となるように定められている。換言すると、エミッタ部電圧Vferの大きさが駆動電圧Vinの大きさの50%となるギャップ距離をt50%とすれば、ギャップ距離t1は下記の(4)式を満たすように定められる。
t1≦t50% …(4)
このようにギャップ距離t1が設定されている結果、電子放出のための駆動電圧(電子放出電圧)Vinがそれほど大きくなくとも、エミッタ部電圧Vferは電子を放出するための電圧Vthに到達する。従って、駆動電圧Vinを小さくできるので、電子放出素子10の消費電力を小さくすることができる。
以上のように構成された電子放出素子10のQ−V特性は、図8の実線に示したように(点p1,p2,p3,p4,p5,p6,p1を通るように)変化する。これに対し、従来の電子放出素子は、図8の破線及び実線に示した点p8,p1,p2,p3,p4,p7,p8を通るように変化する。このQ−V特性における閉曲線で囲まれた部分は電子放出素子の消費電力を表す。従って、図8から、本実施形態に係る電子放出素子10は従来の電子放出素子に比べ、電子の蓄積及び放出に係る電力がより小さいことが理解される。
<第2実施形態>
図11に示したように、本発明の第2実施形態に係る電子放出素子20は、第1実施形態に係る電子放出素子10の上部電極14を上部電極21に置換した点のみにおいて電子放出素子10と相違している。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
上部電極21は、平面部21aと支持部21bとを備えている。支持部21bは第1実施形態の支持部14bと実質的に同一である。支持部21bは、平面部21aに形成されている微細貫通孔21cの一つを取り囲むように形成されている。平面部21aの下面であって微細貫通孔21cが形成されている部分及びその近傍領域(微細貫通孔形成部の下面)は、エミッタ部13の上面と平行となっている。即ち、平面部21aの下面であって微細貫通孔21cの周囲の領域とエミッタ部13の上面との距離(ギャップ距離)は、どの箇所においても所定の距離t1である。
この電子放出素子20は、電子放出素子10と実質的に同様に機能する。従って、電子放出素子20は、従来の電子放出素子よりも少ない消費電力で電子を放出することができる。更に、電子放出素子20は、微細貫通孔21c一つに対する支持部21bの数が電子放出素子10よりも多いので、平面部21aを長期に渡り確実に支持することができる。加えて、支持部21bとエミッタ部13の上面とこれらの周囲の媒質との接触箇所であるトリプルジャンクションTJを多く形成することができる。従って、より小さな消費電力でエミッタ部13の上面に電子を多く蓄積することができる。
<第3実施形態>
図12に示したように、本発明の第3実施形態に係る電子放出素子30は、第1実施形態に係る電子放出素子10の上部電極14を上部電極31に置換した点のみにおいて電子放出素子10と相違している。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
上部電極31は、平面部31aと支持部31bとを備えている。
平面部31aは、第1実施形態の平面部14aと同様、複数の微細貫通孔31cを備えている。平面部31aの下面であって隣接する微細貫通孔31cの間には、平面部31aからエミッタ部13に向けて突出する突起部31dが形成されている。突起部31dは、逆円錐形状を有している。即ち、突起部31dの底面は平面部31aに連続していて、突起部31dの先端はエミッタ部13の上面に接近している。平面部31aの下面であって微細貫通孔31cが形成されている部分及びその近傍領域(微細貫通孔形成部Haの下面)は、エミッタ部13の上面と平行となっている。即ち、平面部31aの下面であって微細貫通孔31cの周囲の領域とエミッタ部13の上面との距離(ギャップ距離)は、どの箇所においても所定の距離t1である。
支持部31bは逆円錐台形状を有している。支持部31bの下面はエミッタ部13の上面に接している。支持部31bの上面は平面部31aの下面と接合している。これにより、支持部31bは、平面部31aの下面であって微細貫通孔31cが形成されている部分及びその近傍領域(微細貫通孔形成部Haの下面)がエミッタ部13の上面と平行となるように、平面部31aを支持している。
この電子放出素子30は、電子放出素子10と実質的に同様に機能する。但し、上下電極間に電子蓄積電圧が印加されることにより、素子端電圧Vkaが負の抗電界電圧Vaの近傍の電圧になってエミッタ部13の双極子が負側分極反転したとき、突起部31dの先端近傍において大きな電界が発生する。これにより、電子は突起部31dの先端からエミッタ部13の上面に供給される。この結果、電子放出素子30は、突起部31dを備えているので、従来の電子放出素子よりも少ない消費電力で電子をエミッタ部13の上面に蓄積することができる。更に、電子放出素子30は、電子放出素子10及び20と同様に、従来の電子放出素子よりも少ない消費電力で電子を放出することができる。
<第4実施形態>
図13に示したように、本発明の第4実施形態に係る電子放出素子40は、第1実施形態に係る電子放出素子10のエミッタ部13及び上部電極14を、エミッタ部41及び上部電極42にそれぞれ置換した点のみにおいて電子放出素子10と相違している。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
エミッタ部41は、エミッタ部13を形成する材料よりも粒径の大きい材料から形成されている。従って、エミッタ部41の上面には、粒界による凹凸が形成されている。
上部電極42は、導電性物質からなっている。上部電極42は、エミッタ部41の上面の上方に形成されている。上部電極42は、曲面部42aと支持部42bとからなっている。
曲面部42aは、難エッチング性の金属であるCr又はAgからなっている。曲面部42aは一定の膜厚を有する薄膜である。曲面部42aの厚みは0.01μm以上且つ10μm以下である。曲面部42aの下面は、エミッタ部41の上面と一定の距離(ギャップ距離)t1(約0.5μm)を維持し得るように(エミッタ部41の上面の形状に沿うように)、曲面状に形成されている。曲面部42aには微細貫通孔14cと同様の微細貫通孔42cが複数形成されている。
支持部42bは、易エッチング性の金属であるMo又はAlからなっている。支持部42bは、支持部14bと同様に逆円錐台形状を有している。以下、支持部42bの下方に位置する頂面を下面、上方に位置する底面を上面と言う。
支持部42bの下面はエミッタ部41の上面に接している。支持部42bの上面は曲面部42aの下面と接合している。これにより、支持部42bは、曲面部42aの下面がエミッタ部41の上面と平行となるように、曲面部42aを支持している。
この電子放出素子40は、電子放出素子10と実質的に同様に機能する。電子放出素子40は、エミッタ部41の上面に粒界による凹凸が存在していても、曲面部42aの下面であって微細貫通孔42cが形成されている部分及びその近傍領域(微細貫通孔形成部の下面)を、エミッタ部41の上面と平行に維持することができる。即ち、曲面部42aの下面であって微細貫通孔42cの周囲の領域とエミッタ部41の上面とのギャップ距離は、どの箇所においても所定の距離t1である。従って、電子放出素子40は、従来の電子放出素子よりも少ない消費電力で電子を放出することができる。
<第5実施形態>
図14に示したように、本発明の第5実施形態に係る電子放出素子50は、第4実施形態に係る電子放出素子40の上部電極42を、上部電極52に置換した点のみにおいて電子放出素子40と相違している。従って、以下、係る相違点を中心に説明する。
上部電極52は、導電性物質からなり、一定の膜厚を有する薄膜である。上部電極52の厚みは0.01μm以上且つ10μm以下である。上部電極52は、微細貫通孔形成部52aと支持部52bとからなっている。
微細貫通孔形成部52aは、エミッタ部41の上面の粒界による凹部の上方に位置している。微細貫通孔形成部52aは、一定の膜厚を有する薄膜である。微細貫通孔形成部52aの下面は、エミッタ部41の上面と一定の距離t1(約0.5μm)を維持し得るように(エミッタ部41の上面の形状に沿うように)、曲面状に形成されている。微細貫通孔形成部52aには微細貫通孔14cと同様の微細貫通孔52cが複数形成されている。
支持部52bは、略平板状に形成されている。支持部52bは両端において微細貫通孔形成部52aと連接されている。支持部52bは、下面においてエミッタ部41の上面に存在する粒界の凸部と接している。これにより、支持部52bは、微細貫通孔形成部52aの下面がエミッタ部41の上面と平行となるように、微細貫通孔形成部52aを支持している。
この電子放出素子50は、電子放出素子10と実質的に同様に機能する。電子放出素子50は、エミッタ部41の上面に粒界による凹凸が存在していても、上部電極52の下面であって微細貫通孔52cの近傍領域(微細貫通孔形成部52aの下面)をエミッタ部41の上面と平行に維持することができる。従って、電子放出素子40は、従来の電子放出素子よりも少ない消費電力で電子を放出することができる。更に、電子放出素子50の上部電極52は、白金を主成分とするペースト状の有機金属化合物をエミッタ部41の上にスクリーン印刷し、焼成することにより形成することが可能である。従って、前記エッチングを含む製造方法と比較して、より簡便に上部電極52を形成することができる。
以上に説明したように、本発明の各実施形態に係る電子放出素子は、微細貫通孔が形成されている近傍領域における上部電極の下面(微細貫通孔形成部の下面)とエミッタ部の上面との距離が微小な一定距離となる構造を有する素子である。即ち、上部電極は、微細貫通孔の近傍領域であってエミッタ部と対向する下面と同エミッタ部との上面の距離が何れの微細貫通孔に対しても略同一の距離となるように形成されている。従って、上下電極間に所定の正の電圧(電子放出電圧)を印加したとき、微細貫通孔直下又は微細貫通孔直下近傍のエミッタ部上面の電位が同時期に電子放出に必要な電位に到達する。従って、エミッタ部の上面に蓄積されている電子を一斉に放出することができる。この結果、これらの電子放出素子は、従来の電子放出素子よりも消費電力の小さい素子となっている。
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、各電子放出素子は、上部電極の上方に白色蛍光体を備えていてもよい。これによれば、電子放出素子から放出された電子によって蛍光体が白色光を発生する。従って、このような装置は液晶のバックライト等の光源として利用することができる。また、上部電極の上方に、例えば、赤色、緑色及び青色をそれぞれ発光する蛍光体を配置し、カラーディスプレイを構成してもよい。
本発明の第1実施形態に係る電子放出素子の部分断面図である。 図1に示した電子放出素子の部分平面図である。 製造途中にある図1に示した電子放出素子の部分断面図である。 製造途中にある図1に示した電子放出素子の部分断面図である。 製造途中にある図1に示した電子放出素子の部分断面図である。 製造途中にある図1に示した電子放出素子の部分断面図である。 製造途中にある図1に示した電子放出素子の部分断面図である。 図1に示した電子放出素子の分極と素子端電圧との関係(Q−V特性)を示したグラフである。 図1に示した電子放出素子の電子蓄積時の状態を示した図である。 図1に示した電子放出素子の電子放出時の状態を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る電子放出素子の部分断面図である。 本発明の第3実施形態に係る電子放出素子の部分断面図である。 本発明の第4実施形態に係る電子放出素子の部分断面図である。 本発明の第5実施形態に係る電子放出素子の部分断面図である。 従来の電子放出素子の一つの状態を示した図である。 図15に示した電子放出素子の分極と素子端電圧との関係(Q−V特性)を示したグラフである。 図15に示した電子放出素子の他の状態を示した図である。 図15に示した電子放出素子の他の状態を示した図である。 図15に示した電子放出素子の電子放出に係る作動について説明するための図である。
符号の説明
10…電子放出素子、11…基板、12…下部電極、13…エミッタ部、14…上部電極、14a…平面部、14b…支持部、14c…微細貫通孔、20…電子放出素子、21…上部電極、21a…平面部、21b…支持部、21c…微細貫通孔、30…電子放出素子、31…上部電極、31a…平面部、31b…支持部、31c…微細貫通孔、31d…突起部、40…電子放出素子、41…エミッタ部、42…上部電極、42a…曲面部、42b…支持部、42c…微細貫通孔、50…電子放出素子、52…上部電極、52a…微細貫通孔形成部、52b…支持部、52c…微細貫通孔、101…エミッタ部、102…下部電極、103…上部電極、103a…微細貫通孔、141…易エッチング性金属膜、142…レジスト、143…難エッチング性金属膜。

Claims (5)

  1. 誘電体からなるエミッタ部と、同エミッタ部の下部に形成された下部電極と、同エミッタ部を挟んで同下部電極に対向するように同エミッタ部の上部に形成されるとともに微細貫通孔が複数形成され且つ同微細貫通孔の近傍領域であって同エミッタ部と対向する面が同エミッタ部から所定のギャップ距離だけ離間しているように形成されてなる上部電極と、を有し、同上部電極の電位が同下部電極の電位よりも低い場合に同エミッタ部の双極子の負極が同下部電極側に向くように同双極子が反転するのに伴って同エミッタ部の上面に電子を蓄積し、同上部電極の電位が同下部電極の電位よりも高い場合に同エミッタ部の双極子の負極が同上部電極側に向くように同双極子が反転するのに伴って同エミッタ部の上面に蓄積されている電子を前記微細貫通孔を通して外部に放出する電子放出素子であって、
    前記上部電極は、前記所定のギャップ距離が前記何れの微細貫通孔に対しても略同一の距離となるように形成された電子放出素子。
  2. 請求項1に記載の電子放出素子において、
    前記上部電極は、
    前記微細貫通孔が形成された膜状の微細貫通孔形成部と、
    前記微細貫通孔形成部の下面が前記エミッタ部の上面と略平行になるように同微細貫通孔形成部を同エミッタ部に対して支持する支持部と、
    を備えた電子放出素子。
  3. 請求項2に記載の電子放出素子において、
    前記微細貫通孔形成部は、
    前記エミッタ部の上面に向けて突出した突起部を備えた電子放出素子。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の電子放出素子において、
    前記微細貫通孔の孔径が0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする電子放出素子。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の電子放出素子において、
    前記下部電極と前記上部電極との間に印加される電圧を駆動電圧Vin、同駆動電圧Vinの分圧であって同下部電極と前記エミッタ部の上面との間の同エミッタ部に印加される電圧をエミッタ部電圧Vfer、同駆動電圧Vinの分圧であって同エミッタ部の上面と同上部電極の下面との間の空間に印加される電圧を空間電圧Vgapとすると、同駆動電圧Vinは同エミッタ部電圧Vferと同空間電圧Vgapの和であり、同エミッタ部電圧Vferの大きさが同駆動電圧Vinの大きさの50%以上となるように前記ギャップ距離が定められている電子放出素子。
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