JP2007255906A - 電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置 - Google Patents

電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定対象が電極と酸化還元反応を生じることのない溶液の場合であっても、短時間で電極電位が安定し、正確な測定ができる電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 検出用電極2と、比較用電極4と、電源部6と、検出部7と、演算操作部を有し、電極2,4と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、電極2−4間に予め推定された電圧を一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置に関するもので、物理現象または化学現象を測定する場合などにおいて、高感度で、かつ安定性の高い測定方法および測定装置として有用である。
例えば、溶液のpH測定あるいは溶液中のDNAやタンパク質の濃度測定など、物理現象または化学現象を測定する場合には、従来、温度センサ、光センサ、物理センサ、化学センサと呼ばれる素子を用いて、種々の電気信号(電流、電圧、抵抗、容量、電位)に変換され観測されていた。具体的には、図11に例示するように、サファイヤ、石英等の透明基板21上に半導体層22と絶縁層23を積層し、該透明基板21の裏面より断続した光を照射して該半導体層22内に電子−正孔対を発生させることにより該半導体層22表面に生ずる表面光電圧を利用する。光アドレス電位応答センサを用いて、化学イメージセンサセルを構成するのに、上記半導体層22の表面上の一部にセンサ信号電極25端子部を設け、さらに上記センサ部の同一面上に絶縁膜23を介し且つセンサ部24を囲むように参照電極26用及び対極27用の電極材料膜を平面的に形成した、溶液のpHのイメージセンサが提案されている(例えば特許文献1参照)。
ここで、電極材料あるいは電極材料膜としては、その耐腐食性や導電性などから金(Au)などの貴金属が多く用いられている。また、Au膜においては、多種の有機物質の吸着性などから、溶液中で応答性物質(例えば抗体など)を吸着もしくは結合させ、その応答性物質に対応する物質(例えば抗原など)を測定する試みが盛んになされており、その応答を捉える方法の一つとして、Au電位を観測する方法があり、DNA、タンパク質の検出に研究が進められている。
特開2002−131276号公報
しかしながら、従来技術で述べた測定方法や測定装置では、以下のような課題が生じることがある。
つまり、Au電極を用いた場合や電極材料膜としてAu膜を用いた場合であって、自然水中の環境ホルモンを測定する場合やリン酸緩衝液を用いてDNAを測定する場合などのように測定対象溶液が酸化還元反応を生じることのない溶液の場合には、電極の電位を決める反応が生じることがなく、Au電極あるいはAu膜近傍における溶液中の荷電粒子の分布などによって電極の電位が決まり、後述するように、電位が安定するまでに数時間、場合によっては10時間以上かかることがある。つまり、電極電位のドリフトが生じることとなる。実際の溶液の測定においては、このドリフトが収まり、電極電位が安定した後に測定を行う必要があり、測定に多大な時間を要する。
そこで、本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、測定対象が電極と酸化還元反応を生じることのない溶液の場合であっても、短時間で電極電位が安定し、正確な測定ができる電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することにある。また、こうした測定対象は、蛋白質やDNAなどの生体分子である場合が多く、汎用性が高く、高い測定精度を有する電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置が求められる。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、電極式溶液測定方法であって、複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定方法において、
前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。
また、本発明は、電極式溶液測定装置であって、複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定装置において、
前記被測定溶液と直接的あるいは間接的に接液する検出用電極と、
該検出用電極の電位の参照電位を形成する比較用電極と、
前記検出用電極と比較用電極間に印加する電圧を供給する電源部と、
前記電極間の電位差あるいは電流値を検出する検出部と、
前記印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作を担う演算操作部を有し、
前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。
つまり、上記課題の検証において、電極あるいは電極を構成する導電性膜と酸化還元反応を生じることのない溶液を被測定溶液とする場合、電極の自然電位付近の電圧を外部から強制的に印加することによって、電極近傍の荷電粒子の分布状態に影響されずに電極の安定化電位に近づけることができることを見出した。本発明はこうした知見を測定装置に適用したもので、電極あるいは電極表面に施された導電性薄膜(以下「電極等」という。)、例えばAu電極あるいは導電性薄膜としてAu膜(以下「Au電極等」という。)を用いて水溶液中の生体分子を測定する場合などにおいて、複数の試料溶液から予め任意に選択した溶液あるいは同種の標準溶液を用いてAu電極等の安定化電位を確認し、試料溶液測定時に、まずこの安定化電位に相当する電圧をAu電極等に印加することによって、迅速かつ安定的な試料溶液の電位測定を行うことが可能となった。従って、測定対象が電極と酸化還元反応を生じることのない溶液の場合であっても、短時間で電極電位が安定し、正確な測定ができる電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することができる。
ここで、「電極と酸化還元反応を生じることのない溶液」とは、Au電極等、炭素電極あるいはダイヤモンド電極など通常使用される電極を用い、通常の測定における電極の使用条件である数10mV〜数Vの電圧を印加した状態においては、該電極と酸化還元反応を生じることのない溶液をいい、具体的には、水溶液、アルコール溶液、pH標準液、リン酸緩衝液(PB)あるいはトリス塩酸緩衝液(Tris)などが該当する。以下「特定溶液」という。
本発明は、電極式溶液測定方法であって、複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定方法において、
前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を所定時間印加し、解除した後の電極電位あるいは電位の変化率から次の印加電圧を決定し、該印加電圧を所定時間印加した後の電極電位あるいは電位の変化率からさらに次の印加電圧を決定する操作を繰り返し、被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。
また、本発明は、電極式溶液測定装置であって、複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定装置において、
前記被測定溶液と直接的あるいは間接的に接液する検出用電極と、
該検出用電極の電位の参照電位を形成する比較用電極と、
前記検出用電極と比較用電極間に印加する電圧を供給する電源部と、
前記電極間の電位差あるいは電流値を検出する検出部と、
前記印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作を担う演算操作部を有し、
前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を所定時間印加し、解除した後の被測定溶液の電位あるいは電位の変化率から次の印加電圧を決定し、該印加電圧を所定時間印加した後の被測定溶液中の電極電位あるいは電位の変化率からさらに次の印加電圧を決定する操作を繰り返し、被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。
本測定方法あるいは測定装置においては、非常に微量な試料を被測定溶液とする場合がある。こうしたとき、特定溶液について予め電極の安定化電位を推定することが難しい。本発明は、こうした場合においても上記知見を測定装置に適用できる方法を見出したもので、例えばAu電極等の安定化電位に相当すると仮定した電圧を印加し、そのときの電極電位あるいはその変化率を検出することを繰り返すことを特徴とする。これによって、Au電極等の安定化電位に相当する電圧を検出することができ、性状が不明な試料溶液であっても、迅速かつ安定的な試料溶液の電位測定を行うことが可能となった。従って、特定溶液の場合であっても、短時間で電極電位が安定し、正確な測定ができる電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することができる。
本発明は、上記電極式溶液測定装置であって、前記電極の被測定溶液に対向する表面あるいは電極表面に施された導電性薄膜表面に、被測定溶液の物性あるいは溶液中の特定物質の濃度の変化に対応して表面電位の変化を形成する生体分子が配設されていることを特徴とする。
従来、生体分子が化学的あるいは物理的現象に関与して生じる電位の変化は、非常に微小であり基準電位が不安定であることから、溶液中の生体分子自体をあるいは生体分子を介して溶液中の特定物質を検出することは困難であるとされてきた。しかしながら、本発明者は、例えばAu膜のような導電性薄膜の表面に、例えば蛋白質のような生体分子を物理吸着あるいは化学的に修飾した場合には、農薬などの特定の物質との接触あるいは結合によって検出可能な電位の変化が生じることを見出した。本発明は、こうした知見を電極式溶液測定装置に適用したもので、従来測定困難であった上記特定溶液中の特定物質の測定を精度よく行うことか可能となった。つまり、導電性薄膜表面に生体分子を介在させることによって、生体分子が表面をカバーし外部からの影響を受けにくい状態を形成し安定化を図ることができるとともに、溶液中の測定対象物による電位の変化は僅かだが、溶液中の測定対象物とAu膜上の生体分子との結合による生体分子自体の変化に伴う電位の変化が大きくなる、つまり増幅作用を生じる、ためであると推考している。これによって、特定溶液に対しても高い測定精度を有す電極式溶液測定装置を提供することが可能となった。なお、ここでいう「生体分子」とは、抗原、抗体、蛋白質、レセプタ、DNAやRNA、ペプチド核酸、酵素、細胞などを広く一般に生体に関わるものいう。
本発明は、上記電極式溶液測定装置であって、前記電極を構成するデバイスが、MOS形の電界効果型トランジスタ、イオン感応性電界効果型トランジスタまたはいわゆるケミカルCCDを形成することを特徴とする。
電極式溶液測定装置は、特定溶液に対しても、溶液の物性あるいは溶液中の特定物質の濃度に対して高い感応性が求められるとともに、二次元的な電位情報が要求されることも多い。本発明者は、こうした要求に対応可能でかつ上記のような電極の構成が容易なデバイスとして、MOS形の電界効果型トランジスタ(MOS形FET)、イオン感応性電界効果型トランジスタ(ISFET)、あるいはケミカルCCDのいずれかを形成することが好適であることを案出したものである。つまり、MOS形FETでは、高い感応性を活かしながら、溶液中の生体分子自身の電位の変化あるいは生体分子と被検体との反応などによって生じる電位の変化情報を得ることができることから、高い検出感度を有するコンパクトな電極式溶液測定装置が可能となる。
また、ISFETは、各種イオン濃度に対する高い感応性および特定イオンに対する高い選択性を有するという優れた特性を有する検出器であると同時に、電荷信号を精度よく取り出すデバイスとして非常に汎用性が高い。本発明はこうした特性を活かしながら、上記溶液中のイオン濃度の変化あるいは生体分子との反応などによって生じるイオン濃度の変化を、該生体分子を介して電位の変化として検出することで、微小濃度の被検体を簡易かつ高感度に分析することができる。
さらに、いわゆるケミカルCCDはpHに対する高い感応性を有する検出器であると同時に、二次元的に電荷信号を取り出すデバイスとして非常に汎用性が高い。本発明はこうした特性を活かしながら、上記溶液中のイオン濃度の変化あるいは生体分子との反応などによって生じる溶液中のpH変化を、該生体分子を介して検出することで、pH変化の二次元情報を得ることができることから、複数の成分分析など本発明の広い展開が可能となる。
以上のように、本発明における電極式溶液測定装置であっては、測定対象が電極と酸化還元反応を生じることのない溶液の場合であっても、短時間で電極電位が安定し、正確な測定ができる電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することができる。また、蛋白質やDNAなどの生体分子を測定対象とする場合であっても、汎用性が高く、高い測定精度を有する電極式溶液測定方法および電極式溶液測定装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる電極式溶液測定装置は、被測定溶液と直接的あるいは間接的に接液する検出用電極と、検出用電極の電位の参照電位を形成する比較用電極と、検出用電極と比較用電極間に印加する電圧を供給する電源部と、電極間の電位差あるいは電流値を検出する検出部と、印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作を担う演算操作部を有し、特定溶液を測定対象とする場合に、電極間に一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とするものである。
<本発明にかかる電極式溶液測定装置の基本的な構成>
図1に、本発明にかかる電極式溶液測定装置(以下「本装置」という。)の基本的な構成(第1構成例)を例示する。デバイス1を構成する基材1aの表面に検出用電極2が形成され、該検出用電極2と接液する状態で試料溶液(被測定溶液に相当)を導入することができるセル部3、および試料溶液に浸漬する状態として比較用電極4が設けられている。検出用電極2と比較用電極4は、スイッチ5を介して電源部6によって所定の電圧を印加できるように接続されると同時に、両電極2−4間の電位差あるいは電流値を検出する電圧計あるいは電流計7(検出部に相当、以下電圧計7として説明する。)と接続される。電圧計7の出力、スイッチ5の状態などの出力は演算操作部(図示せず)に入力され、ここで印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作が行われる。こうした構成によって、通常の溶液については、電圧計7の出力から検出用電極2の安定化電位を算出し、試料溶液の特性あるいは試料溶液中の測定対象物の定量を行うことができる。一方、試料溶液が特定溶液である場合には、スイッチ5によって両電極2−4間に一時的に所定の電圧を印加しあるいは解除を行うことによって、試料溶液中の検出用電極2の安定化電位を検出することができ、この安定化電位から、試料溶液の特性あるいは試料溶液中の測定対象物の定量を行うことができる。
ここで、デバイス1としては、検出用電極2、セル部3および比較用電極4上記の電圧計7と接続される検出用電極2からなる構成を例示したが、こうした構成に限定されるものではなく、参照用電極を用いたデュアル式のデバイスなど種々の構成に適用することができる。また、デバイスを構成する検出用電極、セル部および比較用電極の数量も複数配設し、複数の試料溶液や同一溶液内の複数の測定点を検出する構成などに適用することも可能である。さらに、デバイスの具体例としては、MOS形FET、ISFET、あるいはケミカルCCDなどが挙げられる。各デバイスの詳細は後述するが、基本的に電位の変化を検出する機能を有するものであれば、本装置用デバイスとして使用することが可能である。
検出用電極2および比較用電極4は、導電性を有し耐蝕性を有するものであれば、特に限定するものではないが、堅牢であることが要求されることから、金属類、特に、金(Au)や銀(Ag)あるいは白金(Pt)などの貴金属類あるいはチタン(Ti)、あるいは炭素材やダイヤモンドなどが有用である。また、検出用電極2あるいは比較用電極4をAuなど特定の素材で構成せずにシリコンやサファイヤなどの基材の表面に導電性薄膜を付して電極を構成することも可能である。このときの導電性薄膜は、薄膜形成が容易で導電性を有し耐蝕性を有するものであれば、特に限定するものではないが、上記電極と同様の素材を利用することが可能である。膜厚は、特に制限はないが、加工面あるいは強度的な面を考慮すると、通常数μm程度を有することが好適である。さらに、後述するMOS形FETなどのようにデバイス1と基材1aを共通とし一体的に形成することによって、1つのプロセスによって精度よく作製することが可能となる。
セル部3は、絶縁性を有し、溶液に対するシール性が維持できる構造・素材であれば特に制限されるものではない。成形性あるいは堅牢性からセラミックスや強化プラスチックスなどを使用することができる。本装置は、また、試料溶液をバッチ的に導入する方法や連続的に導入するフロースルー方式などを適用することが可能である。さらに絶縁薄膜を設け、両電極2,4とともに、デバイス1上にセル部3を一体的に形成することも可能である。
<本装置の動作>
通常、セル部3に導入された被検体である試料溶液の特性(例えばpHや導電率など)あるいは試料溶液中の測定対象物と検出用電極2との相互作用によって生じる電位の変化は、デバイス1における両電極2−4間の電位差の変化として捉えることができる。従って、電圧計7でその電位差の変化を測定することによって、試料溶液の特性あるいは試料溶液中の測定対象物の定量を行うことができる。しかしながら、試料溶液が特定溶液である場合には、試料溶液の特性あるいは試料溶液中の測定対象物と検出用電極2との相互作用が小さく、図2(A)に例示するように、上記のような強制的に電圧印加しない場合には、図2(B)に例示するように、検出用電極2が安定化電位に達するまで数時間あるいはそれ以上の時間を要する場合がある。本装置は、特定溶液を測定対象とする場合においても、図1のような構成を有し、スイッチ5によって両電極2−4間に一時的に所定の電圧を印加し解除することによって、試料溶液中の検出用電極2の安定化電位を検出することができる。両電極2−4間に印加する電圧は、装置の絶縁性や供給電圧の安定性あるいは溶液中の電位検出時の外部からの誘導影響の防止などを考慮すると、数10mV〜数Vの範囲が好適であり、検出信号のS/N比を考慮すると約300〜500mVがより好適である。
(1)予め安定化電位を推定する方法
このとき、スイッチ5によって両電極2−4間に一時的に所定の電圧を印加し解除する方法の1つとして、印加電圧を予め推定する方法を挙げることができる。つまり、以下に示すような方法で予め推定された電圧を、電源部6から電極2−4間に一時的に所定時間印加し、解除した後の試料溶液中の検出用電極2の電位を追跡することによって、試料溶液中の検出用電極2の安定化電位を検出することを特徴とするものである。
(1−1)複数の試料溶液から予め任意に選択した溶液について検出用電極2の電位を検出することによって、安定化電位に相当する電圧を推定することができる。つまり、複数の試料溶液から予め任意に選択した試料溶液をセル部3に導入し、電極2−4間の電位差を所定時間検出する。このとき、図2に示したように数時間の検出を行うことは必要ではなく、電位差の変化から安定化電位が推定可能な時間で十分である。例えば1時間程度の検出した電位差を数次の近似式に挿入して演算する等の方法により、安定化電位の推定を行うことができる。
(1−2)次に、実際に測定する試料溶液をセル部3に導入し、電極2−4間の電位差を所定時間検出する。このときの安定化電位および最適な電圧の印加時間は、電極2,4の素材や構造と特定溶液の種類や性状との関係によって決定されるが、検証の結果、電圧を印加する前に所定時間の初期ドリフトを有することによって、電圧印加後の測定電極の電位の早期安定化を図ることができることが判った。具体的には図3に例示するように、約10〜20分間の初期ドリフト期間(Td)を経過した後、約1〜2分(To)スイッチ5をON(閉)にして強制的に電圧を印加することによって、約1〜2(Ts)分で安定化電位の検出が可能となった。なお、初期ドリフト期間を数10分程度までに安定化電位の推定が可能な場合は、(1−1)の予備検出を省略し、本操作のみによって検出用電極2の電位差の変化を検出した結果から安定化電位を推定し、強制的に電圧を印加することも可能である。
(1−3)また、複数の試料溶液からの選択ではなく、試料溶液と同種の標準溶液を用いて検出用電極2の電位を検出し推定された安定化電位に相当する電圧を適用することができる。例えば、溶液中のpH測定においては、測定装置の校正用として、例えばpH4、pH6、pH9に調整されたpH標準液が用いられるが、これを用いることによって、試料溶液を使用せずに予備検出を行うことが可能となり、試料溶液の迅速な測定が可能となる。また、pH標準液が用いた場合には、本装置の校正と同時に、特定溶液を測定対象とする場合の予備操作を行うことが可能となる。安定化電位の推定は、(1−1)と同様である。
(2)電圧印加の繰り返しにより安定化電位を検出する方法
両電極2−4間に電圧を印加しない場合には、図2に示すように、測定用電極2の電位は安定化電位に徐々に近づこうとする。このとき、図4(A)に例示するように、安定化電位よりも高い電位となるように電圧印加がされた場合には、直後の測定用電極2の電位は低下し安定化電位に近づく。一方、安定化電位よりも低い電位となるように電圧印加がされた場合には、直後の測定用電極2の電位は上昇し安定化電位に近づく。つまり、これを所定の時間繰り返すことによって、安定化電位を検出することができる。本装置は、このように印加電圧を所定時間印加した後の被測定溶液中の電極電位あるいは電位の変化率からさらに次の印加電圧を決定する操作を繰り返し、被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする。このとき、1回の印加電圧のON−OFFは上記(1−2)の時間よりも短時間とすることが可能であり、繰り返し回数によっては(1−2)の時間よりも長くなることがあるが、予備検出を含めた全操作時間としては大きな時間短縮が可能となる。
(2−1)印加電圧のON−OFFの繰り返しには、いくつかの方法があるが、1つには印加電圧の上下を繰り返すことによって検出する方法を挙げることができる。つまり、図4(A)に例示するように、印加電圧を上下から徐々に安定化電位に相当する電圧に近づけることによって、精度よく短時間で安定化電位を検出することができる。
(2−2)また、図4(B)に例示するように、電圧を徐々に上昇させながら印加を繰り返すことによって検出する方法を挙げることができる。(2−1)に比較し安定化電位の検出に少し時間を必要とする場合があるものの、過電圧の印加を防ぎ、精度よく短時間で安定化電位を検出することができる。
(2−3)さらに、図示はしないが、最初に少し高めの電圧を印加し、徐々に降下させながら印加を繰り返すことによって検出する方法を挙げることができる。電極2,4あるいは試料溶液に負荷を与えない範囲で印加電圧を設定し、高めの電圧を印加することによって、(2−1)あるいは(2−2)に比較し、より短時間で安定化電位を検出することができる。
<本装置における他の電極の構成例>
次に、本装置における他の電極の構成例(第2構成例)を、図5(A)に例示する。導電性薄膜2aが施されたデバイス1の表面に、生体分子8として蛋白質が該導電性薄膜2aと結合するように配置されている。デバイス1の他面には基準電極4aが設けられ、導電性薄膜2aと基準電極4a間には、その電位差を電圧計7で検出する構成が採られている。セル部3には比較用電極4が設けられ、導電性薄膜2aとの間にスイッチ5を介して電源部6によって所定の電圧を印加できるように接続されると同時に、その印加電圧の確認用として電圧計7aが配設されている。ただし、電圧計7aは、印加電圧の確認を電源部6によって行うことができる場合には必ずしも必要ではない。
このとき、導電性薄膜2aと生体分子8とは同電位を保持しており、被検体中の測定対象物9と生体分子8との相互作用によって生じる電位の変化は、デバイス1における導電性薄膜2aと基準電極4a間の電位差の変化として捉えることができる。ここで、試料溶液が特定溶液である場合には、スイッチ5によって導電性薄膜2aと比較用電極4間に一時的に所定の電圧を印加しあるいは解除を行うことによって、導電性薄膜2aと生体分子8とが同電位に変動させることができ、試料溶液中の生体分子8つまり導電性薄膜2aの安定化電位を検出することができ、この安定化電位から、試料溶液の特性あるいは試料溶液中の測定対象物の定量を行うことができる。また、生体分子8と測定対象物9との相互作用によって生じる電位差の変化量は、測定前に校正によってより精度を高くすることができる。また、両者を特定することによって理論的に求めることができる場合もあり、絶対的な濃度測定が可能となる。
本装置は、特定溶液PB中のビスフェノールAなどの環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)やDNAなどの生体分子を測定対象の1つとする場合に有用である。こうした測定対象は試料溶液中の濃度も低いと同時に、その存在によって生じる溶液内での電荷分布の変化も小さく試料溶液中の測定対象を精度よく検出することは困難であった。一方、例えばAu膜のような導電性薄膜の表面に、例えば蛋白質のような生体分子を物理吸着あるいは化学的に修飾した場合には、農薬や環境ホルモンなどの特定の物質との接触あるいは結合によって検出可能な電位の変化が生じる。本発明は、こうした知見を電極式溶液測定装置に適用したもので、電極の被測定溶液に対向する表面あるいは電極表面に施された導電性薄膜表面に、被測定溶液の物性あるいは溶液中の特定物質の濃度の変化に対応して表面電位の変化を形成する生体分子が配設されていることを特徴とする。これによって、従来測定困難であった上記特定溶液中の特定物質の測定を精度よく行うことか可能となった。つまり、導電性薄膜表面に生体分子を介在させることによって、生体分子が表面をカバーし外部からの影響を受けにくい状態を形成し安定化を図ることができるとともに、溶液中の測定対象物による電位の変化は僅かだが、溶液中の測定対象物とAu膜上の生体分子との結合による生体分子自体の変化に伴う電位の変化が大きくなる、つまり増幅作用を生じる、ためであると推考している。これによって、特定溶液に対しても高い測定精度を有す電極式溶液測定装置を提供することが可能となった。
図5(B)に、本装置の上記構成を基本とし、上記と異なる形態で測定対象物(農薬)9を測定する場合を例示する(第3構成例)。測定対象物9と生体分子8が直接結合しないことから、生体分子8と結合可能な中間体(例えば抗体)8aと測定対象物9との結合体の、生体分子8との結合を介して生体分子8の電位の変化を取出す方法である。生体分子8として蛋白質、抗体8aとして異なる蛋白質や蛋白質複合体(具体的には、酵素やレセプタなど)を用い、測定対象物9として農薬を示す。このとき、生体分子8は農薬6とは直接結合することはなく、抗体8aとは特異的に結合する場合には、農薬9と抗体8aとの結合体が生体分子8に結合することによって、単に抗体8aのみが結合した場合とは生体分子8の電位の変化量が異なる。従って、図5(A)同様、スイッチ5によって導電性薄膜2aと比較用電極4間に一時的に所定の電圧を印加しあるいは解除を行うことによって、導電性薄膜2aと生体分子8とが同電位に変動させることができ、電性薄膜2aと基準電極4a間の電位差を電圧計7で検出することによって、変化した電荷量に相当する安定化電位を検出することによって農薬9の濃度を測定することができる
上記の基本的な構成における生体分子単体に代えて、複数種の生体分子の組み合わせをバイオセンサの生体分子として用いることも可能である。具体的には、蛋白質−蛋白質、蛋白質−レセプタ、蛋白質−抗原、蛋白質−抗体、蛋白質−DNA/RNA、蛋白質−PNA、蛋白質−酵素、蛋白質−細胞、DNA−DNA、DNA−PNAなどが挙げられる。
<本装置における他のデバイスの構成例>
(1)上記のように、本装置のデバイス1としていわゆるMOS形FETを用いることが好適である(第4構成例)。MOS形FETは、図6に示したセンシング部10に測定対象の化学物質が存在する場合、その物質濃度に応じた電気的なエネルギーレベルを表す電位が発生する。そこで、この電荷量を測定することにより化学物質の濃度を求めることができる。特定溶液を測定対象とする場合においても、スイッチ5によってセンシング部10−比較用電極4間に一時的に所定の電圧を印加後解除し、センシング部10−接地間の電位差を検出することによって、試料溶液中のセンシング部10の安定化電位を検出することができる。この測定法による大きな特長としては、センシング部10における電荷量の変化をソース拡散層Sとドレイン拡散層Dの間の電気伝導度の変化として捉えることから、両者の間の抵抗値が非常に小さく(数m〜数Ω)、損失が小さくなるため、微小変化でも精度よく検知できることが挙げられる。また、MOSFETを駆動する回路の構成が簡単であり、マルチセンサの形成などにおける回路構成を、非常にコンパクトなものとすることが可能である。さらに、MOSFETを、ICやLSIと一体化処理して製造することができる点においても優れている。なお、本構成例においても、センシング部10の表面に、生体分子8を配置することによって、第2構成例と同様の技術的効果を得ることが可能である。
(2)また、本装置のデバイス1としてISFETを用いることが好適である(第5構成例)。ISFETは、図7に示すように、特殊な薄膜11が、インピーダンス変換機能を果たす電界効果トランジスタに一体化された構造の半導体センサであり、化学修飾により様々なイオン検出が可能であるという優れた特性を有している。また、保守性に優れ、かつ小型化が可能であることから、本装置のデバイス1に非常に適している。従って、ISFETの各種イオン濃度に対する高い感応性および特定イオンに対する高い選択性を活かしながら、特定溶液を測定対象とする場合においても、スイッチ5によって薄膜11−比較用電極4間に一時的に所定の電圧を印加後解除し、薄膜11−接地間の電位差を検出することによって、試料溶液中の薄膜11の安定化電位を検出することができる。なお、本構成例においても、薄膜11の表面に、生体分子8を配置することによって、第2構成例と同様の技術的効果を得ることが可能である。
(3)さらに、本装置のデバイス1としていわゆるケミカルCCDを用いることが好適である(第6構成例)。ケミカルCCDは、図8に示したセンシング部12に測定対象の化学物質が存在する場合、その物質濃度に応じ、電気的なエネルギーレベルを表す電位が発生する。そこで、この電荷量を測定することにより化学物質の濃度を求めることができる。特定溶液を測定対象とする場合においても、スイッチ5によってセンシング部12−比較用電極4間に一時的に所定の電圧を印加後解除し、センシング部12−接地間の電位差を検出することによって、試料溶液中のセンシング部12の安定化電位を検出することができる。この測定法による大きな特長としては、電荷注入〜電荷転送を繰り返すことにより、電荷を累積し、信号を任意の大きさ(N倍)に増幅することが可能で、非常に高感度化を目指すことができる。また、この測定法によるとランダムに生じるノイズ成分はお互いにキャンセルされるため、ノイズが増幅されることがなく、信号成分だけを増幅することができる。例えば、1回の測定時の信号出力がSとすると、5回蓄積測定を行なった場合の信号出力は5倍の5Sとなるが、ノイズ成分はランダムな信号なので増幅されない。このような原理で、ケミカルCCDデバイスでは高精度測定が可能となる。と同時にセンシング部12を複数の部位に分割し、各部位の電荷量を測定することで、二次元情報を得ることができるという優れた特性がある。なお、本構成例においても、センシング部12の表面に、生体分子8を配置することによって、第2構成例と同様の技術的効果を得ることが可能である。
(4)さらに、本発明は、上記構成例において、デバイス1に複数の検出用電極2やセンシング部10などの検出端を設けてデュアルあるいは多検出端構造体を形成することが可能である。外部誘導電位の影響などの外乱を相互に補正しあうことによって、検出精度を向上することができる点を生かすことができるとともに、本発明においては、1または複数のスイッチによって複数の検出端−比較用電極間に順次一時的にあるいは同時に所定の電圧を印加後解除し、各検出端−接地間の電位差を検出することによって、短時間に試料溶液中の検出端における安定化電位を検出することができる。
以上のような、本発明の各構成例は、例えば、河川や土壌などの環境サンプル中の残留農薬あるいは環境ホルモンの測定などにおいて適用することが可能である。具体的には、デバイスとしてケミカルCCD、生体分子として蛋白質を用い、抗原抗体反応を利用することで、非常に微量な在留農薬(例えば、アセタプリミドなど)を精度よく測定することができる。また、デバイスとしてISFET、導電性薄膜としてAuを用い、抗原抗体反応を利用することで、非常に微量なビスフェノールA成分を精度よく測定することができる。
以下、本発明の構成を具体的に示す実施例等について説明する。なお、本発明がかかる実施例等に限定されるものでないことはいうまでもない。
<実施例1>
第1実施例として、電極を形成するAu薄膜表面にDNAを固定化したデバイスを用いた定量測定について説明する。
(1)従来の測定方法
(1−1)測定手順
(a)測定対象であるT−DNA(Target DNA)と相補である1本鎖P−DNA(Probe DNA)をAu薄膜に固定化し、デバイスを形成する。
(b)そこに、測定対象のT−DNAを含むPB試料溶液を注入することによって、Au薄膜に固定化されたP−DNAとハイブリダイゼーションを生じさせる。PB試料溶液は3種類を準備し、そのバラツキをも測定した。
(c)このとき、T−DNAは燐酸基に負電荷を持っているので、Au薄膜の電位が下がる。この電位の変化量を読み取ることによって、T−DNAの定性、定量分析を行うことができる。
(1−2)測定結果
実測したAu薄膜の電位は、図9に例示するように、3つの試料溶液のいずれにおいてもドリフト現象が生じ、安定化するまで約10時間以上が必要であった。従って、実際のハイブリダイゼーション信号を見るためには、その信号の変化量がドリフト量に埋もれてしまわないように、できる限りドリフト量を低減させる必要があり、精密な測定をする際には長時間の安定化時間が必要となることが本実施例からも判った。また、試料溶液を交換して測定を行う場合、その都度ドリフトが安定化するための時間を要することも判った。
(2)本装置を用いた測定方法
(2−1)測定手順
(a)まず(1−1)における手順(a)と同様のデバイスを形成する。
(b)予め測定対象溶液と同様のT−DNAを含むPB試料溶液を注入し、安定化する電圧を推定する。具体的には、2種類のPB試料溶液を注入し、1分間を測定する。このデータから、図10に例示するように、ドリフト量はどちらも+200〜300mV/分程度であり、安定化するまでに長時間必要であると推測できる。また、図9からAu薄膜から形成される電極(Au電極)の自然電位が350mV付近であることが見て取れるので、安定化する電圧を350mV付近であると推定する。
(c)次に、測定対象のT−DNAを含むPB試料溶液を注入することによって、Au薄膜に固定化されたP−DNAとハイブリダイゼーションを生じさせる。
(d)上記(b)で推定した安定化電圧付近の電圧を外部から強制的にAu電極に印加してドリフトが安定するまでの時間を短縮するか否かを判断する。つまり、比較電極に対して+350mVの電圧を外部から1分間Au電極に印加する。その直後Au電極に外部から電圧を印加するのを止めドリフト特性を測定した。
(2−2)測定結果
図10にその代表的なデータを示すように、実測したAu薄膜の電位は、数mV/分程度のドリフト量に落ち着いている。電圧印加前後によって非常に大きな差異が観測された。このデータはAu薄膜から形成される電極(Au電極)の電位を増幅回路で増幅させているので、電圧値自体は電極電位そのものではないが、Au電極の電位を反映していると考えてよい。このことから外部から電圧を印加することによって、Au電極の電位が安定化したといえる。この方法を活用すれば、ドリフトが安定化するまでの時間が大幅に短縮でき、DNAの測定時間を迅速に行うことができることが判った。
以上、この発明は、環境サンプルを始め、広く溶液などサンプルの測定に好適に用いることができるほか、以下のような分野にも適用することができる。
(1)環境計測・環境;バイオリメディエーションへの適用
(2)食品検査・食品、微生物
(3)ME分野・医学・生態組織;組織細胞の表面計測、DNA計測
(4)バイオ分野
(5)動植物分野;カルスの表面計測・生物・動物
また、サンプルの二次元分布を測定し、現象のリアルタイム画像化から画像ソフトによる他の種類の解析、表示にも有用である。
本発明に係る電極式溶液測定装置の構成例(第1構成例)を示す説明図。 強制的に電圧印加しない場合の電極式溶液測定装置を例示する説明図。 予め安定化電位を推定する方法における本装置の動作を示す説明図。 電圧印加の繰り返しにより安定化電位を検出する方法における本装置の動作を示す説明図。 本装置における他の電極の構成例(第2,3構成例)を示す説明図。 MOS形FETを用いるデバイスの構成例(第4構成例)を示す説明図。 ISFETを用いるデバイスの構成例(第5構成例)を示す説明図。 ケミカルCCDを用いるデバイスの構成例(第6構成例)を示す説明図。 従来の測定方法による試料溶液中の電極電位の実施例を示す説明図。 本装置を用いた測定方法による試料溶液中の電極電位の実施例を示す説明図。 従来技術に係る電極式溶液測定装置を例示する説明図。
符号の説明
1 デバイス
1a 基材
2 検出用電極
2a 導電性薄膜
3 セル部
4 比較用電極
4a 基準電極
5 ポテンショメータ
6 電源部
7 電圧計あるいは電流計7(検出部)
8 生体分子
8a 担体
9 測定対象物(農薬)
10 MOSFETのセンシング部
11 ISFETの薄膜
12 ケミカルCCDのセンシング部

Claims (6)

  1. 複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定方法において、
    前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする電極式溶液測定方法。
  2. 複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定方法において、
    前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を所定時間印加し、解除した後の電極電位あるいは電位の変化率から次の印加電圧を決定し、該印加電圧を所定時間印加した後の電極電位あるいは電位の変化率からさらに次の印加電圧を決定する操作を繰り返し、被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする電極式溶液測定方法。
  3. 複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定装置において、
    前記被測定溶液と直接的あるいは間接的に接液する検出用電極と、
    該検出用電極の電位の参照電位を形成する比較用電極と、
    前記検出用電極と比較用電極間に印加する電圧を供給する電源部と、
    前記電極間の電位差あるいは電流値を検出する検出部と、
    前記印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作を担う演算操作部を有し、
    前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を一時的に所定時間印加し、解除した後の被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする電極式溶液測定装置。
  4. 複数の電極を用い、被測定溶液中の該電極の電位の変化を検出することによって、該溶液の物性の測定あるいは溶液中の特定物質の濃度測定を行う電極式溶液測定装置において、
    前記被測定溶液と直接的あるいは間接的に接液する検出用電極と、
    該検出用電極の電位の参照電位を形成する比較用電極と、
    前記検出用電極と比較用電極間に印加する電圧を供給する電源部と、
    前記電極間の電位差あるいは電流値を検出する検出部と、
    前記印加電圧の制御、検出された電位差あるいは電流値の演算、被測定溶液の物性値あるいは特定物質の濃度の演算を含む演算・操作を担う演算操作部を有し、
    前記電極と酸化還元反応を生じることのない溶液を測定対象とする場合に、前記電極間に予め推定された電圧を所定時間印加し、解除した後の被測定溶液の電位あるいは電位の変化率から次の印加電圧を決定し、該印加電圧を所定時間印加した後の被測定溶液中の電極電位あるいは電位の変化率からさらに次の印加電圧を決定する操作を繰り返し、被測定溶液中の電極の安定化電位を検出することを特徴とする電極式溶液測定装置。
  5. 前記電極の被測定溶液に対向する表面あるいは電極表面に施された導電性薄膜表面に、被測定溶液の物性あるいは溶液中の特定物質の濃度の変化に対応して表面電位の変化を形成する生体分子が配設されていることを特徴とする請求項3または4記載の電極式溶液測定装置。
  6. 前記電極を構成するデバイスが、MOS形の電界効果型トランジスタ、イオン感応性電界効果型トランジスタまたはいわゆるケミカルCCDを形成することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電極式溶液測定装置。
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