JP2007255883A - 不定形耐火物の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動不可能な溶融金属容器或いは溶融金属設備であっても流し込み施工された不定形耐火物を減圧下の雰囲気で乾燥させることができ、爆裂や亀裂を発生させることなく、施工後に緻密で耐用性が高く且つ表面の平滑な耐火物構造体を得ることのできる、不定形耐火物の施工方法を提供する。
【解決手段】不定形耐火物を水と混練してスラリー状不定形耐火物とし、該スラリー状不定形耐火物を流し込んで施工体4を形成し、該施工体の表面に、複数の孔を有する面状部材と該面状部材の施工体に接触する面とは反対側の面に設置された突起部材とを備えたフィルターパッド5を載せ、更に、該フィルターパッドを覆うためのトップカバー6を被せ、その後、前記フィルターパッドとトップカバーとの間隙を真空ポンプ9によって排気すると同時に前記施工体を加熱する。
【選択図】図1
【解決手段】不定形耐火物を水と混練してスラリー状不定形耐火物とし、該スラリー状不定形耐火物を流し込んで施工体4を形成し、該施工体の表面に、複数の孔を有する面状部材と該面状部材の施工体に接触する面とは反対側の面に設置された突起部材とを備えたフィルターパッド5を載せ、更に、該フィルターパッドを覆うためのトップカバー6を被せ、その後、前記フィルターパッドとトップカバーとの間隙を真空ポンプ9によって排気すると同時に前記施工体を加熱する。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶融金属を保持する容器や溶融金属を流して通す樋などの内面に施工される不定形耐火物の施工方法に関するものである。
現在、鉄鋼業における各窯炉設備の築炉作業は、耐火物の有効使用比率の向上、施工の機械化、熟練工の不足などの理由から、従来の耐火れんが(定形耐火物)を積み上げる施工方法に代わって、不定形耐火物を用いた流し込み施工方法が主流になりつつある。不定形耐火物を用いた流し込み施工方法とは、不定形耐火物を水と混練してスラリー状不定形耐火物とし、これを施工部位へ流し込み施工して施工体を形成し、その後、乾燥・養生して耐火物施工体を形成する方法である。
不定形耐火物で形成された施工体は、スラリー状の不定形耐火物として流し込み施工するために必要な施工用水分、及び、結合反応用として必要な水分を含んでいる。このうちの施工用水分を乾燥させるために、昇温し、水蒸気化して脱水する操作が必要になる。この操作過程で蒸気化が急激に起こると、施工体内に高い蒸気圧が発生し、そのエネルギーによって爆裂現象が発生し、施工体が破損する場合がある。
加えて近年、不定形耐火物の耐食性を向上させるために超微粉を多用する緻密化技術が普及し、その結果、従来に比べて乾燥中の爆裂の危険性が高くなってきている。また、養生時の温度や水分量の変動によっても、施工体の緻密さや強度が変化するため、爆裂や亀裂の発生することが多々認められた。
このように、不定形耐火物を用いた流し込み施工方法においては、従来にも増して施工体の乾燥制御が重要になっている。ところで、従来の乾燥方法としては、不定形耐火物で形成された施工体の稼働面をバーナーにて加熱し、施工体中の水分を蒸気化して乾燥する方法が広く採用されている。
しかしながら、この乾燥方法では、施工体の強度が十分に発現していない状態で実施されるため、乾燥途中で施工体中の水蒸気圧が施工体の強度を上回り、爆裂したり、或いは爆裂に至らなくても亀裂や内部欠陥が発生したりすることが多々見受けられた。
その対策として、例えば特許文献1には、不定形耐火物を内張りした溶融金属容器全体を真空保持し、その後、不定形耐火物を加熱・焼成する乾燥方法が開示されている。また、文献2には、不定形耐火物を内張りした溶融金属容器の内部空間全体を減圧し、減圧下でマイクロ波を照射して不定形耐火物を乾燥する方法が開示されている。
特開平4−116379号公報
特開平6−300438号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された方法では、溶融金属容器全体を真空雰囲気下または減圧雰囲気下にする必要があり、加えて特許文献2に開示された方法では、マイクロ波装置を溶融金属容器内に設置する必要があることから、これらの技術は、移動不可能な溶融金属容器或いは溶融金属設備には適用できないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、移動不可能な溶融金属容器或いは溶融金属設備であっても流し込み施工された不定形耐火物を減圧下の雰囲気で乾燥させることができ、爆裂や亀裂を発生させることなく、施工後に緻密で耐用性が高く且つ表面の平滑な耐火物構造体を得ることのできる、不定形耐火物の施工方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る不定形耐火物の施工方法は、不定形耐火物を水と混練してスラリー状不定形耐火物とし、該スラリー状不定形耐火物を流し込んで施工体を形成し、該施工体の表面に、複数の孔を有する面状部材と該面状部材の施工体に接触する面とは反対側の面に設置された突起部材とを備えたフィルターパッドを載せ、更に、該フィルターパッドを覆うためのトップカバーを被せ、その後、前記フィルターパッドとトップカバーとの間隙を排気すると同時に前記施工体を加熱することを特徴とするものである。
第2の発明に係る不定形耐火物の施工方法は、第1の発明において、前記トップカバーの端部と前記施工体との接触部をシール処理することを特徴とするものである。
本発明に係る不定形耐火物の施工方法を採用することにより、移動不可能な溶融金属容器或いは溶融金属設備であっても減圧下における脱水・乾燥処理を行うことが可能となり、乾燥に伴う爆裂や亀裂を発生させることなく、緻密で且つ表面の平滑な、耐用性の高い不定形耐火物構造体を得ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明するが、本発明は添付図面の形状に限定されるものではない。先ず、本発明の第1の実施の形態例について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態例を示す図であって、成型用の中子を使用せずに溶融金属保持容器の内張り耐火物を本発明方法によって施工する例を示す概略図、図2は、図1に示すA部拡大図である。
図1〜2に示すように、外殻を鉄皮2とし、その内側に永久張り耐火物層3の施工された溶融金属保持容器1の底部に、内張り耐火物としてスラリー状の不定形耐火物を流し込み、不定形耐火物の施工体4を形成する。不定形耐火物の施工体4が形成されたなら、施工体4の表面に、複数の孔5cを有し、施工された施工体4の表面に沿った面状の部材5a(以下、「面状部材5a」と称す)と、この面状部材5aの施工体4と接触する面とは反対側の面に設置された突起状の部材5b(以下、「突起部材5b」と称す)と、から構成される耐火物押え板5(以下、「フィルターパッド5」と称す)を載せ、更に、フィルターパッド5の上にフィルターパッド5を覆うようにして被覆カバー6(以下、「トップカバー6」と称す)を覆い被せる。この場合、フィルターパッド5が全てトップカバー6によって覆われるように、トップカバー6を覆い被せる必要がある。また、図1では、施工体4とフィルターパッド5とトップカバー6との位置関係を明確するために、トップカバー6が施工体4の全体を覆っていないが、同時期に流し込み施工された施工体4の可能な限り広い範囲をトップカバー6で覆うことが好ましい。トップカバー6には、トップカバー6を貫通し且つトップカバー6と密閉状態で連結するパイプ7が取り付けられており、このパイプ7の他端は、水分分離槽8を経由して真空ポンプ9に連結されている。
ここで、内張り耐火物とは、溶融金属や溶融スラグと直接接触する部位に使用する耐火物であり、ワーク耐火物或いはワーク煉瓦とも呼ばれている。内張り耐火物は使用回数の増加に伴って損耗するので、残存厚みが所定値になったなら、解体されるか或いは表面の変質部を取り除いた後に新たに施工されるものである。これに対して、永久張り耐火物層3は、本質的には損耗することがなく、解体時の衝撃などによって破損しない限り半永久的に使用されるものである。施工体4を形成するための不定形耐火物は、流し込み施工用の不定形耐火物であるならばどのような組成であっても本発明方法を適用することができる。
フィルターパッド5は、図2に示すように、複数個の孔5cを有する面状部材5aと、面状部材5aから突出するように面状部材5aに一体的に設置された複数個の突起部材5bとにより構成されている。そして、面状部材5aの突起部材5bが設置されていない平滑な側の面が施工体4と接触し、突起部材5bの設置された側の面がトップカバー6で覆われている。面状部材5aに設置された孔5cは施工体4に残留する空気及び水分を通すためのものであり、突起部材5bは、孔5cを通ってくる空気及び水分の流路を確保するためのものである。即ち、トップカバー6でフィルターパッド5を覆ったときに、対向する突起部材5b,5b間に間隙が形成され、この間隙が空気及び水分の流路となる。
このようにして構成されるフィルターパッド5及びトップカバー6を施工体4の上に載せたなら、真空ポンプ9を作動させる。作動した真空ポンプ9によってトップカバー6で覆われた範囲がパイプ7を介して排気される。真空ポンプ9の作動によってトップカバー6で覆われた範囲が排気されると、フィルターパッド5とトップカバー6とで囲まれる空間10が減圧状態になるため、図3に示すように、トップカバー6がフィルターパッド5に密着し、更に、フィルターパッド5及びトップカバー6は、空間10の圧力と大気圧との圧力差に基づき施工体4に密着する。ここで、図3は、フィルターパッド5とトップカバー6との間隙を排気した状態を示す概略図である。
フィルターパッド5には孔5cが設けられているため、空間10が減圧下に曝されると施工体4のフィルターパッド5と接触する部位の表面も減圧された状態になり、施工体4に残留する空気及び水分が、孔5c、空間10及びパイプ7を通り、真空ポンプ9によって排出される。排出される水分は水分分離槽8で凝縮される。
このように、施工体4に残留する空気及び水分が強制的に除去されて、施工体4は乾燥していく。ところが、減圧状態が続くと、不定形耐火物と水との結合反応により生ずる熱が排気ガスとともに系外に流出していくので、施工体4の温度は上昇せず、却って温度が低下する。その結果、空間10の飽和水蒸気圧が減少して、脱水速度が低下してしまう。そこで、脱水速度を低下させないようにするために、真空ポンプ9による排気中に、施工体4を加熱し昇温する。
施工体4を加熱する方法としては、フィルターパッド5の内部にヒーター(図示せず)を内蔵させ、このヒーターにより加熱したり、トップカバー6の外側の雰囲気を温風または熱風にしたり、或いは、施工体4をバーナーで加熱したりする方法を用いることができる。要は、施工体4が加熱できるならば、どのような方法であっても構わない。但し、加熱しすぎて施工体4の温度を高くしすぎると、施工体4に爆裂や亀裂が発生するので、施工体4の温度が100℃を超えないようにすることが好ましい。
かくして、施工体4の残留水分は迅速に除去され、施工体4は緻密化し、耐火物としての耐用性が向上する。また、残留水分が迅速に除去されることから、施工後の養生時間が短縮され、更に、残留水分が抜けた後には水の抜け道が形成され、且つ、含水率が絶対的に小さいことから、養生時の加温・加熱による施工体4の爆裂が抑制される。施工体4と接触するフィルターパッド5の面は、突起部材5bが設置されていない平滑な側の面であるので、施工体4の表面は凹凸のない平滑面となる。また、本発明では、フィルターパッド5、トップカバー6及び真空ポンプ9の組み合せにより、施工体4を減圧雰囲気にすることができるので、移動不可能な溶融金属容器或いは溶融金属設備であっても問題なく対処することができる。
トップカバー6の内部を真空ポンプ9によって排気する際に、トップカバー6の内部の気密性を確保するには、トップカバー6の端部と施工体4とが密着することが重要である。成型用の中子を用いる場合には、後述するように施工体4と中子との間にトップカバー6が配置されるので、常にトップカバー6の端部と施工体4とが密着した状態になるが、中子を使用しない場合には、施工体4の乾燥状態に応じて密着度が変化する。
つまり、流し込み直後の施工体4は水分を含んでいるので、その上にトップカバー6を置くことで、水を介してトップカバー6の端部と施工体4とが密着する。このため、常温で真空ポンプ9による排気(「真空処理」と称す)を実施した場合には、水分が存在する時間が長いので、十分に真空処理することができる。しかしながら、施工体4を加熱した場合には、施工体4から排出される水が直ちに蒸発してしまうため、トップカバー6の端部と施工体4との間に間隙が形成され、常温での真空処理に比べて短時間のうちに、トップカバー6の内部の気密性が低下する。
そこで、この問題を解決するために、トップカバー6の端部と施工体4との接触部をシール処理することが好ましい。このシール処理は、トップカバー6の端部と施工体4との接触部に間隙を生じさせないようにするものであれば、どのような方法であっても構わない。具体的には、トップカバー6の端部と施工体4とが接触する部分にグリースを塗って両者を密着させる方法、トップカバー6の端部と施工体4との境界を、粘土、プラスチック耐火物、ラミング耐火物、スタンプ材、パッチング材などの耐火物系材料、或いは、シリコーン剤、エポキシ剤などの有機系材料で覆い被せる方法、トップカバー6の端部を施工体4の中に埋没させる方法などが挙げられる。図4に、トップカバー6の端部と施工体4との境界部に、トップカバー6の端部を覆うようしてプラスチック耐火物12を施工し、トップカバー6の端部と施工体4との境界を覆い被せた例を示す。シール処理する時期は、施工体4を加温する前までの期間、或いは、加温した後のまだ施工体4に水分が残っている状態の期間が好ましい。
排気及び加熱による施工体4の脱水・乾燥に必要な時間及び空間10の真空度に関しては、特に規定する必要はないが、上記効果を確実に得るためには、排気処理時間は流し込み施工終了時間から24時間以内とすること、及び、空間10の真空度は500mmHg(667hPa)以下とすることが好ましい。
フィルターパッド5の材質は、フィルターパッド5とトップカバー6との間隙を排気したときに、施工体4と接触する側の面が大きく変形しない程度の硬さを有する材料であれば、金属、プラスチックなど、どのような材料でも使用することができる。特に、軽量で作業性の良い硬質プラスチックなどが好適である。図2では、面状部材5aと突起部材5bとが一体になったフィルターパッド5を示しているが、面状部材5aと突起部材5bとを分離してもよく、また、面状部材5aの上に上記突起部材5bの代わりに網状の部材、例えば金網などを載せてもよい。
また更に、面状部材5a及び突起部材5bを用いずに、2枚以上の篩網を重ねたものをフィルターパッド5とすることもできる。例えば、見開き寸法が75μm(200メッシュ)の篩網と、見開き寸法が500μm(36メッシュ)の篩網とを用い、200メッシュの篩網を施工体4と接触させ、その上に36メッシュの篩網を乗せてたものを、フィルターパッド5とすることができる。目の細かい200メッシュの篩網を施工体4に接触させることで、耐火物粒子を通さずに水及び空気だけが通過し、200メッシュの篩網を通過した水及び空気は36メッシュの篩網を通って水平方向に移動し、パイプ7から排出される。篩網の組み合わせからなるフィルターパッド5は、施工時に成型用の中子を使用する場合に特に好適である。中子を使用する場合には、中子によって施工体4の形状が決定され、フィルターパッド5には施工体4を保持する強度が必要とされないからである。
要は、トップカバー6でフィルターパッド5を覆って減圧したときに、フィルターパッド5とトップカバー6との間に、空気及び水分の流路となる、空間が形成されるならば、どのような形状をしていても構わない。
フィルターパッド5の面状部材5aに設置する孔5cの大きさは、水分を通し、施工体4の耐火物成分が多量に流出しない程度の大きさとすることが好ましい。具体的には、孔5cの大きさを等面積相当円直径で0.1〜3mm程度とすればよい。また、孔5cの設置数は、面状部材5aの面積10cm2 当たり1〜10個程度とすればよい。
トップカバー6は、トップカバー6で覆った範囲の気密性を確保するためのものであり、従って、フィルターパッド5の全てを覆う大きさを有し、柔軟性を有するとともに空気を遮断する気密性のある材料の膜状材料を使用することとする。このような材料を使用してフィルターパッド5を覆うことにより、トップカバー6に連結したパイプ7を介して排気したときに、フィルターパッド5とトップカバー6との間隙の圧力が減圧し、施工体4に残留する空気及び水分を強制的に排出することができる。柔軟性と気密性とを併せ持つ材料としては、ビニールシートなどの樹脂シートやゴムシートなどが挙げられる。また、施工体4は加熱されるので、耐熱性を考慮した場合には、アルミ箔、ステンレス箔などの金属材料、或いは、シリコーンシート、フッ素樹脂シートなどの有機系材料を用いることが好ましい。
尚、図1において、永久張り耐火物層3は、定形耐火物を例示しているが、定形耐火物に限るものではなく、不定形耐火物であってもよく、また、永久張り耐火物層3は必ずしも必要ではなく、鉄皮2に施工体4を直接施工してもよい。また、図1では、内張り耐火物を施工する際に本発明を適用しているが、本発明は不定形耐火物で構成される永久張り耐火物層の施工においても適用することができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態例について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態例を示す図であって、成型用の中子を使用して溶融金属保持容器の内張り耐火物を本発明方法によって施工する例を示す概略図、図6は、図5において、成型用の中子とトップカバー、フィルターパッドの位置関係を示す概略図である。図5及び図6において、1Aは取鍋型の溶融金属保持容器、11は鉄鋼製の中子であり、その他、図1に示すものと同一の機能を有するものには形状が異なるものでも同一符号を付けて表示しており、その説明は省略する。
図5に示すように、溶融金属保持容器1Aは、外殻を鉄皮2とし、鉄皮2の内面側には、定形耐火物または不定形耐火物からなる永久張り耐火物層3が施工されている。この溶融金属保持容器1Aの所定位置に中子11を設置して不定形耐火物の流し込み施工を行うに当たり、先ず、中子11の外周面即ち施工体4の成型面に、外面側をフィルターパッド5とし、内面側をトップカバー6として、フィルターパッド5及びトップカバー6を装着する。図5は、中子11の底部と側壁とに分離してフィルターパッド5及びトップカバー6を設置した例を示している。
フィルターパッド5及びトップカバー6を装着する方法は、例えば、図6に概要を示すように、中子11の外周面に適宜の接着剤などによってトップカバー6を取り付け、更に、取り付けたトップカバー6の外側の面に適宜の接着剤などによってフィルターパッド5を取り付ける、などによってなすことができる。トップカバー6の気密性を確保するため、フィルターパッド5及びトップカバー6の取り付けの際にトップカバー6に穴などを開けないようにすることが必要である。そして、トップカバー6に、中子11を貫通するパイプ7をトップカバー6と気密性を確保した状態で取り付ける。このパイプ7の他端は、水分分離槽8を経由して真空ポンプ9に連結されている。1つのフィルターパッド5と1つのトップカバー6を1組としたときに、1組のフィルターパッド5及びトップカバー6に対して少なくとも1つのパイプ7を配置することとする。フィルターパッド5及びトップカバー6は、前述した図2に示すものと同一の構成である。
このように構成される中子11を溶融金属保持容器1Aの所定位置に配置し、永久張り耐火物層3と中子11との間隙に、スラリー状の不定形耐火物を内張り耐火物として流し込み、施工体4を形成する。施工体4が形成されたなら、真空ポンプ9を作動して、フィルターパッド5とトップカバー6とで囲まれる間隙を排気する。この排気と同時に、施工体4を加熱する。施工体4の加熱方法は、第1の実施の形態例で説明した方法に準じて実施する。
この排気及び加熱によって、前述した第1の実施の形態例と同様に施工体4に残留する空気及び水分がフィルターパッド5の孔5cを通り迅速に排出される。また、フィルターパッド5とトップカバー6とで囲まれる間隙が減圧することにより、中子11は大気圧によって施工体4と密着する。この場合、フィルターパッド5及びトップカバー6の材質、排気処理時間、真空度、孔5cの大きさ及び設置個数などは、前述した第1の実施の形態例に準じて実施することとする。
このようにして不定形耐火物を流し込み施工することで、施工体4に残留する空気及び水分が強制的に除去されるため、施工体4は緻密化し、且つ表面が平滑であるため、耐火物としての耐用性が向上する。また、残留水分が迅速に除去されることから、施工後の養生時間が短縮され、更に、残留水分が抜けた後には水の抜け道が形成され、且つ、含水率が絶対的に小さいことから、養生時の加温・加熱による施工体4の爆裂が抑制される。また、フィルターパッド5を介して施工体4の表面を押圧しながら養生するので、施工体4の表面はフィルターパッド5の下面を転写することになり、自由表面の状態で施工される場合に比べてその表面は緻密で平滑となり、耐火物の耐用を向上させることができる。
尚、図5では、中子11の底部と側壁とに分離して1組のフィルターパッド5及びトップカバー6を設置しているが、中子11の外周全体を1組のフィルターパッド5及びトップカバー6で覆ってもよく、また、幾つかの部分に分割してもよい。また、図5では溶融金属保持容器1Aの施工について説明しているが、本発明は溶融金属保持容器1Aの施工に限るものではなく、例えば出銑樋などの施工においても適用することができる。
本発明方法の効果を確認するために、溶鋼を収容する取鍋の内張り耐火物を不定形耐火物で施工する際に、前述した図5に示す方法により本発明を適用した。また、比較のために、流し込み施工後静置して養生する従来の施工方法も実施した。使用した不定形耐火物の組成は、Al2 O3 が90質量%、MgOが8質量%、CaOが1質量%、SiO2が1質量%であり、施工時、水分の添加量は不定形耐火物100質量部に対して6質量部とした。
本発明例1:中子の周りに、トップカバーとラバーヒーター付きのフィルターパッドとを取り付け、この中子を取鍋に設置し、中子と取鍋の永久張り耐火物層との間隙に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、ラバーヒーターの温度を70℃として施工体を加熱しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、中子、トップカバー及びラバーヒーター付きのフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
本発明例2:中子の周りに、トップカバーとフィルターパッドとを取り付け、この中子を取鍋に設置し、中子と取鍋の永久張り耐火物層との間隙に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、中子内に約120℃の温風を流して施工体を加熱しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、中子、トップカバー及びフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
従来例1:トップカバー及びフィルターパッドが取り付けられていない中子を取鍋に設置し、中子と取鍋の永久張り耐火物層との間隙に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。施工後12間静置し、その後、中子を取り外し、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
この本発明例1、本発明例2及び従来例1による施工方法において、900℃まで加熱して乾燥させた後の施工体を観察し、各施工体における爆裂の有無を調査した。その結果、本発明例1及び本発明例2では爆裂は発生していなかったが、従来例1では爆裂が発生しており、修理を要した。また、本発明例1及び本発明例2による施工体では、従来例1に比べて損耗速度が遅く、長期間に亘って取鍋を使用することができた。
本発明方法の効果を確認するために、溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を施工する際に、前述した図1に示す方法により本発明を適用した。また、比較のために、流し込み施工後静置して養生する従来の施工方法も実施した。使用した不定形耐火物の組成は、Al2 O3 が55質量%、SiO2が44質量%、CaOが1質量%であり、施工時、水分の添加量は不定形耐火物100質量部に対して7質量部とした。
本発明例3:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、施工体の上にフィルターパッド及びトップカバーを取り付け、また、トップカバーと施工体との境界部にプラスチック耐火物を施工し、プラスチック耐火物でトップカバーの端部と施工体との境界部を覆い被せた。雰囲気を熱風乾燥機で加熱して、雰囲気温度を120℃に維持しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、トップカバー及びフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
本発明例4:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、施工体の上にフィルターパッド及びトップカバーを取り付け、また、トップカバーと施工体との境界部にプラスチック耐火物を施工し、プラスチック耐火物でトップカバーの端部と施工体との境界部を覆い被せた。雰囲気を熱風乾燥機で加熱して、雰囲気温度を120℃に維持しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、トップカバー及びフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて400℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
本発明例5:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、施工体の上にフィルターパッド及びトップカバーを取り付けた。雰囲気を熱風乾燥機で加熱して、雰囲気温度を120℃に維持しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、トップカバー及びフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
本発明例6:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した。その後、施工体の上にフィルターパッド及びトップカバーを取り付けた。雰囲気を熱風乾燥機で加熱して、雰囲気温度を120℃に維持しながら、トップカバーとフィルターパッドとの間隙を真空ポンプで吸引した。加熱及び吸引を12時間継続した。その後、トップカバー及びフィルターパッドを取り外し、パイロットバーナーを用いて400℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
従来例2:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した後、12時間養生した。その後、パイロットバーナーを用いて200℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
従来例3:溶融金属収容容器の上蓋に不定形耐火物を流し込んで施工体を形成した後、12時間養生した。その後、パイロットバーナーを用いて400℃/hrの昇温速度で900℃まで加熱して乾燥させた。
この本発明例3〜6及び従来例2,3による施工方法において、900℃まで加熱して乾燥させた後の施工体を観察し、各施工体における爆裂の有無を調査した。その結果、本発明例3〜5では爆裂は発生していなかったが、従来例2,3では爆裂が発生しており、大幅な修理を要した。本発明例6では軽微な爆裂が観察されたが、これは、乾燥時の昇温速度が400℃/hrと速いためである。但し、乾燥時の昇温速度が速いにも拘わらず軽微の修理で済んだ。
これに対して、トップカバーの端部をプラスチック耐火物でシール処理した本発明例4では、400℃/hrの昇温速度であるにも拘わらず、爆裂を防止することができた。これは、トップカバーの端部をシール処理したことによって、脱水・乾燥が十分に行われたためである。
表1に、本発明例3〜6及び従来例2,3の施工方法、乾燥時の昇温速度及び爆裂の有無をまとめて示す。
本発明方法は、溶融金属を保持する容器や溶融金属を流して通す樋などの内面の不定形耐火物の施工方法に有効に利用できる。
1 溶融金属保持容器
1A 溶融金属保持容器
2 鉄皮
3 永久張り耐火物層
4 施工体
5 フィルターパッド
5a 面状部材
5b 突起部材
5c 孔
6 トップカバー
7 パイプ
8 水分分離槽
9 真空ポンプ
10 空間
11 中子
12 プラスチック耐火物
1A 溶融金属保持容器
2 鉄皮
3 永久張り耐火物層
4 施工体
5 フィルターパッド
5a 面状部材
5b 突起部材
5c 孔
6 トップカバー
7 パイプ
8 水分分離槽
9 真空ポンプ
10 空間
11 中子
12 プラスチック耐火物
Claims (2)
- 不定形耐火物を水と混練してスラリー状不定形耐火物とし、該スラリー状不定形耐火物を流し込んで施工体を形成し、該施工体の表面に、複数の孔を有する面状部材と該面状部材の施工体に接触する面とは反対側の面に設置された突起部材とを備えたフィルターパッドを載せ、更に、該フィルターパッドを覆うためのトップカバーを被せ、その後、前記フィルターパッドとトップカバーとの間隙を排気すると同時に前記施工体を加熱することを特徴とする、不定形耐火物の施工方法。
- 前記トップカバーの端部と前記施工体との接触部をシール処理することを特徴とする、請求項1に記載の不定形耐火物の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007024282A JP2007255883A (ja) | 2006-02-24 | 2007-02-02 | 不定形耐火物の施工方法 |
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
JP2006047999 | 2006-02-24 | ||
JP2007024282A JP2007255883A (ja) | 2006-02-24 | 2007-02-02 | 不定形耐火物の施工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007255883A true JP2007255883A (ja) | 2007-10-04 |
Family
ID=38630300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007255883A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101424639B1 (ko) * | 2012-09-24 | 2014-07-31 | 주식회사 포스코 | 내화물 수분 제거 장치 |
-
2007
- 2007-02-02 JP JP2007024282A patent/JP2007255883A/ja active Pending
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