JP2007246486A - メタノールの製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタノールを高収率で、大量に合成でき、稼動動力の削減可能なメタノールの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】合成ガスを昇圧する複数のコンプレッサと、該コンプレッサ群後段に設けられる主反応器と、前記複数のコンプレッサの少なくとも一つのコンプレッサの出口に設けられる一つ以上のプレリアクターと、該プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器と、を含むメタノール製造装置に対し、前記反応生成物の分離器の後流に該分離器によって分離された凝縮水を粗メタノールと該粗メタノールに溶存していた未反応ガス成分とに分離するプレリアクター後流第2の分離器を設け、さらに、前記分離された未反応ガスを前記複数のコンプレッサ群の前流に還流させる未反応ガス回収流路と、前記分離された粗メタノールを前記主反応器から得られた粗メタノールを運ぶ流路に合流させるメタノール回収流路と、を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メタノールを高い収率で、大量に合成することができ、稼動に必要な動力も削減することのできるメタノールの製造装置および製造方法に関する。
メタノールは、ジメチルエーテル、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)、ガソリン、石油化学中間製品、さらに水素、一酸化炭素、都市ガスの製造などの原料として、また燃料用としても、益々需要が多くなってきており、大型のメタノール合成プラントが建設されるようになってきている。
現在、メタノールは、天然ガス等の炭化水素を原料として、この原料ガスを改質して水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素を主成分とする合成ガスとし、得られた合成ガスを触媒反応させることにより、工業的に製造されており(例えば、特許文献1を参照)、ジメチルエーテルはメタノールを原料として工業的に製造されている。
合成ガスを触媒の存在下で反応させてメタノールを合成するには、反応に先立って、合成ガスを高圧にする必要がある。反応時の好ましい圧力は、50〜150kgf/cm2であり、合成ガスをこのような高圧状態にまで昇圧した後に反応させる。このため、従来は合成ガスを多段式のコンプレッサにより昇圧し、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒の充填された合成塔に供給する方法により、メタノールが製造されてきた。このような方法は、合成ガスの昇圧に利用されるエネルギーが極めて大きいため、大型のメタノール合成プラントにおいては、エネルギー的に不利な面があった。
これに対して、原料ガスから触媒反応によりメタノールを大量合成するのに好適な、稼動に必要な動力が削減されたメタノールの製造方法および装置が提供されている(特許文献2)。この特許文献2に開示の製造装置は、原料ガスを昇圧する複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器と、前記多段式コンプレッサ群を構成する複数のコンプレッサのうち、少なくとも一つ以上のコンプレッサの出口に設けられる一つ以上のプレリアクターと、該プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器とを含んでなり、前記主反応器とプレリアクターとにメタノール合成触媒が備えられている。
この特許文献2に開示の製造装置では、多段式コンプレッサ群に含まれる複数のコンプレッサのうち、最後段に位置するコンプレッサの出口には、通常、プレリアクターが設けられることはなく、主反応器が設けられる。
ここで、「複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群」とは、複数のコンプレッサが直列に連結して、原料ガスを段階的に昇圧することができる装置を意味する。「直列に連結される」とは、あるコンプレッサと別のコンプレッサとが、それらの間に別の装置を介さずに直接に連結されてもよく、それらの間に別の装置を介して連結されてもよいことを意味している。
また、「コンプレッサの出口に設けられる一つ以上のプレリアクター」とは、コンプレッサとプレリアクターとの間に、別のコンプレッサや反応器など、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、コンプレッサの直後にプレリアクターが設置されることを意味する。ただし、コンプレッサとプレリアクターと間に熱交換器を介している場合も含まれる。
「プレリアクターの出口に設けられる分離器」とは、プレリアクターと分離器との間に、コンプレッサや反応器等の、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、プレリアクターの直後に分離器が設置されることをいう。ただし、プレリアクターと分離器との間に熱交換器を介している場合も含まれる。また、「分離器」とは、例えば、気液分離器などをいい、未反応の原料ガスと、生成物および副生成物とを分離することができる装置を意味している。
特公平8−2808号公報 特開2005−125244号公報
前記特許文献2に開示のメタノールの製造装置は、原料ガスから触媒反応によりメタノールを大量合成するのに好適で、稼動に必要な動力を削減することのできる、優れた装置であるが、さらに性能の向上を図るためには、以下のような点を改善すべきであることが判明した。
前記特許文献2の製造装置は、多段コンプレッサ群とプレリアクターとの組み合わせにより、大型のプラントによるメタノールの製造が有利となっているが、プレリアクターで未反応の一酸化炭素および二酸化炭素が予備合成されたメタノールに溶け込みロスを生じることが、より一層の収率向上のネックとなっている。これらの原料および生成メタノールの損失を解消できれば、メタノールを高い収率で、大量に合成することができ、稼動に必要な動力も削減することのできるメタノールの製造方法および装置を提供することができる。
本発明は、前記従来の事情に鑑みてなされたもので、その課題は、メタノールを高い収率で、大量に合成することができ、稼動に必要な動力も削減することのできるメタノールの製造装置および製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の発明は、原料ガスを改質器により改質して得られた合成ガスを昇圧する複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器と、該多段式コンプレッサ群を構成する複数のコンプレッサのうち、少なくとも一つ以上のコンプレッサの出口に設けられる一つ以上のプレリアクターと、該プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器と、を含んでなり、該主反応器と該プレリアクターとに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられているメタノールの製造装置において、前記プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器の後流に該分離器によって分離された凝縮水を粗メタノールと該粗メタノールに溶存していた未反応ガス成分とに分離するプレリアクター後流第2の分離器が設けられ、さらに、前記第2の分離器で分離、回収された未反応ガスを前記多段式コンプレッサ群の前流に還流させる未反応ガス回収流路と、前記第2の分離器で分離された粗メタノールを前記主反応器から得られた粗メタノールを運ぶ流路に合流させるメタノール回収流路と、が設けられていることを特徴とするメタノールの製造装置にある。
本発明の第2の発明は、炭化水素を主成分とする原料ガスを改質して得た合成ガスを昇圧する複数の昇圧ステップと、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる主合成ステップと、前記複数の昇圧ステップのうち一つ以上の昇圧ステップの後に、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる予備合成ステップと、前記予備合成ステップで製造された生成物から粗メタノールを分離された残部の凝縮水から該凝縮水に溶存している未反応ガスを分離し、分離した未反応ガスを前記昇圧ステップに供する合成ガスに還流するプレサーキュレートステップと、を含むことを特徴とするメタノールの製造方法にある。
本発明の第3の発明は、前記第2の発明において、前記合成ガスの圧力を少なくとも2MPaGに調節するとともに、前記残部の凝縮水から未反応ガスを分離するためのフラッシュ圧を前記合成ガスの圧力以上に調節することを特徴とするメタノールの製造方法にある。
本発明において、分離器として気液分離器を用いて説明するが、本発明の分離器はこれには限定されない。
また、メタノール合成触媒としては、Cu、ZnおよびM(アルカリ土類金属元素および希土類元素から選ばれる少なくとも1つ以上の元素)を含む酸化物からなるものを使用することができる。
本発明の好ましい形態によれば、該複数の昇圧ステップのうち、最後の昇圧ステップの後には、通常、予備合成ステップが行われることはなく、主合成ステップが行われる。
前記予備合成ステップと、分離ステップとが連続して2回以上繰り返されることが好ましい。このとき、予備合成ステップにより過度に昇温されるのを防ぐために、間に冷却ステップを含むことが好ましい。
前記複数の昇圧ステップのうち、第一の昇圧ステップで、前記合成ガスが少なくとも2〜10MPaGにまで昇圧されることが好ましい。予備合成ステップおよび主合成ステップは、150〜300℃で実施されることが好ましい。
本発明によれば、プレリアクターの出口においてメタノールと溶存CO、CO2とを気液分離し、メタノールは粗メタノールタンクに回収し、分離したCO、CO2はプレリアクターの前流に還流させてメタノール転化に再利用することができる。それによって、装置の使用エネルギー単位量当たりのメタノール収率を向上でき、原料の利用効率も高めることができる。
以下に、図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明を限定するものではない。
図1に、本発明の一実施形態にかかるメタノールの製造装置の概略構成を示す。本製造装置では、まず、メタノール合成の原料ガスと水蒸気とが改質器1に導入され、この改質器1において原料ガスが水蒸気によって改質され、H2と、COと、CO2とを主成分として含む合成ガスを生成する。生成された合成ガスは、合成ガス流路2から導出され、メタノール合成装置3に送り込まれる。
メタノール合成装置3は、第1のコンプレッサ4と、第1の熱交換器5と、第1の気液分離器6と、第2のコンプレッサ4aと、プレリアクター7と、第2の熱交換器5aと、第2の気液分離器6aと、第3のコンプレッサ4bと、主反応器8と、第3の熱交換器5bと、第3の気液分離器6bと、サーキュレータ9と、プレサーキュレータ10を含んでなる。
合成ガスは、一般的に2MPaG程度の圧力となっている。コンプレッサ4、4aは、かかる合成ガスを、メタノール合成に好適な圧力にまで多段式(図では2段)で昇圧する装置である。これらを多段式のコンプレッサ群とよぶ。本実施形態においては、2つのコンプレッサは直列に連結されて、常圧から2MPaG程度の合成ガスを、2つのコンプレッサを経て、10MPaG程度までに昇圧する。これらのコンプレッサ4、4aは、全て同じものであってよく、例えば、遠心式のコンプレッサ等を使用することができるがこれには限定されない。
特に、第1のコンプレッサ4は、2MPaG程度の合成ガスを、少なくとも10MPaG程度にまで昇圧できる装置であればよい。メタノール合成触媒により、合成ガスからメタノールを合成することができる最低限の圧力にまで昇圧することができる装置が好ましいからである。したがって、第1のコンプレッサ4は、さらに高い圧力にまで昇圧するものでもよい。
プレリアクター7は、反応器内部にメタノール触媒が充填されており、反応器内部をメタノール合成反応に好適な所定の温度、圧力条件に保持して、メタノール合成を実施することができる装置である。プレリアクター7は、第2のコンプレッサ4aの出口に設けられる。プレリアクター7では、合成ガスの少なくとも一部を反応させて、メタノールを製造することができる。
プレリアクター7に充填するメタノール合成触媒としては、従来から知られている触媒を使用することができる。従来から知られているメタノール合成触媒としては、Cu、ZnおよびM(アルカリ土類金属元素および希土類元素から選ばれる少なくとも1つ以上の元素)を含む酸化物からなるものを用いることができる。また、これらに加えて、ガリウム、マンガン、インジウムの一種以上の金属酸化物を含むものであってもよい。しかしながら、本発明の合成装置に備えるメタノール合成触媒の種類は、これらには限定されない。また、メタノール合成触媒の形状は、板状、粒状、タブレット、ラシヒリング、ベルサドル、モノリス型の触媒とすることができる。このような形状とするためには、触媒組成物を上述の形状に成型することもできる。しかしながら、本発明の合成装置に備えるメタノール合成触媒の形状は、これらには限定されない。
熱交換器5aおよび5bは、それぞれプレリアクター7および主反応器8を経て、150〜300℃に温度上昇した未反応の合成ガスと、生成物である水とメタノールとの混合物を、10〜90℃、好ましくは15〜50℃にまで冷却する装置である。また、熱交換器5は、プレリアクター7に導入される合成ガスをメタノール合成反応に適した温度とするために150〜250℃まで加熱する装置である。これらの熱交換器は、既知の市販のものを用いることができる。例えば、多管式やプレート式の熱交換器を用いることができるが、これらには限定されない。
気液分離器6および6aはそれぞれ、熱交換器5および5aで冷却され発生する凝縮水を未反応の合成ガスから分離する装置であり、気液分離器6bは主反応器8から導出された生成物が熱交換器5bで冷却されて発生したメタノールと副生成物である水とを、未反応の合成ガスから分離する装置である。これらの気液分離器は、既知の市販の気液分離器であってもよい。メタノールと水のみが凝縮し、合成ガスが気体の状態にある温度、圧力条件として、メタノールと水を分離し、抜き出すことができる装置を用いることができる。例えば、縦置き型のベッセルタンクを用いることができるが、これには限定されない。
主反応器8は、その内部にメタノール触媒が充填されており、その内部をメタノール合成反応に好適な所定の温度、圧力条件に保持して、メタノール合成を実施することができる装置である。主反応器8としては、例えば、特開2001−009265号公報に開示されている装置を使用することができるが、これには限定されない。主反応器は、合成塔であってよい。また、充填する触媒は、プレリアクター7に充填する触媒として説明した上述のメタノール合成触媒と同じ組成、形状のものであってもよく、異なる組成、形状であってもよい。特に、主反応器8は、プレリアクター7と比較して、高圧条件で反応を進行させるため、プレリアクター7に充填するメタノール触媒よりも活性の低い触媒を充填することもできる。
主反応器8のさらに後段には、熱交換器5bが設けられ、その後段に主反応器8で生成されたメタノールと、副生成物である水とを、未反応の合成ガスから分離する気液分離器6bと、未反応の合成ガスを第4のコンプレッサ4cで再圧縮し、主反応器8に循環させるサーキュレータ9とが設けられている。
前記気液分離器6bの後流には、フラッシュバルブ11aを介して気液分離器6cが設けられており、この気液分離器6cでさらに生成メタノールから高揮発性有機成分が分離、除去される。気液分離器6cで分離された粗メタノールは、粗メタノール流路12を介して次工程の蒸留精製塔に送られる。
前記プレリアクター7の出口に設けた熱交換器5aの後流に設置された気液分離器6aには分離された凝縮水を導出する凝縮水流路10aが連結され、前記凝縮水は流路10aに取り付けたフラッシュバルブ11bを介して(プレリアクター後流第2の)気液分離器6dに導かれる。前記凝縮水には、前記プレリアクター7にて生成されたメタノールの一部と未反応ガスの一部が分離されずに溶存している。この凝縮水はバルブ11bによって10MPaG程度の高い圧力にされた後、フラッシュバルブ11bを開くことによって急激に減圧されて、気液分離器6d内でメタノールを含む水と未反応ガスとに分離され、メタノールを含む水(粗メタノール)は、メタノール回収流路10bを介して前記粗メタノール流路12に合流される。一方の分離された未反応ガスは未反応ガス回収流路10cを介して前記第1のコンプレッサ4に還流される。なお、前記凝縮水流路10a、メタノール回収流路10bおよび未反応ガス回収流路10cは、前記プレサーキュレータ10を構成している。
前記構成のメタノールの製造装置において、各流路には、必要に応じてサンプリング弁が設けられている。例えば、合成ガス流路4にはサンプリング弁Aが設けられている。順次、弁Bは第2の気液分離器6aと第3のコンプレッサ4bの間の流路に、弁Cは凝縮水流路10aに、弁Dは粗メタノール流路12に、弁Eは未反応ガス回収流路10cに、弁Fはメタノール回収流路10bに設けられている。
また、本発明にかかるメタノールの製造方法は、前述のように、炭化水素を主成分とする原料ガスを改質して得た合成ガスを昇圧する複数の昇圧ステップと、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる主合成ステップと、前記複数の昇圧ステップのうち一つ以上の昇圧ステップの後に、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる予備合成ステップと、前記予備合成ステップで製造された生成物から粗メタノールを分離された残部の凝縮水から該凝縮水に溶存している未反応ガスを分離し、分離した未反応ガスを前記昇圧ステップに供する合成ガスに還流するプレサーキュレートステップと、を含むことを特徴とする。
図1の製造装置を用いた場合、前記本発明の製造方法における複数の昇圧ステップは、コンプレッサ4、4a、4b、4cによって実現される。また、主合成ステップは主反応器8によって実現され、予備合成ステップはプレリアクター7によって実現され、プレサーキュウレートステップは、プレサーキュレータ10によって実現される。
(実施例1)
この実施例1では、図1に示した実施形態のメタノールの製造装置を用いてメタノールを製造した具体例を説明する。図1に示す製造装置において、各サンプリング弁A〜Fからガスを採取して組成を分析するとともに、各組成分の時間当たりのモル流量を求めた。各サンプリング弁A〜Fの測定箇所にて測定したガス組成分とそれらの時間当たりのモル流量の測定結果を、下記表1に示した。
Figure 2007246486
改質器1により生成した合成ガスの組成は、測定箇所Aの欄に記載のように、CH4、CO、CO2、H2、N2、H2Oであった。そして、これら各組成の時間当たりのモル流量は、CH4が450(k−mol/h)、COが2800(k−mol/h)、CO2が1600(k−mol/h)、H2が11100(k−mol/h)、N2が40(k−mol/h)、H2Oが100(k−mol/h)であり、合計の時間当たりのモル流量は16090(k−mol/h)であった。
図1に示す装置では、前記プレリアクター7の出口に設けた熱交換器5aの後流に設置された気液分離器6aにより未反応ガス成分と分離された生成メタノールを含む凝縮水をフラッシュさせて粗メタノールに溶存している未反応ガスを含水粗メタノールから分離し、含水粗メタノールは粗メタノールとして回収し、未反応ガスは、プレリアクター7に還流して再利用している。
気液分離器6aで分離された凝縮水の組成は、測定箇所Cの欄に記載のように、COが10(k−mol/h)、CO2が50(k−mol/h)、CH3OHが555(k−mol/h)、H2Oが280(k−mol/h)のモル流量となっていた。一方、気液分離器6dで分離された未反応ガスの組成は、測定箇所Eの欄に記載のように、COが9(k−mol/h)、CO2が48(k−mol/h)のモル流量となっており、前記凝縮水に同伴されていた未反応ガスのほとんどが回収されていた。また、気液分離器6dで回収された粗メタノール成分の組成は、測定箇所Fの欄に記載のように、CH3OHが555(k−mol/h)、H2Oが280(k−mol/h)のモル流量となっており、前記凝縮水中のメタノールと水が未反応ガスという不純物を除去された状態で全量回収されていた。また、最終的に得られる総計の粗メタノール量は、測定箇所Dの欄の記載のように、3750(k−mol/h)のモル流量となり、同伴水分量は1280(k−mol/h)のモル流量であった。
(実施例2)
この実施例2では、図1のメタノール製造装置におけるプレリアクター後流でのフラッシュ圧力の好適な値として、単位メタノール生産量当たりのエネルギー消費量が最も低くなる値を求めた。
合成ガス組成は、前述の実施例1と同様であり、プレリアクター7の後流でのフラッシュ圧力、つまりサンプリング弁Cにて確認される圧力を0〜10MPaGまで変動させて、各フラッシュ圧力値と、サンプリング弁Dにて確認されるメタノール生産量、その生産に要したエネルギー消費量、プレサーキュレータ10によりリサイクルされる未反応ガス(CO,CO2)の量、および損失される未反応ガス量との相関関係を測定により求めた。前記生産に要したエネルギー消費量は、改質器1を運転するために要した燃料エネルギー量と、各コンプレッサ4、4a、4b、4cにて加圧するための動力エネルギーとを総計した値とした。また、未反応ガス損失量は、サンプリング弁Aにて測定される合成ガス中のCO、CO2ガス総量から「サンプリング弁Dにて測定されるメタノール量に転化したガス量と、サンプリング弁Eにて測定される未反応ガスリサイクル量の合計量」を差し引いた量である。
測定結果を図2のグラフに示した。グラフの横軸に「プレリアクター後流でのフラッシュ圧力」を0〜10MPaGまで目盛り、左の縦軸にメタノール生産量およびエネルギー消費量を目盛り、右の縦軸には未反応ガスのリサイクル量およびロス量とを目盛った。前記メタノール生産量およびエネルギー消費量は、フラッシュ圧力10MPaGの時のそれぞれの生産量を100とした時の%に換算して示した。
図2に見るように、単位メタノール生産量あたりのエネルギー消費量は、プレリアクター後流でのフラッシュ圧力が2MPaGにおいて最小となっている。これは、第1のコンプレッサ4の前流のガス圧が2MPaGであるため、それ以下までフラッシュ圧力を落とすと、リサイクルの未反応ガス量は増加し、ロスする未反応ガス量が減るが、一方で、2MPaG以下の低圧のコンプレッサの増設が必須となり、その低圧コンプレッサに必要な動力が増加して、結果的に「単位メタノール生産量あたりのエネルギー消費量」が2MPaGのフラッシュ時よりも悪化してしまうことに原因がある。なお、ここで2MPaGという圧力は、原料である炭化水素ガスが元々持っている圧力とほぼ同じ圧力となるため、本発明装置を用いたメタノールの製造における最適なフラッシュ圧力とは、原料の供給圧力により適宜に調整されるものであることに注意が必要である。
(比較例1)
この比較例1では、前記実施例1に対する比較のために、図3に示す構成の製造装置を用いてメタノールを製造した。図3に示した製造装置と、図1に示した製造装置との違いは、図3ではプレサーキュレータ10が取り付けられておらず、それに伴って気液分離器6aから導出された凝縮水はバルブ11bを有する流路13を通って気液分離器6cに合流される点であり、その他の構成は、図3と図1とは同一である。
図3に示す製造装置において、各サンプリング弁A〜Dからガスを採取して組成を分析するとともに、各組成分の時間当たりのモル流量を求めた。各サンプリング弁A〜Dの測定箇所にて測定したガス組成分とそれらの時間当たりのモル流量の測定結果を、下記表2に示した。
Figure 2007246486
原料ガス、もしくは合成ガスは、実施例1と同様のガスを用いた。すなわち、合成ガスの組成は、測定箇所Aの欄に記載のように、CH4、CO、CO2、H2、N2、H2Oであった。そして、これら各組成の時間当たりのモル流量は、CH4が450(k−mol/h)、COが2800(k−mol/h)、CO2が1600(k−mol/h)、H2が11100(k−mol/h)、N2が40(k−mol/h)、H2Oが100(k−mol/h)であり、合計の時間当たりのモル流量は16090(k−mol/h)であった。
図3に示す装置では、プレリアクター7の直後に粗メタノールと分離された凝縮水をフラッシュして凝縮水を構成する粗メタノール中に溶存している未反応ガスの回収を行わずに、メタノールの合成を実行する。前記凝縮水は気液分離器6cに合流され、そこで気液分離作用を受けて溶存未反応ガスはある程度は分離されるが、その分離された未反応ガスは外部に排気されてしまう。
気液分離器6aで分離された凝縮水の組成は、測定箇所Cの欄に記載のように、COが10(k−mol/h)、CO2が50(k−mol/h)、CH3OHが555(k−mol/h)、H2Oが280(k−mol/h)のモル流量となっていた。これらの値は、実施例1での測定と同一である。この凝縮水は、前述のように、流路13を介して気液分離器6cにフラッシュされる。この気液分離器6cには、主反応器8から導出された生成物が気液分離器6bで分離されてなる凝縮水がフラッシュされ、前記気液分離器6aからの凝縮水と一緒に気液分離作用を受けて未反応ガスや高揮発性有機物を除去されて粗メタノールとして回収される。この最後の気液分離器6cで回収された粗メタノール量、すなわち、最終的に得られる総計の粗メタノール量は、測定箇所Dの欄の記載のように、3700(k−mol/h)のモル流量となり、同伴水分量は1270(k−mol/h)のモル流量であった。
実施例1と比較例1との比較から明らかなように、実施例1では、COが9(k−mol/h)、CO2が48(k−mol/h)のモル流量の未反応ガスが回収され、再利用されており、その結果、最終的に得られる総計の粗メタノール量が3750のモル流量となっている。それに対して、比較例1では、前記未反応ガスの回収が行われていないため、最終的に得られる総計の粗メタノール量が3700のモル流量となっている。その結果、同一原料ガスの同一供給量に対して、実施例1では、比較例1に比べて、50(k−mol/h)モル流量の粗メタノールが余分に回収できている。
以上説明したように、本発明によれば、プレリアクターの出口においてメタノールと溶存CO、CO2とを気液分離し、メタノールは粗メタノールタンクに回収し、分離したCO、CO2はプレリアクターの前流に還流させてメタノール転化に再利用することができる。それによって、装置の使用エネルギー単位量当たりのメタノール収率を向上でき、原料の利用効率も高めることができ、各種産業分野で有用なメタノールを経済的かつ大量に生産することを可能となる。
本発明の第1の実施形態のメタノールの製造装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態の製造装置を用いてプレリアクター後流でのフラッシュ圧力の経済的に好適な値を求めた本発明の実施例2を説明するためのもので、測定値をグラフ化して示した図である。 比較例1に用いたメタノールの製造装置の概略構成図である。
符号の説明
1 改質器
4、4a、4b、4c コンプレッサ
5、5a、5b 熱交換器
6、6a、6b、6c 分離器
6d プレリアクター後流の第2の分離器
7 プレリアクター
8 主反応器
9 サーキュレータ
10 プレサーキュレータ
10b メタノール回収流路
10c 未反応ガス回収流路
11a、11b フラッシュバルブ

Claims (3)

  1. 原料ガスを改質器により改質して得られた合成ガスを昇圧する複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器と、該多段式コンプレッサ群を構成する複数のコンプレッサのうち、少なくとも一つ以上のコンプレッサの出口に設けられる一つ以上のプレリアクターと、該プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器と、を含んでなり、該主反応器と該プレリアクターとに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられているメタノールの製造装置において、
    前記プレリアクターの出口に設けられる反応生成物の分離器の後流に該分離器によって分離された凝縮水を粗メタノールと該粗メタノールに溶存していた未反応ガス成分とに分離するプレリアクター後流第2の分離器が設けられ、
    さらに、前記第2の分離器で分離、回収された未反応ガスを前記多段式コンプレッサー群の前流に還流させる未反応ガス回収流路と、前記第2の分離器で分離された粗メタノールを前記主反応器から得られた粗メタノールを運ぶ流路に合流させるメタノール回収流路と、が設けられていることを特徴とするメタノールの製造装置。
  2. 炭化水素を主成分とする原料ガスを改質して得た合成ガスを昇圧する複数の昇圧ステップと、
    昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる主合成ステップと、
    前記複数の昇圧ステップのうち一つ以上の昇圧ステップの後に、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる予備合成ステップと、
    前記予備合成ステップで製造された生成物から粗メタノールを分離された残部の凝縮水から該凝縮水に溶存している未反応ガスを分離し、分離した未反応ガスを前記昇圧ステップに供する合成ガスに還流するプレサーキュレートステップと、
    を含むことを特徴とするメタノールの製造方法。
  3. 前記合成ガスの圧力を少なくとも2MPaGに調節するとともに、前記残部の凝縮水から未反応ガスを分離するためのフラッシュ圧を前記合成ガスの圧力以上に調節することを特徴とする請求項2に記載のメタノールの製造方法。
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