JP2005125244A - 合成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガスを原料として触媒反応により合成される化合物、例えばメタノールやジメチルエーテルなどを、大量合成するのに好適な、必要とされる動力が低減されている合成装置を提供する。
【解決手段】 原料ガスを昇圧する複数のコンプレッサ2からなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器6と、該多段式コンプレッサ群に含まれる該複数のコンプレッサ2のうち、少なくとも一以上のコンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器3と、該予備反応器の出口に設けられる反応生成物の分離器5とを含んでなり、該主反応器と該予備反応器とに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられている合成装置1。
【選択図】 図1
【解決手段】 原料ガスを昇圧する複数のコンプレッサ2からなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器6と、該多段式コンプレッサ群に含まれる該複数のコンプレッサ2のうち、少なくとも一以上のコンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器3と、該予備反応器の出口に設けられる反応生成物の分離器5とを含んでなり、該主反応器と該予備反応器とに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられている合成装置1。
【選択図】 図1
Description
本発明は、メタノールやジメチルエーテルなどの合成装置に関する。本発明は、特には、メタノールやジメチルエーテルの大量合成に好適な、稼動に必要な動力が削減された合成装置に関する。
メタノールは、ジメチルエーテル、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)、ガソリン、石油化学中間製品、さらに水素、一酸化炭素、都市ガスの製造などの原料として、また燃料用としても今後益々需要が多くなると考えられ、大型のメタノール合成プラントが建設される見通しである。
現在、メタノールは天然ガス等の炭化水素を原料として,水素,一酸化炭素,及び二酸化炭素を主成分とする合成ガス製造経由で,工業的に製造されており(例えば特許文献1を参照)、ジメチルエーテルはメタノールを原料として工業的に製造されている。(例えば、特許文献2を参照。)。
合成ガスを触媒の存在下で反応させてメタノールを合成するには、反応に先立って、合成ガスを高圧にする必要がある。反応時の好ましい圧力は、50〜150kgf/cm2であり、合成ガスをこのような高圧状態にまで昇圧した後に反応させる。このため、従来は合成ガスを多段式のコンプレッサにより昇圧し、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒の充填された合成塔に供給する方法により、メタノールが製造されてきた。このような方法は、合成ガスの昇圧に利用されるエネルギーが極めて大きいため、大型のメタノール合成プラントにおいては、エネルギー的に不利な面があった。
特公平8−2808号
特開昭59−13744号
原料ガスから触媒反応により合成される化合物、例えばメタノールやジメチルエーテルなどを、大量合成するのに好適な、稼動に必要な動力が削減された合成装置と、メタノール、ジメチルエーテルの合成方法とを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、合成装置であって、原料ガスを昇圧する複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群と、該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器と、該多段式コンプレッサ群を構成する複数のコンプレッサのうち、少なくとも一以上のコンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器と、該予備反応器の出口に設けられる、反応生成物の分離器とを含んでなり、該主反応器と該予備反応器とに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられている。
本発明の好ましい形態によれば、多段式コンプレッサ群に含まれる複数のコンプレッサのうち、最後段に位置するコンプレッサの出口には、通常、予備反応器が設けられることはなく、主反応器が設けられる。
本発明の好ましい形態によれば、多段式コンプレッサ群に含まれる複数のコンプレッサのうち、最後段に位置するコンプレッサの出口には、通常、予備反応器が設けられることはなく、主反応器が設けられる。
ここで、「複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群」とは、複数のコンプレッサが直列に連結して、原料ガスを段階的に昇圧することができる装置をいう。直列に連結されるとは、あるコンプレッサと別のコンプレッサとが、それらの間に別の装置を介さずに直接に連結されてもよく、それらの間に別の装置を介して連結されてもよいことをいう。
「コンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器」とは、コンプレッサと予備反応器との間に、別のコンプレッサや反応器など、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、コンプレッサの直後に予備反応器が設置されることをいう。但し、コンプレッサと予備反応器と間に熱交換器を介している場合も含まれる。
「予備反応器の出口に設けられる分離器」とは、予備反応器と分離器との間に、コンプレッサや反応器等の、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、予備反応器の直後に分離器が設置されることをいう。但し、予備反応器と分離器との間に熱交換器を介している場合も含まれる。また、「分離器」とは、例えば、気液分離器などをいい、未反応の原料ガスと、生成物および副生成物とを分離することができる装置をいう。以下の実施形態においては、分離器として気液分離器を用いて説明するが、本発明の分離器はこれには限定されない。
「原料ガスを反応させる触媒」は、原料ガスを反応させて所望の化合物を得ることができるものであれば、予備反応器と主反応器とで異なる触媒組成、形状のものを設けても良い。また、予備反応器が複数ある場合には、各々の反応器において、反応を実施する圧力条件に合致するように異なる組成、形状の触媒を設けることもできる。
「コンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器」とは、コンプレッサと予備反応器との間に、別のコンプレッサや反応器など、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、コンプレッサの直後に予備反応器が設置されることをいう。但し、コンプレッサと予備反応器と間に熱交換器を介している場合も含まれる。
「予備反応器の出口に設けられる分離器」とは、予備反応器と分離器との間に、コンプレッサや反応器等の、流通する合成ガスの組成を変化させうる装置を含むことなく、予備反応器の直後に分離器が設置されることをいう。但し、予備反応器と分離器との間に熱交換器を介している場合も含まれる。また、「分離器」とは、例えば、気液分離器などをいい、未反応の原料ガスと、生成物および副生成物とを分離することができる装置をいう。以下の実施形態においては、分離器として気液分離器を用いて説明するが、本発明の分離器はこれには限定されない。
「原料ガスを反応させる触媒」は、原料ガスを反応させて所望の化合物を得ることができるものであれば、予備反応器と主反応器とで異なる触媒組成、形状のものを設けても良い。また、予備反応器が複数ある場合には、各々の反応器において、反応を実施する圧力条件に合致するように異なる組成、形状の触媒を設けることもできる。
前記原料ガスが、H2と、COと、CO2とを主成分として含む合成ガスであり、前記触媒がメタノール合成触媒であることが好ましい。メタノール合成触媒としては、Cu、ZnおよびM(アルカリ土類金属元素および希土類元素から選ばれる少なくとも1つ以上の元素)を含む酸化物からなるものを使用することができる。
本発明は別の側面においては、メタノール合成方法であって、H2と、COと、CO2とを主成分として含む合成ガスを昇圧する複数の昇圧ステップと、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる主合成ステップとを含み、該複数の昇圧ステップのうち、一以上の昇圧ステップの後に、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる予備合成ステップと、該予備合成ステップで製造されたメタノールを未反応の合成ガスから分離する分離ステップとをさらに含む。
本発明の好ましい形態によれば、該複数の昇圧ステップのうち、最後の昇圧ステップの後には、通常、予備合成ステップが行われることはなく、主合成ステップが行われる。
本発明の好ましい形態によれば、該複数の昇圧ステップのうち、最後の昇圧ステップの後には、通常、予備合成ステップが行われることはなく、主合成ステップが行われる。
前記予備合成ステップと、分離ステップとが連続して2回以上繰り返されることが好ましい。このとき、予備合成ステップにより過度に昇温されるのを防ぐために、間に冷却ステップを含むことが好ましい。
前記複数の昇圧ステップのうち、第一の昇圧ステップで、前記合成ガスが少なくとも20〜40kgf/cm2にまで昇圧されることが好ましい。予備合成ステップおよび主合成ステップは、150〜300℃で実施されることが好ましい。
本発明の効果として、メタノールまたはジメチルエーテルの大量合成に適した、稼動エネルギーの低減が可能な合成装置を提供する。この合成装置は、主反応器に達する前に予備反応器で予備的にメタノールを合成し、生成物を合成装置から抜き出すことができるため、主反応器にかかる負荷を減らし、主反応器をコンパクト化できるという利点を有する。装置全体が大型化する場合には、主反応器のコンパクト化が望まれる。また、主反応器を経た未反応の合成ガスを、コンプレッサに再度循環させて使用することができる合成装置においてリサイクルする未反応の合成ガスの量が低減される。
以下に、図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。以下の説明は本発明を限定するものではない。また、同じ部材には同じ符号を付して示した。
以下の実施の形態では、主に、合成ガスを原料としてメタノールを製造する合成装置を例に挙げて説明する。しかしながら、本発明の合成装置において製造できる化合物は、メタノールに限定されない。高圧条件下で、気体の出発物質から触媒反応で製造できる化合物を製造する合成装置、例えば、合成ガスを原料として、ジメチルエーテルを合成するための合成装置、同様に合成ガスを原料として、合成ガソリンを合成するための合成装置とすることができるが、これらには限定されない。
図1に、本発明の第一実施形態にかかる合成装置を示すシステム図を示す。第一実施形態にかかる合成装置1は、第一のコンプレッサ2と、第一の熱交換器4と、第一の気液分離器5と、第二のコンプレッサ2aと、第二の熱交換器4aと、予備反応器3と、第三の熱交換器4bと、第二の気液分離器5aと、第三のコンプレッサ2bと、第四の熱交換器4cと、主反応器6と、第五の熱交換器4dと、第三の気液分離器5bと、サーキュレータ7とを含んでなる。
コンプレッサ2、2a、2bは、合成ガスを、メタノール合成に好適な圧力にまで多段式で昇圧する装置である。これらを三段式のコンプレッサ群とよぶ。本実施形態においては、三つのコンプレッサは直列に連結されて、常圧から20kgf/cm2程度の合成ガスを、三つのコンプレッサを経て、50〜150kgf/cm2に昇圧する。これらのコンプレッサ2、2a、2bは、全て同じものであってよく、例えば遠心式のコンプレッサ等を使用することができるがこれには限定されない。
特に、第一のコンプレッサ2は、常圧〜20kgf/cm2程度の合成ガスを、少なくとも20〜40kgf/cm2程度にまで昇圧できる装置であればよい。メタノール合成触媒により、合成ガスからメタノールを合成することができる最低限の圧力にまで昇圧することができる装置が好ましいからである。したがって、第一のコンプレッサ2は、さらに高い圧力にまで昇圧するものであってもよい。
予備反応器3は、反応器内部にメタノール触媒が充填されており、反応器内部をメタノール合成反応に好適な所定の温度、圧力条件に保持して、メタノール合成を実施することができる装置である。予備反応器3は、第二のコンプレッサの出口に設けられる。予備反応器3では、合成ガスの少なくとも一部を反応させて、メタノールを製造することができる。
予備反応器3に充填するメタノール合成触媒としては、従来から知られている触媒を使用することができる。従来から知られているメタノール合成触媒としては、Cu、ZnおよびM(アルカリ土類金属元素および希土類元素から選ばれる少なくとも1つ以上の元素)を含む酸化物からなるものを用いることができる。また、これらに加えて、ガリウム、マンガン、インジウムの一種以上の金属酸化物を含むものであってもよい。しかしながら、本発明の合成装置に備えるメタノール合成触媒の種類は、これらには限定されない。また、メタノール合成触媒の形状は、板状、粒状、タブレット、ラシヒリング、ベルサドル、モノリス型の触媒とすることができる。このような形状とするためには、触媒組成物を上述の形状に成型することもできる。しかしながら、本発明の合成装置に備えるメタノール合成触媒の形状は、これらには限定されない。
熱交換器4、4b、4dは、予備反応器またはコンプレッサを経て、150〜300℃に温度上昇した未反応の合成ガスと、生成物である水とメタノールとの混合物を、10〜90℃、好ましくは15〜50℃にまで冷却する装置である。熱交換器4a、4cは、それぞれ予備反応器3及び主反応器6に、導入されるガスをメタノール合成反応に適した温度とするために150〜250℃まで加熱する装置である。これらの熱交換器は、既知の市販のものを用いることができる。例えば、多管式やプレート式の熱交換器を用いることができるが、これらには限定されない。
気液分離器5及び5aそれぞれ熱交換器4及び4bで冷却され発生する凝縮水を、5bは主反応器6で生成されたメタノールと、副生成物である水とを、未反応の合成ガスから分離する装置である。これらの気液分離器は、既知の市販の気液分離器であってもよい。メタノールと水のみが凝縮し、合成ガスが気体の状態にある温度、圧力条件として、メタノールと水を分離し、抜き出すことができる装置を用いることができる。例えば、縦置き型のベッセルタンクを用いることができるが、これには限定されない。
主反応器6は、その内部にメタノール触媒が充填されており、その内部をメタノール合成反応に好適な所定の温度、圧力条件に保持して、メタノール合成を実施することができる装置である。主反応器6としては、例えば、特開2001−009265号公報に開示されている装置を使用することができるが、これには限定されない。主反応器は、合成塔であってよい。また、充填する触媒は、予備反応器3に充填する触媒として説明した上述のメタノール合成触媒と同じ組成、形状のものであってもよく、異なる組成、形状であってもよい。特に、主反応器6は、予備反応器3と比較して、高圧条件で反応を進行させるため、予備反応器3に充填するメタノール触媒よりも活性の低い触媒を充填することもできる。
主反応器6のさらに後段には、熱交換器4dが設けられ、その後段に主反応器6で生成されたメタノールと、副生成物である水とを、未反応の合成ガスから分離する気液分離器5bと、未反応の合成ガスを再圧縮し、主反応器6に循環させるサーキュレータ7とが設けられてもよい。
図2に、本発明の第二の実施形態にかかる合成装置を示すシステム図を示す。第二の実施形態にかかる合成装置1aは、図1に示す合成装置1と比較して、予備反応器3の出口に熱交換器4eを介して、第二の予備反応器3aが設けられている点で異なる。
第二の実施形態にかかる合成装置1aにおいては、第一の予備反応器3と、第二の予備反応器3aとは、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。それぞれの反応器で、全体のメタノール合成量のうち、10〜40%が予備反応器3、3aで製造されるように、予備反応器3、3aの容量やメタノール合成触媒の量を決定することが好ましい。また、第一の予備反応器3と、第二の予備反応器3aに充填するメタノール合成触媒は、それぞれ、同じ組成、形状のものであってもよく、異なる組成、形状であってもよい。
第二の実施形態にかかる合成装置1aでは、予備反応器が複数設けられているため、主反応器6に達するまでに合成されるメタノールの量を増加させることができ、主反応器6にかかる負荷を減少させることができる点で有利である。
図3に、本発明の第三の実施形態にかかる合成装置を示すシステム図を示す。第三の実施形態にかかる合成装置1bは、図1に示す合成装置1と比較して、第一のコンプレッサ2の出口に第二の熱交換器4fを介して、予備反応器3bが設けられている点で異なる。
第三の実施形態にかかる合成装置1bにおいては、第一の予備反応器3bと、第二の予備反応器3とは、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。それぞれの反応器で、全体のメタノール合成量のうち、10〜40%が予備反応器3b、3で製造されるように、予備反応器3b、3の容量やメタノール合成触媒の量を決定することが好ましい。また、第一の予備反応器3bと、第二の予備反応器3に充填するメタノール合成触媒は、それぞれ、同じ組成、形状のものであってもよく、異なる組成、形状であってもよい。
第三の実施形態にかかる合成装置1bでは、予備反応器が複数設けられているため、主反応器6に達するまでに合成されるメタノールの量を増加させることができ、主反応器6にかかる負荷を減少させることができる点で有利である。
図3に示す第三の実施形態では、各々のコンプレッサの出口に、予備反応器が設けられているが、本発明は必ずしも全てのコンプレッサの出口に、予備反応器が設けられている必要はない。図1に示す第一の実施形態における合成装置1のように、少なくとも一以上のコンプレッサの出口に、予備反応器が設けられていればよい。特に、高圧になっている状態の合成ガスを予備反応器に導入することが好ましいため、多段式のコンプレッサ群のうち、後段に位置するコンプレッサの出口に予備反応器が設けられていることが好ましい。ただし、本発明の好ましい形態によれば、多段式コンプレッサ群に含まれる複数のコンプレッサのうち、最後段に位置するコンプレッサの出口には、通常、予備反応器が設けられることはなく、主反応器が設けられる。また、図示する実施形態では、三段式のコンプレッサ群を例示したが、二段式〜三段式のコンプレッサ群を好ましく用いることができ、さらにそれ以上の段数のコンプレッサ群を設けることをも排除するものではない。さらに、図示する実施形態の気液分離器の後段にメタノール脱水触媒を充填した反応器を設けて、予備反応器および主反応器で合成したメタノールから、ジメチルエーテルを製造するプラントとすることもできる。
このようなメタノール合成装置によれば、合成装置の稼動に要する動力を低減して、従来と同程度の収量でメタノールを得ることができる。すなわち、メタノールの大量合成において、エネルギー的に非常に有利な合成装置となる。また、それぞれの予備反応器で合成されたメタノールを、その出口にある気液分離器でその都度抜き出すため、循環する物質量を低減することができ、主反応器を10〜40%程度コンパクト化することができる。本発明のメタノール合成装置は、予備反応器を用いず、多段式のコンプレッサ群で昇圧した後に主反応器のみでメタノールを合成する従来の合成装置と比べて、動力を4〜10%も削減することができる。
次に、本発明を別の側面から説明する。本発明は、また別の側面によれば、メタノールの合成方法を提供する。メタノール合成方法は、合成ガスをコンプレッサ2で昇圧する第一の昇圧ステップと、該昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒と接触させる第一の予備合成ステップと、生成したメタノールと水とを、未反応の合成ガスから分離する第一の分離ステップと、未反応の合成ガスをコンプレッサ2aでさらに昇圧する第二の昇圧ステップと、該昇圧された合成ガスを、メタノール合成触媒と接触させる第二の予備合成ステップと、生成したメタノールと水とを、未反応の合成ガスから分離する第二の分離ステップと、未反応の合成ガスをコンプレッサ2bでさらに昇圧する第三の昇圧ステップと、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒と接触させる主合成ステップとを含む。
ここで、反応物質である合成ガスは、H2と、COと、CO2とを主成分として含み、そのほかに窒素,メタンなど反応に関与しない成分を含んでもよい気体混合物である。H2と、COと、CO2とは、通常、65〜85:10〜20:5〜15の組成比で含まれている。合成ガスは例えば天然ガス等の原料を水蒸気改質して得られ、本発明の方法に使用する前に、触媒被毒物質の除去等の前処理をしておくことが好ましい。
第一の昇圧ステップで、合成ガスを20〜40kgf/cm2にまで昇圧する。続く第一の予備合成ステップでは、昇圧された合成ガスを、メタノール合成触媒に接触させる。この反応は、断熱操作あるいは,冷却等の操作により150〜300℃で実施することが好ましい。接触させる触媒は、第一の実施の形態で説明した任意のメタノール合成触媒を使用することができる。また、第一の予備合成ステップは、合成ガスを一つの予備反応器に備えられたメタノール合成触媒と接触させるステップであってもよく、あるいは、合成ガスを二以上のメタノール合成触媒と順次接触させるステップであってもよい。第一の予備合成ステップでは、以下の式(1)及び(2)の反応を生じさせることができる。
CO + 2H2 → CH3OH (1)
CO2 + 3H2 → CH3OH +H2O (2)
CO2 + 3H2 → CH3OH +H2O (2)
第一の予備合成ステップの後に、未反応の合成ガスと生成したメタノールと水とを、熱交換器を通して冷却する。これは第一の予備合成ステップで生成したメタノール及び水を次の分離ステップで気液分離するため,メタノールと水を凝縮させるステップである。未反応の合成ガスと生成物との混合物は、熱交換器で、150〜300℃から、10〜90℃に冷却される。
第一の分離ステップでは、メタノールと水とが凝縮する温度、圧力条件とすることにより、未反応の合成ガスから、生成物であるメタノールと水とを分離する。得られたメタノールと水との混合物から、蒸留等の適当な方法で水を除去することで、目的物であるメタノールが得られる。第一の分離ステップでは、本実施形態によるメタノール合成方法で製造される総メタノール量のうち、5〜20%を生成物として抜き出すことが好ましい。後段のステップへ供給される気体の量を低減させるためである。
第二の昇圧ステップでは、合成ガスを40〜80kgf/cm2にまで昇圧する。第二の昇圧ステップ以降、最終的な主反応における圧力を、50〜150kgf/cm2のうち、所望の圧力にできるように、エネルギーバランスと、昇圧ステップの数とから、当業者が決定することができる。
第二の予備合成ステップでは、第一の予備合成ステップのときよりも昇圧されている合成ガスを、第一の予備合成ステップと同じ空間速度でメタノール合成触媒に接触させる。使用するメタノール合成触媒の種類や量は前記第一の予備合成ステップと同様とすることができる。次いで、第二の分離ステップでは、第一の分離ステップと同じ操作で、未反応の合成ガスと生成したメタノールと水とを分離する。得られたメタノールと水との混合物から、適当な方法で水を除去することで、目的物であるメタノールが一部得られる。第二の分離ステップでは、本実施形態によるメタノール合成方法で製造される総メタノール量のうち、5〜20%を、生成物として抜き出すことが好ましい。次いで、第三の昇圧ステップでは、合成ガスを50〜150kgf/cm2まで昇圧する。80〜100kgf/cm2まで昇圧することがさらに好ましい。これに続く主合成ステップでは、昇圧されている合成ガスを、第一の予備合成ステップでメタノール合成触媒に接触させて、メタノールを合成する。
本実施形態による三段階の昇圧および合成では、第一、第二予備合成及び主合成ステップのそれぞれの合成ステップで得られるメタノールの収量が、5〜20:5〜20:60〜90となるように、それぞれの予備合成ステップおよび主合成ステップで合成ガスを接触させる触媒量を決定することが好ましい。例えば、二段階の場合は、予備合成ステップ及び主合成ステップそれぞれの合成ステップで得られるメタノールの収量が、5〜20:80〜95、四段階の場合は、第一から第三の予備合成ステップ及び主合成ステップそれぞれの合成ステップで得られるメタノールの収量が、5〜20:5〜20:5〜20:40〜85となるようにそれぞれの予備合成ステップおよび主合成ステップで合成ガスを接触させる触媒量を決定することができる。また、上述の実施形態においては、各々の昇圧ステップの後に、予備合成ステップと分離ステップを含む方法について説明したが、本発明のメタノール合成方法において、必ずしも全ての昇圧ステップの後に、予備合成ステップと分離ステップを含む必要はない。合成ガスが昇圧されて、比較的圧力が高くなっている後段の昇圧ステップの後に、予備合成ステップと分離ステップを含むことが好ましい。ただし、好ましい形態によれば、複数の昇圧ステップのうち、最後の昇圧ステップの後には、通常、予備合成ステップが行われることはなく、主合成ステップが行われる。
本実施形態に係るメタノール合成方法は、従来と比較して省エネルギーで、従来と同じ収量を得ることができる、大量生産に好適な方法である。
実施例1では、三段式のコンプレッサのうち、第二のコンプレッサ出口に予備反応器を設けた形態のメタノール合成装置を用いた。具体的には、第一のコンプレッサと、第二のコンプレッサと、第二のコンプレッサの出口に設けられた予備反応器と、予備反応器の出口に設けられた気液分離器と、気液分離器の出口に設けられた第三のコンプレッサと、主反応器とを含んでなるメタノール合成装置を用いて、メタノール合成を実施した。この実施例1にかかるメタノール合成装置は、主反応器の後段にさらに気液分離器が設けられ、かかる気液分離器で分離された未反応の合成ガスを再圧縮後、主反応器に循環させるための循環ラインとを含むものであった。予備反応器及び主反応器には、同じ組成を有する触媒が充填されていた。
反応ガスは、H2、CO、CO2が65〜85:10〜20:5〜15の体積比で含まれている合成ガスを用いた。第一のコンプレッサで、この合成ガスを40kgf/cm2まで昇圧し、続いて、第二のコンプレッサで65kgf/cm2まで昇圧した。65kgf/cm2、200℃の合成ガスを予備反応器に供給した。次いで、予備反応器の後段の気液分離器で、未反応の合成ガスと、メタノール、水とを分離した。その後、未反応の合成ガスを第三のコンプレッサで100kgf/cm2まで昇圧し、熱交換器を経て200℃にされた未反応の合成ガスを主反応器に供給した。次いで、主反応器の後段の気液分離器で、未反応の合成ガスと、メタノール、水とを分離し、未反応の合成ガスのうち97体積%をサーキュレータで再圧縮し,主反応器入口に循環させた、ここで未反応の合成ガスを全量循環させなかったのは、原料ガス中の微量の窒素等、反応に関与しない成分の濃縮を避け、系外へ排出させるためである。
実施例1のメタノール合成装置におけるメタノールの製造に要したコンプレッサ動力の総量は、予備反応器を使用しない従来法を100とした時、96であり、そのうち三段式の昇圧に要した動力は82、サーキュレータでの再圧縮に要した動力は14であった。
本発明の実施例2では、三段式のコンプレッサ群のうち、第二のコンプレッサ出口に二つの予備反応器を直列に設けたメタノール合成装置を用いた。具体的には、第一のコンプレッサと、第二のコンプレッサと、第二のコンプレッサの出口に設けられた予備反応器と、気液分離器を介してさらにその後段に設けられた同一の型の予備反応器と、該予備反応器の出口に設けられた気液分離器と、気液分離器の出口に設けられた第三のコンプレッサと、主反応器とを含んでなるメタノール合成装置を用いて、メタノールの合成を実施した。この実施例2にかかるメタノール合成装置は、主反応器の後段にさらに気液分離器が設けられ、かかる気液分離器で分離された未反応の合成ガスを再圧縮後、主反応器に循環させるための循環ラインとを含むものであった。予備反応器、主反応器に充填されたメタノール合成触媒の種類はそれぞれ、実施例1と同じであった。合成ガスの組成、それぞれのコンプレッサで到達させる圧力は、全て実施例1と同じとした。
実施例2のメタノール合成装置におけるメタノールの製造に要したコンプレッサ動力の総量は、予備反応器を使用しない従来法を100とした時、93であり、そのうち三段式の昇圧に要した動力は80、サーキュレータでの再圧縮に要した動力は13であった。
本発明の実施例3では、図3に示すメタノール合成装置1bを用いた。第一のコンプレッサ2と、その出口に熱交換器4fを介して設けられた第一の予備反応器3bと、熱交換器4を介して設けられた気液分離器5と、第二のコンプレッサ2aと、第二のコンプレッサの出口に熱交換器4aを介して直列に設けられた予備反応器3と、その出口に熱交換器4bを介して設けられた気液分離器5aと、気液分離器の出口に設けられた第三のコンプレッサ2bと、主反応器6とを含んでなるメタノール合成装置1bを用いて、メタノールの合成を実施した。この実施例3にかかるメタノール合成装置1bは、主反応器6の後段に熱交換器4dを介して設けられた気液分離器5bがさらに設けられ、かかる気液分離器で分離された未反応の合成ガスを再圧縮後主反応器6に循環させるためのサーキュレータ7とを含むものであった。二つの予備反応器3b、3、主反応器6に充填されたメタノール合成触媒の種類はそれぞれ、実施例1と同じであった。反応ガスの組成、それぞれのコンプレッサで到達させる圧力は、全て実施例1と同じとした。
実施例3のメタノール合成装置におけるメタノールの製造に要したコンプレッサ動力の総量は、予備反応器を使用しない従来法を100とした時、89であり、そのうち三段階の昇圧に要した動力は77、サーキュレータに要した動力は12であった。
比較例として、予備反応器を設けず、第一、第二、第三のコンプレッサを使用して同様の条件で合成ガスをそれぞれ、40kgf/cm2、65kgf/cm2、100kgf/cm2に昇圧し、実施例1と同じ組成で、メタノールを製造した場合に要したコンプレッサ動力の総量は、100であり、そのうち三段階の昇圧に要した動力は84、サーキュレータでの再圧縮に要した動力は16であった。これより、実施例1、2、3のそれぞれのメタノール合成装置を稼動して、メタノールの製造に要した動力は、比較例と比べて、それぞれ、4%、7%、11%減少することがわかった。
本発明の合成装置および合成方法は、メタノールおよびメタノールを原料としたジメチルエーテル等の化学品を大量に合成する際に有利に用いることができる。
1、1a、1b 合成装置
2、2a、2b コンプレッサ
3、3a、3b 予備反応器
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f 熱交換器
5、5a、5b 分離器
6 主反応器
7 サーキュレータ
2、2a、2b コンプレッサ
3、3a、3b 予備反応器
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f 熱交換器
5、5a、5b 分離器
6 主反応器
7 サーキュレータ
Claims (5)
- 原料ガスを昇圧する複数のコンプレッサからなる多段式コンプレッサ群と、
該多段式コンプレッサ群の後段に設けられる主反応器と、
該多段式コンプレッサ群を構成する複数のコンプレッサのうち、少なくとも一以上のコンプレッサの出口に設けられる一以上の予備反応器と、
該予備反応器の出口に設けられる、反応生成物の分離器と
を含んでなり、該主反応器と該予備反応器とに、該原料ガスを反応させる触媒が備えられている合成装置。 - 前記原料ガスがH2と、COと、CO2とを主成分として含む合成ガスであり、前記触媒がメタノール合成触媒である、請求項1に記載の合成装置。
- H2と、COと、CO2とを主成分として含む合成ガスを昇圧する複数の昇圧ステップと、
昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる主合成ステップと
を含み、
該複数の昇圧ステップのうち一以上の昇圧ステップの後に、昇圧された合成ガスをメタノール合成触媒に接触させる予備合成ステップと、該予備合成ステップで製造された生成物を未反応の合成ガスから分離する分離ステップとをさらに含むメタノール合成方法。 - 前記予備合成ステップと、分離ステップとが連続して2回以上繰り返される請求項3に記載のメタノールの製造方法。
- 前記複数の昇圧ステップのうち第一の昇圧ステップで、前記合成ガスが少なくとも20〜40kgf/cm2にまで昇圧される請求項3または4に記載のメタノール合成方法。
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