JP2007242940A - 固体レーザ発振装置および固体レーザ増幅装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】希土類イオンを添加した固体レーザ媒質を備えた固体レーザ発振装置において、蛍光スペクトル帯域をより有効に活用する。
【解決手段】固体レーザ発振装置1の共振器内に、固体レーザ媒質11の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外のスペクトル波長の光との強度差を小さくする光フィルタ15を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は固体レーザ発振装置および固体レーザ増幅装置に関し、特に固体レーザ媒質として希土類イオンが添加されたものを備えてなる固体レーザ発振装置および固体レーザ増幅装置に関するものである。
従来より、希土類元素(物質中ではイオン化している)あるいは遷移金属イオンを添加した固体レーザ媒質(あるいはガラスレーザ媒質)を利得媒体とした固体レーザ発振装置において、モード同期動作を起こすことにより短パルス光発生が実現されてきた。モード同期動作においては、希土類イオンあるいは遷移金属イオンの蛍光スペクトル幅(周波数幅Δν)と、モード同期により生成されるパルス幅Δtとの間に、逆比例関係があることが知られており、光スペクトル幅が広いほどパルス幅は短くなる(フーリエ変換限界の関係:Δt=0.315/Δν;Koechner、Solid-state laser engineering、第4版505頁 参照)。典型的な例としては、遷移金属であるチタン(Ti)を添加したサファイア(Al2O3)をレーザ媒質に用いたモード同期レーザでは、Tiの蛍光スペクトル幅が200nm以上あるため、その理論上のフーリエ変換限界パルス幅は3フェムト秒(fsec)にも達し、現実の装置としても20fsecから10fsecを下回るようなパルス幅がレーザ発振器で実現された例が報告されている(非特許文献1)。
一方、希土類を添加した固体レーザ装置では、イッテルビウム(Yb)を添加した固体レーザにおけるモード同期実験が近年盛んに行われている。Ybは準3準位エネルギー構造を有し、蛍光スペクトル幅が広く(70nm以上)、本質的に短パルス発生に向く。しかも、半導体レーザで直接励起できることから、緑色レーザを励起光源とするチタンサファイアレーザよりも実用的な価値が高く、有望視されている。しかし、Ybは蛍光スペクトルにおいて複数のピークが立ち、TiやCrなど遷移金属に比べスペクトル形状が複雑であること、ならびに、準3準位エネルギー構造のため、レーザ下準位に熱分布したYbイオンによる再吸収が生じ、励起強度やレーザ発振器を構成したときの出力結合率(出力鏡の透過率)などの動作パラメータに、発振波長や利得スペクトルが強く依存するなどの実用上問題となる際立った特徴を具備する。例えばYb:YAG(Y3Al5O12)を例に取ると、蛍光スペクトルの最も強いピークである1030nm発振と、第2番目の1050nm発振のどちらかを、出力結合率の最適化により選択することが通常なされている。しかし、どちらのピークも蛍光帯域幅が狭く、ひいては、パルス幅が1030nm発振では340fsec〜810fsec、1050nm発振では140fsec程度に制限されている。本来、Yb:YAGは70nm以上の蛍光帯域幅を有するのだが、従来のYb添加モード同期固体レーザ発振器においては、Ybの持つ蛍光スペクトルよりも大幅に狭い帯域しか活用できず、ひいては、パルス幅も140fsecから1psec弱程度に制限されていた。
この状況をより具体的に従来例を挙げて説明する。特許文献1のモード同期レーザにおいては、薄ディスク形状のYb:YAGを半導体レーザで励起し、分散ミラーと半導体可飽和吸収ミラー(semiconductor saturable absorbing mirror; SESAM)を用いてモード同期を行っている。なお、この例では、出力結合率(出力鏡透過率)を9%と高めに設定した結果、発振波長は1030nmとなり、発振スペクトル幅は1.5nmと非常に狭く、パルス幅は700fsecであった。
非特許文献2においては、図18のような、半導体レーザ101を備えた励起手段、Yb:YAGレーザ媒質103、SESAM105、分散ミラー106、反射鏡107、108、109および出力鏡110を備えた半導体レーザ(LD)励起Yb:YAGレーザ発振器100を構成し、SESAM105によりモード同期を実現している。また、分散ミラー106により共振器内部での波長分散を補償している。このレーザ発振器100は、出力結合率を0.05%と、特許文献1より極めて低く設定することで、蛍光の第2ピークである1050nm発振の実現と、それによる広帯域性を確保した。実際、パルス幅は136fsecを達成し、このときの発振帯域は8.5nmであった。
これらの従来例では、本質的にYb:YAGレーザの発振波長を決めているのは、励起密度と出力結合率である。特に、励起密度が10kW/cm2程度ないしそれ以上で、かつ出力結合率が10%程度であれば、通常Yb:YAGは1030nm発振をする。これは、1030nmでの誘導放出断面積が1050nmに比べ著しく大きいからである(およそ4倍以上)。このとき、一旦、レーザ発振器が利得と損失が釣り合う発振閾値条件に達すると、そこで反転分布は固定され、その波長のみが持続発振する。こうして、1030nm発振では、1030nm近傍の蛍光帯域幅しかレーザ発振に寄与できず、半値全幅で10nm程度の利得帯域しか有することが出来ない。特許文献1ではこのような状況になっている。一方、非特許文献2のように出力結合率を意図的に極めて低くすると、レーザ発振はより長波で起こる。これは励起パワーを上げていくと、長波のほうが1030nmより先に閾値条件に達するからである。このことを模式的に説明したのが図19である。一般的に、レーザ利得係数g(λ)は次式で書ける。
g(λ)=NUσem(λ)−NLσabs(λ)
=N0[βσem(λ)−(1−β)σabs(λ)] ・・・(1)
また利得断面積σgain(λ)は、上式(1)のカギ括弧内として下式(2)で定義される。図19は利得断面積を描いたものである。
σgain(λ)=βσem(λ)−(1−β)σabs(λ) ・・・(2)
ただし(1)、(2)式において、Nu,NL,Noはそれぞれ、レーザ上準位密度、レーザ下準位密度、Yb添加濃度、β=Nu/Noは上準位に励起されたYbイオン分布数に対する添加濃度の比率(反転分布率)、σem(λ),σabs(λ)はそれぞれ誘導放出断面積、吸収断面積である。レーザ下準位に分布数を有する(つまりNL≠0)準3準位レーザにおいては、利得断面積あるいは利得係数はβの関数であり、βは励起密度に比例する。共振器内部の周回損失(レーザ媒質自体の損失、無反射コートの残留損失、SESAMなどのモード同期デバイス、プリズム等の分散補償素子の損失の総和)をLiとし、出力結合率(出力鏡透過率)Tとしたとき、利得と損失が釣り合う閾値条件は次式(3)である。
exp[2g(λ)L]×(1−T)×(1−Li)=1 (3)
G(λ)=2g(λ)L+log(1−T)+log(1−Li) (4)
(4)式は(3)式から誘導したものであり、利得G(λ)が正になるところで発振が始まる。(4)式で利得G(λ)を、出力鏡透過率T=20%(Roc=0.8)、および出力鏡透過率=5%(Roc=0.95)に対して描いたのが図20、図21である。励起パワーを0mWから500mWまで増大させると、それぞれ1030nm近傍(図20)、および1050nm近傍(図21)にてG(λ)=0を横切る、つまりレーザ発振が生じ、そこに限定されることが分かる。1050nm蛍光ピークは1030nmに比して弱いながらも、1050nm発振においても利得は明確な単峰形状をしているため、1050nmの帯域幅も10nm以下に限定されることが分かる。
米国特許第6834064号明細書 アプライド・フィジックス・B、1997年発行、第65巻、161-174頁(Applied Physics B, 65 (1997) 161-174) ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、2005年発行、第44巻、第12号、361-363頁(Japanese Journal of Applied Physics Vol.44,No12,2005,pp.L361-L363)
先に述べた通り、従来例ではイッテルビウムの蛍光スペクトル帯域の極わずかしか活用できておらず、パルス幅も130fsec以上に留まっており、これ以上短くは出来なかった。
なお、これはイッテルビウムに限らず、他の希土類イオンが添加された固体レーザ媒質においても同様であり、希土類イオンの本来の蛍光スペクトル帯域の極わずかしか活用されていない。
本発明は、上記事情に鑑み、希土類イオンを添加した固体レーザ媒質を備えた、希土類イオンの蛍光スペクトル帯域をより有効に活用することができる固体レーザ発振装置を提供することを目的とするものである。
また、希土類イオンを添加した固体レーザ媒質を備えた固体レーザ増幅装置においても、固体レーザ発振装置の場合と同様に使用できるスペクトル帯域が制限されてしまうという問題があり、使用可能なスペクトル帯域の広域化が求められている。
従って、本発明は、希土類イオンの蛍光スペクトル帯域をより有効に活用することができる固体レーザ増幅装置を提供することを目的とするものである。
本発明の固体レーザ発振装置は、固体レーザ媒質を共振器内に配置してなる固体レーザ発振装置において、
前記固体レーザ媒質が、希土類イオンが添加されたものであり、
前記共振器内に、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピーク波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピーク波長以外のスペクトル波長の光との強度差を小さくする光フィルタを備えたことを特徴とするものである。
前記光フィルタは、少なくとも前記最大ピーク波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることが望ましい。ここで「最大ピーク波長を含む所定の波長範囲」は、光フィルタを備えない場合の最大ピーク波長の半値全幅よりも広い範囲とする。
前記光フィルタは、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける複数のピークの波長の光のそれぞれの一部を吸収および/または反射するものであることが望ましい。
このとき、前記光フィルタは、少なくとも前記最大ピークの波長および該最大ピーク以外のピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることが望ましい。さらにこのとき、前記光フィルタが、前記最大ピークの波長と、前記最大ピーク以外のピークの波長との光強度比率が1.5倍以下となるように、それぞれのピークの波長の光の一部を吸収および/または反射するものであることが望ましい。すなわち「平坦化」は、最大ピークの波長と、それ以外のピークの波長との光強度比率が1.5倍以下となる程度が好ましく、さらには、前記所定の波長範囲においてほぼピークがなくなる程度が最も好ましい。
なお、最大ピークと最大ピーク以外のピークとの強度比(最大ピーク/最大ピーク以外のピーク)を1.5倍以下とした理由は実験によるものである。すなわち、それ以上の比率であれば、最大ピーク近傍での発振に限定されるが、それ以下の比率であれば、最大ピークが発振し始めた後でも、それ以外のピークが発振に寄与してくることを確認している。
前記希土類イオンは、イッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウムのうちのいずれかであることが望ましい。
前記固体レーザ媒質は、YAG(Y3Al5O12)、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]、SYS[SrY4(SiO4)3O] 、YLF[LiYF4]のうちいずれかであることが望ましい。
本発明の固体レーザ発振装置は、さらにモード同期手段を備えていることが望ましい。モード同期手段は、半導体やカーボンナノチューブを用いた可飽和吸収ミラーおよび/または光カー効果を生じる素子からなるものを用いることができる。
本発明の固体レーザ増幅装置は、希土類イオンが添加された固体レーザ媒質と、
該固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部を吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外の波長の光との強度差を小さくする光フィルタとを備えていることを特徴とするものである。
前記光フィルタは、少なくとも前記最大ピーク波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることが望ましい。ここで「最大ピーク波長を含む所定の波長範囲」は、光フィルタを備えない場合の最大ピーク波長の半値全幅よりも広い範囲とする。
前記光フィルタは、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける複数のピーク波長の光のそれぞれの一部を吸収および/または反射するものであることが望ましい。
このとき、前記光フィルタは、少なくとも前記最大ピークの波長および該最大ピーク以外のピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることが望ましい。さらにこのとき、前記光フィルタが、前記最大ピークの波長と、前記最大ピーク以外のピーク波長との光強度比率が1.5倍以下となるように、それぞれのピークの波長の光の一部を吸収および/または反射するものであることが望ましい。すなわち「平坦化」は、最大ピークの波長と、それ以外のピークの波長との光強度比率が1.5倍以下となる程度が好ましく、さらには、前記所定の波長範囲においてほぼピークがなくなる程度が最も好ましい。
前記希土類イオンは、イッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウムのうちのいずれかであることが望ましい。
前記固体レーザ媒質は、YAG(Y3Al5O12)、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]、SYS[SrY4(SiO4)3O] 、YLF[LiYF4]のうちいずれかであることが望ましい。
本発明の固体レーザ発振装置によれば、固体レーザ媒質が、希土類イオンが添加されたものであり、共振器内にその固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外のスペクトル波長の光との強度差を小さくする光フィルタを備えているので、最大ピークの波長における利得を抑制することができ、希土類イオンが添加された固体レーザ媒質の本来有する蛍光帯域幅をより広く活用することができる。
希土類イオンがイッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウムのうちのいずれかである場合、本来の蛍光帯域幅は広く、従来使用されていた幅が狭かったために、上述の光フィルタを備えることの意義が大きく効果がより顕著である。
特に、固体レーザ媒質が、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]、SYS[SrY4(SiO4)3O]、のうちいずれかである場合、これらは非常に帯域が広い媒質であるため、上述の光フィルタを備えることによる効果が顕著である。
本発明の固体レーザ発振装置においてモード同期手段を備えれば、パルスレーザ装置を構成することができ、光フィルタを備えない従来のパルスレーザ装置と比較してより短いパルス幅のレーザ光を生成することが出来るという顕著な効果を得ることができる。
本発明の固体レーザ増幅器によれば、希土類イオンが添加された固体レーザ媒質を備え、該固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外のスペクトル波長の光との強度差を小さくする光フィルタとを備えているので、最大ピークの波長における利得を抑制することができ、希土類イオンが添加された固体レーザ媒質の本来有する蛍光帯域幅をより広く活用することができる。固体レーザ増幅器においては、シード光の増幅器内の周回に伴い、利得の弱い部分がより減じられ、蛍光強度において最大ピークを示すような利得の強い部分が強調されるために、上述の光フィルタを備えない従来の固体レーザ増幅器では、利用できる帯域が最大ピークの半値全幅程度と非常に狭くシード光のスペクトル帯域が大きく減じられるという問題があったが、本発明のように、帯域幅をより広く活用することができるため、シード光の帯域の減小を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態の固体レーザ発振器1の概略構成を示すものである。
固体レーザ発振器1は、共振器10と、共振器10内にイッテルビウムが添加されたYAG固体レーザ媒質11(以下、Yb:YAG11と称する。)と、Yb:YAG11を励起する励起光Leを発する半導体レーザ12および該励起光LeをYb:YAG11に集光させる光学系13とからなる励起手段14とを備え、さらに、共振器10内にYb:YAG11の蛍光スペクトルを平坦化する光フィルタ15を備えている。また、共振器10の一端はモード同期手段である半導体可飽和吸収体(SESAM)16により構成され、他端は出力鏡17により構成されており、共振器10内には、分散補償を行うプリズム対18および発振光Loを反射する反射鏡19,20を備えている。
半導体レーザ12は、波長940nm(あるいは970nm)の励起光Leを発振するものであり、半導体レーザ12からの励起光Leは光学系13を通してYb:YAG11に集光されこれを励起する。
Yb:YAG11の両面には、励起光Leおよび発振光Loに対し無反射のコーティングが施されている。反射鏡19,20は凹面鏡となっており、発振光Loを共振器終端に向けて反射させるものである。なお、反射鏡19は励起光Leを透過するものである。出力鏡17は、発振光Loを所定の出力結合率で出力光Lとして共振器10より取り出すものである。また、半導体可飽和吸収体16は、モード同期の始動と安定動作に寄与するものである。
光フィルタ15は、Yb:YAGの最大ピーク波長(1030nm)およびそれに隣接するピーク波長(1050nm)の発振(図19を参照)を抑制するものであり、理想的には、図2のような透過率の波長依存性を持つものである。図2は励起パワー500mW時において、最大ピーク波長および該最大ピーク以外のピーク波長を含む所定の範囲内で蛍光スペクトルがほぼ平坦になるように、最大ピークおよび該最大ピーク以外のピークの光を吸収および/または反射する理想的な透過率の波長依存性を示すものである。このような波長依存性を有する光フィルタは通常の誘電体多層膜コーティングで作製可能である。また、エタロンなどの単純な波長依存性を持つフィルタを複数個組み合わせることによっても図2の特性に近い光フィルタを実現可能である。なお、本実施形態における「最大ピーク以外のピーク」は、最大ピークに隣接する1050nmにおけるピークである。
図3は、上記構成の固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図3から、励起パワー500mWにおいて、利得が平滑化されていることが分かる。この利得が平滑化されていることは、蛍光スペクトルが平滑化していることを示すものである。図2に示すような理想的な波長依存を有する光フィルタを用いた場合、励起パワー500mWにおいて発振中心波長は1030nm近傍で、利得スペクトル幅は約40nmとなることが図3から分かる。このときのレーザ発振時のスペクトル幅は20nm程度が得られ、非特許文献2の8.5nmから2倍以上改善できる。なお通常、レーザ発振時の帯域は利得帯域からさらに狭められる。なぜなら、共振器の中で、レーザ発振光は幾度も往復し出力され、利得形状をさらに強調するからである。レーザ発振時のスペクトル幅が20nmであれば、モード同期発振では、60fsec程度のフーリエ変換限界パルスが生成できる。励起パワーとレーザ発振出力との比率で定義される光変換効率はおよそ30%程度であり、500mWの励起パワーに対し、150mWのレーザ出力が得られ、実用上十分な値が得られる。なお、パルス繰り返し周波数は、共振器長で決まり、およそ200MHz程度であった。ここでの共振器長は75cmであった。
なお、図2のように、スペクトル分布を完全に反転した形状のフィルタである必要はない。本実施形態のように固体レーザ媒質がYb:YAGである場合、最大ピーク(1030nmのピーク)とそれに隣接するピーク(1050nmのピーク)の光強度比率が1.5倍程度以下、最も好ましくは同程度となるように最大ピークのみもしくは最大ピークおよびそれ以外のピーク(ここでは隣接するピーク)の光を吸収および/または反射し強度を低減させる光フィルタを用いればよい。なお、励起パワーが変化するとスペクトルは変化するため、使用する光フィルタの光透過率の波長依存性は励起パワーに応じて設定する必要がある。
さらに、上述の固体レーザ共振器によれば、出力結合率Tを10%〜20%程度と比較的大きく取ることが出来る。Yb:YAG固体レーザ媒質を備えた固体レーザ発振装置の場合、従来は、出来る限り広帯域を目指して1050nmにて発振をさせるため、既述の非特許文献2のように出力結合率をT=0.5%から5%程度としていた。レーザ出力を共振器から取り出す割合(抽出効率)ηCは、共振器内部の損失Li結合率とから、ηC=T/(T+Li)と表される。ここで、出力結合率T=0.5%程度、Li=2%程度(通常この程度の内部損失を見積もるのは適切である)とすると、ηC=T/(T+Li)=20%となり、従来例では固体レーザ媒質に蓄積されたエネルギーの共振器外部への取出しが著しく低下していることが分かる。しかしながら、本発明では、発振波長は光フィルタの設計により選択でき、出力結合率を高く取ることも可能である。例えば、出力結合率T=10%で動作させると、広帯域を確保したまま、ηC=83%と、蓄積された励起パワーの8割以上を抽出可能である。これはレーザ発振器動作の高効率化に寄与し、実用的に価値がある。
上記実施の形態では、モード同期動作を行うモード同期手段としてSESAMを用いたが、もちろん別の手段を用いてもよい。半導体以外の例えばカーボンナノチューブを用いた可飽和吸収体でも良い。また、固体レーザ媒質自身の光カー効果を生じる性質を利用したカーレンズモード同期(Kerr lens mode locking; KLM)や、KLMとSESAMなどの併用、能動モード同期素子(例えば音響光学素子による強度変調や周波数変調)なども実用的に使用可能である。また、モード同期共振器の別のタイプとして、V型あるいはZ型共振器なども使用可能である。図4はZ型共振器の構成を模式的に示したものである。図4において図1に示したものと同一の構成要素には同一の符号を付し詳細な説明は省略する。図4の固体レーザ発振装置1’の各要素は、励起光を透過させる反射鏡19’が平板状であり、一方、出力鏡17’が凹面鏡となっている点のみが図1の固体レーザ発振装置と異なっている。
またさらに、上記実施の形態では、波長分散の補償のためにプリズム対を用いるものとしたが、分散ミラーや回折格子などの他の分散補償手段を用いてもよい。
以下、本発明の他の実施の形態の固体レーザ発振装置を説明する。なお、以下の実施の形態において固体レーザ発振装置の構造は図1に示したものと同様の構造であるため、発振装置の構造についての説明は省略する。固体レーザ媒質の種類と、それに応じて使用される光フィルタとが第1の実施形態と異なるので、その点について詳細に説明する。
まず、第2の実施の形態の固体レーザ発振装置について説明する。ここでは、固体レーザ媒質として、Yb:KYW[KY(WO4)2]を備える。図5は光フィルタを備えない固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のYb:KYWのレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図5に示すような波長依存性を示すYb:KYWを備える場合、光フィルタとしては、Yb:KYWの最大ピーク波長1000nmおよびこれに隣接するピーク波長983nm、1025nmの発振を抑制するものであり、理想的には図6に示すような波長依存性の光透過率を有するものを備える。図6は励起パワー500mW時において、最大ピーク波長およびその隣接ピーク波長を含む所定の範囲内で蛍光スペクトルがほぼ平坦になるように、最大ピークおよび隣接ピークの光を吸収する理想的な透過率の波長依存性を示すものである。
図7は、固体レーザ媒質としてYb:KYWを備え、図6に示す特性を有する光フィルタを備えた場合の固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図7から、励起パワー500mWにおいて45nm以上の範囲に亘り利得が平滑化されていることが分かる。この場合、レーザ発振時のスペクトル帯域としては30nm程度が得られ、結果としてモード同期発振ではフーリエ変換限界において、40fsec程度が得られる。
次に、第3の実施の形態の固体レーザ発振装置について説明する。ここでは、固体レーザ媒質として、Yb:SYS[SrY4(SiO4)3O]を備える。図8は光フィルタを備えない固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のYb:SYSのレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図8に示すような波長依存性を示すYb:SYSを備える場合、光フィルタとしては、Yb:SYSの最大ピーク波長1040nm近傍の発振を抑制するものであり、理想的には図9に示すような波長依存性の光透過率を有するものを備える。図9は励起パワー500mW時において、最大ピーク波長を中心とする所定の範囲内で蛍光スペクトルがほぼ平坦になるように、最大ピークの光を吸収する理想的な透過率の波長依存性を示すものである。
図10は、固体レーザ媒質としてYb:SYSを備え、図9に示す特性を有する光フィルタを備えた場合の固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図10から、励起パワー500mWにおいて、約50nm以上の範囲に亘り利得が平滑化されていることが分かる。この場合、レーザ発振時のスペクトル帯域としては35nm程度が得られ、結果としてモード同期発振ではフーリエ変換限界において、35fsec程度が得られる。
なお、上記光フィルタの特性はいずれもシミュレーションにより得られた理想的な特性を有するものとして説明している。理想的な特性に近い特性を有するものを多層膜コーティングにより達成可能であるが、必ずしも理想的な特性を有する光フィルタでなくても効果を得ることができる。実際の実験では、完全に平坦にならなくとも、最大ピークとそれ以外のピークの強度比率がおよそ1.5倍以下となれば、十分に帯域拡大の効果が現れることが確認できている。
上記実施の形態においては、希土類イオンとしてイッテルビウムを固体レーザ媒質に添加した場合について説明したが、本発明は、イッテルビウムに限定されるものではなく、広く希土類イオンを添加した固体レーザ媒質を備えた固体レーザ発振器に適用可能である。
例えば、ツリウム(Tm)を添加したYLF結晶(LiYF4)の3F4準位と3H6準位(基底準位)の間の吸収・誘導放出に対しても適用可能である。Tm:YLFの場合、吸収はおよそ波長1.7μm近傍、誘導放出は1.9μm近傍である。この遷移もイッテルビウムと同様に準3準位系をなし、レーザ利得は励起パワー密度の関数となる。図11は光フィルタを備えない固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のTm:YLFのレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。
第4の実施形態として、固体レーザ媒質としてTm:YLFを備え、光フィルタとしてTm:YLFの最大ピーク波長1900nm、これに隣接するピーク波長1845nmおよび波長1790nmの発振を抑制する、図12に示す波長依存性の光透過率を有するものを備えた場合について説明する。図12は、励起パワー500mW時において、最大ピーク波長およびその隣接ピーク波長を含む所定の範囲内で蛍光スペクトルがほぼ平坦になるように、最大ピークおよび隣接ピークの光を吸収する理想的な透過率の波長依存性を示すものである。
図13は、図12に示す特性を有する光フィルタを備えた場合の固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図13から、励起パワー500mWにおいて150nm程度の平滑な利得帯域が得られることが分かる。この場合、レーザ発振時のスペクトル帯域としては50nm程度を確保することができる。これは、フーリエ変換限界パルス幅として90fsec程度に相当する。
同様に、本発明は、ホルミウム(Ho)を添加したYLF結晶の5I7準位と5I8準位(基底準位)の間の吸収・誘導放出に対しても適用することができる。Ho:YLFの場合は、吸収は1.9μm、誘導放出は2.1μm近傍にあり、先のイッテルビウムやツリウムと同様、準3準位系を成している。図14は光フィルタを備えない固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のHo:YLFのレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。
第5の実施形態として、固体レーザ媒質としてHo:YLFを備え、光フィルタとしてHo:YLFの最大ピーク波長2050nmの発振を抑制する、図15に示す波長依存性の光透過率を有するものを備えた場合について説明する。図15は、励起パワー500mW時において、最大ピーク波長を含む所定の範囲内で蛍光スペクトルがほぼ平坦になるように、最大ピークの光を吸収する理想的な透過率の波長依存性を示すものである。
図16は、図15に示す特性を有する光フィルタを備えた場合の固体レーザ発振装置において、励起パワーを0mWから500mWへと増加させた場合のレーザ利得G(λ)の波長依存性を示すものである。図16から、励起パワー500mWにおいて70nm程度の平滑な利得帯域が得られることが分かる。この場合、レーザ発振時のスペクトル帯域としては35nm程度を確保することができる。これは、フーリエ変換限界パルス幅として120fsec程度に相当する。
以上のように、本発明の固体レーザ発振装置は、共振器内に、希土類イオンが添加された固体レーザ媒質の蛍光スペクトルに応じた、波長依存性を有する光透過率の光フィルタを備えることにより、ピーク波長における利得を抑制することで、イッテルビウムなどの希土類イオンの有する蛍光帯域幅をより広く活用し、より短いパルス幅のレーザ光を生成することが出来る。
上記の実施形態では挙げられていないが、希土類イオンとして、イッテルビウム、ツリウム、ホルミウムのほか、エルビウムを添加した固体レーザ媒質を備えた固体レーザ発振装置においても同様に本発明を適応可能である。なお、希土類イオンの添加量はおよそ0.5at%から10at%程度(元素比率)である。
また、固体レーザ媒質の母材としては、YAG(Y3Al5O12)、YLF[LiYF4]、SYS[SrY4(SiO4)3O]のほか、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]などを用いることができる。
さらに、本発明の手法は上述の実施形態として挙げたレーザ発振器のみならず、レーザ増幅器にも適用可能である。固体レーザでは一般的に、単一通過(シングルパス)利得が小さいため、共振器を構成した再生増幅器として、光パルスを再生増幅器内に注入し、所定の周回数を経た後、電気光学素子にて増幅器内から取り出すことが広く行われている。このとき光パルスは増幅器内の周回に伴い、利得の弱い部分がより減じられ、強い部分が強調され、結果として帯域が減じられる効果を蒙る。ここで、第1から第5の実施形態に示した固体レーザ媒質と光フィルタとの組み合わせを備えることで、帯域が減じられる効果を緩和することが出来る。
第6の実施形態として、図17にYb:YAG固体レーザ媒質を用いた固体レーザ増幅器である再生増幅器30の構成例を示す。別に用意したシードレーザとしてのチタンサファイアモード同期発振器40(パルスエネルギー20pJ、中心波長1030nm、スペクトル幅20nm、パルス幅100fsec、繰り返し100Hz)からの短パルスレーザ光(シード光)Lsを、図示しない回折格子対によりパルス幅を1nsec程度まで伸張する。その後、Yb:YAG再生増幅器30に偏光子41から導入し、電気光学素子と四分の一波長板の組合せ42において、当初、電気光学素子に加える電圧を零とし、四分の一波長だけの位相差を与え、再生増幅器内に捕捉する。2パス目は、電気光学素子に四分の一波長だけの位相差を与え、捕捉された光子を共振器内に閉じ込める。電気光学素子に半波長電圧を加えるか電圧をオフにし、最終的に取り出す(詳細はKochner、Solid-State Laser Engineering(第4版、p.541)参照。)。
Yb:YAG固体レーザ媒質31は半導体レーザ32および光学系33からなる励起光学系34からの励起光Leにより励起されており、シード光は反射鏡36および37間を往復することで増幅される。最終的に、10回〜15回程度の所定の周回数だけYb:YAG31を通過し、マイクロジュールからミリジュール程度まで増幅され取り出される。このとき、光フィルタ35を挿入しているため、再生増幅器30内での帯域幅の低減を抑制することができる。このときの光フィルタ35は上述の第1の実施形態のものと同様であり図2に示す特性を有するものである。
上記再生増幅器30を用いてシード光を増幅させた場合についてのシミュレーションによれば、もともとシード光のスペクトル幅は20nmほどあったが、再生増幅器通過後は、およそ15nm、回折格子を用いたパルス圧縮器による圧縮により、10nm程度の帯域が確保できた。上記再生増幅器30において光フィルタが無い場合についてのシミュレーションでは、スペクトル幅で5nm以下にまで帯域が減じられていたので、光フィルタを使うことで2倍程度の帯域が確保できた。パルス圧縮後のパルス幅はおよそ200fsecで、パルスエネルギーは1ミリジュール程度まで増幅できた。
なお、上記実施形態においては、固体レーザ増幅器として再生増幅器を例に挙げて説明したが、本発明のレーザ増幅器は、再生増幅器にのみ限定されるものではなく、単一通過型あるいはダブルパス型や4パス型のいわゆるマルチパス型レーザ増幅器においても容易に適用可能である。
各実施形態において示した光フィルタはいずれも一例であり、より詳細には、選択したレーザ媒質の蛍光スペクトルおよび吸収スペクトル、励起密度などと、レーザ発振器の場合は出力結合率などに依存し、所定の励起パワーにおいて適切な設計が可能である。
なお、固体レーザ発振装置としては、上記実施形態において短パルスレーザとして構成されたものを例に挙げて説明したが、本発明の固体レーザ発振装置は、固体レーザ媒質に応じた光フィルタを備えることを特徴とするものであり、この特徴により、利得帯域およびレーザ発振帯域を広く確保できるため、短パルスレーザの応用以外にも2波長(あるいは多波長)発振レーザ、広帯域波長可変レーザとしても動作可能である。2波長発振レーザとして用いる場合、例えば近接した2波長が必要な差分吸収ライダ(DIAL)等の気体吸収・環境応用計測装置などへの適用も可能と考えられる。これは、一方の波長を気体吸収に合わせこみ、他方をそれと少し離隔することで、波長の差による吸収の差分を見る技術である。
本発明の第1の実施形態の固体レーザ発振装置の概略構成を示す図 本発明の第1の実施形態の光フィルタの光透過率の波長依存性を示すグラフ 本発明の第1の実施形態におけるYb:YAG結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 第1の実施形態の固体レーザ発振装置の変形例を示す図 光フィルタを備えない場合のYb:KYW結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 本発明の第2の実施形態の光フィルタの光透過率の波長依存性を示すグラフ 本発明の第2の実施形態におけるYb:KYW結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 光フィルタを備えない場合のYb:SYS結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 本発明の第3の実施形態の光フィルタの光透過率の波長依存性を示すグラフ 本発明の第3の実施形態におけるYb:SYS結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 光フィルタを備えない場合のTm:YLF結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 本発明の第4の実施形態の光フィルタの光透過率の波長依存性を示すグラフ 本発明の第4の実施形態におけるTm:YLF結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 光フィルタを備えない場合のHo:YLF結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 本発明の第5の実施形態の光フィルタの光透過率の波長依存性を示すグラフ 本発明の第5の実施形態におけるHo:YLF結晶の利得の波長依存性を示すグラフ 本発明の第6の実施形態の固体レーザ増幅器の概略構成を示す図 従来技術の固体レーザ発振装置の構成例を表す図 Yb:YAGでの利得断面積の反転分布率β依存性を示すグラフ 従来技術でのYb:YAGにおける1030nm発振の説明図 従来技術でのYb:YAGにおける1050nm発振の説明図
符号の説明
1 固体レーザ発振装置
10 共振器
11 固体レーザ媒質
12 半導体レーザ
13 光学系
14 励起手段
15 光フィルタ
16 半導体可飽和吸収体
17 出力鏡
18 プリズム対
19、20 反射鏡
30 固体レーザ増幅器
31 固体レーザ媒質
32 半導体レーザ
33 光学系
34 励起手段
35 光フィルタ
36、37 反射鏡
40 シードレーザ

Claims (16)

  1. 固体レーザ媒質を共振器内に配置してなる固体レーザ発振装置において、
    前記固体レーザ媒質が、希土類イオンが添加されたものであり、
    前記共振器内に、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外の波長の光との強度差を小さくする光フィルタを備えたことを特徴とする固体レーザ発振装置。
  2. 前記光フィルタが、少なくとも前記最大ピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることを特徴とする請求項1記載の固体レーザ発振装置。
  3. 前記光フィルタが、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける複数のピークの波長の光のそれぞれの一部を吸収および/または反射するものであることを特徴とする請求項1記載の固体レーザ発振装置。
  4. 前記光フィルタが、少なくとも前記最大ピークの波長および該最大ピーク以外のピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることを特徴とする請求項3記載の固体レーザ発振装置。
  5. 前記光フィルタが、前記最大ピークの波長と、前記最大ピーク以外のピークの波長との光強度比率が1.5倍以下となるように、それぞれのピークの波長の光の一部を吸収および/または反射するものであることを特徴とする請求項4記載の固体レーザ発振装置。
  6. 前記希土類イオンがイッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の固体レーザ発振装置。
  7. 前記固体レーザ媒質が、YAG(Y3Al5O12)、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]、SYS[SrY4(SiO4)3O]、YLF[LiYF4]のうちいずれかであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の固体レーザ発振装置。
  8. モード同期手段を備えたことを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の固体レーザ発振装置。
  9. 前記モード同期手段が、可飽和吸収ミラーおよび/または光カー効果を生じる素子からなることを特徴とする請求項8記載の固体レーザ発振装置。
  10. 希土類イオンが添加された固体レーザ媒質と、
    該固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長の光を少なくとも一部吸収および/または反射し、該最大ピークの波長以外の波長の光との強度差を小さくする光フィルタとを備えていることを特徴とする固体レーザ増幅装置。
  11. 前記光フィルタが、少なくとも前記最大ピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることを特徴とする請求項10記載の固体レーザ増幅装置
  12. 前記光フィルタが、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける複数のピークの波長の光のそれぞれの一部を吸収および/または反射するものであることを特徴とする請求項10記載の固体レーザ増幅装置。
  13. 前記光フィルタが、少なくとも前記最大ピークの波長および該最大ピーク以外のピークの波長を含む所定の波長範囲における蛍光スペクトルを、該光フィルタを備えない場合と比較して平坦化するものであることを特徴とする請求項12記載の固体レーザ増幅装置。
  14. 前記光フィルタが、前記固体レーザ媒質の蛍光スペクトルにおける最大ピークの波長と、該最大ピークの波長以外のピークの波長との光強度比率が1.5倍以下となるように、それぞれのピークの波長の光の一部を吸収および/または反射するものであることを特徴とする請求項13記載の固体レーザ増幅装置。
  15. 前記希土類イオンがイッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項10から14いずれか1項記載の固体レーザ増幅装置。
  16. 前記固体レーザ媒質が、YAG(Y3Al5O12)、KYW[KY(WO4)2]、KGW[KGd(WO4)2]、SYS[SrY4(SiO4)3O]、YLF[LiYF4]のうちのいずれかであることを特徴とする請求項10から15いずれか1項記載の固体レーザ増幅装置。
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