JP2007242484A - 変圧器回路及びその電流零点推移現象防止方法 - Google Patents

変圧器回路及びその電流零点推移現象防止方法 Download PDF

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修 細川
Katsutoshi Yamamoto
捷敏 山本
Susumu Nishiwaki
進 西脇
Kazuhiko Iiyama
和彦 飯山
Toru Eguchi
徹 江口
Shuichi Shimada
修一 島田
Taku Higami
卓 日上
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Abstract

【課題】零ミスの発生を防止した変圧器回路及びその零ミス防止方法を提供する。
【解決手段】電源1に遮断器2aが接続され、遮断器2aの負荷側に電力ケーブル3および変圧器5が接続されている。電力ケーブル5は大きな対地静電容量4を有している。変圧器5の巻線に並列に分路リアクトル6を接続する。分路リアクトル6を接続した結果、残留磁束は非常に小さくなる。残留磁束は、リアクトルを取り付けても、完全にはなくならない可能性があるので、その分は鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下と大きくする。変圧器鉄心にけい素鋼板を使用した場合には、定格電圧時の磁束密度を1.7テスラ程度にするのが通常であり、面積を2.5倍にするとは、磁束密度を0.68テスラにすることを意味する。鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下とすることにより、磁束が最大となる電圧0で投入した場合にも鉄心は飽和しない。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力系統における電流零点推移現象(以下、零ミスと略す)を防止した変圧器回路及びその零ミス防止方法に関する。
電力用の変圧器を系統に投入する際には、励磁突入現象のために、定格電流の数倍から十倍にも達する突出電流が流れる場合がある。このとき、変圧器そのものが過大な電流による電磁力の影響を受けるとともに、電力系統に対する電圧低下などの擾乱が発生するという問題がある。
このような励磁電流の現象については、非特許文献1及び非特許文献2を始め、一般の教科書に広く紹介されている。これらの文献によると、励磁突入電流は、変圧器の残留磁束密度の値により異なり、投入位相とも関係することが述べられている。つまり、変圧器の鉄心に残留磁束が存在する場合、投入時の電圧位相によっては、励磁突入電流が更に大きな値になり、上記のような問題が発生することになる。
変圧器に電圧を印加すると励磁突入電流が流れるが、その理由は、下記のとおりである。変圧器に電圧を印加した場合の磁束は、電磁誘導の法則に従い、(式1)で表されるように電圧の積分値が、磁束になることを示している。
Figure 2007242484
図12は電圧波形を示しているが、これを用いて電圧と磁束の関係を説明する。変圧器は、運転中は、図12に示したとおり、正極性側電圧4分の1波の積分値(a)と負極性側電圧4分の1波の積分値(b)、さらに(c)と(d)とが繰り返して打ち消し合うので、4分の1波分の電圧積分値の磁束に対して飽和しないようにしておけばよい。
通常の変圧器は、このように電圧4分の1波分の磁束に対して飽和しないように鉄心断面積が設計されている。規格上は、5%以上の余裕を持たせればよいこととなっている。
ところが、電圧印加は、電圧0で投入したり、電圧ピークで投入したり、電圧位相はランダムである。このとき図12の電圧ピークQ点で投入すると、積分値は設計磁束以下となるので、変圧器鉄心は飽和しないが、P点の電圧0近傍で投入すると、(式1)の電圧の積分値、すなわち磁束は、設計値を上回り、鉄心は飽和する。特にP点・R点・T点などの電圧0での投入では、磁束は電圧半波の積分となって、設計磁束の2倍となり、鉄心は大きく飽和してしまう。鉄心が飽和した場合には、大きな励磁突入電流が流れる。
また、(式1)は、残留磁束φがあっても、飽和しやすいことを意味している。残留磁束は、最大で定格時の80〜90%残るので、残留磁束があると、例え電圧ピークQ点で投入しても鉄心は飽和し、励磁突入電流が流れることとなる。
これに対処するために励磁突入電流を抑制する技術については、特許文献1あるいは特許文献2に示すように、変圧器の負荷側と電源側に遮断器を設け、変圧器の投入あるいは遮断時にこれら2つの遮断器の開閉タイミングを制御することで、励磁突入電流を抑制する提案がなされている。
確かに、これらの従来技術は、変圧器自体の課電時における励磁突入電流対策としては有効ではあるが、電力用ケーブルと変圧器とを一括して課電した場合には、ケーブルの大きな対地静電容量に起因する充電電流と励磁突入電流との相互作用により、以下に説明するように零ミスが発生し、このときに遮断器が電流を遮断しようとすると、電流零点がないために遮断不能となり、遮断器は内部事故に至るという問題があった。
以下、図13と図14とにより、電力用ケーブルと変圧器を一括して課電した場合に、零ミスが発生することを説明する。図13において、電源1に遮断器2a、電力用ケーブル3、変圧器5が接続され、電力用ケーブルには大きな静電容量4がある。遮断器2aを投入し、電力用ケーブル3と変圧器5とを一括して課電すると、変圧器5には励磁突入電流11が流れ、同時にケーブル充電電流12も流れる。
励磁突入電流11は、遮断器投入時の電源電圧の位相によって異なるが、変圧器定格電流の数%から最大では数倍の大きさとなる。数倍の励磁突入電流が流れた場合には、その波形は、図14(a)のように交流分電流と直流分電流で構成される。交流分電流は電圧に対し90度遅れとなり、直流分電流は、交流分電流と同等の大きな電流となる。
このとき同時に、電力ケーブルの充電電流は図14(b)のようになり、電源電圧に対し90度進みであるため、変圧器励磁突入電流とケーブル充電電流との合成の交流分は大幅に減少し、一方、直流分電流はそのまま残る。その結果、この変圧器励磁突入電流とケーブル充電電流との合成電流は、図14(c)のようになり、遮断器2a部分を流れる。この電流は、ゼロ点のない電流であり、遮断器でこの電流を遮断しようとしても遮断できない。
ケーブルが長い場合には、ケーブルの対地静電容量が大きいため、充電電流が大きくなり、充電電流と励磁突入電流の交流分電流とがほぼ完全に相殺し、ほとんど直流分電流となる場合が出てくる。例えば、66kV、10MVA、定格電流87Aの3相変圧器の励磁突入電流が、定格電流と同等であったとすると、この電流と等しい充電電流が流れるケーブル長は、ケーブルの静電容量を0.20μF/kmとした場合、30kmとなる。このように、長距離ケーブル系統では、励磁突入電流と同じような大きさの充電電流が流れるため、特に零ミスが発生しやすくなる。
遮断器2a投入時に系統に事故があった場合には、遮断器2aを遮断する必要がある。電力系統は一般に3相回路であり、事故相には事故電流が流れるが、健全相では、この電流ゼロ点がない電流が流れるため、遮断器は遮断できずに内部事故となる。
図15に解析結果の例を示す。この例は、図13において、電力用ケーブル3またはその周辺でW相に地絡7がある状態で投入した場合であり、上からU相・V相・W相の電流を示している。
図中の「U,V,W相投入」のところで遮断器2aを投入すると、最初は過渡的にケーブル系統の固有周波数の高調波電流が、商用周波数の電流と重畳して流れている。高調波電流は時間とともに減衰し、商用周波電流成分が大きくなる。図示していないが、地絡は保護リレーにより検出され、遮断器2aは3相ともトリップする。このとき、地絡したW相は零ミスが発生しないので図中の「W相遮断」の位置で電流は遮断される。
一方、事故のないU相・V相では、図示したとおり「U相,V相零ミス区間」にて、零ミスが発生している。電流波形は、高調波成分は小さくなり、商用周波成分が多くなっている。このため、零ミスも発生しやすくなっている。電流ゼロ点が20〜30ms以内に来ないと遮断器は遮断できないので、遮断不能となる。この例は、W相地絡の場合であるが、投入時の2相短絡または2相地絡の場合にも健全相では零ミスを発生する。
従来の技術ではこれを防止するためには、図16のように変圧器5に遮断器2bを設ける。変圧器に課電する場合には、まず遮断器2aを投入し、その後、遮断器2bを投入する。すなわち、一括課電を避ける。
また、電力用ケーブルを課電すると同時に変圧器が必要な場合には、図16と同様に遮断器2bを設けるとともに、課電前に遮断器2bを投入しておき、課電時には、遮断器2aを投入する。これにより、電力用ケーブル3と変圧器5とを一括課電する。系統事故の場合には、まず、遮断器2bを遮断し、その後、遮断器2aを遮断する方式とする必要がある。
電力用ケーブルを課電すると同時に変圧器が必要な場合としては、接地変圧器中性点にケーブル補償用の中性点リアクトルが設置されている場合などがある。その場合の回路図を図17に示す。図17においては、接地変圧器8の中性点側に中性点リアクトル9を設け、地絡時の電力ケーブルの零相静電容量を補償し、中性点抵抗10により遮断後の自由振動電圧の減衰を早める。これらの装置は、電力用ケーブル3が課電されたときから事故が発生する可能性があるので、電力用ケーブルと一括して課電する必要がある。
また、ケーブル系統などでは、図18のように電源端電気所には遮断器2aを設けるが、受電端変電所には遮断器を省略した構成とする場合がある。このような系統では、ケーブルが長い場合には、前記のとおり、零ミスが発生する可能性がある。
電気学会発行「電気工学ハンドブック」 電気書院発行「電気技術体系第10巻」 特開平11−345546号公報 特開2005−102452号公報
このように、電力ケーブルと変圧器とを一括課電すると零ミスが発生し、このときに系統事故があると遮断器の遮断不能が発生し問題となる。また、それを防止するためには、遮断器2bを変圧器5に設け、課電時には、遮断器2a、遮断器2bの順に投入する方法があるが、不経済となる。
また、電力用ケーブルを課電すると同時に変圧器が必要となる場合には、電力ケーブル3が事故の場合に、遮断器2bを先に遮断してから、遮断器2aを遮断する必要があるため、遮断時間が遅れ、電圧低下時間が長くなること、電力ケーブルの火災の可能性が大きくなること、系統安定度が悪くなることなどの問題がある。
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、零ミスの発生を防止した変圧器回路及びその零ミス防止方法を提供することを目的とする。
前記のような目的を達成するため、本発明の変圧器回路は、変圧器と、この変圧器に接続された電力用ケーブルと、この変圧器と電力用ケーブルとを一括課電するための遮断器を備えた変圧器回路において、変圧器巻線と並列に分路リアクトルを接続すると共に、前記変圧器の鉄心をけい素鋼板によって構成し、このけい素鋼板を鉄心に使用した変圧器の定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下としたことを特徴とする。
また、本発明の変圧器回路の電流零点推移現象防止方法は、変圧器巻線と並列に分路リアクトルを接続すると共に、前記変圧器の鉄心をけい素鋼板によって構成することにより前記遮断器により前記電力系統から切り離した際に前記変圧器に残る残留磁束を低減すると共に、前記けい素鋼板を鉄心に使用した変圧器の定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下とすることにより、前記分路リアクトルにより低減された残留磁束の存在にもかかわらず変圧器鉄心の磁気飽和を防止して、変圧器の励磁突入電流の低減を可能としたことを特徴とする。
本発明によれば、分路リアクトルによる残留磁束の低減作用と、鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下とすることによる時機飽和の防止作用とにより、磁束が最大となる電圧0で投入した場合にも鉄心は飽和せず、励磁突入電流をほとんど流さないようにすることが可能になる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態を図1により説明する。図1は本発明の単線結線図である。電源1に遮断器2aが接続され、遮断器2aの負荷側に電力ケーブル3および変圧器5が接続されている。電力ケーブル5は大きな対地静電容量4を有している。
前記変圧器5の巻線に並列に分路リアクトル6を接続する。図1では、変圧器5は2巻線変圧器の例を示している。変圧器は3巻線以上の巻線を有するものであってもよい。また、分路リアクトルはいずれの巻線に接続してもよい。
この場合、変圧器5の鉄心はけい素鋼板を使用するものとし、その鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下とする。ここで、鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下にするとは、変圧器鉄心にけい素鋼板を使用した場合には、定格電圧時の磁束密度を1.7テスラ程度にするのが通常であり、面積を2.0倍にするとは、磁束密度を0.85テスラにすることを意味し、面積を2.5倍にするとは、磁束密度を0.68テスラにすることを意味する。
このような構成を有する第1実施形態においては、前記分路リアクトル6の接続と、定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下とするとという2つの構成により、変圧器5の励磁突入電流、すなわち、図14(a)の励磁突入電流をほとんど流さないようにでき、従って、遮断器2a部分の電流は、ほとんど図14(b)の電流となり、零ミスの発生を防止することができる。
(2)第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態である。この第2実施形態においては、変圧器5は2巻線変圧器の例を示しており、その高圧巻線5aには遮断器2c、低圧巻線5bには遮断器2dが接続され、遮断器2dと低圧巻線5bとの間にリアクトル6および静電容量13が並列に接続されている。
なお、静電容量13は高圧巻線5a、低圧巻線5bいずれに接続されていてもよい。図1においては、高圧巻線5a側に接続している場合を示したが、図2においては、低圧巻線5b側に接続した場合を示した。遮断器2cは電源1と、遮断器2dは負荷14と接続されている。
この第2実施形態においても、変圧器5の鉄心はけい素鋼板を使用するものとし、その鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下とする。ここで、鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下にする。
このような構成を有する第2実施形態においては、前記分路リアクトル6の接続と、定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下とするという2つの構成により、変圧器5に対して図14(a)の励磁突入電流をほとんど流さないようにでき、遮断器2a部分の電流は、ほとんど図14(b)の電流となり、零ミスの発生を防止することができる。
(3)分路リアクトルの作用
前記第1及び第2実施形態に示すように、本発明は、変圧器5に並列に分路リアクトル6を接続する。これにより、残留磁束をほとんどなくすことができる。以下、この分路リアクトル6について説明する。
本実施形態におけるリアクトル6は、図3の特性を有するものであり、そのリアクトル特性の決定方法を以下に説明する。まず、図3の変圧器の磁束−励磁電流特性曲線(以下には、φ−I特性と略称する)上で、変圧器残留磁束目標値Zpを決定する。ここでは、一例として、変圧器残留磁束目標値Zpを、定格時の磁束、すなわち、定格電圧における磁束の約15%とし、縦軸の0.15の位置としている。この変圧器残留磁束目標値Zpから水平線を引き、変圧器φ−I特性の第2象限との交点Xまでの長さをhとする。ここで、hは励磁電流の大きさを示している。
次に、変圧器残留磁束目標値Zpから水平線を引き、第1象限におけるhの距離の点Yを求める。さらに、原点OとYを結んだ直線OYを求めると、この直線OYが求めるリアクトルの特性である。この特性よりも大きな電流を流すリアクトルであれば、変圧器の残留磁束を、最大でも15%以下にすることができる。図3の例では、リアクトルに求められる特性は、定格電圧の15%で、電流1以上の容量となる特性である。
以上のような特性を有する分路リアクトル6によれば、電力系統から切り離した際に変圧器に残る残留磁束を大幅に低減できる。以下には、このような分路リアクトル6の作用について、図4〜図10を用いて説明する。
図4は、図1に示す2巻線変圧器の変圧器回路を単相回路に適用した場合の2線結線図であり、変圧器運転状態を示している。この図4に示すように、変圧器1の運転時には、変圧器1は、閉路状態の遮断器2a,2bを介して電力系統の電源3と負荷4aに接続されており、電源3からの電力を降圧して負荷4aに供給している。この状態で、変圧器1には、巻線自身の静電容量、電力ケーブルまたはサージアブソーバコンデンサなどの対地静電容量5a,5bが接続されている。これにリアクトル6が並列に接続されている。
図4に示す運転状態から変圧器1を停止する場合には、図5において、まず、低圧側遮断器2dを遮断し、次に高圧側遮断器2cを遮断することにより、変圧器回路を遮断する。ここで、低圧側遮断器2dの遮断後に高圧側遮断器2cに流れる電流は、対地静電容量5が大きい場合には、90度進み電流遮断となり、電流ゼロ点で遮断すると、図6に示すように、対地静電容量5には電圧Eがほとんど系統電圧波高値で残る。なお、図6は、以上のように変圧器回路が遮断され、変圧器1が電力系統から切り離された後の回路状態を簡略に示す2線結線図である。
変圧器回路の遮断後、対地静電容量Cの残留電圧Eは、インダクタンスLTR、抵抗RTRを有する変圧器1、およびインダクタンスLSR、抵抗RSRを有するリアクトル6によって放電されていく。変圧器1とリアクトル6は、図7に示すように、インダクタンスLGおよび抵抗RGへと合成することができる。
図8(a)は、変圧器およびリアクトルのφ−I特性を示す図であり、変圧器の励磁特性は、磁束が1.0程度のときに励磁電流も大体1.0として、正規化して示している。この図8(a)において、磁束は、1.05倍程度から飽和を開始し、1.2倍では大きく飽和している。これは、実用されている一般的な特性にほぼ合わせたものである。また、図8(b)は、変圧器のφ−I特性とリアクトルのφ−I特性を合成した特性を示す図である。
図9(a)〜(e)は、変圧器回路遮断時からの電圧、磁束、変圧器電流、リアクトル電流、および合成電流の各波形を示す図である。また、図10は、変圧器回路遮断時からの磁束と励磁電流の変化を示す図である。なお、これらの図9および図10における横軸の(1)〜(14)は、共通の時点を示す番号である。
以下には、これらの図9および図10を用いて、変圧器回路遮断後に残留磁束を低減できる理由について詳細に説明する。
図9の時点(1)で変圧器回路を遮断すると、電圧は波高値の大きさで残るが、この電圧は変圧器1とリアクトル6の並列回路でゆっくりと放電される。このときの放電電圧の周波数fは、次の(式2)で表される。
Figure 2007242484
ここで、(式2)中の合成インダクタンスLGは、次の(式3)で表される。
Figure 2007242484
磁束は、前記(式1)に示したように、電圧を積分した電圧波形の面積であるため、次第に大きくなっていき、時点(2)で飽和する。
図10では、時点(1)からスタートした磁束は徐々に大きくなり、時点(2)に達し、飽和する。その後も時点(3)まで磁束は増加する。この例では、励磁電流は横軸の20にまで達している。図9(a)の電圧は反転し、時点(3)で電圧ゼロの点を通過する。図10の時点(3)から磁束は減少を開始し、時点(4)で飽和が解除される。図9(b)の磁束は、時点(3)からは電圧が負の領域になるので、その積分値は減少方向に変化し、時点(4)で飽和が解除される。
この時点(2)から時点(4)の間は、変圧器は飽和しているので、図9(c)の変圧器電流波形に示すように、大きな電流が流れる。なお、実際には、変圧器電流はこれ以外の時間でも流れてはいるが、非常に小さいので図中では無視している。また、リアクトルは飽和しないので、この時点(2)から時点(4)の間は、変圧器電流の方が大きくなる。図9(d)のリアクトル電流は、リアクトルのφ−I特性として図3に示したように、磁束と比例して流れる。変圧器電流とリアクトル電流を合成した合成電流は、図9(e)のようになる。
時点(4)からは、変圧器の飽和は解除され、変圧器のインダクタンスLTRは遮断直後と同様の大きな値に戻るため、図9(a)のように、再びゆっくりとした放電となり、緩やかな放電電圧波形となる。図9(b)のように、磁束は時点(4)以降も減少し続け、時点(5)でゼロとなり、さらに負の方向へと変化を続けて、時点(6)において負極性の領域で飽和する。
図10では、磁束ゼロの時点(5)を通過し、負極性の領域に入り、時点(6)で負極性領域の飽和に入る。変圧器の飽和に伴い、時点(6)から時点(8)の間では、図9(c)の変圧器電流、図9(e)の合成電流に示すように、電流が大きくなる。図10の時点(7)まで、磁束は負極性領域で増加し、電流は負極性領域で増加する。時点(7)から磁束は減少し、時点(8)で飽和が解除される。磁束ゼロの時点(9)を通過し、時点(10)に達する。
時点(8)からは、図9(a)の電圧波形に示すように、再びゆっくりとした放電となり、緩やかな放電波形となる。この時点(8)では、最初の時点(1)に比べて、電圧値は小さくなっている。これは、回路の抵抗や鉄心のヒステリシス損、うず電流損などにより、減衰があるためである。
図9(b)に示すように、磁束は、時点(7)から時点(8)を経て、時点(9)でゼロとなり、さらに正極性の方向に増加していく。電圧は、図9(a)に示すように、時点(10)でゼロ点を迎え、負極性側へ変化する。磁束は、図9(b)に示すように変化するが、この例では、正極性になってからの時点(9)から時点(10)間で飽和しない。
また、時点(10)で電圧は負の方向に変化していくので、磁束は減少し、図10の磁束ゼロの時点(11)を通過して、負極性側に変化し、時点(12)に達する。磁束は、この時点(12)から正極性方向に向かって変化し、時点(13)のゼロ点を経て、時点(14)で、時点(10)よりも低い値となり、また、負極性方向へと変化する。この時点では、変圧器が磁気飽和しないので、図9(c)に示すように、変圧器電流は、ほとんど流れない。その一方で、図9(d)に示すように、リアクトル電流は流れ続ける。
すなわち、時点(8)以降では、変圧器は飽和せずに、主としてリアクトルのインダクタンスLSRと静電容量Cとで放電が行われている。このときの放電周波数は、変圧器のインダクタンスLTRが非常に大きいので、ほぼ次式のようになる。
Figure 2007242484
時点(8)以降は、この(式4)の周波数で放電が続き、回路の抵抗などにより徐々に減衰していく。すなわち、正弦波状の減衰振動電圧が発生し、電圧ゼロ、電流ゼロに向かって徐々に減衰していく。図9(b)に示すように、磁束も、時点(8)以降は振動しながら減少していく。ただし、最終値は、ゼロになるとは限らない。
さらに、以上のような変化が繰り返されていくが、最後は、電流がゼロになった時点で放電は終了する。その位置は、図10のZZ’間であり、この範囲で電流ゼロとなる。すなわち、図10のヒステリシス特性において、残留磁束が、範囲ZZ’を超えることはあり得ない。
以上のとおり、この例では、変圧器は時点(2)および時点(6)で飽和し、その後は飽和しない。時点(8)以降の正弦波状の振動波電圧が徐々に減衰していくことにより、磁束も減衰し、最終値、すなわち残留磁束は非常に小さくなる。
(4)鉄心断面積
前記第1、第2実施形態に示すように、本発明では、前記分路リアクトル6に加えて、変圧器5の鉄心をけい素鋼板で作成すると共に、その鉄心断面積を2.0倍以上、2.5倍以下とする。その作用は、図12において電圧0となるP点で投入した場合が、電圧の積分値すなわち磁束が最大になり、通常の設計に対し磁束が2倍となるが、その場合にも鉄心は飽和しないようにすることができる。
なお、残留磁束は、リアクトルを取り付けても、完全にはなくならない可能性があるので、その分は鉄心断面積を大きくする必要がある。その分を考慮して鉄心断面積は、2倍以上とする。また、そのほかのバラツキなども含める必要がある。
残留磁束については、定格電圧時の磁束の25%を見込み、鉄心特性のバラツキや製作誤差を5%、電圧変動を10%、不確定要素を10%見込み、合計50%とする。総合して、2.5倍以下の鉄心断面積とすれば、変圧器鉄心は飽和することがなくなる。これらのバラツキは、設計のつど、検討して、変更することもできる。もし、リアクトルを取り付けなかった場合には、残留磁束が80〜90%残るとすると3.3倍程度の鉄心にする必要があり、変圧器は大型化し、価格も上昇する。
ここで、鉄心断面積を2.0倍以上、2.5倍以下にするとは、変圧器にけい素鋼板を使用した場合には、定格電圧時の磁束密度を1.7テスラ程度にするのが通常であり、面積を2.0倍にするとは、磁束密度を0.85テスラにすることを意味し、面積を2.5倍にするとは、磁束密度を0.68テスラにすることを意味する。
図11に、図1の変圧器5の鉄心断面積を2.2倍とし、リアクトル6を取り付けた場合の解析例を示す。残留磁束は、U相に+0.237pu、V相に−0.07pu、W相に−0.181puとしている。図11は、図13の場合と同様に、図1において3相回路のうち、W相で地絡があった場合の電流波形である。上からU相電流・V相電流・W相電流を示しており、前記の図15では、U相およびV相で零ミスを発生していたが、図11では零ミスは発生していない。
(5)実施形態の効果
このように、変圧器5に分路リアクトルを取り付けることにより残留磁束をほとんどなくすことができ、かつ、鉄心断面積を通常の2.0倍以上、2.5倍以下とすることにより、磁束が最大となる電圧0で投入した場合にも鉄心は飽和せず、従ってこれらの総合作用によって、励磁突入電流をほとんど流さないようにすることができる。同時に、変圧器鉄心断面積の増加を抑制し、経済的なものとすることができる。その結果、価格上昇を抑制しつつ、電流零ミスを防止することができる。
この発明の回路図。 変圧器にリアクトルを取り付けた場合の単線結線図。 図2におけるリアクトルの特性を示す図。 図2に示す変圧器回路を単相回路に適用した場合の2線結線図であり、変圧器運転状態の電圧・電流を示す。 図4の変圧器回路を遮断した後の変圧器回路遮断状態を示す2線結線図。 図5に示す変圧器遮断状態を簡略に示す2線結線図。 図6に示す変圧器とリアクトルの並列回路を合成する概念図。 変圧器のφ−I特性とリアクトルのφ−I特性およびその合成を示す図。 変圧器遮断時からの電圧・磁束・電流の波形を示す図。 変圧器遮断時からの磁束と励磁電流の変化を示す図。 この発明により零ミスが防止された電流波形解析例。 電圧波形と磁束の関係を示す図。 電力ケーブルと変圧器とを一括して電圧印加する場合の単線結線図。 零ミス発生の原理図。 零ミスが発生する解析例。 変圧器に遮断器を設けた場合の単線結線図。 変圧器中性点にケーブル補償用リアクトルを設置した場合の単線結線図。 電力用ケーブルと変圧器とが一括課電される他の回路例。
符号の説明
1…電源
2a,2b…遮断器
3…電力用ケーブル
4…電力用ケーブルの対地静電容量
5…変圧器
6…分路リアクトル
7…地絡
8…接地変圧器
9…中性点リアクトル
10…中性点抵抗
11…励磁突入電流
12…ケーブル充電電流
13,13a,13b…対地静電容量
14…負荷

Claims (7)

  1. 変圧器と、この変圧器に接続された電力用ケーブルと、この変圧器と電力用ケーブルとを一括課電するための遮断器を備えた変圧器回路において、
    変圧器巻線と並列に分路リアクトルを接続すると共に、前記変圧器の鉄心をけい素鋼板によって構成し、このけい素鋼板を鉄心に使用した変圧器の定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下としたことを特徴とする変圧器回路。
  2. 前記電力用ケーブルが変圧器の電源側に設けられ、この電力用ケーブルの電源側に遮断器が設けられ、変圧器の負荷側に分路リアクトルが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の変圧器回路。
  3. 前記電力用ケーブルが変圧器の負荷側に設けられ、変圧器の電源側に高圧側遮断器が設けられると共に、電力用ケーブルの負荷側に分路リアクトルが設けられ、この分路リアクトルの負荷側に低圧側遮断器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の変圧器回路。
  4. 前記リアクトルは、このリアクトルに流れる電流の大きさが、前記変圧器の磁束−励磁電流特性曲線の第2象限で設定される変圧器残留磁束目標値に対応する変圧器励磁電流以上となる特性を有することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の変圧器回路。
  5. 前記定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下としたけい素鋼板を鉄心に使用した変圧器が、定格電圧時の磁束密度を1.7テスラ程度とした変圧器の鉄心断面積の2.0倍以上、2.5倍以下の鉄心断面積を有するものである請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の変圧器回路。
  6. 変圧器と、この変圧器に接続された電力用ケーブルと、この変圧器と電力用ケーブルとを一括課電するための遮断器を備えた変圧器回路の電流零点推移現象防止方法において、
    前記変圧器巻線と並列に分路リアクトルを接続すると共に、前記変圧器の鉄心をけい素鋼板によって構成することにより前記遮断器により前記電力系統から切り離した際に前記変圧器に残る残留磁束を低減すると共に、前記けい素鋼板を鉄心に使用した変圧器の定格電圧時の磁束密度を0.68テスラ以上、0.85テスラ以下とすることにより、前記分路リアクトルにより低減された残留磁束の存在にもかかわらず変圧器鉄心の磁気飽和を防止して、変圧器の励磁突入電流の低減を可能としたことを特徴とする変圧器回路の電流零点推移現象防止方法。
  7. 前記分路リアクトルとして、このリアクトルに流れる電流の大きさが、前記変圧器の磁束−励磁電流特性曲線の第2象限で設定される変圧器残留磁束目標値に対応する変圧器励磁電流以上となる特性を有するリアクトルを使用することを特徴とする請求項6に記載の変圧器回路の電流零点推移現象防止方法。
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