JP2007241070A - 光学異方性膜、位相差板、及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する光学異方性膜を提供する。
【解決手段】膜面に対して実質的に垂直配向状態に固定された1種又は2種以上の棒状液晶化合物を含有する光学異方性膜であって、前記棒状液晶性化合物の少なくとも1種が示す液晶相の複屈折Δnが0.14以上であることを特徴とする光学異方性膜である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に水平方向に配向した液晶分子に横方向の電界を印加することにより表示を行う、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置に関する。また、本発明は、液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置、の視野角の拡大に寄与する光学異方性膜及び位相差板に関する。
液晶表示装置としては、二枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶分子による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるIPSモードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示又は中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。
また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコティック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)や、光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(特許文献7参照)が提案されている。
しかし、提案された方式の多くは、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を打ち消して視野角を改善する方式であるために、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを十分に解決できないという問題がある。また、この光漏れを補償できるとされる方式でも、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。さらに、延伸複屈折ポリマーフィルムで光学補償を行うIPSモード液晶セル用光学補償シートでは、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。
一方、正の複屈折性を有し光軸が法線方向にある位相差膜を組み合わせることでIPSの光学補償を達成する方法が検討されており、かかる位相差膜を実現するには液晶材料を垂直に配向させ、その配向状態を固定化する方法が知られている(例えば、特許文献8〜10参照)。棒状液晶化合物を垂直に配向させる方法としては、配向膜に垂直配向膜を用いる方法、又は、垂直配向剤(例えば、4級アンモニウム置換のシランカップリング剤等)を基板上に形成させた上に液晶性化合物の層を形成する方法が提案されている(例えば、非特許文献1及び2)。
また、棒状液晶化合物の垂直配向を促進する添加剤と棒状液晶化合物とを含有する液晶組成物を透明支持体に塗布することによって形成した液晶性薄膜を固定することにより、正の複屈折性を有し光軸が法線方向にある位相差膜の作製法及び該位相差膜を用いた光漏れを抑えた液晶表示装置の作製法が開示されている(例えば、特許文献11参照)。しかし、近年モニターの表示特性に対する要求が厳しくなってきており、光漏れをさらに抑えるべく、棒状液晶化合物をさらに高秩序に垂直配向させる技術が求められている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報 特表2000−514202号公報 特開平10−319408号公報 特開平6−331826号公報 特開2005−265889号公報 岡野光治等、「液晶」・応用編、培風館、1985年発行、61頁 苗村昌平、Appl.Phys.Lett.33巻、1号、1978年、1〜3頁
棒状液晶化合物の垂直配向の秩序性を向上する方法の一つとして、塗布によって形成した該液晶性薄膜の膜厚を薄くすることが挙げられる。位相差膜の厚み方向のレターデーションRthは、膜厚と厚み方向の複屈折率の積で表されるので、複屈折Δnの高い棒状液晶を使用すれば、該位相差膜に必要なRthを保持したまま薄膜化を達成することできる。また、薄膜化によって、棒状液晶化合物の垂直配向の秩序性の向上が期待されるだけでなく、棒状液晶化合物の使用量を減少することができるため工業的にも利用度が高い技術である。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角特性が改善されたIPS型液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置、の視野角特性の改善に寄与する光学異方性膜及び位相差板を提供することを課題とする。また、本発明は、棒状液晶化合物の分子を欠陥無く均一に垂直配向させた光学異方性膜を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 膜面に対して実質的に垂直配向状態に固定された少なくとも1種又は2種以上の棒状液晶化合物を含有する光学異方性膜であって、前記棒状液晶性化合物の少なくとも1種が示す液晶相の複屈折Δnが0.14以上であることを特徴とする光学異方性膜。
[2] 前記棒状液晶化合物が示す液晶相が、ネマチック相又はスメクチック相である[1]の光学異方性膜。
[3] 前記棒状液晶化合物が示す液晶相の複屈折Δnが、0.16以上である[1]又は[2]の光学異方性膜。
[4] 前記棒状液晶化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である[1]〜[3]のいずれかの光学異方性膜:
一般式(5)
1−L3−E1−L4−M−L5−E2−L6−G2
式中、G1及びG2はそれぞれ、重合を惹起することができる反応性基を含む基を表わし;L3〜L6はそれぞれ、化学的単結合、酸素、硫黄、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし;E1及びE2はそれぞれ、2〜30個のC原子を有するスペーサーを表わし;Mは、メソゲン基を表わす。
[5] 前記一般式(5)中、Mが下記一般式(6)で表されるメソゲン基である[4]の光学異方性膜:
一般式(6)
Figure 2007241070
式中、B1、B2及びB3は、それぞれ独立に、F、Cl、Br、CF3、OCF3、OCHF2、ニトロ基又はシアノ基を表し;L7、L8及びL9は、それぞれ独立に、化学的単結合、酸素、硫黄、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし;aは0又は1を表し、b1、b2及びb3は、それぞれ独立に0〜4を表し;Aは、下記群A1より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる2価の置換基を表わし、群A1の2価の置換基中の水素原子は、1つ以上、F、Cl、Br、CH3、CF3、OCF3又はOCHF2で置換されていてもよく、及び群A1の2価の置換基中の*は連結部位を示す。
Figure 2007241070
[6] 膜面の法線方向から測定したレターデーションRe[nm]が実質的に0であり、厚み方向のレターデーションをRth、該光学異方性膜の厚さをd[nm]としたとき、Rth/dが0.14以上である[1]〜[5]のいずれかの光学異方性膜。
[7] 前記棒状液晶化合物の垂直配向を促進する添加剤の少なくとも一種をさらに含有する[1]〜[6]のいずれかの光学異方性膜。
[8] [1]〜[7]のいずれかの光学異方性膜を含む位相差板。
[9] 前記光学異方性膜を支持する支持体を有する[8]の位相差板。
[10] 前記支持体と前記光学異方性膜との間に、配向膜を有する[9]の位相差板。
[11] [1]〜[7]のいずれかの光学異方性膜又は[8]〜[10]のいずれかの位相差板を含む液晶表示装置。
[12] 少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差領域と、第2位相差領域と、液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、前記液晶層中の液晶分子が黒表示時に前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1位相差領域は、面内レターデーションReが20nm〜150nmであり、且つ面内の屈折率nxとny(nx>ny)、及び厚さ方向の屈折率nzを用いてNz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNz値が1.5〜7であり;前記第2位相差領域は、面内の屈折率nxとnyとが実質的に等しく、nxと厚さ方向の屈折率nzとがnx<nzの関係を満足し、厚み方向のレターデーションRthが−80nm〜−400nmであり、且つ[1]〜[7]のいずれかの光学異方性膜を含み;及び前記第1偏光膜の透過軸が、前記液晶層の黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
[13] 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行である[12]の液晶表示装置。
[14] 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルがこの順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である[12]の液晶表示装置。
[15] 前記第1偏光膜の透過軸と直交する透過軸を有する第2偏光膜をさらに有し、前記第1及び第2偏光膜が、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを挟持して配置されている[12]〜[14]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜の厚み方向の位相差Rthが、40nm以下である[12]〜[15]のいずれかの液晶表示装置。
本発明では、高複屈折の棒状液晶化合物を膜面に対して実質的に垂直配向させて光学異方性膜を形成しているので、低複屈折棒状液晶化合物を用いた場合と比較して、より薄い膜厚で、同程度のRth(厚み方向のレターデーション)を示す光学異方性膜とすることができる。この薄膜化により、棒状液晶化合物の分子の垂直配向の秩序が改善され、より均一且つ光学特性に優れた光学異方性膜を提供することができる。また、本発明では、この高秩序に垂直配向した棒状液晶化合物を固定することにより形成した光学異方性膜を、少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差領域(レターデーションReが20nm〜150nmであり、面内の屈折率nxとny(nx>ny)及び厚さ方向の屈折率nzを用いてNz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNzが1.5〜7)と、第2位相差領域(面内の屈折率nxとnyが実質的に等しく、nx<nzであり、厚み方向のレターデーションRthが−80nm〜−400nm)と、液晶材料からなる液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、黒表示時に液晶セル内の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置の第2位相差領域として使用することにより、正面方向の特性を何ら変更させることなく、黒表示時の斜めの方位角方向から見た場合に2枚の偏光板の吸収軸が90度からずれることから生ずるコントラストの低下、特に45度の斜め方向からのコントラストの低下を改善している。さらに、偏光膜の保護膜のRthを40nm以下とすることによって、コントラストをより向上させることができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明の液晶表示装置の一実施形態及びその構成部材について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、Re、Rthは各々、面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でない
ものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。本願において、レターデーションの測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の550nmでの値である。
本明細書において、Δnは複屈折を表す。本明細書において、複屈折Δnの測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の550nmでの値である。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
[光学異方性膜]
本発明の光学異方性膜の特徴の一つは、複屈折Δnが0.14以上の液晶相を示す棒状液晶化合物を少なくとも1種用いて形成されることである。本発明では、かかる高複屈折の液晶相を示す棒状液晶化合物を用いることにより、膜厚が薄い場合であっても、光学補償等に充分なRthを示す光学異方性膜を提供している。用いる棒状液晶化合物としては、複屈折Δnが0.14以上の液晶相として、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられ、ネマチック相及びスメクチック相状態をとる液晶がより好ましい。均一な配向状態を得るために、複屈折Δnが0.14以上のネマチック相を示す液晶がさらに好ましい。前記棒状液晶性化合物は、かかる範囲の複屈折Δnの液晶相を、実際に光学異方性膜を作製する際の温度条件において示すのが好ましい。
本発明の光学異方性膜において、棒状液晶化合物の分子は、膜面に対して実質的に垂直配向状態に固定されている。実質的に垂直とは、膜面と棒状液晶化合物の分子のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物は斜め配向させてもよく、斜め配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がよりさらに好ましい。
なお、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記垂直配向状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と液晶性化合物を含有する組成物を用いて形成するのが好ましい。
本発明の光学異方性膜は、前記棒状液晶性化合物の少なくとも一種を含有する液晶組成物から形成することができる。該液晶組成物は、後述する本発明の液晶表示装置の第2位相差領域を作製するのに用いることができる。該液晶組成物は、棒状液晶化合物の少なくとも一種を含有するが、さらに、棒状液晶化合物の垂直配向を促進する添加剤の少なくとも一種を含有していているのが好ましい。
(本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物)
《棒状液晶化合物》
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる棒状液晶化合物は、複屈折Δnが0.14以上の液晶相を示す。より好ましくは0.16以上であり、さらに好ましくは0.18以上である。本発明に用いる棒状液晶化合物は、光学異方性膜において固定された状態では、もはや液晶性を失っていてもよい。前記棒状液晶化合物の例としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。前記棒状液晶化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は1〜6個、好ましくは1〜3個である。前記棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有する重合性棒状液晶化合物であるのが好ましい。より具体的には、前記液晶化合物は下記一般式(5)で表される液晶化合物から選ばれるのが好ましい。
一般式(5)
1−L3−E1−L4−M−L5−E2−L6−G2
一般式(5)において、G1及びG2はそれぞれ、重合を惹起することができる反応性基を有する基(以下、重合性基)を表わし、重合性基としては、例えば、特開2002−62427号公報中の段落番号[0064]記載の重合性基が挙げられるが、好ましくは、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基を表し、より好ましくは、(メタ)アクリロイル基又はオキセタニル基であり、さらに好ましくは、アクリロイル基である。
一般式(5)において、L3〜L6はそれぞれ、化学的単結合、酸素、硫黄、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし、より好ましくは、酸素、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−又は−NR−CO−である。式中、Rは、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、より好ましくは、水素原子もしくはメチル基を表わし、さらに好ましくは水素原子である。
一般式(5)において、E1及びE2はそれぞれ、2〜30個のC原子を有するスペーサーを表わす。スペーサーは、炭素鎖を含むとともに、他の原子を含んでいてもよく、例えば、炭素鎖は、エーテル官能基中の酸素、チオエーテル官能基中の硫黄、又は隣接していないイミノ基もしくはC1〜C4−アルキルイミノ基によって中断されていてもよい。E1及びE2の炭素原子数はそれぞれ、2〜10個であることが好ましく、2〜8個であることがより好ましく、2〜6個であることがさらに好ましい。
一般式(5)において、Mは、メソゲン基を表わし、メソゲン基としては、例えば、液晶便覧第3章(丸善(株)、2000年)、液晶デバイスハンドブック第3章(日刊工業新聞社、1989年)、液晶材料第4章(講談社、1991年)、化学総説No.22液晶の化学1〜7章(社団法人日本化学会、1994年)、Handbook of Liquid Crystals、Vol.2A及びVol.2B(WILEY−VCH社刊、1998年)に挙げられている液晶化合物の液晶コア部を参考にすることができるが、下記一般式(6)で表されることが好ましい。
一般式(6)
Figure 2007241070
一般式(6)において、B1、B2及びB3はそれぞれ独立に、F、Cl、Br、CF3、OCF3、OCHF2、ニトロ基又はシアノ基を表し、好ましくは、F、Cl、Br、CF3、OCF3又はOCHF2であり、さらに好ましくは、F、Cl又はCF3である。
一般式(6)において、L7、L8及びL9は、それぞれ独立に、化学的単結合、酸素、硫黄、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし;好ましくは、化学的単結合、酸素、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−又は−NR−CO−を表し;さらに好ましくは、化学的単結合、酸素、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−O−CO−、−CO−O−、−CO−NR−又は−NR−CO−を表す。式中、Rは、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、より好ましくは、水素原子もしくはメチル基を表わし、さらに好ましくは水素原子である。
一般式(6)において、aは0又は1を表す。b1、b2及びb3は、それぞれ独立に0〜4を表し、より好ましくは、0〜2であり、さらに好ましくは、0〜1である。
一般式(6)において、Aは、下記群A1より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる2価の置換基を表わす。群A1の2価の置換基中の水素原子は、1つ以上、F、Cl、Br、CH3、CF3、OCF3又はOCHF2で置換されていてもよく、及び群A1の2価の置換基中の*は連結部位を示す。
Figure 2007241070
一般式(6)において、Aが−1,4−フェニレン(−1,4−フェニレン基の置換可能な水素原子の一つ以上がF、Cl、Br、CH3、CF3、OCF3又はOCHF2で置換された基も含む)で、aが0で、L7及びL8が−O−CO−もしくは−CO−O−であるとき、b1及びb2のうち少なくとも1つは0でないことが望ましい。
本発明に使用可能な一般式(5)で表される棒状液晶化合物のメソゲンMの具体例を以下に示すが、本発明に用いられる棒状液晶化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
本発明に使用可能な棒状液晶化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる棒状液晶化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
《支持体もしくは配向膜界面での垂直配向を促進する添加剤》
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物は、棒状液晶化合物とともに、棒状液晶化合物の分子の、支持体もしくは配向膜界面での垂直配向を促進する添加剤(以下、「配向膜垂直配向剤」という場合がある)の少なくとも一種を含有していてもよい。前記配向膜垂直配向剤の例には、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が含まれる。好ましくは、4級オニウム塩であり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩である。
第4級アンモニウム塩は、一般に第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンなど)あるいは含窒素複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2'−ビピリジル環、4,4'−ビピリジル環、1,10−フェナントロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、アルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得られる。
第4級アンモニウム塩としては、含窒素複素環からなる第4級アンモニウム塩が好ましく、特に好ましくは第4級ピリジニウム塩である。
より具体的には、前記第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3a)又は後述する一般式(3b)で表される第4級ピリジニウム塩から選ばれるのが好ましい。
Figure 2007241070
式(3a)中、R8は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Dは水素結合性基を表し、mは1〜3の整数を表し、X-はアニオンを表す。
まず、前記一般式(3a)について説明する。
上記R8で表されるアルキル基は、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル及びシクロプロピル等が挙げられる。
アルキル基の置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例、ビニル);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例、エチニル);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル、ナフチル);ハロゲン原子(例、F、Cl、Br等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例、フェノキシ、ビフェニルオキシ、p−メトキシフェノキシ);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例、フェニルチオ);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例、アセチル、プロピオニル);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(例、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル);炭素数7〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例、ナフトキシカルボニル);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ、メトキシフェニルアミノ、クロロフェニルアミノ、ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、エチルチオカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、アセチルアミノ、エチルカルボニルアミノ、エチルチオカルバモイルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、クロロアセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル、ピロリジノカルバモイル);無置換のスルファモイル基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル);シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;水酸基;ヘテロ環基(例、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。アルキル基の置換基としては、特に好ましくは、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基である。
上記R8で表されるアルケニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、1,3−ブタジエニル等が挙げられる。
アルケニル基の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアルキニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、2−プロピニル等が挙げられる。アルキニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアラルキル基は、炭素数7〜18の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル、メチルベンジル、ビフェニルメチル、ナフチルメチル等が好ましい。アラルキル基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。
上記R8で表されるアリール基は、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル等が挙げられる。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル基(例えば、メチル、エチル等)、アルキニル基、ベンゾイル基も好ましい。
上記R8で表される複素環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環であり、これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、及びクマリン環が挙げられる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。R8で表される複素環基としては、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が特に好ましい。
上記R8は好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基である。
Dは水素結合性基を表す。水素結合は、電気的に陰性な原子(例えば、O,N,F,Cl)と、同じように電気的に陰性な原子に共有結合した水素原子間に存在する。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H. Uneyama and K.Morokuma、Jounal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
好ましい水素結合性基としては、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ピリジル基を挙げることができ、特に好ましくは、アミノ基、カルバモイル基、ピリジル基を挙げることができる。
-で表されるアニオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例え、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。
-は、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。なおX-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:1である必要はなく、適宜決定される。
前記一般式(3a)中、mは好ましくは1である。
また、前記一般式(3a)としてより好ましい4級アンモニウム塩としては、下記一般式(4)で表される。
Figure 2007241070
一般式(4)中、L1及びL2はそれぞれ独立に、2価の連結基もしくは単結合を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、1,4−ブチレン基等)、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、―OC(=O)O−、−S−、―NR'−、−C(=O)NR"−、−S(=O)2−又はこれらを更に2つ以上連結した2価の連結基を表し、R'及びR"は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。尚、これら2価の連結基が左右非対称の場合(例えば−C(=O)O−等)は、どちらの向きで連結していてもよい。
Yは、フェニル基に置換可能な水素原子以外の置換基を表す。Yで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、が例として挙げられる。
11及びR12は水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、水酸基、又はアミノ基を表す。また、R11及びR12は連結して環を形成してもよい。
Zは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基等)、又は置換もしくは無置換のアリール基(例えば、炭素数6〜30のフェニル基等)を表し、n及びpはそれぞれ1〜10の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。ただし、pが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位に含まれるL2、Y、及びqは、同じであっても異なっていてもよい。
一般式(4)中、L1で表される2価の連結基としては、―O−もしくは、単結合が好ましく、L2で表される2価の連結基としては、―O−、−C(=O)O−、―OC(=O)O−又は単結合が好ましい。
一般式(4)中、Yで表される好ましい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、より好ましくは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、シアノ基を表す。
一般式(4)中、R11及びR12として好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
一般式(4)中の、pは1〜5が好ましく、2〜4がより好ましく、nは1〜4が好ましく、1もしくは2がより好ましく、qは0もしくは1が好ましい。ただし、pが2以上の場合は、少なくとも一つの構成単位においてqが1以上であることがより好ましい。
次に、前記一般式(3b)について説明する。
Figure 2007241070
式(3b)中、R9及びR10は各々置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X-はアニオンを表す。
9及びR10で各々表される置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(3a)中、R8で表される基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。X-で表されるアニオンは、前記一般式(3a)中、X-で表されるアニオンと同義であり、その好ましい範囲も同一である。前記した様に、X-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:2である必要はなく、適宜決定される。
本発明に使用可能なオニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるオニウム塩はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.II−1〜12は一般式(3b)、No.II−13〜32は一般式(3a)で表される化合物の例である。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
また、下記(1)〜(61)の第4級アンモニウム塩も好ましい。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
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Figure 2007241070
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Figure 2007241070
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Figure 2007241070
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Figure 2007241070
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Figure 2007241070
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Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
上記のピリジニウム誘導体は、一般にピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物中のオニウム塩の含有量は、その種類によって好ましい範囲が変動するが、通常は、併用される棒状液晶化合物の含有量に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜7質量%であるのがより好ましく、0.05〜5質量%であるのがさらに好ましい。オニウム塩は二種類以上用いてもよいが、かかる場合は、使用する全種類のオニウム塩の含有量の合計が前記範囲であるのが好ましい。
《空気界面垂直配向剤》
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物は、棒状液晶化合物とともに、棒状液晶化合物の分子の空気界面での垂直配向を促進する添加剤(以下、「空気界面垂直配向剤」という場合がある)の少なくとも一種を含有していてもよい。空気界面垂直配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−53981号明細書の段落番号[0072]〜[0075]、特開2004−4688号明細書の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号明細書の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。また、空気界面垂直配向剤の例には、以下の化合物B−1〜B−33、及び化合物C−1〜C−45が含まれる。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
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空気界面垂直配向剤は、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、スルファト基(−OSO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物から選ばれるのが好ましい。かかる構造の化合物は、棒状液晶化合物の空気界面側のダイレクターの傾斜角度を大きくさせるとともに、組成物の塗布性を改善させ、ムラ、弾きの発生の低減にも寄与する。なお、前記フルオロ脂肪族基及び親水性基の少なくとも一種を有する化合物(高分子及び低分子化合物を含む)は、重合性基を有していてもよく、かかる場合は、併用される液晶性分子の配向の固定化にも寄与する。
本発明に用いられる空気界面垂直配向剤は、フルオロ脂肪族基及び親水性基をそれぞれ少なくとも一種有するポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」という場合がある);又は下記一般式(2)で表される化合物であるのが好ましい。
まず、空気界面垂直配向剤として使用可能なフッ素系ポリマーについて説明する。
《フッ素系ポリマー》
本発明では、空気界面垂直配向剤として、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを有するフッ素系ポリマーを用いてもよい。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、PTFE類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747−752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2007241070
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2007241070
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なフルオロ脂肪族基含有モノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と、下記一般式(1)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体から選ばれるのが好ましい。
Figure 2007241070
上記一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は下記の置換基群Yから選ばれる置換基を表す。
(置換基群Y)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、又は後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、上記のアルキル基の炭素数には、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4及びR5がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数の好ましい範囲は、「置換基群Y」中で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいるのがより好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。
特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基又はスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアク
リレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセト
キシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレン及びその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;及び
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量によって、好ましい範囲が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(1)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、100,000以下であるのがさらに好ましく、2,000以上50,000以下が最も好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるいは、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01モル%〜50モル%程度であり、好ましくは0.05モル%〜30モル%、特に好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
なお前記した様に、前記フッ素系ポリマーは、棒状液晶化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPS換算の質量平均分子量である。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
前記組成物中における前記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、一般的には、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学異方性膜としての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼしたりする。
次に、空気界面垂直配向剤として好ましく用いられる、一般式(2)で表される含フッ素化合物について説明する。
《一般式(2)で表される含フッ素化合物》
一般式(2)
(R0m−L0−(W)n
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、mは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。
0は(m+n)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、nは1以上の整数を表す。
式(2)中、R0で表されるアルキル基は置換もしくは無置換のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは4〜16のアルキル基であり、特に好ましくは6〜16のアルキル基である。該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
0で表される末端にCF3基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF2H基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、特に好ましくは4〜8である。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH22
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH2)−
R11:H−(CF26−(CH2)−
R12:H−(CF24−(CH2)−
式(2)において、L0で表される(m+n)価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、ヘテロ環基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−及び−SO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも二種を組み合わせた連結基であることが好ましい。
式(2)において、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Wの好ましい範囲は、一般式(1)におけるQと同一である。
前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の中でも、下記一般式(2a)又は後述する一般式(2b)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007241070
式(2a)中、R5及びR6は各々アルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表すが、R5及びR6が同時にアルキル基であることはない。W1及びW2は各々水素原子、カルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基又はアルキルアミノ基を表すが、W1及びW2が同時に水素原子であることはない。
5及びR6は前記一般式(2)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩は前記一般式(2)におけるWと同義でありその好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは1〜3のアルキル基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、更に好ましくは1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは1〜4のアルコキシ基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基であり、更に好ましくは1〜8のアルキルアミノ基であり、特に好ましくは1〜4のアルキルアミノ基である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基としては、前記一般式(2)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、スルファト基及びホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを適用できる。
1及びW2は、特に好ましくはそれぞれ水素原子又は(CH2nSO3M(nは0又は1を表す。)である。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
次に、下記一般式(2b)について説明する。
一般式(2b)
(R7−L1−)m2(Ar1)−W3
式(2b)中、R7はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、m2は1以上の整数を表し、複数個のR7は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L1は、アルキレン基、芳香族基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、複数個のL1は同一でも異なっていてもよい。Ar1は芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を表し、W3はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表す。
Ar1が表す芳香族炭化水素環は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環が好ましく、例えば、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい。また、Ar1が表す芳香族へテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子の少なくとも1種及び炭素原子を環構成原子とする芳香族へテロ環であるのが好ましく、例えば、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピリミジン環等が好ましい。Ar1としては芳香族炭化水素環が好ましく、中でもベンゼン環及びナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。
7は前記一般式(2)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。L1は、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12の芳香族基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜40の連結基を表し、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜20の連結基を表す。W3で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基は、前記一般式(2a)におけるW1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、スルファト基(−OSO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基、スルファト基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基と同義でありその好ましい範囲も同一である。
3は、好ましくはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩又はスルホ基(−SO3H)もしくはその塩を有するアルキルアミノ基であり、特に好ましくはSO3M、又はCO2Mである。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合はMはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、前記含フッ素化合物は棒状液晶化合物の分子の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
本発明に使用可能な前記一般式(2)で表される含フッ素化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる含フッ素化合物はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.I−1〜38は一般式(2a)、No.I−39〜62は一般式(2b)で表される化合物の例である。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物中における前記含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、一般的には、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
《組成物中の他の材料》
本発明の光学異方性膜を形成する際に用いる液晶組成物は、棒状液晶化合物、及び、所望により添加される棒状液晶化合物の垂直配向を促進する添加剤と共に、重合開始剤、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー等を含有していてもよい。これらの材料は、種々の目的、例えば、配向の固定化、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性の向上等を目的として添加される。これらの材料は、併用する棒状液晶化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれを用いてもよい。光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、棒状液晶化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また、本発明に利用可能な界面活性剤の例には、下記化合物P−1〜P−71が含まれる。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
Figure 2007241070
棒状液晶化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
《光学異方性膜の作製方法》
本発明の光学異方性膜は、前記液晶組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、支持体等の表面に塗布して、棒状液晶化合物の分子を垂直配向させ、該配向状態を固定することで形成することができる。仮支持体上に形成し、支持体上に転写してもよい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
棒状液晶化合物の分子を垂直配向させた後、その配向状態に分子を固定するのが好ましい。固定化は、棒状液晶化合物が重合性基を有する場合は棒状液晶化合物及び/又は別途重合性モノマーを添加した場合は重合性モノマーの重合反応により実施することが好ましい。固定化のために実施する重合反応には、光重合開始剤を用いた光重合反応を利用するのが好ましい。棒状液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。なお、前記棒状液晶性化合物の分子を垂直配向させる温度、及びその後、その状態に固定する温度について特に制限はないが、前記棒状液晶性化合物が複屈折Δnが0.14以上の液晶相を示す温度条件と一致しているのが好ましい。
前記光学異方性膜の厚さは、100〜5000nmであることが好ましく、500〜4000nmであることがさらに好ましく、1000〜3000nmであることがよりさらに好ましい。膜厚が前記範囲であると、棒状液晶化合物の分子を高秩序に垂直配向させることができる。
(配向膜)
本発明の光学異方性膜の作製には、配向膜を利用してもよい。配向膜は、棒状液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、棒状液晶化合物の分子をホメオトロピック配向させる場合は、面内の配向方向はないため、配向膜は本発明の光学異方性膜を形成する際に必須ではない。
また、前記組成物が、オニウム塩及び空気界面垂直配向剤を含有する場合は、垂直配向膜を用いなくても、棒状液晶化合物の分子を安定的に垂直配向させることができる。しかし、配向膜は液晶組成物の配向の均一性を向上させたり、ポリマー基材と光学異方性層との間の密着性を向上させることができるために、必要であれば用いることができる。また、棒状液晶化合物の分子を配向させ、その配向状態に固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、除去することも可能である。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性膜のみを、偏光子上に転写して光学異方性層を有する偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、必要であればラビング処理することができる。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性分子を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。
具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、必要であればラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で、水:メタノールが0より大きく99以下:100未満1以上が好ましく、0より大きく91以下:100未満9以上であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20度〜110度で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60度〜100度が好ましく、特に80度〜100度が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、必要であれば表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
配向膜上で液晶性分子を配向させた後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させてもよい。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の光学異方性膜は、液晶表示装置の光学補償に寄与する位相差板等として、単独で又は他の部材と組み合わせて、液晶表示装置に用いることができる。本発明の光学異方性膜を利用した位相差板の一態様として、支持体と、該支持体上に本発明の光学異方性膜を有する位相差板が挙げられる。
[支持体]
本発明の光学異方性膜の支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。支持体は、波長分散が小さいのが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。中でも、ポリマーフィルムが好ましい。また、前記光学異方性膜の支持体は、それ自体が液晶セルの光学補償に寄与する光学特性を有していてもよい。また、前記支持体は、例えば、液晶表示装置内において、偏光膜の保護膜としても機能していてもよい。
前記支持体の光学異方性は小さいのが好ましく、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。また、第1位相差領域を兼ねる場合は、レターデーションReが20nm〜150nmであって、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが1.5〜7であって、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
前記支持体となるポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
本発明の光学異方性膜の光学特性については特に制限されず、用途に応じて、所望の光学特性を示す様に、用いる棒状液晶化合物の種類及び量、ならびに添加剤の種類及び量等を決定することができる。本発明の光学異方性膜は、特に、IPSモードの液晶表示装置の光学補償に適し、より具体的には、後述するIPSモードの液晶表示装置における第2の位相差領域として適している。IPSモードの液晶表示装置の光学補償に利用する場合は、膜面の法線方向から測定したレターデーションRe[nm]が実質的に0であり、厚み方向のレターデーションRthが−80〜−400nm(より好ましくは−150〜−350nm)であるのが好ましい。さらに、該光学異方性膜の厚さをd[nm]としたとき、Rth/dが0.14以上であるのが好ましく、0.16以上であるのがさらに好ましい。なお、本発明の光学異性膜単独では、所望の光学特性を満足しない場合は、他の光学異方性層(例えば、他の液晶組成物からなる光学異方性層や、延伸ポリマーフィルムからなる光学異方性層等)と組み合わせてもよい。さらに、本発明の光学異方性膜の支持体が、後述する液晶表示装置の第1の位相差領域に要求される光学特性を示すポリマーフィルム等からなる場合は、簡易な構成で、且つ光学補償能に優れた、IPS液晶表示装置用の位相差板を提供することができる。
[液晶表示装置]
次に、図面を用いて本発明の液晶表示装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2及び図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。
図2に示す液晶表示装置は、偏光膜8及び20と、第1位相差領域10と、第2位相差領域12と、基板13及び17と、該基板に挟持される液晶層15とを有する。偏光膜8及20は、それぞれ保護膜7aと7b及び19aと19bによって挟持されている。
図2の液晶表示装置では、液晶セルは、基板13及び17と、これらに挟持される液晶層15からなる。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板13及び17の液晶層15に接触する表面には、配向膜(不図示)が形成されていて、液晶分子を基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向14及び18等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御されている。また、基板13若しくは17の内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(図2中不図示)が形成されている。
図1に、液晶層14の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図1は、液晶層14の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、基板13及び17の内面に形成された配向膜のラビング方向4、及び基板13及び17の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極2及び3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は5a及び5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2及び3間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は6a及び6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
再び図2において、偏光膜8の透過軸9と、偏光膜20の透過軸21は直交して配置されている。第1位相差領域10の遅相軸11は、偏光膜8の透過軸9及び黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16に平行である。
図2に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7a及び7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。保護膜7bがない場合は、第1位相差領域10の一部又は全部が、偏光膜の保護膜7bとしても機能し得る特性を有しているのが好ましい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、同様に、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。なお、図2の態様では、第1位相差領域10及び第2位相差領域12は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。本実施形態では、いずれの構成においても、第2位相差領域が液晶セルにより近くなるように配置する。
本発明の他の実施形態を図3に示す。図3の液晶表示装置は、第2位相差領域12が偏光膜8及び第1位相差領域10の間に配置されている。図3の液晶表示装置において、保護膜7bはなくてもよい。保護膜7bがない場合は、第2位相差領域12の一部又は全部が、偏光膜の保護膜7bとしても機能し得る特性を有しているのが好ましい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aは同様になくてもよい。図3に示す態様では、第1位相差領域10は、その遅相軸11が、偏光膜8の透過軸9と黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16に直交になるように配置される。なお、図3の態様では、第1位相差領域10及び第2位相差領域12は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。本実施形態では、いずれの構成においても、第1位相差領域が液晶セルにより近くなるように配置する。
なお、図2及び図3には、上側偏光板及び下側偏光板を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。また、本発明に用いられる液晶セルはIPSモードに限定されることなく、黒表示時に液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であれば、いずれも好適に用いることができる。この例としては強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置がある。
本発明の液晶表示装置は、図1〜図3に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜の保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施してもよい。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図2及び図3の上側であっても下側であってもよい。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また、上記した様に、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差領域]
本発明の液晶表示装置に含まれる第1位相差領域は、レターデーションRe(λ)が20nm〜150nmであって、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のRe(λ)は、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、面内の屈折率nxとny(nx>ny)、及び厚さ方向の屈折率nzを用いてNz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNzが1.5〜7であって、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のNzは、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
前記第1位相差領域は、前記光学特性を有する限り、基本的にその材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、透明支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱塩した膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、又は、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
フィルムの二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した当該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより達成することができる。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μm、就中10〜200μm、特に20〜150μmとされる。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレン及びその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルム(A)の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。代表的なポリマーとして、特開2003−327800号公報、特開2004−233604号公報に記載されたポリマーが挙げられる。
セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンケミカル社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを混合することができる。これらの添加剤の詳細については、例えば、特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報に記載がある。
透明樹脂をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことが出来る。
[第2位相差領域]
本発明の液晶表示装置が有する第2位相差領域は、面内屈折率nxとnyが実質的に等しく、厚さ方向の屈折率nzが、nx<nzを満足する。さらに、第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRth(λ)は、−80nm〜−400nmである。
前記第2位相差領域のRth(λ)のより好ましい範囲は、他の光学部材の光学特性に応じて変動し、特に、より近くに位置する偏光膜の保護膜(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)のRth(λ)に応じて変動するが、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第2位相差領域のRth(λ)は、−100nm〜−340nmであるのが好ましく、−120nm〜−270nmであるのがより好ましい。一方、第2位相差領域のnxとnyは、上記した様に、実質的に同一であり、Re(λ)は0近傍の値になる。
具体的には、面内レターデーションRe(λ)は、0〜50nmであるのが好ましく、0〜20nmであるのがより好ましい。
本発明の液晶表示装置において、前記第2位相差領域は、前述した本発明の光学異方性膜を含む。前記第2の位相差領域は、本発明の光学異方性膜のみからなっていてもよいし、他の一層以上の光学異方性層(同一又は異なる他の液晶組成物からなる光学異方性層、及び延伸ポリマーフィルム等からなる光学異方性層等)との積層体からなっていてもよい。また、光学異方性膜を支持する支持体を有する場合は、該支持体と光学異方性膜との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。また、前記支持体が第1位相差領域に要求される光学特性を満足する場合は、該支持体と本発明の光学異方性膜とからなる位相差板を、前記第1位相差領域及び第2位相差領域として組み込むことができる。
[偏光膜用保護膜]
第1及び第2偏光膜用保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmが最も好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは0〜40nmであることが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜10nmであることが最も好ましい。この特性を有するフィルムであれば好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性の観点からはセルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムがより好ましい。セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特願2003−379975号明細書に記載の方法などが挙げられる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。第1及び第2偏光膜用保護膜としてのセルロースシレートフィルムの厚みは10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであるのがより好ましく、20〜45μmであることがさらに好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<棒状液晶化合物が示す液晶相の複屈折(Δn)の測定>
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムラビング処理を施して、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
Figure 2007241070
次に、棒状液晶化合物3.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を調製した。この塗布液を前記配向膜の表面に、#4.5番手のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を水平配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して光学異方性膜を作製した。自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、面内レターデーションReを測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、該光学異方性膜の面内レターデーションReを算出した。該光学異方性膜の膜厚は、顕微鏡(表面形状測定顕微鏡、VF−7500、(株)キーエンス社製)を用いて測定した。該光学異方性膜の面内レターデーションReを該光学異方性膜の膜厚で割った値をもって、該棒状液晶化合物が示す液晶相の複屈折(Δn)とした。比較例で用いた棒状液晶化合物LC−R1(特表平11−513019)、LC−R2、及び、実施例で用いた棒状液晶化合物LC−43、LC−44、LC−45、LC−46が示す液晶相の複屈折(Δn)を表1に示す。
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、図1に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図1中2及び3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図1中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
<第1位相差領域>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を0.5MPa(5kg/cm2)以下で用いてろ過した。
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
────────────────────────────────────
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤Aを8質量部、レターデーション上昇剤Bを10質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(かつ微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該レターデーション上昇剤溶液40質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
Figure 2007241070
Figure 2007241070
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフィルムを作製した。
このようにして得られたフィルム(第1位相差領域)の厚さは80μmであった。作製した第1位相差領域1について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが70nm、Rthが175nmであり、これからNzが3.0であることが分かった。
<第2位相差領域1〜6の作製>
作製した第1位相差領域の表面のケン化処理を行い、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥することにより配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
Figure 2007241070
次に、下記の棒状液晶化合物の1種3.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記のオニウム塩、0.076g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液をそれぞれ調製した。この塗布液を前記配向膜の表面に、表2に示す番手のワイヤーバーでそれぞれ塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して第2位相差領域1〜6を作製した。
棒状液晶化合物
Figure 2007241070
オニウム塩
Figure 2007241070
空気界面垂直配向剤(組成比は重量比を表す)
Figure 2007241070
Figure 2007241070
表1における棒状液晶化合物が示す液晶相の複屈折(Δn)は、前述の方法で測定した。表1における第2位相領域の膜厚は、顕微鏡(表面形状測定顕微鏡、VF−7500、(株)キーエンス社製)を用いて測定した。表1における第2位相領域の厚み方向のレターデーションRthは、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、作製したフィルムのレターデーションの光入射角度依存性を測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、第2位相差領域のみのRthを算出した。このとき、第2位相差領域正面レターデーションReは、いずれも0nmであり、いずれも棒状液晶が略垂直に配向していることを確認した。また、表1の結果より、複屈折(Δn)が大きい液晶相を示す棒状液晶化合物を使用すれば、薄い膜厚で同程度のRthを達成することができることが明らかになった。
以上の第1位相差領域に配向膜を形成後さらに第2位相差領域1〜6を形成する工程によって得られる位相差フィルムを、それぞれ位相差フィルム1〜6とする。
<偏光板保護膜1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
<セルロースアセテート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液B−1を調製した。
<添加剤溶液B−1組成>
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
下記のレターデーション低下剤 40質量部
Figure 2007241070
セルロースアセテート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液B−1の40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの偏光板保護膜1を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた。
<偏光板Aの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付け偏光板Aを形成した。
<偏光板Bの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼り付け偏光板Bを形成した。
<偏光板Cの作製>
同様にして偏光膜を作製し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、Re=3nm、Rth=45nm、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記作製の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Cを形成した。
[比較例1−1]
偏光板Aのセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した位相差フィルム1を、第1位相差領域側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域の遅相軸が平行になるように貼り付け偏光板1を形成した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セルの一方に、第1位相差領域の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第2位相差領域1面側が液晶セル側になるように偏光板1を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セルのもう一方の側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板1とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.17%であった。
なお、本明細書における漏れ光は、以下のようにして測定したものである。まず、暗室内に設置されたシャーカステン上に、偏光板を貼りあわせない状態で液晶セルを置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セル法線方向から方向60°の方向に1m離れたところに設置された輝度計で輝度1を測定した。次いで、上記と同じシャーカステン上に偏光板を張りあわせた液晶表示パネルを同様に配置して、暗表示の状態で同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを漏れ光とした。
[比較例1−2]
比較例1−1に記載した偏光板1の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム2に変更したこと以外は同様にして偏光板2を作製した。更に比較例1−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.15%であった。
[実施例1−1]
比較例1−1に記載した偏光板1の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム3に変更したこと以外は同様にして偏光板3を作製した。更に比較例1−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.09%であった。
[実施例1−2]
比較例1−1に記載した偏光板1の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム4に変更したこと以外は同様にして偏光板4を作製した。更に比較例1−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.11%であった。
[実施例1−3]
比較例1−1に記載した偏光板1の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム5に変更したこと以外は同様にして偏光板5を作製した。更に比較例1−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.07%であった。
[実施例1−4]
比較例1−1に記載した偏光板1の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム6に変更したこと以外は同様にして偏光板6を作製した。更に比較例1−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.05%であった。
[実施例1−5]
偏光板Aのセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した位相差フィルム5を、第1位相差領域側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域の遅相軸が平行になるように貼り付け偏光板7を形成した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セルの一方に、第1位相差領域の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、且つ第2位相差領域5面側が液晶セル側になるように偏光板7を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セルのもう一方の側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板7とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.04%であった。
[実施例1−6]
実施例1−5に記載した偏光板7の形成において用いた位相差フィルム5を位相差フィルム6に変更したこと以外は同様にして偏光板8を作製した。更に実施例1−5に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.02%であった。
比較例1−1〜1−2及び実施例1−1から1−6の結果を表2に示す。
Figure 2007241070
[比較例2−1]
偏光板Aのセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した位相差フィルム1を、第2位相差領域1側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域の遅相軸が直交になるように、貼り付け偏光板9を形成した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セルの一方に、第1位相差領域の遅相軸が液晶セルのラビング方向と直交になるように(即ち、第1位相差領域2の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第1位相差領域面側が液晶セル側になるように偏光板9を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セルのもう一方の側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板9とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.18%であった。
[比較例2−2]
比較例2−1に記載した偏光板9の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム2に変更したこと以外は同様にして偏光板10を作製した。更に比較例2−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.14%であった。
[実施例2−1]
比較例2−1に記載した偏光板9の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム3に変更したこと以外は同様にして偏光板11を作製した。更に比較例2−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.09%であった。
[実施例2−2]
比較例2−1に記載した偏光板9の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム4に変更したこと以外は同様にして偏光板12を作製した。更に比較例2−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.10%であった。
[実施例2−3]
比較例2−1に記載した偏光板9の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム5に変更したこと以外は同様にして偏光板13を作製した。更に比較例2−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.08%であった。
[実施例2−4]
比較例2−1に記載した偏光板9の形成において用いた位相差フィルム1を位相差フィルム6に変更したこと以外は同様にして偏光板14を作製した。更に比較例2−1に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.06%であった。
[実施例2−5]
偏光板Aのセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に、作製した位相差フィルム5を、第2位相差領域5側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差領域の遅相軸が直交になるようにアクリル樹脂系接着剤を用いて、貼り付け偏光板15を形成した。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セルの一方に、第1位相差領域の遅相軸が液晶セルのラビング方向と直交になるように(即ち、第1位相差領域2の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交になるように)、且つ第1位相差領域面側が液晶セル側になるように偏光板15を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セルのもう一方の側に偏光板Cを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板15とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.03%であった。
[実施例2−6]
実施例2−5に記載した偏光板15の形成において用いた位相差フィルム5を位相差フィルム6に変更したこと以外は同様にして偏光板16を作製した。更に実施例2−5に記載の方法と同様に液晶セルに貼り付け液晶表示装置を作製した。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.02%であった。
比較例2−1〜2−2及び実施例2−1〜2−6の結果を表3に示す。
Figure 2007241070
以上の結果より、複屈折(Δn)が大きい液晶相を示す棒状液晶化合物を、垂直配向状態に固定することにより形成した光学異方性膜は、複屈折(Δn)が小さい液晶相を示す棒状液晶化合物から同様に形成した光学異方性膜と比較して、より薄い膜厚で、同程度の膜厚方向のレターデーションRthを達成できることが示された。この薄膜化によって棒状液晶化合物の垂直配向性は高秩序化するため、複屈折(Δn)が大きい液晶相を示す棒状液晶化合物から形成した本発明の光学異方性膜を用いることによって、斜め方向からの光漏れの少ない液晶表示装置を作製できることが示された。また、偏光板保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜の厚み方向のレターデーションRthが、40nm以下である保護膜を併用することによって、斜め方向からの光漏れをさらに減少できることが示された。
本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1 液晶素子画素領域
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7a,7b、19a,19b 偏光膜用保護膜
8、20 偏光膜
9、21 偏光膜の偏光透過軸
10 第1位相差領域
11 第1位相差領域の遅相軸
12 第2位相差領域
13、17 セル基板
14、18 セル基板ラビング方向
15 液晶層
16 液晶層の遅相軸方向

Claims (16)

  1. 膜面に対して実質的に垂直配向状態に固定された1種又は2種以上の棒状液晶化合物を含有する光学異方性膜であって、前記棒状液晶性化合物の少なくとも1種
    が示す液晶相の複屈折Δnが0.14以上であることを特徴とする光学異方性膜。
  2. 前記棒状液晶化合物が示す液晶相が、ネマチック相又はスメクチック相である請求項1に記載の光学異方性膜。
  3. 前記棒状液晶化合物が示す液晶相の複屈折Δnが、0.16以上である請求項1又は2に記載の光学異方性膜。
  4. 前記棒状液晶化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学異方性膜:
    一般式(5)
    1−L3−E1−L4−M−L5−E2−L6−G2
    式中、G1及びG2はそれぞれ、重合を惹起することができる反応性基を含む基を表わし;L3〜L6はそれぞれ、化学的単結合、酸素、硫黄、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし;E1及びE2はそれぞれ、2〜30個のC原子を有するスペーサーを表わし;Mは、メソゲン基を表わす。
  5. 前記一般式(5)中、Mが下記一般式(6)で表される基である請求項4に記載の光学異方性膜:
    一般式(6)
    Figure 2007241070
    式中、B1、B2及びB3は、それぞれ独立に、F、Cl、Br、CF3、OCF3、OCHF2、ニトロ基又はシアノ基を表し;L7、L8及びL9は、それぞれ独立に、化学的単結合、酸素、硫黄、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−C≡C−C≡C−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−又は−NR−CO−NR−を表わし、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし;aは0又は1を表し、b1、b2及びb3は、それぞれ独立に0〜4を表し;Aは、下記群A1より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる2価の置換基を表わし、群A1の2価の置換基中の水素原子は、1つ以上、F、Cl、Br、CH3、CF3、OCF3又はOCHF2で置換されていてもよく、及び群A1の2価の置換基中の*は連結部位を示す。
    Figure 2007241070
  6. 膜面の法線方向から測定したレターデーションRe[nm]が実質的に0であり、厚み方向のレターデーションをRth、該光学異方性膜の厚さをd[nm]としたとき、Rth/dが0.14以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  7. 前記棒状液晶化合物の垂直配向を促進する添加剤の少なくとも一種をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学異方性膜。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学異方性膜を含む位相差板。
  9. 前記光学異方性膜を支持する支持体をさらに有する請求項8に記載の位相差板。
  10. 前記支持体と前記光学異方性膜との間に、配向膜を有する請求項9に記載の位相差板。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学異方性膜又は請求項8〜10のいずれか1項に記載の位相差板を含む液晶表示装置。
  12. 少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差領域と、第2位相差領域と、液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、前記液晶層中の液晶分子が黒表示時に前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、
    前記第1位相差領域は、面内レターデーションReが20nm〜150nmであり、且つ面内の屈折率nxとny(nx>ny)、及び厚さ方向の屈折率nzを用いてNz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNz値が1.5〜7であり;
    前記第2位相差領域は、面内の屈折率nxとnyとが実質的に等しく、nxと厚さ方向の屈折率nzとがnx<nzの関係を満足し、厚み方向のレターデーションRthが−80nm〜−400nmであり、且つ請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学異方性膜を含み;及び
    前記第1偏光膜の透過軸が、前記液晶層の黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
  13. 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行である請求項12に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルがこの順序で配置され、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である請求項12に記載の液晶表示装置。
  15. 前記第1偏光膜の透過軸と直交する透過軸を有する第2偏光膜をさらに有し、前記第1及び第2偏光膜が、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを挟持して配置されている請求項12〜14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜の厚み方向の位相差Rthが、40nm以下である請求項12〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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