JP2007240254A - レーザ装置、レーザ照射装置の強度プロファイル計測方法、レーザ照射装置 - Google Patents

レーザ装置、レーザ照射装置の強度プロファイル計測方法、レーザ照射装置 Download PDF

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高裕 太田
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崇 赤羽
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Abstract

【課題】スポット径が大きいレーザビームを生成するレーザ照射装置の強度プロファイルを計測するための技術を提供する。
【解決手段】 本発明によるレーザ装置は、レーザ加熱装置1と計測系3とを具備する。レーザ加熱装置1は、供給されたレーザビームの一部を第1光路19に出力し、残部を第2光路20に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を第1光路19に出力する第2動作とを選択的に行うことができるように構成された光路切換機構14と、光路切換機構14から第1光路19に出力されたレーザビームを拡大して拡大レーザビーム2を生成するビーム拡大器16と、光路切換機構14から第2光路20に出力されたレーザビームの強度を計測するパワーメータ17とを備える。計測系3は、拡大レーザビーム2が照射されるスクリーン21と、スクリーン21を撮像して撮像画像を得る撮像装置22と、その撮像画像から拡大レーザビーム2の強度プロファイルを算出する演算装置23とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ装置に関し、特に、レーザ照射装置によって生成されたレーザビームの強度プロファイルを計測するための技術に関する。
レーザ加工においては、ワークの照射面におけるレーザビームの強度プロファイル(エネルギー密度分布)が加工品質に及ぼす影響が大きいため、強度プロファイルを測定し、適切に管理することが重要である。
強度プロファイルを測定する技術には、大きく分けて2種類ある。1つは、特開2002−176008号公報に開示されているように、測定されるレーザビームを直接にCCD等の検出器に入射する方法である。もう1つは、例えば、特開昭64−38617号公報、及び特開平4−46691号公報に開示されているように、レーザビームをスクリーンに照射した上でスクリーンの撮像画像を取得し、この撮像画像から強度プロファイルを計測する方法である。特開平6−147975は、更に、エキシマレーザビームを蛍光板に照射し、その蛍光板撮像画像からエキシマレーザビームの強度プロファイルを計測する技術を開示している。
しかしながら、公知の強度プロファイル計測技術は、スポット径が小さい平行光、又は、平行光に近いレーザビームの強度プロファイルを計測するためのものであり、スポット径が大きなレーザビームの強度プロファイルを計測することについては考慮されていない。レーザ溶接、レーザ切断のようにスポットの径が1mm以下である場合や、表面処理のようにスポットの径が20mm以下である場合には、このような点は重要でない。しかし、スポットの径が30mmを超えるようなレーザ処理、例えば、レーザビームによる溶接箇所の加熱処理を適切に管理するためには、スポット径が大きなレーザビームの強度プロファイルを計測するための新たな技術の提供が望ましい。
特開2002−176008号公報 特開昭64−38617号公報 特開平4−46691号公報 特開平6−147975公報
したがって、本発明の目的は、スポット径が大きいレーザビームを生成するレーザ照射装置の強度プロファイルを計測するための技術を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
一の観点において、本発明によるレーザ装置は、レーザ照射装置(1)(1A)と計測系(3)とを具備する。レーザ照射装置(1)は、レーザビームを供給するレーザビーム供給手段(11、12)と、レーザビームの一部を第1光路(19)に出力し、残部を第2光路(20)に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を第1光路(19)に出力する第2動作とを選択的に行うことができるように構成された光路切換手段(14)(14A)と、光路切換手段(14)(14A)から第2光路(20)に出力されたレーザビームの強度を計測する強度計測手段(17)とを備える。計測系(3)は、第1光路(19)に出力された出力レーザビーム(2)が照射されるスクリーン(21)と、スクリーン(21)を撮像して撮像画像を得る撮像装置(22)と、前記撮像画像から、前記出力レーザビーム(2)の強度プロファイルを算出する演算装置(23)とを備える。
好適には、前記レーザ装置は、出力レーザビームを拡大して拡大レーザビーム(2)を生成するビーム拡大器(16)を備えることが好ましい。
光路切換手段(14)(14A)が前記第1動作を行うときに第1光路(19)に出力されるレーザビームの強度は、第2光路(20)に出力されるレーザビームの強度よりも小さいことが好ましい。
好適な実施形態では、光路切換手段(14)は、部分反射ミラー(15b)と全反射ミラー(15a)とを備える。この場合、光路切換手段(14)が前記第1動作を行うときには、レーザビーム供給手段(11、12)から出射されるレーザビームの光軸(18)に部分反射ミラー(15b)が挿入される。一方、光路切換手段(14)が前記第2動作を行うときには、レーザビーム供給手段(11、12)から出射される前記レーザビームの光軸に全反射ミラー(15a)が挿入される。
他の好適な実施形態では、光路切換手段(14A)が部分反射ミラー(15c)を備え、ビーム拡大器(16)がレーザビーム供給手段(11、12)から出射されるレーザビームの光軸の延長線上にある。この場合、光路切換手段(14)が前記第1動作を行うときには、レーザビーム供給手段(11、12)から出射されるレーザビームの光軸に部分反射ミラー(15c)が挿入され、前記光路切換手段(14)が前記第2動作を行うときには、前記部分反射ミラー(15c)が前記光軸から離れた位置に移動される。
撮像装置(22)のシャッター速度、絞り、及び撮像装置(22)の撮像素子の素子感度のうちの少なくとも一つは、前記スクリーン(21)から受ける光の受光量を所定値に保つように調節されることが好ましい。
また、撮像装置(22)のシャッター速度、絞り、及び撮像装置(22)の撮像素子の素子感度のうちの少なくとも一つは、前記強度プロファイルのピーク値が一定値になるように調節されることが好ましい。
スクリーン(21)が、すりガラスのように光を乱反射させる材料で形成される場合、演算装置(23)は、撮像画像及び/又は前記強度プロファイルの平滑化処理を行うことが好ましい。
一の実施形態では、スクリーン(21)は、隣接して並べられた複数のすりガラス(33A、33B)を含んで構成される。このような構成は、コストの面で有利である。この場合、演算装置(23)は、レーザ照射装置(1)とスクリーン(21)との相対位置が異なる状態で撮像された複数の前記撮像画像から前記強度プロファイルを算出するように構成されていることが好ましい。
他の観点において、本発明の強度プロファイル計測方法は、レーザビームを供給するレーザビーム供給手段(11、12)と、前記レーザビームの一部を第1光路(19)に出力し、残部を第2光路(20)に出力する第1動作と、レーザビームの実質的に全部を前記第1光路(19)に出力する第2動作とを選択的に行うように構成された光路切換手段(14)(14A)と、ビーム拡大器(16)とを備えるレーザ照射装置(1)(1A)の強度プロファイル計測方法である。本発明の強度プロファイル計測方法は、
光路切換手段(14)(14A)を、前記第1動作を行うように設定するステップと、
光路切換手段(14)が前記第1動作を行うように設定された状態で、前記ビーム拡大器(16)によって前記第1光路(19)に出力されたレーザビームを拡大して拡大レーザビーム(2)を生成するステップと、
拡大レーザビーム(2)をスクリーン(21)に照射するステップと、
スクリーン(21)を撮像して撮像画像を得るステップと、
前記撮像画像から、前記拡大レーザビーム(2)の強度プロファイルを算出するステップ
とを具備する。
光路切換手段(14)(14A)が前記第1動作を行うときに前記第1光路(19)に出力されるレーザビームの強度は、前記第2光路(20)に出力されるレーザビームの強度よりも小さいことが好ましい。
本発明の強度プロファイル計測方法は、更に、第2光路(20)に出力されたレーザビームの強度を測定するステップを具備することが好ましい。
本発明のレーザ照射装置(1)(1A)は、レーザビームを供給するレーザビーム供給手段(11、12)と、前記レーザビームの一部を第1光路(19)に出力し、残部を第2光路(20)に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を前記第1光路(19)に出力する第2動作とを選択的に行うように構成された光路切換手段(14)(14A)と、光路切換手段(14)(14A)から第2光路(20)に出力されたレーザビームの強度を計測する強度計測手段(17)とを具備する。
このような構成のレーザ照射装置(1)は、レーザを照射することによってワークを加工するレーザ加工装置、特に、ワークを広い範囲に渡って加熱するためのレーザ加熱装置に適用されることが好適である。
本発明によれば、スポット径が大きなレーザビームの強度プロファイルを計測するために好適な技術が提供される。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における強度プロファイル測定技術を示す図である。本実施形態では、レーザ加熱装置1が発生する拡大レーザビーム2の強度プロファイルが測定される。
レーザ加熱装置1は、レーザ発振器(図示されない)に接続された光ファイバ11と、光ファイバ11に接続された出力ポート12と、コリメートレンズ13と、光路切換機構14と、ビーム拡大器16と、パワーメータ17とを備えている。
レーザ発振器によって発生されたレーザビームは、光ファイバ11を介して出力ポート12から出射される。出力ポート12から出射されたレーザビームは、コリメートレンズ13によってコリメートされ(即ち、平行光に整形され)、コリメートされたレーザビームが光路切換機構14に入射される。
光路切換機構14は、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームが出力される光路を切り換えるためのものである。より具体的には、光路切換機構14は、全反射ミラー15aと部分反射ミラー15bとを備えており、全反射ミラー15aと部分反射ミラー15bとの一方を、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームの光軸18に挿入可能であるような構成を有している。全反射ミラー15aと部分反射ミラー15bの入れ替えは、アクチュエータで行われることが可能であり、また、オペレータの手によって行われることも可能である。
部分反射ミラー15bが選択されてコリメートレンズ13から入射されたレーザビームの光軸18に挿入されると、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームから、ビーム拡大器16に向かうビームとパワーメータ17に向かうビームの2つのビームが生成される。即ち、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームの一部が反射されてビーム拡大器16に向かう第1光路19に出力され、残部が部分反射ミラー15bを透過してパワーメータ17に向かう第2光路20に出力される。部分反射ミラー15bの反射率は小さく設定されており、部分反射ミラー15bが光軸18に挿入された場合には、レーザビームの大部分がパワーメータ17に入力される。典型的には、部分反射ミラー15bの反射率は0.1%程度である。一方、全反射ミラー15aが光軸18に挿入されると、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームの(損失によって失われる部分を除いた)実質的に全部が、ビーム拡大器16に向かう第1光路19に出力される。
ビーム拡大器16は、光路切換機構14から第1光路19に出力されたレーザビームを拡大して拡大レーザビーム2を出力する。本実施形態では、ビーム拡大器16として、拡大光を生成する凹レンズが使用される。ビーム拡大器16としては、ビーム径が拡大された平行光を生成するビームエキスパンダが使用されることも可能である。
パワーメータ17は、光路切換機構14から第2光路20に出力されたレーザビームの強度を計測する。パワーメータ17に入力されるレーザビームの強度は、レーザ発振器によって生成されるレーザビームの強度に対応している。本実施形態では、パワーメータ17に入力されるレーザビームの強度によってレーザ発振器によって生成されるレーザビームの強度が管理される。
レーザ加熱装置1から出力される拡大レーザビーム2の強度プロファイルを計測するために、計測系3が使用される。計測系3は、スクリーン21と、撮像装置22と、演算装置23とを備えている。スクリーン21は、拡大レーザビーム2が照射される位置に置かれる。本実施形態では、すりガラスがスクリーン21として使用される。撮像装置22は、拡大レーザビーム2が照射されているスクリーン21を撮像し、撮像画像を得る。演算装置23は、その撮像画像から拡大レーザビーム2の強度プロファイルを算出する。
レーザ加熱装置1の光路切換機構14は、拡大レーザビーム2をワークに照射してワークを加熱する場合と、拡大レーザビーム2の強度プロファイルを計測する場合とで異なる設定がなされる。拡大レーザビーム2をワーク31に照射してワーク31を加熱する場合、図2に示されているように、全反射ミラー15aが光軸18に挿入される。コリメートレンズ13から入射されたレーザビームは、その実質的に全部が全反射ミラー15aによって反射されてビーム拡大器16に入力される。ビーム拡大器16は、入射されたレーザビームを拡大して拡大レーザビーム2を生成する。生成された拡大レーザビーム2がワーク31に照射され、ワーク31が加熱される。本実施形態では、ワーク31は、溶接された板材32A、32Bであり、拡大レーザビーム2により、板材32A、32Bの溶接部およびその周辺が加熱される。
一方、拡大レーザビーム2の強度プロファイルが計測される場合、図3に示されているように、部分反射ミラー15bがコリメートレンズ13から入射されたレーザビームの光軸18に挿入される。これにより、レーザビームの一部が部分反射ミラー15bによって反射されてビーム拡大器16に出力される。
部分反射ミラー15bからビーム拡大器16に入射されたレーザビームは、ビーム拡大器16によって拡大され、これにより、拡大レーザビーム2が生成される。生成された拡大レーザビーム2は、スクリーン21に照射される。撮像装置22は、拡大レーザビーム2が照射されているスクリーン21を撮像し、撮像画像を得る。演算装置23は、その撮像画像の各画素の輝度から拡大レーザビーム2の強度プロファイルを算出する。
一方、部分反射ミラー15bを透過したレーザビームは、パワーメータ17に入射される。パワーメータ17は、部分反射ミラー15bから入射されたレーザビームの強度を計測する。これにより、レーザ発振器によって発生されたレーザビームを知ることができる。
レーザ発振器によって発生されたレーザビームの一部のみが拡大レーザビーム2としてスクリーン21に照射されるのは、レーザビームがワーク31を加熱可能なような大きな強度を有しているからである。一実施形態では、発生されたレーザビームの全部がスクリーン21に照射されると、撮像装置22によって撮像される撮像画像の輝度が高くなりすぎて、撮像装置22の撮像素子(例えば、CCD)の出力が飽和してしまい、拡大レーザビーム2の強度プロファイルを適切に計測することができない。本実施形態では、部分反射ミラー15bによって拡大レーザビーム2の強度が弱められるため、そのような問題は生じない。
光路切換機構14がビーム拡大器16の入力側に位置することは、レーザ加熱装置1の小型化の上で重要である。光路切換機構14がビーム拡大器16の出力側に位置している構成では、拡大レーザビームの光路を切り換える必要があり、従って、光路の切り換えに使用されるミラーの大きさが増大する。本実施形態では、光路切換機構14がビーム拡大器16の入力側に位置しているため、光路切換機構14に使用される部分反射ミラー15b及び全反射ミラー15aの大きさは小さくてもよい。このように、第1の実施形態のレーザ加熱装置1は、拡大されたレーザビームをワークに照射するために適した構成を有している。
その一方で、光路切換機構14がビーム拡大器16の入力側に位置することは、ワーク31を加熱する場合と強度プロファイルを測定する場合とで、使用される光学部品が異なるという点に問題があると考えられるかもしれない。しかしながら、本実施形態では、光路の切換に使用される光学部品は2枚のミラーであり、使用される光学部品の相違による誤差を実際上に問題にならない程度に抑制することは容易である。
スクリーン21を撮像している間における撮像装置22の受光量は、測定された強度プロファイルの精度に影響する。これは、撮像装置22の撮像素子(例えば、CCD)の特性には、一般に、非線形性が存在するからである。特に、撮像装置22の受光量が過剰に多いこと、及び過剰に少ないことには問題がある。例えば、図4に示されているように、撮像装置22の露出が不適切に少ない条件(露出条件3)で強度プロファイルを測定すると、測定された強度プロファイルが歪むことがある。
強度プロファイルの測定精度を高めるためには、露出を適切に調節する、即ち、シャッター速度、絞り、及び撮像装置22の撮像素子の素子感度の少なくとも一つを適切に調節することが好ましい。具体的には、測定対象の拡大レーザビーム2がスクリーン21に照射されている状態での撮像装置22の受光量が、露出計その他の手段を用いて計測され、その受光量が一定になるように、シャッター速度と絞りとのうちの少なくとも一方が調節される。
その代わりに、強度プロファイルのピーク値(即ち、最も輝度が高い画素の輝度値)が所定の一定値になるように、撮像装置22のシャッター速度、絞り、及び撮像装置22の撮像素子の素子感度の少なくとも一つが調節されることも好適である。ピーク光強度が所定の一定値に調節されることにより、強度プロファイルの測定精度を高めることができる。
スクリーン21として、すりガラスのように光を乱反射させる材料が使用される場合には、図5に示されているように、測定された強度プロファイルに雑音が重畳する。このような雑音は、強度プロファイルの測定の上で好ましくない。
雑音の影響を除去するためには、撮像画像から強度プロファイルを得る演算を行う際に、平滑化処理が行われることが好ましい。一実施形態では、撮像画像の平滑化処理が行われた後に、強度プロファイルが算出される。撮像画像の平滑化処理としては、例えば、平均値フィルタやメディアンフィルタのようなフィルタを用いたフィルタリング、近傍平滑化が使用され得る。その代わりに、又は、それに加えて、撮像画像から強度プロファイルが算出された後、強度プロファイルの移動平均を算出することにより、強度プロファイルの平滑化処理が行われることも可能である。
拡大レーザビーム2のスポット径が非常に大きい場合には、スクリーン21として、一枚のすりガラスで構成することは、コストの面から好ましくない。このような場合には、図6に示されているように、スクリーン21を複数のすりガラスで構成することが好ましい;図6では、スクリーン21が2枚のすりガラス33A、33Bで構成されている計測系3が図示されているが、スクリーン21は、更に2枚より多くのすりガラスで構成することも可能である。
スクリーン21が複数のすりガラスで構成される場合、拡大レーザビーム2がスクリーン21に照射された領域にすりガラスの継ぎ目34が存在すると、図7に示されているように、得られた強度プロファイルに不連続的な変化が現れる。この不連続的な変化は、拡大レーザビーム2の実際の強度プロファイルを現していない。
このような不連続的な変化の影響を排除するためには、レーザ加熱装置1とスクリーン21との相対位置を変えながら複数回、撮像画像を取得し、それらの撮像画像から強度プロファイルを得ることが望ましい。
より具体的には、測定対象の拡大レーザビーム2がスクリーン21に照射されている状態でスクリーン21が撮像され、得られた撮像画像から第1の強度プロファイルが算出される。第1の強度プロファイルには、継ぎ目及びその周辺に対応する部分に不連続的な変化が存在する。
続いて、レーザ加熱装置1とスクリーン21との相対位置が変えられた状態で、再度にスクリーン21が撮像され、得られた撮像画像から第2の強度プロファイルが算出される。レーザ加熱装置1とスクリーン21との相対位置は、不連続的な変化が現れる位置が、第1の強度プロファイルと第2の強度プロファイルとで相違するように選ばれる。この2つの強度プロファイルは、不連続的な変化が現れる位置が異なる以外、実質的に同一になる。
更に、第1の強度プロファイルのうち継ぎ目及びその周辺に対応する部分を、第2の強度プロファイルの同一の位置に対応する部分に置換することにより、最終的に求めるべき強度プロファイルが算出される。このような手法によれば、継ぎ目の影響を排除した強度プロファイルを得ることができる。
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態における強度プロファイル測定技術を示す図である。第2の実施形態では、レーザ加熱装置の光路切換機構の構成が、第1の実施形態の光路切換機構と異なっている。それに伴い、出力ポート12、コリメートレンズ13の配置が第1の実施形態から変更されている。
具体的には、第2の実施形態のレーザ加熱装置1Aでは、コリメートレンズ13から出力されるレーザビームの光軸18の延長線上にビーム拡大器16が位置している。実施の第1形態では、コリメートレンズ13から出力されるレーザビームの光軸18の延長線上にパワーメータ17が位置していたことに留意されたい。
光路切換機構14Aは、部分反射ミラー15cを備えている。部分反射ミラー15cは、移動可能であり、光軸18上の位置と、又は、光軸18から外れた位置のいずれもとることができる。部分反射ミラー15cが光軸18に挿入されると、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームから、ビーム拡大器16に向かうビームとパワーメータ17に向かうビームの2つのビームが生成される。即ち、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームの一部が透過されてビーム拡大器16に向かう第1光路19に出力され、残部が部分反射ミラー15bを反射してパワーメータ17に向かう第2光路20に出力される。
一方、部分反射ミラー15cが光軸18から外れた位置に移動されると、コリメートレンズ13から入射されたレーザビームの全部が、そのままビーム拡大器16に入力される。
部分反射ミラー15cは、第1の実施形態の光路切換機構14の部分反射ミラー15bとは異なり、高い反射率を有している。しかしながら、出力ポート12、コリメートレンズ13の配置が第1の実施形態とは異なっているため、部分反射ミラー15cが光軸18に挿入された場合には、レーザビームの大部分がパワーメータ17に入力される。
第1の実施形態と同様に、レーザ加熱装置1Aの光路切換機構14Aは、拡大レーザビーム2をワークに照射してワークを加熱する場合と、拡大レーザビーム2の強度プロファイルを計測する場合とで異なる設定がなされる。拡大レーザビーム2をワークに照射してワークを加熱する場合、部分反射ミラー15cが光軸18から外される。コリメートレンズ13から入射されたレーザビームは、その実質的に全部がビーム拡大器16に入力される。ビーム拡大器16は、入射されたレーザビームを拡大して拡大レーザビーム2を生成する。生成された拡大レーザビーム2がワークに照射され、ワークが加熱される。
一方、拡大レーザビーム2の強度プロファイルが計測される場合、部分反射ミラー15cがコリメートレンズ13から入射されたレーザビームの光軸18に挿入される。部分反射ミラー15cが光軸18に挿入されると、レーザビームのごく一部のみが部分反射ミラー15cを透過してビーム拡大器16に出力され、大部分は、部分反射ミラー15cによって反射されてパワーメータ17に入射される。
部分反射ミラー15bからビーム拡大器16に入射されたレーザビームは、ビーム拡大器16によって拡大され、これにより、拡大レーザビーム2が生成される。生成された拡大レーザビーム2は、スクリーン21に照射される。撮像装置22は、拡大レーザビーム2が照射されているスクリーン21を撮像し、撮像画像を得る。演算装置23は、その撮像画像の各画素の輝度から拡大レーザビーム2の強度プロファイルを算出する。
一方、パワーメータ17は、部分反射ミラー15cから反射されたレーザビームの強度を計測する。これにより、レーザ発振器によって発生されたレーザビームを知ることができる。
第2の実施形態においても、光路切換機構14Aがビーム拡大器16の入力側に位置することは、レーザ加熱装置1Aの小型化の上で重要である。光路切換機構14Aがビーム拡大器16の出力側に位置している構成では、拡大レーザビームの光路を切り換える必要があり、従って、光路の切り換えに使用されるミラーの大きさが増大する。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態でも、光路切換機構14Aがビーム拡大器16の入力側に位置しているため、光路切換機構14Aに使用される部分反射ミラー15cの大きさは小さくてもよい。
以上に説明されているように、第2の実施形態のレーザ加熱装置1Aは、第1の実施形態のレーザ加熱装置1と同様に、拡大されたレーザビームをワークに照射するために適した構成を有している。
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態における強度プロファイル測定技術を示す図である。第3の実施形態におけるレーザ加熱装置1Bでは、ビーム拡大器16によって拡大レーザビーム2を生成する代わりに、光路切換機構14Bに含まれている全反射ミラー15d及び部分反射ミラー15eとして凸面鏡が使用される。これにより、全反射ミラー15d又は部分反射ミラー15eに入射されたレーザビームが拡大されて拡大レーザビーム2が生成される。ビーム拡大器16を使用しないことは、レーザ加熱装置1Bに組み込まれる光学部品の数を減らすために好適である。
第3の実施形態におけるレーザ加熱装置1Bの動作は、第1の実施形態と同様である。
拡大レーザビーム2をワーク31に照射してワーク31を加熱する場合、全反射ミラー15aが光軸18に挿入される。拡大レーザビーム2の強度プロファイルが計測される場合、部分反射ミラー15bがコリメートレンズ13から入射されたレーザビームの光軸18に挿入される。
本実施形態において、全反射ミラー15d及び部分反射ミラー15eとして凸面鏡ではなく凹面鏡を使用することも可能である。この場合、加熱対象、及びスクリーン21は、凹面鏡の焦点よりも、当該凹面鏡から離れて位置される必要がある。
また、全反射ミラー15d及び部分反射ミラー15eとして平面鏡が使用されることも可能である。この場合、レーザ加熱装置1Bの光学系は、平行光でないレーザビームを全反射ミラー15d又は部分反射ミラー15eに入射するように変更される。より具体的には、平行光でないレーザビームを全反射ミラー15d又は部分反射ミラー15eに入射するようなレンズが、コリメートレンズ13の代わりに使用される。このような光学系でも、少ない光学部品によってレーザビームを拡大することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態において使用されるレーザ装置の構成を示す図である。 図2は、第1の実施形態においてワークを加熱する場合のレーザ加熱装置の動作を示す図である。 図3は、第1の実施形態において強度プロファイルを測定する場合のレーザ加熱装置の動作を示す図である。 図4は、異なる露出条件で測定された強度プロファイルを示す図である。 図5は、すりガラスのような光を乱反射する材料でスクリーンが形成されている場合に得られる強度プロファイルを示す図である。 図6は、第1の実施形態において使用されるレーザ装置の他の構成を示す図である。 図7は、スクリーンが1枚のすりガラスで構成されているときに得られる強度プロファイルと、2枚のすりガラスで構成されているときに得られる強度プロファイルを示すグラフである。 図8は、本発明の第2の実施形態において使用されるレーザ装置の構成を示す図である。 図9は、本発明の第3の実施形態において使用されるレーザ装置の構成を示す図である。
符号の説明
1、1A、1B:レーザ加熱装置
2:拡大レーザビーム
3:計測系
11:光ファイバ
12:出力ポート
13:コリメートレンズ
14、14A、14B:光路切換機構
15a、15d:全反射ミラー
15b、15c、15e:部分反射ミラー
16:ビーム拡大器
17:パワーメータ
18:光軸
19:第1光路
20:第2光路
21:スクリーン
22:撮像装置
23:演算装置
31:ワーク
32A、32B:板材
33A、33B:すりガラス

Claims (17)

  1. レーザ照射装置と、
    計測系
    とを具備し、
    前記レーザ照射装置は、
    レーザビームを供給するレーザビーム供給手段と、
    前記レーザビームの一部を第1光路に出力し、残部を第2光路に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を前記第1光路に出力する第2動作とを選択的に行うことができるように構成された光路切換手段と、
    前記光路切換手段から前記第2光路に出力されたレーザビームの強度を計測する強度計測手段
    とを備え、
    前記計測系は、
    前記第1光路への出力レーザビームが照射されるスクリーンと、
    前記スクリーンを撮像して撮像画像を得る撮像装置と、
    前記撮像画像から、前記出力レーザビームの強度プロファイルを算出する演算装置
    とを備える
    レーザ装置。
  2. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    更に、
    前記出力レーザビームの径を拡大するビーム拡大器を備える
    レーザ装置。
  3. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うときに前記第1光路に出力されるレーザビームの強度は、前記第2光路に出力されるレーザビームの強度よりも小さい
    レーザ装置。
  4. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記光路切換手段は、
    部分反射ミラーと
    全反射ミラー
    とを備え、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うときには、前記レーザビーム供給手段から出射される前記レーザビームの光軸に前記部分反射ミラーが挿入され、
    前記光路切換手段が前記第2動作を行うときには、前記光軸に前記全反射ミラーが挿入される
    レーザ装置。
  5. 請求項4に記載のレーザ装置であって、
    前記部分反射ミラー及び前記全反射ミラーは、平面鏡、凹面鏡又は凸面鏡である
    レーザ装置。
  6. 請求項2に記載のレーザ装置であって、
    前記光路切換手段は、部分反射ミラーを備え、
    前記ビーム拡大器は、前記レーザビーム供給手段から出射される前記レーザビームの光軸の延長線上にあり、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うときには、前記レーザビーム供給手段から出射される前記レーザビームの光軸に前記部分反射ミラーが挿入され、
    前記光路切換手段が前記第2動作を行うときには、前記部分反射ミラーが前記光軸から離れた位置に移動される
    レーザ装置。
  7. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記撮像装置は、撮像素子を含み、
    前記撮像装置のシャッター速度、絞り、及び前記撮像素子の素子感度のうちの少なくとも一つは、前記スクリーンから受ける光の受光量を所定値に保つように調節される
    レーザ装置。
  8. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記撮像装置は、撮像素子を含み、
    前記撮像装置のシャッター速度、絞り、及び前記撮像素子の素子感度のうちの少なくとも一つは、前記強度プロファイルのピーク値が所定の一定値になるように調節される
    レーザ装置。
  9. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記スクリーンは、光を乱反射させる材料で形成され、
    前記演算装置は、前記撮像画像及び/又は前記強度プロファイルの平滑化処理を行う
    レーザ装置。
  10. 請求項1に記載のレーザ装置であって、
    前記スクリーンは、光を乱反射させる材料で形成された、隣接して並べられた複数の部材を含んで構成されている
    レーザ装置。
  11. 請求項10に記載のレーザ装置であって、
    前記演算装置は、前記レーザ照射装置と前記スクリーンとの相対位置が異なる状態で撮像された複数の前記撮像画像から前記強度プロファイルを算出するように構成されている
    レーザ装置。
  12. レーザビームを供給するレーザビーム供給手段と、前記レーザビームの一部を第1光路に出力し、残部を第2光路に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を前記第1光路に出力する第2動作とを選択的に行うように構成された光路切換手段と、ビーム拡大器とを備えるレーザ照射装置の強度プロファイル計測方法であって、
    前記光路切換手段を、前記第1動作を行うように設定するステップと、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うように設定された状態で、前記ビーム拡大器によって前記第1光路に出力されたレーザビームを拡大して拡大レーザビームを生成するステップと、
    前記拡大レーザビームをスクリーンに照射するステップと、
    前記スクリーンを撮像して撮像画像を得るステップと、
    前記撮像画像から、前記拡大レーザビームの強度プロファイルを算出するステップ
    とを具備する
    強度プロファイル測定方法。
  13. 請求項12に記載の強度プロファイル測定方法であって、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うときに前記第1光路に出力されるレーザビームの強度は、前記第2光路に出力されるレーザビームの強度よりも小さい
    強度プロファイル測定方法。
  14. 請求項13に記載の強度プロファイル測定方法であって、
    更に、前記第2光路に出力されたレーザビームの強度を測定するステップを具備する
    強度プロファイル測定方法。
  15. 請求項12に記載の強度プロファイル測定方法であって、
    前記光路切換手段は、部分反射ミラーを含み、
    前記光路切換手段を、前記第1動作を行うように設定するステップは、前記部分反射ミラーを前記レーザビーム供給手段から出射される前記レーザビームの光軸に前記部分反射ミラーを挿入するステップを含む
    強度プロファイル測定方法。
  16. レーザビームを供給するレーザビーム供給手段と、前記レーザビームの一部を第1光路に出力し、残部を第2光路に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を前記第1光路に出力する第2動作とを選択的に行うように構成された光路切換手段と、ビーム拡大器とを備えるレーザ照射装置の動作方法であって、
    前記光路切換手段を、前記第1動作を行うように設定するステップと、
    前記光路切換手段が前記第1動作を行うように設定された状態で、前記ビーム拡大器によって前記第1光路に出力されたレーザビームを拡大して第1拡大レーザビームを生成するステップと、
    前記第1拡大レーザビームをスクリーンに照射するステップと、
    前記スクリーンを撮像して撮像画像を得るステップと、
    前記撮像画像から、前記第1拡大レーザビームの強度プロファイルを算出するステップと、
    前記光路切換手段を、前記第2動作を行うように設定するステップと、
    前記光路切換手段が前記第2動作を行うように設定された状態で、前記ビーム拡大器により、前記第1光路に出力されたレーザビームを拡大して第2拡大レーザビームを生成するステップと、
    前記第2拡大レーザビームをワークに照射するステップ
    とを具備する
    レーザ照射装置の動作方法。
  17. レーザビームを供給するレーザビーム供給手段と、
    前記レーザビームの一部を第1光路に出力し、残部を第2光路に出力する第1動作と、前記レーザビームの実質的に全部を前記第1光路に出力する第2動作とを選択的に行うように構成された光路切換手段と、
    前記光路切換手段から前記第2光路に出力されたレーザビームの強度を計測する強度計測手段
    とを具備する
    レーザ照射装置。
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