JP2007238867A - 制振性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な制振性を有し、耐熱性に優れ、かつ軽量であり、また、多量の制振付与剤の配合工程および加工工程で生じるブリードやべたつきを抑制した制振性熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 アクリルゴム、アクリレート系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる極性基を有するベースポリマーと一般式(I)のフェノール系化合物と無機/有機充填剤とからなる制振付与剤組成物およびブリード抑制用ゲル化剤を熱可塑性樹脂マトリックス中に混練してなる制振性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、良好な制振性を有する熱可塑性樹脂組成物およびその用途に関するものであり、さらに詳しくは、電気・電子部品、オーディオ部品、事務機器部品または自動車用内装材等の良好な振動吸収性能、遮音性能、吸音性能等が要求される分野において筐体、構造体等の材料として提供可能な制振性熱可塑性樹脂に関するものである。
近年、オフィス・オートメーション機器(以下、「OA機器」という。)の高速回転化に伴ない、各種機構部品の駆動系より生ずる振動源に対して制振性を保持させるという要求が強くなっており、構造体部品として使用される熱可塑性樹脂組成物に対しても制振性能を有することが要求されている。例えば、CD−ROM、DVD−ROM等の光学ディスクにおいては、いわゆる30倍速以上の高速回転のものが主流となりつつあり、これに対応するため直接ディスクの回転に作用するターンテーブルおよびそれを支持するシャーシ等が良好な制振性を有するものであることが不可欠とされている。
また、光学式プリンターにおいても高速回転するポリゴンミラーおよびそれらを支持する光学ボックス等は、前記光学ディスクと同様に良好な制振性を有することが要求されるなど、プリント速度の高速化に伴ない、振動吸収に対する要求が増加している。
しかしながら、かかる用途に使用される熱可塑性樹脂は単独では性質上、制振性、つまり振動吸収性能が極めて乏しいため、前記の如きOA機器の高速回転化に対して制振性に不足するという問題がある。
制振性の高い材料としてはゴム類を挙げることができるが、かかる材料は剛性に欠けるため、無機フィラー等を高充填する必要があり、その結果として高比重となるため制振性に対する要求を満足させることができない。つまり、高速回転のためには材料が軽量であることが必要であり、また、固有振動数がより高くなるとの振動面での効果もある。
さらに、使用環境および内部機構部品の発熱による高温環境下に対応するには、耐熱性も重要な要素であるが、ゴム類では耐熱性も十分ではない。
また、特開平3−223355号公報には、(a)結晶性脂肪族ポリオレフィン樹脂と(b)アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルと共重合した脂肪族ポリオレフィン樹脂と(c)ウオラストナイトおよび中空球状無機物質からなる組成物が記載されているが、かかる組成物も制振性を有するものの耐熱性にはなお難点がある(特許文献1。)。
かかる事情のもとに、有機ポリマーに有機系制振付与剤、例えば特定のフェノール系化合物を配合してなる制振材料組成物が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、軽量で耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート系樹脂に対する無機フィラーの充填量を抑制し、前記特許文献1に記載の制振効果の優れたものとして提案されているフェノール系化合物を配合しても得られるポリカーボネート系樹脂組成物の損失係数は著しく低く、かかる制振付与剤の添加によって制振性が付与されないことも認識された。
さらに、前記の如き制振付与剤が有機ポリマーに配合される場合、ポリマー100重量部に対して数10重量部、場合により100重量部を超えて配合されるため、混練する際に十分にポリマー中に練り込めず、ブリードする場合があり、また、混練できたとしても材料の成形等の加工工程でブリードし、べたつきを生じることがある。かかる現象が生ずることは、作業性が低下するだけでなく、商品としての価値を失うおそれも大きい。
かかる状況下において、CD−ROM、DVD−ROM等のディスク、筐体に適する軽量で制振効果に優れたポリカーボネート系樹脂の如き、熱可塑性樹脂であって、しかも加工工程でのブリードやべたつきを抑制した制振性熱可塑性樹脂の開発が切望されてきた。
特開平3−223355号公報 特開2000−273435号公報
本発明の課題は、良好な制振性を有し、耐熱性に優れ、かつ軽量である制振性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
また、多量の制振付与剤を熱可塑性樹脂に配合する際、または加工工程において生じるブリードやべたつきを抑制した制振性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記の本発明の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂マトリックスに特定の制振付与剤組成物を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、特に、該制振付与剤組成物が微粒状態で分散してなる熱可塑性樹脂組成物が著しく顕著な制振効果を奏することに着目し、さらにゲル化剤を配合することにより加工工程においてもブリードの発生が抑制されることを見出し、かかる知見に基いて本発明の完成に到達した。
かくして、本発明によれば、
アクリルゴム、アクリレート系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の極性基を有するベースポリマー(a)と、フェノール系化合物(b)と、無機充填剤(c)および有機充填剤(c)からなる群より選択される少なくとも一種の充填剤(c)とからなる組成物であって、前記ベースポリマー(a)100重量部に対して、前記フェノール系化合物(b)が50〜120重量部および前記充填剤(c)が50〜350重量部混練してなる制振付与剤組成物を熱可塑性樹脂マトリックス中に10重量%以上混練してなることを特徴とする制振性熱可塑性樹脂組成物、が提供される。
本発明は、軽質で耐熱性に優れた熱可塑性樹脂マトリックス中に前記組成の制振付与剤組成物を配合してなる制振性熱可塑性樹脂組成物を提供するものであるが、さらに好ましい実施態様として次の(1)〜(6)を掲げるものを包含し、さらに(7)〜(15)に掲げる用途を提供するものである。
(1)前記熱可塑性樹脂マトリックスが、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン系共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子、ポリビニルエーテル類、セルロース系高分子からなる群より選択される少なくとも一種の重合体である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂およびポリオレフィン系樹脂である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。)
(3)前記フェノール系化合物が、下記一般式(I)
Figure 2007238867
(上記一般式(I)において
(1)R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜10の炭化水素基であり、互いに同一
でもまたは異なるものでもよい。
(2)nおよびn' は、0または1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異な
るものでもよい。
(3)mおよびm' は、それぞれ1または2の整数であり、互いに同一でもまたは
異なるものでもよい。
(4)sおよびtは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なる
ものでもよい。
(5)Xは、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、該原子の少なくとも一種を含有
していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基およびエステル結合含有基から
なる群より選択される少なくとも一種の結合部である。)
で表される前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記フェノール系化合物が、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール);
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);
テトラキス(メチレン−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート);
1,1,3−トリス(5−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;からなる群より選択される少なくとも一種である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(5)前記フェノール系化合物が、次の一般式(II);
Figure 2007238867
(一般式(II)において、
Aは、硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基、芳香族基を有する該鎖状炭化水素基または炭素数5〜8の脂環式炭化水素基であり、
Bは硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基であり、
AおよびBは互いに同一でも異なるものでもよく、
1、R2およびR3は、それぞれ炭素数3以下の炭化水素基、アルキロール基またはアルデヒド基であり、互いに同一でも異なるものでもよく、p、qおよびrは、それぞれ0〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
Xはハロゲン原子であり、s、tおよびuはそれぞれ0または1であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
x、yおよびzは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、nは0〜200である。)
で表される一種または二種以上の化合物である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(6)前記フェノール系化合物を表わす一般式(II)中のAおよびBが、それぞれヒドロキシル基に対して2位または4位に結合した鎖状炭化水素基である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(7)前記フェノール系化合物が、
2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−エチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール);
4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(4−メチル−5−プロピルフェノール);
2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール;
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
1,1’ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
α,α’(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン;
からなる群より選択される少なくとも一種である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(8)前記制振付与剤中のフェノール系化合物が、立体障害の少ないフェノール系化合物であって、ヒドロキシル基の両隣接位置のいずれにも炭素数4以上の分岐状炭化水素基を有しない化学構造を有する化合物である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(9)前記無機充填剤が、マイカ、サポナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ソツトライト、ステンレス粉末、トルマリン、BaTiO2 、PbTiZrO3 、タルク、炭酸カルシウム、天然ゼオライト、メソポーラスゼオライトおよびフレーク状シリカからなる群より選択される少なくとも一種の充填剤である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(10)前記有機充填剤が、テトラフルオロポリエチレン、スルフェンアミド、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、グアニジン、セルロース、不織布および木屑からなる群より選択される少なくとも一種の充填剤である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(11)前記制振付与剤組成物の形態が、粉末状である前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(12)さらにゲル化剤を有効量配合してなる前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(13)前記ゲル化剤が、前記一般式(III)で表されるジアセタールである前記制振性熱可塑性樹脂組成物。
(14)前記制振付与剤組成物とゲル化剤とからなる制振剤。
(15)前記制振性熱可塑性樹脂組成物を用いたCDおよびDVDディスク用材料。
(16)前記制振性熱可塑性樹脂組成物を用いたスピーカー筐体。
本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂マトリックスと該熱可塑性樹脂マトリックスに配合された(B)制振付与剤組成物を必須成分とし、(C)ゲル化剤がさらに配合されてなる構成により、振動吸収性能、遮音性能、吸音性能等を有するものであり、フェノール系化合物と相互作用を生ずる極性基を有しない熱可塑性樹脂に対しても著しく顕著な制振性能を付与し、極めて良好な制振性熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。ここで用いられる成分(B)の前記制振付与剤組成物を構成する各成分をそれぞれ同量であっても成分毎に単独で前記熱可塑性樹脂マトリックス中に配合したのでは、後述の比較例で示すように制振性能を有する樹脂組成物は得られない事実からも本発明に係る制振性熱可塑性樹脂が顕著な効果を奏することは特異なものである。
本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂マトリックスとしてポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、損失係数において著しく顕著な効果を奏することができる。
従って本発明によれば、電気・電子機器部品、例えば、CD−ROM、DVD−ROM等の制振性ディスク材料を提供することができる。
CD−ROMに制振性ディスク材料を用いることにより、高周波数側で比較的音圧レベルが低下する結果、高周波数の耳障りな音が小さくなり、一方、低周波数側では全体的に音圧レベル差が大きくなる傾向を示し、重低音の聴感が得られ、また、クリアーな音に聞こえるなど音質が改善される。
また、本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物をスピーカー筐体に適用した場合も低周波数側および高周波数側で音圧レベルが高くなり、振動による音質阻害の要因を除去することができる。
さらに、ゲル化剤の配合によりブリードが抑制され、前記用途においても商品価値の高い制振性熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
制振性熱可塑性樹脂組成物
本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂マトリックスと、該熱可塑性樹脂マトリックス中に配合された(B)制振付与剤組成物とを必須成分とし、さらに好ましくは後述の(C)ゲル化剤が配合されてなるものである。
成分(B)の制振付与剤組成物は、後に詳説するようにa)少なくとも一種の極性基を有するベースポリマーと、b)フェノール系化合物と、c)無機充填剤および有機充填剤からなる群より選択される少なくとも一種の充填剤とからなるものであり、該制振性熱可塑性樹脂組成物全量基準で10重量%以上配合されたものである。配合量の上限は、70重量%であり、好ましい配合量は、10〜 50重量%である。配合量が10重量%に達しないと十分な振動吸収性能が得られず、一方、70重量%を超えると 熱可塑性樹脂との相分離の弊害のおそれが生じ、また、制振付与剤組成物の増量に伴ない、熱可塑性樹脂の特性を生かすことが困難になるなどの問題がある。
本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物の特に好適な形態は、熱可塑性樹脂マトリックス中に前記制振付与剤組成物およびゲル化剤が配合されて形成された混合体である。前記制振付与剤組成物中の(a)ベースポリマー、(b)フェノール系化合物および(c)充填剤が均一状態でもよいが、好適な形態は、成分(a)のベースポリマーと成分(b)のフェノール系化合物さらには成分(c)の充填剤が相互作用を保持している状態で存在することが好ましい。
熱可塑性樹脂マトリックス
本発明の制振性熱可塑性樹脂組成物の構成成分として有用であり、制振付与剤組成物のマトリックスとして機能する熱可塑性樹脂としては、用途に応じて所定の分子量、融点を有するものであれば、特に限定されるものではなく、制振付与剤組成物と相互作用を有する極性側鎖、極性基を有しない熱可塑性樹脂であってもよい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、テトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル類、セルロース系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は各種用途に応じて任意に選択して使用することができが、特に、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好適である。ポリカーボネート系樹脂としては、通常、重量平均分子量10,000〜100,000、好ましくは15,000〜40,000のものを用いることができる。
制振付与剤組成物
本発明に係る制振付与剤組成物の構成成分は、(a)ベースポリマーと、該ベースポリマーに含有された(b)フェノール系化合物と、(c)無機充填剤および/または有機充填剤とからなるものである。かかる制振付与剤組成物は、成分(a)、(b)および(c)の混練により繊維状、顆粒状および粉末状のものが得られるが、制振性熱可塑性樹脂組成物の製造にとって、熱可塑性樹脂および充填剤との混練操作の容易性の観点から、制振付与剤の好適な形態は粉粒体、つまり粉末状または顆粒状のものであり、特に粉末状のものが好適である。
前記ベースポリマーは、アクリルゴム、アクリレート系樹脂および酢酸ビニル系樹脂から選択される極性基を有するものである。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、またはそれを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体である。重量平均分子量5〜40万、ガラス転移点:−30〜10℃の性状を有するものが好ましい。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル等が、また、共重合成分としての単量体にはメチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエン、メチルメタクリレート等が用いられる。アクリレート系樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体等を、また、酢酸ビニル系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体等も挙げることができる。制振付与剤組成物のベースポリマーとしては、前記の如き各種重合体のうちでも、アクリルゴム、アクリレート−メチルメタクレリレート系樹脂、ポリ乳酸樹脂、またはアクリルゴムとポリ乳酸樹脂との混合物が好ましいが、これらのなかでもポリ乳酸樹脂またはアクリルゴムとポリ乳酸樹脂との混合物を挙げることができるが、アクリルゴム(A)とポリ乳酸樹脂(B)との混合割合は、重量基準で、(A):(B)=10〜90:90〜10、好ましくは15〜35:85〜65の範囲を採用することができる。
次に、本発明に係る制振付与剤組成物を構成する成分であるフェノール系化合物としては、第一に、下記一般式(I)
Figure 2007238867
で表わされる一種または二種以上の化合物が用いられる。
上記一般式(I)において
(1)R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜10の炭化水素基であり、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
(2)nおよびn' は、0または1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
(3)mおよびm' は、それぞれ1または2の整数であり、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
(4)sおよびtは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
(5)Xは、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、該原子の少なくとも一種を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基およびエステル結合含有基からなる群より選択される少なくとも一種の結合部である。
上記式中、Xとして好ましい炭化水素基は、アルキレン基、シクロアルキレン基等の不飽和基を挙げることができる。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基等を、不飽和基としてビニレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、シクロヘキシレン基、芳香族基等を挙げることができる。好ましい具体例としては下記の(1)〜(3)の如きものである。また、エステル結合含有基は、−CO−O−を含むグループであり、具体例としては下記の(4)、(5)、(6)および(7)で表されるものを例示することができる。これらのなかで、(7)に示すテトラエステル型の結合部が有用である。
Figure 2007238867
上記一般式(I)を満たすフェノール系化合物の具体例としては、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
4,4’−チオビス(4−メチル−6−エチルフェノール);
4,4’−チオビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);
4,4’−エチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);
4,4’−プロピリデンビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル6−tert−ブチルフェノール);
4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);
2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)等
2,2’−メチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
2,2,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン;
テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン;
4,4,4’,4’−テトラメチル−7,7’−ジヒドロキシ−2,2’−スピロクロマン;
2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2,4,4−トリメチル−7−ヒドロキシクロマン;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン;
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル);
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル);
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
等を挙げることができる。また、上記フェノール骨格を有する有機化合物の作用を阻害しない限りにおいて、フタル酸エステル、スルフェンアミドおよびオリゴマー等も制振付与剤として用いることができる。
また、当該フェノール系化合物としては、第二に、
下記一般式(II);
Figure 2007238867
で表される一種または二種以上のフェノール系化合物も好適に用いることができる。
一般式(II)において、
Aは、硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基、芳香族基を有する該鎖状炭化水素基または炭素数5〜8の脂環式炭化水素基であり、
Bは硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基であり、
AおよびBは互いに同一でも異なるものでもよく、
1、R2およびR3は、それぞれ炭素数3以下の炭化水素基、アルキロール基またはアルデヒド基であり、互いに同一でも異なるものでもよく、p、qおよびrは、それぞれ0〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
Xはハロゲン原子であり、s、tおよびuはそれぞれ0または1であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
x、yおよびzは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、nは0〜200である。
一般式(II)において表わされる化合物は、立体障害の少ないレス・ヒンダードタイプのフェノール系化合物を包含する。かかるレス・ヒンダードタイプのフェノール系化合物を選択することにより、ベースポリマーとの相互作用が著しく進行し、前記一般式(I)のヒンダードタイプフェノール系化合物に比して最大損失正接(tanδ)が高く、かつ使用可能温度巾が広いという制振作用効果を有している。
前記一般式(II)は、少なくとも2個のフェノール環を有することを示したものであり、かつ、フェノール環を前記AおよびBで示す結合基により連結してなる高分子化合物をも包含したものであることを開示したものである。
式中、Aは、硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい短鎖炭化水素基、すなわち、炭素数1〜3の鎖状炭化水素基である。鎖状炭化水素基は、二価炭化水素基であり、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等を挙げることができる。また、これらの炭化水素基に芳香族基を結合したもの、例えばフェニル基を結合したメチレン基
Figure 2007238867
前記炭化水素基にヒドロキシル基を有する芳香族基を結合したもの、例えば、
Figure 2007238867
を挙げることができる。さらに前記Aとしては、炭素数5〜8の脂環式炭化水素基、例えば、シクロヘキシル基
Figure 2007238867
も挙げることができる。
一般式(II)において、Bは、硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基であり、具体的には二価炭化水素基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはイソプロピレン基であり、AおよびBは、互いに同一または異なるものでもよい。
一般式(II)において、R1、R2およびR3 は、それぞれ炭素数3以下の炭化水素基、アルキロール基またはアルデヒド基であり、具体的には、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択されるアルキル基を、また、アルキロール基としては、例えば、メチロール基、エチロール基を、さらに、アルデヒド基としては、例えば、ホルミル基を挙げることができる。かかるR1、R2およびR3は、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。また、R1、R2およびR3の芳香環への結合数を示すp、qおよびrは、それぞれ0〜3の整数であり、1または2が好ましい。かかるp、qおよびrは、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
1 、R2 およびR3 の芳香族環への結合位置は、レスヒンダードタイプフェノール系化合物を実現できれば、任意に決定されたものでよいが、ヒドロキシル基の両隣接位置を同時に占めないものが好ましい。
また、Xはハロゲンを表わし、s、t、uは、それぞれ、10または1であり、互いに同一でも異なるものでもよい。ハロゲンとしては塩素、臭素を挙げることができるが塩素が好ましい。
x、yおよびzは、ヒドロキシル基の芳香環への結合数を示すが、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なるものでもよい。
また、nは、繰り返し単位
Figure 2007238867
の繰り返し数を表わし、0〜200であり、高分子化合物を包含する。通常、nが0〜10の化合物が用いられるが、10を超えると、制振付与剤としての機能のほかに本発明に係る制振材料の有機ポリマーマトリックスとしての機能も発揮することができる。
かくして、前記一般式(II)で表される化合物として制振作用に顕著なものを以下に例示する。
2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−エチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール);
4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(4−メチル−5−プロピルフェノール);
2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール;
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
1,1’ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
α,α’(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン;
ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン;
ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン;
ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)メタン;
ビス(4,5−ジヒドロキシ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン;
ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン;
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
a,a,a’,a’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン;
2,2’−ビス[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−フェニル]プロパン
以上の如く、本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物の制振付与剤組成物の成分として前記フェノール系化合物を挙げることができるが、特に、好適なものは次に示す如きものである。
2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−エチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール);
4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール);
4,4’−メチレンビス(4−メチル−5−プロピルフェノール);
2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール;
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
1,1’ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
α,α’(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン
さらに好ましいフェノール系化合物は、
2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール);
2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール);
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
1,1’ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
である。
かかるフェノール系化合物、特に、前記一般式(I)で表わされるフェノール系化合物に比較して前記一般式(II)で表わされるフェノール系化合物は、制振付与剤としてより広範囲の温度領域において著しく顕著な制振効果を奏するものであり、比較的単純な化学構造を有するものであるから、煩雑な製造工程を要することなく、従って、低コストで供給することができ、産業に寄与する点も大きい。
かかるフェノール系化合物は、ベースポリマー100重量部に対し50〜120重量部、好ましくは、70〜110重量部、さらに好ましくは、80〜100重量部の範囲で採用することができる。フェノール系化合物の含有量が50重量部を満たさないと制振効果が得られず、一方、120重量部を超えるとベースポリマーとの相分離の弊害のおそれが生ずる。
次に、本発明の制振付与剤組成物の構成成分として用いられる無機および有機充填剤は、有機ポリマーマトリックスとの相互作用の強い充填剤であれば、無機充填剤、カーボン系フィラーおよび有機充填剤のいずれでも選択することができる。
無機充填剤としては、サポナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ソットライト、マイカ、ステンレス粉末、トルマリン、BaTiO3、PbTiZrO3 等のSiO2 、Al23 、MgO、Na2O 等を含む層状化合物、タルク、炭酸カルシウム、天然ゼオライト、合成ゼオライト、メソポーラスゼオライト、フレーク状シリカ等が有用である。カーボン系フィラーとしてはケッチェンブラックカーボン、フレーク状グラファイト等を挙げることができる。
特に、好ましい無機充填剤としては、有機ポリマーが酸性の場合、塩基性無機充填剤が好ましい。塩基性無機充填剤としては、例えば、TiO2 、MgO、CaO、タルク等を挙げることができる。また、酸性無機充填剤としては層状ケイ酸塩粘土鉱物を使用することができる。層状ケイ酸塩粘土鉱物としては2:1型鉱物が好ましく、特に底面間隔、すなわち、単位構造の厚さ、層面に垂直な方向の周期が比較的大きいもの、例えば、約14〜15Å以上のものを用いることができる。具体的にはマイカのほか、スメクタイト、モンモクロナイト、サポナイト、バーミキュライト等またはこれらの混合物が有用である。
また、有機充填剤としては、テトラフルオロポリエチレン、スルフェンアミド類、ベンゾチアゾール類、ベンゾトリアゾール類、グアニジン類、セルロース粉末、不織布、木屑、糖、紙、セルロース、FRP等を用いることができる。スルフェンアミド類としては、例えばN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドおよびN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等のベンゾチアゾリルスルフェンアミド類を挙げることができる。特に好ましいベンゾチアゾリルスルフェンアミド類は、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドである。
ベンゾチアゾール類としては、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等を例示することができる。
また、ベンゾトリアゾール類としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどを例示することができる。
さらに、グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等の塩基性窒素を含有するもので例示することができる。
かかる無機充填剤と有機充填剤を併用することにより高水準の損失係数(η)を与える温度範囲を著しく拡大させることができる。
無機充填剤および有機充填剤は、微粒状体、特にフレーク状または繊維状で用いることが好ましく、平均粒径0.1〜200μm、特に40〜100μmのものが振動吸収および音響吸収に寄与するところが大きい。
特に、フェノール系化合物の配合量の一部を有機充填剤で置換し、フェノール系化合物、有機充填剤および無機充填剤を組合せることにより広範囲の温度領域、特に高温領域において高度の損失係数(η)を達成する点で顕著な効果を奏することができる。
また、充填剤の配合量は、ベースポリマー100重量部に対し50〜350重量部、好ましくは100〜320重量部である。配合量が50重量部に達しないと、十分な振動吸収性能の向上が見られず、一方、350重量部を超えると相の剥離による強度低下等の難点が生じ、十分な材料強度保持することができない。有機充填剤の配合量は、充填剤全量に対し、0〜30重量%の範囲において採用することができる。
本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物の構成成分として好適な制振付与剤組成物は、(a)ベースポリマー、(b)フェノール系化合物および(c)充填剤からなる場合においては、各成分の混合割合は、成分(a);100重量部に対し、成分(b);50〜120重量部、好ましくは70〜100重量部、および成分(c);50〜350重量部、好ましくは70〜320重量部の範囲で採用することができる。
制振付与剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、成分(a)〜(c)がそれぞれ前記含有量になるように制御し得る方法であれば、任意に採用することができる。例えば(a)ベースポリマーであるアクリルゴムまたはアクリレート系樹脂の粉末と(b)フェノール系化合物と、(c)無機/有機充填剤とを常温以上、特に50〜250℃、好ましくは150〜250℃混練し、必要に応じて粉砕し、粉粒体、特に粉末状または顆粒状の混練物を得ることができる。前記(a)、(b)および(c)の混練は、撹拌器、ロールミキサー、バンバリーミキサー等を用いて行なう。
ゲル化剤
次に、本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物に配合されるゲル化剤としては、一般的にゲル化剤として使用されているものであれば高分子ゲル化剤、低分子ゲル化剤を問わず使用できるが低分子ゲル化剤がより好ましい。
ここで、本発明において意味するゲル化剤とは、分子が水素結合やファンデルワールス力などにより分子の自己凝集を誘起し、3次元網目構造を形成する化合物である。
前記高分子ゲル化剤としてはジェランガム、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ペクチン等を挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
また、前記低分子ゲル化剤において、低分子とは、そのゲル化剤が分子量分布を持たない化合物であることを意味する。
低分子ゲル化剤としては、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシオレイン酸のような直鎖または分岐脂肪族炭素鎖を有するヒドロキシル脂肪酸およびその塩、シクロヘキサントリカルボキシアミドのようなカルボン酸アミド、一般式(III)で表されるベンジリデンソルビトール誘導体、1,2-ビス(ウレイド)ベンゼンおよびトランス-1,2-ビス(ウレイド)シクロヘキサンのようなウレイド誘導体、アナリンエステルおよびバリンアミドのようなアミノ酸アミドまたはアミノ酸エステル、アシル基がC−C22アルキル鎖を有するN-アシルグルタミン酸アミドのようなN-アシルアミノ酸およびその誘導体、D-17,17-ジプロピル-17a-アザ-5α-ホモアンドロスタン-3-オールまたはD-17,17-ジプロピル-17a-アザ-5α-ホモアンドロスタン-3β-オール-17a-オキシのようなステロイドアミンまたはステロイドアミド、2,3-ビス-n-デシロキシアントラセンまたは2,3-ビス-n-デシロキシアントラキノンのような8−30の炭素原子を有する少なくとも2つのアルキル鎖を含むアントリル誘導体、4-(2-アントリロキシ)ブタン酸コレステリルまたはアントラキノン-2-カルボン酸コレステリルのようなステロイド基を含むアントリル誘導体、アゾベンゼンステロイド、が挙げられる。これらの化合物のなかで、下記一般式(III)で表されるベンジリデンソルビトール誘導体が特に好ましい。
Figure 2007238867
(式中、Z1 及びZ2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ニトロ基及びアミド基からなる群より選択される少なくとも一種の原子又は一価の有機基を示す。x及びyは、それぞれ1〜5を表し、mは、0又は1を表す。)
これらの化合物は一種または2種以上を併用してもよい。
一般式(III)で表される化合物としては、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の同種のベンジリデン基を有する化合物、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(2,4一ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール等の異種のベンジリデン基を有する化合物もしくは1,3:2,4−ジベンジリデンキシリトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)キシリトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)キシリトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)キシリトール、1,3:2,4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)キシリトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)キシリトール等の同種のベンジリデン基を有する化合物、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンキシリトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンキシリトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンキシリトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンキシリトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンキシリトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンキシリトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(2,4一ジメチルベンジリデン)キシリトール、1,3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンキシリトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(3,4−ジメチルベンジリデン)キシリトール、1,3−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンキシリトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンキシリトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンキシリトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンキシリトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンキシリトール等の異種のベンジリデン基を有する化合物等が例示され、特に好ましくは、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンキシリトール等が挙げられる。これらはそれぞれ一種または二種以上を併用してもよい。
また、本発明におけるジアセタール組成物には、ジアセタールの他にモノアセタール、トリアセタール等も含んでいてもよく、これらはそれぞれ一種または二種以上を含んでいてもよい。
本発明におけるゲル化剤の使用量は、使用するゲル化剤のゲル化能力により差はあるが、おおよそ熱可塑性樹脂マトリックス100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、特に0.1〜10重量部が好ましい。0.01重量部より少なければ、ブリード抑制効果がほとんど見られず、20重量部よりも多いと、効果が頭打ちになるだけでなく、製品も高価になり、好ましくない。
ゲル化剤から選ばれる少なくとも一種の化合物を含む制振性熱可塑性樹脂組成物を得る方法としては、ゲル化剤と熱可塑性樹脂マトリックスと制振付与剤組成物とを混和すればよい。
制振性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂マトリックスと制振付与剤組成物とゲル化剤の各粉粒体を同時に混練、または、熱可塑性樹脂マトリックスとゲル化剤の各粉粒体を混練した組成物に制振付与剤組成物の粉粒体を加えてさらに混練、または、熱可塑性樹脂マトリックスと制振付与剤組成物の各粉粒体を混練した組成物にゲル化剤を加えてさらに混練する方法を採用することができる。混練方法としてはゴムロール機、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサーなどを用いる方法が挙げられる。さらに単軸または二軸押出し機により押出し成形、射出成形機により射出成形、熱プレス機などにより用途の応じて所定の形状にプレス成形することもできる。混練は常温以上、好ましくは50〜250℃で行なうことができるが、温度、時間等の混練条件は、制振付与剤組成物が熱可塑性樹脂マトリックス中に均一に分散するように適宜選択される。
また、シート状等の成形体を製造するには、成形方法としては特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂マトリックス、制振付与剤組成物およびゲル化剤の各粉粒体を所定の割合で混練した後、圧着に必要な条件、例えば、60〜300℃、好ましくは100〜200℃、100〜300kgf/cm2 、好ましくは150〜250kg/cm2 の温度・圧力条件下でプレスし成形することができる。
次に、本発明について、下記記載の実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は、実施例等により限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において得られた制振性熱可塑性樹脂組成物等の性能は次に記載の方法で評価した。
(1)損失係数η
損失係数ηは、図1に示すJIS G 0602:1993に準じた中央加振法により測定した。図中冷延鋼板基板A2 に、本発明に係る制振性熱可塑性樹脂組成物またはこれに用いられる材料をシート状に成形体サンプルA1を接着した測定用試料Aを示す。Bはインピーダンスヘッド、Cは加振器、Dは解析装置(モータル解析ソフトにてフーリエ変換し、損失係数ηは制振ピークから半値巾法により求められる。)からなる制振特性の測定装置を示す。
基板A2 としては、200mml×10mmw×0.8mmtのサイズの冷延鋼板を使用し、これに本発明に係る制振性ポリカーボネート樹脂サンプルAを2mm厚さで貼り付け損失係数ηの測定に供した。
(2)ブリード性
調製した制振性熱可塑性樹脂組成物の試験片を2枚重ね合わせ、調製1日後、3ヶ月後に表面の観察と試験片の引き剥がしやすさを下記の二段階で評価した。

○:べたつきがほとんどなく容易に引き剥がすことができる。
×:べたつきがあり引き剥がすことが困難である。
粉末状制振付与剤組成物の製造例
ベースポリマーとしてのアクリルゴム粉末に表1に記載のフェノール系化合物PH9および無機充填剤IF1粉末をそれぞれ同表に示す割合で、200℃にて10分間混練し、粉末状制振付与剤組成物を調製した。
Figure 2007238867
実施例1
ポリカーボネート樹脂粉末(帝人化成社製)90重量部と、製造例1に従い調製した粉末状制振付与剤組成物10重量部とを混練機に採り、220℃で15分間混練した後、混練物をホットプレス機により220℃、200kg/cm2 にて20分間加圧し、90mml×50mmw×2mmtのシート状に成形加工した制振性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。
制振性ポリカーボネート樹脂組成物の損失係数ηを前記方法にて測定したところ表2に示す結果を得た。
実施例2
ポリカーボネート樹脂粉末(帝人化成社製)70重量部と、製造例1にて調製した粉末状制振付与剤組成物30重量部とを混練機に採り、220℃で15分間混練した後、混練物をホットプレス機により220℃、200kg/cm2 にて20分間加圧し、90mml×50mmw×2mmtのシート状に成形加工した制振性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。損失係数を表2に示す。
比較例1
ポリカーボネート樹脂粉末90重量部と、実施例1の粉末状制振付与剤組成物と同一割合のアクリルゴム2.0重量部、フェノール化合物(PH9)1.6重量部、無機充填剤(IF1)6.4重量部とをそれぞれ個別に実施例1と同一の条件つまり、220℃で15分間混練した後、混練物をホットプレス機により220℃、200kg/cm2 にて20分間加圧し、90mml×50mmw×2mmtのポリカーボネート樹脂組成物を調製した。損失係数ηは表2に示す通りであった。
比較例2
ポリカーボネート樹脂粉末70重量部と、実施例2の制振付与剤組成物と同一割合のアクリルゴム6重量部、フェノール化合物(PH9)4.9重量部、無機充填剤(IF1)19.1重量部とを個別に実施例1と同一の条件で混練した後シート状の制振性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。損失係数を表2に示す。
Figure 2007238867
実施例3
ポリカーボネート樹脂粉末90重量部と、製造例1に従い調製した粉末状制振付与剤組成物10重量部とゲル化剤として1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール0.5重量部を混練機に採り、220℃で15分間混練した後、混練物をホットプレス機にて220℃、200kg/cm2 にて20分間加圧し、90mml×50mmw×厚さ2mmtのシート状に成形加工した制振性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。損失係数を表2に示す。
比較例3
ポリカーボネート樹脂粉末90重量部と、製造例1に従い調製した粉末状制振付与剤組成物10重量部とを混練機に採り、220℃で15分間混練した後、混練物をホットプレス機にて220℃、200kg/cm2 にて20分間加圧し、90mml×50mmw×厚さ2mmtのシート状に成形加工した制振性ポリカーボネート樹脂組成物を調製した。損失係数を表2に示す。
実施例4
ポリカーボネート樹脂粉末70重量部と、製造例1に従い調製した粉末状制振付与剤組成物30重量部、ゲル化剤として1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール;0.5重量部とを混練機に採り、実施例3の操作・条件と同一の操作・条件により混練した後、混練物をホットプレス機で加圧し、厚さ2mmのシート状制振性ポリカーボネート樹脂組成物を得た。損失係数を表2に示す。
比較例4
ポリカーボネート樹脂粉末70重量部と、製造例1に従い調製した粉末状制振付与剤組成物30重量部とを混練機に採り、実施例3の操作・条件と同一の操作・条件により混練した後、混練物をホットプレス機で加圧し、厚さ2mmのシート状制振性ポリカーボネート樹脂組成物を得た。損失係数を表2に示す。
実施例5
有機ポリマーとしてランダムポリプロピレン粉末とゲル化剤として1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール;0.5重量部を用いたこと以外すべて実施例2の操作・条件と同一の操作・条件により制振性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
比較例5
ゲル化剤を配合しないことを除いてすべて実施例5の操作・条件と同一の操作・条件により成形加工した制振性ポリプロピレン樹脂組成物を得た。評価結果を表2に示す。
損失係数(η)の評価装置の概略図である。
符号の説明
A :試験片
1 :試料(制振材料シート)
2 :基材
B :インピーダンスヘッド
C :加振器
D :伝達関数解析装置(FFT分析用PC)

Claims (13)

  1. アクリルゴム、アクリレート系樹脂および酢酸ビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の極性基を有するベースポリマー(a)と、フェノール系化合物(b)と、無機充填剤(c)および有機充填剤(c)からなる群より選択される少なくとも一種の充填剤(c)とからなる組成物であって、前記ベースポリマー100重量部に対して、前記フェノール系化合物(b)が50〜120重量部および前記充填剤(c)が50〜350重量部混練してなる制振付与剤組成物を熱可塑性樹脂マトリックス中に10重量%以上混練してなることを特徴とする制振性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂マトリックスが、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン系共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン系共重合体、テトラブルオロエチレン等のフッ素系高分子、ポリビニルエーテル類、セルロース系高分子からなる群より選択される少なくとも一種の重合体である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂マトリックスが、ポリカーボネート系樹脂またはポリオレフィン系樹脂である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記フェノール系化合物が、次の一般式(I)
    Figure 2007238867
    (上記一般式(I)において
    (1)R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜10の炭化水素基であり、互いに同一でも
    または異なるものでもよい。
    (2)nおよびn' は、0または1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なるも
    のでもよい。
    (3)mおよびm' は、それぞれ1または2の整数であり、互いに同一でもまたは異な
    るものでもよい。
    (4)sおよびtは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でもまたは異なるもの
    でもよい。
    (5)Xは、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、該原子の少なくとも一種を含有して
    いてもよい炭素数1〜20の炭化水素基およびエステル結合含有基からなる群よ
    り選択される少なくとも一種の結合部である。)
    で表される化合物である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記フェノール系化合物が、
    4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
    4,4’−メチレンビス(2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール);
    4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);
    テトラキス(メチレン−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート);
    1,1,3−トリス(5−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;
    からなる群より選択される少なくとも一種である請求項4に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記フェノール系化合物が、次の一般式(II);
    Figure 2007238867
    (一般式(II)において、
    Aは、硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基、芳香族基を有する該鎖状炭化水素基または炭素数5〜8の脂環式炭化水素基であり、
    Bは硫黄原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜3の鎖状炭化水素基であり、
    AおよびBは互いに同一でも異なるものでもよく、
    1、R2およびR3は、それぞれ炭素数3以下の炭化水素基、アルキロール基またはアルデヒド基であり、互いに同一でも異なるものでもよく、p、qおよびrは、それぞれ0〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
    Xはハロゲン原子であり、s、tおよびuはそれぞれ0または1であり、互いに同一でも異なるものでもよく、
    x、yおよびzは、それぞれ1〜3の整数であり、互いに同一でも異なるものでもよく、nは0〜200である。)
    で表される化合物である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記フェノール系化合物の一般式(II)中のAおよびBが、それぞれヒドロキシル基に対して2位または4位に結合した鎖状炭化水素基である請求項6に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記フェノール系化合物が、立体障害の少ないフェノール系化合物であって、ヒドロキシル基の両隣接位置のいずれにも炭素数4以上の分岐状炭化水素基を有しない化学構造を有する化合物である請求項6に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記フェノール系化合物が、
    2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−エチルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール);
    2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール);
    4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール);
    4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール);
    4,4’−メチレンビス(4−メチル−5−プロピルフェノール);
    2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール;
    2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
    1,1’ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
    α,α’(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン;
    からなる群より選択される少なくとも一種である請求項6に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記無機充填剤が、マイカ、サポナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ソツトライト、ステンレス粉末、トルマリン、BaTiO2 、PbTiZrO3 、タルク、炭酸カルシウム、天然ゼオライト、メソポーラスゼオライトおよびフレーク状シリカからなる群より選択される少なくとも一種の充填剤である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記有機充填剤が、テトラフルオロポリエチレン、スルフェンアミド、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、グアニジン、セルロース、不織布および木屑からなる群より選択される少なくとも一種の充填剤である請求項1に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  12. さらにゲル化剤を有効量配合してなる請求項1ないし11のいずれか1項に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記ゲル化剤が、次の一般式(III);
    Figure 2007238867
    (式中、Z1 及びZ2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ニトロ基及びアミド基からなる群より選択される少なくとも一種の原子又は一価の有機基を示す。x及びyは、それぞれ1〜5を表し、mは、0又は1を表す。)
    で表される一種または二種以上のジアセタールである請求項12に記載の制振性熱可塑性樹脂組成物。
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