JP2007224810A - 内燃機関の燃料噴射装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って運転状態に即応した適切な燃料量を噴射することができる内燃機関の燃料噴射装置及び方法を提供する。
【解決手段】 エンジン1サイクルの排気行程までの燃料噴射タイミングで第1分割燃料噴射量の燃料をインジェクタによって噴射し、その後の吸気行程の燃料噴射タイミングで内燃機関の運転状態に応じてエンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定し、その燃料噴射量から第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出し、最終分割燃料噴射量の算出直後に最終分割燃料噴射量だけの燃料をインジェクタによって噴射する。
【選択図】図4
【解決手段】 エンジン1サイクルの排気行程までの燃料噴射タイミングで第1分割燃料噴射量の燃料をインジェクタによって噴射し、その後の吸気行程の燃料噴射タイミングで内燃機関の運転状態に応じてエンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定し、その燃料噴射量から第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出し、最終分割燃料噴射量の算出直後に最終分割燃料噴射量だけの燃料をインジェクタによって噴射する。
【選択図】図4
Description
本発明は、4サイクル内燃機関において燃料噴射を行う燃料噴射装置及び方法に関する。
内燃機関に燃料をインジェクタによって噴射して供給するための燃料噴射装置においては、通常、エンジン1サイクル(クランク角で720度)毎に各気筒に対して1回の燃料噴射が行われている。また、エンジン1サイクルの間に同一気筒に対して燃料を複数回に分割して噴射する複数回分割噴射式の装置もある。
複数回分割噴射式の燃料噴射装置としては、多気筒内燃機関において気筒をグループ分けしてグループ毎にクランク角で360度に1回、すなわちエンジン1サイクルに2回の燃料噴射を同時に行う装置が公知である(例えば、特許文献1〜3参照)。更に、加速時及び減速時には前回の噴射済みの燃料量と今回算出された燃料噴射量との差に応じて今回の実際の噴射量を決定するものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−232359号公報
特公平2−9172号公報
特開平8−246934号公報
しかしながら、従来の複数回分割噴射式の燃料噴射装置においては、グループ毎にエンジン1サイクルに2回同時に同量の燃料噴射を行うために加速、減速運転等の運転状態に即応した適切な燃料量を各気筒に供給することは困難であった。
そこで、本発明の目的は、エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って運転状態に即応した適切な燃料量を噴射することができる内燃機関の燃料噴射装置及び方法を提供することである。
本発明の内燃機関の燃料噴射装置は、4サイクル内燃機関の圧縮行程から吸気行程までをエンジン1サイクルとして、エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って燃料を前記内燃機関に供給する燃料噴射装置であって、前記燃料噴射のために内燃機関の吸気管に設けられた燃料噴射弁と、前記エンジン1サイクルの開始後に前記内燃機関の運転状態に応じて第1分割燃料噴射量を設定する分割燃料噴射量設定手段と、前記エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで前記第1分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第1駆動手段と、前記エンジン1サイクルの吸気行程における所定の最終燃料噴射タイミングで前記内燃機関の運転状態に応じて前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定する手段と、前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量から前記第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出する手段と、前記最終分割燃料噴射量の算出直後に前記最終分割燃料噴射量だけの燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第2駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明の内燃機関の燃料噴射方法は、4サイクル内燃機関の圧縮行程から吸気行程までをエンジン1サイクルとして、エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って燃料を前記内燃機関に供給する燃料噴射方法であって、前記エンジン1サイクルの開始後に前記内燃機関の運転状態に応じて第1分割燃料噴射量を設定する分割燃料噴射量設定ステップと、前記エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで前記第1分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために、前記内燃機関の吸気管に設けられた燃料噴射弁を駆動する第1駆動ステップと、前記エンジン1サイクルの吸気行程における所定の最終燃料噴射タイミングで前記内燃機関の運転状態に応じて前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定するステップと、前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量から前記第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出するステップと、前記最終分割燃料噴射量の算出直後に前記最終分割燃料噴射量だけの燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第2駆動ステップと、を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで第1分割燃料噴射量の燃料をインジェクタによって噴射し、その後の吸気行程の所定の最終燃料噴射タイミングで内燃機関の運転状態に応じてエンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定し、その燃料噴射量から第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出し、最終分割燃料噴射量の算出直後に最終分割燃料噴射量だけの燃料をインジェクタによって噴射するので、運転状態に即応した適切な燃料量を噴射することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明による燃料噴射装置が適用された4サイクル内燃機関のエンジン制御システムを示している。内燃機関においては、エンジン本体1の吸入ポートに連結された吸気管2内には、スロットル弁3が設けられている。エアクリーナ4からの吸入空気がスロットル弁3の開度に応じた量となって吸気管2を介してエンジン本体1の吸入ポートに供給されるようになっている。スロットル弁3にはスロットルセンサ5が備えられており、スロットル弁3の開度がスロットルセンサ5によって検出される。エンジン本体1の吸気ポート近傍の吸気管2には燃料噴射用のインジェクタ(燃料噴射弁)6が設けられている。インジェクタ6には図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって燃料が圧送される。また、吸気管2には、吸気圧センサ7及び吸気温センサ8が設けられている。吸気圧センサ7は吸気管2内の吸入空気圧、すなわち吸気圧を検出する。吸気温センサ8は吸気管2内の吸入空気の温度を検出する。
エンジン本体1の排気ポートに連結された排気管10内には、触媒11及び酸素濃度センサ12が備えられている。触媒11は排気管10の排気ガス中の未燃焼成分を低減させる。酸素濃度センサ12は排気ガス中の酸素濃度を検出する。
また、エンジン本体1には点火プラグ13が固着されており、点火プラグ13は点火装置14に接続されており、後述のECU(電子制御ユニット)15が点火装置14に対して点火タイミングの指令を発することによってエンジン本体1のシリンダ燃焼室内で火花放電を起こす。
エンジン本体1を形成するシリンダブロック16内には冷却水通路16aが形成されており、冷却水通路16aの冷却水の温度を検出する冷却水温センサ17がシリンダブロック16に設けられている。
スロットルセンサ5、吸気圧センサ7、吸気温センサ8、酸素濃度センサ12及び冷却水温センサ17各々の出力はECU15に接続されている。ECU15には、更に、クランク角センサ19と、大気圧を検出する大気圧センサ20とが接続されている。クランク角センサ19はエンジン本体1のクランク軸18の回転角度位置を検出するために備えられ、クランク軸18に連動して回転するロータ19aの外周に所定角度(例えば、15度)毎に設けられた複数の凸部を、そのロータ19aの外周近傍に配置されたピックアップ19bによって凸部の通過を磁気的或いは光学的に検出し、ピックアップ19bからクランク軸18の所定角度の回転毎にパルス(クランク信号)を発生する。クランク角センサ19はピストン9の圧縮上死点又はクランク軸18が720度回転する毎に基準角度を示す信号をECU15内の後述するCPU(中央処理ユニット)24に出力する。
スロットルセンサ5、吸気圧センサ7、吸気温センサ8、酸素濃度センサ12、冷却水温センサ17及び大気圧センサ20各々は検出値に応じたアナログ電圧を出力する。
また、ECU15には、上記のインジェクタ6と点火装置14とが接続されている。
ECU15は、図2に示すように、波形整形回路21、回転数カウンタ22、A/D変換器23、CPU24、駆動回路25、ROM26、RAM27及びタイマ28を備えている。
波形整形回路21はクランク角センサ19から出力されるパルスを例えば、方形波形のパルスに波形整形してそれを回転数カウンタ22に出力する。回転数カウンタ22は波形整形回路21からのパルスを計数して所定時間毎のパルス数を示すデータをCPU24に出力する。CPU24は所定時間毎のパルス数からエンジン回転数Neを得ることができる。
A/D変換器23は、スロットルセンサ5、吸気圧センサ7、吸気温センサ8、酸素濃度センサ12、冷却水温センサ17及び大気圧センサ20から出力される電圧、並びにバッテリ30の出力電圧を個別にディジタル信号に変換してそれをCPU24に供給する。CPU24はエンジンパラメータ検出値として上記のエンジン回転数Neと共にA/D変換器23からスロットル弁3の開度θth、吸気圧PB、吸気温TA、酸素濃度O2、冷却水温TW、大気圧PA及びバッテリ電圧VBを得る。また、CPU24はクランク角センサ19からのクランク角度の基準角度を示す信号及び波形整形回路21の出力パルスに基づいてクランク軸18の所定角度間隔の回転角度位置を検出する。CPU24はエンジンパラメータ検出値及びクランク軸18の所定角度間隔の回転角度位置に応じて燃料噴射制御及び点火時期制御を行う。
駆動回路25は燃料噴射制御によるCPU24からの燃料噴射指令に応じてインジェクタ6を駆動し、点火時期制御によるCPU24からの通電及び点火指令に応じて点火装置14を駆動する。
ROM26には、CPU24の燃料噴射制御及び点火時期制御のためのプログラム並びにデータマップ等のデータが予め書き込まれている。RAM27には、CPU24の燃料噴射制御及び点火時期制御において上記のエンジンパラメータ検出値や燃料噴射時間等の計算値が一時的に書き込まれる。タイマ28は、CPU24によって燃料噴射指令、並びに通電及び点火指令各々を発する時点を計測するために使用されるが、この実施例ではインジェクタ開弁タイマとして作動するだけを示している。
かかる構成のエンジン制御システムにおいて、CPU24は、燃料噴射制御としてエンジン1サイクル毎に分割噴射制御ルーチンと分割最終噴射ルーチンとを処理する。ここでは、エンジン1サイクルに1つの気筒に2回噴射する場合の各ルーチンの動作を説明する。エンジン1サイクルは吸気行程下死点(BDC)から次の吸気行程下死点までである。
分割噴射制御ルーチンにおいては図3に示すように、CPU24は、先ず、燃料噴射量は計算済みであるか否かを判別する(ステップS1)。すなわち、現サイクルにおいて既に燃料噴射量TILOGが算出されたか否かが後述の燃料噴射量計算済みフラグに応じて判別される。燃料噴射量計算済みフラグがセット状態であるならば、燃料噴射量は計算済みであり、燃料噴射量計算済みフラグがリセット状態であるならば、燃料噴射量は計算済みではない。燃料噴射量TILOGは後述のステップS5又はS7で算出される。
燃料噴射量が算出されている場合には、CPU24は、後述のステップS9の処理に進む。
燃料噴射量が算出されていない場合には、スロットル弁開度θth、吸気圧PB及びエンジン回転数Neに応じてエンジン1サイクル分の基本噴射量TIMAPを設定する(ステップS2)。ROM26には、基本噴射量TIMAPを検索するためのTIMAPデータマップが予め書き込まれており、スロットル弁開度θth、吸気圧PB及びエンジン回転数Neに応じてROM26内のTIMAPデータマップからの検索によって基本噴射量TIMAPは設定される。基本噴射量TIMAPの設定後、分割係数#MDIVINJを設定する(ステップS3)。分割係数#MDIVINJはエンジン1サイクルに1つの気筒に2回噴射する場合に第1回目の噴射量と第2回目の噴射量との割合を示し、例えば、0.5である。分割係数#MDIVINJはデータとしてROM26に予め書き込まれているので、ステップS3ではそれをROM26から読み出して#MDIVINJに設定する。
CPU24は、更に、各種エンジンパラメータに応じて燃料補正係数MTOTALを設定する(ステップS4)。例えば、酸素濃度O2を読み取り、酸素濃度O2に応じた現在の空燃比A/FをROM26内のA/Fデータマップから得て、空燃比A/Fと目標空燃比(例えば、14.7)との大小に応じたフィードバック補正係数KO2を算出する。冷却水温Twを読み取り、冷却水温Twに応じた水温補正係数KTWをROM26内のTwデータマップから検索する。吸気温TAを読み取り、吸気温TAに応じた吸気温補正係数KTAをROM26内のTAデータマップから検索する。大気圧PAを読み取り、大気圧PAに応じた大気圧補正係数KPAをROM26内のPAデータマップから検索する。このような補正係数KO2,KTW,KTA,KPA,……を乗算することにより、燃料補正係数MTOTALが得られる。
CPU24は、基本噴射量TIMAP、分割係数#MDIVINJ及び燃料補正係数MTOTALを定めると、それらを乗算することにより、分割噴射量TILOGを算出し(ステップS5)、その算出した分割噴射量TILOGが閾値#TIDIVLM以上であるか否かを判別する(ステップS6)。TILOG≧#TIDIVLMならば、燃料噴射量計算済みフラグをセットする(ステップS8)。一方、TILOG<#TIDIVLMならば、基本噴射量TIMAP及び燃料補正係数MTOTALを乗算することにより、分割噴射量TILOGを算出し直し(ステップS7)、その後、ステップS8に進んで燃料噴射量計算済みフラグをセットする。
CPU24は、ステップS8の実行後、バッテリ電圧VBを読み取り、そのバッテリ電圧VBに応じてインジェクタ無効時間補正値TIVBを設定する(ステップS9)。インジェクタ6には印加駆動電圧に応じた応答遅れがあるため、インジェクタ6による噴射量は、同一駆動時間幅であっても駆動電圧として印加されるバッテリ電圧VBに応じて変動するので、インジェクタ無効時間補正値TIVBが設定される。インジェクタ無効時間補正値TIVBは、ROM26内のTIVBデータマップからバッテリ電圧VBに応じて検索される。インジェクタ無効時間補正値TIVBは分割噴射量TILOGと加算され、燃料噴射量TIOUT=TILOG+TIVBが算出される(ステップS10)。なお、燃料噴射量TIOUT、基本噴射量TIMAP及び分割噴射量TILOG各々はインジェクタ6による燃料噴射時間幅を示している。
CPU24は、燃料噴射量TIOUTの算出後、燃料噴射開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11では例えば、クランク軸18の回転角度位置が第1噴射角度位置に達した時に燃料噴射開始タイミングとなったと判断される。第1噴射角度位置は固定位置でも良いし、加速運転時、定常運転時及び減速運転時各々で異なるクランク角度位置でも良い。燃料噴射開始タイミングではないならば、分割噴射制御ルーチンを一旦終了する。燃料噴射開始タイミングならば、インジェクタ開弁タイマに燃料噴射量TIOUTをセットさせて時間計測を開始させる(ステップS12)。インジェクタ開弁タイマの時間計測開始が燃料噴射指令となり、インジェクタ開弁タイマが燃料噴射量TIOUTを計測している期間においてのみインジェクタ6は駆動回路25によって駆動されて燃料を噴射する。
CPU24は、ステップS12の実行後、分割噴射量TILOGを積算値TITTLに加算し(ステップS13)、そして、燃料噴射量計算済みフラグをリセットして(ステップS14)、分割噴射制御ルーチンを一旦終了する。
分割最終噴射ルーチンにおいては図4に示すように、CPU24は、先ず、最終燃料噴射タイミングであるか否かを判別する(ステップS21)。ステップS21では、例えば、クランク軸18の回転角度位置が予め定められた第2噴射角度位置に達した時に最終燃料噴射タイミングとなったと判断される。第2噴射角度位置は第1噴射角度位置と同様に、固定位置でも良いし、加速運転時、定常運転時及び減速運転時各々で異なるクランク角度位置でも良い。
最終燃料噴射タイミングではないならば、分割最終噴射ルーチンを一旦終了する。最終燃料噴射タイミングならば、スロットル弁開度θth、吸気圧PB及びエンジン回転数Neに応じてエンジン1サイクル分の基本噴射量TIMAPRCLを設定する(ステップS22)。基本噴射量TIMAPRCLはスロットル弁開度θth、吸気圧PB及びエンジン回転数Neに応じてROM26内のTIMAPデータマップからの検索によって設定される。基本噴射量TIMAPRCLの設定後、各種エンジンパラメータに応じて燃料補正係数MTOTALを設定する(ステップS23)。これは上記のステップS4と同様に行われる。
CPU24は、基本噴射量TIMAPRCL及び燃料補正係数MTOTALを定めると、それらを乗算することにより、分割噴射量TIRCLLOGを算出し(ステップS24)、バッテリ電圧VBに応じてインジェクタ無効時間補正値TIVBを設定する(ステップS25)。ステップS25は上記のステップS9と同様に行われる。ステップS25のインジェクタ無効時間補正値TIVBは分割噴射量TIRCLLOGと加算され、かつその加算結果から積算値TITTLが差し引かれて、最終分割燃料噴射量TIRCLOUT=TIRCLLOG−TITTL+TIVBが算出される(ステップS26)。なお、燃料噴射量TIRCLOUT、基本噴射量TIMAPRCL、積算値TITTL及び分割噴射量TILOGRCL各々はインジェクタ6による燃料噴射時間幅を示している。
CPU24は、インジェクタ開弁タイマに燃料噴射量TIRCLOUTをセットさせて時間計測を開始させる(ステップS27)。インジェクタ開弁タイマの時間計測開始が燃料噴射指令となり、インジェクタ開弁タイマが燃料噴射量TIRCLOUTを計測している期間においてのみインジェクタ6は駆動回路25によって駆動されて燃料を噴射する。
CPU24は、ステップS27の実行後、積算値TITTLを0に等しくさせて初期化する(ステップS28)、そして、分割最終噴射ルーチンを一旦終了する。
図5はエンジンの定常運転時、加速運転時及び減速運転時における燃料噴射量TIOUT及びTIRCLOUTで表された燃料噴射期間をエンジンの各行程、クランク信号、大気圧、吸気圧、スロットル弁開度、吸気バルブの開期間、排気バルブの開期間及び最終燃料噴射タイミングと対応させて示している。
図5に示したように、エンジン1サイクル中に2回の燃料噴射が行われる。エンジン1サイクルが開始されると、先ず、燃料噴射量TIOUT=TILOG+TIVBがエンジンの運転状態に応じて算出され、排気行程内の燃料噴射開始タイミングにおいてTIOUTの期間だけ燃料がインジェクタから噴射される。そして、吸気行程内の最終燃料噴射タイミングに達した時に再度、燃料噴射量TIRCLOUT=TIRCLLOG−TITTL+TIVBがエンジンの運転状態に応じて算出され、直ちにTIRCLOUTの期間だけ燃料がインジェクタから噴射される。燃料噴射量TIRCLOUTには、1回目の燃料噴射量TIOUTに含まれた分割噴射量TILOGが減量されている。よって、エンジン1サイクルにおける燃料噴射量を適切な量にすることができる。すなわち、エンジン1サイクル中に定常運転から加速運転に移行した場合には、吸入空気量の変化に応じて燃料噴射量TIRCLOUTが適切に算出されるので、それにより良好なエンジン回転数の上昇が即時に得られる。また、エンジン1サイクル中に加速運転から減速運転に、又は定常運転から減速運転に移行した場合には、燃料噴射量TIRCLOUTは燃料の過剰な噴射を抑えるように算出されるので、燃費を向上させることができる。
また、図5の場合には定常運転時には、2回目の燃料噴射は分割残量の噴射であるために最終燃料噴射タイミングはエンジン1サイクルの終了付近に設定されており、減速運転時には、上記のように燃料噴射量抑制のために最終燃料噴射タイミングはエンジン1サイクルの終了付近に設定されている。加速運転時には2回目の燃料噴射量は定常運転時よりも増加するので、定常運転時及び減速運転時と同様の時点を最終燃料噴射タイミングとして設定すると、エンジン1サイクル内に燃料噴射が終了しないことが起きる可能性がある。そこで、加速運転時の最終燃料噴射開始タイミング(TDCからATDC92経過時点)を図5に示したように、定常運転時及び減速運転時の最終燃料噴射開始タイミング(TDCからATDC137経過時点)より早く設定しても良い。また、加速運転時の最終燃料噴射タイミングをエンジン回転数の上昇に応じて早く設定するようにしても良い。
なお、上記した実施例においては、エンジン1サイクル内に燃料を2回に分割して噴射しているが、エンジン1サイクル内に第1分割燃料噴射量、第2分割燃料噴射量及び最終分割燃料噴射量のように3回以上に燃料を分割して噴射しても良い。
また、上記した実施例においては、本発明を単気筒内燃機関に適用しているが、多気筒内燃機関にも本発明を同様に適用することができる。
以上の如く、本発明によれば、エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで第1分割燃料噴射量(燃料噴射量TIOUT)の燃料を噴射し、その後の吸気行程における所定の最終燃料噴射タイミングで内燃機関の運転状態に応じてエンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定し、その燃料噴射量から第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量(燃料噴射量TIRCLOUT)を算出し、最終分割燃料噴射量の算出直後に最終分割燃料噴射量だけの燃料を噴射するので、運転状態に即応した適切な燃料量を噴射することができる。
1 エンジン本体
2 吸気管
3 スロットル弁
4 エアクリーナ
5 スロットルセンサ
6 インジェクタ
7 吸気圧センサ
8 吸気温センサ
10 排気管
12 酸素濃度センサ
15 ECU
2 吸気管
3 スロットル弁
4 エアクリーナ
5 スロットルセンサ
6 インジェクタ
7 吸気圧センサ
8 吸気温センサ
10 排気管
12 酸素濃度センサ
15 ECU
Claims (4)
- 4サイクル内燃機関の圧縮行程から吸気行程までをエンジン1サイクルとして、エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って燃料を前記内燃機関に供給する燃料噴射装置であって、
前記燃料噴射のために内燃機関の吸気管に設けられた燃料噴射弁と、
前記エンジン1サイクルの開始後に前記内燃機関の運転状態に応じて第1分割燃料噴射量を設定する分割燃料噴射量設定手段と、
前記エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで前記第1分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第1駆動手段と、
前記エンジン1サイクルの吸気行程における所定の最終燃料噴射タイミングで前記内燃機関の運転状態に応じて前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定する手段と、
前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量から前記第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出する手段と、
前記最終分割燃料噴射量の算出直後に前記最終分割燃料噴射量だけの燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第2駆動手段と、を備えたことを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記分割燃料噴射量設定手段は、前記エンジン1サイクルの開始後に前記内燃機関の運転状態に応じて前記エンジン1サイクル分の第1燃料噴射量を設定する手段と、前記第1燃料噴射量に分割係数を乗算して前記第1分割燃料噴射量を算出する手段と、前記第1分割燃料噴射量が閾値以上であるか否かを判別する手段と、前記第1分割燃料噴射量が前記閾値以上であるとき前記第1分割燃料噴射量をそのまま維持し、前記第1分割燃料噴射量が前記閾値より小であるときには前記第1燃料噴射量を前記第1分割燃料噴射量として設定する手段と、からなることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 前記第1駆動手段は、前記燃料噴射弁の駆動時に前記燃料噴射弁に印加される電圧レベルに応じて前記第1分割燃料噴射量を補正し、その補正後の前記第1分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動し、前記第2駆動手段は、前記燃料噴射弁の駆動時に前記燃料噴射弁に印加される電圧レベルに応じて前記最終分割燃料噴射量を補正し、その補正後の前記最終分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 4サイクル内燃機関の圧縮行程から吸気行程までをエンジン1サイクルとして、エンジン1サイクル毎に複数回の燃料噴射を行って燃料を前記内燃機関に供給する燃料噴射方法であって、
前記エンジン1サイクルの開始後に前記内燃機関の運転状態に応じて第1分割燃料噴射量を設定する分割燃料噴射量設定ステップと、
前記エンジン1サイクルの排気行程までにおける所定の燃料噴射タイミングで前記第1分割燃料噴射量の燃料を噴射させるために、前記内燃機関の吸気管に設けられた燃料噴射弁を駆動する第1駆動ステップと、
前記エンジン1サイクルの吸気行程における所定の最終燃料噴射タイミングで前記内燃機関の運転状態に応じて前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量を設定するステップと、
前記エンジン1サイクル分の燃料噴射量から前記第1分割燃料噴射量を差し引いて最終分割燃料噴射量を算出するステップと、
前記最終分割燃料噴射量の算出直後に前記最終分割燃料噴射量だけの燃料を噴射させるために前記燃料噴射弁を駆動する第2駆動ステップと、を備えたことを特徴とする燃料噴射方法。
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