JP2007220589A - プラズマ発生ノズルおよびプラズマ発生装置ならびにそれを用いるワーク処理装置 - Google Patents

プラズマ発生ノズルおよびプラズマ発生装置ならびにそれを用いるワーク処理装置 Download PDF

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博史 林
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Abstract

【課題】基板の改質等、ワークの処理などに使用され、同心状の内側導電体と外側導電体とを用い、両導電体間にマイクロ波による電界を印加することで、グロー放電を生じさせてプラズマを発生させ、処理ガスを両導電体間で旋回させながら吹出すことで高密度なプラズマを生成し、被処理ワークに放射するように構成されたプラズマ発生ノズルにおいて、ガスの種類や流速などの変化によるプラズマインピーダンスの変化によるノズルの特性インピーダンスとの不整合を無くし、内側導電体から導波管への反射を抑える。
【解決手段】外側導電体であるノズル本体の下側胴部33Bに、脱着可能なスリーブ391〜393を嵌め込み、その内径を変化させる。したがって、プラズマインピーダンスの変化に対して、特性インピーダンスの整合を図り、インピーダンスの異なる境界となるノズル先端でのマイクロ波の反射を抑え、受信電力の殆どを消費することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、基板等の被処理ワークなどに対してプラズマを照射することで、前記ワークの表面の清浄化や改質などを図ることが可能なプラズマ発生ノズルおよびプラズマ発生装置ならびにそれを用いるワーク処理装置に関する。
たとえば半導体基板等の被処理ワークに対してプラズマを照射し、その表面の有機汚染物の除去、表面改質、エッチング、薄膜形成または薄膜除去等を行うワーク処理装置が知られている。たとえば特許文献1には、同心状の内側導電体と外側導電体とを有するプラズマ発生ノズルを用い、両導電体間に高周波のパルス電界を印加することで、アーク放電ではなく、グロー放電を生じさせてプラズマを発生させ、ガス供給源からの処理ガスを両導電体間で旋回させながら基端側から遊端側へ向かわせることで高密度なプラズマを生成し、前記遊端に取付けられたノズルから被処理ワークに放射することで、常圧下で高密度なプラズマを得ることができるプラズマ処理装置が開示されている。
特開2003−197397号公報
上述のようなノズル構造では、図15に示すように、内側導電体1と外側導電体2との間には、本来、特性インピーダンスZ1を有する。しかしながら、プルームPが点灯すると、ノズル先端3で、参照符号4で示すように、それらの導電体1,2間はプラズマのインピーダンスZ2で接続されることになる。このノズル先端3の終端インピーダンス(プラズマインピーダンス)Z2は、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズル5の消費電力などに依存すると考えられ、それらによって変化する。したがって、その終端インピーダンスZ2を前記特性インピーダンスZ1に近くなるように設定しておいても、前記ガスの種類や流速などを変化してしまうと、インピーダンスの不整合を生じ(同軸伝送路のインピーダンスと、負荷インピーダンスとが異なり)、このプラズマ発生ノズル5に供給された電力(マイクロ波)が、インピーダンスの異なる境界となる前記ノズル先端3での反射してしまうという問題がある。
詳しくは、前記内側導電体1の外径をa、外側導電体2の内径をb、それらの間の空間の比透磁率をμ、比誘電率をεとすると、インピーダンスZは、
Figure 2007220589
で表すことができ、前記ガスの種類や流速などが変化すると、透磁率μや比誘電率εが変化してしまう。
特にマイクロ波発生手段からこのプラズマ発生ノズル5までマイクロ波が導波管によって伝搬され、前記導波管に、プラズマ発生ノズルがマイクロ波の進行方向に複数取付けられる場合には、前記反射波によって導波管内の定在波のパターンが変化してしまい、マイクロ波を捉えられないノズルが発生する可能性がある。
本発明の目的は、ガスの種類や流速などの変化によるプラズマインピーダンスの変化に対して、プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを整合することができるプラズマ発生ノズルおよびプラズマ発生装置ならびにそれを用いるワーク処理装置を提供することである。
本発明のプラズマ発生ノズルは、同心状の内側導電体と外側導電体とを有し、所定の特性インピーダンスを有するプラズマ発生ノズルにおいて、前記内側導電体と外側導電体との間において、いずれかの導電体と同電位とされて配置され、当該プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整するスリーブが脱着可能とされていることを特徴とする。
上記の構成によれば、同心状の内側導電体と外側導電体とを用い、両導電体間にマイクロ波による電界を印加することで、アーク放電ではなく、グロー放電を生じさせてプラズマを発生させるプラズマ発生ノズルにおいて、前記マイクロ波の波長は利用可能な帯域の関係で変化されることは少ないが、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力は変化される可能性がある。そこで、脱着可能なスリーブを用い、このスリーブを前記内側導電体と外側導電体とのいずれかの導電体と同電位となるように配置することで、当該プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整する。
したがって、前記ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力などの変化によるノズルの終端インピーダンス(プラズマインピーダンス)の変化に対して、前記スリーブを脱着および/または適宜種類の異なるものに交換することで、インピーダンス整合を図り、インピーダンスの異なる境界となるノズル先端でのマイクロ波の反射を抑え、受信電力の殆どを消費することができる。
また、本発明のプラズマ発生ノズルでは、前記スリーブは、導電性を有し、前記内側導電体に外嵌めして該内側導電体の外径を拡大するスリーブと、前記外側導電体に内嵌めして該外側導電体の内径を縮小するスリーブとの少なくとも一方であることを特徴とする。
上記の構成によれば、上述のようなプラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整することができるスリーブを具体的に実現することができる。
さらにまた、本発明のプラズマ発生装置は、マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波が導波管を介して伝搬され、プラズマ発生部において、前記のプラズマ発生ノズルが前記導波管に複数個配列して取付けられて成り、前記マイクロ波は、前記プラズマ発生ノズルの前記内側導電体で受信され、前記導波管を介して接地されている前記外側導電体との間でプラズマ化したガスを生成して放出することを特徴とする。
上記の構成によれば、マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波が導波管を介して伝搬され、プラズマ発生部では、前記のプラズマ発生ノズルが前記導波管に複数個配列して取付けられて構成されるプラズマ発生装置では、前記マイクロ波発生手段からのマイクロ波は、導波管に配列された複数の各プラズマ発生ノズルの内側導電体で順に捉えられてプラズマ作成に使用される。
したがって、各プラズマ発生ノズルそれぞれで、前述のように受信電力を完全に消費すると、前述のように反射波(プラズマ発生ノズルの受電手段から導波管内へ再放射されるマイクロ波)の影響は無くなる。このため、ガスの種類や流速などを切換えても、複数個設けられるプラズマ発生ノズルのそれぞれで、前述のようにスリーブによってプラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整することで、導波管内の定在波の位相を調整する必要は無くなり、それぞれのプラズマ発生ノズルで、常に高い効率でマイクロ波を受信することができる。
また、本発明のワーク処理装置は、前記のプラズマ発生装置に、そのプラズマ照射方向とは交差する面上で前記ワークとプラズマ発生ノズルとを相対的に移動させる移動手段を備え、相対的な移動を行いつつ、前記ワークにプラズマを照射して所定の処理を施与することを特徴とする。
上記の構成によれば、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力などの変化によるノズルの終端インピーダンスの変化に対して、プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを整合することができるワーク処理装置を実現することができる。
本発明のプラズマ発生ノズルは、以上のように、同心状の内側導電体と外側導電体とを用い、両導電体間にマイクロ波による電界を印加することで、グロー放電を生じさせてプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生ノズルにおいて、脱着可能なスリーブを用い、このスリーブを前記内側導電体と外側導電体とのいずれかの導電体と同電位となるように配置することで、当該プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整する。
それゆえ、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力などの変化によるノズルの終端インピーダンス(プラズマインピーダンス)の変化に対して、前記スリーブを脱着および/または適宜種類の異なるものに交換することで、インピーダンス整合を図り、インピーダンスの異なる境界となるノズル先端でのマイクロ波の反射を抑え、受信電力の殆どを消費することができる。
さらにまた、本発明のプラズマ発生装置は、以上のように、マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波が導波管を介して伝搬され、プラズマ発生部において、前記のプラズマ発生ノズルが前記導波管に複数個配列して取付けられて成り、前記マイクロ波は、前記プラズマ発生ノズルの前記内側導電体で受電され、前記導波管を介して接地されている前記外側導電体との間でプラズマ化したガスを生成して放出する構造とする。
それゆえ、ガスの種類や流速などを切換えても、複数個設けられるプラズマ発生ノズルのそれぞれで、前述のようにスリーブによってプラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整することで、各プラズマ発生ノズルのそれぞれで受信電力を完全に消費し、反射波の影響は無くなるので、導波管内の定在波の位相を調整する必要は無くなり、それぞれのプラズマ発生ノズルで、常に高い効率でマイクロ波を受信することができる。
また、本発明のワーク処理装置は、以上のように、前記のプラズマ発生装置に、そのプラズマ照射方向とは交差する面上で前記ワークとプラズマ発生ノズルとを相対的に移動させる移動手段を備え、相対的な移動を行いつつ、前記ワークにプラズマを照射して所定の処理を施与する。
それゆえ、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力などの変化によるノズルの終端インピーダンスの変化に対して、プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを整合することができるワーク処理装置を実現することができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係るワーク処理装置Sの全体構成を示す斜視図である。このワーク処理装置Sは、プラズマを発生し被処理物となるワークWに前記プラズマを照射するプラズマ発生ユニットPU(プラズマ発生装置)と、ワークWを前記プラズマの照射領域を経由する所定のルートで搬送する搬送手段Cとから構成されている。図2は、図1とは視線方向を異ならせたプラズマ発生ユニットPUの斜視図、図3は一部透視側面図である。なお、図1〜図3において、X−X方向を前後方向、Y−Y方向を左右方向、Z−Z方向を上下方向というものとし、−X方向を前方向、+X方向を後方向、−Yを左方向、+Y方向を右方向、−Z方向を下方向、+Z方向を上方向として説明する。
プラズマ発生ユニットPUは、マイクロ波を利用し、常温常圧でのプラズマ発生が可能なユニットであって、大略的に、マイクロ波を伝搬させる導波管10、この導波管10の一端側(左側)に配置され所定波長のマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置20、導波管10に設けられたプラズマ発生部30、導波管10の他端側(右側)に配置されマイクロ波を反射させるスライディングショート40、導波管10に放出されたマイクロ波のうち反射マイクロ波がマイクロ波発生装置20に戻らないよう分離するサーキュレータ50、サーキュレータ50で分離された反射マイクロ波を吸収するダミーロード60および導波管10とプラズマ発生ノズル31とのインピーダンス整合を図るスタブチューナ70を備えて構成されている。また搬送手段Cは、図略の駆動手段により回転駆動される搬送ローラ80を含んで構成されている。本実施形態では、平板状のワークWが搬送手段Cにより搬送される例を示している。
導波管10は、アルミニウム等の非磁性金属から成り、断面矩形の長尺管状を呈し、マイクロ波発生装置20により発生されたマイクロ波をプラズマ発生部30へ向けて、その長手方向に伝搬させるものである。導波管10は、分割された複数の導波管ピースが互いのフランジ部同士で連結された連結体で構成されており、一端側から順に、マイクロ波発生装置20が搭載される第1導波管ピース11、スタブチューナ70が組付けられる第2導波管ピース12およびプラズマ発生部30が設けられている第3導波管ピース13が連結されて成る。なお、第1導波管ピース11と第2導波管ピース12との間にはサーキュレータ50が介在され、第3導波管ピース13の他端側にはスライディングショート40が連結されている。
また、第1導波管ピース11、第2導波管ピース12および第3導波管ピース13は、それぞれ金属平板からなる上面板、下面板および2枚の側面板を用いて角筒状に組立てられ、その両端にフランジ板が取付けられて構成されている。なお、このような平板の組み立てによらず、押出し成形や板状部材の折り曲げ加工等により形成された矩形導波管ピースもしくは非分割型の導波管を用いるようにしてもよい。また、断面矩形の導波管に限らず、たとえば断面楕円の導波管を用いることも可能である。さらに、非磁性金属に限らず、導波作用を有する各種の部材で導波管を構成することができる。
マイクロ波発生装置20は、たとえば2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロン等のマイクロ波発生源を具備する装置本体部21と、装置本体部21で発生されたマイクロ波を導波管10の内部へ放出するマイクロ波送信アンテナ22とを備えて構成されている。本実施形態に係るプラズマ発生ユニットPUでは、たとえば1W〜3kWのマイクロ波エネルギーを出力できる連続可変型のマイクロ波発生装置20が好適に用いられる。
図3に示すように、マイクロ波発生装置20は、装置本体部21からマイクロ波送信アンテナ22が突設された形態のものであり、第1導波管ピース11に載置される態様で固定されている。詳しくは、装置本体部21が第1導波管ピース11の上面板11Uに載置され、マイクロ波送信アンテナ22が上面板11Uに穿設された貫通孔111を通して第1導波管ピース11内部の導波空間110に突出する態様で固定されている。このように構成されることで、マイクロ波送信アンテナ22から放出された、たとえば2.45GHzのマイクロ波は、導波管10により、その一端側(左側)から他端側(右側)に向けて伝搬される。
プラズマ発生部30は、第3導波管ピース13の下面板13B(処理対象ワークとの対向面)に、左右方向へ一列に整列して突設された8個のプラズマ発生ノズル31を具備して構成されている。このプラズマ発生部30の幅員、つまり8個のプラズマ発生ノズル31の左右方向の配列幅は、平板状ワークWの搬送方向と直交する幅方向のサイズtと略合致する幅員とされている。これにより、ワークWを搬送ローラ80で搬送しながら、ワークWの全表面(下面板13Bと対向する面)に対してプラズマ処理が行えるようになっている。なお、8個のプラズマ発生ノズル31の配列間隔は、導波管10内を伝搬させるマイクロ波の波長λに応じて定めることが望ましい。たとえば、波長λの1/2ピッチ、1/4ピッチでプラズマ発生ノズル31を配列することが望ましく、2.45GHzのマイクロ波を用いる場合は、λ=230mmであるので、115mm(λ/2)ピッチ、或いは57.5mm(λ/4)ピッチでプラズマ発生ノズル31を配列すればよい。
図4は、2つのプラズマ発生ノズル31を拡大して示す側面図(一方のプラズマ発生ノズル31は分解図として描いている)、図5は、図4のA−A線側断面図である。プラズマ発生ノズル31は、中心導電体32(内部導電体)、ノズル本体33(外部導電体)、ノズルホルダ34、シール部材35、保護管36およびスリーブ39を含んで構成されている。
中心導電体32は、銅、アルミ、真鍮などの良導電性の金属から構成され、φ1〜5mm程度の棒状部材から成り、その上端部321の側が第3導波管ピース13の下面板13Bを貫通して導波空間130に所定長さだけ突出(この突出部分を受電手段である受信アンテナ部320という)する一方で、下端部322がノズル本体33の下端縁331と略面一になるように、上下方向に配置されている。この中心導電体32には、受信アンテナ部320が導波管10内を伝搬するマイクロ波を受信することで、マイクロ波エネルギー(マイクロ波電力)が与えられるようになっている。当該中心導電体32は、長さ方向略中間部において、シール部材35により保持されている。
ノズル本体33は、良導電性の金属から構成され、中心導電体32を収納する筒状空間332を有する筒状体である。また、ノズルホルダ34も良導電性の金属から構成され、ノズル本体33を保持する比較的大径の下部保持空間341と、シール部材35を保持する比較的小径の上部保持空間342とを有する筒状体である。一方、シール部材35は、テフロン(登録商標)等の耐熱性樹脂材料やセラミック等の絶縁性部材から成り、前記中心導電体32を固定的に保持する保持孔351をその中心軸上に備える筒状体から成る。
ノズル本体33は、上方から順に、ノズルホルダ34の下部保持空間341に嵌合される上側胴部33Uと、後述するガスシールリング37を保持するための環状凹部33Sと、環状に突設されたフランジ部33Fと、ノズルホルダ34から突出する下側胴部33Bとを具備している。また、上側胴部33Uには、所定の処理ガスを前記筒状空間332へ供給させるための連通孔333が穿孔されている。
このノズル本体33は、中心導電体32の周囲に配置された外部導電体として機能するもので、中心導電体32は所定の環状空間H(絶縁間隔)が周囲に確保された状態で筒状空間332の中心軸上に挿通されている。ノズル本体33は、上側胴部33Uの外周部がノズルホルダ34の下部保持空間341の内周壁と接触し、またフランジ部33Fの上端面がノズルホルダ34の下端縁343と接触するようにノズルホルダ34に嵌合されている。なお、ノズル本体33は、たとえばプランジャやセットビス等を用いて、ノズルホルダ34に対して着脱自在な固定構造で装着されることが望ましい。
ノズルホルダ34は、第3導波管ピース13の下面板13Bに穿孔された貫通孔131に密嵌合される上側胴部34U(上部保持空間342の位置に略対応する)と、下面板13Bから下方向に延出する下側胴部34B(下部保持空間341の位置に略対応する)とを備えている。下側胴部34Bの外周には、処理ガスを前記環状空間Hに供給するためのガス供給孔344が穿孔されている。図示は省略しているが、このガス供給孔344には、所定の処理ガスを供給するガス供給管の終端部が接続するための管継手等が取り付けられる。かかるガス供給孔344と、ノズル本体33の連通孔333とは、ノズル本体33がノズルホルダ34への定位置嵌合された場合に互いに連通状態となるように、各々位置設定されている。なお、ガス供給孔344と連通孔333との突き合わせ部からのガス漏洩を抑止するために、ノズル本体33とノズルホルダ34との間にはガスシールリング37が介在されている。
これらガス供給孔344および連通孔333は、周方向に等間隔に複数穿孔されていてもよく、また中心へ向けて半径方向に穿孔されるのではなく、前述の特許文献1のように、処理ガスを旋回させるように、前記筒状空間332の外周面の接線方向に穿孔されてもよい。また、ガス供給孔344および連通孔333は、中心導電体32に対して垂直ではなく、処理ガスの流れを良くするために、上端部321側から下端部322側へ斜めに穿設されてもよい。
シール部材35は、その下端縁352がノズル本体33の上端縁334と当接し、その上端縁353がノズルホルダ34の上端係止部345と当接する態様で、ノズルホルダ34の上部保持空間342に保持されている。すなわち、上部保持空間342に中心導電体32を支持した状態のシール部材35が嵌合され、ノズル本体33の上端縁334でその下端縁352が押圧されるようにして組付けられているものである。
保護管36(図5では図示省略している)は、所定長さの石英ガラスパイプから成り、ノズル本体33の筒状空間332の内径に略等しい外径を有する。したがって、後述するスリーブ39が嵌め込まれている場合には、その内径に対応したものが選択される。この保護管36は、ノズル本体33の下端縁331での異常放電(アーキング)を防止して、後述するプルームPを正常に放射させる機能を有しており、その一部がノズル本体33の下端縁331から突出するように、前記筒状空間332に内挿されている。なお、保護管36は、その先端部が下端縁331と一致するように、或いは下端縁331よりも内側へ入り込むように、その全体が筒状空間332に収納されていてもよい。
前記スリーブ39は、導電性を有する前記ノズル本体33の下側胴部33Bと同一の材料から成り、外径が同一で、たとえば図11(b)〜(d)で示すように、内径が相互に異なる複数種類(図11では3種類)の筒体391〜393から成る。前記ノズル本体33の下側胴部33Bは、図11(a)で示すように、これらの筒体391〜393の外径に対応した内径に形成されており、前記下側胴部33Bには、後述するようにこれらの筒体391〜393が適宜選択されて内嵌めされ、或いは何れの筒体391〜393も取付けられずに使用される。
これによって、前記下側胴部33Bの内周面335の内径が縮小可能となり、筒体391〜393が取付けられた場合のその内周面3911〜3931または取付けられない場合の下側胴部33Bの内周面335と前記中心導電体32との間が、前記筒状空間332となる。前記筒体391〜393は、導電性を有する、好ましくは下側胴部33Bと同じ材料から成るビス38によって下側胴部33Bに固着される。なお、筒体391〜393が取付けられない場合も、ビス38のねじ孔336がガス流や電界分布に影響を与えないように、前記ビス38はねじ孔336を閉塞するように取付けられ、この場合、その先端面381は、前記下側胴部33Bの内周面335よりも大きく突出しないように締付けられる。
プラズマ発生ノズル31は上記のように構成されている結果、ノズル本体33、ノズルホルダ34および第3導波管ピース13(導波管10)は導通状態(同電位)とされている一方で、中心導電体32は絶縁性のシール部材35で支持されていることから、これらの部材とは電気的に絶縁されている。したがって、図6に示すように、導波管10がアース電位とされた状態で、受信手段である中心導電体32の受信アンテナ部320でマイクロ波が受信され、該中心導電体32にマイクロ波電力が給電されると、その下端部322およびスリーブ39またはノズル本体33の下端縁331の近傍に電界集中部が形成されるようになる。
かかる状態で、ガス供給孔344から、たとえば酸素ガスや空気のような酸素系の処理ガスが環状空間Hへ供給されると、前記マイクロ波電力により処理ガスが励起されて中心導電体32の下端部322付近においてプラズマ(電離気体)が発生する。このプラズマは、電子温度が数万度であるものの、ガス温度は外界温度に近い反応性プラズマ(中性分子が示すガス温度に比較して、電子が示す電子温度が極めて高い状態のプラズマ)であって、常圧下で発生するプラズマである。
このようにしてプラズマ化された処理ガスは、ガス供給孔344から与えられるガス流によりプルームPとしてノズル本体33の下端縁331から放射される。このプルームPにはラジカルが含まれ、たとえば処理ガスとして酸素系ガスを使用すると酸素ラジカルが生成されることとなり、有機物の分解・除去作用、レジスト除去作用等を有するプルームPとすることができる。本実施形態に係るプラズマ発生ユニットPUでは、プラズマ発生ノズル31が複数個配列されていることから、左右方向に延びるライン状のプルームPを発生させることが可能となる。
因みに、処理ガスとしてアルゴンガスのような不活性ガスや窒素ガスを用いれば、各種基板の表面クリーニングや表面改質を行うことができる。また、フッ素を含有する化合物ガスを用いれば基板表面を撥水性表面に改質することができ、親水基を含む化合物ガスを用いることで基板表面を親水性表面に改質することができる。さらに、金属元素を含む化合物ガスを用いれば、基板上に金属薄膜層を形成することができる。
スライディングショート40は、各々のプラズマ発生ノズル31に備えられている中心導電体32と、導波管10の内部を伝搬されるマイクロ波との結合状態を最適化するために備えられているもので、マイクロ波の反射位置を変化させて定在波パターンを調整可能とするべく第3導波管ピース13の右側端部に連結されている。したがって、定在波を利用しない場合は、当該スライディングショート40に代えて、電波吸収作用を有するダミーロードが取付けられる。
図7は、スライディングショート40の内部構造を示す透視斜視図である。図7に示すように、スライディングショート40は、導波管10と同様な断面矩形の筐体構造を備えており、導波管10と同じ材料で構成された中空空間410を有する筐体部41と、前記中空空間410内に収納された円柱状の反射ブロック42と、反射ブロック42の基端部に一体的に取り付けられ前記中空空間410内を左右方向に摺動する矩形ブロック43と、この矩形ブロック43に組付けられた移動機構44と、反射ブロック42にシャフト45を介して直結されている調整ノブ46とを備えている。
反射ブロック42は、マイクロ波の反射面となる先端面421が第3導波管ピース13の導波空間130に対向するよう左右方向に延在する円柱体である。この反射ブロック42は、矩形ブロック43と同様な角柱状を呈していてもよい。前記移動機構44は、調整ノブ46の回転操作により、矩形ブロック43およびこれと一体化された反射ブロック42を左右方向に推進若しくは後退させる機構であって、調整ノブ46を回転させることで反射ブロック42が中空空間410内において矩形ブロック43にてガイドされつつ左右方向に移動可能とされている。かかる反射ブロック42の移動による先端面421の位置調整によって、定在波パターンが最適化される。なお、調整ノブ46の回転操作を、ステッピングモータ等を用いて自動化することが望ましい。
サーキュレータ50は、たとえばフェライト柱を内蔵する導波管型の3ポートサーキュレータからなり、一旦はプラズマ発生部30へ向けて伝搬されたマイクロ波のうち、プラズマ発生部30で電力消費されずに戻って来る反射マイクロ波を、マイクロ波発生装置20に戻さずダミーロード60へ向かわせるものである。このようなサーキュレータ50を配置することで、マイクロ波発生装置20が反射マイクロ波によって過熱状態となることが防止される。
図8は、サーキュレータ50の作用を説明するためのプラズマ発生ユニットPUの上面図である。図示するように、サーキュレータ50の第1ポート51には第1導波管ピース11が、第2ポート52には第2導波管ピース12が、さらに第3ポート53にはダミーロード60がそれぞれ接続されている。そして、マイクロ波発生装置20のマイクロ波送信アンテナ22から発生されたマイクロ波は、矢印aで示すように第1ポート51から第2ポート52を経由して第2導波管ピース12へ向かう。これに対して、第2導波管ピース12側から入射する反射マイクロ波は、矢印bで示すように、第2ポート52から第3ポート53へ向かうよう偏向され、ダミーロード60へ入射される。
ダミーロード60は、上述の反射マイクロ波を吸収して熱に変換する水冷型(空冷型でも良い)の電波吸収体である。このダミーロード60には、冷却水を内部に流通させるための冷却水流通口61が設けられており、反射マイクロ波を熱変換することにより発生した熱が前記冷却水に熱交換されるようになっている。
スタブチューナ70は、導波管10とプラズマ発生ノズル31とのインピーダンス整合を図るためのもので、第2導波管ピース12の上面板12Uに所定間隔を置いて直列配置された3つのスタブチューナユニット70A〜70Cを備えている。図9は、スタブチューナ70の設置状況を示す透視側面図である。図示するように、3つのスタブチューナユニット70A〜70Cは同一構造を備えており、第2導波管ピース12の導波空間120に突出するスタブ71と、該スタブ71に直結された操作棒72と、スタブ71を上下方向に出没動作させるための移動機構73と、これら機構を保持する外套74とから構成されている。
スタブチューナユニット70A〜70Cに各々備えられているスタブ71は、その導波空間120への突出長が各操作棒72により独立して調整可能とされている。これらスタブ71の突出長は、たとえばマイクロ波電力パワーをモニタしつつ、中心導電体32による消費電力が最大となるポイント(反射マイクロ波が最小になるポイント)を探索することで決定される。なお、このようなインピーダンス整合は、必要に応じてスライディングショート40と連動させて実行される。このスタブチューナ70の操作も、ステッピングモータ等を用いて自動化することが望ましい。
搬送手段Cは、所定の搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ80を備え、図略の駆動手段により搬送ローラ80が駆動されることで、処理対象となるワークWを、前記プラズマ発生部30を経由して搬送させるものである。ここで、処理対象となるワークWとしては、プラズマディスプレイパネルや半導体基板のような平型基板、電子部品が実装された回路基板等を例示することができる。また、平型形状でないパーツや組部品等も処理対象とすることができ、この場合は搬送ローラに代えてベルトコンベア等を採用すればよい。
次に、本実施形態に係るワーク処理装置Sの電気的構成について説明する。図10は、ワーク処理装置Sの制御系を示すブロック図である。この制御系は、CPU(中央演算処理装置)901およびその周辺回路等から成る全体制御部90と、出力インタフェイスや駆動回路等から成るマイクロ波出力制御部91、ガス流量制御部92および搬送制御部93と、表示手段や操作パネル等から成り、前記全体制御部90に対して所定の操作信号を与える操作部95と、入力インタフェイスやアナログ/デジタル変換器等から成るセンサ入力部96,97と、センサ961,971、駆動モータ931および流量制御弁923とを備えて構成される。
マイクロ波出力制御部91は、マイクロ波発生装置20から出力されるマイクロ波のON−OFF制御、出力強度制御を行うもので、前記2.45GHzのパルス信号を生成してマイクロ波発生装置20の装置本体部21によるマイクロ波発生の動作制御を行う。
ガス流量制御部92は、プラズマ発生部30の各プラズマ発生ノズル31へ供給する処理ガスの流量制御を行うものである。具体的には、ガスボンベ等の処理ガス供給源921と各プラズマ発生ノズル31との間を接続するガス供給管922に設けられた前記流量制御弁923の開閉制御乃至は開度調整をそれぞれ行う。
搬送制御部93は、搬送ローラ80を回転駆動させる駆動モータ931の動作制御を行うもので、ワークWの搬送開始/停止、および搬送速度の制御等を行うものである。
全体制御部90は、当該ワーク処理装置Sの全体的な動作制御を司るもので、操作部95から与えられる操作信号に応じて、センサ入力部96から入力される流量センサ961の測定結果、センサ入力部97から入力される速度センサ971によるワークWの搬送速度の測定結果等をモニタし、上記マイクロ波出力制御部91、ガス流量制御部92および搬送制御部93を、所定のシーケンスに基づいて動作制御する。
具体的には、前記CPU901は、メモリ902に予め格納されている制御プログラムに基づいて、ワークWの搬送を開始させてワークWをプラズマ発生部30へ導き、所定流量の処理ガスを各プラズマ発生ノズル31へ供給させつつマイクロ波電力を与えてプラズマ(プルームP)を発生させ、ワークWを搬送しながらその表面にプルームPを放射させるものである。これにより、複数のワークWを連続的に処理する。
上述のように構成されるワーク処理装置Sにおいて、マイクロ波の波長は利用可能な帯域の関係で、たとえば前記2.45GHzなどに固定され、変化されることは少ないが、ガスの種類や流速、プラズマ発生ノズルの消費電力は変化される可能性がある。したがって、前記式1において、受信電力では内側導電体1の外径aや外側導電体2の内径bに変化が生じ、ガスの種類や流速では比透磁率μや比誘電率εに変化が生じ、プラズマ発生ノズル31の先端の終端インピーダンス(プラズマインピーダンス)Z2が変化する。このため、本実施の形態では、プラズマ発生ノズル31の特性インピーダンスZ1を前記終端インピーダンスZ2に一致させるように、脱着可能なスリーブ39を用い、このスリーブ39を外側導電体であるノズル本体33の下側胴部33Bの内径を縮小するように嵌め込み、下側胴部33Bと同電位となるように配置することで、当該プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスZ1を調整する。
調整にあたっては、前記スタブチューナ70の位置で、スタブチューナユニット70A〜70の何れかに代えて、パワーメータを設置し、スライディングショート40の反射ブロック42を移動させることで、前記特性インピーダンスZ1と終端インピーダンスZ2との整合が取れているかどうかを判断して行われる。具体的には、反射ブロック42を移動させてゆくと、各プラズマ発生ノズル31の中心導電体32の受信アンテナ部320と、反射ブロック42の先端面との間の距離が変化するに伴い、導波管10内の定在波のパターンが変化し、それを前記パワーメータで読取る。
前記定在波は、導波管10内に中心導電体32の受信アンテナ部320が存在しない場合には、115mm(=λ/2)周期の正弦波となる。したがって、前記パワーメータで検出すると、図12において参照符号α1で示すように、115mm(=λ/2)周期で、正弦波を全波整流したような波形となる。一方、前記受信アンテナ部320が存在しても、プラズマ発生ノズル31の先端での反射が生じておらず(Z1≒Z2)、受信アンテナ部320による反射が無い場合は、参照符号α2で示すように、前記波形α1に近い緩やかな山形の波形となる。
これに対して、前記受信アンテナ部320が存在し、プラズマ発生ノズル31の先端で反射が生じており(Z1≠Z2)、受信アンテナ部320による反射が有る場合は、図13で示すように、尖鋭なピークを有する波形となる。図13の例は、中心導電体32としてφ=3mmの真鍮の棒を用い、プラズマ発生ノズル31として、57.5mm(=λ/4)ピッチで♯1〜♯4の4つのノズルを設け、♯1のノズルがスタブチューナ70(パワーメータ)側に位置し、♯4のノズルがスライディングショート40側に位置しているものとし、参照符号α3が♯4のノズル位置での波形を示し、参照符号α4が♯2のノズル位置での波形を示している。この図13の例では、前記スタブチューナ70等は、図示していない♯3のノズル位置での定在波が最適となるように調整されている。図12および図13では、距離0が反射ブロック42の先端面(短絡面)である。
したがって、前記ピークを有する波形が、緩やかな山形の波形となるように前記筒体391〜393を交換することで、前記特性インピーダンスZ1と終端インピーダンスZ2とを整合させることができる。実際の調整では、受信電力が決まると、筒体391〜393が決まり、すなわち前記式1におけるbが決まり、これによって前記筒状空間332での処理ガスの流速が変化するけれども、その後に、プルームPの大きさが所望とする大きさとなるように流量を調整すると、前記処理ガスの種類、混合比および流量が決まり、前記数1における比透磁率μおよび比誘電率εも決まることになる。これによって、スタブチューナ70のスタブ71の突出長およびスライディングショート40の反射ブロック42の進退位置が上述の調整によって略決まることになる。なお、用途などに応じて、プラズマ発生ノズル31の長さを変化しても、該プラズマ発生ノズル31の終端が上述のように無反射になれば、該プラズマ発生ノズル31の長さは特性インピーダンスZ1に影響しなくなり、該特性インピーダンスZ1は前記式1で表すことができる。
したがって、前記処理ガスの種類、混合比、流量、受信電力などをパラメータとして、それらがどのような値のときに、最適なスタブ71の突出長、反射ブロック42の進退位置および使用する筒体391〜393がどのようになるのかを、メーカやユーザで予め求めておき、記憶しておくことで、パラメータを変化する毎に、パワー測定を行わなくても、特性インピーダンスZ1と終端インピーダンスZ2とを整合させることができる。具体的には、前記の対応関係を全体制御部90のメモリ内に記憶しておき、パラメータの変化を操作部95の入力手段から入力すると、表示手段に、最適なスタブ71の突出長、反射ブロック42の進退位置および筒体391〜393を表示し、作業者がそれらに応じて調整するようにすればよい。また、前述のように、スタブ71の突出長や反射ブロック42の進退位置を、ステッピングモータなどで駆動する場合には、それらを自動調整してもよい。
以上説明したワーク処理装置Sによれば、ワーク搬送手段CでワークWを搬送しつつ、導波管10に複数個配列して取付けられたプラズマ発生ノズル31からプラズマ化されたガスをワークWに対して放射することが可能であるので、複数の被処理ワークに対して連続的にプラズマ処理を行うことができ、また大面積のワークに対しても効率良くプラズマ処理を行うことができる。したがって、バッチ処理タイプのワーク処理装置に比較して、各種の被処理ワークに対するプラズマ処理作業性に優れるワーク処理装置S若しくはプラズマ発生装置PUを提供することができる。しかも、外界の温度および圧力でプラズマを発生させることができるので、真空チャンバー等を必要とせず、設備構成を簡素化することができる。
また、マイクロ波発生装置20から発生されたマイクロ波を、各々のプラズマ発生ノズル31が備える中心導電体32で受信させ、そのマイクロ波のエネルギーに基づきそれぞれのプラズマ発生ノズル31からプラズマ化されたガスを放出させることができるので、マイクロ波が保有するエネルギーの各プラズマ発生ノズル31への伝達系を簡素化することができる。したがって、装置構成のシンプル化、コストダウン等を図ることができる。
さらに、複数のプラズマ発生ノズル31が一列に整列配置されて成るプラズマ発生部30が、平板状のワークWの搬送方向と直交する幅方向のサイズtに略合致した幅員を有しているので、当該ワークWを、搬送手段Cにより一度だけプラズマ発生部30を通過させるだけで、その全面の処理を完了させることができ、平板状のワークに対するプラズマ処理効率を格段に向上させることができる。また、搬送されて来るワークWに対して同じタイミングでプラズマ化されたガスを放射できるようになり、均質的な表面処理等を行うことができる。
さらにまた、同心状の中心導電体32(内側導電体)とノズル本体33(外側導電体)とを有し、所定の特性インピーダンスZ1を有するプラズマ発生ノズル31において、ノズル本体33の内径をスリーブ39によって調整可能にしたので、処理ガスの種類や流速、該プラズマ発生ノズル31の消費電力などの変化によるノズルの終端インピーダンス(プラズマインピーダンス)Z2の変化に対するインピーダンス整合を可能とし、ノズル先端でのマイクロ波の反射を抑え、受信電力の殆どを消費することができる。
しかも、導波管10にプラズマ発生ノズル31がマイクロ波の進行方向に直列に複数個配列して取付けられている場合、各プラズマ発生ノズル31それぞれで、前述のようにスリーブ39によってプラズマ発生ノズルの特性インピーダンスZ1を調整し、受信電力を完全に消費すると、反射波(プラズマ発生ノズル31の受電アンテナ320から導波管10内へ再放射されるマイクロ波)の影響は無くなり、処理ガスの種類や流速などを切換えても、導波管10内の定在波の位相を調整(スライディングショート40の進退位置の調整)する必要は無くなり、それぞれのプラズマ発生ノズル31で、常に高い効率でマイクロ波を受信することができる。
以上、本発明の一実施形態に係るワーク処理装置Sについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば下記の実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、複数のプラズマ発生ノズル31を一列に整列配置した例を示したが、ノズル配列はワークWの形状やマイクロ波電力のパワー等に応じて適宜決定すればよく、たとえばワークWの搬送方向に複数列プラズマ発生ノズル31をマトリクス整列したり、千鳥配列したりしてもよい。
(2)上記実施形態では、移動手段としてワークWを搬送する搬送手段Cが用いられ、その搬送手段Cとしては搬送ローラ80の上面にワークWを載置して搬送する形態を例示したが、この他に、たとえば上下の搬送ローラ間にワークWをニップさせて搬送させる形態、搬送ローラを用いず所定のバスケット等にワークを収納し前記バスケット等をラインコンベア等で搬送させる形態、或いはロボットハンド等でワークWを把持してプラズマ発生部30へ搬送させる形態であってもよい。或いは、移動手段としてはプラズマ発生ノズル31側を移動させる構成であってもよい。すなわち、ワークWとプラズマ発生ノズル31とは、プラズマ照射方向(Z方向)とは交差する面(X,Y面)上で相対的に移動すればよい。
(3)上記実施形態では、マイクロ波発生源として2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロンを例示したが、マグネトロン以外の各種高周波電源も使用可能であり、また2.45GHzとは異なる波長のマイクロ波を用いるようにしてもよい。
(4)導波管10内におけるマイクロ波電力を測定するために、パワーメータを導波管10の適所に設置することが望ましい。たとえば、マイクロ波発生装置20のマイクロ波送信アンテナ22から放出されたマイクロ波電力に対する反射マイクロ波電力の比を知見するために、サーキュレータ50と第2導波管ピース12との間に、パワーメータを内蔵する導波管を介在させるようにすることができる。
(5)上述の例では、特性インピーダンスZ1を調整するために、ノズル本体33の下側胴部33Bの内径を縮小するスリーブ39が用いられているけれども、図14で示すように、中心導電体32の外径を拡大するスリーブ39’が用いられてもよく、またそれらのスリーブ39,39’が併用されてもよい。図14の例は、取付け易くするために、スリーブ39’は、前記中心導電体32の外径を拡大する筒状部391’と、その一方の端面を閉塞する端板392’とを有し、前記中心導電体32と同一の材料から成る。そして、前記端板392’を中心導電体32の下端部322に締付けるビス38’は、非磁性の絶縁性を有する材料から成る。
本発明に係るワーク処理装置およびプラズマ発生装置は、半導体ウェハ等の半導体基板に対するエッチング処理装置や成膜装置、プラズマディスプレイパネル等のガラス基板やプリント基板の清浄化処理装置、医療機器等に対する滅菌処理装置、タンパク質の分解装置等に好適に適用することができる。
本発明に係るワーク処理装置の全体構成を示す斜視図である。 図1とは視線方向を異ならせたプラズマ発生ユニットの斜視図である。 ワーク処理装置の一部透視側面図である。 2つのプラズマ発生ノズルを拡大して示す側面図(一方のプラズマ発生ノズルは分解図として描いている)である。 図4のA−A線側断面図である。 プラズマ発生ノズルにおけるプラズマの発生状態を説明するための透視側面図である。 スライディングショートの内部構造を示す透視斜視図である。 サーキュレータの作用を説明するためのプラズマ発生ユニットの上面図である。 スタブチューナの設置状況を示す透視側面図である。 ワーク処理装置の制御系を示すブロック図である。 プラズマ発生ノズルの内径を変化することができるスリーブを説明するための斜視図である。 導波管の定在波を説明するための波形図であり、導波管内に受信アンテナが存在しない場合および存在しても受信アンテナによる反射が無い場合を示す。 導波管の定在波を説明するための波形図であり、導波管内に受信アンテナが存在し、それによる反射が有る場合を示す。 本発明の実施の他の形態のスリーブを説明するためのプラズマ発生ノズルの断面図である。 プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを説明するための模式図である。
符号の説明
10 導波管
20 マイクロ波発生装置(マイクロ波発生手段)
30 プラズマ発生部
31 プラズマ発生ノズル
32 中心導電体(内部導電体)
320 受信アンテナ部
33 ノズル本体(外部導電体)
33B 下側胴部
34 ノズルホルダ
344 ガス供給孔(ガス供給部)
36 保護管
39,39’ スリーブ
391〜393 筒体
38 ビス
40 スライディングショート
50 サーキュレータ
60 ダミーロード
70 スタブチューナ
80 搬送ローラ
90 全体制御部
901 CPU
902 メモリ
91 マイクロ波出力制御部
92 ガス流量制御部
921 処理ガス供給源
922 ガス供給管
923 流量制御弁
93 搬送制御部
931 駆動モータ
95 操作部
96,97 センサ入力部
S ワーク処理装置
PU プラズマ発生ユニット(プラズマ発生装置)
C 搬送手段
W ワーク

Claims (4)

  1. 同心状の内側導電体と外側導電体とを有し、所定の特性インピーダンスを有するプラズマ発生ノズルにおいて、
    前記内側導電体と外側導電体との間において、いずれかの導電体と同電位とされて配置され、当該プラズマ発生ノズルの特性インピーダンスを調整するスリーブが脱着可能とされていることを特徴とするプラズマ発生ノズル。
  2. 前記スリーブは、導電性を有し、前記内側導電体に外嵌めして該内側導電体の外径を拡大するスリーブと、前記外側導電体に内嵌めして該外側導電体の内径を縮小するスリーブとの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生ノズル。
  3. マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波が導波管を介して伝搬され、プラズマ発生部において、前記請求項2記載のプラズマ発生ノズルが前記導波管に複数個配列して取付けられて成り、
    前記マイクロ波は、前記プラズマ発生ノズルの前記内側導電体で受信され、前記導波管を介して接地されている前記外側導電体との間でプラズマ化したガスを生成して放出することを特徴とするプラズマ発生装置。
  4. 前記請求項3記載のプラズマ発生装置に、そのプラズマ照射方向とは交差する面上で前記ワークとプラズマ発生ノズルとを相対的に移動させる移動手段を備え、相対的な移動を行いつつ、前記ワークにプラズマを照射して所定の処理を施与することを特徴とするワーク処理装置。
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