JP2007218844A - 光式多ガス濃度検出方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置が安価で簡易に計測ができる光式多ガス濃度検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】レーザ光の変調と掃引をする複数の光源部2の掃引範囲を異ならせ、各光源部2の出力を合波器3の入力に接続し、1つの光源部2のみ選択的に順次稼働させ、合波器3から出力されるレーザ光を光ファイバ6でガスセル5に導き、ガスセル5の透過光を光ファイバ8で受光器7に導き、受光信号から1倍と2倍検波信号を求め、両検波信号の比からなる光源部ごとのガス信号波形を求め、各ガス信号波形から各対象ガスの濃度を求める。
【選択図】図1
【解決手段】レーザ光の変調と掃引をする複数の光源部2の掃引範囲を異ならせ、各光源部2の出力を合波器3の入力に接続し、1つの光源部2のみ選択的に順次稼働させ、合波器3から出力されるレーザ光を光ファイバ6でガスセル5に導き、ガスセル5の透過光を光ファイバ8で受光器7に導き、受光信号から1倍と2倍検波信号を求め、両検波信号の比からなる光源部ごとのガス信号波形を求め、各ガス信号波形から各対象ガスの濃度を求める。
【選択図】図1
Description
本発明は、装置が安価で簡易に計測ができる光式多ガス濃度検出方法及び装置に関する。
ガスを検知するためのセンサとして、半導体式など電気式センサがあるが、センサ近傍に電源設備が必要であり、定期的に校正が必要であり、計測するガス種ごとにセンサが必要であるため、保守性や経済性に問題がある。
これに対し、光を用いるガスセンサがある。ガス分子は、特定波長(吸収帯という)のレーザ光を吸収する性質を持っており、この性質を利用してガスの有無を検出できる。このガス検出方法は、工業計測、公害監視などの分野で用いられる。このレーザ光を光ファイバで伝送することにより、ガスの遠隔検出ができる。
光式ガス濃度検出方法及び装置が特許文献1に記載されている。この技術では、半導体レーザの駆動電流を所定の電流値を中心として高周波数の正弦波で変調することにより、波長及び強度が変調されたレーザ光を発振させる。このレーザ光を光ファイバに入射させガスセルに導き、ガスセル内の未知濃度のガスを透過させて、その透過光を光ファイバで受光器に導き、その受光信号を位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、この1倍検波信号と2倍検波信号の比からなるガス信号を求め、このガス信号から対象ガスの濃度を求めている。
また、図4に示すように、上記の光式ガス濃度検出方法及び装置を用いて種類の異なる複数のガスに光吸収を起こさせるために、波長の異なる光を出す複数個の光源を用いる方式もある。この方式では、光源部101a〜101dからの波長の異なる光を1つの光ファイバ102に結合させて導き、その光をレンズ103で平行光にして空間伝搬させ、ガスセル104に透過させる。ガスセル104を透過した光はグレーティング105により波長に対応した角度で反射して各受光器106a〜106dに到達する。各受光信号を特許文献1の方法で演算することにより、同一ガスセル中に充填された種類が異なる複数のガス(以下、多ガスという)の濃度が同時に計測できる。
図4の光式多ガス濃度検出方法及び装置では、多ガスを検出するために、高価なグレーティング105が必要であり、また、ガスセル104を透過した光を受光器106a〜106dまで空間伝搬させているため、レンズ103、グレーティング105、各受光器106a〜106dの位置調整が困難で時間がかかる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、装置が安価で簡易に計測ができる光式多ガス濃度検出方法及び装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の方法は、レーザ光の波長及び強度を正弦波で変調しつつその変調中心波長を所定の掃引範囲内で直線的に掃引する複数の光源部を、各々掃引範囲を異ならせ、これらの光源部の出力を合波器の入力に接続しておき、いずれか1つの光源部のみ選択的に順次稼働させ、上記合波器から出力されるレーザ光を光ファイバでガスセルに導いてガスセル内の被測定雰囲気中に透過させ、そのガスセルの透過光を光ファイバで受光器に導いて受光し、その受光信号を上記光源部の順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、これら1倍検波信号と2倍検波信号の比からなる上記光源部ごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求めるものである。
本発明の装置は、レーザ光の波長及び強度を正弦波で変調しつつその変調中心波長を所定の掃引範囲内で直線的に掃引する複数の光源部であって、各々掃引範囲を異ならせた光源部と、これらの光源部の出力を入力に接続した合波器と、いずれか1つの光源部のみ選択的に順次稼働させる光源選択部と、上記合波器から出力されるレーザ光をガスセルに導く光源側光ファイバと、ガスセル内の被測定雰囲気中を透過した光を受光器まで導く受光器側光ファイバと、上記受光器で受光した受光信号を上記光源部の順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、これら1倍検波信号と2倍検波信号の比からなる上記光源部ごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求める信号処理部とを備えたものである。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)装置が安価である。
(2)簡易に計測ができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係る光式多ガス濃度検出装置1は、レーザ光の波長及び強度を正弦波で変調しつつその変調中心波長を所定の掃引範囲内で直線的に掃引する複数の光源部2a,2b,2cであって、各々掃引範囲を異ならせた光源部2a,2b,2cと、これらの光源部2a,2b,2cの出力を入力に接続した合波器3と、いずれか1つの光源部2a,2b,2cのみ選択的に順次稼働させる光源選択部4と、上記合波器3から出力されるレーザ光をガスセル5に導く光源側光ファイバ6と、ガスセル5内の被測定雰囲気中を透過した光を受光器7まで導く受光器側光ファイバ8と、受光器7で受光した受光信号を上記光源部2a,2b,2cの順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号K(1f)と2倍検波信号K(2f)を求め、これら1倍検波信号K(1f)と2倍検波信号K(2f)の比からなる上記光源部2a,2b,2cごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求める信号処理部11とを備えたものである。
ガスセル5は、未知濃度の複数種類の対象ガスが充填される容器であり、所望の場所に容易に設置できる。ガスセル5は、光源側光ファイバ6からの入射端と受光器側光ファイバ8への出射端との間に、所定透過光路長を有する。
この実施形態では、ガスセル5は複数箇所に設置される。よって、光合波器3の後段には、合波されたレーザ光を複数に分岐する分岐器9を設け、光源側光ファイバ6と受光器側光ファイバ8と受光器7を、それぞれ複数設ける。
また、光源部側光ファイバ6のうち一つはガスセル5を介さず基準光路用として受光器側光ファイバ8の一つに直接接続される。各受光器側光ファイバ8の出力の光路に、z1,z2,…zn−1,znの識別記号を付す。光路z1は基準光路、光路z2〜znはセンサ光路である。
図1に拡大して示されるように、光源部2a,2b,2cに用いる光源部2は、三角波が繰り返し生じるように電圧を掃引する三角波掃引器21と、その三角波の電圧に比例して電流が増減する直流のバイアス電流を発生させるバイアス電流源22と、交流を遮断してバイアス電流を通過させるインダクタ23と、所定の周波数fを有する変調用交流電流及び電圧を発生させる発信器24と、発信器24の電圧出力から2倍の周波数fを有する電圧を発生させる倍周器25と、直流を遮断して変調用交流電流を通過させるコンデンサ26と、インダクタ23からのバイアス電流とコンデンサ26からの変調用交流電流が重畳して印加されるレーザダイオードであるDFB−LD27と、DFB−LD27を加熱・冷却するペルチェ素子28と、そのペルチェ素子28の温度を制御するペルチェ素子用電源29とを備える。発信器24からの出力Aと倍周器25からの出力は後述する信号処理部に提供される。
光源部2は、変調中心波長を掃引する掃引範囲をそれぞれ異ならせることにより、光式多ガス濃度検出装置1の光源部2a,2b,2cとなる。ただし、説明を簡単にするため、各光源部2a,2b,2cの変調周波数fは同じとする。
光源選択部4は、各光源部2a,2b,2cに対して光源部を1個だけ順に選択するクロックを供給するものである。クロックがOFFの場合には、バイアス電流源22、三角波掃引器21および発信器24からの信号がスイッチ30により遮断され、DFB−LD27に印加されない。クロックがONの場合には、変調電流とバイアス電流とが重畳されてDFB−LD27に印加される。
光源選択部4からのクロックは、信号処理部11にも供給され、このクロックにより後述する計測の順番が与えられる。
信号処理部11は、各受光器側光ファイバ8に接続される複数の受光器7と、その受光信号を光源部2からの出力A,Bを利用して周波数f,2fについて位相敏感検波することにより、1倍検波信号K(1f)と2倍検波信号K(2f)を得る複数の位相検波回路12と、これら1倍検波信号K(1f)と2倍検波信号K(2f)を記憶する信号記憶部13と、信号記憶部13から読み出した信号を演算する演算部14とを備える。演算部14は、光源選択部4からのクロックに基づいて現在選択されている光源部2を認識し、その光源部2について、1倍検波信号と2倍検波信号の比からなるガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求める。この演算の詳細は、以下の動作説明において説明する。
図1の光式多ガス濃度検出装置1において、光源選択部4が各光源部2a,2b,2cに図2に示すようにクロックを送ると、各光源部2a,2b,2cは、順次、クロックの立ち上がりから立ち下がりまでの時間に、以下のレーザ光送信動作を行う。
レーザ光送信動作では、ペルチェ素子用電源29によってペルチェ素子28の温度を制御することにより、DFB−LD27の温度を一定に固定する。バイアス電流源22は、三角波掃引器21が出力する三角波の電圧に比例してバイアス電流を発生させる。これにより、バイアス電流は小さい値から大きい値へ一方向に掃引される。このとき、同時に、発信器24が出力する交流電流、すなわち正弦波状の変調電流をバイアス電流に重畳させてDFB−LD27に印加する。図2には印加電流を三角波+正弦波として示す。各光源部2a,2b,2cでは、変調幅d、変調中心波長λで変調を行い、その変調中心波長λを掃引範囲内で直線的に掃引する。
各光源部2a,2b,2cからのレーザ光を合波器3で合波し、分岐器9で各光源部側光ファイバ6へ分岐させる。レーザ光は、ガスセル5を介さず、あるいは各ガスセル5を透過し、基準光路z1及びセンサ光路z2〜znの受光器側光ファイバ8に導かれて各受光器7に入射する。各受光器7は、受光信号を出力する。レーザ光は、ガスセル5を透過する際に、図2に示した対象ガスGa,Gb,Gcの吸収スペクトルに沿って吸収されるので、ガスセル5を透過したレーザ光の光強度変化を表す受光信号は、図示のように吸収スペクトルの曲線に基づいて変形を受けた波となる。すなわち、図のいちばん左のクロックがON(ハイレベル)の期間に光源部2aからの変調及び掃引されたレーザ光がガスセル5を透過して受光されることにより、受光信号Saが得られ、中央のクロックがONの期間に光源部2bからの変調及び掃引されたレーザ光がガスセル5を透過して受光されることにより、受光信号Sbが得られ、その次のクロックがONの期間に光源部2cからの変調及び掃引されたレーザ光がガスセル5を透過して受光されることにより、受光信号Scが得られる。
信号処理部11では、クロックの立ち上がりから立ち下がりまでの時間ごとに、以下のガス濃度演算動作を行う。
ガス濃度演算動作では、各位相検波回路12が基準光路z1及びセンサ光路z2〜znの受光信号からそれぞれ1倍検波信号K(1f)と2倍検波信号K(2f)を得る。得られた全ての信号は、一時的に信号記憶部13に記憶される。演算部14は、信号記憶部34から読み出した信号を演算する。すなわち、基準光路z1の受光信号について、1倍検波信号z1K(1f)に対する2倍検波信号z1K(2f)の比z1K(2f)/z1K(1f)を計算して図3に示される基準のガス信号を得ると共に、センサ光路z2〜znの受光信号について、1倍検波信号ziK(1f)(iは2〜n)に対する2倍検波信号ziK(2f)の比ziK(2f)/ziK(1f)を計算して対象ガスのガス信号を得る。次いで、基準のガス信号z1K(2f)/z1K(1f)に対する対象ガスのガス信号ziK(2f)/ziK(1f)の差分を計算して波高値判定用信号を得る。
図3の波高値判定用信号は、対象ガスのガス信号から基準のガス信号を差し引くことで、光源部2、合波器3、分岐器9、信号処理部11が持つ波長依存性を除去したものであり、この波高値判定用信号が正確な意味での対象ガスのガス信号である。
演算部14は、この波高値判定用信号の最小値から最大値までの高さである波高値を求める。
その後、演算部14は、この波高値を、あらかじめ既知濃度の基準ガスを用いて求めていた波高値とガス濃度との関係式又は関係表に適用してガス濃度を求める。
以上説明したように、本発明では、レーザ光の変調と掃引をする光源部を2個以上用いて、各々掃引範囲を異ならせ、これらの光源部の出力を合波器の入力に接続しておき、いずれか1つの光源部のみ選択的に順次稼働させ、上記合波器から出力されるレーザ光を光ファイバでガスセルに導いてガスセル内の被測定雰囲気中に透過させ、そのガスセルの透過光を光ファイバで受光器に導いて受光し、その受光信号を上記光源部の順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、これら1倍検波信号と2倍検波信号の比からなる上記光源部ごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求めるようにした。すなわち、複数の光源部の出力を合波できる接続状態で1つの光源部のみ稼働させることで、光路は共有でありながら、波長を時間的に分離し、ガスセルの透過光を光ファイバで受光器に導いて受光するので、高価な光学素子が必要なく、また、複雑な調整が必要なく、しかも安定して複数種類のガス濃度を検出することができる。
なお、前記実施形態では、光源部2を3個用いたが、2個でも、4個以上でも効果があることは言うまでもない。
また、前記実施形態では、信号記憶部13と演算部14をそれぞれ1つだけとし、複数の位相検波回路12からの信号を共通に処理したが、信号記憶部13と演算部14をそれぞれ位相検波回路12と同じ数設けてもよい。
また、前記実施形態では、スイッチ30を用いて、バイアス電流源22、三角波掃引器21および発信器24からの信号がDFB−LD27に印加されないようにしたが、いずれか一つの信号を遮断してもDFB−LD27が所定の波長の光を発光しないため、同様の効果を得ることができる。
1 光式多ガス濃度検出装置
2,2a,2b,2c 光源部
3 合波器
4 光源選択部
5 ガスセル
6 光源側光ファイバ
7 受光器
8 受光器側光ファイバ
2,2a,2b,2c 光源部
3 合波器
4 光源選択部
5 ガスセル
6 光源側光ファイバ
7 受光器
8 受光器側光ファイバ
Claims (2)
- レーザ光の波長及び強度を正弦波で変調しつつその変調中心波長を所定の掃引範囲内で直線的に掃引する複数の光源部を、各々掃引範囲を異ならせ、これらの光源部の出力を合波器の入力に接続しておき、いずれか1つの光源部のみ選択的に順次稼働させ、上記合波器から出力されるレーザ光を光ファイバでガスセルに導いてガスセル内の被測定雰囲気中に透過させ、そのガスセルの透過光を光ファイバで受光器に導いて受光し、その受光信号を上記光源部の順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、これら1倍検波信号と2倍検波信号の比からなる上記光源部ごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求めることを特徴とする光式多ガス濃度検出方法。
- レーザ光の波長及び強度を正弦波で変調しつつその変調中心波長を所定の掃引範囲内で直線的に掃引する複数の光源部であって、各々掃引範囲を異ならせた光源部と、これらの光源部の出力を入力に接続した合波器と、いずれか1つの光源部のみ選択的に順次稼働させる光源選択部と、上記合波器から出力されるレーザ光をガスセルに導く光源側光ファイバと、ガスセル内の被測定雰囲気中を透過した光を受光器まで導く受光器側光ファイバと、上記受光器で受光した受光信号を上記光源部の順番ごとに位相敏感検波して1倍検波信号と2倍検波信号を求め、これら1倍検波信号と2倍検波信号の比からなる上記光源部ごとのガス信号波形を求め、これらガス信号波形からそれぞれの掃引範囲に吸収線を有する複数種類の対象ガスの濃度を求める信号処理部とを備えたことを特徴とする光式多ガス濃度検出装置。
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JP2006042406A JP2007218844A (ja) | 2006-02-20 | 2006-02-20 | 光式多ガス濃度検出方法及び装置 |
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- 2006-02-20 JP JP2006042406A patent/JP2007218844A/ja active Pending
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