JP2007212157A - 光学式測距装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】背景光が強い環境下であり信号光量が微小な場合でも精度の高い測距を行う。
【解決手段】第1差動演算部30は第1蓄積素子23からのAch信号と第2蓄積素子24からのBch信号との差動演算を行う。第2差動演算部32は第3蓄積素子28からのCch信号と第4蓄積素子29からのDch信号との差動演算を行う。こうして、背景光等のノイズ成分を適宜除去して距離計算に必要な信号成分のみを抽出する。また、N個の第1,第2受光素子20,25とN個の第1,第2差動演算部30,32とを設けてN個の第1,第2蓄積差動信号を得、第1,第2加算部31,33で上記N個の第1,第2蓄積差動信号を加算して第1,第2加算信号を得るようにしている。したがって、個々の受光素子20,25で検出される受光信号は小さくとも高速応答が可能な時間内に測距に必要な量の電荷信号を蓄積することができ、測定対象物15が動いていても正確な距離測定を行うことができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、光が射出されてから測定対象物で反射して受光素子で検出されるまでの光の走行時間を計測して、上記測定対象物までの距離を検出する光学式測距装置に関する。
従来より、光の往復時間を測定して測定対象までの距離を算出する方法である所謂TOF(Time Of Flight)法が、測距方法として広く知られている。この測距方法は、光の速度cが3.0×108m/sと既知であるため、その往復時間t1を測定することによって、次式(1)によって対象物までの距離Lを算出する方法である。
L=(c・t1)/2…(1)
上記TOF法における具体的な信号処理方法は種々提案されており、例えば特開平6‐18665号公報(特許文献1)に開示された距離計測装置では、スタートパルス(発光素子と同期)を開始信号とし、ストップパルス(受光信号)が検出されるまで積分器に電荷を蓄積(または放電)し続け、その増加(または減少)量から光の往復時間を検出するようにしている。このように、上記スタートパルスとストップパルスとの間の時間を測定する測定方法としては、例えば、特開平7‐294642号公報(特許文献2)に開示された距離測定装置のように、スタートパルスと同時に基準CLKのパルス数のカウントを開始し、ストップパルスが検出された時のパルス数に基づいて光の往復時間を得るもの等がある。
しかしながら、これらの方法は、何れも受光素子で検出した電流信号をパルス(電圧)信号に変換し、時間情報をパルス波形に持たせた形で信号処理を行っている。一般に、測定対象物は特定されておらず、測定対象物等からの反射光量のダイナミックレンジは非常に大きく、反射光量が小さい場合等の背景光によるノイズ成分の方が大きくなる場合が多々あり得る。このような状況において、背景光によるノイズを除去して適切に信号光パルスを抽出することは非常に困難である。また、環境(主に温度)等の影響によって電圧波形は容易に位相遅延を引き起こす。そのため、時間軸上でのばらつきが非常に大きくなり、何らかの時間補正手段を必要とする。その場合には、回路構成が非常に複雑になり、結果的に製造コストの増大につながってしまう。
これに対し、R.Miyagawaらは、一般的なCCD(電荷結合素子)構造を有するフォトゲートを用いることによって、受光信号を電圧変換する前に光電流を処理することにより距離情報が得られることを発表している(“CCD-Based Range-Finding Sensor”IEEE Transactions on Electron Devices,Vol.44,No10,October,1997,p1648〜1652(非特許文献1))。図9に、R.Miyagawaらが提案しているフォトゲート構造を有する受光器の一例である模式断面図を示す。また、図10には、上記フォトゲート構造の動作を示すタイミングチャートを示す。
図9において、1はP型半導体基板、2はP型半導体基板1と共に受光部を構成するn型半導体層、3はAch(Aチャネル)の電荷蓄積部を構成するn型半導体層、4はBchの電荷蓄積部を構成するn型半導体層である。また、5,6はMOS(金属酸化膜半導体)構造を有するゲートであり、n型半導体層2と電荷蓄積部3とゲート5とでAch側のスイッチングMOSトランジスタ7を形成している。同様に,n型半導体層2と電荷蓄積部4とゲート6とで、Bch側のスイッチングMOSトランジスタ8を構成している。
発光素子(図示せず)は、図10(a)に示すタイミングに従って、光を測定対象物に照射する。測定対象物によって反射された光信号は、図9におけるP型半導体基板1とn型半導体層2とで構成された受光部によって検出され、図10(b)に示すような受光信号となる。その場合、図10(a)と図10(b)との位相関係は、光が測定対象物までの距離を往復する時間(t1)だけ受光信号が遅延している。ここで、Ach側のスイッチングMOSトランジスタ7におけるゲート5を発光信号と同期してオン・オフし、さらにBch側のスイッチングMOSトランジスタ8におけるゲート6をゲート5がオフすると同時にオンするようになっている。この場合、各ゲート5,6に入力されるゲート信号GA,GBにおけるレベル「H」の持続時間は、発光信号におけるレベル「H」の持続時間t0と同じである。
上述のようなタイミングで各スイッチングMOSトランジスタ7,8によるスイッチング動作を行うことによって、Achの電荷蓄積部3には図10(e)に示す時間(t0‐tl)に相当するn型半導体層2からの電荷が蓄積され、Bchの電荷蓄積部4には(tl)に相当するn型半導体層2からの電荷が蓄積される。そして、この動作を複数回繰り返して電荷蓄積部3,4に電荷を蓄積して信号成分(つまり、蓄積電荷)を大きくしてから、この両チャネルの信号を読み出すことによって、例えば両信号の比を計算して測定対象物までの距離を測定することができるのである。
図9に示すフォトゲート構造によれば、光の往復時間に相当する位相遅延量の情報は、蓄積電荷量(強度)として処理される。そのために、例えば温度変化等があっても信号処理の上で位相のばらつきについて考慮する必要はない。したがって、安定した距離の測定が可能になる。
一般の環境下においては、太陽光や照明(蛍光灯など)のような何らかの背景光が存在する。そして、背景光が存在する場合には、図10に示す受光信号波形には背景光が重畳される。背景光の変調周波数はDC(太陽光の場合)から数十kHz(インバータ灯の場合)等多様であるが、一般の生活環境下では精々kHzレベルである。これに対し、上記TOF法は光の速度を用いた遅延時間測定であるので、その周波数は高く、数十MHzレベルを用いるのが一般的である。そのため、受光信号のパルス波形に対して背景光の周波数は十分低く、上記パルス波形の1周期内ではDCと見なすことができる。図11に、背景光がある場合のタイミングチャートを示す。図11(e)および図11(f)に示すように、背景光がある場合には、Achの電荷蓄積部3およびBchの電荷蓄積部4に蓄積される電荷量は、ゲート5,6がオンの持続時間における背景光の分だけ増加している。そのために、Achの電荷蓄積部3およびBchの電荷蓄積部4に蓄積された電荷量を用いて遅延時間t1を求めることはできないのである。
このような問題に対し、特開2004‐294420号公報(特許文献3)に開示された距離画像センサにおいては、上記非特許文献1の場合と同様の構造に加え、さらに電荷蓄積部3,4とは別の電荷蓄積部(図示せず)を設けて、第3の時間帯に背景光のみをモニタすることによって、AchおよびBchの出力から反射信号のみを抽出するようにしている。図12に、そのタイミングチャートを示す。図12に示すように、Achのゲート信号GAとBchのゲート信号GBとに続いて、同じパルス幅t0のゲート信号GCでオンするゲート(図示せず)を有するCchのスイッチングMOSトランジスタ(図示せず)を、上記受光部の周辺に設けている。この場合、ゲート信号GCがオンする時間帯には反射光に基づくパルス信号が存在しないために、背景光のみによる電荷が蓄積され、背景光強度がモニタされる。したがって、これらの3つの蓄積キャリア(強度)から、以下の式(2)を用いて、背景光があるような環境下であっても測定対象物までの距離を求めることができるのである。但し、式(2)中、AはAchの電荷蓄積部3に蓄積された電荷量、BはBchの電荷蓄積部4に蓄積された電荷量、CはCchの(背景光用の)電荷蓄積部に蓄積された電荷量である。
Figure 2007212157
しかしながら、上記特許文献3に開示された距離画像センサにおいては、以下のような問題がある。すなわち、上述したような背景光は、例えば屋外の太陽光下では数十万ルクスにも達し、オフィス等の比較的明るい屋内でも数千ルクスの明るさがある。このような強い背景光によって、例えば受光素子に通常のフォトダイオードを用いた場合には、光学系やその受光面積にもよるが、得られる光電流は、一般的にmAオーダー以上になることは容易に計算できる。これに対し、測定対象物から反射して戻ってくる光の量は測定対象物表面での反射の状態と測定対象物までの距離に大きく依存し、例えば、発光素子に高出力のレーザーダイオード(LD)(数百mW)を用いても、対象物まで数mの距離があると上記受光素子に入射する光量はnW程度まで小さくなる場合がある。
そして、上述のような高出力LD等の発光素子は大きな駆動電流を必要とし、小型の測距装置に適用するのには不適当である。また、目に対する安全性を考慮してクラス1程度の出力条件を満たした場合には、発光間隔が非常に長くなり、測定に要する時間が長くなってしまう。そのために、小型測距装置に適用する発光素子には、一般に使用されるmWから数十mWレベルの出力強度を有するLED(発光ダイオード)やLDを用いるのが好ましい。
このような環境下では、図9における蓄積部3,4に蓄積された電荷のSN比は非常に低く、大部分を占めるノイズ成分の中に微小な信号成分が存在することになる。SN比が小さい電荷信号の中から必要な信号成分を抽出する場合は、できるだけ対象となる信号成分が大きい方が信号増幅の際にノイズに対して強くなる。ところが、蓄積動作回数を多くしたり、受光部面積を大きくしたりして、蓄積電荷量を大きくしてもSN比は変わらず、蓄積部3,4の電荷に対するキャパシティは有限であるため、SN比以上の感度の信号成分を得ることはできないのである。
さらに、微小信号を増幅する場合等は、さらにノイズ等によって誤差が生じるため、SN比が低ければ低い程測定距離の誤差が大きくなってしまうのである。
特開平6‐18665号公報 特開平7‐294642号公報 特開2004‐294420号公報 "CCD-Based Range-Finding Sensor"IEEE Transactions on Electron Devices,Vol.44,No10,October,1997,p1648〜1652
そこで、この発明の課題は、背景光が強い環境下であり信号光量が微小な場合であっても精度の高い測距が可能な光学式測距装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の光学式測距装置は、
繰り返し周波数を有する変調信号に同期して光を送信する送信器と、
上記送信器から送信されて測定対象物で反射された光を受信して、受信した光信号に応じた信号を出力する受信器と、
上記受信器から出力された信号を処理する信号処理部と
を備え、
上記受信器は、同一構造を有するN個の受信部を有し、
上記各受信部は、
受信した光信号を電気信号に変換する受光素子と、
上記受光素子からの電気信号を2つの径路に上記変調信号に同期した所定のタイミングで切り換えるスイッチと、
上記2つの径路のうちの何れか一方に配置されて、上記一方の径路に切り換えられた電気信号を蓄積する第1蓄積素子と、
上記2つの径路のうちの他方に配置されて、上記他方の径路に切り換えられた電気信号を蓄積する第2蓄積素子と
を含み、
上記信号処理部は、
上記第1蓄積素子および上記第2蓄積素子に蓄積された各径路毎の電気信号の差の演算を行う演算部と、
上記演算部による演算結果を加算する加算部と、
上記加算部による加算値を用いて、上記測定対象物までの距離を判定する距離判定部と
を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、受光素子からの電気信号が所定のタイミングで第1蓄積素子と第2蓄積素子とに振り分けられるため、上記両蓄積素子には同量の背景光による電荷が含まれる。この背景光等のノイズ成分は、演算部により上記第1蓄積素子および上記第2蓄積素子に蓄積された電気信号の差の演算を行うことによって適宜除去され、上記演算部からは測定対象物で反射された反射光による信号成分のみが抽出された電気信号が出力される。したがって、上記演算部による演算結果に基づいて、距離判定部によって、背景光が強い環境下であっても高い精度で測距を判定することが可能になる。
強い背景光の環境下で微弱な光信号を検出する場合には、個々の上記蓄積素子は飽和することなく距離の判定に必要な量の電気信号を蓄積する必要がある。上記構成によれば、受信器に同一構造を有するN個の受信部を設け、夫々の受信部から出力される2つの電気信号の差を演算部で演算し、夫々の演算結果を加算部で加算するので、個々の受光素子で受信される光信号は小さくとも、総ての上記蓄積素子には高速応答が可能な時間内に測距に必要な量の電気信号を蓄積することができる。したがって、上記測定対象物が動いている場合等においても正確な距離判定を行うことができる。さらに、個々の上記受光素子で受信される光信号は小さいので、個々の上記蓄積素子は飽和することがない。
すなわち、個々の上記蓄積素子が飽和しない条件下で、上記反射光による信号成分のみを抽出できる測定環境条件を大幅に拡大することができ、背景光が強い環境下であり信号光量が微小な場合であっても精度の高い測距を行うことができるのである。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記受信器は、第1受信器と第2受信器との2つの受信器から成り、
上記第1受信器は、上記各受信部に関して、上記スイッチによって、上記受光素子からの電気信号を第1のタイミングで上記2つの径路に切り換えるようになっており、
上記第2受信器は、上記各受信部に関して、上記スイッチによって、上記受光素子からの電気信号を、上記第1のタイミングとは異なる第2のタイミングで上記2つの径路に切り換えるようになっており、
上記演算部は、上記第1受信器に対応する第1演算部と上記第2受信器に対応する第2演算部との2つの演算部から成り、
上記加算部は、上記第1受信器に対応する第1加算部と上記第2受信器に対応する第2加算部との2つの加算部から成り、
上記距離判定部は、上記第1加算部による加算値と上記第2加算部による加算値とを用いて、上記測定対象物までの距離を判定するようになっている。
この実施の形態によれば、第1のタイミングで動作する第1受信器と第2のタイミングで動作する第2受信器とを備えているので、上記第1受信器によって、光の往復時間の情報が含まれた電気信号を蓄積する一方、上記第2受信器によって、上記測定対象物による反射光の受光信号の強度情報が含まれた電気信号を蓄積することが可能になる。したがって、上記両受信器に蓄積された電気信号に基づいて、上記信号処理部によって、上記反射光の受光信号の強度が未知の場合であり、且つ、背景光が強い環境下であっても、精度良く上記測定対象物までの距離を判定することができるのである。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記演算部は、上記N個の受信部に対応してN個存在している。
この実施の形態によれば、N個の上記受信部に対応してN個の上記演算部を備えているので、個々の受信部が上記電気信号の蓄積を終了した時点で個々の演算部で上記差の演算を行い、総ての演算結果を同時に上記加算部に入力することができる。したがって、距離の判定の高速化を図ることができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記信号処理部は、上記N個の第1蓄積素子のうちの1つに蓄積された電気信号と上記N個の第2蓄積素子のうちの1つに蓄積された電気信号との対を順次選択して出力する1つの選択スイッチを含んでおり、
上記演算部は1つ存在し、上記選択スイッチから出力された一対の電気信号の差を演算するようになっている。
この実施の形態によれば、N個の上記受信部に対して1つの上記演算部を備えており、1つの選択スイッチによって上記N個の第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記N個の第2蓄積素子に蓄積された電気信号との対を順次選択して上記演算部に出力するので、上記演算部の数を1つに低減することができる。したがって、上記信号処理部の小型化およびコストダウンを図ることができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記演算部は、演算増幅器および複数の抵抗を含んで構成されており、
上記複数の抵抗の抵抗値は総て等しくなっている。
この実施の形態によれば、上記演算部を構成する抵抗の抵抗値が総て等しいため、温度変化等によって各抵抗の抵抗値に変化があった場合でも変化の度合いが略等しくなり、上記差の演算の誤差を最小限に止めることができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記加算部は、演算増幅器および複数の抵抗を含んで構成されており、
上記複数の抵抗の抵抗値は総て等しくなっている。
この実施の形態によれば、上記加算部を構成する抵抗の抵抗値が総て等しいため、温度変化等によって各抵抗の抵抗値に変化があった場合でも変化の度合いが略等しくなり、加算演算の誤差を最小限に止めることができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記1つの演算部による演算結果を加算する上記加算部は、積分器を含んで構成されている。
この実施の形態によれば、上記加算部は積分器を含んで構成されているため、上記1つの演算部から順次出力される個々の上記受信部に関する演算結果を加算する際に、入力される演算結果を順次積み上げて加算することができる。したがって、N個の演算結果の上記加算部による加算が終了するまで加算値を保持する保持部を必要とはしない。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記第1受信器の上記受光素子と上記第2受信器の上記受光素子とは、同一平面上に交互に配列されている。
この実施の形態によれば、第1のタイミングで動作する上記第1受信器の受光素子と第2のタイミングで動作する上記第2受信器の受光素子とは、同一平面上に交互に配列されているので、入射光束に光密度の斑等がある場合でも、個々の上記蓄積素子に蓄積される電気信号の斑は上記第1受信器と上記第2受信器とに平均化される。したがって、測定値の誤差を低減することができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記第1受信器における上記受光素子の数と上記第2受信器における上記受光素子の数とは等しくなっている。
この実施の形態によれば、上記第1受信器の受光素子の数と上記第2受信器の受光素子の数とは等しいために、上記両受信器には同等レベルの電気信号が蓄積される。したがって、上記両受信器から出力される電気信号に基づく上記測定対象物までの距離の判定が容易になる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記受信器は、第1のタイミングで上記各スイッチを駆動して上記2つの径路に切り換えて上記各第1蓄積素子および上記各第2蓄積素子に電気信号を蓄積する第1蓄積時間帯と、この第1蓄積時間帯に続いて、第2のタイミングで上記各スイッチを駆動して上記2つの径路に切り換えて上記各第1蓄積素子および上記各第2蓄積素子に電気信号を蓄積するする第2蓄積時間帯とに、分かれて動作するようになっており、
上記信号処理部は、上記第1蓄積時間帯に上記各第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記各第2蓄積素子に蓄積された電気信号との上記演算部による差の演算結果の上記加算部による加算値と、上記第2蓄積時間帯に上記各第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記各第2蓄積素子に蓄積された電気信号との上記演算部による差の演算結果の上記加算部による加算値とを用いて、上記距離判定部によって上記測定対象物までの距離を判定するようになっている。
この実施の形態によれば、1つの受信器に関して、第1蓄積時間帯では第1のタイミングで上記各スイッチを駆動し、第2蓄積時間帯では第2のタイミングで上記各スイッチを駆動して、上記第1蓄積時間帯に上記各蓄積素子に蓄積された電気信号と上記第2蓄積時間帯に上記各蓄積素子に蓄積された電気信号とに基づいて、上記測定対象物までの距離を判定するので、上記第2蓄積時間帯には、上記測定対象物による反射光の受光信号の強度情報が含まれた電気信号を上記各蓄積素子に蓄積することが可能になる。したがって、上記受信器の数を2つにすることなく、上記反射光の受光信号の強度が未知の場合であり、且つ、背景光が強い環境下であっても、精度良く上記測定対象物までの距離を判定することができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記演算部は所定のゲインを有する。
この実施の形態によれば、上記演算部は所定のゲインを有しているため、1つの上記受信部からの2つの電気信号の差の演算結果を増幅することができる。したがって、上記ゲインを有していない場合に比して、高速応答が可能な時間内に距離判定が可能な量の上記演算結果を得るのに必要な上記受信部の数を低減することができる。
また、1実施の形態の光学式測距装置では、
上記N個の受信部における総ての上記受光素子に対して略等しい光密度の信号光を入射させるための光学系を備えている。
この実施の形態によれば、上記N個の受信部における総ての上記受光素子には略等しい光密度の信号光が入射するので、上記各受光部に蓄積される電気信号の量は同等となり、正確な距離の判定が可能になる。
以上より明らかなように、この発明の光学式測距装置は、受光素子からの電気信号を所定のタイミングで第1蓄積素子と第2蓄積素子とに振り分けて上記両蓄積素子には同量の背景光による電荷が含まれた電気信号を蓄積し、演算部によって上記第1蓄積素子および上記第2蓄積素子に蓄積された電気信号の差の演算を行うので、上記背景光等のノイズ成分は上記演算によって適宜除去されて、上記演算部からは測定対象物で反射された反射光による信号成分のみが抽出された電気信号が出力される。したがって、上記演算部による演算結果に基づいて、距離判定部によって、背景光が強い環境下であっても高い精度で測距を判定することできる。
さらに、受信器に同一構造を有するN個の受信部を設け、夫々の受信部から出力される2つの電気信号の差を演算部で演算し、夫々の演算結果を加算部で加算するので、個々の受光素子で受信される光信号は小さくても、総ての上記蓄積素子には高速応答が可能な時間内に測距に必要な量の電気信号を蓄積することができる。したがって、上記測定対象物が動いている場合等においても正確な距離判定を行うことができる。さらに、個々の上記受光素子で受信される光信号は小さいので、個々の上記蓄積素子は飽和することがない。
すなわち、この発明によれば、背景光が強い環境下であり、信号光量が微小な場合であっても、上記測定対象物までの距離を高い精度で判定することができるのである。
また、この発明の光学式測距装置は、上記受信器を、第1のタイミングで動作する第1受信器と第1のタイミングで動作する第2受信器で構成し、上記演算部および上記加算部を、上記第1受信器に対応する第1演算部および第1加算部と上記第2受信器に対応する第2演算部および第2加算部とで構成し、上記距離判定部を、上記第1加算部による加算値と上記第2加算部による加算値とを用いて上記測定対象物までの距離を判定するようにすれば、上記第2受信器によって、上記測定対象物による反射光の受光信号の強度情報が含まれた電気信号を蓄積することが可能になる。したがって、上記反射光の受光信号の強度が未知の場合であり、且つ、背景光が強い環境下であっても、精度良く上記測定対象物までの距離を判定することができる。
また、この発明の光学式測距装置は、N個の上記受信部に対して1つの上記演算部を備え、1つの選択スイッチによって上記N個の第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記N個の第2蓄積素子に蓄積された電気信号との対を順次選択して上記演算部に出力するようにすれば、上記演算部の数を1つに低減することができる。したがって、上記信号処理部の小型化およびコストダウンを図ることができる。
また、この発明の光学式測距装置は、上記受信器を、第1蓄積時間帯では第1のタイミングで上記スイッチを駆動し、上記第1蓄積時間帯に続く第2蓄積時間帯では第2のタイミングで上記スイッチを駆動して、上記第1蓄積時間帯に上記各蓄積素子に蓄積された電気信号と、上記第2蓄積時間帯に上記各蓄積素子に蓄積された電気信号とに基づいて、上記信号処理部によって上記測定対象物までの距離を判定するようにすれば、上記第2蓄積時間帯には、上記測定対象物による反射光の受光信号の強度情報が含まれた電気信号を上記各蓄積素子に蓄積することが可能になる。したがって、上記受信器の数を2つにすることなく、上記反射光の受光信号の強度が未知の場合であり、且つ、背景光が強い環境下であっても、精度良く上記測定対象物までの距離を判定することができる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の光学式測距装置におけるブロック図である。また、図2は、図1に示す光学式測距装置の動作を示すタイミングチャートである。以下、図1および図2に従って本実施の形態における光学式測距装置について説明する。
図1に示すように、本光学式測距装置は、測定対象物15に向かって光ビーム18を発射する送信器11と、上記測定対象物15で反射された光ビーム19を検出する第1受信器12aおよび第2受信器12bと、第1受信器12aおよび第2受信器12bからの検出信号を処理する信号処理部13とで、概略構成される。
上記送信器11は、所定の繰り返し周波数を有する変調信号を出力する変調信号発生器16と、変調信号に同期した光信号を出射する発光素子17とを有している。そして、変調信号発生器16からの変調信号は、タイミング回路14に入力されて、同一周波数で目的に応じて異なるデューティを有する変調信号に変換される。尚、発光素子17は、高速の変調信号に応答可能で安価なLEDやLDが好ましく、測定すべき距離範囲や環境条件等によって適宜選択される。
上記第1受信器12aは、N個の第1受光素子201〜20Nと、N個の第1スイッチ211〜21Nと、N個の第2スイッチ221〜22Nと、N個の第1蓄積素子231〜23Nと、N個の第2蓄積素子241〜24Nとを有している。
そして、上記第1受光素子201〜20N(第1受光素子20と総称する)は、測定対象物15によって反射された光ビーム19を受信して電気信号に変換する。また、第1スイッチ211〜21N(第1スイッチ21と総称する)および第2スイッチ221〜22N(第2スイッチ22と総称する)は、タイミング回路14からの第1周波数の変調信号を受けて、第1受光素子201〜20Nによる検出信号(受光信号=パルス信号+ノイズ信号)を所定のタイミングで第1経路(Ach)と第2経路(Bch)との2つの経路に切り換える。また、第1経路(Ach)の第1蓄積素子231〜23N(第1蓄積素子23と総称する)には、第1受光素子201〜20Nから第1経路(Ach)側に流れた受光信号の電荷が蓄積される。また、第2経路(Bch)の第2蓄積素子241〜24N(第2蓄積素子23と総称する)には、第1受光素子201〜20Nから第2経路(Bch)側に流れた受光信号の電荷が蓄積される。
同様に、上記第2受信器12bは、N個の第2受光素子251〜25N(第2受光素子25と総称する)と、N個の第3スイッチ261〜26N(第3スイッチ26と総称する)と、N個の第4スイッチ271〜27N(第4スイッチ27と総称する)と、N個の第3蓄積素子281〜28N(第3蓄積素子28と総称する)と、N個の第4蓄積素子291〜29N(第4蓄積素子29と総称する)とを有している。そして、第3経路(Cch)の第3蓄積素子281〜28Nには、第2受光素子251〜25Nから第3経路(Cch)側に流れた受光信号の電荷が蓄積される。また、第4経路(Dch)の第4蓄積素子291〜29Nには、第1受光素子201〜20Nから第4経路(Dch)側に流れた受光信号の電荷が蓄積される。
尚、上記第3スイッチ26および第4スイッチ27は、タイミング回路14からの第2周波数の変調信号を受けて経路の切り換えを行う。
すなわち、上記「第1受光素子201,第1スイッチ211,第2スイッチ221,第1蓄積素子231および第2蓄積素子241」、…、「第1受光素子20N,第1スイッチ21N,第2スイッチ22N,第1蓄積素子23Nおよび第2蓄積素子24N」の夫々で、第1受信器12a側の上記受光部を構成する。また、「第2受光素子251,第3スイッチ261,第4スイッチ271,第3蓄積素子281および第4蓄積素子291」、…、「第2受光素子25N,第3スイッチ26N,第4スイッチ27N,第3蓄積素子28Nおよび第4蓄積素子29N」の夫々で、第2受信器12b側の上記受光部を構成するのである。
上記信号処理部13は、N個の第1差動演算部301〜30N(第1差動演算部30と総称する)と、第1加算部31と、N個の第2差動演算部321〜32N(第2差動演算部32と総称する)と、第2加算部33と、距離判定部34とを有している。
そして、上記第1差動演算部301〜30Nは、第1蓄積素子231〜23Nと第2蓄積素子241〜24Nとからの電荷信号の差動演算を行う。また、第1加算部31は、第1差動演算部301〜30NからのN個の差動演算値を加算する。また、第2差動演算部321〜32Nは、第3蓄積素子281〜28Nと第4蓄積素子291〜29Nとからの電荷信号の差動演算を行う。また、第2加算部33は、第2差動演算部321〜32NからのN個の差動演算値を加算する。また、距離判定部34は、第1加算部31および第2加算部33の出力に基づいて測定対象物15までの距離を判定する。
上記構成を有する光学式測距装置は、以下のように動作して測定対象物15までの距離を測定する。
上記送信器11の変調信号発生器16から出力された変調信号がタイミング回路14に入力されて、第1デューティの第1変調信号と第2デューティの第2変調信号とに変換される。そして、第1変調信号は、発光素子17と第1スイッチ21と第2スイッチ22とに入力され、第2変調信号は、第3スイッチ26と第4スイッチ27とに入力される。
そうすると、上記タイミング回路14からの第1変調信号に同期して、発光素子17によって測定対象物15に向かって光ビーム18が発射される。ここで、上記第1変調信号は、図2(a)に示すように、パルス幅t0のパルスを一定の繰り返し周波数で繰り返すパルス波である。但し、上記第1変調信号はパルス波に限定されるものではなく、三角波や鋸派等の時間を関数として表せる波形を有する信号であれば、本光学式測距装置の機能を得ることができる。尚、以下の説明はパルス波であるとして行う。また、パルス波以外の変調信号についての詳細は後述する。
上記測定対象物15によって反射された光ビーム19は、第1受信器12aにおけるN個の第1受光素子201〜20Nおよび第2受信器12bにおけるN個の第2受光素子251〜25Nによって検出される。その場合、光ビーム19は、図2(b)に示すように、測定対象物15までの距離を光ビーム18,19が往復する時間(t1)だけ第1変調信号よりも位相遅延して検出される。ここで、図2(b)中における「Ip」は、第1受光素子20および第2受光素子25による光電変換によって発生した反射光の光ビーム19による電流信号(以下、パルス信号と言う)の強度を表す。また、「Ib」は、背景光による電流信号(ノイズ信号)の強度を表している。
今、測距可能な範囲を7.5mとすると、上記式(1)より、発光信号のパルス幅t0は50nsec必要であることが容易に分かる。さらに、背景光は精々数十kHz程度であるためその周期は数十μsec程度であり、上記パルス幅50nsecに対して十分大きい。そのために、図2に示すように、上記発光信号のパルス幅t0の時間長においては、背景光はDC光であると見なすことができる。
その後、上記第1受光素子201〜20Nによる検出信号(受光信号=パルス信号+ノイズ信号)は、第1スイッチ211〜21Nおよび第2スイッチ221〜22Nによって経路が第1経路(Ach)と第2経路(Bch)とに切り換えられ、第1受光素子201〜20Nから第1経路(Ach)側に流れた受光信号は第1蓄積素子231〜23Nに入力される。一方、第1受光素子201〜20Nから第2経路(Bch)側に流れた受光信号は第2蓄積素子241〜24Nに入力される。
ここで、上記第1スイッチ21および第2スイッチ22は、図2(c)および図2(d)に示すように、上記発光信号と同じタイミングによってオン・オフ制御される。尚、図2(c)および図2(d)中における第1開閉信号SAは第1スイッチ211〜21N用の制御信号であり、第2開閉信号SBは第2スイッチ221〜22N用の制御信号であり、共にタイミング回路14から供給される。そして、第1経路(Ach)の第1蓄積素子231〜23Nの夫々には、図2(e1)〜図2(eN)に示すように、図2(a)に示す第1変調信号の1周期当たり(Ip(t0−tl)+Ib・t0)の電荷が蓄積される。同様に、第2経路(Bch)の第2蓄積素子241〜24Nには、図2(f1)〜図2(fN)に示すように、第1変調信号の1周期当たり(Ip・tl+Ib・t0)の電荷が蓄積される。
尚、上記第1受光素子20,第1蓄積素子23および第2蓄積素子24は、夫々N個ずつ設けられており、図2(e1)〜図2(eN)に示すように、N個の第1蓄積素子23は総て同じ波形のAch信号を出力する。同様に、図2(f1)〜図2(fN)に示すように、N個の第2蓄積素子24は総て同じ波形のBch信号を出力する。このように、本実施の形態の光学式測距装置においては、N個の第1受光素子20が同じ受光信号を出力するように、送信器11には、第1受光素子201〜20Nに総て同じ光強度の光ビーム19が入射されるような光学系が備えられているのである。
こうして上記第1蓄積素子23および第2蓄積素子24に蓄積された電荷は、Ach信号およびBch信号として、信号処理部13を構成する上記演算部としての第1差動演算部30に入力される。そして、各第1差動演算部301〜30Nによって、第1蓄積素子231〜23NからのAch信号と第2蓄積素子241〜24NからのBch信号との差の演算(差動演算)が行われる。このようにして、各第1差動演算部30毎に、蓄積回数nを用いて以下の式(3)で表される第1蓄積差動信号が得られるのである。
第1蓄積差動信号=n・{Ip(t0−t1)+Ib・t0}−n・(Ip・tl+Ib・t0)
=n・Ip(t0−2t1) …(3)
以上のごとく、本実施の形態においては、上記各第1差動演算部30によって、各第1蓄積素子23からのAch信号と各第2蓄積素子24からのBch信号とに基づいて、式(3)によって第1蓄積差動信号を得るようにしている。このように、Ach信号とBch信号との差動演算を行うことによって、背景光等のノイズ成分を適宜除去して測定対象物15までの距離計算に必要な信号成分のみを抽出して蓄積することができる。したがって、十分な電荷信号量になるように上記蓄積回数nを設定することによって、距離判定部34で、上記式(3)を用いて測定対象物15まで光ビーム18,19が往復する時間t1を算出し、さらに上記式(1)を用いて測定対象物15までの距離Lを算出することが可能になる。
しかしながら、上述したように、測定対象物15での反射光量は一般に非常に微弱になる場合があり、上記n回の電荷蓄積のみによって必要な信号量を得る場合には、非常に多くの蓄積回数nを要し、測定対象物15までの距離を一回測定するのに時間が掛かってしまう。したがって、測定対象物15が動いている場合等、距離測定を一定の時間内に終了しなければならない場合には、正確な距離測定を行うことができないことになる。
尚、一回の電荷蓄積で電荷信号量を大きくするには、個々の受光素子(各受光素子20)の面積を大きくすることが考えられる。ところが、上記受光素子の面積を大きくした場合にはその容量(キャパシタンス)が増大するため、応答速度が低下してしまうことになる。上述したように、本光学式測距装置の各素子には、数十nsecのパルスを正確に切り替える程度の高速応答が求められるのであるが、上記受光素子の面積を大きくした場合には上記高速応答が不可能になる。
そこで、本実施の形態においては、上記第1受信器12aにはN個の第1受光素子201〜20Nを設け、信号処理部13にはN個の第1差動演算部301〜30Nを設けて、N個の第1蓄積差動信号を得るようにしている。そして、このN個の第1蓄積差動信号が入力される第1加算部31によって、N個の第1蓄積差動信号が加算された第1加算信号を得るようにしている。式(4)に第1加算信号を示す。
第1加算信号=N・n・Ip(t0−2t1) …(4)
このように第1加算信号を得ることによって、各第1受光素子201〜20Nは十分な高速応答が可能になる。さらに、各第1受光素子201〜20Nから電気的(回路上)に加わるランダムノイズは第1加算部31で平均化されるため、ノイズ成分を増大させることなく信号成分のみを積み重ねることが可能になるのである。
ところで、上述しようにして、上記式(3)や式(4)を用いて測定対象物15まで光ビーム18,19が往復する時間t1を算出できるのは、発光素子17としてレーザ等のコヒーレント光を用いて光のエネルギーを分散させずに出射し、測定対象物15としてミラーを用いることによって、出射したエネルギーを殆ど損失せずに第1受光素子201〜20Nで受光できる場合に限られる。このような場合には、出射エネルギーと受光エネルギーとは等しくなるので、受光信号強度Ipを予め測定しておくことによって、式(3)や式(4)を用いて発光素子17からレーザが出射されてから第1受光素子20で受光されるまでの時間t1を算出し、得られた時間t1に基づいて式(1)を用いて測定対象物15までの距離Lを算出することができるのである。
しかしながら、一般に、上記測定対象物15が不特定の場合には、第1受光素子201〜20Nに入射する光強度は様々であり、上記式(3)や式(4)中のIpは不明である。そこで、本実施の形態においては、第2受信器12bを設けることによって、以下のようにして、測定対象物15からの反射光の受光信号強度Ipが未知であっても、測定対象物15までの距離を測定可能にするのである。
上記第2受信器12bにおけるN個の第2受光素子251〜25Nによる検出信号は、図2(g)および図2(h)に示すように、図2(a)に示す発光信号に同期したパルス幅2t0の第3開閉信号SCおよび第4開閉信号SDによってオン・オフが制御されるN個の第3スイッチ261〜26NとN個の第4スイッチ271〜27Nとによって、第3経路(Cch)と第4経路(Dch)とに切り換えられる。ここで、上述のように、タイミング回路14から第3スイッチ26および第4スイッチ27に入力される第2変調信号(第3,第4開閉信号SC,D)は、図2(c)および図2(d)に示す第1変調信号(第1,第2開閉信号SA,B)の2倍のパルス幅を有している。
上記第2受光素子251〜25Nから第3経路(Cch)側に流れた受光信号は第3蓄積素子281〜28Nに入力される。一方、第2受光素子251〜25Nから第4経路(Dch)側に流れた受光信号は第4蓄積素子291〜29Nに入力される。そして、第3経路(Cch)の第3蓄積素子281〜28Nには、図2(i1)〜図2(iN)に示すように、図2(a)に示す変調信号の2周期当たり(Ip・t0+Ib・2t0)の電荷が蓄積される。同様に、第4経路(Dch)の第4蓄積素子291〜29Nには、図2(j1)〜図2(jN)に示すように、上記変調信号の2周期当たり(Ib・2t0)の電荷が蓄積される。
尚、上記第2受光素子25,第3蓄積素子26および第4蓄積素子27は、夫々N個ずつ設けられており、図2(i1)〜図2(iN)に示すように、N個の第3蓄積素子26は総て同じ波形のCch信号を出力する。同様に、図2(j1)〜図2(jN)に示すように、N個の第4蓄積素子27は総て同じ波形のDch信号を出力する。ここで、送信器11には、第1受光素子201〜20Nおよび第2受光素子251〜25Nに総て同じ光強度の光ビーム19が入射されるような光学系が設けられている。
ここで、上記第1受信器12aおよび第2受信器12bにおける総ての受光素子の出力を同等にするために、第1受信器12aを構成するN個の第1受光素子201〜20Nと、第2受信器12bを構成するN個の第2受光素子251〜25Nとは、図3に示すように、2次元的に交互に配置されている。こうすることによって、ビームスポット35に光密度の斑がある場合でも、各第1受光素子201〜20Nおよび各第2受光素子251〜25Nから出力される受光信号の斑は、第1受信器12aと第2受信器12bとに平均化されるので好ましい。尚、上記光学系と受光素子の配置とに関する説明は、以後の他の実施の形態の場合においても同様に成り立つ条件であり、以後の他の実施の形態においては説明を省略する。
こうして上記第3蓄積素子28および第4蓄積素子29に蓄積された電荷は、Cch信号およびDch信号として、信号処理部13を構成する第2差動演算部32に入力される。そして、各第2差動演算部321〜32Nによって、第3蓄積素子281〜28NからのCch信号と第4蓄積素子291〜29NからのDch信号との上記差動演算が行われる。このようにして、各第2差動演算部32毎に、蓄積回数nを用いて以下の式(5)で表される第2蓄積差動信号が得られる。
第2蓄積差動信号=n・(Ip・t0+Ib・2t0)−n・(Ib・2t0)
=n・Ip・t0 …(5)
以上のように、本実施の形態においては、上記第3経路および第4経路に関する第3スイッチ26と第4スイッチ27とのスイッチング時間を、上記第1経路および第2経路に関する第1スイッチ21と第2スイッチ22とのスイッチング時間の2倍にしている。こうすることによって、第2蓄積差動信号の値は、蓄積回数nとスイッチング時間t0とが既知であるため、背景光が除去されると共に、受光信号強度Ipのみに依存した形をとることになる。
上記第2受信器12bには、上記第1受信器12aの場合と同様にN個の第2受光素子251〜25Nを設け、信号処理部13にはN個の第2差動演算部321〜32Nを設けて、N個の第2蓄積差動信号を得るようにしている。そして、このN個の第2蓄積差動信号が入力される第2加算部33によって、N個の第2蓄積差動信号が加算された第2加算信号を得るようにしている。式(6)に第2加算信号を示す。
第2加算信号=N・n・Ip・t0 …(6)
このように第2加算信号を得ることによって、第1加算信号の場合と同様に、各第2受光素子251〜25Nから電気的(回路上)に加わるランダムノイズは第2加算部33で平均化されるため、ノイズ成分を増大させることなく信号成分のみを積み重ねることが可能になる。
上記第1加算部31からの出力信号(第1加算信号)と上記第2加算部33からの出力信号(第2加算信号)とは、距離判定部34に入力される。そして、この距離判定部34によって、第1加算信号S1と第2加算信号S2との比が算出され、この比の値を用いて、下記の式(7)に従って、測定対象物15までの距離Lが得られるのである。
尚、式(7)は、以下のようにして導き出される。すなわち、
S1/S2=N・n・Ip(t0−2t1)/N・n・Ip・t0
=(t0−2t1)/t0
よって、
Figure 2007212157
となる。したがって、このt1を式(1)に代入して、
Figure 2007212157
が得られる。
次に、上記第1差動演算部30,第2差動演算部32,第1加算部31および第2加算部33の具体的構成について説明する。
一般に用いられる差動演算器としては、図4あるいは図5に示すような回路が用いられる。図4に示す差動演算器では、各抵抗R1〜R4の抵抗値の関係が
R1=R3 且つ R2=R4
である場合に、出力電圧Voutと2つの入力電圧Vin1,Vin2との関係は、
Vout=R2/R1・(Vin2−vin1)
で表される。
また、図5に示す差動演算器では、各抵抗R1〜R6の抵抗値の関係が
R1=R2 且つ R3=R5 且つ R4=R6
である場合に、出力電圧Voutと2つの入力電圧Vin1,Vin2との関係は、
Vout=R4/R3・(1+2R1/R0)・(Vin2−Vin1)
で表される。
図4および図5に示すような差動演算器は、一般には半導体素子を用いて構成されている。したがって、その周辺素子である抵抗素子をオペアンプ等を構成するトランジスタ等と同一半導体基板上に作成することによって上記差動演算器を高密度で集積でき、上記差動演算器全体を小型化することが可能になる。しかしながら、半導体プロセスで形成される抵抗はその抵抗値の温度による変化が大きいという問題がある。
このような場合には、総ての抵抗素子を同一構造で同一抵抗値に形成し、総ての抵抗値の温度特性が同等となるようにすることによって、各抵抗値の比(例えばR2/R1等)は総て「1」となるので、上記式においてR1=R2=R3=R4=R0=Rとした場合には、図4に示す差動演算器における出力電圧Voutと2つの入力電圧Vin1,Vin2との関係は、
Vout=(Vin2−Vin1) …(8)
となる。また、図5に示す差動演算器の出力電圧Voutと2つの入力電圧Vin1,Vin2との関係は、
Vout=3・(Vin2−Vin1) …(9)
となる。その結果、抵抗値がどのような変化をしても差動演算器の演算結果が一定となるようにすることができるのである。
さらに、上記式(9)においては、係数に「3」が付いているため、式(8)に比して増幅効果も有しており、微小信号に対して有利な差動演算器となっている。
使用環境によっては、さらに微弱信号の検出が必要となる場合がある。そのような場合には、上記抵抗素子をオペアンプ等が構成されている半導体素子と同一半導体基板上に形成せずに、例えば温度特性の優れたセラミック抵抗等をプリント基板上で実装することにより、さらに大きな増幅度を得ることができる。尚、この増幅度は使用環境に合わせて選択されるべきであるが、検出すべき光量の範囲が大きい場合には、増幅度を可変にすることによって対応することもできる。
また、一般に用いられる加算器としては、図6に示すような回路が用いられる。図6中におけるN個の入力Vinには、第1差動演算部30あるいは第2差動演算部33のN個の出力が入力される。この加算器におけるN個の入力電圧Vin1〜VinNと出力電圧Voutとの関係は、
Vout=−(R0/R1・Vin1+R0/R2・Vin2+…+R0/RN・VinN)
と表すことができる。そして、上述の差動演算器の場合と同様に、同一抵抗値を有する同一構造の抵抗素子をオペアンプ等が構成されている半導体素子と同一半導体基板上に形成することによって、上記式は、
Vout=−N・(Vin1+Vin2+…+VinN)…(10)
のように表すことができる。その結果、抵抗値がどのような変化をしても加算器の演算結果が一定となるようにすることができるのである。
上述した抵抗値に関する扱いは以後の実施の形態においても同様に成り立つものであるが、重複するため以後の実施の形態においては説明を省略する。
以上のごとく、本実施の形態においては、上記第1差動演算部30によって、上記第1蓄積素子23からのAch信号と第2蓄積素子24からのBch信号との差動演算を行うようにしている。また、第2差動演算部32によって、第3蓄積素子28からのCch信号と第4蓄積素子29からのDch信号との差動演算を行うようにしている。したがって、背景光等のノイズ成分を適宜除去し、測定対象物15までの距離計算に必要な信号成分のみを抽出して蓄積することができる。したがって、上記差動演算の結果をn回積算することによって、第1,第2差動演算部30,32からは、距離計算に十分な電荷量の蓄積差動信号を得ることができるのである。
その際に、上記第3スイッチ26および第4スイッチ27における開閉時間を、上記発光信号のパルス幅t0の2倍に設定している。したがって、Cch信号には、反射光の光ビーム19によるパルス信号全体が含まれることになり、Cch信号とDch信号との差動演算を行うことによって、受光信号強度Ipのみに依存した第2蓄積差動信号を得ることができる。その結果、距離判定部34によって、受光信号強度Ipが未知の場合であり、且つ、背景光が強い環境下であっても、精度良く測定対象物15までの距離Lを測定することができる。
さらに、上記第1受信器12aにはN個の第1受光素子201〜20Nを設け、信号処理部13にはN個の第1差動演算部301〜30Nを設けて、N個の第1蓄積差動信号を得るようにしている。また、第2受信器12bにはN個の第2受光素子251〜25Nを設け、信号処理部13にはN個の第2差動演算部321〜32Nを設けて、N個の第2蓄積差動信号を得るようにしている。そして、第1加算部31によって上記N個の第1蓄積差動信号を加算して第1加算信号を得る一方、第2加算部33によって上記N個の第2蓄積差動信号を加算して第2加算信号を得るようにしている。したがって、個々の受光素子20,25で検出される受光信号は小さくとも高速応答が可能な時間内に測距に必要な量の電荷信号を蓄積することができ、測定対象物15が動いている場合等においても正確な距離測定を行うことができる。さらに、各第1受光素子201〜20Nおよび各第2受光素子251〜25Nから電気的(回路上)に加わるランダムノイズを第1加算部31および第2加算部33で平均化させることができ、ノイズ成分を増大させることなく信号成分のみを積み重ねることが可能になる。
さらに、個々の受光素子20,25で検出される受光信号は小さいので、個々の受光素子20,25からの受光信号の電荷を蓄積する個々の蓄積素子23,24,28,29の容量は特別に大きな容量を必要とはしない。
・第2実施の形態
この実施の形態は、上記第1実施の形態における光学式測距装置よりも差動演算部の数を削減することができる光学式測距装置に関する。以下、本光学式測距装置について詳細に説明する。
図7は、本実施の形態における光学式測距装置のブロック図である。図7において、図1に示す上記第1実施の形態における光学式測距装置と同じ構成には、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。すなわち、送信器11,第1受信器12aおよび第2受信器12bは、図1に示す上記第1実施の形態における送信器11,第1受信器12aおよび第2受信器12bと同じ構成を有しており、図2に示すタイミングチャートに従って動作する。
本光学式測距装置においては、信号処理部13の内部構成において、上記第1実施の形態とは異なる。
上記信号処理部13は、第5スイッチ41,第1差動演算部42,第1加算部43,第1保持部44,第6スイッチ45,第2差動演算部46,第2加算部47,第2保持部48および距離判定部49を有している。
上記選択スイッチである上記第5スイッチ41は、上記N個の第1蓄積素子231〜23NからのAch信号とN個の第2蓄積素子241〜24NからのBch信号とが入力されて、先ず第1蓄積素子231からのAch信号と第2蓄積素子241からのBch信号とを選択して、第1差動演算部42に出力する。次に、第1蓄積素子232からのAch信号と第2蓄積素子242からのBch信号とを選択して、第1差動演算部42に出力する。以下、同様にして各第1蓄積素子23からのAch信号と各第2蓄積素子24からのBch信号との対を順次選択して第1差動演算部42に出力し、最後に第1蓄積素子23NからのAch信号と第2蓄積素子24NからのBch信号とを選択して、第1差動演算部42に出力する。
上記第1差動演算部42は、上記第5スイッチ41から順次入力されるAch信号とBch信号との上記差動演算を行う。そして、第1差動演算部42によって順次演算された差動演算値は順次第1加算部43によって加算され、加算値が第1保持部44に保持される。
同様に、上記選択スイッチである上記第6スイッチ45は、各第3蓄積素子28からのCch信号と各第4蓄積素子29からのDch信号との対を順次選択して第2差動演算部46に出力する。そうすると、第2差動演算部46は、上記第6スイッチ45から順次入力されるCch信号とDch信号との上記差動演算を行う。そして、第2差動演算部46によって順次演算された差動演算値は順次第2加算部47によって加算され、加算値が第2保持部48に保持される。
ここで、上記第1蓄積素子23に蓄積されるAch信号は、図2に示すAch信号と同じ波形を有する。また、第2蓄積素子24に蓄積されるBch信号は、図2に示すBch信号と同じ波形を有する。また、第3蓄積素子28に蓄積されるCch信号は、図2に示すCch信号と同じ波形を有する。また、第4蓄積素子29に蓄積されるDch信号は、図2に示すDch信号と同じ波形を有する。
上記第1蓄積素子231〜23Nと第2蓄積素子241〜24Nとに対する規定の蓄積動作が完了すると、第5スイッチ41は、1番目の第1,第2蓄積素子231,241からN番目の第1,第2蓄積素子23N,24Nまでの各蓄積素子からの電荷信号の対を、順次一定時間毎に後段の第1差動演算部42に入力する。そして、上記第1差動演算部42によって、上記一定時間間隔で入力された両信号の差が計算され、その結果が第1加算部43で加算されて第1保持部44に保持される。
ここで、上記第1加算部43と第1保持部44との組み合わせは、例えば、図6に示す加算器においてN=2としたものとサンプルホールド回路とで構成することができる。そして、第1差動演算部42から順次送られてくる差動演算結果をVin1に入力し、Vin2には、上記サンプルホールド回路等で構成される第1保持部44のホールド信号を入力することにより、時間差のあるデータの積算が可能になる。
また、上記第1加算部43と第1保持部部44とは、図8に示すような一般的な積分器で構成してもよい。この場合、Vin1に順次入力される差動演算結果(電圧信号)は抵抗Rで電流に変換され、容量Cで積算される。このような積分器を用いることによって、最も簡単な構成で第1加算部43と第1保持部44とを構成することができる。
また、上記第6スイッチ45のスイッチング動作、第2差動演算部46の差動演算、第2加算部47の加算動作、および、第2保持部48の保持動作は、上述した第5スイッチ41から第1保持部44までの一連の動作と同じであるから、説明を省略する。
こうして、上記第1差動演算部42および第2差動演算部46による差動演算結果の加算値が第1保持部44および第2保持部48に保持されると、上記第1保持部44からの出力信号(第1加算信号)と上記第2保持部48からの出力信号(第2加算信号)とは、距離判定部49に入力される。そして、この距離判定部49によって、上記第1実施の形態の場合と同様に、第1加算信号S1と第2加算信号S2との比が算出され、この比の値を用いて、上記式(7)に従って、測定対象物15までの距離Lが得られるのである。
以上のごとく、本実施の形態における光学式測距装置においては、上記第5スイッチ41によって、1番目のA,Bch信号からN番目のA,Bch信号までの電荷信号の対を順次第1差動演算部42に入力し、上記電荷信号の対における差動演算を第1差動演算部42で行い、その演算結果を第1加算部43で加算して第1保持部44に保持する。同様に、第6スイッチ45によって、1番目のC,Dch信号からN番目のC,Dch信号までの電荷信号の対を順次第2差動演算部46に入力し、上記電荷信号の対における差動演算を第2差動演算部46で行い、その演算結果を第2加算部47で加算して第2保持部48に保持するようにしている。したがって、差動演算部の数を大幅に低減することができ、信号処理部13の小型化を図ることができるのである。
尚、上記各実施の形態においては、第1のタイミングで動作する第1受光器12aと第2のタイミングで動作する第2受光器12bとの両方を有する光学式測距装置を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、1つの受光器を有し、その受光器のスイッチによって、先ず、第1のタイミングで動作して第1,第2蓄積素子に対する蓄積動作を行い、一旦その蓄積結果を別の保持部等に保存する。次に、上記スイッチによって、第2のタイミングで動作して上記第1,第2蓄積素子に対する蓄積動作を行うのである。ことすることによって、目的の距離演算を行うのに必要な蓄積電荷信号を、1つの受光器によって得ることが可能である。その場合における、基本的な動作の説明は、上記各実施の形態と重複するので省略する。
また、上記各実施の形態においては、上記第3スイッチ26および第4スイッチ27のスイッチング時間を、上記発光信号のパルス幅t0の2倍に設定している。しかしながら、この発明は、パルス幅t0の2倍に限定されるものではなく、パルス幅t0の2倍以上であればCch信号およびDch信号に反射光の光ビーム19によるパルス信号の全体が含まれることになり、同様の効果を奏することができる。しかしながら、上記第3スイッチ26および第4スイッチ27のスイッチング時間がパルス幅t0の2倍よりも長い場合には、単に背景光等のノイズ成分の電荷蓄積量が多くなるだけである。したがって、第3スイッチ26および第4スイッチ27のスイッチング時間は、上記発光信号のパルス幅t0の2倍が最も好ましいのである。
また、上記各実施の形態においては、上記発光素子17に印加される変調信号としてパルス波を用いている。これは、上記変調信号がパルス波の場合には上記受光信号の波形もパルス波となり、反射信号光受光時における受光信号は同じ受光信号強度(一定値)を持続することになる。その結果、Ach〜Dchの各信号の電荷蓄積量は測定対象物15までの距離Lに比例して変化することになり、測距可能範囲内の全域において各信号の電荷蓄積量と距離Lとにリニアリティ(線形性)を呈するのである。したがって、距離の測定精度を測距範囲全体で一定にすることができるからである。
これに対し、上記変調信号として三角波や鋸波を用いた場合には、上記受光信号の波形は時間の1次関数となり、Ach〜Dchの各信号の電荷蓄積量は時間の2次関数となる。その結果、測距範囲において測定精度に粗密が生ずることになる。したがって、上記変調信号としてパルス波を用いるか三角波や鋸波を用いるかを、用途に応じて適宜の使い分けるのが好ましい。
また、上記各実施の形態においては、上記送信器11の変調信号発生器16から出力された変調信号はタイミング回路14に入力されて、第1デューティの第1変調信号と第2デューティの第2変調信号とに変換される。そして、第1変調信号は、発光素子17と第1スイッチ21と第2スイッチ22とに入力され、第2変調信号は、第3スイッチ26と第4スイッチ27とに入力されるようにしている。
しかしながら、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記変調信号発生器16からは第1デューティの第1変調信号が発光素子17と第1スイッチ21と第2スイッチ22とタイミング回路14とに入力される。そして、発光素子17と第1スイッチ21と第2スイッチ22とは第1変調信号によって動作する。一方、タイミング回路14は、上記第1変調信号を第2デューティの第2変調信号に変換して、第3スイッチ26と第4スイッチ27とに入力する。そして、第3スイッチ26と第4スイッチ27とを第2変調信号によって動作するようにしても差し支えない。
また、上記各実施の形態においては、上記第1受光素子20からの受光信号を第1経路と第2経路と切り換えるスイッチとして、例えばMOSトランジスタのようにオン・オフ動作する第1スイッチ21と第2スイッチ22とを対応する経路に設けている。同様に、第2受光素子25からの受光信号を第3経路と第4経路と切り換えるスイッチとして、オン・オフ動作する第3スイッチ26と第4スイッチ27とを対応する経路に設けている。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、1つの入力を2つの出力位置および中立位置のうちの何れかの位置に切り換えるスイッチを、第1経路と第2経路との分岐点および第3経路と第4経路との分岐点に設けるようにしても差し支えない。
この発明の光学式測距装置におけるブロック図である。 図1に示す光学式測距装置の動作を示すタイミングチャートである。 図1における第1受信器の第1受光素子20と第2受信器の第2受光素子25との配置例を示す図である。 図1における第1,第2差動演算部を構成する差動演算器の回路図である。 図4とは異なる差動演算器の回路図である。 図1における第1,第2加算部部を構成する加算器の回路図である。 図1とは異なる光学式測距装置におけるブロック図である。 図7における加算部および保持部部を構成する積分回路の回路図である。 フォトゲート構造を有する受光器の一例を示す模式断面図である。 図9に示すフォトゲートの動作を示すタイミングチャートである。 図10において背景光がある場合のタイミングチャートである。 従来の距離画像センサの動作を示すタイミングチャートである。
符号の説明
11…送信器、
12a…第1受信器、
12b…第2受信器、
13…信号処理部、
14…タイミング回路、
15…測定対象物、
16…変調信号発生器、
17…発光素子、
18,19…光ビーム、
201〜20N…第1受光素子、
211〜21N…第1スイッチ、
221〜22N…第2スイッチ、
231〜23N…第1蓄積素子、
241〜24N…第2蓄積素子、
251〜25N…第2受光素子、
261〜26N…第3スイッチ、
271〜27N…第4スイッチ、
281〜28N…第3蓄積素子、
291〜29N…第4蓄積素子、
301〜30N,42…第1差動演算部、
31,43…第1加算部、
321〜32N,46…第2差動演算部、
33,47…第2加算部、
34,49…距離判定部、
35…ビームスポット、
41…第5スイッチ、
44…第1保持部、
45…第6スイッチ、
48…第2保持部。

Claims (12)

  1. 繰り返し周波数を有する変調信号に同期して光を送信する送信器と、
    上記送信器から送信されて測定対象物で反射された光を受信して、受信した光信号に応じた信号を出力する受信器と、
    上記受信器から出力された信号を処理する信号処理部と
    を備え、
    上記受信器は、同一構造を有するN個の受信部を有し、
    上記各受信部は、
    受信した光信号を電気信号に変換する受光素子と、
    上記受光素子からの電気信号を2つの径路に上記変調信号に同期した所定のタイミングで切り換えるスイッチと、
    上記2つの径路のうちの何れか一方に配置されて、上記一方の径路に切り換えられた電気信号を蓄積する第1蓄積素子と、
    上記2つの径路のうちの他方に配置されて、上記他方の径路に切り換えられた電気信号を蓄積する第2蓄積素子と
    を含み、
    上記信号処理部は、
    上記第1蓄積素子および上記第2蓄積素子に蓄積された各径路毎の電気信号の差の演算を行う演算部と、
    上記演算部による演算結果を加算する加算部と、
    上記加算部による加算値を用いて、上記測定対象物までの距離を判定する距離判定部と
    を含むことを特徴とする光学式測距装置。
  2. 請求項1に記載の光学式測距装置において、
    上記受信器は、第1受信器と第2受信器との2つの受信器から成り、
    上記第1受信器は、上記各受信部に関して、上記スイッチによって、上記受光素子からの電気信号を第1のタイミングで上記2つの径路に切り換えるようになっており、
    上記第2受信器は、上記各受信部に関して、上記スイッチによって、上記受光素子からの電気信号を、上記第1のタイミングとは異なる第2のタイミングで上記2つの径路に切り換えるようになっており、
    上記演算部は、上記第1受信器に対応する第1演算部と上記第2受信器に対応する第2演算部との2つの演算部から成り、
    上記加算部は、上記第1受信器に対応する第1加算部と上記第2受信器に対応する第2加算部との2つの加算部から成り、
    上記距離判定部は、上記第1加算部による加算値と上記第2加算部による加算値とを用いて、上記測定対象物までの距離を判定するようになっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  3. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記演算部は、上記N個の受信部に対応してN個存在している
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  4. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記信号処理部は、上記N個の第1蓄積素子のうちの1つに蓄積された電気信号と上記N個の第2蓄積素子のうちの1つに蓄積された電気信号との対を順次選択して出力する1つの選択スイッチを含んでおり、
    上記演算部は1つ存在し、上記選択スイッチから出力された一対の電気信号の差を演算するようになっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  5. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記演算部は、演算増幅器および複数の抵抗を含んで構成されており、
    上記複数の抵抗の抵抗値は総て等しくなっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  6. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記加算部は、演算増幅器および複数の抵抗を含んで構成されており、
    上記複数の抵抗の抵抗値は総て等しくなっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  7. 請求項1,請求項2あるいは請求項4の何れか一つに記載の光学式測距装置において、
    上記1つの演算部による演算結果を加算する上記加算部は、積分器を含んで構成されている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  8. 請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記第1受信器の上記受光素子と上記第2受信器の上記受光素子とは、同一平面上に交互に配列されている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  9. 請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記第1受信器における上記受光素子の数と上記第2受信器における上記受光素子の数とは等しくなっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  10. 請求項1に記載の光学式測距装置において、
    上記受信器は、第1のタイミングで上記各スイッチを駆動して上記2つの径路に切り換えて上記各第1蓄積素子および上記各第2蓄積素子に電気信号を蓄積する第1蓄積時間帯と、この第1蓄積時間帯に続いて、第2のタイミングで上記各スイッチを駆動して上記2つの径路に切り換えて上記各第1蓄積素子および上記各第2蓄積素子に電気信号を蓄積するする第2蓄積時間帯とに、分かれて動作するようになっており、
    上記信号処理部は、上記第1蓄積時間帯に上記各第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記各第2蓄積素子に蓄積された電気信号との上記演算部による差の演算結果の上記加算部による加算値と、上記第2蓄積時間帯に上記各第1蓄積素子に蓄積された電気信号と上記各第2蓄積素子に蓄積された電気信号との上記演算部による差の演算結果の上記加算部による加算値とを用いて、上記距離判定部によって上記測定対象物までの距離を判定するようになっている
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  11. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記演算部は所定のゲインを有する
    ことを特徴とする光学式測距装置。
  12. 請求項1あるいは請求項2に記載の光学式測距装置において、
    上記N個の受信部における総ての上記受光素子に対して略等しい光密度の信号光を入射させるための光学系を備えた
    ことを特徴とする光学式測距装置。
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JP2010008093A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Toshiba Corp 赤外線撮像装置および赤外線撮像方法

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