JP2007210566A - 空気入りランフラットラジアルタイヤ - Google Patents

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真人 小田
Masafumi Wakiyama
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Abstract

【課題】乗り心地性能等の実車性能を損なうことなく、高速耐久性能の大幅な向上を図ったサイド補強タイプの空気入りランフラットラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】カーカス5と、カーカス5のクラウン部外周側に、少なくとも2層の傾斜ベルト層からなる主ベルト8と、主ベルト8によって補強されるトレッド部9と、トレッド部の両端部に位置するバットレス部11と、バットレス部11とビード部2の間を連結するサイドウォール部12と、略三日月状の断面形状を有する補強ゴム層13と、を備える空気入りランフラットラジアルタイヤである。少なくともバットレス部11にわたるカーカス5の外周面上に、タイヤ周方向に帯状に延びる低ロスゴム層14が配設され、低ロスゴム層14の損失正接(tanδ)値が0.1〜0.2の範囲内である。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ内圧の異常低下又はパンク時におけるランフラット走行が可能である、いわゆるサイド補強タイプの空気入りランフラットラジアルタイヤに関し、より詳細には、高速走行時の耐久性の向上を図った空気入りランフラットラジアルタイヤ(以下「ランフラットタイヤ」とも略記する)に関する。
タイヤ内圧の異常低下やパンクした場合であっても、ある程度の距離の走行が可能であるタイヤ、いわゆるランフラットタイヤは、通常の舗装路面を走行するサマータイヤ等で数多く提案されており、それを大別すると、中子タイプとサイド補強タイプの2種類のタイプに分類される。
中子タイプは、リム組みしたタイヤ内に支持体を内蔵したランフラットタイヤである。かかる支持体は、内圧の異常低下またはパンクしたときにだけ、タイヤ内面と接触して、潰れたタイヤをその内面側から支持できるように構成したものであり、これによって、ランフラット走行を可能にしたものである。
しかしながら、かかるランフラットタイヤは、タイヤのリム組み時に支持体を組み込まなければならないため、リム組み作業性が悪く、重量及びコストの上昇を招くという問題があり、加えて、製法等を含めた煩雑さの問題もあった。
このような中子タイプの問題点をすべて解消し得るサイド補強タイプのランフラットタイヤは、少なくともサイドウォール部に位置するカーカスの内面側に、比較的硬質なゴムからなる補強ゴム層を配設し、内圧の異常低下またはパンクしたときに、補強ゴム層によって補強された両サイドウォール部を変形しにくくしてこれらサイドウォール部で荷重を支持し、これによって、ランフラット走行を可能にしたものである(例えば、特許文献1)。
かかるサイド補強タイプのランフラットタイヤは、補強ゴム層の配設によりビード部からサイドウォール部にわたるタイヤ部位では十分に補強がなされているため、ランフラット走行時においても、かかるタイヤ部位での故障は生じにくいものの、高速耐久性能の面で必ずしも十分とはいえなかった。そこで、従来、かかるランフラットタイヤにおいては高速耐久性能を高めるために、(1)トレッドゴムやサイドゴムのゲージ厚や分布を調整する、(2)タイヤ周方向のベルト張力を調整する、(3)タイヤ幅方向にベルト幅を広げる、などの手法がとられてきた。
特開2000−309211号公報
しかしながら、高速耐久性を改善するための従来の手法は、夫々以下のような問題点があった。即ち、上記(1)のようにトレッドゴムやサイドゴムのゲージ厚や分布を調整する方法では、タイヤの接地形状が変化してしまうため、実車性能が変わってしまうという問題があった。また、上記(2)のように、タイヤ周方向のベルト張力を調整する方法においても同様の問題があった。さらに、上記(3)のように、タイヤ幅方向にベルト幅を広げる方法では、タイヤショルダー部の剛性が高くなってしまうことが原因で外部入力が増大し、乗心地性能が悪化するという問題があった。
そこで本発明の目的は、乗り心地性能等の実車性能を損なうことなく、高速耐久性能の大幅な向上を図ったサイド補強タイプの空気入りランフラットラジアルタイヤを提供することにある。
走行時、タイヤは、トレッド部とサイドウォール部との連結点であるバットレス部からサイド幅最大位置の間にかけて最も大きく変形する。この歪により発生する熱が高速走行時にタイヤ故障の大きな原因となる。本発明者は、特にサイド補強型ランフラットタイヤの場合、この大歪発生部分のゲージが非常に厚いため、熱が溜まりやすいことに着目して鋭意検討した結果、当該大歪発生位置に低ロスゴム層を配設することによりその位置での発熱を抑えることができ、高速耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りランフラットラジアルタイヤは、対をなすビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間で略ラジアル配列されたコードを有する少なくとも1枚のプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部外周側に、タイヤ赤道面に対し傾斜して延びるコードを平行配列した少なくとも2層の傾斜ベルト層からなる主ベルトと、該主ベルトによって補強されるトレッド部と、該トレッド部の両端部に位置するバットレス部と、該バットレス部とビード部の間を連結するサイドウォール部と、少なくとも該サイドウォール部にわたるカーカスの内面側に配置され、略三日月状の断面形状を有する補強ゴム層と、を備える空気入りランフラットラジアルタイヤにおいて、
少なくとも前記バットレス部にわたる前記カーカスの外周面上に、タイヤ周方向に帯状に延びる低ロスゴム層が配設され、該低ロスゴム層の損失正接(tanδ)値が0.1〜0.2の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明の空気入りランフラットラジアルタイヤにおいては、以下の好適実施形態とすることができる。
(1)前記低ロスゴム層のタイヤ軸方向外側の端部が少なくとも前記バットレス部よりも外側に位置する。
(2)前記低ロスゴム層の厚みが0.1mm〜0.5mmである。
(3)前記主ベルトのタイヤ径方向外側面上の少なくとも両端部にベルト保護層が配設されている。
(4)前記低ロスゴム層のタイヤ径方向外側面上に、トレッドゴム端部、主ベルト端部およびベルト保護層端部が配置され、かつ、これら端部から前記低ロスゴム層のタイヤ軸方向外側端まで少なくとも10mm以上の幅を有する。
(5)前記低ロスゴム層が、タイヤ軸方向断面から見て、幅方向両端部が中央部より薄い不均一厚さを有する。
本発明によれば、サイド補強タイプのランフラットタイヤにおいて、乗り心地性能等の実車性能を損なうことなく、高速耐久性能の大幅な向上を図ることができる。
以下、本発明の好適実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の好適実施形態に係るランフラットタイヤの代表的な幅方向半断面を示すものである。図1に示すランフラットタイヤ1は、対をなすビード部2にそれぞれ埋設されたビードコア3間で略ラジアル配列(具体的には、タイヤ赤道面Eに対し70〜90°の角度で配列)されたコードを有する少なくとも1枚のプライ(図示例では1枚)をビードコア3及びビードフィラー4の周りに内側から外側へ折り返して形成したカーカス5を有している。
また、このタイヤ1においては、カーカス5のクラウン部6の外周側に、タイヤ赤道面Eに対し傾斜して延びるコードを平行配列した少なくとも2層の傾斜ベルト層(図示例では、2層の傾斜ベルト層7a,7b)からなる主ベルト8によって補強されたトレッド部9が配設されている。
主ベルト8は、それを構成する傾斜ベルト層のうち、少なくとも2層の傾斜ベルト層7a,7bが、コードが互いにタイヤ赤道面Eを挟んで交差するように積層した交差ベルトを構成することが好ましい。
尚、トレッド部9には、図示は省略したが、一般タイヤと同様、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝、及び/又は、該周方向溝を横断する方向に延びる複数本の横断溝等のトレッド溝や、複数本のサイプなどが用途に応じて適宜配設されている。
また、図1では、主ベルト8とトレッド部9の間に、コードがタイヤ赤道面Eと実質的に平行に配列されたベルト保護層10を主ベルト8のほぼ全幅を覆うように設けた場合を示してある。このベルト保護層10は、ベルト端セパレーションに起因するタイヤ故障を防止するために設けられ、必要に応じて適宜配設することができ、少なくとも主ベルト8の両端部に配設されていればよい。
トレッド部9の両端部にはバットレス部11が連結され、バットレス部11とビード部2の間に、これらを連結するサイドウォール部12を設けてある。
また、少なくともサイドウォール部12にわたるカーカス5の内面側には、略三日月状の断面形状を有する補強ゴム層13が配設されており、いわゆるサイド補強タイプのランフラットタイヤの構造を備えている。
本発明においては、走行時、タイヤのバットレス部11からサイド幅最大位置の間にかけての大歪発生部分である、少なくともバットレス部11にわたるカーカスの外周面上に、タイヤ周方向に帯状に延びる低ロスゴム層14が配設されていることが肝要である。かかる大歪発生部分はゲージが非常に厚いため、熱が溜まりやすく、よって、当該大歪発生位置に低ロスゴム層14を配設することにより発熱を抑え、結果として、高速耐久性の向上を図ることができる。低ロスゴム層14の損失正接(tanδ)値は、0.1〜0.2、好ましくは0.15〜0.18の範囲内とする。この値が0.2を超えると発熱抑制効果が十分とはいえなくなる。なお、低ロスゴム層14の損失正接(tanδ)値は、東洋精機製作所製のスペクトロメーターを用い、幅5mmの試験片について、歪4%、周波数52Hz、温度25℃の条件で測定した値である。
本発明において、所望の効果を得る上で、低ロスゴム層14のタイヤ軸方向外側端16が少なくともバットレス部11よりも外側にあることが好ましい。また、低ロスゴム層14の厚みは、好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲内である。この厚みが0.1mm未満であると発熱抑制効果が十分とはいえず、一方、0.5mmを超えると、サイドゴム層に対する低ロスゴム層14の割合が高くなることで、バットレス部の剛性確保が困難となる。
また、本発明においては、低ロスゴム層14のタイヤ径方向外側面上に、トレッド部9の端部、主ベルト8の端部およびベルト保護層10の端部が夫々配置され、即ち、これら端部のタイヤ軸方向内側に低ロスゴム層14のタイヤ軸方向内側端15が配置され、かつ、これら端部から低ロスゴム層14のタイヤ軸方向外側端16まで少なくとも10mm以上の幅があることが好ましい。これにより、大歪発生位置の発熱を効果的に抑制することが可能となる。
さらに、低ロスゴム層14は、図示するように、幅方向両端15,16が中央部より薄い不均一厚さとすることが好ましく、これにより低ロスゴム層14の両端部の段差を小さくすることができる。
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例)
実施例のタイヤは、図1に示すタイヤ幅方向断面を有し、タイヤサイズが235/45R17 E050BZであるランフラットタイヤであり、コードがラジアル配列された1枚のプライからなるラジアルカーカス5の内面側に補強ゴム層13を備える。このランフラットタイヤのバットレス部11にわたるラジアルカーカス5の外周面上に、低ロスゴム層14を配設した。
この低ロスゴム層14のタイヤ軸方向外側端16は、バットレス部11よりも外側に配置し、トレッド部9の端部、主ベルト8の端部およびベルト保護層10の端部からタイヤ当該軸方向外側端16まで12mmの幅とした。また、低ロスゴム層14のタイヤ軸方向内側端15は、トレッド部9の端部、主ベルト8の端部およびベルト保護層10の端部よりタイヤ軸方向内側に配置した。さらに、低ロスゴム層14の厚みは、幅方向両端部が中央部より薄い不均一厚さとし、中央部の厚みは0.3mm、両端部の厚みは0.2mmとした。その他のタイヤ構造については、一般的な空気入りラジアルタイヤと同様とした。
なお、この低ロスゴム層14の損失正接(tanδ)値は0.16であり、東洋精機製作所製のスペクトロメーターを用い、幅5mmの試験片について、歪4%、周波数52Hz、温度25℃の条件で測定した値である。
(従来例)
従来例のタイヤは、低ロスゴム層14を配設しないことを除いては、実施例のタイヤと同様な構成を有するようにした。
(高速耐久性能の評価)
上記各供試タイヤをリム(7.5J×17)に組み付けた後、内圧230kPa、荷重580kgおよびキャンバー角2.7°の条件下で高速耐久ドラム試験を実施した。
この試験では、下記の表1に示す速度ステップにて速度を上昇させタイヤが故障に至るまでの速度を測定し、この測定値によって評価した。下記の表2に評価結果を示す。
下記の表2に示す試験結果より、実施例のランフラットタイヤは従来例のランフラットタイヤに比べ高速耐久性に優れていることが分かる。
Figure 2007210566
Figure 2007210566
本発明の好適実施形態に係るランフラットタイヤの幅方向半断面図である。
符号の説明
1 ランフラットタイヤ
2 ビード部
3 ビードコア
4 ビードフィラー
5 カーカス
6 クラウン部
7a,7b 傾斜ベルト層
8 主ベルト
9 トレッド部
10 ベルト保護層
11 バットレス部
12 サイドウォール部
13 補強ゴム層
14 低ロスゴム層
15 低ロスゴム層のタイヤ軸方向内側端
16 低ロスゴム層のタイヤ軸方向外側端
E タイヤ赤道面

Claims (6)

  1. 対をなすビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間で略ラジアル配列されたコードを有する少なくとも1枚のプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部外周側に、タイヤ赤道面に対し傾斜して延びるコードを平行配列した少なくとも2層の傾斜ベルト層からなる主ベルトと、該主ベルトによって補強されるトレッド部と、該トレッド部の両端部に位置するバットレス部と、該バットレス部とビード部の間を連結するサイドウォール部と、少なくとも該サイドウォール部にわたるカーカスの内面側に配置され、略三日月状の断面形状を有する補強ゴム層と、を備える空気入りランフラットラジアルタイヤにおいて、
    少なくとも前記バットレス部にわたる前記カーカスの外周面上に、タイヤ周方向に帯状に延びる低ロスゴム層が配設され、該低ロスゴム層の損失正接(tanδ)値が0.1〜0.2の範囲内であることを特徴とする空気入りランフラットラジアルタイヤ。
  2. 前記低ロスゴム層のタイヤ軸方向外側の端部が少なくとも前記バットレス部よりも外側に位置する請求項1記載の空気入りランフラットラジアルタイヤ。
  3. 前記低ロスゴム層の厚みが0.1mm〜0.5mmである請求項1または2記載の空気入りランフラットラジアルタイヤ。
  4. 前記主ベルトのタイヤ径方向外側面上の少なくとも両端部にベルト保護層が配設されている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りランフラットラジアルタイヤ。
  5. 前記低ロスゴム層のタイヤ径方向外側面上に、トレッドゴム端部、主ベルト端部およびベルト保護層端部が配置され、かつ、これら端部から前記低ロスゴム層のタイヤ軸方向外側端まで少なくとも10mm以上の幅を有する請求項4記載の空気入りランフラットラジアルタイヤ。
  6. 前記低ロスゴム層が、タイヤ軸方向断面から見て、幅方向両端部が中央部より薄い不均一厚さを有する請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りランフラットラジアルタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009090763A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Sumitomo Rubber Ind Ltd ランフラットタイヤ
US20120138204A1 (en) * 2009-03-11 2012-06-07 Bridgestone Corporation Run-flat tire

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