本発明に係る地図情報更新装置は、複数の異なる種類の更新用の地図情報を提供する複数の地図情報提供装置と例えば無線通信路で接続され、自ら蓄積する地図情報を更新する地図情報更新装置であって、地図情報を蓄積する地図情報蓄積手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段で検出された位置の連なりを移動履歴として蓄積する移動履歴蓄積手段と、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴に基づいて、前記複数の更新地図情報の1つを選択し、選択した更新地図情報を、対応する前記地図情報提供装置から取得する地図情報選択更新手段と、前記地図情報選択更新手段によって取得された更新地図情報を蓄積する更新地図情報蓄積手段と、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報のうち、前記更新地図情報蓄積手段に蓄積された更新地図情報が示す地理的な場所については、当該更新地図情報が表示されるように、前記地図情報と前記更新地図情報とを合成して表示する合成表示手段とを備えることを特徴とする。これによって、複数の種類の更新地図情報の中からユーザの移動履歴に合致した種類の更新地図情報が自動的に選択され、元の地図情報に反映される。
ここで、より具体的な第1の構成例として、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報には、ランドマークに関するランドマーク情報が含まれ、前記地図情報更新装置はさらに、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報とから、前記移動履歴における目的地に対応する前記地図情報のランドマーク情報を抽出するランドマーク情報抽出手段を備え、前記地図情報選択更新手段は、前記ランドマーク情報抽出手段によって抽出されたランドマーク情報に基づいて、前記更新地図情報を選択する構成とすることができる。例えば、前記ランドマーク情報には、前記ランドマークの種類を示すカテゴリ情報が含まれ、前記地図情報選択更新手段は、前記ランドマーク情報抽出手段によって抽出されるランドマーク情報に含まれるカテゴリ情報が示すカテゴリに属する種類の更新地図情報を選択することができる。これによって、複数の種類の更新地図情報の中から、頻繁に行く目的地のカテゴリに合致した種類の更新地図情報、つまり、ユーザの好みに合致した種類の更新地図情報が自動的に選択される。
また、より具体的な第2の構成例として、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報には、経路の種類を示す経路情報が含まれ、前記地図情報更新装置はさらに、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報とから、前記移動履歴に含まれる経路に対応する前記地図情報の経路情報を抽出する経路情報抽出手段を備え、前記地図情報選択更新手段は、前記経路情報抽出手段によって抽出された経路情報が示す経路の種類に基づいて、前記更新地図情報を選択する構成とすることができる。例えば、前記経路の種類には、「細い道」が含まれ、前記地図情報選択更新手段は、前記経路情報抽出手段によって抽出された経路情報が示す経路の種類が「細い道」である場合には、「細い道」について詳しい情報が含まれる更新地図情報を選択することができる。これによって、複数の種類の更新地図情報の中から、ユーザの移動履歴における経路の種類に適した更新地図情報が自動的に選択される。
また、より具体的な第3の構成例として、前記複数の地図情報提供装置は、与えられた出発地と到着地に対して、それらの地点を結ぶ最適な経路を探索し、探索した結果を出力する手段を備え、前記地図情報更新装置はさらに、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴の出発地と到着地とを結ぶ経路探索を前記複数の地図情報提供装置に要求する経路探索要求手段と、前記経路探索要求手段による要求に対して前記複数の地図情報提供装置から出力された探索結果が示す経路と前記要求に係る移動履歴の経路とを比較する経路比較手段とを備え、前記地図情報選択更新手段は、前記経路比較手段による比較結果に基づいて、前記要求に係る移動履歴の経路に最も近い経路を探索結果として出力した地図情報提供装置によって提供される更新地図情報を選択する構成とすることができる。このとき、前記複数の地図情報提供装置はさらに、前記探索によって得られた経路を移動するのに要する所要時間を算出し、算出した結果を出力する手段を備え、前記経路比較手段はさらに、前記複数の地図情報提供装置から出力された所要時間と前記要求に係る移動履歴における所要時間とを比較し、前記地図情報選択更新手段は、前記経路比較手段による比較結果に基づいて、前記要求に係る移動履歴の経路に最も近い経路を探索結果として出力し、かつ、前記移動履歴における所要時間に最も近い所要時間を出力した地図情報提供装置によって提供される更新地図情報を選択してもよいし、前記経路探索要求手段は、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴のうち、移動時間が最も大きい、移動履歴の出発地と到着地とを結ぶ経路探索を前記複数の地図情報提供装置に要求するのが好ましい。これによって、複数の種類の更新地図情報の中から、ユーザの移動履歴と合致する経路探索を行う更新地図情報が自動的に選択される。
なお、前記更新地図情報には、経路および地点の名称に関する音声名称情報が含まれ、前記地図情報選択更新手段はさらに、前記更新地図情報に含まれる音声名称情報に基づいて、前記更新地図情報を選択してもよい。
ところで、現在利用している地図とは異なる種類の地図情報を取得して部分的に地図情報を更新した場合に、現在利用している地図情報と合成して表示しようとすると、不整合が生じる場合がある。例えば、現在利用している地図のランドマークのアイコンと、更新された地図のランドマークのアイコンが異なる場合には、ユーザに混乱を生じさせる。
そこで、本発明は、異なる種類の地図情報で更新した場合であっても、すでに取得している地図情報と整合させた形式で更新地図情報を表示することが可能な地図情報更新装置等を提供することをも目的とする。
そのような目的を達成するために、前記合成表示手段は、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報と前記更新地図情報との様々な差異、例えば、継ぎ目、ランドマークの大きさ、ランドマーク情報のフォントの大きさ、背景色、尺度等の差異を吸収したうえで、前記地図情報と前記更新地図情報とを合成して表示する。
具体的には、元の地図情報と更新地図情報とを整合させて合成表示するために、前記合成表示手段は、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報に含まれる経路と前記更新地図情報に含まれる対応する経路との継ぎ目におけるずれが最小となるように、前記地図情報と前記更新地図情報とを合成して表示したり、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報に含まれるランドマークと前記更新地図情報に含まれるランドマークとが同じ大きさのアイコンで表示されるように、いずれかのランドマークのアイコンの大きさを調整して前記合成表示をしたり、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報に含まれるランドマーク情報と前記更新地図情報に含まれるランドマーク情報とが同じ大きさのフォントで表示されるように、いずれかのランドマーク情報のフォントの大きさを調整して前記合成表示をしたり、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報と前記更新地図情報とが同じ背景色で表示されるように、前記更新地図情報の背景色を調整して前記合成表示をしたり、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報と前記更新地図情報とが同じ縮尺で表示されるように、前記更新地図情報の縮尺を調整して前記合成表示をしたりするのが好ましい。これによって、元の地図情報と更新地図情報とが整合した状態で、違和感なく合成地図が表示される。
前記地図情報選択更新手段はさらに、前記地図情報蓄積手段に蓄積された地図情報が前記合成表示手段によって表示されたときの画面上の表示における占有率に応じて、前記更新地図情報を選択する構成としてもよい。具体的には、前記地図情報選択更新手段は、更新しようとする場所の周辺が既に更新地図情報で更新されている場合には、その更新地図情報と同じ種類の更新地図情報を選択してもよい。これによって、整合性ある統一された地図の合成表示が可能となる。
また、より具体的な第4の構成例として、前記地図情報更新装置はさらに、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴に基づいて、ユーザの行動の特性を示す行動モデルを算出する行動モデル算出手段を備え、前記地図情報選択更新手段は、前記行動モデル算出手段によって算出された行動モデルに合致する更新地図情報を選択し、選択した更新地図情報を、対応する前記地図情報提供装置から取得する構成とすることができる。これによって、ユーザの行動特性に合致した態様で地図が更新され、ユーザにとっての利便性が向上される。
ここで、行動モデルの具体的例として、前記行動モデル算出手段は、前記移動履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴に基づいて、移動する目的地のカテゴリごとのユーザの行動範囲を前記行動モデルとして算出し、前記地図情報選択更新手段は、前記行動モデル算出手段によって算出された行動モデルが示す行動範囲に関する地図であって、前記カテゴリについて詳しい地図を前記更新地図情報として選択してもよい。これによって、ユーザの行動範囲ごとに、ユーザがよく利用する施設のカテゴリに詳しい地図に更新され、ユーザの行動特定に合致した地図更新が実現される。
以下、本発明に係る地図情報更新装置について図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1における移動体端末100の構成を示す機能ブロック図である。この移動体端末100は、本発明に係る地図情報更新装置の一例としての移動体端末、例えば、カーナビゲーション等であり、通信ネットワークを介して提供される複数の地図情報を選択して取得し、自ら保有する地図を更新する装置であり、位置情報検出部101、移動履歴蓄積部102、地図情報蓄積部103、地図情報選択部104、地図情報更新部105、更新地図情報蓄積部106、更新情報通知部107、ランドマーク情報抽出部110および合成表示部117を備える。なお、本図には、通信ネットワークを介してこの移動体端末100と接続されている第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109も併せて示されている。
位置情報検出部101は、移動体端末100の現在位置を検出するセンサ等であり、例えば、移動体端末に備えられるGPSアンテナ等であり、ユーザの緯度経度情報を検出する。図3は、位置情報検出部101によって検出される位置情報の例を示す図である。ここでは「2004年5月10日8時10分」に「東経135度20分35秒、北緯34度44分35秒」位置した等が検出されている。なお、GPSより得られる時刻、あるいはカレンダー時計等を設け、位置情報が検出された日付時刻情報を同時に検出することとしてもよい。
図4は、位置情報検出部101によって検出された位置情報およびユーザ現在位置の例を示す地図である。検出された位置情報を白丸、現在のユーザの位置を矢印、さらに目的地「丸山ゴルフ場」と、目的地までの経路を黒線で示している。
地図情報蓄積部103は、地図情報を予め蓄積するハードディスク等である。地図情報は、例えば、図4に示されるように、前記位置情報検出部101で検出されたユーザの位置をカーナビの表示画面に表示したり、あるいは経路を案内するナビゲーションの際に用いられる。地図情報は、図4に示されるように、メッシュ状の所定のエリアごとに分割されている。例えば、本実施の形態ではメッシュID「M11」、「M12」等で分割されているものとする。また、地図情報は、各メッシュごとに、そのエリアに存在するランドマーク情報や、交差点や経路のネットワーク構造を示した経路情報、あるいは背景など画像の情報等を階層構造で蓄積されている。
図5は、図4に示されるメッシュID「M21」の詳細情報の一例を示す図である。地図情報は、ランドマーク情報、経路情報、背景情報等の階層構造になっており、例えば、メッシュID「M21」におけるランドマーク情報「L51」、「L52」等が蓄積されている。また、経路情報として、道路ネットワークの情報が蓄積されている。さらに、背景情報として、例えば、背景色「緑」等も蓄積されている。図6は、ランドマーク情報のさらに詳細な情報を示す図である。ランドマークID「L51」は、「丸山ゴルフ場」であり、位置「東経135度00分00秒、北緯34度00分00秒」、カテゴリ「ゴルフ施設」等のノード情報がリスト付けされ(矢印で示す)、蓄積されている。
移動履歴蓄積部102は、ユーザの移動の履歴を蓄積するメモリ等である。本実施の形態では、位置情報検出部101は、検出した位置情報と、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報をもとに、ユーザの目的地を抽出し、位置情報の連なりを移動履歴として移動履歴蓄積部102に蓄積する。目的地の抽出は、例えばエンジンをストップさせた地点の近辺(例えば半径50メートル以内)に位置するランドマークを目的地とすることとする。
図7は、目的地の抽出を説明するための図であり、メッシュID「M21」に該当するエリアを示す図である。本エリアには、「コンビニルーソン」、「丸山ゴルフ場」等が存在している。一方、白い丸印は検出された位置情報であり、例えば、ユーザは「丸山ゴルフ場」近辺でエンジンを止めたとする。すると、エンジンをストップさせた位置と、その近辺(例えば半径50メートル以内)に、ランドマークである「丸山ゴルフ場」が存在するため、ユーザの目的地は丸山ゴルフ場と判断し、抽出することとなる。
図8は、移動履歴蓄積部102に蓄積されたユーザの移動履歴の例を示す図である。例えば、移動履歴は、ユーザの各移動に対し、移動履歴IDを付与して蓄積される。例えば、「2004年5月10日10時00分」に目的地「丸山ゴルフ場」へ向かったユーザの移動が、移動履歴ID「001」として蓄積されている。
第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109は、更新用の地図情報を蓄積しているWebサーバ等である。例えば、新たにお店等ができ、地図にランドマークとして更新された場合、地図情報蓄積部103に蓄積された旧地図情報と実際の地図情報とは異なることとなり、これら新規の情報を反映させた地図情報(以下、更新地図情報と呼ぶ)へと更新する必要が生じる。第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109は、このような更新地図情報を蓄積している。さらに、更新地図情報を提供する手段はひとつとは限らない。提供する地図会社が異なる場合や、同じ会社であっても、種類の異なる、複数の地図を提供する場合もある。ここでは、第1更新地図情報提供部108は、A社から提供される地図情報(以下、第1更新地図情報提供部108から提供される更新地図情報を「第1更新地図情報」という。)を提供する手段とし、一方、第2更新地図情報提供部109は、B社から提供される地図情報(以下、第2更新地図情報提供部109から提供される更新地図情報を「第2更新地図情報」という。)を提供する手段とする。
例えば、ある時、メッシュID「M11」に該当する地図情報に変更があったものとする。各地図情報提供会社は、各々の更新地図情報を、各々の提供手段に蓄積する。図9は、標準的な地図を提供するA社から提供される第1更新地図情報によって元の地図情報の一部が更新された例を示す図である。メッシュID「M11」には、図4に示される旧地図と比較して、新規情報が反映されており、新たにランドマーク「コンビニKマート」が新設されたことが分かる。図10は、第1更新地図情報の詳細を示す図である。メッシュID「M11」におけるランドマーク情報として、ランドマークID「L61」、名称「コンビニKマート」、位置「東経134度59分00秒、北緯35度00分00秒」、カテゴリ「コンビニ」等の情報が蓄積されている。地図の種類を示す「地図種類」は、標準的な地図を示す「標準」となっている。
一方、図11は、B社から提供される第2更新地図情報である。第2更新地図情報は、図4に示される旧地図と比較し、新規情報が反映されており、例えば、新たなランドマーク等が新設されている。さらに、この第2更新地図情報は、ゴルフへよく行く人に向けて作成された「ゴルフ専用」の地図情報であり、前述の第1更新地図情報と異なっている。例えば、新たにランドマーク「宮里ゴルフ場」や「片山ゴルフショップ」が新設されている。これらのランドマークは、同じメッシュID「M11」における地図情報ではあるが、第1更新地図情報には示されていない。図12は、第2更新地図情報の詳細を示す図である。第2更新地図情報は、「地図種類」が「ゴルフ専用」であり、またメッシュID「M11」におけるランドマーク情報として、例えば、ランドマークID「L71」、名称「宮里ゴルフ場」、位置「東経134度00分00秒、北緯35度00分00秒」等の情報が蓄積されている。
このように、提供される地図情報は、本実施の形態では、1種類とは限らず、複数提供される場合がある。また、提供される地図が必ずしも同一の内容とは限らず、地図によってその内容も異なる場合もある。
一般に、地図情報は、単に経路や地形を表すのみならず、ランドマークを検索したり、表示したりすることで、ユーザの行動をより快適にする役割も果たす。このとき、用途に応じてランドマークの有無や、存在するランドマークの数、あるいは同じランドマークであってもその詳細情報等が異なるのが一般的である。したがって、サーバ等を経由して地図情報が提供される環境下では、ユーザは、自ら、これら提供される複数の地図情報の中から選択する必要が生じる。提供される地図情報が複数ある場合には、ユーザはそれらを見比べることで、どちらの地図がユーザにとって便利であるかを決定する必要がある。一般に、現在、利用している地図情報がユーザは最適であると思っているが、地図情報を提供するサービスが多数存在すると、現在利用している地図情報が最適であるとは限らない。提供されている地図情報のうち、どの地図情報がユーザにとって最適であるかを、比較しなければ判断することができない。また、地図情報においては、地方によって詳細度が異なる地図情報が提供されることもある。例えば、奈良県の自治体から提供される地図情報は、「奈良県」については詳細な情報が提供されるが、その周辺地域に関しては詳細な地図情報が提供されない場合もある。また、ゴルフの協会から提供される地図情報は、ゴルフ場に関しては、高速道路等の主要道路からゴルフ場までの経路や、ゴルフ場周辺の施設に関する地図情報については詳細な情報が提供されている場合がある。このように、提供するサービス会社、団体によって、地図情報の詳細度が異なることが多い。
そこで、本実施の形態では、ユーザの移動履歴、ユーザのカーナビに対する操作履歴等から、ユーザにとって有用な地図情報を自動的に選択することを可能にしている。ユーザは、地図情報をダウンロードして各ランドマークや道路に関してどの地図情報が自分にとって有用であるかを見比べることなく、自動的に最適な地図情報を選択することができる。また、車に備え付けられたカーナビでは、操作性も限られ、さらに運転操作を妨げることは好ましくないため、過剰の操作は好ましくはない。この観点からも、本実施の形態では、ユーザの移動履歴をもとにユーザに応じた地図情報が自動的に選択され、便宜が図られている。
地図情報選択部104は、第1および第2更新地図情報提供部108および109より提供される地図情報から、ユーザに応じた地図情報を選択する処理部であり、地図情報更新部105の制御のもとで地図情報を選択する。選択された地図情報は、地図情報更新部105の制御の下で地図情報選択部104によってネットワークを介してダウンロードされ、地図情報更新部105を介して更新地図情報蓄積部106に蓄積される。本実施の形態においては、地図情報選択部104は、例えば、移動履歴蓄積部102に蓄積されたユーザの目的地であるランドマークより、ユーザの嗜好を抽出し、嗜好に応じた地図情報を選択する。
ランドマーク情報抽出部110は、移動履歴蓄積部102に蓄積されたユーザの目的地より、その目的地の属するカテゴリの頻度を抽出し、例えば頻度の多いものをユーザの嗜好として判定する。図13は、ユーザの嗜好抽出を説明する図である。図4に示される移動履歴と同様に、移動履歴ID「001」に「2004年5月10日(日)10時00分」に目的地「丸山ゴルフ場」に到達した等、ユーザの目的地が蓄積されている。また、この「丸山ゴルフ場」(ランドマークID「L51」)は、カテゴリ「ゴルフ施設」であることが、地図情報(図6)を参照することで分かる。そこで、ランドマーク情報抽出部110は、ユーザの目的地であるカテゴリ「ゴルフ施設」を1回と算出する。同様にして、移動履歴蓄積部102に蓄積されている移動履歴の目的地のカテゴリを算出する。例えば、移動履歴ID「005」の目的地は「尾崎ゴルフ場」(ランドマークID「L53」)と、「丸山ゴルフ場」とは目的地が異なるが、一方、その目的地の属するカテゴリは「ゴルフ施設」と同一であるため、「ゴルフ施設」にカウントする。例えば、図13に示された例では、移動履歴ID「001」から「006」の6回の目的地がカテゴリ「ゴルフ施設」に属するため、ランドマーク情報抽出部110は、ゴルフ施設の頻度を「6回」と抽出する。この結果より、ユーザは「ゴルフ施設」に頻度よく行っていると解することができる。そこで、地図情報選択部104は、ランドマーク情報抽出部110で得られる情報(ここでは、目的地のカテゴリごとの頻度)より、ユーザの嗜好を特定し、特定したユーザの嗜好をもとに、地図情報を選択する。
例えば、閾値等を設け、閾値(例えば5回とする)以上の場合、そのカテゴリは、ユーザの好みのカテゴリとみなす。図13に示された例では、カテゴリ「ゴルフ施設」が6回であり、閾値以上であるため、地図情報選択部104は、この「ゴルフ施設」に関係する地図情報、つまりB社(第2更新地図情報提供部109)から提供されるゴルフ専用地図である第2更新地図情報を選択する。選択された第2更新地図情報は、地図情報更新部105の制御の下で地図情報選択部104によって取得され(つまり、更新処理が行われ)、取得された第2更新地図情報は、地図情報更新部105によって更新地図情報蓄積部106に蓄積される。これは、図10に示されるように、A社から提供されている地図情報の地図種類が「標準」であるのに対して、図12に示されるように、B社から提供されている地図情報の地図種類が「ゴルフ施設」であることから判断される。
なお、この例では、A社およびB社から提供されている地図情報の属性として地図種類等の属性があり、その属性に応じて地図情報が選択されたが、地図種類の属性がすべての地図に存在しない場合には、特定区間における登録されているランドマークの数を利用して地図情報を選択してもよい。例えば、図9に示されるA社から提供されている地図情報におけるメッシュID「M11」においてゴルフに関連する施設の数と、図11に示されるB社から提供されているメッシュID「M11」においてゴルフに関連する施設の数の比較を行う。図11の地図情報においては、「宮里ゴルフ場」と「片山ゴルフショップ」がランドマーク情報として登録されているのに対して、図9の地図情報においては、その地点に施設が存在するが、その施設の名称まではランドマークとして登録されていない。その結果、地図情報選択部104は、B社の地図情報の方が、ゴルフ施設に関連するランドマークが多数登録されている可能性が高いと判断し、B社の地図情報を選択することができる。このように、ある所定の区画に登録されているランドマークの数に応じて地図情報を選択してもよい。
更新情報通知部107は、地図情報が更新された旨、つまり、地図情報更新部105からの更新の通知に基づいて、更新地図情報蓄積部106に蓄積された更新地図情報をユーザへ通知する提示装置である。ユーザへの通知は、例えば、カーナビに備え付けられたLCD等の表示部等を介して行う。
合成表示部117は、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報と更新地図情報蓄積部106に蓄積された更新地図情報とを合成して表示する処理部である。具体的には、図9や図11に示される合成表示例のように、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報のうち、更新地図情報蓄積部106に蓄積された更新地図情報が示す地理的な場所については(図9および図11におけるメッシュID「M11」)、その更新地図情報が表示されるように、地図情報と更新地図情報とを合成して表示する。表示は、例えば、カーナビに備え付けられたLCD等の表示部等に対して行われる。
次に、以上のように構成された本実施の形態における移動体端末100の動作について、フローチャート(図15〜図18)を用いて説明する。
まず、位置情報検出部101は、現在の位置を検出する(ステップS101)。これによって、ユーザの移動にともなって、所定の間隔で位置情報が検出される(図4の白丸)。
次に、位置情報検出部101は、検出した位置情報をもとに目的地を抽出する(ステップS102)。位置情報検出部101は、検出した位置情報と地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報を用いて目的地を抽出する。具体的には、位置情報検出部101は、エンジンがストップされたか否かを判定し(図16のステップS201)、エンジンがストップされた場合(ステップS201のYes)、その地点の位置情報を参照し(ステップS202)、また地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報を参照する(ステップS203)。
そして、その地点が、ランドマークの位置および、所定の範囲内(例えば半径50メートル以内)か否かを判定し(ステップS204)、所定範囲内である場合は(ステップS204のYes)、ランドマークを目的地として抽出する(ステップS205)。一方、範囲外の場合は(ステップS204のNo)、終了する。例えば、図5の場合、エンジンをストップさせた地点が、ランドマーク「丸山ゴルフ場」の所定範囲内であるため、目的地は「丸山ゴルフ場」と判断されることとなる。
続いて、位置情報検出部101は、このようにして抽出した目的地を履歴として移動履歴蓄積部102に蓄積する(図15のステップS103)。図8は、移動履歴の例を示し、ここでは、移動履歴ID「001」として目的地「丸山ゴルフ場」が蓄積されている。
一方、ランドマーク情報抽出部110は、提供される更新地図情報を選択するために、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴より、ユーザの嗜好を抽出する。本実施の形態では、ランドマーク情報をもとに抽出する(図15のステップS104)。具体的には、ランドマーク情報抽出部110は、まず、移動履歴を参照し(図17のステップS301)、各移動履歴の目的地を参照する(ステップS302)。次に目的地の属するカテゴリを、地図情報をもとに判定する(ステップS303)。該当カテゴリをカウントし(ステップS304)、各々の移動履歴に対し繰り返すことで(ステップS305のYes)、ユーザの移動履歴の目的地カテゴリを算出する。例えば、図13に示される移動履歴ID「001」の場合、目的地は「丸山ゴルフ場」となっており、一方、図6に示される地図情報より「丸山ゴルフ場」はカテゴリ「ゴルフ施設」となっていることより、「ゴルフ施設」が該当するカテゴリとなり、1カウントを加算する。図13に示される例では、各々の移動履歴に本ステップを繰り返すことで、カテゴリ「ゴルフ施設」の頻度が「6回」と算出されている。
次に、ランドマーク情報抽出部110で抽出された情報をもとに、地図情報選択部104は、更新地図情報を選択する(図15のステップS105)。具体的には、地図情報選択部104は、まず、ランドマーク情報抽出部110で抽出されたカテゴリの頻度を参照し(図18のステップS401)、頻度が閾値(例えば5回)以上のカテゴリが存在するか否かを判断する(ステップS402)。存在する場合(ステップS402のYes)、第1および第2更新地図情報提供部108および109に蓄積された更新地図情報を参照する(ステップS403)。一方、存在しない場合は(ステップS402のNo)、処理を終了する。図13の場合、頻度「6回」であるカテゴリ「ゴルフ施設」が該当するため、第1および第2更新地図情報提供部108および109に蓄積された更新地図情報を参照する。
続いて、地図情報選択部104は、更新地図情報の中から、該当カテゴリに関する更新地図情報が存在するか否かを判定する(ステップS404)。該当更新地図情報が存在する場合(ステップS404のYes)、該当更新地図情報を選択する(ステップS405)。ただし、現在利用されている地図情報が登録された日時と、該当更新地図情報の提供更新日時とを比較し、該当更新地図情報の方が新しい場合にだけ、更新地図情報を選択する。一方、存在しない場合(ステップS404のNo)は終了する。本実施の形態では、第2更新地図情報が「ゴルフ専用」地図情報であるため(図12より)、第2更新地図情報を選択する。
次に、選択された更新地図情報は、地図情報更新部105の制御の下で地図情報選択部104によってネットワークを介して取得されて更新され(図15のステップS106)、地図情報更新部105によって更新地図情報蓄積部106に蓄積される(ステップS107)。
最後に、更新情報通知部107は、更新された地図情報をユーザに通知する(ステップS108)。図14は、更新地図情報の通知を示す画面表示例を示す図であり、B社から提供されたゴルフ専用地図情報が更新された旨が通知されている。以降、カーナビゲーション表示等における地図表示においては、合成表示部117は、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報に更新地図情報蓄積部106に蓄積された地図情報を上書きしたような合成地図を生成し、表示する。
なお、本実施の形態においては、ゴルフ施設に関する例について説明されたが、その他のランドマークの情報を利用してもよい。例えば、コンビニエンスストアへよく訪問するユーザに対しては、コンビニエンスストアに関する詳細な地図情報が登録されているものを優先的に更新してもよい。このように登録されているランドマークの分類情報を利用することで、ユーザの移動に応じて、地図情報を選択することが可能になる。
また、本実施の形態では、提供される複数の更新地図情報の中から、ユーザに適した地図情報が選択され、更新されたが、これに加えて、地図情報蓄積部103に蓄積された元の地図情報を考慮して更新地図情報を加工してもよい。
異なる提供会社から地図情報が提供される場合、例えば、ランドマークや背景等の概観は同一とは限らず、異なる場合が生じる。一方、本実施の形態のようにユーザに適する地図情報を各社から部分的に更新しても、従来使用していた地図のランドマークや概観は、そのまま継承したいというユーザのニーズは高い。また、ユーザの使い慣れたランドマークや外観を継承し、ユーザがより情報把握を容易にできることは、運転上好ましい。そこで、合成表示部117は、従来使用していた旧地図情報を考慮して、更新された地図情報を加工することとしてもよい。以下、図11および図19を用いて説明する。
例えば、前述の図11に示されるように、メッシュID「M11」が、第2更新地図情報(B社から提供されたゴルフ専用地図)で更新されたとする。一方、ユーザは従来、B社とは異なるC社の地図情報を利用していたとする。つまり、更新されていないメッシュID「M21」、「M22」、「M12」等は、B社とは異なるC社の地図情報となる。このとき、メッシュID「M11(B社)」と、例えば「M21(C社)」のランドマークや背景が異なることとなる。図19は、メッシュID「M11(B社)」とメッシュID「M21(C社)」の地図情報の詳細を示す図である。例えば、同じゴルフ場のランドマークであっても、そのマークは異なっており、また、背景も異なっている。そこで、更新地図情報である「M11」のランドマークや、背景、道路の色等を、「M21」と同一に変更する。また、運転中のドライバーに、より情報を容易に把握させるために、色彩のみならず、文字の大きさ等も統一することとしてもよい。
ここで、ランドマーク等を示す地図上のアイコンについては、以下のような表示上の工夫をさらに付加してもよい。つまり、上述の地図情報の加工例では、地図更新を行う前から利用していた地図のアイコンに合わせて、更新された地図情報のアイコンが変形された。しかしながら、新たに更新された地図には、従来までの地図情報に比べ多くのランドマークや、多くの情報が登録されている可能性が高い。その結果、単位地図あたりに登録されているランドマークが多くなるため、従来までの地図よりも小さいアイコンや小さいフォントを利用して地図の表示がなされている場合がある。そのため、従来までの地図のランドマークのアイコンの大きさで表示すると、多くの部分が重なり確認しづらくなる。そこで、更新された地図情報のランドマークのアイコンの大きさに合わせて、従来までの地図情報のランドマークのアイコンを変形させる。これにより、多くのランドマークが登録されている新たな地図情報においても、従来までのランドマークのアイコンを縮小したサイズのアイコンで表示することができ、さらに、多くのランドマークが登録されている場合でも、地図上でランドマークが重なることを回避することが可能になる。
具体的には、図20(a)に示されるように、M11がB社の新たに更新した地図、M21、M12、M22がC社の従来から利用していた地図である場合について説明する。B社の地図においては、ゴルフ関連施設の情報が充実しているため、地図上に多くのランドマークに関するアイコン等が表示される。そのため、図20(b)に示されるように、ゴルフ関連情報のアイコンは、8Pt×6Ptとなっている。一方、C社の従来から利用していた地図においては、ゴルフ関連のランドマークのアイコンは14Pt×10Ptで表現されていたとする。そのため、C社の地図のゴルフ関連のランドマークのアイコンを利用して、B社の地図を表示すると、多くのゴルフ関連のランドマークに重なりが生じてしまう。一方で、B社の地図のゴルフ関連のランドマークのアイコンで表示しても、ユーザが従来から使い慣れたアイコンでないために、ゴルフ関連の施設であるということを認識できないことがある。そこで、図20(b)に示されるように、B社の地図のゴルフ関連のランドマークのアイコンの大きさになるよう、従来から利用しているC社のアイコンの大きさを変更する。これにより、従来から見慣れてゴルフ関連のアイコンを利用して、アイコンが互いに重なることなく画面表示が可能になる。なお、フォント等の画面に表示する情報についても同様の処理が可能である。また、アイコンおよびフォントの大きさについては、元の地図情報のものを調整して更新地図情報に合わせるだけでなく、これとは逆に、更新地図情報のものを調整して元の地図情報に合わせてもよい。表示画面において、元の地図情報が多く表示されている場合には、更新地図情報のアイコンおよびフォントを調整することで、周辺の地図と表示上のバランスがとれ、見易くなることがあるからである。
なお、これらの処理、つまり、更新された地図情報を元の地図情報、あるいはユーザの移動履歴をもとに加工する処理は、地図情報更新部105による制御の下で地図情報選択部104によって更新地図情報が取得された後に、合成表示部117が取得された更新地図情報に対して施し、加工後の更新地図情報を更新地図情報蓄積部106に蓄積することとしてもよい。あるいは、地図情報の更新にはネットワークを介するものが一般的であるため、通信コストを考慮すると、提供された更新地図情報を、一旦、更新地図情報蓄積部106に蓄積しておき、更新情報通知部107が更新地図情報を通知する際に、合成表示部117が更新地図情報蓄積部106から更新地図情報を読み出し、読み出した更新地図情報に対して加工を施してもよい。
また、本実施の形態では、更新地図情報は、ランドマークのカテゴリの頻度に基づいて選択されたが、本発明は、このような選択基準に限られない。例えば、更新地図情報が存在するエリアと、その周辺の使用地図情報を考慮して更新することとしてもよい。その具体例を図21に示す。図21においてメッシュID「M12」、「M13」、「M21」、「M23」、「M31」、「M32」、「M33」は、B社から提供される第2更新地図情報を利用していたとする。一方、メッシュID「M22」はB社とは異なるC社の地図情報を利用していたとする。あるとき、前述に示される方法で「M11」がB社から提供される第2更新地図情報で更新されたとする。このとき、「M22」の周辺9箇所はすべてB社提供の地図情報となる。そこで、地図情報を統一し、より情報の把握を容易にするために、合成表示部117は、メッシュID「M22」を周辺と同様にB社提供の地図情報へ更新することとしてもよい。このように、画面上の表示における占有率を考慮し、占有率の大きい更新地図情報と同一種類の更新地図情報で地図情報を更新することで、統一性のある見易い地図となる。
また、本実施の形態では、提供される複数の更新地図情報のメッシュのサイズや切り口は、同一のものであった。具体的は、図4に示される地図情報蓄積部103に蓄積されている、従来ユーザが利用している地図情報と、図10、図12に示される各社から提供される地図情報のメッシュの切り口は同一のものであった。異なるのはランドマーク情報等であり、そのために、旧地図情報のメッシュID「M11」の部分を更新する場合には、提供される更新地図情報のメッシュID「M11」を、選択された第1更新地図情報または第2更新地図情報で置き換えるだけで済んだ。一般に、地図情報は、上記本実施の形態で説明したように、幾層もの階層構造になっており、その基本的構造は同一であり、ランドマーク情報や背景情報等のみ、各社、独自のものを使用する等が考えられる。したがって、所定の部分のみを更新する場合、例えば、メッシュID「M11」を更新する場合、同様に各社のメッシュID「M11」を更新することで地図情報を更新することが可能である。
しかしながら、必ずしもすべての地図情報が同一の基本構造を持っているとは限らない。例えば、各社によってそのメッシュIDの切り方が異なる場合等も考えられる。この場合、複数のメッシュを選択し、該当する部分を切り出すことによって、地図の更新が可能となる。以下、地図のメッシュの切り口が異なる更新地図情報で既存の地図情報を更新する手法について、図4および図22を用いて説明する。
図4に示される地図情報のメッシュID「M11」を更新することとする。更新の際、地図情報を選択するトリガー、つまり、ユーザの嗜好は、上記場合と同様、「ゴルフ施設」とする。したがって第2更新地図情報となる。
ここで、いま、第2更新地図情報のメッシュIDの切り口が旧地図情報と異なっているとする。図22は、その一例としての第2更新地図情報を示す図である。この第2更新地図情報は、所定のエリア「P(パーセル)11」、「P12」、「P13」等で区切られているものとする。このとき、メッシュID「M11」に該当する部分を更新しようとする場合、「P11」、「P12」、「P21」、「P22」の4箇所を選択し、該当する部分を切り取り、新たなメッシュID「M11」として更新する必要が生じる。
そのための対策として、図22におけるM11の四隅の点(M11A、M11B、M11C、M11D)の緯度経度に関する情報を抽出し、第2更新地図情報において、これらの4点の位置座標を含むエリアの区分を選択する。その結果、P11、P12、P21、P22がそれぞれ選択され、それらの部分地図を利用して更新を行う。これによって、既存の地図情報と切り口が異なる更新地図情報であっても、地図の更新が可能となる。
なお、地図の更新においては、メッシュの切り口のみならず、地図情報の尺度の違いも考慮する必要が生じる場合がある。例えば、提供される更新地図情報に、ユーザが従来使用している地図情報の縮尺に対応する地図情報が存在しない場合等もあり、この場合、更新地図情報をユーザの地図情報の縮尺に変更することで、地図の更新が可能となる。以下、縮尺が異なる更新地図情報で既存の地図情報を更新する手法について、図23、図24を用いて説明する。
図23は、図4に示されるメッシュID「M11」に該当する第2更新地図情報(ゴルフ専用)である。いま、ユーザが使用している地図情報は3000分の1であり、提供される第2更新地図情報に3000分の1の縮尺地図はないものとする。このとき、例えば、3000分の1より詳細な地図情報である2000分の1の地図情報をもとに、3000分の1の縮尺に変換する。そして、図24に示されるように、3000分の1に変換された第2更新地図情報を更新地図として更新地図情報蓄積部106に蓄積する。これによって、縮尺が異なる更新地図情報で既存の地図情報を更新することが可能となる。
なお、メッシュIDの切り口を統一し、あるいは縮尺を統一していた場合においても、地図を描画する上での微妙な位置ずれ等によって、必ずしも地図情報の整合性がとれるとは限らない。このとき、例えばユーザがよく利用するであろう、主要道路を基準に地図情報を一致させることとしてもよい。図25を用いて説明する。図25は、第2更新地図情報によって更新されたメッシュID「M11」である。一方、メッシュID「M12」はユーザが従来から利用しているC社の地図情報とする。ここで、提供会社が異なり、部分的に更新したため、地図が完全には一致していない。例えば、図25に示される細い道路等、メッシュID「M11」と「M12」とでは異なることとなる。そこで、主要道路に重きをおき、一致させることとする。例えば、色の境を微分し、エッジ抽出を行い、道路を抽出する。地図情報は、前述に示されるように、幾層もの階層構造となっており、例えば経路情報を利用することで経路の抽出が可能となる。次に、その中で主要道路に重きをおいて相関をとり、一致させることとする。図25では、細い道路は一致していないが、一方、主要道路が一致していることとなる。このように、元の地図情報に含まれる経路と更新地図情報に含まれる対応する経路との継ぎ目におけるずれが最小となるように、地図情報と更新地図情報とを位置合わせすることで、整合性ある地図の合成表示が可能となる。
また、本実施の形態では、専用地図情報の種類は、地図情報に記された「地図種類」をもとに一意に決定されていた。具体的には、例えばゴルフ専用の地図情報は、地図種類「ゴルフ専用」と記されていた。しかし、地図情報の種類の判断はこれに限ったものではなく、例えば、地図情報に記されたテキストを解析して自動的に判定することとしてもよい。例えば、地図情報の種類を判定する、更新地図種類判定手段をあらたに設け、この更新地図種類判定手段において、地図情報に記されたテキストを解析して自動的に判定することが可能となる。以下、具体例を用いて説明する。
図26は、第2更新地図情報提供部109に蓄積されたメッシュID「M11」の第2更新地図情報である。本第2更新地図情報には、前述の第2更新地図情報と異なり「地図種類」は記されていない。一方、各ランドマーク情報の詳細な説明として「詳細情報」が記されている。例えば、「宮里ゴルフ場」の詳細情報として「ゴルフコース全18ホール」等、そのランドマークの詳細な説明としてゴルフに関係する説明が記されている。あるいは、「片山ゴルフショップ」の詳細情報として「新作ドライバー発売」、「アイアンセット」等、ゴルフに関わる情報が記されている。そこで、これらテキスト情報について形態素解析等を行い、名詞等のキーワードを抽出するなどして、その地図情報の種類を判定することとしてもよい。この場合、ゴルフに関する情報が多いとして、ゴルフ専用に用いることができると判定することが可能である。異なる提供元から提供される地図情報は、必ずしも共通のフォーマットを利用しているとは限らず、また本実施の形態で示すような地図情報の種類が明記されているとは限らない。そこで、上記のように地図情報に蓄積されたテキスト情報を解析し、地図情報の種類を自動判定することが可能となる。また、テキスト情報の情報量、あるいはカテゴリを参照し、ゴルフに関するランドマークの量や密度等で判断することもできる。例えば、所定区間内に存在するゴルフ場やゴルフショップ等のランドマーク密度を算出することで、ゴルフ専用地図としたり、あるいは、詳細情報に記された情報量の多さで、ゴルフに関する情報が詳しい地図として、自動判定することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態1では、ランドマーク情報を用いて複数提供される更新地図情報から最適な更新地図情報を選択した。本実施の形態では、経路情報を用いて複数提供される更新地図情報の中から最適な更新地図情報を選択する手法について説明する。
図27は、本発明の実施の形態2における移動体端末100aの構成を示す機能ブロック図である。この移動体端末100aは、経路情報を用いて、複数提供される更新地図情報の中からユーザにとって最適な更新地図情報を選択する装置であり、位置情報検出部101、ノード情報抽出部111、地図情報蓄積部103、移動履歴蓄積部102、経路種類抽出部112、地図情報選択部104、地図情報更新部105、更新地図情報蓄積部106、更新情報通知部107および合成表示部117を備える。なお、本図には、通信ネットワークを介してこの移動体端末100aと接続されている第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109も併せて示されている。以下、実施の形態1と同一の構成要素については同じ符号を付与し、説明を省略する。
地図情報蓄積部103は、予め地図情報を蓄積するハードディスク等であり、実施の形態1で説明したように、所定のエリアに区切られ、階層構造で蓄積されている(図4、図5参照)が、本実施の形態では、図28に示される地図情報を蓄積しているものとする。
図29は、図28に示された地図情報のメッシュID「M41」の経路情報を示す図である。図29には、メッシュID「M41」に存在する交差点「緑1交差点」や、ランドマーク「ABC会社」、道路「国道163号」等が示されている。地図情報の経路情報は、これら道路の情報をノードとリンク等で示された、ネットワーク構造で表現されている。例えば、交差点やランドマーク等はノード(図29の四角印)で表される。図29において、交差点「緑1交差点」はノードID「N(ノード)14」、ランドマーク「ABC会社」はノードID「N81」となっている。また、図29の黒い太線は、ノードとノードを結ぶリンクであり、道路の中心線上を沿う形になっている。図29において、ノードID「N14(緑1交差点)」と「N15(緑2交差点)」を結ぶ道路「国道163号」は、リンクID「L(リンク)31」で表される。また、このリンクは、形状を示すための「形状点」を持つ。形状点は、リンクの形状を表示するための座標「x座要、y座標」(例えば、一端のノードを基準とした絶対値の座標とする)を有し、リンクの長さや、複雑さに応じてその数が変化することとなる。例えば、リンクID「L31(国道163号)」は、形状点「s(シェープ)1」、「s2」等、四つの形状点を持ち、これら形状点によってリンクID「L31」の曲線を表している。
図30は、メッシュID「M41」における経路情報のノード情報を示す図である。メッシュID「M41」には、ノード情報として、ノードID「N14」、「N15」、「N81」等が存在し、さらに各ノードの詳細情報、例えばノードID「N81」の名称「ABC会社」、位置「東経135度34分30秒、北緯34度36分05秒」、周辺リンク「L32」等、ノードの詳細情報がリスト付けされ(図30における矢印で示す)、蓄積されている。
図31は、リンクの詳細情報を示す図である。リンク情報として、リンクID「L31」、「L32」等が存在し、さらに各リンクの詳細情報、例えばリンクID「L31」の名称「国道163号」、形状点とその座標「s1(x座標10、y座標10)」、リンクの両端となる周辺ノード「N14、N15」等が示されている。また、経路探索等に用いられる経路コストの情報として、リンク全体の距離「800m」や、リンクを通過するのに要する平均時間「8分」等も蓄積されている。さらに、本実施の形態では、リンク情報として、経路種類「国道」等が含まれる。このように、経路情報は、一般的に、ノードと、各ノードを結ぶリンクのネットワーク構造で蓄積されている。本実施の形態では、各地図情報提供会社より提供される地図情報も、このようなネットワーク構造で蓄積されており、また、各IDも共通とする。一方、各ノードやリンクに付帯する属性情報のみ、各社独立のものとし、この属性情報によって地図の性質が異なることとする。以下、具体例を用いて各社の地図を説明する。
第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109は、更新地図情報を提供する複数のWebサーバ等である。ここでは、第1更新地図情報提供部108は、主要道路優先の一般的な地図情報(以下、「一般地図情報」という。)を提供する手段とし、第2更新地図情報提供部109は、主要な道路のみならず、裏道を利用する人向け専用の地図情報(以下、「専用地図情報」という。)を提供する手段とする。
図32は、第1更新地図情報提供部108に蓄積された、メッシュID「M31」の一般地図情報の例を示す図である。メッシュID「M31」における経路情報のうち、リンク情報の詳細が示されている。例えば、リンクID「L35」の経路種類は「狭い道路」であり、周辺ノードとして、ノード「N21」、「N22」等が蓄積されている。ただし、経路探索などに用いられる経路コストの情報は、距離「不可」、通過平均時間「不可」となっている。ここで、経路探索用コスト情報は経路探索の際に用いられる。例えば、最短経路の探索などは、本コスト情報を用いてダイクストラ法などにより算出するのが一般的である。しかし、一般的な地図情報において、狭い道路などは本コスト情報が存在せず、あるいは存在しても利用されず、よって最短経路の算出には利用されないのが一般的である。つまり地図上には存在しても、経路探索では主要道路や、一般的に広い道路が利用され、「狭い道路」は反映されないようになっている。そこで、経路探索に利用不可ということで「不可」と記されている。
一方、図33は、第2更新地図情報提供部109に蓄積された、同じメッシュID「M31」の専用地図情報の例を示す図である。図33に示される地図情報には、第1更新地図情報提供部108に蓄積された一般地図情報とは異なり、同じ狭い道路であるリンクID「L35」の経路探索用コスト情報として、距離「50m」、通過平均時間「1分」等蓄積されており、したがって、経路探索にこれら「狭い道路」も反映されることとなる。つまり、主要な道路のみならず、これら「狭い道路」も反映されるため、裏道を利用する人向け専用の地図情報(専用地図情報)と位置づけられる。本実施の形態では、移動体端末100aは、これら一般地図情報と専用地図情報とを、移動履歴に基づいて、適切に選択する。以下、移動履歴を用いてこれら地図情報を選択する手法について説明する。
移動履歴蓄積部102は、ユーザの移動履歴を蓄積するメモリ等であり、本実施の形態では、ユーザの出発地と目的地のノードIDおよび目的地までの経路を示すリンクIDの系列で蓄積される。ノードおよびリンクの抽出は、ノード情報抽出部111が、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報を用いて行う。
図34は、メッシュID「M41」を示す図である。図34において、白い丸印は、実施の形態1と同様、位置情報検出部101で検出される位置情報である。ユーザが、緑1交差点と、緑2交差点とを通過し、ABC会社に向かっていることが示されている。一方、地図情報には、緑1交差点、緑2交差点、ABC会社等の位置情報が蓄積されており、これらをもとに、ノード情報抽出部111は、ノードIDを抽出する。例えば、目的地については、実施の形態1と同様、エンジンをストップさせた地点の近辺(例えば半径50メートル以内)に位置するノードを目的地とすることとする。同様に、エンジンをスタートさせた地点近辺のノードを出発地とする。さらに、通過ノードについては、経路情報にある各ノードの位置から所定の範囲内(例えば半径50メートル以内)を通過した場合に、そのノードを通過ノードと判定する。
ノード情報抽出部111は、通過した両端のノードより通過リンクを特定し、ユーザの走行経路として蓄積する。例えば、図34において、ノードID「N14(緑1交差点)」を中心とした所定の範囲(半径50メートル)以内に位置情報が存在するため、ノードID「N14」を通過と判定する。同様に、ノードID「N15(緑2交差点)」も通過と判定される。したがってノードID「N14(緑1交差点)」、「N15(緑2交差点)」を両端とするリンクID「L31(国道163号)」を通過したこととなり、通過リンクIDの系列を移動履歴として蓄積することとなる。
図35は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴の例を示す図である。前述の手法により抽出された出発地、目的地および通過した経路等が蓄積されている。例えば、移動履歴ID「001」は出発地「N100(自宅)」であり、経路「L11」、「L12」等を通過し、目的地「N81(ABC会社)」へ移動したことが示されている。
さらに、本実施の形態では、ノード情報抽出部111は、移動履歴として、「経路種類」も移動履歴蓄積部102に蓄積する。例えばリンクID「L11」は経路種類「狭い道路」に該当し、ノード情報抽出部111は、「狭い道路」を利用した移動履歴としてリンクID「L11」を蓄積する。
経路種類抽出部112は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴より、ユーザが利用する経路の種類を抽出する処理部である。この経路種類抽出部112は、例えば、移動履歴にある全リンクIDのうち、経路種類「狭い道路」の占める割合(利用率)を算出する。例えば、図36に示される例では、全リンク数10に対し、リンク「L11」等、「狭い道路」数は8個であるため、80%(8÷10)となる。ここで閾値(例えば60%とする)などを設け、この割合が閾値以上の場合、狭い道路を優先的に使うユーザと判定する。そして、普段狭い道路を優先的に使うユーザであるため、更新地図情報も狭い道路を優先的に利用する地図、つまり専用地図情報を選択することとなる。つまり、地図情報選択部104は、経路種類抽出部112で抽出された経路種類に対応する更新地図情報を第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109から選択して取得する。
専用地図情報が選択されることで、経路探索の際や、あるいは新規道路ができ、それを利用する際などに、普段狭い道路を利用している情報が新しい地図でも反映されることとなる。例えば、図37に示されるように、普段「狭い道路」を利用する移動履歴より、メッシュID「M31」に専用地図情報が選択されて更新されており、経路探索においても、これらの情報が反映され、狭い道路が優先されて経路設定された様子が示されている。これに対して、図38に示されるように、普段「国道」等、比較的広い道路を利用している移動履歴より、メッシュID「M31」に一般地図情報が選択されて更新されており、経路探索においても一般道路が優先されて経路設定された様子が示されている。
カーナビ等の移動体端末は、あらゆるユーザに対応すべく、地図情報も、一般的に、みな同じ情報が蓄積され、また設定も一定であるのが一般的である。例えば、上述したように、経路探索は、主要道路を優先するのが一般的である。一方、ユーザの運転タスクはさまざまであり、また地域等によっても利用される地図情報はさまざまである。複数の地図情報が提供される環境において、これら地図情報をユーザに応じてカスタマイズしたいというニーズは高い。本実施の形態によれば、普段の利用状況をもとに、地図情報を更新し、ユーザの煩雑な操作なしにカスタマイズすることが可能となる。
なお、本実施の形態に示す「狭い道路」は、地図情報にあらかじめ付与された経路情報であったが、これに限ったものではない。例えば、地図情報には「3メートル以上5.5メートル未満」等、経路の道幅を示す情報が与えられている場合もあり、これら道幅より、自動的に判定することも可能である。また、交通規制情報を利用することも可能である。例えば、同じ道幅でも、一方通行となっている経路は、対向車が来ないため、比較的通行しやすい。普段、渋滞しやすい一般道路や、国道を回避し、これらの経路を選択するユーザに対し、よりユーザに適した地図情報を提供することが可能となる。
また、経路情報のみならず、前記実施例1に示すランドマーク情報も、普段ユーザが好む経路の判定に利用することも可能である。例えば、通過した交差点の数等も利用することが可能である。信号待ちを避けるために、迂回経路を選択するユーザには、本実施の形態で示す専用地図情報を提供することも可能である。
なお、本実施の形態では、移動履歴とともに、経路種類が蓄積されたが、移動履歴と地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報より、後に経路種類を抽出することとしてもよい。
次に、本実施の形態における移動体端末100aの動作について、図40〜図46に示されるフローチャートを用いて説明する。
まず、位置情報検出部101は、現在の位置情報を検出する(図40のステップS101)。
次に、ノード情報抽出部111は、検出された位置情報より、出発地、目的地のノードおよび通過ノードより、通過経路をリンクの系列で抽出する(ステップS1021)。具体的には、ノード情報抽出部111は、ノード情報の抽出として、出発地の抽出(図41のステップS2001)、通過リンクの抽出(ステップS2002)、目的地の抽出(ステップS2003)を行う。
出発地の抽出については、ノード情報抽出部111は、まずエンジンがスタートされた地点の位置情報を参照し(図42のステップS2101)、地図情報を参照する(ステップS2102)。そして、位置情報がノードの位置情報の所定範囲内(例えば半径50メートル以内)であるか否かを判定し(ステップS2103)、所定範囲内である場合(ステップS2103のYes)、ノードIDを出発地とする(ステップS2104)。
通過リンクの抽出については、ノード情報抽出部111は、両端の通過ノードより抽出する。まず、目的地の抽出と同様、各位置情報(図43のステップS2201)、地図情報を参照し(ステップS2202)、ノードの位置情報の所定範囲内(例えば半径50メートル以内)であるか否かを判定し(ステップS2203)、所定範囲内である場合(ステップS2203のYes)、ノードIDを通過ノードとして抽出する。次に一つ前の通過ノードを参照し(ステップS2205)、両ノードIDを含むリンクを通過リンクとして抽出する。例えば、図34において、ノードID「N15」が通過ノードIDとして抽出される。一つ前のノードIDは「N14」となっており、両ノード、つまり「N14」と「N15」を含むリンクID「L31」が通過リンクとなる。なお、リンクの両端は地図情報のリンク情報に蓄積されており、これを用いることで判断することができる(図31より)。
目的地の抽出については、ノード情報抽出部111は、エンジンがストップされた地点の位置情報を参照し(図44のステップS2301)、地図情報を参照する(ステップS2302)。そして、位置情報がノードの位置情報の所定範囲内(例えば半径50メートル以内)であるか否かを判定し(ステップS2303)、所定範囲内である場合(ステップS2303のYes)、ノードIDを目的地とする。
次に、ノード情報抽出部111は、得られた出発地、目的地、経路を移動履歴蓄積部102に蓄積する(図40のステップS103)。図35は、蓄積された移動履歴である。さらに本実施の形態では、リンクの種類「狭い道路」等を蓄積することとする。
そして、経路種類抽出部112は、ユーザが利用する経路の種類を抽出する(図40のステップS1041)。具体的には、経路種類抽出部112は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴を参照し(図45のステップS501)、各経路(通過したリンク)を参照する(ステップS502)。そして、各リンクの経路種類を判定する(ステップS503)。本実施の形態では、全ノードに対する経路種類「狭い道路」の利用率を算出する。図36に示される移動履歴では、利用率80%が算出される。
続いて、地図情報選択部104は、判定された経路種類の利用率をもとに、地図情報選択部104において地図情報の選択を行う(図40のステップS1051)。具体的には、地図情報選択部104は、算出された利用率が閾値(例えば60%)以上か否かの判定を行い(図46のステップS601)、閾値以上であれば(ステップS601のYes)、第2更新地図情報提供部109より専用地図情報を選択する(ステップS602)。一方、閾値未満であれば(ステップS601のNo)、第1更新地図情報提供部108より一般地図情報を選択する(ステップS603)。
図37は、専用地図情報が選択された場合において、経路設定の際に専用地図情報が反映された例を示しており、一方、図38は、一般地図情報が選択された場合において、経路設定の際に一般地図情報が反映された例を示している。このように、本実施の形態によれば、経路情報に基づいて、ユーザに適した種類の更新地図情報を用いて地図情報が更新される。
なお、本実施の形態では、利用率は、全ノード数に対する経路種類「狭い道路」の数で算出されたが、本発明は、このような算出方法に限られない。例えば、県や市、あるいはエリアごとに算出し、「狭い道路」の利用率が高いエリアでは専用地図を選択し、一方低いエリアでは一般地図情報を選択することとしてもよい。例えば、普段「狭い道路」を利用する運転タスクの優れたユーザであっても、馴染みのないエリアや、遠く離れた地域では、一般的な地図情報を更新する場合も生じる。そこで、エリアごとに利用率を算出し、利用率とエリアに応じて選択の制御を行うこととしてもよい。
また、本実施の形態において、選択する地図情報は、裏道等を利用する専用地図情報と一般地図情報であったが、本発明は、このような地図情報の種類に限られない。例えば、詳細なレストラン情報を蓄積した、レストラン情報に詳しい地図情報を専用地図情報とし、移動履歴に蓄積された情報、例えば、履歴にある目的地のカテゴリをもとに更新地図情報を選択することとしてもよい。あるいは、移動の履歴のみならず、検索や閲覧の履歴を蓄積しておき、履歴よりユーザの好みを判定し、ユーザに適した更新地図情報を選択することとしてもよい。
図39は、本実施の形態を用いて選択されたユーザの特徴を地図情報に反映した一例を示す図である。メッシュID「M41」は、普段、ユーザがレストラン等を利用するため、レストラン専用の専用地図情報が選択されており、一方、メッシュID「M53」、「M62」、「M63」は普段のユーザの走行より、裏道に詳細な専用地図情報が選択されている。このように、履歴を用いることでユーザの特性を反映した更新地図情報の選択が可能となる。
また、所定の地図情報を使用する割合や使用頻度をもとに更新地図情報を選択してもよい。例えば、図39に示されるように、裏道専用の地図情報が比較的多い場合、他の一般地図情報をすべて裏道専用地図情報へと、自動的に、あるいは、変更を促すことによって、地図を更新してもよい。このとき、地図を変更した後に、使用していた元の地図情報に戻すことも可能にしてもよい。これによって、各提供手段から様々な特徴を備えた地図情報が提供される環境において、ユーザの好みも様々であるが、ユーザの履歴をもとに、ユーザに適した地図情報を自動的に選択するとともに、使用頻度や割合等からユーザの好みを反映することが可能となる。
また、地図情報の更新時期が異なる場合、より最新の地図情報を選択することとしてもよい。例えば、新たに道路やランドマークが作られた場合、各地図情報が提供される更新時期が異なる場合も生じる。このとき、普段利用している第2更新地図情報提供部109より提供される専用地図情報がまだ更新されていない場合には、暫定的に、第1更新地図情報提供部108より提供される最新の一般地図情報を取得しておき、専用地図情報が更新された場合に、新たに更新することとしてもよい。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
実施の形態1では、目的地等のランドマークの情報を蓄積し、その情報を基に、地図情報を選択した。また、実施の形態2では、ユーザの移動履歴を蓄積し、そこから普段利用している道路の種別を判別し、その情報を利用して地図情報を選択した。
ところで、出発地と目的地を入力とし、地図情報を利用して、経路を探索した場合に、登録されている地図情報や、経路探索のアルゴリズムによって、提供される経路が異なる場合がある。また、経路案内においても、ユーザにとって理解しやすい案内と、理解しがたい案内がある。そこで、本実施の形態においては、ユーザの移動履歴と、提供されている経路の情報を利用して、どの地図情報を利用すべきかを自動的に判断し、地図情報を選択する例について説明する。
図47は、本発明の実施の形態3における移動体端末100bの構成を示す機能ブロック図である。この移動体端末100bは、ユーザの移動履歴と提供されている経路情報とに基づいて地図情報を選択的に利用する装置であり、位置情報取得部4501、移動履歴蓄積部4502、第1の地図情報蓄積部4503、第2の地図情報蓄積部4504、第3の地図情報蓄積部4505、第4の地図情報蓄積部4506、経路探索要求生成部4507、経路探索結果受信部4508、経路比較部4509および地図情報選択部4510を備える。
位置情報取得部4501は、実施の形態1および2と同様に、GPSアンテナ等のセンサによって位置情報を取得する処理部である。
移動履歴蓄積部4502は、位置情報取得部4501で取得した位置情報をハードディスク等の媒体で車両の移動履歴として蓄積する。車両の移動履歴は、位置情報取得部4501で取得した緯度・経度の値を交差点等のノードの時系列データとして蓄積される。また、道路情報において経路に識別子が付与されている場合には、ユーザが通過した経路の履歴として蓄積してもよい。例えば、図48に示されるように、走行した日時に対して、出発地と到着地および各地点での時刻に関する情報を蓄積し、出発地から到着地に至った経路に関する情報が蓄積されているものとする。図48では、移動履歴ID001においては、出発地が自宅、到着地が会社であり、そのときに利用した経路は、L099、L105という経路を利用したことが蓄積されている。
第1〜第4の地図情報蓄積部4503〜4506は、それぞれ、X1社、X2社、X3社、X4社が提供する地図情報を蓄積しているWebサーバ等である。これら第1〜第4の地図情報蓄積部4503〜4506は、蓄積している地図情報の道路に対して、コスト情報等を蓄積し、出発地点と到着地点が入力されると、その所要予想時間と、出発地から到着地へ至るまでに通過する経路に関する情報等を出力する機能を有する。
経路探索要求生成部4507は、移動履歴蓄積部4502に蓄積されている移動履歴から出発地と到着地の位置情報を取り出し、その位置情報を利用して第1〜第4の地図情報蓄積部4503〜4506で蓄積されている経路を探索する。具体的には、図48に示されるように、蓄積されている履歴情報から、出発地、到着地を検索し、各地点の緯度・経度の値を取り出す。そして、取り出した出発地と到着地の組について、各地図情報(第1〜第4の地図情報蓄積部4503〜4506)に対して経路探索を要求する。得られた経路探索は、後述するように、経路比較部4509において比較され、地図情報選択部4510において最適なものが選択される。そのために、抽出される出発地と到着地の組は、利用する地図情報によって探索される経路が異なるものが好ましい。そこで、本実施の形態では、経路探索要求生成部4507は、走行時間が長い移動履歴のほうが探索される経路の選択の幅(ばらつき)が広がるため、最も走行時間の長い移動履歴を選択する。図48に示される例では、最も所要時間が大きい移動履歴ID006を選択する。なお、計算量が十分に少なく、計算時間(経路探索時間)が十分に短いときには、つまり、この移動体端末100bの処理能力において十分な余裕がある場合には、このような選択基準に代えて、蓄積されているすべての出発地と到着地の組を選択してもよい。
経路探索結果受信部4508は、第1〜第4の地図情報蓄積部4503〜4506で蓄積されている地図情報を用いて、経路探索要求生成部4507で選択された経路探索の出発地と到着地の情報を利用して、経路探索を行った結果を受信する通信インターフェース等である。その結果を図49に示す。図49の経路探索が行われた結果を地図上の移動で表現したものを図50に示す。
図49において、出発地が自宅で、到着地が丸山ゴルフ場である場合に、図48の移動履歴においては、L099、L105、L104、L300、L301、L501を経由して到着している。これに対して、各地図情報を用いて自宅を出発地、丸山ゴルフ場を到着地として、経路探索を行った結果は、第1の地図および第3の地図を利用した場合には、実際の走行と同じ経路が探索されている。それに対して、第2の地図および第4の地図を利用した場合には、探索結果は、同一の出発地、同一の到着地であるが、異なる経路が探索されている。
これは、図50に示されるように、第1の地図および第3の地図によれば、丸山ゴルフ場に行くときには、池田南インターチェンジまたは池田北インターチェンジから有料道路に乗り、丸山インターで降りて、ゴルフ場へ向かう探索結果となっている。この探索結果は、有料道路の利用距離を少なくし、通行料金の節約を行うことを意図した結果であり、ユーザの実際の走行(移動履歴)と一致する。一方、第2の地図および第4の地図によれば、自宅の近くから有料道路を走行し、少ない時間で到着地へ向かうことを目的とするため、池田南インターチェンジから有料道路を利用する経路が探索結果となっている。
経路比較部4509は、移動履歴蓄積部4502に蓄積された移動履歴と経路探索結果受信部4508から通知される探索結果に基づいて、同一の出発地で同一の到着地の経路について、走行経路と走行時間の一致性(一致すること、あるいは、近いこと)を判定する。
地図情報選択部4510は、経路比較部4509で比較された結果に基づいて、実走行に最も近い探索結果を出した地図情報を選択する処理部である。具体的には、経路比較部4509での比較結果に基づいて、実走行と同一の走行経路で、かつ、走行時間が実走行に最も近い経路を探索結果とする地図情報を第1〜第4の地図情報の中から選択する。図49に示された例では、第1の地図と第3の地図を用いた経路の探索結果が実走行と同じ経路を探索結果として出力し、かつ、実走行時間である101分に最も近い時間(99分)を推定所要時間とした第3の地図情報を選択する。
以降、ユーザの走行や経路探索において、選択された地図情報を利用することで、ユーザの実走行にあった経路探索や、目的地までの所要時間の推定を行うことが可能になる。上述の例では、目的地までの所要時間よりも有料道路を走行する距離を少なくする料金コストを削減することを優先するようなユーザに対しては、そのユーザにあった地図情報が選択されることになる。
上記の処理の内容を、図51のフローチャートを利用して説明する。位置情報取得部4501は、取得した位置情報を移動系列に変換して移動履歴蓄積部4502に蓄積する(ステップS4901)。所定の走行時間(例えば、5時間)、走行していた場合には、次のステップへ進む(ステップS4902)。走行が満たない場合には、ステップS4901を繰り返す。所定の時間以上走行している場合には、経路探索要求生成部4507は、移動履歴蓄積部4502で蓄積されている移動履歴から最も走行時間の長い走行の出発地と到着地の組を選択する(ステップS4903)。そして、選択した出発地と到着地の緯度・経度の情報を用いて、第1の地図情報蓄積部4503から第4の地図情報蓄積部4506で蓄積されている地図情報に対して、経路探索要求を出す(ステップS4904)。経路探索結果受信部4508は、各地図情報からの経路探索結果を受信し、経路比較部4509は、受信された探索結果が移動履歴蓄積部4502で蓄積されている実走行の履歴と同一の経路探索結果のものがあるか否かを判断する(ステップS4905)。図49に示される探索結果の例では、第1の地図情報と第3の地図情報の探索結果が実走行と同一であるため、地図情報選択部4510は、それらの地図情報を候補して選択する。さらに、経路比較部4509によって、第1の地図情報の経路探索の結果においては推定所要時間が105分であるのに対して、第3の地図情報の経路探索おいては99分であると比較される。そこで、地図情報選択部4510は、実走行の所要時間が101分であり、第3の地図情報の99分の方が近いため、第3の地図情報の方が、ユーザの実走行に近い経路探索を行うことが可能であると判断し、最終的に、第3の地図情報を選択する(ステップS4906)。
一方、第1の地図情報から第4の地図情報においてユーザの走行と一致した経路探索の結果が得られなかった場合には(ステップS4905でNO)、地図情報選択部4510は、経路比較部4509での比較により、主要道路の走行が一致している経路探索結果を出力した地図情報を選択する(ステップS4907)。主要道路が一致している地図情報が複数存在した場合には、推定所要時間が近い地図情報を選択する(ステップS4908)。これにより、ユーザの移動履歴の詳細な部分が異なるが概要が一致している経路探索を行う地図情報を選択することが可能になる。例えば、普段の移動履歴において、ユーザがユーザの自宅付近に居住する友人宅を訪問し、その後、長時間の走行を行う場合がある。このとき、友人宅までの詳細な経路情報は一致しないが、主要道路が一致している経路探索結果を出力する地図情報が選択される。これにより、ユーザの主要な移動パターンに対して、合致した地図情報を選択することが可能である。
また、複数の地図情報を利用して経路探索を行った結果、主要道路においても一致した経路がなかった場合には(ステップS4907でNO)、移動履歴蓄積部4502において、次に走行時間の長い移動履歴における出発地と到着地との組を選択し直し(ステップS4909)、ステップS4904へ戻る。これにより、ユーザの移動履歴が特殊な移動履歴であり、どの地図情報を利用しても経路探索の結果が一致していない場合にも、他の移動履歴を用いて経路探索を実行し、ユーザの移動パターンに則した地図情報の選択が可能になる。
なお、本実施の形態においては、図48の移動履歴蓄積部4502で蓄積されている移動履歴に対して、最も走行時間の長い移動履歴を選択したが、これに代えて、移動の頻度が高い移動履歴の出発地と到着地を選択してもよい。これにより、ユーザが最も頻繁に利用する経路において、ユーザの移動パターンに合致した地図情報を選択することが可能になる。特に、通勤や通学等で頻繁に利用する経路に関する地図情報がユーザの実際の移動パターンと類似している地図情報を選択することが可能になる。
また、本実施の形態においては、図48の移動履歴蓄積部4502で蓄積されている移動履歴に対して、最も走行時間の長い移動履歴だけを用いて地図を選択したが、これに代えて、蓄積されているすべての移動履歴を選択し、その移動履歴全体に対して、一致した経路探索結果を出力する地図情報を選択してもよい。そのときに、さらに、実際の移動時間と推定された所要時間が最も近い地図情報を選択してもよい。これにより、普段から安全走行でスピードを控えめのユーザであっても、そのユーザにあった地図情報を選択することが可能になる。
また、本実施の形態においては、複数の地図情報が蓄積されており、各地図情報に対して経路探索を行い、その結果と実走行の結果の比較を行うことで、ユーザにあった地図情報を選択したが、これに代えて、1つの地図情報とその地図情報を用いた複数の経路探索モジュールが存在するときに、各経路探索モジュールに対して、出発地と到着地の組を入力し、それらの結果を比較することで、最もユーザの移動パターンにあう経路探索モジュールを選択することも可能になる。このとき、経路探索を行った場合の探索時間を利用して、最も短時間で経路探索を行えた経路探索モジュールを選択してもよい。
また、本実施の形態においては、移動履歴の地理的な場所に依存しないで、第1〜第4地図情報蓄積部4503〜4506の中から最適な地図情報を選択した。しかしながら、地図情報によっては、特定の地域に対しては詳しく精度が高い地図情報がある場合もある。そこで、地域に応じて出発地と到着地の組を選択し、各地域ごとにユーザの移動パターンにそった地図情報を選択してもよい。例えば、大阪府に関しては、X1社の地図情報を選択し、兵庫県に関してはX2社の地図情報を選択するということも可能である。
また、本実施の形態においては、複数の地図情報から、ユーザにとって最適な地図情報を選択したが、これに代えて、あるいは、これに加えて、音声案内についても、最適な(正しい)音声案内をするものを選択してもよい。一般に、経路探索において、ユーザに対して音声案内等を利用して経路案内が行われることがある。ところが、地図情報が異なると、音声案内における読み方、例えば、交差点の読み方が異なっている場合がある。例えば、図52に示されるように、緯度・経度が同一である交差点に対して、第2の地図情報だけが「ヒガシコウサテン」という読み上げを行い、その他の地図情報においては、「アズマコウサテン」という読み上げを行う、という経路案内結果が得られることがある。この場合、第2の地図情報の音声案内の読み上げが誤っていると判断し、第2の地図情報の経路探索結果を用いて、ユーザに対してナビゲーションを行う場合には、「ヒガシコウサテン」を「アズマコウサテン」に読み替えて案内してもよい。このとき、多数決の原理に基づいて正しい読み上げを決定するではなく、地図の更新情報を用いてもよい。つまり、最も更新日時が新しい地図情報の読み上げ情報を正しいものとして利用してもよい。このように、複数の地図情報を用いることで、音声案内における地名等の誤った読み上げが自動修正される。
また、本実施の形態では、移動体端末100bは、ユーザの移動履歴と複数の地図情報蓄積部が提供する探索結果とから、ユーザに適した地図情報を選択して取得したが、この手法を、実施の形態1および2における更新地図情報の選択に適用してもよい。つまり、複数の更新地図情報蓄積部の中から、本実施の形態における判断基準によって1つの更新地図情報蓄積部を選択し、選択した地図情報蓄積部から取得した更新地図情報で、既に保持している地図情報を更新してもよい。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
実施の形態1では、蓄積された移動履歴からユーザが到着した目的地のカテゴリ情報を抽出し、ユーザが望む種類の地図を自動的に選択して更新した。また、実施の形態2では、その種類は地域によって選択してもよいことが示された。具体的には、図38には、ユーザがよく裏道を使う「M62」、「M63」、「M64」等の馴染みのエリアにおいては裏道専用地図が更新されており、食事を行う地域である「M41」ではレストラン専用地図が更新されている。このように異なる種類の地図をユーザの傾向に応じて選択して更新することで、よりユーザの行動特性を反映した地図にカスタマイズすることができ、特に運転時等、タスクに制限のある場合において、ユーザは煩雑な操作をすることなく、必要な情報を容易に入手することが可能となる。
本実施の形態では、エリア等に応じて地図情報の選択を行う移動体端末について説明する。
図53は、本発明の実施の形態4における移動体端末100cの構成を示す機能ブロック図である。この移動体端末100cは、経路情報を用いて、複数提供される更新地図情報の中からユーザにとって最適な更新地図情報を選択する装置であり、位置情報検出部101、移動履歴蓄積部102、地図情報蓄積部103、行動モデル算出部122、地図情報選択部104a、地図情報更新部105、更新地図情報蓄積部106、更新情報通知部107および合成表示部117を備える。なお、本図には、通信ネットワークを介してこの移動体端末100cと接続されている第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109も併せて示されている。
この移動体端末100cは、実施の形態1における移動体端末100と略同様の構成を備え、実施の形態1の地図情報選択部104に代えて地図情報選択部104aを備える点、および、行動モデル算出部122をさらに備える点が実施の形態1と異なる。実施の形態1における移動体端末100が備えるランドマーク情報抽出部110は、後述するように、行動モデル算出部122の一構成要素となっている。以下、実施の形態1と同一の構成要素については同じ符号を付与し、異なる点を中心に説明する。
位置情報検出部101は、実施の形態1同様、例えばGPSで構成され、ユーザの位置である緯度経度情報を検出する。この位置情報検出部101は、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報をもとに、緯度経度情報をノード系列へ変換し、移動履歴蓄積部102へ移動履歴として蓄積する。
図54は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴を示す図である。本実施の形態において、移動履歴は、例えば、エンジンをスタートさせた地点を出発地点、ストップさせた地点を目的地として、移動履歴蓄積部102に蓄積される。GPSによって検出される日時情報も蓄積される。例えば、本図における移動履歴ID「001」は、日時「2003年9月20日(日)」、出発地「自宅(ランドマークのIDである「L100」)」、目的地「丸山ゴルフ場(L51)」として蓄積されている。また、自宅を出発した時刻「6時45分」、丸山ゴルフ場へ到着した時刻「8時50分」等、各ノードの通過時刻も蓄積されている。同様に、移動履歴ID「002」には、日時「2003年9月20日(日)」、「丸山ゴルフ場」を「16時45分」に出発して「自宅」へ「19時05分」に到着した履歴が蓄積されている。このように、ユーザの移動に伴って検出される移動が移動履歴として移動履歴蓄積部102に蓄積される。
本実施の形態では、移動体端末100cは、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴をもとに、ユーザの行動の特性を反映させたモデル(以下、「行動モデル」という。)を算出し、行動モデルをもとにユーザに必要な地図情報を選択して更新する。
行動モデル算出部122は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴をもとに、行動モデルを算出する処理部であり、図55に示されるように、主要基点抽出部123、目的地参照部124、移動コスト演算部125、ランドマーク情報抽出部110、行動範囲分類部127、行動モデル生成部128、行動モデル蓄積部129からなる。
主要基点抽出部123は、移動履歴より自宅等、行動の基点となる地点を、主要基点として、抽出する処理部である。例えば、車によるユーザの移動には、ある程度のパターンがあり、自宅や会社などの主要な地点を基点として様々な地点へ移動する場合が多い。そこで、主要基点抽出部123は、まず、これら主要な地点を主要基点として抽出する。例えば、地点の到着頻度や滞在時間をもとに主要基点を抽出する。
いま、図54に示されるように、移動履歴として目的地が蓄積されていると、行動モデル算出部122は、目的地ごとに頻度を算出し、頻度の高いものを主要基点として算出する。あるいは、頻度に代えて、あるいは、頻度に加えて、滞在時間を考慮して算出することも可能である。例えば、移動履歴ID「002」に示す目的地「自宅」の到着時間は「19時05分」であり、次の移動履歴ID「003」に示す出発地「自宅」の出発時間は次の日の「7時10分」であり、その差12時間05分がその日の自宅の滞在時間となる。そこで、行動モデル算出部122は、これら滞在時間の平均を算出し、平均滞在時間の長い地点を主要基点として抽出してもよい。
図56は、各地点の到着頻度と平均滞在時間を示したものである。例えば、地点ID「001」の「自宅」は滞在頻度320回、平均滞在時間16時間20分となっており、主要基点として抽出されている。また地点ID「002」の「会社」は滞在頻度189回、平均滞在時間「12時間20分」となっており、主要基点として抽出されている。このとき、滞在頻度100回、平均滞在時間3時間等、閾値を設けて抽出することとしてもよい。一般的には、自宅や会社等、ユーザが行動の基点となる地点が主要基点として抽出されることとなる。
目的地参照部124は、移動履歴の目的地を参照する処理部であり、主要基点抽出部123で算出された主要基点ごとの目的地を移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴から参照する(読み出す)。
図57は、主要基点として抽出された「自宅」を出発した場合における目的地参照部124によって参照された目的地を示す図である。図54に示される移動履歴のうち、主要基点「自宅」を出発した移動履歴IDとその目的地は、移動履歴ID「001」の「丸山ゴルフ場」、移動履歴ID「003」の「会社」、移動履歴ID「021」の「丸山ゴルフ場」、移動履歴ID「025」の「ダイエイA」、移動履歴ID「031」の「ヨカドーA」等であり、これらが図57に示されている。
移動コスト演算部125は、各目的地への移動コスト、例えば距離等を演算する処理部である。ランドマーク情報抽出部110は、各目的地のカテゴリを特定する処理部である。行動範囲分類部127は、移動コスト演算部125で得られた目的地ごとの距離とランドマーク情報抽出部110で得られた目的地のカテゴリとから、ユーザの行動範囲(ここでは、目的地のカテゴリごとの行動範囲)を分類する処理部である。行動モデル生成部128は、行動範囲分類部127で得られた結果、つまり、主要基点ごとに目的地のカテゴリと行動範囲とを対応づけたテーブルを生成し、行動モデルとして行動モデル蓄積部129に蓄積する。行動モデル蓄積部129は、行動モデル生成部128によって生成された行動モデルを蓄積するハードディスク等であり、地図情報選択部104aによって参照される。以下、具体例を用いて行動モデルの生成について説明する。
まず、移動コスト演算部125は、目的地参照部124で参照される目的地ごとに、主要基点からの移動コスト(ここでは、距離)を演算する。これと並行して、ランドマーク情報抽出部110は、目的地参照部124で参照される目的地のカテゴリを特定する。このカテゴリと距離は、例えば、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報より得ることができる。図58は、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報に登録された各施設の詳細情報を示したものである。図58に示されるように、本発明における地図情報には、実施の形態1で説明されたように、施設のノードIDと、緯度経度等で表された位置、ノードの名称、ノードのカテゴリが蓄積されている。図57に示された目的地の一つである移動履歴ID「001」の目的地「丸山ゴルフ場」は、図58より、位置「東経135度34分00秒、北緯34度40分00秒」に位置し、カテゴリは「ゴルフ施設」となっている。同様に、移動履歴ID「025」の目的地「ダイエイA」は、図58より、位置「東経135度54分00秒、北緯34度50分00秒」に位置し、カテゴリは「スーパー」となっている。移動コスト演算部125は、この位置情報から、主要基点である自宅と各ノードとの直線距離を、移動コストとして算出する。
図59は、「丸山ゴルフ場」と自宅との位置関係を示す地図である。自宅の位置と丸山ゴルフ場の位置より、ここでは20kmと算出されている。
一方、図60は、「ダイエイA」や「ヨカドーA」と自宅との位置関係を示す地図である。自宅と「ダイエイA」との距離は3km、「ヨカドーA」との距離は5km等、自宅に対する距離が算出されている。
このように、ユーザは、普段、自宅などの基点となる地点から様々な施設へ訪れ、その施設のカテゴリもユーザの好みが反映されるのが一般的である。本例に示すユーザは、ゴルフが趣味で、ゴルフ場へよく訪れている。また、スーパー等へ買い物に行くこともよくあり、履歴をもとに、これらユーザの嗜好を判断することができる。一方、単に移動履歴として蓄積された施設のみでは必ずしもユーザの行動を反映したものとは限らない。本例のユーザは、ゴルフ場の場合にはたとえ20kmと遠くても訪れるが、スーパーについては、20kmも先のスーパーへ訪れることはなく、5km等、比較的近いスーパーを訪れている。したがって、新たにスーパーが建設され、それが反映された種類の地図(例えば、買い物専用地図など)が更新されていたとしても、自宅近辺のエリアにおいては適切な地図といえるが、遠く離れたエリアにおいては、買い物専用地図は必ずしもユーザにとって適切な地図とはいえない。また、新たにゴルフ場ができ、それが反映されたゴルフ専用地図が更新されたとしても、20kmまでならユーザが訪れるので、そのようなゴルフ専用地図はそのユーザに有益であるが、ユーザが許容できる範囲である20kmを大きく離れたエリアについては、ゴルフ専用地図で更新することがそのユーザにとって有益とも限らない。
そこで、本実施の形態では、これら目的地のカテゴリとその移動コスト(ここでは、距離)を用いて、目的地のカテゴリごとにユーザが許容できる距離範囲(以下、「許容範囲」という。)を算出し、それを行動モデルとして算出する。
そのために、行動範囲分類部127は、目的地のカテゴリごとの許容範囲を算出し、行動モデル生成部128は、その許容範囲を示すテーブルを行動モデルとして生成し、行動モデル蓄積部129に格納する。ここでは、カテゴリ「ゴルフ施設」である「丸山ゴルフ場」までの距離は20kmであり、「ゴルフ施設」についての許容範囲を20kmとする。また、カテゴリ「スーパー」である「ダイエイA」までの距離は3km、「ヨカドーA」までの距離は5kmであり、「スーパー」についての許容範囲を5kmとする。これは、少なくとも遠い方である5kmまでは許容範囲と考えることができるためである。このように各カテゴリに該当する複数の施設のうち、最も遠い距離を許容範囲としている。なお、各カテゴリに該当する複数の施設までの距離から、平均距離を算出し、その平均距離を許容範囲としてもよい。頻繁に訪れる、あるカテゴリに該当する施設の平均距離を算出することで、ノイズを除去した、よりユーザの行動を反映した許容範囲を算出できるからである。また、単に直線距離を算出するのではなく、経路探索等を行い、所要時間を用いてもよい。例えば、ゴルフ場等の場合、その開始時間が重要となるため、20kmといった直線距離ではなく、普段の走行をもとに、例えば、2時間内で行ける範囲等、所要時間を許容範囲としてもよい。これによって、単に直線距離ではなく、実際の経路状況を考慮した行動モデルを生成することが可能となる。
図61は、行動モデル生成部128で生成されたユーザの行動モデルを示すテーブルである。ここでは、「自宅」を主要基点とし、目的地のカテゴリ「ゴルフ施設」の許容範囲は「20km」、「スーパー」の許容範囲は「5km」等、カテゴリごとに許容範囲が算出されている。
図62は、図61に示される許容範囲を示す地図である。ここでは、自宅を中心とした許容範囲と、該当する施設が示されている。許容範囲5km以内にはカテゴリ「スーパー」である「ダイエイA」、「ヨカドーA」が地図上に示されている。また、許容範囲20km以内にはカテゴリ「ゴルフ施設」である「丸山ゴルフ場」が地図上に示されている。ユーザが訪れる施設には、その目的やカテゴリ等に応じた、距離や時間的に許せる範囲が存在するのが一般的である。本例のユーザの場合、ゴルフ場なら20kmくらいの長距離であっても向かうが、スーパー等の場合、わざわざ遠く離れたスーパーへ訪れることはなく、5km以内の近所で用を済ませる傾向があり、これら行動の特性を反映させた行動モデルが示されている。
地図情報選択部104aは、行動モデル蓄積部129に蓄積された行動モデルをもとに、第1更新地図情報提供部108、第2更新地図情報提供部109等、各種類の地図情報を提供する処理部から適切な地図を選択する処理部である。選択された地図は、実施の形態1と同様、地図情報更新部105によって更新地図情報として更新地図情報蓄積部106に蓄積されて更新される。更新地図情報蓄積部106に蓄積された更新地図情報は、更新情報通知部107によってユーザに通知されたり、合成表示部117によって、地図情報蓄積部103に蓄積された地図情報と合成して表示される。
図63は、地図情報選択部104aの詳細な構成を示すブロック図である。本実施の形態における地図情報選択部104aは、更新領域特定部130、地図種類判定部131、行動モデル参照部132、選択地図決定部133から構成される。
更新領域特定部130は、地図が更新された地域を特定する処理部である。実施の形態1で説明したように、地図は所定のエリアごとに分割されているのが一般的である。具体的には、図3に示されるように、所定のエリアごとにメッシュ状に分割され、各メッシュにおいて、図4に示されるように、階層構造で情報が蓄積されている。更新領域特定部130は、各提供会社から更新される地図のどの領域が更新されたかを特定する。
図64は、図62と同じ地域を示した地図である。ここでは、メッシュ状に区切られ、各メッシュに「M11」、「M12」等、IDが付与された地図情報が示されている。第1更新地図情報提供部108に蓄積されるA社から提供される地図および第2更新地図情報提供部109に蓄積されるB社から提供される地図は、このようにメッシュ状で区切られた地域ごとに地図を提供するものとする。更新領域特定部130は、各社から提供される地図の更新領域(例えば、メッシュID)を特定する。
図65は、A社から提供された地図を示す図である。このA社からの地図は「買い物」に関する専用地図とし、スーパーの施設や、商用情報が豊富な地図とする。図64と比較して、メッシュID「M22」、「M33」が更新されている。メッシュID「M22」には、新たにスーパー「ジャスコーA」ができ、いち早く当該施設の情報やランドマークが反映された地図が提供されている。また、メッシュID「M33」には新たに「マルエーA」ができ、当該施設の情報やランドマークが示されている。
図66は、B社から提供された地図を示す図である。このB社からの地図は「ゴルフ」に関する専用地図とし、ゴルフ場の施設や、ゴルフショップ情報が豊富な地図とする。図64と比較して、メッシュID「M11」、「M33」、「M44」が更新されている。メッシュID「M11」には、新たにゴルフ場「宮里ゴルフ場」、メッシュID「M33」には、新たに「さくらゴルフ場」、メッシュID「M44」には、新たに「尾崎ゴルフ場」ができ、当該施設の情報やランドマークが示されている。更新領域特定部130はこのように各社から部分的に更新された地図の領域を特定する処理部であり、A社から提供される地図は「M22」および「M33」が、B社から提供される地図は「M11」、「M33」、「M44」が更新されたと特定する。
地図種類判定部131は、各社から提供される地図の種類を判定する処理部である。実施の形態1における図9にも示されるように、提供される地図には「地図の種類」に関する情報が蓄積されているものとし、地図種類判定部131は、この情報を用いて地図の種類を特定する。ここでは、図65に示すA社からの地図は「買い物」専用、B社からの地図は「ゴルフ」専用等、地図の種類が特定される。
行動モデル参照部132は、行動モデル蓄積部129に蓄積された行動モデルを参照する読み出し処理部である。
選択地図決定部133は、参照された行動モデルを用いて、選択する更新地図を決定する。例えば、更新地図内に行動モデルとして算出された範囲が一部でも含まれる場合、選択地図決定部133は、その領域の地図は行動モデルに該当する種類の地図(更新領域特定部130で特定され、地図種類判定部131で判定された種類の領域)で更新すると決定する。なお、複数該当する種類が存在する場合は、占有する割合が多い種類を選択することとしてもよい。以下、具体例を用いて説明する。
ここでは、図61に示されるように、ユーザは許容範囲20km以内のゴルフ施設、許容範囲5km以内のスーパー等が示された行動モデルが算出されている。図67は、この行動モデルを図64に示す地図上に表したものである。図67には、許容範囲20km以内のゴルフ施設および許容範囲5km以内のスーパー等を示す行動モデルが点線で囲む円で示されている。メッシュID「M11」は行動モデルの一つである許容範囲20km以内に該当するため、ゴルフ専用地図で更新することとなる。同様に、メッシュID「M12」、「M13」、「M21」、「M23」、「M24」、「M31」、「M32」、「M33」も許容範囲20km以内の領域が多く含まれるため、ゴルフ専用地図で更新することとなる。一方、メッシュID「M22」は許容範囲5km以内の領域が多く含まれるため、「買い物」専用地図で更新することとなる。
図68は、行動モデルによって地図を更新した図を示したものである。具体的には、メッシュID「M11」はゴルフ専用地図で更新することとなるため、B社から提供されるメッシュID「M11」で更新されており、地図上に新たに宮里ゴルフ場ができている。メッシュID「M22」は行動モデルによると買い物専用地図で更新することとなるため、A社から提供されるメッシュID「M22」で更新されており、地図上に新たに「ジャスコーA」ができていることが分かる。
メッシュID「M33」は行動モデルによるとゴルフ専用地図で更新することとなるため、B社から提供されるメッシュID「M33」で更新されており、地図上に新たに「さくらゴルフ場」ができていることが分かる。この「M33」は、図65に示されるようにA社から提供される更新地図で更新することも可能であるが、本ユーザはB社から提供されるゴルフ専用地図を更新している。ユーザの行動特性を反映した行動モデルを参照すると、必ずしも適さない場合もあるからである。つまり本例のユーザは、自宅近辺5km以内等近所では買い物等を目的に移動することはあるが、それ以上遠くまで買い物することがないため、必ずしもこの買い物専用地図で更新することは適切ではなく、不要な場合もある。一方、ゴルフのためには20km以内までは行動することがあり、これらの特性が反映されて行動モデルとして算出されている。したがって行動モデルをもとにメッシュID「M33」はゴルフ専用地図で更新することとなる。
一方、さらに離れたメッシュID「M44」において、ゴルフ専用地図が更新されてはいるが、本ユーザについては更新されていない。これも行動モデルを反映したものである。つまり、20km以内に属するメッシュID「M33」まではゴルフ目的で移動することもあるが、たとえゴルフのためでもそれ以上離れたところまで向かうことはなく、本ユーザにとっては不要だからである。
一般的に移動履歴は各ユーザの好みを反映することが可能であり、ユーザが好きなゴルフ場などの施設やカテゴリ、ジャンル等を判定することができる。しかし、これらすべてがユーザの好みとは限らない場合がある。ゴルフ場ならば20kmくらいまで遠出してでも行きたいが、単にスーパー等へ買い物に行く場合は近所で済ませたいなど、ユーザごとにその許せる範囲というものが存在する。そこで、行動モデルを用いて行動モデルに応じた地図を選択更新することで、よりユーザのニーズに応じた地図を提供することが可能となる。
また、今後、提供される情報がリアルタイムで地図に更新され、それを任意のタイミングで取得が可能となる環境において、ユーザに必要な地図のみを部分的に取得する必要が生じてくる。一方、カーナビ等の場合、特に運転中などはドライバーの運転注意を妨げることは好ましくなく、行動モデルに基づいてユーザが必要案地図を自動的に選択して更新することでより安全に運転することもでき、本発明の効果をより効果的に発揮する。
図69は、更新情報通知部107による更新地図の通知例を示す図である。実施の形態1と同様、カーナビ画面左にB社から提供された地図が更新され、「宮里ゴルフ場」が新規にできた旨が通知されている。
なお、本実施の形態では、主要基点ごとにカテゴリと許容範囲が算出されている。したがって、より柔軟にユーザの行動特性に応じた地図更新が可能となる。以下、主要基点の意義について、図を用いて説明する。
図70は、別の主要基点「会社」を基に算出された目的地のカテゴリと許容範囲のテーブル(行動モデル)例を示す図である。目的地のカテゴリとして「レストラン」や「スーパー」が特定され、各々ユーザの行動に応じた許容範囲が算出されている。つまり、本ユーザは会社帰りにスーパーへ寄って買い物をしたり、夕食のためにレストラン等へ寄る場合があり、これらを反映している。
図71は、図67等と同様、地図上に行動モデルのうち「スーパー」の許容範囲を示す地図である。会社を中心として半径3km以内がスーパーの許容範囲として示されている。本ユーザは会社帰りに「ジャスコーB」へ寄ることがあり、これらを反映した行動モデルが示されている。
図72は、A社から提供される「買い物」専用地図で更新された領域を示す地図である。図71と比較して、メッシュID「M14」、「M33」、「M34」が更新されていることが示されている。具体的には、メッシュID「M14」には、新たにスーパー「ダイエB」、メッシュID「M33」には新たに「ジャスコーA」、メッシュID「M34」には新たに「マルエーA」ができ、当該施設の情報やランドマークが示されている。
図73は、図71に示す行動モデルを図73に示すA社から提供される地図に対応させて表したものである。メッシュID「M22」、「M32」、「M33」は、図61にも示す自宅を中心とした半径5km以内である目的地カテゴリ「スーパー」の領域を含むため、更新する地図の種類も「買い物」専用となっている。さらに、会社を中心とした半径3km以内も、図70に示されるように、目的地カテゴリ「スーパー」となっているため、この領域を含む「M14」も「買い物」専用地図で更新することとなっている。メッシュID「M11」、「M12」等は対応する行動モデルがないため、地図の種類は「一般地図」で更新することとなっている。また「M34」も「一般地図」で更新することとなっている。このように行動モデル蓄積部129に蓄積された行動モデルを参照し、選択地図決定部133において地図を決定し、地図情報更新部105によって地図を更新することとなる。
図74は、図71に示す地図に対し、図72に示す提供された地図のうち、図73に示す行動モデルを参照して地図を更新した例を示す図である。図74において、メッシュID「M14」と「M33」の領域が更新されている。図72に示されるように、店が新たにできたりして更新された地図はメッシュID「M14」、「M33」、「M34」と複数にわたり提供されているが、本例に示すユーザは、自宅を中心とした5km以内、および会社を中心とした3km以内等、ユーザ独自にその目的ごとに行動範囲を示す領域が算出されており、この行動モデルを基に、必要な部分のみ地図を選択して更新することとなる。単に5km外であるマルエーAとは異なり、会社帰りによるスーパーとしては、ユーザにとっては重要となるため、この新たにできた「ジャスコーB」もユーザにとっては必要な情報である可能性が高い。このように、主要基点ごとに算出された行動モデルを用いることで、よりユーザの行動に応じた適切な情報通知が可能となる。
次に、本実施の形態における移動体端末100cの動作について、図75、図76、図77、図78に示すフローチャートをもとに説明する。本実施の形態におけるフローチャートにおいて、ステップS101からステップS103は実施の形態1と同様である。
まず、位置情報検出部101は、移動体端末100cの位置を検出する(ステップS101)。次に、位置情報検出部101は、検出された位置情報をもとに地図を参照するなどして目的地を抽出する(ステップS102)。目的地の詳細は、図15に示される通りである。
続いて、位置情報検出部101は、移動履歴蓄積部102に、目的地を移動履歴として蓄積する(ステップS103)。図54に示される移動履歴の例のように、移動履歴ID「001」として、目的地「丸山ゴルフ場」、目的地への到着時刻「8時50分」等を蓄積する。
次に、行動モデル算出部122は、移動履歴より、行動モデルを算出する(ステップS1041)。
より詳細には、主要基点抽出部123は、まず、主要基点を算出する。ここでは、目的地の到達頻度や平均滞在時間をもとに行う。具体的には、主要基点抽出部123は、移動履歴の目的地IDおよび到着時刻を参照する(図76のステップS901)。そして、次の移動履歴の出発地の出発時刻を参照する(ステップS902)。そして、当該IDの滞在時間を算出する(ステップS903)。図71に示す移動履歴では、主要基点抽出部123は、移動履歴ID「001」の目的地である「丸山ゴルフ場(N51)」の到着時刻8時50分と、次の移動履歴ID「002」の出発時刻16時45分より、滞在時間5時間55分(16時45分−8時50分)と算出する。
次に、主要基点抽出部123は、当該IDの頻度を1インクリメントし(ステップS904)、滞在時間を加算する(ステップS905)。そして、主要基点抽出部123は、すべての履歴を参照したか否かを判定し(ステップS906)、参照した場合は(ステップS906のYes)ステップS908へ、していない場合は(ステップS906のNo)、ステップS901へループし、各IDの頻度と滞在時間の算出を繰り返す。
すべてのIDの頻度と滞在時間の算出が終了したら(ステップS906のYes)、主要基点抽出部123は、各IDの頻度と滞在時間を参照し(ステップS908)、滞在時間を頻度で割ることで(ステップS909)、当該IDの平均滞在時間を算出する(ステップS910)。そして、主要基点抽出部123は、頻度と平均滞在時間は閾値以上か否かを判定し(ステップS911)、閾値以上の場合(ステップS911のYes)、そのID(ノード)を主要地点とする(ステップS912)。閾値未満の場合(ステップS911のNo)は、ステップS913へ移る。主要基点抽出部123は、すべてのIDについて参照したか否かを判定し(ステップS913)、参照していない場合(ステップS913のNo)、次のIDを参照し(ステップS914)、すべてのIDについて判定を行った場合(ステップS913のYes)終了する。この動作を繰り返すことで、例えば図56に示されるように自宅(N100)の頻度「320回」、平均滞在時間「16時間20分」等、ユーザが主に行動の基点となる地点が抽出されることとなる。
次に、抽出された主要基点ごとに、目的地参照部124は、目的地を参照する(図77のステップS915)。そして、移動コスト演算部125は、出発地の位置を参照し(ステップS916)、それら目的地と出発地の位置とから、移動コスト(ここでは、距離)を演算する(ステップS917)。また、ランドマーク情報抽出部110は、当該目的地のカテゴリを特定する(ステップS918)。
行動範囲分類部127は、行動範囲を分類するために、当該カテゴリの移動コスト(距離)が、それまでに演算された当該カテゴリの移動コストよりも大きいか否か(初期値は0とする)を判定する(ステップS919)。大きい場合はステップS920へ、小さい場合はステップS915へと戻る。そして大きい場合(ステップS919のYes)、当該カテゴリの許容範囲とする(ステップS920)。行動範囲分類部127は、すべての移動履歴について行ったかを判定し(ステップS921)、まだの場合(ステップS921のNo)、ステップS915へ、すべての履歴について行った場合(ステップS921のYes)、ステップS922へと進む。そして、得られた当該カテゴリと許容範囲は、行動モデルとして、行動モデル生成部128によって行動モデル蓄積部129に蓄積される(ステップS922)。行動範囲分類部127は、すべてのカテゴリについて行ったかを判定し(ステップS923)、まだの場合(ステップS923のNo)、次のカテゴリを参照し(ステップS924)、ステップS922へと戻る。一方、すべてのカテゴリについて行った場合(ステップS923のYes)、生成された行動モデルは、行動モデル生成部128によって行動モデル蓄積部129へと蓄積される(ステップS925)。
次に、地図情報選択部104は、生成された行動モデルを参照し、地図情報を選択する(ステップS1051)。
より詳細には、まず、更新領域特定部130は、提供される地図情報より、更新地図を特定する(図78のステップS801)。更新領域特定部130は、更新領域が存在するか否かを判定し(ステップS802)、存在する場合(ステップS802のYes)はステップS803へ進み、存在しない場合(ステップS802のNo)終了する。存在する場合(ステップS802のYes)、地図種類判定部131は、更新地図の種類を判定する(ステップS803)。一方、行動モデル参照部132は、行動モデル蓄積部129に蓄積されている行動モデルを参照する(ステップS804)。そして選択地図決定部133は、更新領域特定部130で特定された更新領域の種類(地図種類判定部131で判定された種類)が行動モデルに基づく地図の種類に該当するか否かを判定し(ステップS805)、該当する場合(ステップS805のYes)、当該地図を選択し(ステップS806)、該当しない場合(ステップS805のNo)、終了する。
なお、図75のステップS106からステップS108までは実施の形態1と同様である。つまり、地図情報選択部104aが選択された地図を更新し(ステップS106)、更新地図情報蓄積部106へと蓄積する(ステップS107)。そして更新情報通知部107は、更新された地図の情報を通知する(ステップS108)。
なお、本実施の形態における主要基点の抽出は、ユーザが過去に到達した目的地をもとに行われた。つまり、主要基点抽出部123は、移動履歴蓄積部102に蓄積された移動履歴の目的地等より主要な基点となる地点を抽出した。そして、当該地点から各カテゴリに対する許容範囲を求めて行動モデルが算出された。しかしながら、ユーザが基点とする地点は目的地に限ったものではない。例えば、普段通勤に利用する経路や、主要な交差点等を主要基点としてもよい。以下、図79を用いて、主要基点の他の例を説明する。
図79に示す地図には、図71等と同様、自宅から会社へ通勤する際のユーザの移動が黒い太線で示されている。この移動経路は「国道100号線」であることが示されている。本例に示すユーザは会社帰りにレストラン「サンゼリア」へ寄ることがあるとする。本実施の形態では、移動履歴は、図54に示されるように、出発地と目的地のみを蓄積したが、図34等で示されるように、移動経路も蓄積しておくことで、ユーザの行動特徴を反映した主要な経路等も抽出することが可能となる。本例のユーザの場合、主要基点として「国道100号線」が抽出されることとなる。そして、行動モデルとして、この主要基点「国道100号」に対してカテゴリ「レストラン」が対応して算出されることとなる。また、主要基点が経路の場合は、許容範囲を経路沿い等としてもよい。これにより、ユーザは通勤時に国道100号線を利用し、さらに国道100号線では食事をするためにレストランを利用する等、ユーザの行動を反映した行動モデルが算出される。
いま、図79に示される地図が更新され、新たにレストラン「リーガルホスト」が開店した情報が得られたとする。この場合、行動モデルとして「国道100号線」と「レストラン」が対応して算出されており、新規店舗「リーガルホスト」は行動モデルに該当するため、当該領域の地図を更新し、ユーザに通知することとなる。通勤時に普段レストランで食事をする本ユーザにとって、その通勤経路沿いに新規レストランができた場合、その情報は必要である場合が多く、自動的に更新されるので、煩雑な操作なく、有益な地図情報を取得することができる。
また、本実施の形態では、地点とその距離をもとに、地点のカテゴリごとに許容範囲を決定して行動モデルが算出されたが、行動モデルの算出はこのような手法に限ったものではない。例えば、移動履歴より日時情報を用いて行動モデルを算出してもよい。一般的に、ユーザは、平日と休日でその行動エリアを異にする場合が多い。例えば、平日は会社等への通勤のため、通勤経路とその周辺を行動のエリアとし、休日は娯楽施設や市街地等へ移動し、また、自宅周辺は休日か平日を問わず行動する等、ユーザの行動は日時に依存する場合が多い。そこで、移動履歴より、その移動が平日か休日かによって、行動エリアを分類し、行動モデルを算出することとしてもよい。以下、図を用いて具体例を説明する。
図80に示す地図には、点線で囲む「休日エリア」と「平日エリア」を分類したエリアが示されている。これらは、移動履歴として蓄積された日時情報をもとに特定することが可能である。本例に示すユーザは、平日は自宅と会社の往復およびその周辺を行動の範囲としており、平日の履歴をマッピングすることで、これら平日エリアを特定できる。一方、休日はショッピングや映画などの娯楽のために行動することが多く、これら休日の履歴をマッピングすることで、休日エリアを特定することが可能である。
図81は、これら各エリアに対応するカテゴリを抽出した行動モデルの例を示す図である。平日エリアに対しては、カテゴリ「レストラン」が対応して蓄積されている。一方、休日エリアに対しては、カテゴリ「映画館」、「百貨店」が蓄積されている。ユーザによっては、その日時によって行動を主にするエリアが異なる場合がある。したがって、平日にしか行かない会社近辺に新たに映画館ができたとしても、必ずしもユーザにとっては必要な情報とは限らない。しかし、主に休日に行動するエリアで新たに映画館ができた場合、その映画館に関する情報は必要であることが多い。そこで、映画に関する情報等に詳しい映画館専門地図などが更新された場合、休日エリアに対しては選択して更新し、一方、平日エリアでは不要なため、更新しない等、ユーザのニーズに応じた地図更新が可能となる。
また、選択して更新することで料金や通信コストを抑制することも可能となる。例えば、ある専門分野に詳しい専用地図はその分だけ付加価値があり、一般的な地図と比較して費用がかかる場合がある。すべての地域を専用地図で更新するにはその分コストがかかるが、ユーザ毎に必要なエリアに応じて必要な種類の地図を更新することで、通信コストや地図取得の費用を抑えることも可能となる。
また、本実施の形態では、算出された行動モデルをもとに地図情報を選択する際、地図情報には予めその地図の種類を示した情報が付与されており、行動モデルに該当する地図の種類を選択して更新した。また、実施の形態1のように、ランドマーク情報抽出部110において抽出されたランドマーク情報をもとに地図を選択更新する場合も、あらかじめ記された地図の種類をもとに選択した。そのために、異なる地図提供会社から異なる種類の地図が提供されるような環境下において、その地図の種類を特定してユーザに適切な地図を選択する必要がある。例えば、図11に示す地図種類「ゴルフ専用」のように、地図に明確な種類が記されている場合はその種類をもとに選択して更新することができるが、必ずしも各地図にこれら地図の種類が記されているとは限らない。そこで、実施の形態1では、地図情報に記されたテキストを解析し、地図の種類を判定することも可能であることを説明した(図25参照)。ここでは、さらに、両地図に共通する施設を特定し、特性された施設に関する情報から地図の種類を判定する方法について説明する。
図82は、本実施の形態の変形例における移動体端末100dの構成を示すブロック図である。この移動体端末100dは、図53に示される実施の形態4における移動体端末100cと略同様の構成を備え、実施の形態4の地図情報選択部104aに代えて地図情報選択部104bを備える点、および、地図種類判定部131をさらに備える点が実施の形態4と異なる。以下、実施の形態4と同一の構成要素については同じ符号を付与し、異なる点を中心に説明する。
地図種類判定部131は、第1更新地図情報提供部108および第2更新地図情報提供部109から提供される各更新地図情報の種類を判定する処理部であり、図83に示されるように、さらに、比較領域選択部134、同一施設特定部135、カテゴリ密度算出部136、カテゴリ情報規則生成部137およびカテゴリ情報規則蓄積部138から構成される。
比較領域選択部134は、第1更新地図情報提供部108から提供される第1地図と第2更新地図情報提供部109から提供される第2地図のうち、比較する領域を選択する処理部である。例えば地図が更新される領域であって共通する領域を比較する領域として選択する。
図84は、第1更新地図情報提供部108に蓄積された更新地図であって、A社から提供される地図とする。このA社から提供される第1地図は、特にゴルフ関連に詳細な専門地図とする。そしてメッシュID「M11」の領域に更新があったとする。一方、図85は第2更新地図情報提供部109に蓄積された更新地図であって、B社から提供される地図とする。このB社から提供される第2地図は、コンビニ等、商用情報に詳細な専門地図とする。そしてメッシュID「M11」の領域に更新があったとする。比較領域選択部134は、この例では、「M11」を比較する領域として特定する。
同一施設特定部135は、比較する地図上の同一施設を特定する処理部である。
カテゴリ情報規則生成部137は、同一と特定された施設に関する情報から、異なる地図情報であっても対比できるように、カテゴリに関する情報の規則を生成する処理部であり、生成したカテゴリに関する情報の規則をカテゴリ情報規則蓄積部138へと蓄積する。
カテゴリ密度算出部136は、カテゴリ情報規則生成部137で生成されたカテゴリ情報規則を基に、カテゴリに属するランドマークの密度を算出し、地図の種類を判定する。以下、具体例を用いて説明する。
いま、地図情報は、実施の形態1における図4に示されるように、階層構造になっているとする。施設等の詳細な情報を示すランドマーク情報の層が設けられている。図86は、図84に示される第1地図、および、図85に示される第2地図のランドマーク情報の層を対比させて示した図である。ここでは、施設の一つである「片山ゴルフ場」に関する情報が各地図に蓄積されている。具体的には、第1地図には、ID「L51」、位置「東経135度00分、北緯34度00分」、名称「片山ゴルフ場」、カテゴリ「ゴルフ施設」と蓄積されている。第2地図には、ID「P101」、位置「東経135度00分、北緯34度00分」、名称「片山ゴルフ場」、カテゴリ「ゴルフ場」と蓄積されている。同様に、「ルーソン白山店」に関する情報も各地図に蓄積されている。具体的には、第1地図には、ID「L52」、位置「東経135度10分、北緯34度10分」、名称「ルーソン白山店」、カテゴリ「コンビニ」と蓄積されている。第2地図には、ID「P102」、位置「東経135度10分、北緯34度10分」、名称「ルーソン白山店」、カテゴリ「コンビニエンスストア」と蓄積されている。
地図情報に、図9や図11に示されるように、地図情報として地図の種類に関する情報が与えられている場合、抽出されたユーザの行動特性をもとに対応する種類の地図を選択更新することができるが、必ずしも地図の種類が明記されているとは限らない。この場合、各地図情報を対比し、例えば、ユーザがよく訪れる施設のカテゴリに属するランドマークの数等を比較して地図の種類を判定し、選択更新する必要が生じる。ところが、地図が異なるため、この施設のカテゴリ自体、共通とは限らず、正確に対比することが困難となる場合がある。本例の場合、各地図情報において、「丸山ゴルフ場」は同一の施設を示すものであるから、位置は同一であることが分かる。一方、施設の属性を示す「カテゴリ」としては、第1地図では「ゴルフ施設」と蓄積されているのに対し、第2地図では「ゴルフ場」と蓄積されていることが分かる。このように、地図情報は同じ地理的情報を示したものであっても、提供会社が異なる場合等、地図によっては異なる体系で蓄積されているため、単にカテゴリに属するランドマークの数や密度を対比しても両地図の体系が統一化されていないため、対比することができない。そこで本実施の形態では、同一施設を特定し、特定された同一施設の情報から、地図を対比できるようにカテゴリ情報の規則を生成する。
同一施設特定部135は、ランドマーク情報のうち、施設の位置に関する情報をもとに同一の施設を特定する。例えば、図86に示される例では、「丸山ゴルフ場」を示す施設は位置「東経135度00分、北緯34度00分」で同一に位置するため、これらは同一の施設であると特定する。
カテゴリ情報規則生成部137は、同一と特定された施設をもとに、カテゴリの規則を生成する。例えば、A社提供の第1地図では、「丸山ゴルフ場」はカテゴリ「ゴルフ施設」となっており、第1地図ではゴルフ場のことをカテゴリ「ゴルフ施設」として蓄積していることが分かる。一方、B社提供の第2地図では、「丸山ゴルフ場」はカテゴリ「ゴルフ場」となっており、第2地図では、ゴルフ場のことをカテゴリ「ゴルフ場」として蓄積していることが分かる。よって、カテゴリ情報規則生成部137は、両地図場のランドマークを正確に対比できるように、カテゴリ「ゴルフ施設」とカテゴリ「ゴルフ場」は同じ種類の施設を表しているものであるという規則を生成し、カテゴリ情報規則蓄積部138に蓄積する。
図87は、カテゴリ情報規則生成部137で生成され、カテゴリ情報規則蓄積部138に蓄積されたカテゴリ情報に関する規則の例を示す図である。カテゴリ「ゴルフ施設」とカテゴリ「ゴルフ場」は同じ種類の施設(以下、同じ種類の施設を示すカテゴリを「同類カテゴリ」と呼ぶ。)を表しているものであるという規則が生成され、蓄積されている。第1地図において、「ルーソン白山店」はカテゴリ「コンビニ」となっており、第1地図では、コンビニのことをカテゴリ「コンビニ」として蓄積されている。一方、第2地図において、「ルーソン白山店」はカテゴリ「コンビニエンスストア」となっており、第2地図では、コンビニのことをカテゴリ「コンビニエンスストア」として蓄積されている。この例では、両地図場のランドマークを正確に対比できるように、カテゴリ「コンビニ」とカテゴリ「コンビニエンスストア」は同じ種類の施設を表しているものであるという規則が生成され蓄積される。つまり、図87に示されるように、カテゴリ「コンビニ」とカテゴリ「コンビニエンスストア」は同類カテゴリである旨が示される。
カテゴリ密度算出部136は、比較領域選択部134で選択された比較する領域上のランドマークの密度を算出し、ランドマーク密度をもとに地図の種類を判定する処理部である。
図88は、図84に示す第1地図であって比較領域であるメッシュID「M11」上に存在するランドマークをリスト表示するとともに、カテゴリ密度算出部136によって算出されたカテゴリごとのランドマークの数(カテゴリ密度)を示す図である。第1地図のメッシュID「M11」には、「丸山ゴルフ場」、「さくらゴルフ場」など、カテゴリ「ゴルフ施設」に属する施設が「5箇所」存在すると算出されている。一方、カテゴリ「コンビニ」は「ルーソン白山店」の「1箇所」存在すると算出されている。なお、領域が同一であるため、ここではランドマークの密度とランドマークの数は比例するため、数(箇所)で表すこととする。
一方、図89は、図85に示す第2地図であって比較領域であるメッシュID「M11」上に存在するランドマークをリスト表示するとともに、カテゴリ密度算出部136によって算出されたカテゴリごとのランドマークの数(カテゴリ密度)を示す図である。第2地図のメッシュID「M11」には、カテゴリ「ゴルフ場」に属する施設は「丸山ゴルフ場」の「1箇所」存在すると算出されている。一方、カテゴリ「コンビニエンスストア」は「ルーソン白山店」の他、合計「4箇所」存在すると算出されている。
ここで、両地図を比較しようとした場合、単に各カテゴリを対比させたのでは正確に比較することができない。地図によっては施設のカテゴリを示す用語が必ずしも共通しているとは限らず、本例の場合、カテゴリ「ゴルフ施設」と「ゴルフ場」とで異なっていたり、あるいはカテゴリ「コンビニ」と「コンビニエンスストア」とで異なっているからである。本変形例では、カテゴリ情報規則生成部137によって、これらはカテゴリ情報規則として同一である旨が生成され、生成されたカテゴリ情報規則はカテゴリ情報規則蓄積部138へ蓄積される。そこで、これらカテゴリ情報規則を参照することで、両地図を対比させることができ、地図の専門性を判定することができる。
例えば、カテゴリ「ゴルフ施設」と「ゴルフ場」とは同類カテゴリである旨がカテゴリ情報規則として蓄積されているため、第1地図と第2地図を比較することが可能となる。地図情報選択部104bは、ゴルフに関する地図としては、第1地図の方がカテゴリ「ゴルフ施設」の密度が多いため専門性があると判定することができ、これら過程を経て、実施の形態1と同様に、第1地図を選択し、地図情報更新部105によって更新されることとなる。あるいは、カテゴリ「コンビニ」と「コンビニエンスストア」とは同類カテゴリである旨がカテゴリ情報規則として蓄積されているため、第1地図と第2地図を比較することが可能となる。地図情報選択部104bは、コンビニに関する地図としては、第2地図の方がカテゴリ「コンビニエンスストア」の密度が多いため専門性があると判定することができ、第2地図を選択し、地図情報更新部105によって更新されることとなる。
このように、提供される各地図情報は、地図ごとに異なるフォーマットで蓄積されているのが一般的であり、これら地図をユーザの行動モデルに応じて選択して更新するためには、各地図がどの分野に専門性があるかを判定する必要が生じる。そこで、この変形例では、対比させるための地図上で同一の施設を特定し、施設のカテゴリの関係を示す規則を生成することで、正確に比較することが可能となり、地図の専門性を判断することが可能となる。
次に、本変形例における移動体端末100dの地図種類判定部131による図の種類の判定動作について、図90に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、比較領域選択部134は、第1地図を参照するとともに(ステップS1001)、第2地図を参照し(ステップS1002)、比較する領域を特定する(ステップS1003)。
そして、同一施設特定部135は、同一施設を特定するために、第1地図上の所定の施設の位置、例えば、IDの若い順に施設の位置を参照し(ステップS1004)、第2地図上の同じ位置を参照することで(ステップS1005)、施設が存在するか否かの判定を行う(ステップS1006)。存在する場合(ステップS1006のYes)はステップS1009へ進む。一方、存在しない場合(ステップS1006のNo)は、すべての施設を参照したかを判定し(ステップS1008)、まだの場合(ステップS1008のNo)、次の施設を参照し(ステップS1009)、再びステップS1005へと戻る。すべての施設を参照した場合は(ステップS1008のYes)終了する。
施設が存在する場合(ステップS1008のYes)、同一施設特定部135は、同一施設として特定する(ステップS1009)。そして、カテゴリ情報規則生成部137は、カテゴリの施設を参照し(ステップS1010)、カテゴリ情報規則を生成し(ステップS1011)、生成したカテゴリ情報規則をカテゴリ情報規則蓄積部138に蓄積する(ステップS1012)。
次に、カテゴリ密度算出部136は、カテゴリに属する施設の密度を算出する(ステップS1013)。そして、カテゴリ密度算出部136は、カテゴリ情報規則を参照し(ステップS1014)、地図を対比することで地図の種類を判定する(ステップS1015)。
なお、本変形例では、生成されたカテゴリ情報規則がカテゴリ情報規則蓄積部138へと蓄積される。これは、更新された地図を考慮するためのものである。以下、その意義を説明する。つまり、実施の形態1では、移動履歴蓄積部102に蓄積されたユーザの目的地からランドマークを抽出し、地図を選択することとした。このとき、目的地のカテゴリは地図情報蓄積部103に蓄積された施設のランドマークのカテゴリを用いて算出している。ところが、本移動体端末を使用していくうちに、次第に複数の地図が混在するようになり、必ずしもユーザの好む目的地のカテゴリを算出することができなくなってくる。つまり、ゴルフが好きなユーザが同じゴルフ関係の施設を訪れても、ある場所では「ゴルフ施設」として蓄積され、ある場所では「ゴルフ場」として蓄積され、両者は別の施設としてカウントされてしまうこととなる。そこで、生成されたカテゴリ情報規則をカテゴリ情報規則蓄積部138に蓄積しておき、実施の形態1におけるランドマーク情報抽出部110、あるいは、本実施の形態4における行動モデル算出部122でカテゴリ情報規則を参照することとしてもよい。これにより、異なる地図が混在するシステムからユーザの行動の特性を正確に抽出することが可能となる。
以上、本発明に係る地図情報更新装置について、実施の形態1〜4に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、これら実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施したものも本発明に含まれる。また、機能的に矛盾しない範囲で、実施の形態1〜4で説明した各構成要素を任意に組み合わせて実現される地図情報更新装置も本発明に含まれる。