JP2007205871A - 高速液体クロマトグラフィー用カラム及びそれを用いた分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のイオン交換カラム又は逆相系カラムによる塩基性又は酸性の測定対象試料のクロマトグラムを改良し、かつ分析時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】本発明による塩基性又は酸性試料を分析するための高速液体クロマトグラフィー用カラムは、逆相系充填剤(A)と、イオン交換充填剤(B)(カチオン系充填剤又はアニオン系充填剤)とが1本のカラムに混合・充填されてなり、かつイオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い逆相系充填剤(A)を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は2種の充填剤を混合したカラムに関し、より詳細には、逆相系充填剤とイオン交換充填剤(カチオン系充填剤又はアニオン系充填剤)とを1本のカラムに混合・充填してなる塩基性又は酸性試料を分離するための高速液体クロマトグラフィー用カラムに関する。
従来から液体クロマトグラフィー分析、特に高速液体クロマトグラフィー(HPLCとも呼ぶ)分析は、最も汎用されている分析手法の一つである。液体クロマトグラフィー分析において、溶離液の種類、測定温度、pH及び/又はカラムサイズ等の分析条件の変更、かつ/又は充填剤の改良等によって、測定する試料の分離を改善することができることが知られている。
充填剤の改良手段の1つとして、2種類の充填剤を組み合わせる方法が提案されている。例えば、測定対象試料の分離に主に作用する第1充填剤(例えば、イオン交換充填剤、逆相系充填剤、順相系充填剤など)と、測定対象試料との相互作用が上記第1充填剤とは異なり、かつ上記第1充填剤の測定対象試料に対するクロマトグラムを改良し得る第2充填剤(例えば、第1充填剤がイオン交換充填剤である場合、第2充填剤として、逆相系充填剤や、第1充填剤とはイオン性が異なる官能基を有するイオン交換充填剤(例えば、第1充填剤がCOOH基を有する場合、SOH基を有する充填剤)など;第1充填剤が逆相系充填剤である場合、第2充填剤としてイオン交換充填剤など;第1充填剤が順相系充填剤である場合、第2充填剤としてイオン交換充填剤など)とが組み合わされて、1本のカラムに充填された液体クロマトグラフィー用カラム及びこのカラムを用いた分析方法がある。(例えば、特許文献1参照。)
また、糖化ヘモグロビンを含有する測定対象試料の測定において、糖化ヘモグロビンの分離に主に作用するCOOH基を有するカチオン交換系充填剤(第1充填剤)と、糖化ヘモグロビンとの相互作用が上記カチオン交換系充填剤とは異なり、かつ上記カチオン交換系充填剤の糖化ヘモグロビンに対するクロマトグラムを改良し得る第2充填剤として、SOH基を有するカチオン交換系充填剤、N(C基を有するアニオン交換系充填剤、フェニル基を有する逆相系充填剤、又はヒドロキシアパタイトを組み合わせて1本のカラムに充填された液体クロマトグラフィー用カラムを使用する糖化ヘモグロビンの測定方法がある。(例えば、特許文献2参照。)
さらに、糖類を含有する試料を分析する方法として、糖類の分離に主に作用する順相分配液体クロマトグラフィー用充填剤(第1充填剤)(例えば、NH基を有するシリカ系充填剤)と、上記順相系充填剤とは異なり、かつ上記順相系充填剤の上記糖類に対するクロマトグラムを改良し得る第2充填剤(例えば、NH基を有するアクリル系ポリマーからなる順相分配液体クロマトグラフィー用充填剤、COOH基を有するアクリル系ポリマーからなるカチオン交換系充填剤、フェニル基を有するスチレン系ポリマーからなる逆相分配用充填剤など)とを1本のカラムに充填して液体クロマトグラフィー用カラムを作製し、液体クロマトグラフィー分析を行なう糖類の分析方法がある。(例えば、特許文献3参照。)
さらにまた、生体試料を分析する方法として、生体試料の分離に主に作用する逆相分配液体クロマトグラフィー用充填剤(第1充填剤)(例えば、フェニル基を有するスチレン系ポリマー)と、上記逆相系充填剤とは異なり、かつ上記逆相系充填剤の上記生体試料に対するクロマトグラムを改良し得る第2充填剤(例えば、オクタデシル基を有するシリカからなる逆相分配液体クロマトグラフィー用充填剤、COOH基を有するアクリル系ポリマーからなるカチオン交換系充填剤など)とを1本のカラムに充填して液体クロマトグラフィー用カラムを作製し、液体クロマトグラフィー分析を行なう生体試料の分析方法がある。(例えば、特許文献4参照。)
上記特許文献1乃至4に記載の液体クロマトグラフィー分析用カラムはいずれも、測定対象試料の分離に主に作用する第1充填剤の量に対して、1倍量以下の第2充填剤が用いられる。
特開平9−127080号公報 特開平9−127091号公報 特開平9−127090号公報 特開平9−127088号公報
一般的に、塩基性又は酸性試料を、例えば、汎用の逆相カラムを用いて分析する場合、溶離液の種類や液性(pH)に支配され、測定対象試料ごと又は目的に応じて、クロマトグラム(保持時間、ピーク形状)を最適化するには困難、かつ煩雑な場合が多い。それらを解決するために、一般的にはグラジェント分析が多用されている。とくに、LC/MS(/MS)(液体クロマトグラフィー/質量分析計)分析においては、ハイスループットスクリーニング(HTS)の観点からショートカラムによる高速グラジェント法が主流であるが、分析終了後、次の分析の準備をするため溶離液の組成を初期値に戻す必要があり、分析時間の短縮にロスが生じ煩雑である。一方、イオン交換カラムを用いてアイソクラティック分析する場合、溶離液の組成を初期値に戻す必要はないが、測定対象試料の性質によっては保持力が強すぎるなどの問題がある。いずれにしても、逆相カラム又はイオン交換カラムを用いた単一カラムでの分析法では、その設定方法やクロマトグラムを最適化するための問題を抱えていることが現状である。
したがって、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、従来のイオン交換カラム又は逆相系カラムによる塩基性又は酸性試料のクロマトグラムを改良し、かつ分析時間を短縮することを目的とする。
本発明者らは、強酸性イオン交換カラムと逆相カラムを直列に接続して、数種類の塩基性化合物をアイソクラティック分析した結果、良好な分離、分析時間の短縮の可能性が得られることを見出した。この結果を受けて、上記2種類の充填剤を1本のカラムに混合・充填して作製したカラムを用いて分析した結果、上記2種類のカラムを直列接続した場合と同様に、良好な分析を効果的に行なうこと、つまりクロマトグラムを改良することができ、さらに従来法と比較して分析時間の短縮(スループット)につながるものとして研究を続けた結果、本発明を開発するに到った。
すなわち、請求項1記載の発明は、
逆相系充填剤(A)と、カチオン系のイオン交換充填剤(B)とが1本のカラムに混合・充填されてなり、かつ該イオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い該逆相系充填剤(A)を含むことを特徴とする、塩基性試料を分離するための高速液体クロマトグラフィー用カラムによって達成される。
上記発明によれば、逆相系充填剤とイオン交換充填剤であるカチオン系充填剤とを、逆相系充填剤の量がイオン交換充填剤の量よりも多くなるように混合・充填して作製した1本のカラムを用いて塩基性測定対象試料を高速液体クロマトグラフィー分析することによって、クロマトグラムが良好に改良され、分析を効果的に行なうことができ、さらに、従来のカチオン系充填カラムを単独で用いる場合と比較して、分析時間の大幅な短縮が可能である。
また、請求項2記載の発明は、
逆相系充填剤(A)と、アニオン系のイオン交換充填剤(B)とが1本のカラムに混合・充填されてなり、かつ該イオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い該逆相系充填剤(A)を含むことを特徴とする、酸性試料を分離するための高速液体クロマトグラフィー用カラムによって達成される。
上記発明によれば、逆相系充填剤とイオン交換充填剤であるアニオン系充填剤とを、逆相系充填剤の量がイオン交換充填剤の量よりも多くなるように混合・充填して作製した1本のカラムを用いて高速液体クロマトグラフィー分析することによって、酸性の測定対象試料を同様に分析することができ、クロマトグラムが良好に改良され、分析を効果的に行なうことができ、さらに、従来のアニオン系充填カラムを単独で用いる場合と比較して、分析時間を大幅に短縮することができる。
本発明によると、逆相系充填剤とイオン交換充填剤であるカチオン系充填剤とを、イオン交換充填剤の量に対して1倍量よりも多い逆相系充填剤を含むように混合して作製した1本のカラムを用いて塩基性の測定対象試料をアイソクラティック分析することによって、あたかもグラジェント条件下で溶出したかのような効果により、クロマトグラムが良好に改良され、分析を効果的に行なうことができ、さらに従来のカチオン系充填剤を主とするカラムを用いる分析法と比較して分析時間の大幅な短縮が可能である。また、イオン交換充填剤をアニオン系充填剤とすることにより、酸性の測定対象試料を同様にアイソクラティック分析することができ、あたかもグラジェント条件下で溶出したかのような効果により、クロマトグラムが良好に改良され、分析を効果的に行なうことができ、さらに従来のアニオン系充填剤を主とするカラムを用いる分析法と比較して分析時間の大幅な短縮が可能である。
以下、本発明にしたがって実施される具体例を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。なお、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、その細部については様々な態様が可能である。
本発明による高速液体クロマトグラフィー用カラム(以下、単にカラムという)は、測定対象試料(塩基性又は酸性試料)の分離に主に作用するイオン交換充填剤(B)と、分析(検出)時間の短縮に主に作用する逆相系充填剤(A)とが1本のカラムに充填されて、かつイオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い逆相系充填剤(A)を含んでいることを特徴とする。
本明細書中で用いられる用語「クロマトグラムの改良」とは、塩基性又は酸性試料に、従来の逆相系カラム又はイオン交換カラムをそれぞれ単独で用いた場合のそれぞれのクロマトグラムに対する、例えば、分析した各ピークの良好な分離性、ピークのシャープさ、各ピークの保持時間の短縮(これは結果的に、分析時間の短縮につながる)などを意味する。
本発明のカラム充填剤(A)は、逆相系充填剤であり、例えば、シリカゲルを基材としてシリコーンポリマーで被覆しながら、オクタデシル基を結合した、一般的にODS(オクタデシルシリカ)ゲルと呼ばれる、既知の充填剤を用いることができる。このような逆相系充填剤では、ODSゲルが最も一般的であるが、C18基はアルキル鎖が長いため、測定対象試料の種類によっては、カラム中で保持が大きくなりすぎ、かえって測定時間が長くかかり過ぎることもある。このような場合、分離効率が良好でも、測定時間を調整するために、アルキル鎖の短い官能基を付与したゲルを用いてもよく、例えば、オクチル基、ブチル基、トリメチル基、メチル基などが用いられ得る。さらに、フェニル基、エチルフェニル基、シアノプロピル基などが結合されたシリカゲルもあるが、本発明ではオクタデシル基を有する充填剤、つまり、ODSゲルが好ましい。また、基材としては、シリカゲルが好ましいが、他の基材、例えば、ジルコニア、チタニア、アルミナなどの無機系の基材;アクリル系、スチレン系、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクルレートなどの高分子の合成系基材;セルロース系、キトサン系、ポリアミノ酸、アガロース、デキストランなどの天然系基材を使用することもできる。なお、本発明のカラム充填剤(A)の作製方法としては、例えば、特開昭62−110746号公報が開示されており、当業者にとって既知の技術であるので、特に詳細な説明はしない。
一方、本発明のカラム充填剤(B)は、一般に、イオン交換カラムで用いるイオン交換充填剤であり、シリカゲルを基材としてシリコーンポリマーで被覆しつつ、カチオン又はアニオン交換機能を与えた、既知のカチオン系充填剤又はアニオン系充填剤を用いることができる。例えば、カチオン系充填剤としては、−COOH、−SOHなどを有する充填剤が挙げられ、アニオン系充填剤としては、−NH、−CHNH、−N(CH、−N(C、−(CHNH
Figure 2007205871
(式中、mおよびnは、同一または異なって、0乃至4の整数から選択される。)などを有する充填剤が挙げられる。なかでも、塩基性試料を効率よく分離する場合には、強カチオン交換作用によって塩基性試料を保持させるために、例えば、SOH基を有する充填剤が好ましく使用される。また、酸性物質を測定する場合、弱アニオン交換作用によって酸性試料を保持させるために、例えば、NH基を有する充填剤が好ましく使用される。また、基材としては、シリカゲルが好ましいが、他の基材、例えば、ジルコニア、チタニア、アルミナなどの無機系の基材;アクリル系、スチレン系、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクルレートなどの高分子の合成系基材;セルロース系、キトサン系、ポリアミノ酸、アガロース、デキストランなどの天然系基材を使用することもできる。なお、本発明のカラム充填剤(B)の作成方法も、例えば、特開平8−262004号公報に開示されており、カラム充填剤(A)の作成方法と同様に、すでに既知の技術であるので、特に詳細な説明はしない。
また、本発明での1本のカラムにカラム充填剤(A)とカラム充填剤(B)とを混合・充填する場合、逆相系充填剤(A)は、イオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多く(例えば、1倍量より多く乃至100倍量まで、好ましくは1倍量より多く乃至50倍量まで、より好ましくは1倍量より多く乃至20倍量まで、さらに好ましくは1倍量より多く乃至10倍量まで)混合される。逆相系充填剤(A)の量は、測定対象試料及び/又は分析目的等によって調整され得、イオン交換充填剤(B)の量よりも多い限り、上記範囲外であっても、試料や分析目的に適した混合比率としてよい。例えば、本発明のカラムをLC/MS(/MS)に使用する場合、試料中の各成分は液体クロマトグラフィー後の質量(m/z)により分離分析できるため、試料を夾雑物から迅速に分離することができれば、必ずしも試料中の各成分同士を十分に分離する必要はない。このような分析目的を考慮すれば、例えば、定量分析には、イオン交換充填剤(B)の量に対して20乃至50倍量の逆相系充填剤(A)が好ましく、また定性分析には、イオン交換充填剤(B)の量に対して4乃至10倍量の逆相系充填剤(A)が好ましい。さらに、分析目的及び/又は被検化合物の塩基性度又は酸性度に応じては、イオン交換充填剤(B)の量に対して100倍量又はそれ以上の逆相系充填剤(A)を使用してもよい。なお、本明細書中、特に断りのない限り、充填剤に関して用いられる用語「倍量」とは重量を基準とする。
本発明で用いられるカラムは、従来から液体クロマトグラフィー用カラムとして用いられているものであれば、特に制限されないが、通常はステンレス管が用いられ、そのサイズは、分析目的に依存して変化し得るが、例えば、内径1.0乃至200mm、長さ10乃至1000mmのステンレス管が用いられる。本発明のカラムでは、微量分析に用いる場合、内径1.0乃至4.6mm、長さ10乃至250mm程度が好ましく、また分取に用いる場合、内径10乃至100mm、長さ30乃至1000mm程度のステンレス管が好ましい。
また、カラム充填剤(A)とカラム充填剤(B)とを1本のカラムに混合して本発明のカラムを製造する場合、特別な混合手段は必要なく、単に2種類のカラム充填剤(A)と(B)をカラム内に詰めるだけであり、従来の混合手段を用いることができる。例えば、充填方法としては、湿式充填法がある。具体的には、分析に使用する溶離液等に、カラムサイズに見合った量の充填剤を分散させて、その分散液をパッカーに移し、パッカーの入口側にポンプを接続し、さらに出口側にカラムを接続して、定圧充填してカラムを製造する方法が挙げられる。
本発明のカラムの測定対象試料は、本発明のカラムの測定対象試料は、通常、カチオン又はアニオン系のイオン交換充填カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離できる、総ての塩基性、酸性又は両性の試料が測定対象となり得る。このような試料としては、例えば、カチオン系イオン交換充填剤を用いたHPLCにより分離できる試料として、塩基性有機化合物、核酸塩基、生体アミン(カテコールアミン、インドールアミン類)等;アニオン系イオン交換充填剤を用いたHPLCにより分離できる試料として、酸性有機化合物、芳香族カルボン酸、高級・低級脂肪酸、ヌクレオチド、アセチルCoA等;カチオン系又はアニオン系イオン交換充填剤を用いたHPLCにより分離できる両性試料(両性化合物)として、アミノ酸、ペプチド類等が挙げられる。なお、両性化合物であるアミノ酸、ペプチド類等は、その等電点を基準として、等電点より高いpHで分析する場合は酸性試料となり、等電点より低いpHで分析する場合は塩基性試料となる。したがって、本発明のカラムは、従来から塩基性、酸性、又は両性の物質に対して行なわれてきた広範囲にわたる領域の高速液体クロマトグラフィー分析に応用できる。
本発明のカラムの使用方法は、既知の高速液体クロマトグラフィーで使用するカラムの使用方法と同様である。以下にその使用方法を説明する。一般に、高速液体クロマトグラフィー用カラム6は、図1のような構成のシステムに配置されて、カラム6に対して溶離液1(移動相とも呼ぶ)を送液ポンプ3により供給しながら、インジェクタ4(サンプラーとも呼ぶ)から測定対象試料を注入する。分離された試料は、検出器7によって検出され、その結果が記録計8に記録される。なお、測定対象試料に必要に応じて既知の前処理が施されてもよい。なお、図1は、本発明のカラムを使用してアイソクラティック分析する際の高速液体クロマトグラフィー装置のシステム構成を示す一例である。
また、上記溶離液としては、各分析における既知の溶離液が用いられる。一般的に、例えば、水系では、過塩素酸、リン酸などの無機酸又はその不揮発性の金属塩(過塩素酸ナトリウム、リン酸水素カリウム等)、ならびに、これらの塩とは異なる揮発性緩衝液(例えば、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム等)などが挙げられる。本発明では、揮発性緩衝液が好ましく用いられる。緩衝液を用いる場合、そのpHは、用いるカラム、緩衝液の種類、測定試料などに応じて、当業者により適宜決定され得る。一方、有機溶媒系では、一般的に、例えば、アセトニトリル、メタノール及びその混合溶媒などが用いられる。さらに、溶離液として、水(緩衝液)と有機溶媒の混合系が主に用いられる。
本発明のカラムは、アイソクラティック分析にもグラジェント分析にも用いることが出来る。しかしながら、従来法よりも分析時間を短縮化するという観点から、本発明のカラムは、アイソクラティック分析に用いることが最も好ましい。なぜならば、アイソクラティック分析は、分析の初期から終了まで、溶離液に用いる水系(緩衝液)と有機溶媒の溶離液中の組成比が常に一定であり、一般的に用いられているグラジェント分析の問題とされている分析時間の短縮にロスが生じる(グラジェント分析は、1回の分析ごとに溶離液の組成を初期値に戻す必要がある)ことが全く皆無であるからである。このアイソクラティック分析に用いられる溶離液としては、好ましくは、有機溶媒の含有量が水系(緩衝液)の量よりも多い混合系溶媒が用いられ、なかでも好ましくは、有機溶媒を50%乃至90%、より好ましくは60%乃至80%含有する混合系溶媒(例えば、アセトニトリル:上記緩衝液=70:30)が用いられる。なお、有機溶媒にはメタノール又はその混合系(例えば、アセトニトリル:メタノール=1:1,容量%)を用いてもよい。
なお、溶離液の通液する速度(流速)は、カラムのサイズ及び/又は分析目的に依存して変化し得るが、一般的に0.01乃至100mL/分程度が選択される。本発明では、微量分析用に上記で例示したカラムを用いる場合、0.05乃至2.0mL/分程度の流速が好ましく、また分取用に上記で例示したカラムを用いる場合、5.0乃至50mL/分程度の流速が好ましい。
なお、必須ではないが、脱気装置2やカラム恒温槽5がシステムに組み込まれてもよい。脱気装置は、高速液体クロマトグラフィーで使用される溶離液の中に混入し得る目には見えないわずかな酸素やその他の気体を除去する装置である。このような気体が含まれていると、検出器で検出する段階でノイズとなり、ベースラインが安定しない原因となり、好ましい結果となり得ない。ヘリウムガスやアスピレータを用いる方法があるが、これらの方法は非常に煩雑であり、さらに溶離液を使用する度に脱気を行なう必要がある。したがって、脱気装置を用いれば、溶離液がポンプに送られる途中で脱気装置を通過する際に溶離液中の気体が除去されるので非常に有用である。また、高速液体クロマトグラフィー分析は温度によって分離性及び保持時間が変わるために、測定対象試料の分析条件によっては、カラムをカラム恒温槽内に設置して測定する場合もある。
上述した高速液体クロマトグラフィー分析では、既知の方法が用いられ、適当な濃度の溶離液により試料が溶出分離される。なお、本発明のカラムでは、分析途中で溶離液濃度の組成を変化させないアイソクラティック分析を行なうことを特徴の1つとする。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
本発明の実施例では、下記に示す市販品である5種の医薬品を4タイプのカラムを用いた下記の条件下で、上述した方法によって高速液体クロマトグラフィー分析を行なった。
(1)測定対象試料
医薬品1:イミプラミン
Figure 2007205871
医薬品2:プロプラノロール
Figure 2007205871
医薬品3:クロルプロマジン
Figure 2007205871
医薬品4:アテノロール
Figure 2007205871
医薬品5:キニジン
Figure 2007205871
(2)カラム
4.6×250mmサイズのステンレス管のカラムを使用した。また、実施例において使用した各カラムの充填剤は以下の通りである。なお、カラムへの充填方法は、上述した湿式充填法で行なった。
カラム1:
逆相系充填剤(A)(特開昭62−110746号公報に記載の方法で得られたシリカゲルを基材としてオクタデシル基を有する逆相系充填剤)のみで充填したカラムを使用した。
カラム2:
上記逆相系充填剤(A)とイオン交換充填剤(B)(特開平8−262004号公報に記載の方法で得られたシリカゲルを基材としてSOH基を有するイオン交換充填剤)を4:1の混合比率で混合・充填して作製した。
カラム3:
上記逆相系充填剤(A)と上記イオン交換充填剤(B)を50:1の混合比率で混合・充填して作製した。
カラム4:
上記イオン交換充填剤(B)のみで充填したカラムを使用した。
(3)高速液体クロマトグラフィーの条件
溶離液:CHCN(0.01mol/L)/AcONH(pH4)=70/30,v/v
流速:1.0mL/分
検出:UV 250nm
温度:30℃
Figure 2007205871
なお、高速液体クロマトグラフィー分析の結果を図2のグラフと図3のチャート(クロマトグラム)に示す。
以上の結果から、逆相系カラム充填剤(A)のみを充填したカラム1では保持が弱く、イオン交換カラム充填剤(B)のみを充填したカラム4では保持が強すぎることが分かる。逆相系カラム充填剤(A)とイオン交換カラム充填剤(B)を50:1の混合比で作製したカラム3では、測定対象試料である各医薬品間での分離という点では、それほど効果的な結果は見られないが、測定対象試料(図3、(A):(B)=50:1のチャート、保持時間約3乃至5分)とその他の夾雑物(図3、(A):(B)=50:1のチャート、保持時間約2分)とを迅速に分離することが出来た。このことは、このカラム3が、液体クロマトグラフィーのみを用いた分離分析よりも、液体クロマトグラフィー法と他の分離分析法とを組み合わせた分析手段(例えば、LC/MS(/MS))に有用であることを示唆した。一方で、逆相系充填剤(A)とイオン交換充填剤(B)を4:1の混合比で作製したカラム2では、測定対象試料である各医薬品を分離するのに適当な保持性と、イオン交換充填剤(B)のみを充填したカラム4の場合と比較して大幅な分析(検出)時間の短縮を示し、クロマトグラムが良好に改良された。驚くべきことに、アイソクラティック条件下で溶出したにもかかわらず、カラム2とカラム4の分析に要した時間を比較すると、カラム2は1/3に短縮され、あたかもグラジェント条件下で溶出したかのようなクロマトグラムが得られた(図3)。これは、イオン交換充填剤よりも多くの逆相充填剤を含む本発明の混合カラムのハイブリッド効果に加えて、有機溶媒含量比が水系(緩衝液)よりも多い溶離液(アセトニトリル含量が70%)を用いたことによる相乗効果と考えられた。
本発明の液体クロマトグラフィー用カラムは、逆相系充填剤(A)と、イオン交換充填剤(B)(カチオン系充填剤又はアニオン系充填剤)とを、イオン交換充填剤(B)の量よりも逆相系充填剤(A)の量が多くなるように、1本のカラムに混合・充填することにより、イオン交換充填剤の作用による測定対象試料の保持性および分離能力を維持しつつ、逆相系充填剤の作用により測定対象試料の分析(検出)時間をイオン交換充填剤のみの場合より大幅に短縮できる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明のカラムを使用して分析する際の高速液体クロマトグラフィー装置のシステム構成の一例を示す図である。 本発明の実施例の高速液体クロマトグラフィー分析の結果を示すグラフである。 本発明の実施例の高速液体クロマトグラフィー分析の結果を示すチャート(クロマトグラム)であり、図中、イミプラミンを(I)と示し、プロプラノロールを(P)と示し、クロルプロマジンを(C)と示し、アテノロールを(A)と示し、そしてキニジンを(Q)と示す。
符号の説明
1 溶離溶液
2 脱気装置
3 ポンプ
4 インジェクタ
5 カラム恒温槽
6 カラム
7 検出器
8 記録計
9 電気信号
10 廃液

Claims (2)

  1. 逆相系充填剤(A)と、カチオン系のイオン交換充填剤(B)とが1本のカラムに混合・充填されてなり、かつ該イオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い該逆相系充填剤(A)を含むことを特徴とする、塩基性試料を分離するための高速液体クロマトグラフィー用カラム。
  2. 逆相系充填剤(A)と、アニオン系のイオン交換充填剤(B)とが1本のカラムに混合・充填されてなり、かつ該イオン交換充填剤(B)の量に対して1倍量よりも多い該逆相系充填剤(A)を含むことを特徴とする、酸性試料を分離するための高速液体クロマトグラフィー用カラム。
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