JP2007205237A - 内燃機関可変動弁機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】仲介駆動機構を介してバルブカムのバルブ駆動力を内燃機関のバルブに伝達する可変動弁機構において、低リフト領域での仲介駆動機構によるバルブリフト量やバルブ作用角のばらつきを抑制して安定した内燃機関運転を実現する。
【解決手段】固定リフトカム28bは低リフト領域では吸気カムシャフト28のバルブ駆動力を仲介駆動機構24を介さずにロッカーアーム26のみを介して吸気バルブ6側に伝達する。したがって仲介駆動機構24のような複雑な構成を介してバルブ駆動力を伝達しないため、バルブリフト量のばらつきは極めて小さい。このため低リフト領域でのバルブリフト量の調節誤差を抑制でき安定した機関運転を実現することができる。特にアイドル時に気筒間にてバルブリフト量の誤差を極めて小さくできるのでラフアイドルを防止して安定した機関運転を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のカムシャフトの回転に伴って該カムシャフトに設けられたバルブカムにて生じるバルブ駆動力を、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能な仲介駆動機構を介して内燃機関のバルブに伝達する可変動弁機構に関する。
内燃機関のバルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節することができる可変動弁機構が提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、ヘリカルスプラインにて入力部と出力部とを噛合接続している仲介駆動機構を採用することで、複雑な経路を介さずに、連続的にバルブリフト量又はバルブ作用角を変更可能としている。
特開2001−263015号公報(第10−12頁、図24−28)
前記特許文献1の技術により、それまでよりも簡単な経路により連続的にバルブリフト量又はバルブ作用角を変更できるようになったが、それでもロッカーアームのみを介してバルブカムのバルブ駆動力をバルブに伝達する経路に比べると、バルブ駆動力を伝達する部品点数が多い。
このため仲介駆動機構を介して行われるバルブリフト量又はバルブ作用角調節においては、仲介駆動機構に起因するばらつきが生じやすい。このばらつきはバルブリフト量又はバルブ作用角が大きい運転状態では全体に対して割合が小さいので問題を生じない。しかし低リフト領域(バルブリフト量やバルブ作用角が小さい領域)となってバルブリフト量又はバルブ作用角が小さい運転状態となると上記ばらつきの割合が大きくなり内燃機関の運転状態に現れやすくなる。
例えば吸気バルブに対して特許文献1の可変動弁機構を適用して、吸気量をバルブリフト量又はバルブ作用角にて調節しようとした場合、特にアイドル時などの低吸気量時においては、仲介駆動機構のばらつきにより、バルブリフト量又はバルブ作用角の調節誤差が無視できなくなる。このため目標とする吸気量に対して実際の吸気量に過不足が生じて、内燃機関運転の安定性に悪影響をおよぼすおそれがある。
更に複数気筒の内燃機関の場合に、コントロールシャフトなどの共通のコントロール部材により全気筒の調節を同時に行おうとすると、気筒毎に設けられた仲介駆動機構間でのバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきにより、特にアイドル時等の低吸気量では気筒間において無視できない吸気量差となる。このためラフアイドルの発生などによりアイドル時の内燃機関運転の安定性に悪影響をおよぼすおそれがある。
本発明は、上述した仲介駆動機構を介してバルブカムのバルブ駆動力を内燃機関のバルブに伝達する可変動弁機構において、低リフト領域での仲介駆動機構によるバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきを抑制して安定した内燃機関運転を実現することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関可変動弁機構は、内燃機関のカムシャフトの回転に伴って該カムシャフトに設けられたバルブカムにて生じるバルブ駆動力を、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能な仲介駆動機構を介して内燃機関のバルブに伝達する可変動弁機構であって、前記カムシャフトに設けられて前記仲介駆動機構を介さずにバルブ駆動力をバルブに伝達すると共に、固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角が前記仲介駆動機構による可変範囲に存在することにより最小バルブリフト量又は最小バルブ作用角を規定する固定リフトカムを備えたことを特徴とする。
このようにカムシャフトはバルブカムについては仲介駆動機構を介してバルブ駆動力をバルブに伝達しているが、更に仲介駆動機構を介さない固定リフトカムによってもバルブ駆動力をバルブに伝達している。そして固定リフトカムによる固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角は仲介駆動機構による可変範囲に存在する。
したがって固定リフトカムのバルブリフト量又はバルブ作用角よりも高リフト側(バルブリフト量やバルブ作用角が大きい側)に、仲介駆動機構がリフト調節している場合には、仲介駆動機構を介したバルブ駆動が行われることにより仲介駆動機構により連続的にバルブリフト量又はバルブ作用角が調節可能である。
一方、仲介駆動機構が、固定リフトカムのバルブリフト量又はバルブ作用角よりも低リフト側(バルブリフト量やバルブ作用角が小さい側)に調節しようとした場合、最小バルブリフト量又は最小バルブ作用角を規定している固定リフトカムのバルブリフト量又はバルブ作用角の方が大きい。このため固定リフトカムのバルブリフト量又はバルブ作用角が優先して一定のバルブリフト量又はバルブ作用角でバルブ駆動がなされる。
このように低リフト側では固定リフトカムが優先してバルブを駆動する。固定リフトカムは上述したごとくカムシャフトの回転を仲介駆動機構を介さずに固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角としてバルブ駆動力をバルブに伝達する。したがって仲介駆動機構のような複雑な構成を介してバルブ駆動力を伝達しないため、固定リフトカムによるバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきは極めて小さい。
このため上述した仲介駆動機構により内燃機関のバルブリフト量又はバルブ作用角を調節している可変動弁機構においても、低リフト領域でのバルブリフト量又はバルブ作用角調節誤差を抑制できる。こうしてバルブの低リフト領域において安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項2に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項1において、前記固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角は、アイドル時におけるバルブリフト領域に設定されていることを特徴とする。
このようにアイドル時のバルブリフト領域にて、固定リフトカムによりバルブリフト量又はバルブ作用角を固定することで、アイドル時におけるバルブリフト量又はバルブ作用角の調節誤差が極めて小さいものとなる。こうしてバルブの低リフト領域、特にアイドル時において安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項3に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項1又は2において、前記固定リフトカムは、バルブ駆動力をロッカーアームを介してバルブに伝達することを特徴とする。
仲介駆動機構を介さないバルブ駆動構成としては、固定リフトカムがロッカーアームを介してバルブに伝達する構成を採用することができる。このことにより低リフト領域での仲介駆動機構によるバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきによる調節誤差を抑制でき、バルブの低リフト領域において安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項4に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項1〜3のいずれかにおいて、内燃機関に複数の気筒が設けられて、該複数の気筒に共通する前記カムシャフトと、各気筒毎又は各バルブ毎に配置された前記仲介駆動機構と、各気筒毎又は各バルブ毎に配置された前記固定リフトカムと、全ての前記仲介駆動機構に共通し前記複数の気筒のバルブリフト量又はバルブ作用角を連動して調節するコントロール部材とを備えたことを特徴とする。
このように構成された複数気筒の内燃機関の場合においても、前述したごとくの固定リフトカムが存在することにより、特に低リフト領域にて固定リフトカムが優先してバルブリフト量又はバルブ作用角を規定するため、気筒間あるいはバルブ間でのバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきを抑制できる。したがって特に吸気バルブのバルブリフト量又はバルブ作用角を調節している場合には、気筒間で吸気量差が生じるのを抑制できることから、ラフアイドルなどを防止してバルブの低リフト領域において安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項5に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項4において、前記仲介駆動機構は、前記カムシャフトとは異なる軸にて揺動可能に支持され、入力部と出力部とを有することで前記バルブカムにより入力部が駆動されると出力部にてバルブをロッカーアームを介して駆動すると共に入力部と出力部との相対位相差が前記コントロール部材の調節により可変とされることでバルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能であることを特徴とする。
仲介駆動機構の構成としては上述のごとくの構成を挙げることができる。このようにカムシャフトとは異なる軸において入力部と出力部とを有し、入力部と出力部との相対位相差を可変とする機構であるため、機構が複雑となり仲介駆動機構間においてバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきを生じやすくなる。しかし前述のごとくばらつきの顕在化し易い低リフト領域において固定リフトカムにより固定バルブリフト量又は固定バルブ作用角となるため気筒間あるいはバルブ間でのバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきが抑制されて、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項6に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項5において、前記仲介駆動機構は、ねじれ角の異なる2種のスプラインを有して軸方向に移動可能なスライダギアと、前記入力部に設けられ、前記スライダギアの一方の種類のスプラインに噛み合うことにより、前記スライダギアの軸方向への移動に応じて前記入力部を前記スライダギアに対して相対揺動させる入力ギア部と、前記出力部に設けられ、前記スライダギアの他方の種類のスプラインに噛み合うことにより、前記スライダギアの軸方向への移動に応じて前記出力部を前記スライダギアに対して相対揺動させる出力ギア部とを備え、前記スライダギアの軸方向での変位が前記コントロール部材により連続的に調節されることで、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能であることを特徴とする。
各仲介駆動機構の入力部と出力部とは、コントロール部材により上述したスライダギアをそれぞれ軸方向に変位させることにより、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節する構成とすることができる。このように複雑な機構としているが、前述した固定リフトカムの機能により低リフト領域での気筒間あるいはバルブ間でのバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつきが抑制されて安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項7に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記仲介駆動機構と前記固定リフトカムとは、共通のロッカーアームを介してバルブ駆動力をバルブに伝達することを特徴とする。
仲介駆動機構と固定リフトカムとは共通のロッカーアームを介してバルブを駆動しても良い。このことで、より簡便な構成とすることができる。
請求項8に記載の内燃機関可変動弁機構では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記仲介駆動機構及び前記固定リフトカムは内燃機関の吸気バルブ駆動用であり、内燃機関のアイドル時において前記固定リフトカムによるバルブ駆動を支配的とし、他の内燃機関運転領域では前記仲介駆動機構によるバルブ駆動を支配的としていることを特徴とする。
このように仲介駆動機構及び固定リフトカムが内燃機関の吸気バルブを駆動するものである場合には、上述のごとくアイドル時において固定リフトカムによるバルブ駆動を支配的なものとし、アイドル時以外において仲介駆動機構によるバルブ駆動を支配的なものとする。このことにより、アイドル時においてバルブリフト量又はバルブ作用角のばらつき抑制に伴って燃焼室への吸気量のばらつきを防止し、安定した内燃機関アイドル運転を実現することができる。
[実施の形態1]
図1は上述した発明が適用された多気筒(本実施の形態では4気筒)内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)2における可変動弁機構4の構成を示し、1つの気筒における縦断面を表している。図2はエンジン2の上部構成の平面図である。図3は4気筒にわたる可変動弁機構4及び関連する機構の構成を示す斜視図、図4はその右側面図である。図5は前記図3の構成から吸気カムシャフト28を排除した状態を示す斜視図である。尚、図2,3,5においては第1気筒を「#1」、第2気筒を「#2」、第3気筒を「#3」、第4気筒を「#4」で示す。また図3,4,5において吸気バルブ6の開閉状態を示すためにバルブシート部6aをリング形状で示している。
本実施の形態のエンジン2は車両用であり、シリンダブロック8、ピストン10及びシリンダブロック8上に取り付けられたシリンダヘッド12を備えている。
シリンダブロック8に形成された各気筒#1〜#4には、シリンダブロック8、ピストン10及びシリンダヘッド12にて区画された燃焼室14が形成されている。尚、気筒数は1〜3でも良く、5以上の気筒数でも良い。又、本実施の形態のごとく直列4気筒でなくても、V型でも良く、その他の配置でも良い。
各気筒#1〜#4には、それぞれ2つの吸気バルブ6及び2つの排気バルブ16の4バルブが配置されている。吸気バルブ6は吸気ポート18を、排気バルブ16は排気ポート20を開閉する。全ての吸気ポート18は、吸気マニホールドを介してサージタンクに接続され、サージタンク側から供給された空気を各気筒#1〜#4に分配している。尚、各気筒#1〜#4の吸気ポート18に燃料を噴射するように各吸気ポート18又は吸気マニホールドにはそれぞれ燃料噴射弁が配置されている。尚、このように吸気バルブ6の上流側にて燃料噴射する構成以外に、直接、各燃焼室14内に燃料を噴射する筒内噴射型ガソリンエンジンとして構成しても良い。
ここでエンジン2は、吸気バルブ6のバルブリフト量を連続的に変化(本実施の形態ではバルブ作用角も同時に変化)させることで吸気量を調節している。尚、実際には吸気バルブ6のバルブ作用角も同時に変化しているので、以下、説明するバルブリフト量の変化はバルブ作用角の変化にも対応している。
サージタンク上流側の吸気通路にはスロットルバルブが配置されているが、吸気バルブ6のバルブリフト量変化にて吸気量が調節されている時には、通常、全開状態とされている。スロットルバルブの開度制御としては、例えば、エンジン2の始動時にはスロットルバルブを全開にし、エンジン2の停止時にはスロットルバルブを全閉にする制御を行う。そして可変動弁機構4の故障により吸気バルブ6のバルブリフト量調節が困難となった場合には、スロットルバルブの開度制御により吸気量を制御するようにしている。
可変動弁機構4は、シリンダヘッド12上に取り付けられたカムキャリア22に、各気筒#1〜#4に対応して配置した4つの仲介駆動機構24を備えている。吸気バルブ6のリフト駆動は、この仲介駆動機構24及びローラ付きのロッカーアーム26を介して、吸気カムシャフト28に形成された吸気カム28aのバルブ駆動力が伝達されることにより可能となっている。尚、ロッカーアーム26はロッカーシャフト27により揺動可能に支持されている。
この吸気バルブ6のバルブ駆動力伝達において、スライドアクチュエータ30(図2)により仲介駆動機構24による伝達状態が調節されることで吸気バルブ6のバルブリフト量が連続的に調節される。尚、吸気カムシャフト28は、一端に配置されたバルブタイミング可変機構32(図2)とタイミングチェーン34とを介してエンジン2のクランクシャフト36の回転に連動している。このため本実施の形態の吸気バルブ6についてはバルブリフト量のみでなくバルブタイミングの進角遅角をも調節することが可能である。
図6に吸気カムシャフト28の主要部を示す。図6の(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は斜視図である。吸気カムシャフト28には、各気筒#1〜#4に対して設けられた吸気カム28a以外に、各吸気カム28aの両側に2つの固定リフトカム28bが設けられている。この固定リフトカム28bは後述するごとく仲介駆動機構24を介さずにロッカーアーム26のみを介して吸気バルブ6を駆動するためのカムである。
各気筒#1〜#4の排気バルブ16(図1,2)は、エンジン2の回転に連動して回転する排気カムシャフト38に設けられた排気カム38aにより、ローラ付きのロッカーアーム40を介して一定のバルブリフト量で開閉されている。尚、排気カムシャフト38は、一端に配置されたバルブタイミング可変機構42とタイミングチェーン34とを介してエンジン2のクランクシャフト36の回転に連動している。このため本実施の形態の排気バルブ16についてはバルブタイミングの進角遅角を調節することが可能である。そして各気筒#1〜#4の各排気ポート20は排気マニホルドに連結され、排気を浄化用触媒コンバータを介して外部に排出している。
上述した吸気カムシャフト28、排気カムシャフト38、スライドアクチュエータ30、仲介駆動機構24及びバルブタイミング可変機構32,42は、カムキャリア22上に組み込まれている。尚、これらの構成はカムキャリア22でなくシリンダヘッド12の本体上に直接取り付けても良い。
図2に示したごとく、吸気カムシャフト28及び排気カムシャフト38は、カムキャリア22上においてそれぞれの軸受上に平行に配置されて、カムキャップが取り付けられることにより回転可能に支持されている。更に各気筒#1〜#4毎に設けられた4つの仲介駆動機構24が吸気カムシャフト28と平行に配列されている。そしてこれら4つの仲介駆動機構24に共通する1本のロッカーシャフト44が、カムキャリア22上に固定されると共に各仲介駆動機構24の内部を貫通することで、各仲介駆動機構24を揺動可能に支持している。尚、仲介駆動機構24の構成と、バルブ駆動上の吸気カムシャフト28との関係については後述する。
電子制御ユニット(以下、ECUと称する)46は、デジタルコンピュータを中心に構成され、双方向性バスを介して相互に接続されたCPU、ROM、RAM、各種ドライバー回路、入力ポート及び出力ポート等の構成を備えている。ECU46の入力ポートへは、アクセル開度ACCP、スロットル開度TA、エンジン回転数NE、吸気量GA、エンジン冷却水温度THW、空燃比AF、基準クランク角G2等の各信号が入力されている。
更に本実施の形態では、ECU46は、スライドアクチュエータ30内に設けられたシャフト位置センサから、ロッカーシャフト44内を摺動可能に貫通するコントロールシャフト48の軸方向位置SL信号を入力している。そしてECU46は、スライドアクチュエータ駆動回路50へ駆動信号Dsを出力することで、スライドアクチュエータ30によりコントロールシャフト48の軸方向位置を制御して、各気筒#1〜#4における吸気バルブ6のバルブリフト量を調節している。
スライドアクチュエータ30としては、電動モータの回転力を直動に変換する回転−直動変換機構や油圧シリンダによるストローク機構などが用いられる。回転−直動変換機構としては、ナットとサンシャフトとの間にプラネタリシャフトを配置して、これらのネジ部同士を噛み合わせたネジ噛合部により回転力を直動に変換する遊星差動ネジ型回転−直動変換機構や、ボールネジによる回転−直動変換機構などが用いられる。本実施の形態では、回転−直動変換機構が用いられており、スライドアクチュエータ30内部の電動モータが、スライドアクチュエータ駆動回路50からの給電により回転方向と回転量とが調節されることにより、コントロールシャフト48の軸方向移動制御が行われる。
ECU46は、スライドアクチュエータ30内部のシャフト位置センサにて検出されるコントロールシャフト48の軸方向位置SLがドライバーのアクセル操作に応じて設定される目標位置に一致するように駆動信号Dsによりスライドアクチュエータ30内部の電動モータを調節する。このことにより生じるバルブリフト量の変化にて各燃焼室14内への吸気量が調節される。
次に仲介駆動機構24について説明する。図7は仲介駆動機構24の斜視図を、図8は部分破断斜視図を示している。尚、図8の(A)は正面側の部分破断斜視図、図8の(B)は背面側の部分破断斜視図である。図9は分解斜視図、図10は仲介駆動機構24の外部と共に内部のスライダギア52も破断して示した部分破断斜視図である。
仲介駆動機構24は、図7に示す構成において中央に設けられた入力部54、入力部54の一端側に設けられた第1揺動カム56、第1揺動カム56とは反対側に設けられた第2揺動カム58及び内部に配置されたスライダギア52(図8,9,10)を備えている。
入力部54のハウジング54aは内部に軸方向に空間を形成し、この空間の内周面には右ネジ方向にヘリカルスプライン54b(図9:入力ギア部に相当)が形成されている。ハウジング54aの外周面からは平行な2つのアーム54cが突出して形成されている。アーム54cの先端には、ハウジング54aの軸方向と平行なシャフト54eによりローラ54fが回転可能に取り付けられている。尚、図1,4に示したごとく、ハウジング54aには、圧縮状態のスプリング60により付勢力が与えられていることにより、ローラ54fは吸気カム28a側に常に接触するようにされている。このような機能を果たすスプリング60は、例えばハウジング54aとカムキャリア22との間に設けられる。
第1揺動カム56のハウジング56aは、内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には左ネジ方向にヘリカルスプライン56b(図9:出力ギア部に相当)が形成されている。ハウジング56aの内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部56cにて一端が覆われている。また外周面からは略三角形状のノーズ56dが突出して形成されている。このノーズ56dの一辺はカム面56eを形成している。
第2揺動カム58のハウジング58aは、内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には左ネジ方向にヘリカルスプライン58b(図10:出力ギア部に相当)が形成されている。ハウジング58aの内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部58cにて一端が覆われている。また外周面からは略三角形状のノーズ58dが突出して形成されている。このノーズ58dの一辺はカム面58eを形成している。
これらの第1揺動カム56および第2揺動カム58は、図9に示したごとく、入力部54に対して両側から各端面を同軸上で接触させるように配置され、全体が図7に示したごとく内部空間を有する略円柱状となる。
入力部54及び2つの揺動カム56,58から構成される内部空間に配置されているスライダギア52について説明する。スライダギア52の外形は図8,9,10に示したごとくである。尚、図11に軸に沿って垂直に破断したスライダギア52の斜視図を示す。
スライダギア52は略円柱状をなし、外周面中央には右ネジ方向に入力用ヘリカルスプライン52aが形成されている。この入力用ヘリカルスプライン52aの一端側には小径部52bを挟んで左ネジ方向に第1出力用ヘリカルスプライン52cが形成されている。この第1出力用ヘリカルスプライン52cとは反対側には小径部52dを挟んで左ネジ方向に第2出力用ヘリカルスプライン52eが形成されている。
スライダギア52の内部には中心軸方向に貫通孔52fが形成されている。そして入力用ヘリカルスプライン52aの位置で、貫通孔52fの内周面には周方向に周溝52gが形成されている。この周溝52gには一カ所にて径方向に外部に貫通するピン挿入孔52hが形成されている。
スライダギア52の貫通孔52f内には、図12の斜視図に示すロッカーシャフト44が貫通することでスライダギア52を支持している。このようにしてロッカーシャフト44に支持されたスライダギア52は周方向に摺動可能である。図2,3,5に示したごとく、このロッカーシャフト44は4つの仲介駆動機構24に共通の1本が設けられている。そしてこの1本のロッカーシャフト44には各仲介駆動機構24に対応する位置に軸方向に長く形成された長孔44aが開口している。この長孔44aはロッカーシャフト44の内部空間まで貫通した状態で形成されている。
更にロッカーシャフト44の内部空間には、コントロールシャフト48(コントロール部材に相当)が、軸方向に摺動可能に貫通して配置されている。コントロールシャフト48は丸棒状に形成されたものであるが、各仲介駆動機構24に対応する位置には、軸直角方向の支持穴48aが設けられている。この支持穴48aにはそれぞれコントロールピン62の基端部が挿入されることにより、ロッカーシャフト44の長孔44aを貫通するようにして、コントロールピン62を軸直角方向に突出して支持できるようにされている。更にコントロールピン62の先端側には、ロッカーシャフト44の外側からブッシュ64が自身の支持孔64aにコントロールピン62に貫かれることにより支持されている。
そしてコントロールシャフト48がロッカーシャフト44の内部に配置されている状態では、各コントロールピン62の先端及びこの先端に貫かれているブッシュ64は、図10に示したごとくスライダギア52の内周面に形成された周溝52gに挿入されている。尚、ブッシュ64の軸方向の幅は、周溝52gの幅と同一に形成されている。このことによりコントロールシャフト48とスライダギア52とは軸方向において相対的な位置は固定され、コントロールシャフト48の軸方向移動に連動してスライダギア52は軸方向に移動することになる。
コントロールシャフト48の基端側(図2における左側)はスライドアクチュエータ30の駆動シャフト30a(図2)に接続されている。このことにより前述したごとくコントロールシャフト48は軸方向での駆動力をスライドアクチュエータ30から受けることができる。
入力部54及び揺動カム56,58は、カムキャリア22上において軸受部22aにより軸方向での移動は阻止されているので、コントロールシャフト48の軸方向移動により、スライダギア52は入力部54及び揺動カム56,58内部で、コントロールシャフト48の移動量と同一の移動量で軸方向に移動する。スライダギア52の入力用ヘリカルスプライン52aと入力部54のヘリカルスプライン54bとのスプライン噛合と、スライダギア52の出力用ヘリカルスプライン52c,52eと揺動カム56,58のヘリカルスプライン56b,58bとのスプライン噛合とは、ねじれ角が異なる。実際には逆のねじれ角となっている。このため、図7,10で示した矢印のL方向にコントロールシャフト48が移動すると、入力部54のローラ54fと揺動カム56,58のノーズ56d,58dとの位相は相対的に近づく。逆に矢印のH方向にコントロールシャフト48が移動すると、入力部54のローラ54fと揺動カム56,58のノーズ56d,58dとの位相は相対的に遠ざかる。このことにより図13,14,15に示すごとく、吸気バルブ6のバルブリフト量を、コントロールシャフト48の軸方向移動により調節することができる。
ここで図13は、スライドアクチュエータ30の駆動力を調節して、コントロールシャフト48を最大限L方向(図7,10の矢印)へ移動させた場合の仲介駆動機構24の状態を示している。図13の(A)が吸気バルブ6の閉弁時、図13の(B)が開弁時である。この場合には入力部54のローラ54fと揺動カム56,58のノーズ56d,58dとの位相位置関係が最も近い状態となる。したがって図13の(B)に示すごとく吸気カム28aが最大限に入力部54のローラ54fを押し下げても、ノーズ56d,58dのカム面56e,58eによるロッカーローラ26aの押し下げ量は最小となり、吸気バルブ6のバルブリフト量は最小となる。
ノーズ56d,58dのカム面56e,58eには、図16に示すごとく、揺動中心からの距離が一定のベース円部Cfbと揺動中心から次第に離れて行くリフト部Cflとが存在する。図13の状態では、ローラ54fとノーズ56d,58dとの位相位置関係が近いので、ベース円部Cfbがロッカーローラ26aに当接することでリフトがなされない距離が長く、リフト部Cflによりリフトされる距離が短い。したがって吸気ポート18から燃焼室14内への吸気量も最小限の状態となる。尚、図15についてもコントロールシャフト48を最大限L方向に移動させた状態を示しているが、詳細については後述する。
図14は、スライドアクチュエータ30の駆動力を調節して、コントロールシャフト48を最大限H方向(図7,10の矢印)へ移動させた場合の仲介駆動機構24の状態を示している。図14の(A)が吸気バルブ6の閉弁時、図14の(B)が開弁時である。この場合には入力部54のローラ54fと揺動カム56,58のノーズ56d,58dとの位相位置関係が最も遠い状態となる。このため、図14の(B)に示すごとく吸気カム28aが最大限に入力部54のローラ54fを押し下げた時には、ノーズ56d,58dのカム面56e,58eによるロッカーローラ26aの押し下げ量は最大となり、吸気バルブ6のバルブリフト量は最大となる。すなわちローラ54fとノーズ56d,58dとの位相位置関係が遠いので、図16に示したベース円部Cfbがロッカーローラ26aに当接している距離が短く、リフト部Cflによりリフトされる距離が長くなる。したがって吸気ポート18から燃焼室14内への吸気量も最大限の状態となる。
そしてスライドアクチュエータ30により、図13の状態と図14の状態との間で連続的にコントロールシャフト48の軸方向位置を調節することで、図17のグラフに示すごとく最小バルブリフト量(図13)から最大バルブリフト量(図14)の範囲で吸気バルブ6のバルブリフト量を連続的に調節できる。すなわち本実施の形態ではスロットルバルブによることなく吸気量の無段階調節が可能となる。尚、前述したごとく本実施の形態の仲介駆動機構24では、バルブリフト量と共にバルブ作用角も可変となっているので、最小バルブ作用角(図13)から最大バルブ作用角(図14)の範囲で吸気バルブ6のバルブ作用角を連続的に調節できるものでもある。
次に吸気カムシャフト28において、吸気カム28aとは別個に各気筒#1〜#4の吸気バルブ6に対してそれぞれ設けられた固定リフトカム28bの機能について説明する。この固定リフトカム28bは、各ロッカーアーム26を介して全ての吸気バルブ6において最小バルブリフト量を、同一の固定値VLfとして規定するためのカムである。
前述したごとくロッカーアーム26は、吸気カム28aにより仲介駆動機構24を介してロッカーローラ26aに駆動力が伝達されることにより揺動され、このことで吸気バルブ6の開閉駆動を行う。更にロッカーアーム26には図1,4,13,14に示したごとく固定リフトカム当接部26bが形成されている。この固定リフトカム当接部26bの先端には固定リフトカム当接面26cが形成されて、仲介駆動機構24により調節されるバルブリフト量の可変範囲にて、固定リフトカム当接面26cが固定リフトカム28bのカム面28cに当接するように設定されている。実際には図13に示したごとくアイドル時などの低リフト領域において、固定リフトカム当接面26cが固定リフトカム28bのカム面28cに当接するように設定されている。
図18のグラフに、コントロールシャフト48の軸方向位置SLに応じて各仲介駆動機構24にて調節される各気筒#1〜#4のバルブリフト量と固定リフトカム28bにより決定される固定値VLfとの関係を示す。
吸気カム28aによる各気筒#1〜#4のバルブリフト量は、コントロールシャフト48の軸方向位置SLに応じて同一状態で変化するように設定されている。しかし仲介駆動機構24及びロッカーアーム26を介して駆動力が伝達されるため、これらの部品の公差により実際のバルブリフト量は標準のバルブリフト量(図18:破線)に対して気筒#1〜#4において実線にて示すごとくの調節誤差を生じる。
特に各仲介駆動機構24において、上述したごとく入力部54、スライダギア52、揺動カム56,58間におけるスプライン噛合、及びコントロールシャフト48によるスライダギア52のスライド機構により吸気カム28aの駆動力が伝達される。このため、これらの部品の公差の累積により、上記標準のバルブリフト量からのずれと共に、気筒#1〜#4間においてもバルブリフト量にずれが生じている。図18に示す例では、第1,3気筒#1,#3のバルブリフト量が標準より大きい方にずれており、特に第3気筒#3のバルブリフト量が過大となっている。そして第2,4気筒#2,#4のバルブリフト量が標準より小さい方にずれており、特に第4気筒#4のバルブリフト量が過小となっている。
これに対して最小バルブリフト量を規定する各固定リフトカム28bに設定されている固定値VLfは、ロッカーアーム26のみを介して駆動力が伝達される構成であるので、標準からのずれは非常に小さく、気筒#1〜#4間にてもずれが非常に小さい。したがって図18では気筒#1〜#4の全ての固定リフトカム28bによるバルブリフト量(固定値VLf)は1本の線で示している。
コントロールシャフト48による調節が中・高リフト領域(バルブリフト量やバルブ作用角が中程度あるいは大きい領域)でなされている場合には、図14に示したごとくである。すなわち揺動カム56,58がロッカーローラ26aを押し下げる期間では、固定リフトカム28bのカム面28cとロッカーアーム26の固定リフトカム当接面26cとは常に離れている。このため固定リフトカム28bはカムとして機能していない。したがって各気筒#1〜#4間において図14に示したごとく公差によりずれを生じた状態でバルブリフト量の制御がなされる。
しかしアイドル時などのバルブリフト領域にて、リフト調節が低リフト領域となりバルブリフト量が固定値VLfに近づくと、図19の部分拡大図に示すごとく最初に第4気筒#4において固定リフトカム28bのカム面28cがロッカーアーム26の固定リフトカム当接面26cに当接するようになる(SL4)。すなわち吸気カム28a側と共に、固定リフトカム28b側によっても、吸気カムシャフト28からのバルブ駆動力が吸気バルブ6に伝達される。
そして更にコントロールシャフト48による調節が低リフト側に移動すると、図15に示したごとくノーズ56d,58dのカム面56e,58eはロッカーローラ26aから離れ、第4気筒#4では吸気カム28aによる仲介駆動機構24を介してのバルブ駆動力伝達はなされなくなる。このため固定リフトカム28bのみによりロッカーアーム26を介して吸気バルブ6へバルブ駆動力伝達がなされることになる。このことにより第4気筒#4ではバルブリフト量はコントロールシャフト48による調節を離れて、固定リフトカム28bによる固定値VLfにて一定のバルブリフト量となる。
更にコントロールシャフト48による調節が低リフト側に移動すると、図18,19に示した関係では、次に第2気筒#2のバルブリフト量が固定値VLfとなる(SL2)。更に引き続きコントロールシャフト48による調節が低リフト側に移動すれば、第1気筒#1が固定値VLfのバルブリフト量となり(SL1)、最後に第3気筒#3が固定値VLfのバルブリフト量となる(SL3)。
尚、アイドル時は、標準でのバルブリフト量調節が固定値VLfとなるコントロールシャフト48の軸方向位置SL0において実現されるように、吸気カム28a及び固定リフトカム28bのカム形状や制御上の設定がなされている。したがってエンジン2の運転状態がアイドル回転数制御時を含めた吸気バルブ6の低リフト領域に存在する時には、一部の気筒、ここでは少なくとも第4気筒#4や更に第2気筒#2が、固定リフトカム28bによって固定値VLfに吸気バルブ6のバルブリフト量が固定されるようになる。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).上述したごとく吸気カムシャフト28は、吸気カム28a、仲介駆動機構24及びロッカーアーム26によるバルブ駆動力伝達と共に、最小バルブリフト量を規定する固定リフトカム28b及びロッカーアーム26によるバルブ駆動力伝達も可能としている。したがって吸気カムシャフト28の回転によるバルブ駆動力は、固定リフトカム28bのバルブリフト量よりも高リフト側に、仲介駆動機構24がバルブリフト量を調節している場合には、仲介駆動機構24を介するバルブ駆動が行われることにより連続的にバルブリフト量の調節が可能である。すなわちアイドル時以外では仲介駆動機構24によるバルブ駆動が支配的となっている。
一方、仲介駆動機構24が、固定リフトカム28bのバルブリフト量よりも低リフト側に調節しようとした場合、最小バルブリフト量を規定している固定リフトカム28bのバルブリフト量の方が大きくなる。このため固定リフトカム28bのバルブリフト量が優先して、一定のバルブリフト量(固定値VLf)でバルブ駆動がなされる。すなわちアイドル時等の低リフト領域においては固定リフトカム28bによるバルブ駆動が支配的となっている。
このように低リフト側で優先して吸気バルブ6を駆動する固定リフトカム28bは、上述したごとく吸気カムシャフト28のバルブ駆動力を仲介駆動機構24を介さずにロッカーアーム26のみを介して吸気バルブ6側に伝達する。したがって仲介駆動機構24のような複雑な構成を介してバルブ駆動力を伝達しないため、固定リフトカム28bによるバルブリフト量(固定値VLf)のばらつきは極めて小さい。このため上述した仲介駆動機構24によりエンジン2のバルブリフト量を調節している可変動弁機構4においても、低リフト領域でのバルブリフト量の調節誤差を抑制できる。こうして吸気バルブ6の低リフト領域において安定した機関運転を実現することができる。
特にアイドル時のバルブリフト領域に、固定リフトカム28bのバルブリフト量を固定しているので、組み立てた個々の気筒#1〜#4において、アイドル時におけるバルブリフト量の誤差を極めて小さくできる。したがって各気筒#1〜#4において、アイドル時などの吸気バルブ6の低リフト領域において安定した機関運転を実現することができる。
(ロ).更に吸気バルブ6毎にバルブリフト量のばらつきを抑制できることから、気筒#1〜#4間についてもバルブリフト量のばらつきを抑制できる。このためアイドル時などの吸気バルブ6の低リフト領域において、気筒#1〜#4間での吸気量差が抑制できる。このことから、ラフアイドル等の不安定な機関運転を防止して吸気バルブ6の低リフト領域において安定した機関運転を実現することができる。
(ハ).仲介駆動機構24と固定リフトカム28bとは共通のロッカーアーム26を介してバルブ駆動力を伝達している。したがって、より簡便な構成にて吸気バルブ6の低リフト領域において安定した機関運転を実現することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、前記実施の形態1との違いは、図20(最小バルブリフト量での駆動状態)、図21(最大バルブリフト量での駆動状態)及び図22(固定リフトカム128bのみが機能している場合)に示すごとくである。それぞれ(A)は閉弁時、(B)は開弁時を表す。図示するごとく吸気カムシャフト128における吸気カム128aと固定リフトカム128bとの配置位相差、仲介駆動機構124におけるローラ154fとノーズ156d,158dとの配置位相差、及びこれらの位置関係が前記実施の形態1と異なる。更にロッカーアーム126の形状と揺動支点にラッシュアジャスタ127が設けられている点が前記実施の形態1と異なる。尚、ロッカーアーム126の固定リフトカム当接部126bには長孔126eが形成されて、ノーズ156d,158dの揺動に干渉しないように形成されている。他の構成については前記実施の形態1と同じである。
本実施の形態では、固定リフトカム当接部126bに設けられた固定リフトカム当接面126cは、その直交方向に、バルブステムエンド106bに当接して吸気バルブ106を駆動するステムエンド当接面126dが存在する。このことにより図20,22の(B)に示したごとく、固定リフトカム128bが、固定リフトカム当接面126cを押圧してバルブ駆動力をロッカーアーム126に伝達する際には、そのバルブ駆動力は吸気バルブ106のバルブステムエンド106bに直接向けられる。このことにより固定リフトカム128bは、仲介駆動機構124のノーズ156d,158dとは別に、ロッカーアーム126を介して吸気バルブ106を駆動することができる。更にロッカーアーム126においてラッシュアジャスタ127から離れる方向のモーメントが生じることがなく、ラッシュアジャスタ127によりロッカーアーム126を支持することができる。
最小バルブリフト量での駆動状態以外では、図21に示したごとく、開弁時においては仲介駆動機構124のノーズ156d,158dによりステムエンド当接面126dは大きく押し下げられる。このため固定リフトカム当接面126cは固定リフトカム128bから離れ、固定リフトカム128bによるバルブ駆動力は生じない。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の効果を生じると共に、ラッシュアジャスタ127を用いることができるので、ラフアイドル防止による低騒音化と共に一層の低騒音化ができる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、前記実施の形態1との違いは、図23(最小バルブリフト量での駆動状態)、図24(最大バルブリフト量での駆動状態)及び図25(固定リフトカム228bのみが機能している場合)に示すごとくである。それぞれ(A)は吸気バルブ206の閉弁時、(B)は開弁時を表す。図示するごとく吸気カムシャフト228における吸気カム228aと固定リフトカム228bとの配置位相差、仲介駆動機構224におけるローラ254fとノーズ256d,258dとの配置位相差、及びこれらの位置関係が前記実施の形態1と異なる。更にロッカーアーム226の形状が前記実施の形態1と異なる。他の構成については前記実施の形態1と同じである。
本実施の形態では、ロッカーアーム226の形状をほぼ直線状に簡素化し、ロッカーローラ226aよりも先端側の固定リフトカム当接部226bの上面226cを固定リフトカム当接面としたものである。
最小バルブリフト量での駆動状態以外では、図24に示したごとく、開弁時においては仲介駆動機構224のノーズ256d,258dによりステムエンド当接面226dは大きく押し下げられる。このため固定リフトカム当接面としての上面226cは固定リフトカム228bから離れ、固定リフトカム228bによるバルブ駆動力は生じない。
尚、最小バルブリフト量での駆動は図23,25に示したごとくである。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の効果を生じる。更に、簡素な形状のロッカーアーム226の採用により、製造コストが低減できると共に、ロッカーアーム226の寸法精度が向上して低リフト領域でのバルブリフト量のばらつきを、より一層抑制できる。
[その他の実施の形態]
(a).前記各実施の形態において、前述した仲介駆動機構と固定リフトカムとを用いた可変動弁機構は、吸気バルブに対する構成であるが排気バルブに対しての構成でも良く、吸気バルブと排気バルブとの両方に設けても良い。
(b).前記各実施の形態において固定リフトカム当接部はロッカーアームに一体に形成されていたが、ロッカーアーム本体と固定リフトカム当接部とは別個に形成し、エンジンにロッカーアーム本体を取り付けた後に、ロッカーアーム本体の先端に固定リフトカム当接部を取り付けても良い。このことによりエンジンの組み立て時において、ロッカーアーム全体を取り替えなくても、固定リフトカム当接部の取り替えのみで、アイドル時のバルブリフト量の調節が可能となる。
(c).前記各実施の形態において仲介駆動機構は各気筒毎に設けられていたが、各吸気バルブ毎に設けても良い。固定リフトカムは各吸気バルブ毎に設けられていたが、各気筒の2つのロッカーアームを連結して一体化することにより、固定リフトカムは各気筒毎に設けるようにしても良い。
(d).前記各実施の形態において仲介駆動機構はバルブリフト量とバルブ作用角との両方を同時に調節する構成であったが図26に示すごとくに構成しても良い。すなわち図26の(A)に示すごとく仲介駆動機構の揺動カム356,358に形成されているノーズ356d,358dのカム面におけるリフト部Cflの形状を、吸気バルブのリフト後に一定のバルブリフト量となる領域として形成する。このことにより図26の(B)に示すごとくバルブ作用角のみを調節できる。この結果、前記図18,19の内、縦軸をバルブ作用角に代えた状態で可変動弁機構が機能することになり、固定リフトカムによるバルブ作用角が最小バルブ作用角を規定することになる。
実施の形態1のエンジン(内燃機関)及び可変動弁機構の縦断面図。 上記エンジンの上部構成を示す平面図。 4気筒にわたる上記可変動弁機構及び関連する機構の構成を示す斜視図。 図3に示す構成における右側面図。 図3に示す構成から吸気カムシャフトを排除した状態を示す斜視図。 実施の形態1の吸気カムシャフトの主要部説明図。 上記可変動弁機構における仲介駆動機構の斜視図。 上記仲介駆動機構の部分破断斜視図。 上記仲介駆動機構の分解斜視図。 上記仲介駆動機構の部分破断斜視図。 上記仲介駆動機構におけるスライダギアの垂直破断斜視図。 上記仲介駆動機構におけるロッカーシャフト及びコントロールシャフトの主要部分解斜視図。 上記仲介駆動機構の動作説明図。 上記仲介駆動機構の動作説明図。 上記仲介駆動機構の動作説明図。 上記仲介駆動機構におけるカム面の構成説明図。 上記仲介駆動機構による吸気バルブのバルブリフト量調節を示すグラフ。 4気筒の上記仲介駆動機構による吸気バルブのバルブリフト量調節を示すグラフ。 上記吸気カムシャフトに設けられた固定リフトカムの機能を表すグラフ。 実施の形態2の仲介駆動機構の動作説明図。 実施の形態2の仲介駆動機構の動作説明図。 実施の形態2の仲介駆動機構の動作説明図。 実施の形態3の仲介駆動機構の動作説明図。 実施の形態3の仲介駆動機構の動作説明図。 実施の形態3の仲介駆動機構の動作説明図。 他の実施の形態における揺動カムの構成とバルブ作用角調節の説明図。
符号の説明
2…エンジン、4…可変動弁機構、6…吸気バルブ、6a…バルブシート部、8…シリンダブロック、10…ピストン、12…シリンダヘッド、14…燃焼室、16…排気バルブ、18…吸気ポート、20…排気ポート、22…カムキャリア、22a…軸受部、24…仲介駆動機構、26…ロッカーアーム、26a…ロッカーローラ、26b…固定リフトカム当接部、26c…固定リフトカム当接面、27…ロッカーシャフト、28…吸気カムシャフト、28a…吸気カム、28b…固定リフトカム、28c…カム面、30…スライドアクチュエータ、30a…駆動シャフト、32…バルブタイミング可変機構、34…タイミングチェーン、36…クランクシャフト、38…排気カムシャフト、38a…排気カム、40…ロッカーアーム、42…バルブタイミング可変機構、44…ロッカーシャフト、44a…長孔、46…ECU、48…コントロールシャフト、48a…支持穴、50…スライドアクチュエータ駆動回路、52…スライダギア、52a…入力用ヘリカルスプライン、52b…小径部、52c…第1出力用ヘリカルスプライン、52d…小径部、52e…第2出力用ヘリカルスプライン、52f…貫通孔、52g…周溝、52h…ピン挿入孔、54…入力部、54a…ハウジング、54b…ヘリカルスプライン、54c…アーム、54e…シャフト、54f…ローラ、56…第1揺動カム、56a…ハウジング、56b…ヘリカルスプライン、56c…軸受部、56d…ノーズ、56e…カム面、58…第2揺動カム、58a…ハウジング、58b…ヘリカルスプライン、58c…軸受部、58d…ノーズ、58e…カム面、60…スプリング、62…コントロールピン、64…ブッシュ、64a…支持孔、106…吸気バルブ、106b…バルブステムエンド、124…仲介駆動機構、126…ロッカーアーム、126b…固定リフトカム当接部、126c…固定リフトカム当接面、126d…ステムエンド当接面、126e…長孔、127…ラッシュアジャスタ、128…吸気カムシャフト、128a…吸気カム、128b…固定リフトカム、154f…ローラ、156d,158d…ノーズ、206…吸気バルブ、224…仲介駆動機構、226…ロッカーアーム、226a…ロッカーローラ、226b…固定リフトカム当接部、226c…上面、226d…ステムエンド当接面、228…吸気カムシャフト、228a…吸気カム、228b…固定リフトカム、254f…ローラ、256d,258d…ノーズ、356,358…揺動カム、356d,358d…ノーズ。

Claims (8)

  1. 内燃機関のカムシャフトの回転に伴って該カムシャフトに設けられたバルブカムにて生じるバルブ駆動力を、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能な仲介駆動機構を介して内燃機関のバルブに伝達する可変動弁機構であって、
    前記カムシャフトに設けられて前記仲介駆動機構を介さずにバルブ駆動力をバルブに伝達すると共に、固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角が前記仲介駆動機構による可変範囲に存在することにより最小バルブリフト量又は最小バルブ作用角を規定する固定リフトカムを備えたことを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  2. 請求項1において、前記固定されたバルブリフト量又はバルブ作用角は、アイドル時におけるバルブリフト領域に設定されていることを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  3. 請求項1又は2において、前記固定リフトカムは、バルブ駆動力をロッカーアームを介してバルブに伝達することを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、内燃機関に複数の気筒が設けられて、該複数の気筒に共通する前記カムシャフトと、各気筒毎又は各バルブ毎に配置された前記仲介駆動機構と、各気筒毎又は各バルブ毎に配置された前記固定リフトカムと、全ての前記仲介駆動機構に共通し前記複数の気筒のバルブリフト量又はバルブ作用角を連動して調節するコントロール部材とを備えたことを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  5. 請求項4において、前記仲介駆動機構は、前記カムシャフトとは異なる軸にて揺動可能に支持され、入力部と出力部とを有することで前記バルブカムにより入力部が駆動されると出力部にてバルブをロッカーアームを介して駆動すると共に入力部と出力部との相対位相差が前記コントロール部材の調節により可変とされることでバルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能であることを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  6. 請求項5において、前記仲介駆動機構は、
    ねじれ角の異なる2種のスプラインを有して軸方向に移動可能なスライダギアと、
    前記入力部に設けられ、前記スライダギアの一方の種類のスプラインに噛み合うことにより、前記スライダギアの軸方向への移動に応じて前記入力部を前記スライダギアに対して相対揺動させる入力ギア部と、
    前記出力部に設けられ、前記スライダギアの他方の種類のスプラインに噛み合うことにより、前記スライダギアの軸方向への移動に応じて前記出力部を前記スライダギアに対して相対揺動させる出力ギア部と、
    を備え、前記スライダギアの軸方向での変位が前記コントロール部材により連続的に調節されることで、バルブリフト量又はバルブ作用角を連続的に調節可能であることを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記仲介駆動機構と前記固定リフトカムとは、共通のロッカーアームを介してバルブ駆動力をバルブに伝達することを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記仲介駆動機構及び前記固定リフトカムは内燃機関の吸気バルブ駆動用であり、内燃機関のアイドル時において前記固定リフトカムによるバルブ駆動を支配的とし、他の内燃機関運転領域では前記仲介駆動機構によるバルブ駆動を支配的としていることを特徴とする内燃機関可変動弁機構。
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JP2009264482A (ja) * 2008-04-24 2009-11-12 Toyota Motor Corp ドライバ装置一体型アクチュエータ

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