JP2007203147A - 水処理方法およびオゾン水 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、簡易な設備でも促進酸化法に基づく水処理を実現することができる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水処理方法は、酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極7とそれに対向する接地電極8との間に、過酸化水素を含んだ被処理水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾンを被処理水中へ注入せしめ、水中のオゾンと過酸化水素により生成される活性種のより、被処理水の有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなう。
【選択図】図1

Description

本発明は、水中の有機物の分解や微生物の死滅を促進する水処理方法に関するものである。
工場から出る排水中に含まれる有害な有機化合物の分解や、畜産施設から出る排泄物の殺菌または脱色を行う現場では、無声放電を利用したオゾン発生装置がよく用いられる。この方法の原理は、次亜塩素酸による漂白や殺菌と同じであり、オゾンの持つ高い酸化力に基づいている。次亜塩素酸を被処理水に注入する場合、処理後の残留塩素がハロゲン化合物を作るために、さらなる有害物質の生成を引き起こす危険性がある。これに対してオゾン処理の場合、オゾン発生装置からのオゾン注入がなされることにより引き起こされる酸化反応過程における副生成物は酸素なので、有害物質が被処理水中に残留しないという利点を有する。したがってこれまでに、オゾン処理の効率をさらに高めるための研究がさかんになされてきた。
オゾン処理効率を高めるための手法のひとつに、促進酸化法(Advanced Oxidation Process)が挙げられる。この方法の利点は、オゾン処理法を含むいくつかの処理方法を併用することによって、極めて酸化力の強いヒドロキシラジカル(・OH)を被処理水中にて発生させ得ることにあり、その結果として有機化合物の分解効率や微生物の殺菌効率を飛躍的に高めることができる。一般に知られている併用の組み合わせとして、紫外線照射併用オゾン処理、過酸化水素添加オゾン処理、紫外線照射併用過酸化水素処理などがある。
このような状況のもと近年においては、促進酸化法を基本として水処理効率を更に向上させるための手法が数多く提案されてきた。そのほとんどは、紫外線照射併用オゾン処理もしくは過酸化水素添加オゾン処理のいずれかである。例えば特許文献1(特許公開2005−34258公報)に記載の水処理装置は、反応層にオゾンを注入しつつ、円筒型光源から紫外線を均一照射することにより水中に含まれた難分解性物質を分解している。また、特許文献2(特許公開2003−326284公報)に記載の水処理装置及び水処理方法は、オゾンが溶解した被処理水に波長254nmの紫外線を照射してヒドロキシルラジカルを生成させるとともに、被処理水中の過酸化水素に波長220nmの紫外線を照射して過酸化水素から新たにヒドロキシルラジカルを生成させ、このヒドロキシルラジカルを用いて有機化合物の分解効率を改善させている。さらに、特許文献3(特開平5−228481号公報)に記載の難分解性有機物を含有する汚水を処理する汚水処理方法は、オゾンの自己分解にて生成するフリーラジカルにより水中の有機物を酸化分解した後、過酸化水素を注入し超音波振動にてオゾンのヒドロキシラジカルによる酸化分解を促進しつつ紫外線にて有機物を分解している。
これらオゾン処理を基本とした促進酸化法における実用面での大きな問題は、処理設備の大型化が避けられないという点である。オゾンを被処理水に注入するためには、オゾン発生装置以外にも、加圧されたオゾンガスを反応層へ噴射するための散気装置、さらには注入されたものの水に溶存することなく気泡となり放出されたオゾンガスを回収して無害化した後に大気中へ放出するためのオゾンガス回収装置が必要である。紫外線照射をする場合にはこれに加えて、被処理水に紫外線を均一に放射するための紫外線放射装置が必要となる。このような多数の装置よりなる設備を導入するためには、それに見合った広い空間と、大電力の供給が必要となる。すなわちその適用は大工場や大型の浴場施設などに限られてしまい、汎用性に欠けるという問題が残っている。
特許文献4(特許公表平09−504501公報)に記載のオゾン発生と水処理とのための方法及び装置は、水面の上方のある距離を隔てた空気中又は酸素中に置かれた高電圧の電極を用いて形成される強い電場が水面に突起(テーラーコーン)を形成せしめ、この突起の先端からコロナ放電が生じ、その過程で発生したオゾンをその場で水の中に溶け込ませることにより、オゾンガスの輸送や加圧噴出の手間を不要としている。しかし、高電圧の電極と水面との間に空気の層を形成する必要があるため、高圧電極と水中の接地電極との間の距離が大きくなり、その結果、低い印加電圧で運転することができないという問題がある。さらにテーラーコーン先端から上方の高圧電極に向かって伸びるストリーマにより形成される放電路と水面は点接触しているだけなので、放電路に沿って形成されたオゾンが直接的に水中へ溶け込むという効果は少ないという問題もある。
一方、大型設備を導入できない水処理現場においてよく用いられているのが、フェントン反応による酸化処理方法である。この方法は、次の反応式に示されるように、過酸化水素と鉄との化学反応によりヒドロキシラジカルが形成されることを利用している。
Fe2++H22 → Fe3++HO-+HO・
この方法の利点は、被処理水に過酸化水素と鉄粉を投入し攪拌するだけで良い点にある。しかし、反応の副生成物として水酸化鉄よりなる汚泥が形成されるという欠点があるため、水処理後に汚泥を処分する手間が生ずる。
特許公開2005−34258公報 特許公開2003−326284 特開平5−228481号公報 特許公表平09−504501公報
本発明が解決しようとする課題は、簡易な設備でも促進酸化法に基づく水処理を実現することができる方法を提供することである。
上記の目的を解決するために、本発明の第1の水処理方法は、酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、過酸化水素を含んだ被処理水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾンを被処理水中へ注入せしめ、水中のオゾンと過酸化水素により生成される活性種により、被処理水の有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなうことを特徴とする。
本発明の第2の水処理方法は、酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾン水を作った後、有機物や微生物により汚染されている被処理水中へ、該オゾン水と過酸化水素を注入することにより被処理水中に含まれる有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなうことを特徴とする。
これらに加えて、充電された伝送線路の一端を短絡した時に生ずる電圧進行波の伝搬により、線路のもう一端に取り付けられたコンデンサを通じて、高電圧パルスを高圧電極に印加するようにしてもよい。
本発明のオゾン水は、酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾンを導入することにより製造されるものである。
本発明の水処理方法は、オゾンを液体の外へほとんど放出しないので、オゾンガスの回収・処理を行う必要がなく、簡易な設備で水処理を行えるという効果を有する。
本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1に水処理装置の例の構成を示す。水処理装置1は、伝送線路2、ハイパスフィルタ3、半導体スイッチ4、直流電源5、高抵抗6、放電用高圧電極7、接地電極8、反応器9、水循環用ポンプ10を有する。これらに加えて、電圧や電流を計測するための各種プローブとオシロスコープや、水の吸光度を計測するための分光器や光検出器などが使用されるが、図示は省略した。これら観測系の種類、その相対配置などはこの発明における必須の構成要件ではない。
図1に示すにおいては、長さ50m、特性インピーダンス52Ωの同軸ケーブルを伝送線路2として用いたが、特性インピーダンスが一定である伝送線路であれば他のものを用いても良く、例えば平行平板よりなるストリップ線路などを用いることもできる。伝送線路の本数は1本でも良いが、線路全体の静電容量を大きくするために、同一長さの伝送線路を複数本並列にして用いることもできる。また電界集中の起き易い線路端部において、二つの導体間に介する絶縁層の厚さをテーパー状に広げ、端部絶縁層の破壊を抑止していると共に、ひだ付きの絶縁物を導体間の端部に挿入することにより、線路端部での沿面放電を抑止している。
図1の水処理装置1における半導体スイッチ4は、直並列接続されたMOSFETにより構成されている。本例にて用いられたスイッチの耐電圧は12kV、最大電流400A、オン抵抗は約3Ω、スイッチ動作の立ち上がり時間3ナノ秒である。本例においては、半導体スイッチ4が伝送線路2の一端に取り付けられ、もう一端にはハイパスフィルタ3を介して放電用高圧電極7が取り付けられた。定常時において、高抵抗6を介して直流電源5と接続された線路は−10kVの直流電圧で充電されている。この状態から半導体スイッチ4を閉じると、ケーブルの内部導体と外部導体間は短絡されるため電圧進行波が伝搬を開始し、ケーブル両端で反射しながら往復を繰り返す。この時、短絡部のインピーダンスはケーブルの特性インピーダンスよりも小さいので、進行波は短絡部で極性反転して反射される。その結果ハイパスフィルタ3の出力端に接続された放電用高圧電極7と接地電極8との間には、波高値20kVの電圧パルスが1マイクロ秒の周期で脈動を繰り返しつつ徐々に減衰しながら印加される。このパルス電圧の印加により、高圧電極先端からストリーマ状の放電がパルスの周期と同期して水上に繰り返し広がった。本例においては、半導体スイッチ4のスイッチング周波数は、直流電源の容量、水の流速などの条件を考慮しながら、水処理におけるエネルギー効率の最適化がなされるように選定されるのが好ましい。本例におけるスイッチング周波数は50Hz一定として水処理をおこなった。なお50Hzでの運転中に直流高圧電源から供給される電力は30Wであった。
図1の水処理装置1における高圧電極7は、直径0.5mmで先端の曲率半径0.1mmの針電極としたが、この他にも櫛形電極、刀状電極、のこぎり状電極等を用いることもできる。接地電極8としては、直径200mmで厚さが2mmのステンレス製の板を用い、高圧電極7に対向するように設置した。接地電極としてはこれ以外にも、メッシュ状の金属シートを水中に沈めた状態で用いても良く、また細径の金属棒やパイプを等間隔に並べたものを用いても良い。電極間距離は短いほど高い電界強度を得ることができるので、電極間の絶縁破壊が起きない程度に短くするのが良い。具体的には1mm以上10mm以下の範囲で設定するのが好ましく、さらに好ましくは1.5mm以上8mm以下である。図1の実施形態においては電極間距離を3.0mmに固定している。ハイパスフィルタ3としては、周波数応答特性や耐電圧特性の良いコンデンサと、コンデンサの充電を速やかに行うための抵抗より構成されている。コンデンサの静電容量は100pF以上0.1μF以下であるのが好ましく、さらに好ましくは500pF以上0.01μ以下の範囲で設定するのが良い。抵抗のインピーダンスは、50MΩ以下であるのが好ましく、さらに好ましくは10kΩから1MΩの範囲に設定するのが良い。
円筒状の反応器9は底面と側面がステンレス鋼で、上面が耐熱性ガラスにより構成されている。側面には水の循環口が設けられると共に、反応器内部の雰囲気を調節するための吸排気口が供えられている。吸排気口は、真空ポンプ、酸素ガスボンベおよびアルゴンガスボンベよりなる吸排気系とつながっており、大気圧空気中での運転だけでなく、酸素濃度の調整や気圧の調整が可能となっている。
オゾンガスの一般的な製法としては、オゾナイザー内において板状の固体誘電体を電極で挟み、これに商用周波数の交流高電圧を印加することにより無声放電を引き起こし、放電路内でのプラズマ化学反応により酸素からオゾンを生成する手法が挙げられる。これに対して、この水処理方法の特徴は、接地された板状電極の上に設けられた薄い水の層に高圧電極を立てた状態のもとで、幅の短い高電圧パルスを電極間に繰り返し印加することによりストリーマ状の沿面放電を進展させる点にある。水層の厚さが薄いほど水面に沿って進展するストリーマ先端は、高い電界強度を維持できる。しかしながら、あまりに薄すぎると、水層の絶縁破壊が引き起こされるために沿面方向へのストリーマ進展が妨げられる。本発明に基づく水処理の実施に適する水層の厚さは1mmから10mmの範囲である。さらに好ましくは1.5mmから8mmの範囲に設定するのが良い。水層の厚さを調節するために、板状の接地電極を若干傾けることにより勾配を持たせた状態で、その勾配面に沿って一定の供給量にて水を流す方法を用いることができる。後に説明する全ての実施例においては、毎分0.7リットルにてポンプ10から供給される水を数度の勾配を持たせた平板電極上に流すことにより、厚さ3mmの流水層を形成した。また図1の水処理装置において、水層の厚さと電極間距離は等しくなるように調整されている。高圧電極が水面に接することにより、電極先端の高電界領域におけるプラズマ化学反応の作用が直接的に水に作用する。商用周波数の交流高電圧や、波尾長が数マイクロ秒以上のインパルス電圧を用いる場合、高圧電極を水面に漬けてしまうと、沿面放電が広がらずに水の絶縁破壊が起きるだけである。これに対して、高速で脈動を繰り返しながら減衰するパルス電圧を用いれば、高圧電極の先端が若干水中に埋没したとしても、水の絶縁破壊を引き起こすことなく、高圧電極と水相と気相との三重接合点から沿面放電が伸びる。水面背後の接地電極の存在により、水面に広がるストリーマ先端の電界ベクトルは水面から水中へと向かうので、放電プラズマは気相/液相界面のミクロな混相領域に形成される。したがって、混相領域にて生成されたオゾンは、そのまま直接的に水中へ取り込まれるという特徴を有する。この水処理方法の場合、静止もしくは流動状態にある水層の厚さを薄くすることにより電極間距離を小さくすることができるので、波高値の低い電圧パルスであったとしても、ストリーマの先端の電界は十分に高い強度を維持することが可能となり、その結果、高エネルギー電子によるプラズマ化学反応が引き起こされる。
水は、固体絶縁材料などに比べて高い導電性を有することから直流電界や低周波数の交流電界下においては抵抗体として作用するため、ジュール熱損失が大きくなる。したがって本発明に基づく水処理方法においては、幅の短いパルス電圧を繰り返し印加することのできる放電発生装置を用いて、水中でのジュール熱損失を抑えつつ、瞬時に伸びる沿面放電を繰り返し引き起こしている。本発明者は、これまで行なってきた研究の中で、10-6秒以下の周期で大きく振動しながら10-6秒から10-3秒の時定数でゆっくりと減衰する高速振動型パルス電圧を印加することにより、電極間をアークにより短絡させることなく、水面上に何度も放電路を広げることに成功した。すなわち、過酸化水素の添加された被処理水を電極間に流しつつ繰り返しパルス沿面放電を引き起こしてオゾンを注入することにより、オゾナイザーからのオゾンガスの輸送、加圧噴出さらには残存ガスの回収などの工程が不要となり、容易に促進酸化反応処理を実施することができる。
本発明の第一の実施例として、繰り返しパルス放電によるオゾン注入と、過酸化水素の添加による促進酸化法を濃度2.66×10-5mol/lのインジゴカルミン水溶液に対して行ない、インジゴカルミンの分解に伴う脱色率の変化を様々な条件の下で追跡した。脱色率は以下の方法により算出した。波長630nmの単色光がインジゴカルミン水溶液を透過する割合を定期的に測定し、あらかじめ調べておいた透過率と濃度の換算グラフからインジゴカルミンの未反応分の濃度変化を求めた。そして各時間における未反応濃度と初期濃度との比を脱色率とした。試験液の循環速度は毎分約1リットルとした。この実施例の条件1から条件6、および比較例1から比較例8までのそれぞれにおける実施条件を以下に示す。
(条件1)
反応器内に入った1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、10gの過酸化水素を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(条件2)
反応器内に入った1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、1.0gの過酸化水素水を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(条件3)
反応器内に入った1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、0.10gの過酸化水素水を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(条件4)
反応器内に入った1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、50gの過酸化水素を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(条件5)
反応器内に入った5リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、50gの過酸化水素を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(条件6)
反応器内に入った1リットルの純水を循環させつつ放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて20分間実施した後、水中へ2.66×10−5molのインジゴカルミンを混ぜるとともに、10gの過酸化水素を添加してからの脱色率を2分毎に測定した。
(比較例1)
反応器内に入った1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、10gの過酸化水素を添加した後、これを循環させつつ放電によるオゾン注入を、アルゴンガス100%よりなる大気圧雰囲気中にて継続し、その間の脱色率を2分毎に測定した。
(比較例2)
反応器内の高圧電極を除去して、定格電力40Wの低圧水銀ランプを取り付けた状態のもとで、10gの過酸化水素が添加された1リットルのインジゴカルミン水溶液を反応器内に循環させつつ、大気圧空気中にて波長254nmの紫外線を水面近傍のランプから直射した場合の脱色率を2分毎に測定した。
(比較例3)
過酸化水素が全く添加されていない1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、放電によるオゾン注入を大気圧空気中にて継続し、その間の脱色率を5分毎に測定した。
(比較例4)
過酸化水素が全く添加されていない1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、放電によるオゾン注入をアルゴン80%、酸素20%よりなる大気圧雰囲気にて継続し、その間の脱色率を5分毎に測定した。
(比較例5)
過酸化水素が全く添加されていない1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、放電によるオゾン注入をアルゴン60%、酸素40%よりなる大気圧雰囲気にて継続し、その間の脱色率を5分毎に測定した。
(比較例6)
過酸化水素が全く添加されていない1リットルのインジゴカルミン水溶液に対して、放電によるオゾン注入を酸素100%よりなる大気圧雰囲気にて継続し、その間の脱色率を5分毎に測定した。
(比較例7)
反応器内の高圧電極を除去して、定格電力40Wの低圧水銀ランプを取り付けた状態のもとで、1リットルの純水を反応器内に循環させつつ、大気圧空気中にて波長254nmの紫外線を水面近傍のランプから20分間照射した後、水中へ2.66×10−5molのインジゴカルミンを混ぜるとともに、10gの過酸化水素を添加してからの脱色率を1時間毎に測定した。
(比較例8)
定格電力60Wのオゾナイザーから毎分2リットルの割合で出される濃度7ppmのオゾンガスを、1リットルの純水が入ったメスシリンダーの底部からバブリングにより60分間供給した後、水中へ2.66×10-5molのインジゴカルミンを混ぜるとともに、10gの過酸化水素を添加してからの脱色率を1時間毎に測定した。
以下に結果を示す。図2は条件1、条件2、条件3、条件4および条件5のそれぞれにおける、脱色率の時間変化を示すグラフである。条件1から条件4においては、水面にて繰り返し引き起こされた沿面放電によりオゾンが溶け込み、水溶液内の過酸化水素との併用による促進酸化反応によりヒドロキシラジカルが生成されるため、時間の経過と共にインジゴカルミンの脱色が進行した。条件1において1リットルの水溶液を50%脱色するのに要した電力量は8.4kJであった。5リットルの水溶液を処理した条件5の場合、50%脱色するのに要した電力量は32kJであり、1リットルあたりに換算した値は6.3kJとなった。条件1から条件5において反応器は閉じられた空間であるため、放電により生成されたオゾンを輸送、噴射する必要は無く、さらに余剰ガスを回収、無害化するための排気装置を用いることなく水処理を実施することができた。
図3は、比較例1から比較例6までのそれぞれにおける、脱色率の時間変化を示すグラフである。比較例1の場合、条件1と同量の過酸化水素が添加されていたにもかかわらず、反応器内に酸素が無かったため、1リットルの水溶液を50%脱色率するまでに23kJもの電力量を消費した。また、比較例2においては、反応器内での沿面放電の代わりに低圧水銀ランプによる紫外線照射をおこなったものの、水中へのオゾン注入量が少ないため、促進酸化法の効果が少なかった。比較例3から比較例6においては、高濃度の酸素を含んだ雰囲気中で沿面放電によるオゾン注入を実施したものの、過酸化水素の添加がなされなかったために、促進酸化法の効果を得ることができなかった。
条件6の場合、20分間の放電によりオゾン注入された水にインジゴカルミンを混ぜた時点では、劇的な色相の変化は認められなかった。しかしこの溶液に、過酸化水素を添加して攪拌を開始すると、促進酸化反応の効果により色素が急激に分解され、攪拌開始から2分後の測定において脱色率は100%に達した。一方、比較例7の場合、ランプによる20分間の紫外線照射を終えた後、インジゴカルミンを混ぜると共に過酸化水素を添加しても、促進酸化の効果は全く得られずに、数時間経過した後も脱色率は0%であった。比較例8の場合、オゾナイザ―から20分かけてオゾン注入された水に、インジゴカルミンを混ぜると共に過酸化水素を添加しても、促進酸化の効果は全く得られずに、数時間経過した後も脱色率は0%であった。
次に、第2の実施例について説明する。この例においては、処理対象の水に直接オゾンを導入するのではなく、別の水にオゾンを導入してオゾン水を製造したあとに、そのオゾン水を処理対象の水に使用するものである。すなわち、第一の実施例の条件6と関連ある実施例である。この実施例においても図1に示す水処理装置を使用する。純水1リットルに対して、大気圧空気中にて1時間放電処理を行い、終了後に反応器から800ccほど取り出し、これをオゾン水として用いる。なお、このオゾン水と比較するために比較例9として、真空ポンプにて反応器内の窒素や酸素を除去した後、水蒸気単独による気圧が0.2気圧となるように調整した状態のもとで1時間放電処理を行ってオゾン水を作成した。
この実施例で製造されたオゾン水は、特異な性質を有する新規な物質である。数日間以上にわたって高濃度のオゾンが溶け込んだ状態が維持されることを突き止めた。図4は、オゾン水中のオゾン含有量の時間変化を示すグラフである。ここで、オゾン含有量は、次のように測定した。反応器から取り出されたオゾン水は、ガラス瓶に詰められ、密封状態にて3℃の冷蔵庫内で保存された。所定の日数が経過した後、ガラス瓶を庫内から取り出して室温に戻し、瓶内から200ccのオゾン水を取り出して、よう素滴定法にてオゾン含有量を測定し、その時点でのデータとした。よう素滴定法とは、オゾンなどの活性種とよう化カリウムが反応して遊離するよう素を、チオ硫酸ナトリウムにより滴定する方法である。これを反応式で示すと、次のようになる。
3+2KI+H2O→I2+O2+2KOH
2+2S23 2-→2I-+S46 2-
すなわちよう素により青色に染まったオゾン水が、チオ硫酸ナトリウムとの反応により透明になった時のモル比は、O3:I2:Na223=1:1:2となる。
なお、この方法によって直接測定されるのは活性種のモル濃度である。ここでは、活性種の大部分はオゾンと考えられるので、得られたモル濃度より含有オゾンの重量濃度を算定し、その値を活性種濃度(mgO3/l)として図4に表示した。
図4より、実施例2における製造直後のオゾン水は74mgO3/lもの高濃度を有することがわかる。その濃度は1日後に56mgO3/lまで低下するものの、注目すべきは、1週間後の測定においても53mgO3/lの高濃度を維持している点である。一方、水蒸気のみの雰囲気中で放電処理された比較例9における製造直後のオゾン水は42mgO3/lにとどまっている。雰囲気中に酸素が無いにもかかわらず、オゾンが形成されている理由は、水分子のプラズマ化学反応によりオゾンが生成されていることを示している。しかし比較例9におけるオゾン水の寿命は短く、製造から1日後には濃度は10mgO3/l未満に低下することがわかった。実施例2と比較例9との間で、オゾン水の寿命がこのように顕著に異なる理由についてその詳細は不明であるが、図4の結果は、本発明に基づく方法で処理された水に、長期にわたって活性種が残存し得ることを示している。
すなわち、あらかじめ用意された精製水を繰り返しパルス沿面放電に曝すことにより高濃度オゾン水を製造し、それを保管しておけば、このオゾン水と過酸化水素とを水処理現場にて被処理水に混ぜることができるので、処理施設の無い工場や畜産施設などでも用意に促進酸化反応を実施することができるという大きな利点を有する。たとえば、濾過処理された家畜し尿サンプルに300ccに上述のオゾン水800ccと過酸化水素20g混合したところ、ゆっくりと脱色反応が進行し、およそ1日かけて、サンプルの色相が焦げ茶色から淡黄色になった。
本発明は、外部環境へのオゾンガスの放出が少なく、しかも、簡易な設備でも実施でき、産業排水や生活排水などの有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなう水処理方法として利用できる。さらに、本発明のオゾン水は、過酸化水素水とともに有機物の分解等に使用するのに十分な高濃度のオゾンを含有し、しかも長期間に渡って高濃度を維持するものであり、水処理材として広く利用することができるものである。
水処理装置の例を示す構成図である。 実施例1における試験液の脱色率の時間変化を示すグラフである。 比較例における試験液の脱色率の時間変化を示すグラフである。 オゾン水中のオゾンの含有量の時間変化を示すグラフである。
符号の説明
1.水処理装置
2.伝送線路
3.ハイパスフィルタ
4.半導体スイッチ
5.直流電源
6.高抵抗
7.高圧電極
8.接地電極
9.反応器
10.水循環用ポンプ

Claims (4)

  1. 酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、過酸化水素を含んだ被処理水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾンを被処理水中へ注入せしめ、水中のオゾンと過酸化水素により生成される活性種により、被処理水の有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなうことを特徴とする水処理方法。
  2. 酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾン水を作った後、有機物や微生物により汚染されている被処理水中へ、該オゾン水と過酸化水素を注入することにより被処理水中に含まれる有機物の酸化、微生物の死滅のいずれかもしくはその両方をおこなうことを特徴とする水処理方法。
  3. 充電された伝送線路の一端を短絡した時に生ずる電圧進行波の伝搬により、線路のもう一端に取り付けられたコンデンサを通じて、高電圧パルスを高圧電極に印加することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の水処理方法。
  4. 酸素を含む雰囲気中に置かれた高圧電極とそれに対向する接地電極との間に、水を層状に導入した状態で、水上沿面放電を繰り返し引き起こすことによりオゾンを導入することにより製造されるオゾン水。

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