JP2007199542A - 投射型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子画像に対して付加情報を表示したり、一部を強調表示したりする際に、視認性に優れた投射型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】投射型表示装置1は、第1白色光源16および第2白色光源13と、第1照明光学系15、第2照明光学系12およびカラーフィルタ20と、白色用表示素子14および有彩色用表示素子11と、偏光ビームスプリッタ17および投射光学系18と、スクリーン19と、を備えている。白色用表示素子14は、モノクロ画像を表示する。有彩色用表示素子11は、白色用表示素子14よりも低精細である。偏光ビームスプリッタ17および投射光学系18は、白色用表示素子14と有彩色用表示素子11とからの光を合成して出射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、投射型表示装置、特にスクリーンの背面から投射を行う投射型表示装置に関するものである。
医療現場で各種診断を行う際に、X線レントゲンフィルムや磁気共鳴映像(MRI)のフィルムなどの画像を観察し診断することが行われている。これらの画像は、大判のフィルムに焼き付けられており、観察する際には、面光源に画像フィルムをかざし、画像フィルムを透過してくる面光源の光を観察している。これらの医療画像を用いた診察において、的確な診断を行うためには、複数の医療画像を同時に比較することが求められる。そのため画像フィルムを観察するための面光源は、複数の画像フィルムを同時に観察できるだけの大きさをもっている。この大きな面光源装置は、シャーカステンと呼ばれている。
一般にシャーカステンは、横長長方形状のスクリーンの背面に白色蛍光灯が数本配列された構造になっており、スクリーン表面からは、ほぼ均一の白色光が出射される。なお、白色光だけでは判別しにくい画像情報を特徴的に浮かび上がらせて読影しやすくするために、青色、緑色、赤色などのカラー光源を用いるシャーカステンも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、近年、医療画像を電子化し、電子ディスプレイで診断を行うことが多くなってきている。医療画像を電子化することでデータの保管と整理とが容易となり、レントゲン診断などの時間短縮とコストの低下が見込め、今後も電子ディスプレイでの医療画像診断が拡大していくものと予想される。この電子ディスプレイには、解像度、階調、明るさにおいて、面光源と画像フィルムで観察するのと同等の性能が要求され、現在20インチ前後のモノクロの液晶ディスプレイが用いられている。
しかしながら、依然として従来の画像フィルムを参考にした診断も併用されている。このため、電子化された医療画像を表示する液晶ディスプレイを従来のシャーカステンとして用いることができれば便利である。しかし、液晶ディスプレイを面光源として用いようとしても、画像フィルムを背面から照射して読影させるだけの輝度を得ることが難しい。このため、画像フィルムと電子画像とを比較診断するためには、従来のシャーカステンと電子ディスプレイとの両方を用いているのが現状である。
発明者らは、透過型のスクリーンに背面から光を投射するリアプロジェクターを用いて、この不都合を解消しようと取り組んでいる。
この投射型表示装置について、図8〜図9を用いて説明する。
図8は、投射型表示装置の構成を示す透視図である。投射型表示装置80は、プロジェクター81と、ミラー82と、スクリーン83とから構成されている。プロジェクター81の詳細な構成については、図9を用いて後述する。ミラー82は、プロジェクター81から投射された光を反射し、投射型表示装置80を小型にしつつ、プロジェクター81からスクリーン83までの投射距離を確保するために設けられている。スクリーン83には、ミラー82により反射された光が照射される。スクリーン83は、照射された光を透過して表示する。
図9は、プロジェクター81の構成を示す説明図である。プロジェクター81は、光源91と、光源91で発した光の光線方向を調整する照明光学系92と、照明光学系92から入射した光を反射させ後述する表示素子94へと導くとともに、表示素子94から反射した光を透過させる偏光ビームスプリッタ93と、表示素子94と、表示素子94にて画像光に変調され、偏光ビームスプリッタ93を透過した光を拡大投射する投射光学系95と、から主に構成されている。投射光学系95により投射された画像光は、ミラー82で反射され、スクリーン83を透過して出射される。なお、図9では、光軸を直線的に展開して示している。
図8〜図9に示す投射型表示装置80では、表示素子94に医療画像信号を入力して医療画像光を作り出すことにより、スクリーン83には拡大された高精細な画像が表示される。また表示素子94にて変調を行わず白色光のままにスクリーン83へ投射すると、均一な面状白色光がスクリーン83から発せられ、スクリーン83の表面に画像フィルムを設置して読影するシャーカステンとしても使用できる。
また従来より、図10に示すテレビ映像表示用の投射型液晶表示装置100が知られている。投射型液晶表示装置100は、モノクロ画像を表示する液晶パネル104と、カラー画像を表示する液晶パネル106を備えている。この投射型液晶表示装置100は、フルカラー画像を表示するにあたって、各画素の輝度成分を液晶パネル104で表示し、赤、青、緑のカラー成分を液晶パネル106で表示し、それぞれの液晶パネルからの光をハーフミラー107で合成するものである(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−241749号公報 特開平4−267246号公報
図8〜図9に示した投射型表示装置80は、電子画像の表示と画像フィルムへの照明については十分な性能を有する。しかし、表示できる色は、ほぼ無彩色である白色光に限られている。
一方、電子画像を見ながら医者が患者に病状を説明する際に、電子画像上にコメントやマーキングなどの付加情報を表示することに対する要求が高まりを見せている。また、説明の理解を容易にするために、電子画像上の骨、臓器などに対して着色表示など他の部分と区別できるように強調表示するということに対する要求もある。
このような要求に応えるためには、投射型表示装置80では、コメントやマーキングを白色光の濃淡だけで表すしかなく、視認性の点で改善が求められる。
また、医療画像では、複雑な体内組織を精緻に表現するために非常に高精細で高階調な表示が必要であり、また画像フィルムの照明を行うためには高い輝度が必要である。そのために高出力高輝度の光源ランプ、輝度分布を十分に均一化できる高精度なインテグレータ、偏光方向を正確に揃えることができる偏光変換素子などを含む高精度な照明光学系、高精細で高コントラストな表示素子などが必要である。
このため、従来の投射型表示装置では、装置の小型化に対する要求、コスト削減の要求に十分応えることが難しい。さらにその上、上記したような電子画像に対する着色表示に答えるため、テレビ映像表示用のプロジェクターのように青、緑、赤の3原色の表示素子を備えた光学系にすると、装置がさらに大型化するとともに、コストがさらに増加する。
また、図10で示した投射型液晶表示装置100では、モノクロ画像を表示する液晶パネル104と、カラー画像を表示するための液晶パネル106を備えており、液晶パネル104と液晶パネル106とはどちらも同等の画素数の精細度を必要としているため、装置がさらに大型化するとともに、コストがさらに増加する。
そこで本発明は、電子画像に対して付加情報を表示したり、一部を強調表示したりする際に、視認性に優れた投射型表示装置を提供することを目的とする。さらに付随的には、装置の小型化、低コスト化に貢献する投射型表示装置を提供することを目的とする。
第1の発明としての投射型表示装置は、光源と、照明光学系と、表示素子と、投射光学系と、スクリーンとを備えている。照明光学系は、光源からの光を導く。表示素子には、照明光学系により導かれた光が照射される。投射光学系は、表示素子からの光を導く。スクリーンは、投射光学系から出射された光が投射される。表示素子は、モノクロ画像を表示するための第1表示素子と、第1表示素子よりも低精細な第2表示素子と、を有している。投射光学系は、第1表示素子と第2表示素子とからの光を合成して出射する。
本発明では、医療画像などのモノクロ画像を表示する第1表示素子と、第2表示素子とを備える。第2表示素子により、第1表示素子により表示されるモノクロ画像に加えて、画像を表示することができる。このため、コメントやマーキングなどの付加情報の表示や、強調表示などを、医療画像などのモノクロ画像とは区別できるように、視認性良く表示することが可能となる。
また、これらの付加情報の表示や強調表示などを行う第2表示素子は、第1表示素子よりも低精細な素子でも十分であり、装置を低コストに構成することが可能となる。また、表示の視認性を向上させるために、従来のようにフルカラー表示用の表示素子を複数枚(例えば3枚)備える必要もなく、装置の小型化を実現することが可能となる。
また、第1表示素子は、医療画像の表示のため、高精細で、画素数が多く、寸法が大きい素子を用いることが好ましいが、第2表示素子は、低精細で、画素数が少なく、寸法が小さい素子を用いることができる。このため、第2表示素子を用いて、付加情報の表示や強調表示などを行いつつ、装置の小型化を実現することが可能となる。
第2の発明としての投射型表示装置は、第1の発明であって、好ましくは、第2表示素子は、非モノクロ画像を表示するための表示素子である。
なお、モノクロ画像は、彩度において非モノクロ画像と区別できる画像であればよく、無彩色の画像のみならず、彩度の低い有彩色画像を含んでもよい。一方、非モノクロ画像は、有彩色の画像であり、好ましくは、彩度の高い有彩色画像であればよい。
本発明では、医療画像などのモノクロ画像を表示する第1表示素子と、カラー画像(有彩色画像)などの非モノクロ画像を表示する第2表示素子とを備える。第2表示素子により、第1表示素子により表示されるモノクロ画像に加えて、非モノクロ画像を表示することができる。このため、コメントやマーキングなどの付加情報の表示や、強調表示などを、医療画像などのモノクロ画像と彩度を異ならせて視認性良く表示することが可能となる。また、内蔵や筋肉などの体内組織の画像は全体に有彩色表示させることで実際のイメージに近づいて視認性が向上する。
また、これらの付加情報の表示や強調表示などを行う第2表示素子は、第1表示素子よりも低精細な素子でも十分であり、装置を低コストに構成することが可能となる。また、表示の視認性を向上させるために、従来のようにカラー表示用の表示素子を複数枚備える必要もなく、装置の小型化を実現することが可能となる。
第3の発明としての投射型表示装置は、第2の発明であって、好ましくは、モノクロ画像の彩度は、CIELAB表色系において0以上30以下の範囲であり、非モノクロ画像の彩度は、CIELAB表色系において35以上である。
ここで、モノクロ画像の彩度とは、第1表示素子から出射される画像の彩度である。非モノクロ画像の彩度とは、第2表示素子から出射される画像の彩度である。
本発明では、モノクロ画像の彩度がCIELAB表色系において0以上30以下の範囲であり、非モノクロ画像の彩度が35以上である。このため、医療画像などのモノクロ画像を従来のシャーカステンと同様のイメージで視認し、付加情報などの非モノクロ画像をモノクロ画像と区別して視認することが可能になる。
なお、投射光学系による合成後の画像(スクリーンに表示される画像)における有彩色画像光を含めない白色画像光の彩度が0以上30以下の範囲であり、白色画像光を含めない有彩色画像光の彩度が35以上であってもよい。
第4の発明としての投射型表示装置は、第1〜第3のいずれかの発明であって、好ましくは、光源は、高輝度と低輝度との2つの白色光源を有する。照明光学系は、高輝度の白色光源からの光を第1表示素子に導く第1照明光学系と、低輝度の白色光源からの光を第2表示素子に導く第2照明光学系とを有する。
本発明では、高輝度と低輝度との2つの白色光源を有し、高輝度光源の光を第1表示素子に照射し、低輝度光源の光を第2表示素子に照射する。このため、第1表示素子から出射されるモノクロ画像は、白色画像を表示することで、画像フィルムの照明に必要な高輝度の面光源が実現される。また、第2表示素子からは、付加情報の表示や強調表示などの視認に必要な輝度の画像が出射できれば十分であり、低輝度の光源を用いることで、装置の小型化とコストダウンとを図ることが可能となる。
第5の発明としての投射型表示装置は、第4の発明であって、好ましくは、第2表示素子への光の入射側または光の出射側のいずれかの光路上には、特定の波長域の光を透過するカラーフィルタが配置されている。
カラーフィルタを用いることにより、第2表示素子から出射される画像を、非モノクロ画像(有彩色画像)とすることが可能となる。このため、光源としては、白色光源を用いるだけで、有彩色の付加情報の表示や強調表示を行うことが可能となる。
第6の発明としての投射型表示装置は、第1〜第3のいずれかの発明であって、好ましくは、照明光学系は、光源からの光を分割する分割手段を有し、一方の分割光を第1表示素子に導くとともに、他方の分割光を第2表示素子に導く。
本発明では、光源からの光を分割し、第1表示素子と第2表示素子とに照射することにより、光源の数を減らすことが可能であり装置のコストダウンが可能となる。
第7の発明としての投射型表示装置は、第6の発明であって、好ましくは、分割手段は、光源からの光のうち、特定の波長域の光を透過し、その他の波長域の光を反射する手段である。照明光学系は、反射された光を第1表示素子に導くとともに、透過された光を第2表示素子に導く。
ここで、分割手段は、例えば、ダイクロイックフィルタと呼ばれるフィルタなどであり、入射した白色光から、特定の波長域の光を取り出す。
本発明では、分割手段を用いることで、光源からの光のうち、特定の波長域の光を第2表示素子に導き、例えば、非モノクロ画像を出射させることが可能となる。また、光源からの光のうち、その他の波長域の光は、ほぼ白色光と同様であり、この光を第1表示素子に導くことで、例えば、モノクロ画像を出射させることが可能となる。以上のように、光源の数を減らしつつ、異なる波長の光を得ることが可能となり、装置の小型化とともにコストダウンが可能となる。
第8の発明としての投射型表示装置は、第6の発明であって、好ましくは、分割手段は、光源からの光のうち、特定の波長域の光を反射し、その他の波長域の光を透過する手段である。照明光学系は、透過された光を第1表示素子に導くとともに、反射された光を第2表示素子に導く。
ここで、分割手段は、例えば、ダイクロイックミラーと呼ばれるミラーなどであり、入射した白色光から、特定の波長域の光を反射させる。
本発明では、分割手段を用いることで、光源からの光のうち、特定の波長域の光を第2表示素子に導き、例えば、非モノクロ画像を出射させることが可能となる。また、光源からの光のうち、その他の波長域の光は、ほぼ白色光と同様であり、この光を第1表示素子に導くことで、例えば、モノクロ画像を出射させることが可能となる。以上のように、光源の数を減らしつつ、異なる波長の光を得ることが可能となり、装置の小型化とともにコストダウンが可能となる。
第9の発明としての投射型表示装置は、第6の発明であって、好ましくは、第2表示素子への光の入射側または光の出射側のいずれかの光路上には、特定の波長域の光を透過するカラーフィルタが配置されている。
カラーフィルタを用いることにより、第2表示素子から出射される画像を、非モノクロ画像(有彩色画像)とすることが可能となる。このため、光源としては、白色光源を用いるだけで、有彩色の付加情報の表示や強調表示を行うことが可能となる。
第10の発明としての投射型表示装置は、第1〜第3のいずれかの発明であって、好ましくは、光源は、白色光源と、特定の波長域の光を照射する有彩色光源とを有する。照明光学系は、白色光源からの光を第1表示素子に導く第1照明光学系と、有彩色光源からの光を第2表示素子に導く第2照明光学系とを有する。
本発明では、白色光源と有彩色光源とを有し、第1表示素子には白色光源からの光を照射し、第2表示素子には有彩色光源からの光を照射する。これにより、カラーフィルタなどの素子を削減可能で光学系を簡素にできる。また、白色光源から特定の波長域の光だけを分割して利用する場合は、その他の波長域の光が損失となるが、本発明では、初めから有彩色の光が発せられるのでエネルギー損失を抑えることが可能となる。
第11の発明としての投射型表示装置は、第1〜第10のいずれかの発明であって、好ましくは、投射光学系は、第1表示素子と第2表示素子とからの光を合成する偏光ビームスプリッタを有する。
第1表示素子と第2表示素子とからの光を偏光ビームスプリッタを用いて合成することで、小型かつ精度良く二つの光を合成することが可能となる。
本発明により、電子画像に対して付加情報を表示したり、一部を強調表示したりする際に、視認性に優れた投射型表示装置を提供することが可能となる。さらに付随的には、装置の小型化、低コスト化に貢献する投射型表示装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る投射型表示装置(シャーカステン)について説明する。
図1は、投射型表示装置1が備えるプロジェクター3の構成を示す説明図である。なお、投射型表示装置1の構成および構成の配置については、図8を用いて説明した従来の投射型表示装置80と同様であるため、図を用いた説明は省略する。投射型表示装置1は、プロジェクター3(図8のプロジェクター81に相当)と、ミラー5(図8のミラー82に相当)と、スクリーン19(図8のスクリーン83に相当)とから構成されている。
なお、投射型表示装置1では、プロジェクター3から出射される光は、スクリーン19に照射されるまでにミラー5により屈曲されるが、図1では、説明の便宜上、光軸を直線的に展開して示している。
プロジェクター3は、第1白色光源16と、第1照明光学系15と、偏光ビームスプリッタ17と、白色用表示素子14と、第2白色光源13と、第2照明光学系12と、カラーフィルタ20と、有彩色用表示素子11と、投射光学系18と、から主に構成されている。第1白色光源16と第2白色光源13とは、「光源」を構成する。第1照明光学系15と第2照明光学系12とカラーフィルタ20とは、「照明光学系」を構成する。白色用表示素子14と有彩色用表示素子11とは、「表示素子」を構成する。偏光ビームスプリッタ17と投射光学系18とは、「投射光学系」を構成する。
第1白色光源16は、白色用表示素子14の光源であり、例えば、250Wの超高圧水銀ランプなどにより構成される。
第1照明光学系15は、第1白色光源16から発せられた光を白色用表示素子14の照明に適した光束に調整する。第1照明光学系15は、例えば、コリメータレンズ、インテグレータ、偏光変換素子、収束レンズ、ミラー、フィールドレンズ、偏光子などにより主に構成されており、S偏光の光束を出射する。
偏光ビームスプリッタ17は、第1照明光学系15からの光を反射して折り曲げ、白色用表示素子14に照射する。
白色用表示素子14は、例えば、画素数576万の非常に高精細度の反射型液晶パネルなどにより構成される。照射された光は、白色用表示素子14により、レントゲンなどの医療画像に変調され、再度偏光ビームスプリッタ17を透過して、白色の濃淡で表現される白色画像光として投射光学系18に入射する。
第2白色光源13は、第1白色光源16と同等の光源であっても良いが、投射型表示装置1の小型化、低価格化の実現のためには、第1白色光源16より低輝度の、出力150Wの超高圧水銀ランプであることが好ましい。
第2照明光学系12は、第2白色光源13から発せられた光を、有彩色用表示素子11
の照明に適した光束に調整する。第2照明光学系12は、例えば、コリメータレンズ、インテグレータ、偏光子などにより主に構成されており、P偏光の光束を出射する。
カラーフィルタ20には、第2照明光学系12から出射した光が照射される。カラーフィルタ20は、白色光から有彩色光を取り出す。なお、本実施の形態では、赤色光を透過するカラーフィルタを用いる。しかし、透過する色は、赤色に限定するものでなく緑、青、黄、紫、青緑などの有彩色であり、白色用表示素子14により出射されるモノクロ画像と識別可能な色であればよい。
なお、カラーフィルタ20の配置場所は、図1に示す有彩色用表示素子11の入射側に限定するものでなく、第2白色光源13と偏光ビームスプリッタ17との間の光路上であればどこであっても良い。
有彩色用表示素子11には、カラーフィルタ20を透過した光が入射する。有彩色用表示素子11は、白色用表示素子14より低精細度のもの十分であり、例えば、本実施の形態では、72万画素の透過型液晶パネルを用いる。この有彩色用表示素子11により、カラーフィルタ20を透過した有彩色光を、コメントや特定箇所のマーキングなど医療画像への付加情報画像や、医療画像の臓器一部を有彩色表示させる強調表示画像に変調して、出射する。
偏光ビームスプリッタ17は、白色用表示素子14から反射した光に沿う方向に、有彩色用表示素子11から出射した光を反射折り曲げして、投射光学系18へと入射させる。
投射光学系18は、偏光ビームスプリッタ17により合成された、白色用表示素子14から反射した光と有彩色用表示素子11を透過した光とを、拡大して投射する。
以上のようにして高精細度の白色画像光と、低精細度の有彩色画像光とが合成されて投射光学系へ入射され、投射光学系にて拡大してスクリーン19へ投射される。これにより、スクリーン19には、モノクロ画像と有彩色画像(非モノクロ画像)とを表示することが可能となる。
図2は、本実施の形態の投射型表示装置1の前面図である。投射型表示装置1では、高精細度で高輝度であるために比較的大型の白色用光学系22(第1白色光源16と、第1照明光学系15などに相当)と、低精細度で低輝度であるために比較的小型の有彩色用光学系23(第2白色光源13と、第2照明光学系12と、カラーフィルタ20と、有彩色用表示素子11などに相当)とが対向配置されており、白色画像光と有彩色画像光とを合成した光が投射光学系18から図には省略されたミラーを介してスクリーン19に投射表示される。
なお、白色画像光と有彩色画像光について図3〜図4を用いて説明する。白色画像光とは、白色用表示素子14から出射される光であり、有彩色画像光とは、有彩色用表示素子11から出射される光である。
図3は、国際照明委員会(CIE)にて規格化されたLAB表色系の色空間立体イメージであり、縦軸は、明度Lを示し、黒色を示す値0から白色を示す値100までの値を有する。縦軸と直行する2方向は、色度を示し、赤色から緑色を示すa*方向と、黄色から青色を示すb*方向を有する。
図4は、明度Lが中間値である値50の場合の色度を示す色空間の断面図である。
a*方向には、赤色を示す値+60から緑色を示す値−60までの値を有する。b*方向には、黄色を示す値+60から青色を示す値−60までの値を有する。ここで、彩度C*は、赤青緑といった色相ではなく、色のあざやかの度合いを示す度数として定義され、a*方向の値の二乗とb*方向の値の二乗を足して平方根をとった値として計算される。言い換えれば、図4に示す色度図のa*=b*=0の中心点からの半径の値でもある。
医療画像は、白から黒の白色光の明暗で表示される画像であり、比較検討をした結果、彩度が0以上30以下の範囲の白色光を用いれば、従来のフィルムを蛍光灯で照明した場合と同様の感覚で視認できることが判明した。また、白色画像光に重畳して表示するマーキングやコメントなどの付加情報などを示す有彩色画像光は、比較検討をした結果、彩度が35より大きければ白色画像光と区別して明確に認識できることが判明した。すなわち、図4において彩度30以下の内側の領域31が白色画像光の領域であり、彩度35以上の外側の領域32が有彩色画像光の領域である。図3の色空間立体イメージにおいては、彩度30以下で明度の上下方向に分布する内側の点線L1で示す領域31が白色画像光の領域であり、彩度35以上で明度の上下方向に分布する外側の点線L2で示す領域32が有彩色画像光の領域にあたる。なお、本実施の形態では、白色画像光の彩度は約5、有彩色画像光の彩度は約45である。
以上のように、有彩色用表示素子11として低精細度の表示素子を用いることで素子自体とその前後の光学要素とを小型化することが可能となる。また、白色用表示素子14やその光学要素ほど高精度のものを備える必要がなく、製造コストを削減できる。
また、有彩色画像光は、白色画像光ほどの高輝度高階調性を必要としないため、第2白色光源として、低輝度の光源を用いることが可能となる。このため、装置の製造コストを削減できる。また、有彩色用表示素子11への光の入射側あるいは出射側にカラーフィルタ20を設けることにより、第2白色光源として、安価な白色光源を用いても有彩色表示が可能になる。また、偏光ビームスプリッタ17を用いることにより、白色画像光と有彩色画像光を精度良く合成することが可能になる。
以上により、モノクロ画像だけでなく付加情報なども表示可能な投射型表示装置1を、小型化、低価格化を実現しつつ提供することが可能となる。
なお、上記実施形態では、カラーフィルタ20を備える場合について説明したが、カラーフィルタ20を備えず、モノクロ画像で付加情報などを表示する構成であってもよい。この場合、表示素子11は、白色用表示素子14が表示するモノクロ画像上に、その位置におけるモノクロ画像の明度とは反転した明度(例えば、モノクロ画像の明度が値60の場合には、値40(=100−60)、すなわち、図3に示すCIELAB表色系の明度で、値100からその位置におけるモノクロ画像の明度を引いた値)で付加情報を表示する。あるいは、明度50以上の明るい所には明度0に近い暗い表示を行い、明度50未満の暗い所には明度100に近い明るい表示を行うことでも良い。これにより、より低価格の装置を提供することが可能となる。
(実施の形態2)
図5を用いて、本発明の実施の形態2に係る投射型表示装置40について説明する。
図5は、投射型表示装置40が備えるプロジェクター41の構成を示す説明図である。なお、図1と同様の構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態のプロジェクター41は、一つの光源から白色画像光と有彩色画像光を作り出す点に特徴を有している。
プロジェクター41は、白色光源50と、照明光学系51と、ダイクロイックフィルタ52と、ミラー53a,53b,53cと、偏光ビームスプリッタ55と、白色用表示素子56と、有彩色用表示素子54と、投射光学系18と、から主に構成されている。
白色光源50は、例えば、300Wの超高圧水銀ランプである。
照明光学系51は、光源から発せられた光を表示素子の照明に適した光束に調整する。
ダイクロイックフィルタ52は、照明光学系51から出射した光を2つの光に分割する。ダイクロイックフィルタ52は、白色光のうちの一部の波長帯域の光を透過させ、他の可視光波長の光を反射させる。本実施の形態では、波長490nmから510nmの青緑色の光を透過し、それ以外の可視光を反射する特性のものを用いる。ダイクロイックフィルタ52にて反射した光は、わずかに黄赤がかった彩度がおよそ10の白色光であり、ミラー53aにて折り曲げられて偏光ビームスプリッタ55に入射する。
偏光ビームスプリッタ55から入射した光が高精細度の白色用表示素子56にて医療画像に変調され、投射光学系18を経てスクリーン19に照射される点については、実施の形態1と同様である。
一方、ダイクロイックミラー52にて透過した青緑色の有彩色光は、ミラー53bと53cとで折り曲げられて有彩色用表示素子54に照射される。
有彩色用表示素子54は、白色用表示素子56に比べて低精細度の透過型液晶パネルであり、医療画像への付加情報を表示するよう、有彩色光を変調する。
有彩色画像光は、偏光ビームスプリッタ55にて折り曲げられて、投射光学系18を経てスクリーン19に照射される。
以上のように、本実施の形態のプロジェクター41では、白色光源50からの光をほぼ白色の光と有彩色光とに分割し、ほぼ白色の光を白色用表示素子56に照射して白色画像光を作成するとともに、有彩色光を有彩色用表示素子54に照射して有彩色画像光を作成する。本発明では、2種類の光源を用いる必要がないため、部品点数削減と低価格化が実現可能となる。また、白色光から一部の波長帯域の光だけを抽出することにより、低輝度の有彩色光と高輝度のほぼ白色の光とを分割して生成可能となる。このため、エネルギー効率が良く、装置の低価格化、低電力化が可能になる。
なお、本実施の形態では、一つのランプを光源として用いる場合について記述したが、例えば、2つ以上の複数のランプを用いてそれらから発せられる複数の光を合成して一つの光束とする多灯式光源もひとつの光源とみなし、本実施の形態の白色光源50として用いてもよい。またダイクロイックフィルタ52で分割する光の波長範囲は、本実施の形態の波長490nmから510nmに限定されることはなく、それ以外の波長範囲であっても分割した二つの光が白色光と有彩色光とに認識される波長であれば良い。
なお、本実施の形態では、ダイクロイックフィルタ52を用いて、一部の波長域の光を透過させると説明したが、光の分割は、このような部材によるもののみに限定されない。例えば、光の分割をダイクロイックミラーにより行い、一部の波長域の光を反射させて有彩色用表示素子54に導くとともに、その他の波長域の光を透過させて白色用表示素子56に導くような構成としてもよい。
(実施の形態3)
図6を用いて、本発明の実施の形態3に係る投射型表示装置44について説明する。
図6は、投射型表示装置44が備えるプロジェクター45の構成を示す説明図である。なお、図1や図5と同様の構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態のプロジェクター45は、図5に示すプロジェクター41の構造と比較して、照明光学系51から出射された光が、ダイクロイックフィルタ52ではなく、ハーフミラー62により2つの白色光に分割される点、ハーフミラー62を透過した白色光がカラーフィルタ69により有彩色光に変換される点に特徴を有している。
その他の構成の動作は、実施の形態2で説明したのとほぼ同様である。
本実施の形態では、白色表示用素子56に対して、白色光源50からの光を波長特性を変更することなく照射することが可能となる。このため、より彩度の低いモノクロ画像を得ることが可能となり、有彩色用表示素子54による表示の視認性をより高めることが可能となる。
(実施の形態4)
図7を用いて、本発明の実施の形態4に係る投射型表示装置48について説明する。
図7は、投射型表示装置48が備えるプロジェクター49の構成を示す説明図である。なお、図1と同様の構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態のプロジェクター49は、図1に示すプロジェクター3の構造と比較して、第1白色光源16から発せられた光が、第1照明光学系15と偏光ビームスプリッタ17とを経て、高精細度な白色用表示素子14に照射され、白色画像光を生成する点で同じである。
一方、本実施の形態のプロジェクター49は、有彩色画像光を生成するための構成において、図1に示すプロジェクター3に対して特徴を有する。すなわち、本実施の形態では、有彩色の光を発する有彩色光源75が用いられる点に特徴を有している。
有彩色光源75は、例えば、ランプや蛍光管などであってもよいが、本実施の形態では、LEDと呼ばれる固体発光素子を採用している。より詳しくは、赤色の光を発するLEDチップを複数個集積して高輝度化して、有彩色光源75を構成している。
有彩色光源75により照射される赤色光は、第2照明光学系12にて有彩色用表示素子11の照明に適した光束に調整され、有彩色用表示素子11に照射される。
有彩色用表示素子11により変調された有彩色画像光は、偏光ビームスプリッタ17によって、白色用表示素子14により変調された白色画像光と合成される。
投射光学系18は、偏光ビームスプリッタ17により合成された光をスクリーン19に照射する。
本実施の形態では、有彩色用表示素子11に照射する光の光源を白色光源とする場合に比して、白色光を有彩色光に変換するカラーフィルタなどを不要とすることが可能となり、装置の低コスト化に貢献することが可能となる。また、光源から発せられる光の波長帯域を無駄にすることなく有効に利用することが可能となり、エネルギー効率を向上させることなどが可能となる。
(その他)
上記の実施の形態では、白色用表示素子には反射型液晶パネルを、有彩色用表示素子には透過型液晶パネルを用いるとして説明した。しかし、白色用表示素子や有彩色用表示素子として、反射型液晶パネル、透過型液晶パネル、デジタルミラーデバイスと呼ばれるミラー型変調パネルを適宜選択することが可能である。この場合には、パネルに応じて、ミラーや偏光素子などの光学要素の配置や仕様を適宜工夫すればよい。
本発明の投写型表示装置は、高精細度が必要な医療用画像をモノクロ画像で表示するとともに、コメントやマーキングなどの付加情報の表示、医療用画像で強調したい箇所の強調表示などを視認性良く表示できる装置として有用である。具体的には、医療用シャーカステンとして特に有用であり、他に多くの人が読みとり可能な情報表示大型ディスプレイとして用いることができる。
投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(実施の形態1) 投射型表示装置の前面図(実施の形態1) CIELAB表色系の色空間を説明する説明図(実施の形態1) 所定の明度における色空間の断面図(実施の形態1) 投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(実施の形態2) 投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(実施の形態3) 投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(実施の形態4) 従来の投射型表示装置の断面図(背景技術) 従来の投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(背景技術) 従来の投射型表示装置が備えるプロジェクターの構成を示す説明図(背景技術)
符号の説明
1 投射型表示装置
3 プロジェクター
11 有彩色用表示素子
12 第2照明光学系
13 第2白色光源
14 白色用表示素子
15 第1照明光学系
16 第1白色光源
17 偏光ビームスプリッタ
18 投射光学系
19 スクリーン
20 カラーフィルタ

Claims (11)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を導く照明光学系と、
    前記照明光学系により導かれた光が照射される表示素子と、
    前記表示素子からの光を導く投射光学系と、
    前記投射光学系から出射された光が投射されるスクリーンと、
    を備え、
    前記表示素子は、モノクロ画像を表示するための第1表示素子と、前記第1表示素子よりも低精細な第2表示素子と、を有し、
    前記投射光学系は、前記第1表示素子と前記第2表示素子とからの光を合成して出射する、
    投射型表示装置。
  2. 前記第2表示素子は、非モノクロ画像を表示するための表示素子である、
    請求項1に記載の投射型表示装置。
  3. 前記モノクロ画像の彩度は、CIELAB表色系において0以上30以下の範囲であり、前記非モノクロ画像の彩度は、CIELAB表色系において35以上である、
    請求項2に記載の投射型表示装置。
  4. 前記光源は、高輝度と低輝度との2つの白色光源を有し、
    前記照明光学系は、前記高輝度の白色光源からの光を前記第1表示素子に導く第1照明光学系と、前記低輝度の白色光源からの光を前記第2表示素子に導く第2照明光学系とを有する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の投射型表示装置。
  5. 前記第2表示素子への光の入射側または光の出射側のいずれかの光路上には、特定の波長域の光を透過するカラーフィルタが配置されている、
    請求項4に記載の投射型表示装置。
  6. 前記照明光学系は、前記光源からの光を分割する分割手段を有し、一方の分割光を前記第1表示素子に導くとともに、他方の分割光を前記第2表示素子に導く、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の投射型表示装置。
  7. 前記分割手段は、前記光源からの光のうち、特定の波長域の光を透過し、その他の波長域の光を反射する手段であり、
    前記照明光学系は、前記反射された光を前記第1表示素子に導くとともに、前記透過された光を前記第2表示素子に導く、
    請求項6に記載の投射型表示装置。
  8. 前記分割手段は、前記光源からの光のうち、特定の波長域の光を反射し、その他の波長域の光を透過する手段であり、
    前記照明光学系は、前記透過された光を前記第1表示素子に導くとともに、前記反射された光を前記第2表示素子に導く、
    請求項6に記載の投射型表示装置。
  9. 前記第2表示素子への光の入射側または光の出射側のいずれかの光路上には、特定の波長域の光を透過するカラーフィルタが配置されている、
    請求項6に記載の投射型表示装置。
  10. 前記光源は、白色光源と、特定の波長域の光を照射する有彩色光源とを有し、
    前記照明光学系は、前記白色光源からの光を前記第1表示素子に導く第1照明光学系と、前記有彩色光源からの光を前記第2表示素子に導く第2照明光学系とを有する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の投射型表示装置。
  11. 前記投射光学系は、前記第1表示素子と前記第2表示素子とからの光を合成する偏光ビームスプリッタを有する、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の投射型表示装置。

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