JP2007198002A - せん断パネル型制震ストッパー - Google Patents

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Akihisa Yanaka
聡久 谷中
Yohei Koike
洋平 小池
Masaru Sago
大 佐合
Kazunari Tani
一成 谷
Yasuhisa Hishijima
康久 比志島
Sadafumi Uno
禎史 鵜野
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Yokogawa Bridge Corp
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Kawaguchi Metal Industries Co Ltd
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Abstract

【課題】せん断パネルのせん断座屈を防止して、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる、せん断パネル型制震ストッパーを提供する。
【解決手段】ベースプレート4と、ベースプレート4に下端部が溶接される縦向きの1対のフランジ5,5と、これらのフランジ5,5間に縦向きに設けられ、低降伏点鋼からなるせん断パネル8を有するウェブ6とを備え、上部構造2と下部構造3との間に上部構造2の変位を拘束するように設置されるせん断パネル型制震ストッパー1であって、次式で示される前記せん断パネルの一般化幅厚比を、0.1 〜 0.75 としたことを特徴とするせん断パネル型制震ストッパー。
R=(D/tw )・(σy/E)1/2
ただし、R:一般化幅厚比、D:せん断パネル幅、tw:せん断パネル厚、σy:せん断パネルの降伏応力、E:せん断パネルの弾性係数
【選択図】 図1

Description

この発明は、せん断パネル型制震ストッパーに関し、さらに詳細には、橋梁において上部構造と下部構造との間に設置され、常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパーとして機能し、所定レベル以上の地震に対してはせん断塑性変形することによりダンパーとして機能する制震ストッパーに関する。
近年、橋梁技術の分野においては、新設橋梁の耐震性能向上を目的として、あるいは既設橋梁の耐震補強を目的として、反力分散構造や免震構造が一般的に用いられている。これらの構造による耐震方法は、支承を弾性支持構造とし、下部構造の水平反力を分散することや上部構造の固有周期を長周期化することで地震動との共振現象を避け、下部構造の負荷を減少させる方法である。
しかし、これらの方法は、(1) 橋脚の負荷を低減させるが上部構造の移動量が大きくなり、桁遊間確保が困難となる、(2) 軟弱地盤の橋梁への適用が困難となる、(3) 常時における活荷重による振動などが問題となる場合がある、(4) 特に既設橋梁への対応が難しい等の問題がある。
このような背景の下、この出願人は特願2005−50090号において、積層ゴムからなる可動支承と低降伏点鋼を用いたせん断パネル型制震ストッパー(同出願明細書ではせん断パネル型ダンパーと称している)とを組み合わせた支承構造を提案している。このような支承構造によれば、せん断パネル型制震ストッパーは、常時やレベルの低い地震動時までは上部構造を拘束するストッパーとして機能し(このため、可動支承は固定支承として機能する)、レベルの高い地震動時において降伏点に達した後はダンパーとして機能する(このとき、可動支承は本来の可動支承として機能する)。この結果、反力分散構造や免震構造のもつ上記種々の問題を解消することができる。
ところで、上記のような支承構造に適用されるせん断パネル型制震ストッパーは、図1に示すように、下部構造3に固定されるベースプレート4と、このベースプレート4に下端部が溶接される縦向きの1対のフランジ5,5と、これらのフランジ5,5間に縦向きに設けられた低降伏点鋼からなるせん断パネル8(ウェブ6)とを有している。
この出願の発明者らは、このようなせん断パネル型制震ストッパーについて、繰り返し載荷試験を行ったところ、次のような問題があることが判明した。すなわち、図11に示すように、制震ストッパーがせん断降伏して繰り返し変形すると、せん断パネル8にはせん断座屈による面外変形20を生じる。そして、せん断パネル8が、座屈後にさらに繰り返し変形すると、変形する毎にせん断耐力の低下を生じ、早期に制震効果が低下するという問題がある。
また、せん断パネルがせん断降伏して繰り返し変形すると、フランジとベースプレートとの溶接部のひずみが大きく、この点からも低サイクル疲労耐久性に問題があることが判明した。
さらに、上記せん断パネル型制震ストッパーは、せん断荷重の載荷点となる位置に補剛材が設けられている。この補剛材も溶接によりフランジ間に固定されていることから、この溶接部にも上記フランジとベースプレートとの溶接部ほどではないが、繰り返し載荷による比較的大きなひずみが発生することが判明した。
なお、この出願の発明に関連する先行技術情報としては、上下部構造間での適用例であって、せん断パネル型制震ストッパーそのものに関する技術ではないが、次のようなものがある。
特開平10−77750号公報
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、せん断パネルのせん断座屈を防止して、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる、せん断パネル型制震ストッパーを提供することにある。
この発明の別の目的は、フランジとベースプレートとの溶接部のひずみを低減させ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる、せん断パネル型制震ストッパーを提供することにある。
この発明のさらに別の目的は、フランジとベースプレートとの溶接部のひずみ低減に加えて、補剛材とフランジとの溶接部のひずみを低減させ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる、せん断パネル型制震ストッパーを提供することにある。
上記制震ストッパーの繰り返し載荷試験では、次式で示される一般化幅厚比を 1.35 としたせん断パネルが適用された。この一般化幅厚比は、建築分野で使用されているせん断パネルと同様の値である。
R=(D/tw )・(σy/E)1/2
ただし、R:一般化幅厚比、D:せん断パネル幅、tw:せん断パネル厚、σy:せん断パネルの降伏応力、E:せん断パネルの弾性係数
そこで、この出願の発明者らは、この一般化幅厚比に着目し、建築分野で使用されているせん断パネルの低サイクル疲労耐久性について検討してみた。表1は、そのようなせん断パネルに関する既往の実験に基づく耐力データを示している。
Figure 2007198002
建築分野で使用されるせん断パネルは、一般に建物の架構間に設置されるため、せん断変形率δ/h(δ:水平変位、h:パネル高さ)が 0.005 〜 0.010 と小さくてよく、このため表1に示すように、一般化幅厚比が 1.07 〜 2.11 と大きくても、大きな繰り返し回数が得られる。なお、繰り返し回数とは、せん断パネルの座屈により耐力が 90 %以下に低下した載荷回数のことである。
他方、せん断パネルが、橋梁において上下部構造間に設置される制震ストッパーとして適用される場合、高い制震効果を得るためには、せん断変形率で 0.12 程度の大きな許容変位が要求される。そこで、既往のデータを、繰り返し回数(N)を横軸、せん断変形率(δ/h)を縦軸とする両対数グラフで示してみると、図10に示すような近似曲線が得られた。そして、この近似曲線から、せん断変形率を 0.12 まで許容すると仮定すると、せん断パネルの一般化幅厚比が 1.07 〜 2.11 では、耐力が 90 %となる繰り返し回数は1回程度であると類推され、疲労耐久性が著しく劣るということが分かった。
以上のような検討結果をもとに、この出願の発明者らは、さらに鋭意研究を進めたところ、せん断パネルの一般化幅厚比を所定範囲の値にすると、せん断変形率を大きく設定しても、大きな繰り返し回数が得られ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができることを見出した。
この発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、ベースプレートと、このベースプレートに下端部が溶接された縦向きの1対のフランジと、これらのフランジ間に縦向きに設けられ、低降伏点鋼からなるせん断パネルを有するウェブとを備え、上部構造と下部構造との間に上部構造の変位を拘束するように設置されるせん断パネル型制震ストッパーであって、
前記せん断パネルの一般化幅厚比を、0.1〜0.75 としたことを特徴とするせん断パネル型制震ストッパーにある。
上記せん断パネル型制震ストッパーにおいて、前記フランジと前記ベースプレートとの溶接部のひずみを低減させる手段を付加するとよい。すなわち、前記ウェブは、前記せん断パネルの下側に連設された、該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな下部拘束パネルを有している。
この場合、さらに、補剛材とフランジとの溶接部のひずみを低減させる手段を付加するするとよい。すなわち、上記せん断パネル型制震ストッパーは、前記ウェブの上部を挟むように前記1対のフランジ間に溶接された1対の補剛材を備え、前記ウェブは、前記せん断パネルの上側に連設された、該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな上部拘束パネルを有し、前記補剛材は前記せん断パネルと前記上部拘束パネルとの境界部よりも上側で前記フランジに溶接されている。
上記せん断パネル型制震ストッパーにおいて、前記フランジと前記ベースプレートとの溶接部のひずみを低減させる別の手段を付加することができる。すなわち、各フランジの下端部外面に、リブを設けた構造である。
この場合も、さらに、補剛材とフランジとの溶接部のひずみを低減させる手段を付加するとよい。すなわち、上記せん断パネル型制震ストッパーは、前記ウェブの上部を挟むように前記1対のフランジ間に溶接された1対の補剛材を備え、前記ウェブは、前記せん断パネルの上側に連設された該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな上部拘束パネルを有し、前記補剛材は前記せん断パネルと前記上部拘束パネルとの境界部よりも上側で前記フランジに溶接されている。
上記せん断パネル型制震ストッパーにおいて、前記せん断パネル及び前記拘束パネルの各降伏せん断耐力をそれぞれ Sy1 及び Sy2 としたとき、パネル耐力比 Sy2/Sy1 を 1.5 〜 2.0 とするのが望ましい態様である。この場合、前記パネル耐力比とするために、前記拘束パネルは、前記せん断パネルと同材質で厚みが該せん断パネルよりも大きなものとされている。あるいは、前記パネル耐力比とするために、前記拘束パネルは、前記せん断パネルと同厚で降伏せん断応力が該せん断パネルよりも大きな材質のものとされている。
この発明によれば、せん断パネルの一般化幅厚比を所定の数値範囲内に設定することにより、せん断パネルが大きなせん断変形率で繰り返し変形しても、せん断座屈を防止することができ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる。したがって地震動によって大きな変位を生じる構造物に適用可能である。
また、せん断パネルの下側に下部拘束パネルを持つウェブ構造とすることにより、フランジとベースプレートとの溶接部に生じるフランジの曲げ応力をせん断パネルと下部拘束パネルとの境界部に移行させることができ、この結果、溶接部のひずみを低減させることができ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる。
さらに、下部拘束パネルに加えて、せん断パネルの上側にも上部拘束パネルを持つウェブ構造とすることにより、補剛材とフランジとの溶接部のひずみも低減させることができる。
さらに、フランジの下端部外面にリブを設けた構造とすることにより、フランジとベースプレートとの溶接部に生じるフランジの曲げ応力をリブに分散させることができ、この結果、溶接部のひずみを低減させることができ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる。
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明の実施形態を示す正面図である。この発明による、せん断パネル型制震ストッパー1(以下、単に制震ストッパーと称する)は、例えば橋梁においては、上部構造2と下部構造3との間に図示しない可動支承と組み合わせて設置される。
制震ストッパー1は、下部構造3に固定されるベースプレート4と、このベースプレート4に縦向きに設けられた1対のフランジ5,5と、フランジ5,5間に縦向きに設けられたウェブ6とを備えている。1対のフランジ5,5間にはウェブ6の上部を挟むように1対の補剛材7,7が設けられている。補剛材7,7はせん断力Sの載荷点となる高さ位置に設けられる部材である。
ベースプレート4、フランジ5,5及び補剛材7,7はいずれも普通鋼からなり、フランジ5,5の各下端部はベースプレート4に溶接されている。また、補剛材7,7も両端部がフランジ5,5に溶接されている。ウェブ6は低降伏点鋼からなるせん断パネル8を有している。この実施形態では、ウェブ6はせん断パネル8のみからなっている。せん断パネル8は、この発明にしたがい、一般化幅厚比が 0.1 〜 0.75 の範囲内の値に設定されている。この一般化幅厚比を 0.1 〜 0.75 とする点は、以下に示す各実施形態のせん断パネル8に関しても同様である。
図2から図4は別の実施形態を示し、図2は正面図、図3は平面図、図4は図2のA−A線矢視断面図である。この実施形態では、ウェブ6は、せん断パネル8と、その下側に連設された下部拘束パネル9を有している。下部拘束パネル9は、せん断パネル8よりも降伏せん断耐力が大きな部材である。すなわち、ウェブ6は、それぞれの降伏せん断耐力が異なるせん断パネル8と下部拘束パネル9とからなるハイブリッドパネルである。なお、せん断パネル8と下部拘束パネル9とは端部どうしが溶接され、また下部拘束パネル9の下端部はベースプレート4に溶接されている。
図5は、この発明のさらに別の実施形態を示す正面図である。前記したように、補剛材7,7もフランジ5,5に溶接されている。この実施形態では、ウェブ6は下部拘束パネル9に加えて、せん断パネル8の上側に連設された上部拘束パネル10を有している。補剛材7,7は、せん断パネル8と上部拘束パネル10との境界部よりも上側でフランジ5,5に溶接されている。この上部拘束パネル10も、下部拘束パネル9と同様、せん断パネル8よりも降伏せん断耐力が大きな部材である。
各拘束パネル9,10の降伏せん断耐力をせん断パネル8のそれよりも大きくするには、以下のいずれかの方法を選択することができる。
(1) 拘束パネル9,10の材質をせん断パネル8と同材質(低降伏点鋼)とし、厚みをせん断パネル8よりも大きくする。
(2) 拘束パネル9,10の厚みをせん断パネル8のそれと同厚とし、材質を降伏せん断応力がせん断パネル8のそれより大きなもの(普通鋼)とする。
(3) 上記 (1) (2) の方法を併用する。
図1,図2,図5に示すように、例えば橋梁においては、上部構造2の下部に係合部(あるいは上部構造側ストッパー)2a,2aが設けられ、制震ストッパー1はこの係合部2a,2aがフランジ5,5の上端部に係合した状態で下部構造3に設置される。このため、上部構造2は常時やレベル1地震動までは変位できず、制震ストッパー1は上部構造2の変位を拘束するストッパーとして機能する。
他方、地震動がレベル1を超えると、制震ストッパー1にはせん断パネル8の降伏せん断耐力を超える繰り返しせん断荷重Sが作用する。この結果、せん断パネル8がせん断塑性変形し、その際せん断パネル8は履歴減衰性をもつことから、地震動のエネルギーを吸収する。すなわち、制震ストッパー1は地震動を減衰させるダンパーとして機能する。なお、レベル1地震動とは、「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」(社団法人 日本道路協会編)に示されている地震動のことである。
この発明によれば、せん断パネル8の一般化幅厚比を 0.1 〜 0.75 とすることにより、せん断パネル8が大きなせん断変形率で繰り返し変形しても、せん断座屈を防止することができ、低サイクル疲労耐久性を向上させることができる。
表2及び図10は、図1に示した制震ストッパーについて、せん断パネル8の一般化幅厚比を 0.39, 0.54, 0.75 と、この発明で規定される数値範囲に設定し、繰り返し載荷試験を行った結果を示している(ケース-2-1 〜ケース 2-4 )。表2及び図10には、比較例として、一般化幅厚比を 1.35 とした試験結果も示してある(ケース-1-1 〜ケース 1-3 )。なお、ケース-1 の繰り返し回数は、せん断パネルの座屈により耐力が 90% に低下した回数であり、ケース-2 の繰り返し回数は、せん断パネルに座屈は発生せず、後述する溶接部に亀裂を生じ、耐力が 90% に低下した回数である。
Figure 2007198002
試験結果から明らかなように、せん断変形率を 0.12 程度と大きく設定した場合、一般化幅厚比を 1.35 としたケース-1 では繰り返し回数が1回であったのに対し、一般化幅厚比を 0.39, 0.54, 0.75 としたケース-2 では、繰り返し回数が 20 回程度と飛躍的に増大した。また、ケース-1 のデータは、図10に示した既往実験近似曲線上にあり、既往実験データからの類推と符合することが確認できた。
なお、せん断パネルの座屈防止の観点からすると、一般化幅厚比が低下するにしたがって座屈しにくくなるため、一般化幅厚比は試験で確認された数値 0.39 よりも小さくてもよく、理論的には限りなくゼロに近い値を採用することも可能である。しかし、ウェブ(せん断パネル)とフランジ、ベースプレートとの溶接施工性の観点から、せん断パネルの板厚は、板幅の 1/4 以下とすることが望ましい。このような観点から、一般化幅厚比は、0.1 (D/tw ≧ 4 , σy = 100N/mm2 , E = 200,000N/mm2 )以上とすることが望ましい。
また、この発明によれば、拘束パネル7,9を設けることによって、溶接ひずみを低減させることができる。図6は、制震ストッパー1がせん断変形するときの挙動を、拘束パネルが無いものと比較して説明する図である。同図において、(a)は拘束パネルが無い制震ストッパー50を示し、(b)は図5に実施形態として示したこの発明による制震ストッパー1を示している。
拘束パネルが無い制震ストッパー50及びこの発明の制震ストッパー1ともに、せん断力Sが載荷されると、ウェブ6にせん断力が作用し、ベースプレート4に伝達される。ここで、せん断パネル8の降伏せん断耐力を Sy1 、拘束パネル9,10の降伏せん断耐力を Sy2 とし(ただし、Sy = D × t × τy ,D:パネル幅、t:パネル板厚、τy:パネルのせん断降伏応力)、Sy1 <S< Sy2 のせん断力Sがウェブ6に作用したとすると、拘束パネルが無い制震ストッパー50とこの発明の制震ストッパー1とでは、ウェブ6のせん断降伏する範囲が異なったものとなる。
すなわち、拘束パネルが無い制震ストッパー50では、補剛材7の下方のウェブ6全体がせん断降伏する。このため、フランジ5,5とベースプレート4との溶接部イにおいてフランジ5,5の局部的な曲げ変形が生じ、溶接部イに大きなひずみが発生する。この結果、変位量が大きな繰り返しせん断変形を受けると、溶接部イにおいて破断するおそれがある。同様に、補剛材7とフランジ5,5との溶接部ロにおいても、溶接部イほどではないが、フランジ5,5の局部的な曲げ変形が生じ、ひずみが発生する。
これに対し、この発明の制震ストッパー1では、せん断パネル8のみがせん断降伏し、拘束パネル9,10はせん断降伏に達しない。このため、フランジ5,5の曲げ変形部は材料的に弱い溶接部イ、ロから材料的に強いせん断パネル8と拘束パネル9,10との境界部ハ、ニにそれぞれ移行する。この結果、溶接部イ、ロのひずみが低減し、フランジ5,5の疲労耐久性の向上を図ることができる。
せん断パネルの降伏せん断耐力 Sy1 と拘束パネルの降伏せん断耐力 Sy2 とのパネル耐力比 Sy2/Sy1 を種々変化させ、FEM解析を試みたところ、表3に示すような結果を得ることができた。表1において、ケース No.0 は、従来の拘束パネルの無い制震ストッパーである。ケース No.1 〜No.3 はせん断パネル及び拘束パネルを同厚とし、拘束パネルに普通鋼を用いたもの、ケース No.4 〜 No.6 はせん断パネル及び拘束パネルに同材質の低降伏点鋼を用い、厚みを変えたものである。
「溶接部ひずみ」はフランジとベースプレートとの溶接部(図5のイ)のひずみ、「境界部ひずみ」はせん断パネルと下部拘束パネルとの境界部におけるフランジのひずみ(図5のハ)である。また、「溶接部ひずみ比率」及び「境界部ひずみ比率」は、従来の制震ストッパー(ケース No.0 )に生じた溶接部ひずみを 1.00 としたときの割合を示している。
Figure 2007198002
解析結果によれば、パネル耐力比 Sy2/Sy1 が 小さすぎると、溶接部ひずみがそれほど低減しない(ケース No.1 )。逆に、パネル耐力比 Sy2/Sy1 が 大きすぎると、溶接部ひずみは大きく低減するものの、境界部ひずみが大きくなりすぎて境界部の負担が大となり(ケース No.3 ,No.6 )、いずれの場合も溶接部ひずみと境界部ひずみとのバランスがとれない。他方、パネル耐力比 Sy2/Sy1 を 1.5 〜 2.0 にすると、溶接部ひずみが低減し(溶接部ひずみ比率が 0.2 以下)、かつ境界部ひずみの増加を抑えることができ(境界部ひずみ比率で 0.6 程度)、両者のバランスがとれることが判明した(ケース No.2 ,No.4 ,No.5 )。したがって、フランジ5,5の疲労耐久性の向上を図るためには、パネル耐力比を上記数値範囲から選択するのが最も好ましい態様である。
すなわち、せん断パネル及び拘束パネルに同材質の低降伏点鋼を用いる場合は、拘束パネルの板厚をせん断パネルの 1.5 〜 2.0 倍とする。また、せん断パネル及び拘束パネルを同厚とする場合は、降伏せん断応力がせん断パネルの 1.5 〜 2.0 倍となる拘束パネル鋼材を選択する。なお、上記解析結果は、フランジとベースプレートとの溶接部に関するものであるが、フランジと補剛材との溶接部に関しても同様の結果が得られるものと推定される。
図2〜図5に示した実施形態は、フランジとベースプレートとの溶接部のひずみを低減させる手段として、拘束パネルを設けた例であるが、これとは異なる手段によっても同溶接部のひずみを低減させることができる。図7,図8は、その実施形態を示し、図7は正面図、図8は平面図である。
この実施形態では、制震ストッパー1は、フランジ5,5の下端部外面にリブ11が設けられている。リブ11は円弧状のフィレット12が形成されたもので、ウェブ6すなわちせん断パネル8と同じ面内に設けられている。リブ11はフランジ5,5に溶接されるとともに下端部がベースプレート4に溶接されている。このようなリブ11を設けることにより、フランジ5,5とベースプレート4との溶接部に生じる曲げ応力がリブ11に分散し、溶接部のひずみを低減させることができる。
図9は、さらに別の実施形態を示す正面図である。この実施形態は、リブ11を設けた制震ストッパー1において、図5に示した実施形態と同様に、せん断パネル8の上側に上部拘束パネル10を連設したものである。したがって、補剛材7は、せん断パネル8と上部拘束パネル10との境界部よりも上側でフランジ5,5に溶接されている。上述したように、上部拘束パネル10を設置することにより、補剛材7とフランジ5との溶接部のひずみを低減させることができる。
この発明による制震ストッパーは、橋梁の上下部構造間に設置するに限られない。例えば、特許文献1には、建築物(上部構造)と基礎(下部構造)との間にアイソレータと組み合わせてダンパーを設置することが記載されているが、このようなダンパーとして適用することも可能である。この場合、同文献に記載されているように、所定範囲での上部構造の変位を許容し、それ以上の変位に対して上部構造を拘束するような設置態様となる。また、制震ストッパーは下部構造ではなく、上部構造に取り付ける態様も採り得る。
この発明の実施形態を示す正面図である。 別の実施形態を示す正面図である。 同実施形態の平面図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 別の実施形態を示す正面図である。 この発明の制震ストッパーと従来のものとの挙動を比較して説明する図である。 別の実施形態を示す正面図である。 同実施形態の平面図である。 別の実施形態を示す正面図である。 繰り返し回数とせん断変形率との関係を示す両対数グラフである。 繰り返し変形により面外変形が生じた状態を示す図である。
符号の説明
1 せん断パネル型制震ストッパー(制震ストッパー)
2 上部構造
2a,2a 係合部
3 下部構造
4 ベースプレート
5 フランジ
6 ウェブ
7 補剛材
8 せん断パネル
9 下部拘束パネル
10 上部拘束パネル
11 リブ
12 フィレット

Claims (8)

  1. ベースプレートと、このベースプレートに下端部が溶接された縦向きの1対のフランジと、これらのフランジ間に縦向きに設けられ、低降伏点鋼からなるせん断パネルを有するウェブとを備え、上部構造と下部構造との間に上部構造の変位を拘束するように設置されるせん断パネル型制震ストッパーであって、
    次式で示される前記せん断パネルの一般化幅厚比を、0.1 〜 0.75 としたことを特徴とするせん断パネル型制震ストッパー。
    R=(D/tw )・(σy/E)1/2
    ただし、R:一般化幅厚比、D:せん断パネル幅、tw:せん断パネル厚、σy:せん断パネルの降伏応力、E:せん断パネルの弾性係数
  2. 前記ウェブは、前記せん断パネルの下側に連設された、該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな下部拘束パネルを有していることを特徴とする請求項1記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  3. 前記ウェブの上部を挟むように前記1対のフランジ間に溶接された1対の補剛材を備え、
    前記ウェブは、前記せん断パネルの上側に連設された、該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな上部拘束パネルを有し、
    前記補剛材は前記せん断パネルと前記上部拘束パネルとの境界部よりも上側で前記フランジに溶接されていることを特徴とする請求項2記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  4. 各フランジの下端部外面に、リブを設けたことを特徴とする請求項1記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  5. 前記ウェブの上部を挟むように前記1対のフランジ間に溶接された1対の補剛材を備え、
    前記ウェブは、前記せん断パネルの上側に連設された該せん断パネルよりも降伏せん断耐力が大きな上部拘束パネルを有し、
    前記補剛材は前記せん断パネルと前記上部拘束パネルとの境界部よりも上側で前記フランジに溶接されていることを特徴とする請求項4記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  6. 前記せん断パネル及び前記拘束パネルの各降伏せん断耐力をそれぞれ Sy1 及び Sy2 としたとき、パネル耐力比 Sy2/Sy1 を 1.5 〜 2.0 とすることを特徴とする請求項2,3又は5記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  7. 前記パネル耐力比とするために、前記拘束パネルは、前記せん断パネルと同材質で厚みが該せん断パネルよりも大きなものとされていることを特徴とする請求項6記載のせん断パネル型制震ストッパー。
  8. 前記パネル耐力比とするために、前記拘束パネルは、前記せん断パネルと同厚で降伏せん断応力が該せん断パネルよりも大きな材質のものとされていることを特徴とする請求項6記載のせん断パネル型制震ストッパー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011064028A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Nippon Chuzo Kk せん断パネル型ダンパー及びこのせん断パネル型ダンパーを用いた橋梁の支承構造、並びにこの支承構造が採用された橋梁

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