JP2007197291A - 建築用資材 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭灰を有効利用しつつ、更なる機能性を付与した建築用資材を提供する。
【解決手段】本発明の建築用資材は、石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と、硬化性材料と、を含む硬化性組成物を固化して得られる。これを建築物の床下などに配置することにより、調湿効果や防虫効果を得ることができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の建築用資材は、石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と、硬化性材料と、を含む硬化性組成物を固化して得られる。これを建築物の床下などに配置することにより、調湿効果や防虫効果を得ることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えばコンクリートブロックなどの建築用資材に関し、更に詳しくは、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を利用した建築用資材に関する。
近年の電力需要の増加に伴い発電所の建設が促進されているが、石油燃料の大量消費の抑制の観点から、石炭火力発電所が見直されている。このような状況から、今後石炭火力発電所の建設が増加し、それに伴って焼却後の残渣である石炭灰の排出量も大幅に増加することが予想されている。石炭灰の30%程度は埋立て処分されており、その処分場も残容量も少なくなる傾向にある。従って、環境保全の観点からも焼却灰の有効利用の拡大が重要な課題となっている。
石炭灰の一部は、既に、セメント原料、コンクリート用混和剤等として利用されている。例えば、石炭灰などの焼却灰を用いた材料として、セメント、石炭灰などの焼却灰、混和剤及び骨材とを含む水硬性材料を混練して締め固めたコンクリートブロックが開示されている(特許文献1参照)。
また、石炭と石灰石とを混合燃焼する加圧流動床複合発電方式の火力発電所から発生する石炭灰においても、その有効利用が検討されている。例えば、この石炭灰をセメントと混合して得られた混合物は、海砂代替材、新素材コンクリート、石炭灰吹きつけコンクリートなどに利用されている。また、上記の石炭灰と、高炉スラグ微粉末やフライ・アッシュとを混練した、人口漁礁や海洋ブロックなどに利用可能な硬化体が開示されている(特許文献2参照)。
特開2000−256052号公報
特開2003−119068号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の材料においては、本来埋め立てられたりして有効利用されない石炭灰を単にブロック状の資材の一部として再利用したに過ぎず、得られる資材に新たな機能を付与して付加価値を高めるといった工夫は行われていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、石炭灰を有効利用することのみならず、これに新たな機能を付与することで、高付加価値を有する建築用資材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、セメントなどの硬化性材料に、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と硬化性材料と、を混合することで、調湿機能と防虫機能を付与することができることを見出した。本発明は、具体的には以下のようなものを提供する。
(1) 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と、硬化性材料と、を含む硬化性組成物を固化して得られる建築用資材。
(2) 前記竹は、発電所の周辺地域及び/又は配電線路の周辺地域から得られるものである(1)記載の建築用資材。
(3) 前記硬化性材料が水硬化性材料である(1)又は(2)記載の建築用資材。
(4) 前記硬化性材料がセメントを含むものである(1)から(3)いずれか記載の建築用資材。
(5) 前記硬化性材料100質量部に対する、前記石炭灰の含有量が35質量部以上80質量部以下であり、前記竹炭の含有量が5質量部以上70質量部以下である(1)から(4)いずれか記載の建築用資材。
(6) 前記竹炭の平均粒子径が10μm以上100μm以下の範囲である(1)から(5)いずれか記載の建築用資材。
(7) 前記硬化性材料がセメントであり、前記硬化性組成物をブロック状に固化して得られる(1)から(6)いずれか記載の建築用資材。
(8) (1)から(7)いずれか記載の建築用資材を建築物の床下に配置する施工方法。
本発明の建築用資材によれば、例えばセメント等の硬化性材料に、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と、硬化性材料とを所定の割合で混合し、これを硬化することで、得られる建築用資材としての諸物性を損なうことなく、更に調湿機能と防虫機能とを付与することができる。これにより、従来より高付加価値の建築用資材を提供できる。また、上記の建築用資材を利用した本発明の施工方法によっても同様の効果を得ることができる。
まず、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰は、上記の従来技術のように、従来はその30%程度が廃棄物として埋立て処分されていた不要のものである。
また、植物の竹は、例えば発電所の周辺地域及び/又は配電線路の周辺地域に多く群生している。これは、通常年に3回程度の伐採が必要であり、伐採された竹は、焼却されるか、又は一般廃棄物として処理される。しかし、竹を焼却すると二酸化炭素が発生してしまう。また、竹は成長が早いため、年に何回も伐採する必要があり、処分費用も嵩んでしまうという問題を有している。
本発明によれば、従来、焼却又は一般廃棄物として処理していた竹と、同様に廃棄物として埋立て処分していた石炭灰を建築用資材の原料の一部として利用する。これにより、従来廃棄物であった石炭灰と竹とを同時に有効利用できる。また、同時に埋め立てや焼却という処理コストも削減できる。
更に、本発明においては、石炭灰と竹炭とを含有させることにより、新たな機能として調湿機能及び防虫機能を付与することができる。したがって、本発明の施工方法によれば、本発明の建築用資材を建築物の床下に配置することにより、床下の調湿及び防虫対策として利用することができるという、従来にはない優れた効果を奏することができる。
本発明の建築用資材は、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭(以下竹炭粒子ともいう)と、硬化性材料と、を含む硬化性組成物を固化して得られる。まず、それぞれの構成について説明する。
<硬化性組成物の構成>
[石炭灰]
本発明における「石炭灰」とは、石灰石をボイラー内に添加して、石炭燃焼による火力発電を行う加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を言う。加圧流動床複合発電方式による発電においては、石炭の燃焼によって生ずる硫黄酸化物を、燃料の石炭ともにボイラー内に投入し、反応させることによって、生成するガス中の硫黄分を除去する炉内脱硫を行う。したがって、当該石炭灰は、酸化カルシウム(CaO)と、三酸化硫黄(SO3)とを多く含有するという特徴を有している。
[石炭灰]
本発明における「石炭灰」とは、石灰石をボイラー内に添加して、石炭燃焼による火力発電を行う加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を言う。加圧流動床複合発電方式による発電においては、石炭の燃焼によって生ずる硫黄酸化物を、燃料の石炭ともにボイラー内に投入し、反応させることによって、生成するガス中の硫黄分を除去する炉内脱硫を行う。したがって、当該石炭灰は、酸化カルシウム(CaO)と、三酸化硫黄(SO3)とを多く含有するという特徴を有している。
石炭灰としては、例えば、広島県大崎発電所における加圧流動床複合発電方式の、火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰を使用することができる。この石炭灰の化学組成は、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO及びSO3を含み、SiO2含有割合が30質量%以上40質量%以下、CaO含有割合が10質量%以上30質量%以下、SO3含有割合が3.0質量%以上10質量%以下である。
[竹炭]
本発明に用いられる竹炭の原料となる竹は、発電所の周辺地域及び/又は配電線路の周辺地域から得られるものであるものを用いるのが好ましい。これによれば、当該周辺地域の竹の伐採後焼却等の処分費用を軽減できる。
本発明に用いられる竹炭の原料となる竹は、発電所の周辺地域及び/又は配電線路の周辺地域から得られるものであるものを用いるのが好ましい。これによれば、当該周辺地域の竹の伐採後焼却等の処分費用を軽減できる。
竹炭の製造方法としては、特に限定されないが、通常の竹炭の製造方法を用いて製造することができる。例えば、400℃から1000℃前後の温度で蒸し焼き状態にし、製造する。なお、床下の調湿用として使用する場合には、400℃以上で炭化し、水分を15%以下とすることが好ましい。
竹炭の平均粒子径は10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。平均粒子径をこの範囲内にすることで、竹炭の比表面積を大きくすることができるため、効率良く調湿効果、防虫効果を得ることができる。なお、上記の竹炭は、例えばジェットミル等の粉砕機を用いて粒子状とすることができる。
竹の種類は特に限定されず、例えば、根曲竹,真竹,孟宋竹,淡竹を挙げることができるが、特に孟宋竹が、竹炭への加工の点から好ましい。
[硬化性材料]
本発明に用いられる硬化性材料としては、水硬化性材料、非水硬化材料のいずれも使用できるが、容易に製造できるという点から水硬化性材料が好ましく、なかでも、セメントを用いることが好ましい。
本発明に用いられる硬化性材料としては、水硬化性材料、非水硬化材料のいずれも使用できるが、容易に製造できるという点から水硬化性材料が好ましく、なかでも、セメントを用いることが好ましい。
セメントとしては、ポルトランドセメント、アルミナセメント、混合セメントを用いることができる。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等を挙げることができる。アルミナセメントとしては、アルミナセメント、石灰アルミナセメント等を挙げることができる。混合セメントとしては、高炉スラグ混合セメント、ポゾラン混合セメント、フライアッシュセメント等を挙げることができる。
これらのうち、ポルトランドセメント、特に普通ポルトランドセメントが一般的であり、好ましく使用できる。
[他の成分]
本発明に用いられる建築用資材には、その性状を大きく変えない範囲において、上記成分以外の成分を添加することができる。例えば、混和剤として、建築用資材の強度を調整するために、高性能AE減水剤又はAE減水剤を用いることができ、特に、メラミン系の高性能減水剤を好ましく用いることができる。骨材としては、各種金属スラグ(高炉スラグ、電炉スラグ、銅スラグ等)、天然骨材(川砂、砕石)、再生骨材(コンクリートガラ)があり、微粒分が少ないものが好ましい。これらの骨材は、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる建築用資材には、その性状を大きく変えない範囲において、上記成分以外の成分を添加することができる。例えば、混和剤として、建築用資材の強度を調整するために、高性能AE減水剤又はAE減水剤を用いることができ、特に、メラミン系の高性能減水剤を好ましく用いることができる。骨材としては、各種金属スラグ(高炉スラグ、電炉スラグ、銅スラグ等)、天然骨材(川砂、砕石)、再生骨材(コンクリートガラ)があり、微粒分が少ないものが好ましい。これらの骨材は、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
<硬化性組成物>
[配合割合]
上記の必須の3成分である石炭灰、竹炭及び硬化性材料の配合割合としては、硬化性材料100質量部に対する、石炭灰の含有量は35質量部以上80質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以上75質量部以下であり、最も好ましくは45質量部以上70質量部以下である。また竹炭の含有量は、硬化性材料100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上65質量部以下であり、最も好ましくは15質量部以上60質量部以下である。
[配合割合]
上記の必須の3成分である石炭灰、竹炭及び硬化性材料の配合割合としては、硬化性材料100質量部に対する、石炭灰の含有量は35質量部以上80質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以上75質量部以下であり、最も好ましくは45質量部以上70質量部以下である。また竹炭の含有量は、硬化性材料100質量部に対して、5質量部以上70質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上65質量部以下であり、最も好ましくは15質量部以上60質量部以下である。
石炭灰が80質量部を超えると、建築用資材の強度が弱くなり、また、硬化性材料の硬化が遅くなるため好ましくない。
竹炭が5質量部未満であると、調湿効果、防虫効果が得られにくくなるため好ましくなく、70質量部を超えると、建築用資材の強度が弱くなり、また、硬化性材料の硬化が遅くなるため好ましくない。
<建築用資材の製造方法>
本発明の建築用資材の一例としては、石炭灰、竹炭、硬化性材料(例えばセメント)、及び必要に応じて、混和剤及び骨材を含む硬化性材料を混練し、型枠に打設して水硬性材料を締め固めて製造することができる。硬化性材料として水硬性材料を用いる場合、混練時に用いられる水の添加量は適宜設定可能であるが、水硬化性材料100質量部に対して、水30質量部から55質量部となるように行うことが好ましい。
本発明の建築用資材の一例としては、石炭灰、竹炭、硬化性材料(例えばセメント)、及び必要に応じて、混和剤及び骨材を含む硬化性材料を混練し、型枠に打設して水硬性材料を締め固めて製造することができる。硬化性材料として水硬性材料を用いる場合、混練時に用いられる水の添加量は適宜設定可能であるが、水硬化性材料100質量部に対して、水30質量部から55質量部となるように行うことが好ましい。
<建築用資材の施工方法>
本発明の建築用資材は、コンクリートブロック、モルタルとして用いることができる。適用場所は特に限定されないが、本発明の建築用資材は、上記のように、調湿、防虫の効果を有している。このため、建築物の床下、例えば、ユニットバスなどをおく基礎として特に好適に用いることができる。
本発明の建築用資材は、コンクリートブロック、モルタルとして用いることができる。適用場所は特に限定されないが、本発明の建築用資材は、上記のように、調湿、防虫の効果を有している。このため、建築物の床下、例えば、ユニットバスなどをおく基礎として特に好適に用いることができる。
Claims (8)
- 石灰石をボイラー内に添加して石炭燃焼による火力発電を行う、加圧流動床複合発電方式の火力発電所のボイラーから生ずる石炭灰と、竹を焼却して得られる粉末状の竹炭と、硬化性材料と、を含む硬化性組成物を固化して得られる建築用資材。
- 前記竹は、発電所の周辺地域及び/又は配電線路の周辺地域から得られるものである請求項1記載の建築用資材。
- 前記硬化性材料が水硬化性材料である請求項1又は2記載の建築用資材。
- 前記硬化性材料がセメントを含むものである請求項1から3いずれか記載の建築用資材。
- 前記硬化性材料100質量部に対する、前記石炭灰の含有量が35質量部以上80質量部以下であり、前記竹炭の含有量が5質量部以上70質量部以下である請求項1から4いずれか記載の建築用資材。
- 前記竹炭の平均粒子径が10μm以上100μm以下の範囲である請求項1から5いずれか記載の建築用資材。
- 前記硬化性材料がセメントであり、前記硬化性組成物をブロック状に固化して得られる請求項1から6いずれか記載の建築用資材。
- 請求項1から7いずれか記載の建築用資材を建築物の床下に配置する施工方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006020733A JP2007197291A (ja) | 2006-01-30 | 2006-01-30 | 建築用資材 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2009208986A (ja) * | 2008-03-03 | 2009-09-17 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 無収縮セメント、及びそれを用いたセメントペースト、モルタル、コンクリート |
KR102443183B1 (ko) * | 2021-11-03 | 2022-09-14 | 우리기술 주식회사 | 나무재를 함유한 모르타르 조성물 |
-
2006
- 2006-01-30 JP JP2006020733A patent/JP2007197291A/ja active Pending
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