JP2007195440A - バキュロウイルスベクターを利用したhiv感染症治療薬 - Google Patents

バキュロウイルスベクターを利用したhiv感染症治療薬 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫不全症をより改善し得るHIV感染症治療薬の提供。
【解決手段】HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクター、ならびにHIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを含有するHIV感染症治療薬を提供する。発現ベクターは、好ましくはバキュロウイルスベクターであり得る。HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸としては、例えば、リボザイム、RNAアプタマー、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸などが挙げられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、HIV感染症を治療し得る、バキュロウイルスベクター等の発現ベクターなどを提供する。
1981年に米国で免疫の働きがとくに冒され、普段見られない原虫感染症であるカリーニ肝炎が発症するといった奇妙な病気が見つかった。その後、米国各地で次々に同じような病気が報告され、米国のCDC(国立防疫センター)はこの奇妙な病気をAIDS(Acquired immunodeficiency syndrome : 後天性免疫不全症候群)と命名した。
AIDSの病原ウイルスであるHIVに感染すると数週後に約半数が、発熱、倦怠感、発疹、頭痛、リンパ節腫脹、咽頭扁桃炎、筋肉痛、関節痛、非化膿性髄膜炎、眼内痛、体重減少、抑鬱、消化管症状、盗汗、口腔・陰部潰瘍などのかぜ様症状を呈する。この時期のウイルス増殖は盛んで、一過性のウイルス血症がみられる。感染個体はまず細胞傷害性T細胞を中心とする細胞性免疫、次いで液性免疫(抗体)によってウイルス増殖に対抗する。その結果、血中ウイルス量は減少し、血中CD4陽性T細胞数も部分的に回復し、上記の症状も消失し、臨床的には一見、無症状、無症候の状態となり、その後約数年〜十数年間にわたってこの状態が続く。急性感染後の抗ウイルス免疫反応によって、体内ウイルス量は減少するが、ウイルスを完全に排除あるいは押さえ込むことは、通常不可能である。エイズ発症までの長い無症候期間も、体内、特にリンパ節を中心に、ウイルスの複製は盛んに行なわれていて、これに対抗する免疫系の中心的存在であるCD4陽性T細胞は少しずつ減少し続けている。
抗HIV免疫において、直接HIVに作用してその排除を行う主なものは細胞傷害性T細胞と中和抗体である。通常のウイルス感染に対しては、両者の作用によってウイルスの排除あるいは抑圧が可能であるが、HIV感染においては、逆転写における高頻度の複製エラーに起因する多数の変異ウイルスの出現と、それに対応すべき免疫系がHIVによって質的・量的に侵されるために、免疫監視機構が有効に機能できなくなる。その結果として生じた免疫不全に伴って、細菌、真菌、原虫、ウイルス、などの病原微生物による日和見感染症、カポジ肉腫やリンパ腫などの悪性腫瘍が発生するようになる。このような病態がAIDSである。
免疫不全症の大きな原因として、正常免疫細胞のアポトーシスに起因する免疫機能の低下がとりざたされている。HIVは感染者の感染細胞においてNefタンパク質を発現するが、そのように発現したNefタンパク質は、感染細胞のFasリガンド(FasL)の発現を上昇させる。このFasLの発現により正常CD4陽性T細胞や細胞障害性T細胞などが、Fasを介した系によりアポトーシスされ(非特許文献1参照)、免疫機能の低下を引き起こすと考えられている。従って、このような免疫不全症をより改善し得るHIV感染症治療薬の開発が求められている。
Geleziunas et al., Nature 410: 834-838 (2001)
従って、本発明は、免疫不全症の改善能に優れたHIV感染症治療薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35の双方を発現するベクターが、免疫不全症の改善能に優れたHIV感染症治療薬として極めて有望であり得ること、ならびにこのようなベクターとしてバキュロウイルスベクターを用いることで、細胞毒性を示し得ない安全性に優れた新規HIV感染症治療薬を開発し得ることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の通りである:
〔1〕HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む、発現ベクター。
〔2〕バキュロウイルスベクターである、上記〔1〕の発現ベクター。
〔3〕HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸が、リボザイム、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、RNaseP、tRNaseZL、RNAアプタマーからなる群より選択される、上記〔1〕の発現ベクター。
〔4〕HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸の標的が5’−LTRのU5領域である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかの発現ベクター。
〔5〕VSV−Gをコードする核酸をさらに含む、上記〔1〕の発現ベクター。
〔6〕HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを含有する、医薬。
〔7〕HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを含有する、HIV感染症治療薬。
本発明の発現ベクターは、免疫不全症の改善能に優れたHIV感染症治療薬として有用である。本発明の発現ベクターはまた、細胞毒性を示さず、安全性に優れるという利点を有する。
本発明は、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。
HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸は、HIVウイルスからの所定のタンパク質の発現を抑制するものである限り特に限定されず、例えば、HIVウイルス由来の所定のタンパク質量を低減し得る核酸が挙げられる。より詳細には、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸としては、例えば、リボザイム、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、RNaseP、tRNaseZL、RNAアプタマーが挙げられる。
リボザイムは、核酸を切断する酵素活性を有するポリヌクレオチドをいう。リボザイムとして最も汎用性の高いものとしては、ウイロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見られるセルフスプライシングRNAがあり、ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。また、リボザイムを、それをコードするDNAを含む発現ベクターの形態で使用する場合には、細胞質への移行を促進するために、tRNAを改変した配列をさらに連結したハイブリッドリボザイムとすることもできる[Nucleic Acids Res. 29(13): 2780-2788 (2001)]。
HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得るリボザイムとしては、これまでに幾つか報告がある。本発明では、このような既報のリボザイムを適宜用いることができるが、リボザイムの好ましい例としては、配列番号6で示されるヌクレオチド配列からなるリボザイムLTR−Rz(例、Habu et al., Antivir Chem Chemother. 2002, 13: 273-81)、並びに当該ヌクレオチド配列において、1以上(例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1又は2個)のヌクレオチドが修飾(例、欠失、挿入、付加、置換)され、かつ標的部位の切断活性を有するものが挙げられる。
アンチセンス核酸は、標的配列に特異的にハイブリダイズし得るポリヌクレオチドであり得る。その長さは、標的配列に特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、短いもので約15塩基程度、長いもので初期転写産物またはmRNAの全配列に相補的な配列を含むような配列であってもよい。合成の容易さや抗原性の問題等から、例えば約15塩基以上、好ましくは約15〜約50塩基、より好ましくは約18塩基〜約30塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
RNAi誘導性核酸は、RNAi効果を引き起こし得るポリヌクレオチドをいい、好ましくはRNAである。RNAi効果とは、mRNAに対するセンス鎖、アンチセンス鎖を含む2本鎖構造のRNAが、当該mRNAに結合してmRNAの切断を引き起こすことにより、タンパク質産生を抑制することをいう。RNAi誘導性核酸としては、例えば、少なくとも20以上の連続する塩基からなる標的mRNAに対するセンス鎖、アンチセンス鎖を有する2本鎖構造のRNAを用いることが好ましい。2本鎖構造は、異なるストランドで構成されていてもよいし、一つのRNAのステムループ構造によって与えられる2本鎖であってもよい。RNAi誘導性核酸としては、例えばsiRNA、shRNA、stRNA、miRNAなどが挙げられる。
RNasePは、前駆体の5’側を切断するエンドリボヌクレアーゼである。RNasePは、生物に広く分布しており、大腸菌、枯草菌、好熱菌、好酸菌、好塩菌、酵母やヒト等の真核生物に存在する。RNasePのRNA成分だけでも、前駆体tRNAの特定部位を切断できる。すなわち、人工的にtRNA構造をとるような遺伝子を設計することで、標的RNAを切断し、その機能を阻害できる。HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得るRNasePとしては、既報のものを用いることができる。このようなRNasePとしては、例えば、HIV−1 tat領域を標的としたEGS(extermanl guide sequence)が報告されている(例、Banor et al., Bioorg. Med. Chem. Ltee. 14: 4941 (2004))。
tRNaseZは、前駆体tRNAの3’−末端プロセシング反応を引き起こす。tRNaseZは、大きくは、long formであるtRNaseZL、並びにshort formであるtRNaseZSに分類できる。細菌、古細菌はtRNaseZSをコードする。真核生物ではtRNaseZLをコードする遺伝子のみ、あるいはtRNaseZS、tRNaseZLをコードする遺伝子がゲノム上に存在する。tRNaseZは、RNasePと同様に標的RNAの切断に利用できる。HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得るtRNaseZLとしては、既報のものを用いることができる。このようなtRNaseZLとしては、例えば、HIV−1のgag領域に存在するステムループを標的としたEGSが報告されている(例、Habu et al., Nucleic Acids Res. 33: 235 (2005))。
RNAアプタマーは、所定の標的物質に特異的に結合し、その機能を阻害する約20〜約100個のヌクレオチドからなるRNA分子である。RNAアプタマーは、SELEXと呼ばれる操作により作製できる。HIVウイルスタンパク質の機能を抑制し得るRNAアプタマーとしては、例えば、HIV−1 RT、TAR、RRE、gp120、HCV NS3が挙げられる(例、Tuerk et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89: 6988 (1992); Khati et al. J. Virol. 77: 12692-12698 (2003); Fukuda et al. Eur. J. Biochem. 276: 3685 (2002))。
HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸の標的部位は、HIVウイルスからの所定のタンパク質の発現を抑制するものである限り特に限定されず、例えば、転写活性部位であるLTR、構造タンパク質であるgag、pol及びenv、調節タンパク質であるtat及びrev、並びにアクセサリータンパク質であるvif、vpx、vpr、vpu及びnefが挙げられるが、好ましくは5’−LTR、gag、tat、rev、vif、nefであり得、より好ましくは5’−LTRであり得る。
p35は、偽基質としてDQMD残基を有しており、拮抗的なカスパーゼインヒビターとして作用し得る。p35は、カスパーゼ−1、2、3、4を阻害することでFasやTNFのみならず放射線や薬剤投与などによるアポトーシスを抑制し得る。本発明のベクターは、このようなp35をコードする核酸を含み得る。
本発明のベクターはまた、必要に応じて他の発現因子を含み得る。このような他の発現因子としては、タンパク質をコードする核酸または核酸自体が挙げられる。本発明のベクターが含み得る他の発現因子の一例は、遺伝子発現効率を向上させる因子でありえる。遺伝子発現効率を向上させる因子としては、例えば、VSV−G、RVG(rabies virus G glycoprotein)、MHVS(mouse hepatitis virus)が挙げられるが、なかでもVSV−Gが好ましい。好ましい態様では、本発明のベクターは、VSV−Gを発現するように改変することで、標的細胞表面のホスファチジルセリン(PS)を介して細胞内に進入することが可能になる。PSは、生物種・細胞種を問わず多くの細胞表面に存在しているリン脂質である。従って、VSV−Gを発現する本発明のベクターによれば、多くの細胞に対して目的遺伝子を高い効率で導入できるという効果が期待できる。
本発明の発現ベクターは、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸、ならびに必要に応じて他の発現因子に機能可能に連結されたプロモーターを含み得る。本発明の発現ベクターが含み得るプロモーターは、その制御下にある因子の発現を可能とする限り特に限定されず、因子の種類により適宜選択され得るが、例えば、polIII系プロモーター(例、tRNAプロモーター、U6プロモーター、H1プロモーター)、哺乳動物用プロモーター(例、CMVプロモーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター)が挙げられる。
本発明の発現ベクターは、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含み、かつそれらを発現可能である限り特に限定されない。本発明の発現ベクターとして使用される基本骨格のベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターであり得るが、ヒト等の哺乳動物への投与に好ましいベクターとしては、バキュロウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、レンチウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス等のウイルスベクターが挙げられる。
より好ましくは、本発明の発現ベクターは、p35を天然で発現し得るバキュロウイルスベクターであり得る。また、バキュロウイルスベクターは、昆虫病原ウイルスベクターであるため、ヒト等の哺乳動物などでは細胞毒性を示さないという利点を有する。また、その他の利点として、(1)ゲノムサイズがヘルペスウイルスベクターと同様130kbpと大きいため、挿入遺伝子の大きさの制限を受けにくい、(2)肝細胞や神経細胞などの非分裂細胞にも遺伝子を導入可能である、(3)ヒトがバキュロウイルスに対する中和抗体を持たないため、安定に遺伝子を発現させることができる、(4)組換えウイルスの生成が容易である等が挙げられる。
本発明においてバキュロウイルスベクターが用いられる場合、本発明のバキュロウイルスベクターは、自体公知の方法により作製できる。例えば、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35の双方を発現するバキュロウイルスベクターは、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸をバキュロウイルストランスファーベクターに組み込み、次いで、組換えトランスファーベクターとバキュロウイルスとを昆虫細胞に導入し、相同組換えを生じさせることにより作製できる。
バキュロウイルスは、野外の罹病昆虫から500株以上が分離されており、仮の種として登録されているものは603種存在する。バキュロウイルス科は核多角体病ウイルス(Nuclear polyhedrosis virus : NPV)属と顆粒病ウイルス(Granulo virus : GV)属に大別されている。本発明では、バキュロウイルスベクターとして、NPVが好ましく用いられる。本発明で用いられ得るNPVとしては、例えば、ウワバの一種より分離されたAutographa californica NPV(AcMNPV)、カイコ由来のBombyx mori NPV(BmNPV)、ドクガ由来のOrgyia pseudotsugata NPV(OpMNPV)、マイマイガ由来のLymantria dispar NPV(LdMNPV)、シロイチモジヨトウ由来のSpodoptera exigua NPV(SeMNPV)が挙げられるが、なかでもAcMNPVが好ましい。
本発明はまた、本発明の発現ベクターを含む剤を提供する。
本発明の剤は、本発明の発現ベクターに加え、任意の担体、例えば医薬上許容され得る担体を含むことができる。医薬上許容され得る担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
非経口的な投与(例、静脈内注射など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および医薬上許容され得る担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解または懸濁すればよい状態で保存することもできる。
本発明の剤の投与量は、有効成分の活性や種類、投与様式、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なり得るため、適宜設定され得る。
本発明の剤は、例えば、医薬または研究用試薬として有用である。HIV−1は、Nefの発現により、感染細胞におけるFasリガンドの発現を上昇させ、この発現の上昇により正常CD4陽性T細胞や細胞障害性T細胞などにアポトーシスを誘導する。この正常免疫細胞のアポトーシスによる免疫機能の低下は、HIV感染による免疫不全症の大きな原因であると考えられる。つまり、この感染細胞が引き起こす非感染細胞のアポトーシスを抑制できれば、免疫不全症を改善できると考えられる。本発明の発現ベクターは、HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸を発現することから、HIV−1の機能を阻害するとともに、p35を発現することから、HIV−1感染に伴い引き起こされ得る免疫不全症をも改善し得る。従って、本発明の発現ベクターは、HIV−1感染症治療薬として有用である。
本明細書中で挙げられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例等に何ら制約されるものではない。
(材料及び方法)
細胞内RNAの抽出(Gene Elute mammalian total RNA miniprep kit)
(1)RNA抽出細胞溶解液は、Gene Elute mammalian total RNA miniprep kit(SIGMA)のLysis solution:2-Mercaptoethanol = 100:1で混合した。なお、用事調製した。
(2)Plasmid DNAをトランスフェクトした細胞を1×PBSで洗浄した。本操作は、2回繰り返した。
(3)1サンプルにつきRNA抽出細胞溶解液(500μl)を加え、室温で2minインキュベートした後、マイクロピペットにより細胞を回収し、サンプルごとにFiltration column tubeに移し、12000rpm、2min遠心し、不純物を除去した。
(4)Filtration columnを除去し、70%エタノールをRNA抽出細胞溶解液と等量(500μl)加えてよく撹拌して、RNA binding column tubeにすべて移し、13000rpm、15sec遠心する事によりカラムにRNAを吸着させた。
(5)RNA binding columnを新しいtubeに移し、Wash solution 1(500μl)を加えて、13000rpm、15sec遠心しカラムに通した後、溶液を破棄した。
(6)RNA binding columnを新しいtubeに移し、Wash solution 2(500μl)を加えて、13000rpm、15sec遠心しカラムに通した後、溶液を破棄した。本操作を2回繰り返した。
(7)RNA binding columnを新しいtubeに移し、Elution Solution(50μl)を加えて、13000rpm、1min遠心してRNAを抽出した。
RT-PCR
回収したRNA(1ng)を鋳型として反応溶液(RNA:1ng, primer: 各20pmol, 5×RT buffer, dNTPs: 0.75μM, MgSO4: 6.25 mM, RNase Inhibitor, 1 Unit, rTth DNA polymerase: 0.5 Unit)(TOYOBO Co.)を作成した。このサンプルをサーマルサイクラーにセットし、60℃:30 min, 94℃: 2 min、94℃: 15 sec, x℃: 30 sec, 68℃: Y min 30〜40 サイクル, 68℃: 7 min, 4℃でRT-PCR 反応を行い、得られた溶液6μl を用いて1.0% Agarose電気泳動法により確認した。
LTR-RZ: TCACACAACACTGATGAGGC(配列番号1)(Length 46, Tm 60℃)
GTGTGCCCGTTTCGGCCTAACG(配列番号2)
HIV-1 RNA: GGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATA(配列番号3)(Length 205, Tm 60℃)
TTCAGCAAGCCGAGTCCTGC(配列番号4)
ルシフェラーゼアッセイ(ピッカジーン)
先ず、ピッカジーンの発光基質(粉末)(Toyo-inki, Tokyo, Japan)を緩衝液(Toyo-inki)と混合し、ルシフェラーゼ発光量測定機(ルミノメーター)にセットした。次いで、細胞溶解液により回収した細胞内タンパク質(10μl)を専用チューブに加え、ルミノメーターで測定した。
PI染色
Huh-7細胞(105細胞/ディッシュ)にバキュロウイルスをMOI 100で感染させ、感染24時間後に細胞のみを遠心分離(1,500rpm, 5分)により回収した。細胞に-20℃エタノールを2ml注ぎ、-20℃で4時間インキュベートした。4時間後、遠心分離(1,500rpm, 5分)し、上清中のエタノールを除去した。PCB溶液を100μl添加し、室温で30分間放置した。RI-RNase溶液を1ml添加し、室温で20分間放置し、Flow cytometryにより非アポトーシス細胞の検出を行った。
実施例1:HIV-1に対する標的部位のスクリーニング
HIV-1ゲノムRNAの両端には逆転写などに関与するウイルス転写制御配列であるLTRが存在する(図1)。LTRは転写開始部位、終結部位を有し、LTR間の遺伝子を発現させる。構造タンパク質群にはカプシド形成などに関与するgag、ウイルスゲノム修飾・輸送に関与するpol及びenvが存在する。その他、アクセサリータンパク質群としてvif、vpr、vpu、rev、tatまたはnefが存在するが、これらは細胞機能の調製、ウイルスタンパク質の発現制御など多くの機能を有しており、ウイルスの増殖制御には不可欠である。
抗HIV-1遺伝子の選択において、基本的にはどの領域を狙ってもウイルスゲノムRNAまたはmRNAを切断することでHIV-1の発現を阻害することが可能であると予想される。HIV-1遺伝子は全てLTRから転写が誘導されタンパク質に翻訳される。HIV-1には多くの遺伝子群が存在するが、これらは個々に開始コドンを有しており、それぞれが単体で発現する。このために、転写されたウイルスmRNAはスプライシングを起こし、それぞれの遺伝子のmRNAとなる。このスプライシングにはスプライシングドナー(SD)が関与していることが確認されている。つまり、SDより上流の配列をターゲットにすることにより、全ての遺伝子群の阻害が可能であり、遺伝子レベルでの抑制に比べ抑制効果が上昇することが予想される。SD配列はLTRとパッケージングシグナルとの中間に位置する。このSDより前方に位置するU5領域中の558〜580番目の塩基からなる遺伝子を標的遺伝子とするリボザイムLTR-Rz(図3)を設計し、その抗HIV-1タンパク質発現抑制効果を試験したところ、良好な結果が得られた。そこで、このLTR-Rzを以下の実験で使用した。
実施例2:LTR-Rz発現バキュロウイルストランスファーベクターの構築
バキュロウイルスベクターを媒介とした遺伝子発現を行うことで、さらに高い抑制効果が得られるかどうかについて検討を行うため、バキュロウイルストランスファーベクターを構築した。
先ず、HIV-1 LTR U5の558-580残基を標的部位とするリボザイムを発現し (図3)、かつpSV2neoを基盤とするベクターであるpL6-LTR-Rz(Habu et al., Antivir Chem Chemother. 2002, 13: 273-81)(図4)から、EcoR IおよびBamH Iを用いて、tRNAmetプロモーターおよびターミネーターを含むリボザイム発現ユニットを切り出し、精製した。同時に、コントロールベクターとしてのリボザイム非発現ユニット(tRNAmet-terminator)も同様の方法で切り出した。これらのDNAフラグメントをpVL1393 MCS(BD Biosciences Clontech, NJ)(図5)のEcoR IおよびBamH Iサイトに挿入し、バキュロウイルストランスファーベクターpAc/LTR-Rz(図6)、pAc/L6-ter(図7)を作製した。さらに、pMD.G(BD Biosciences Clontech)よりBamH Iを用いてVSV-Gを切り出し・精製後、構築した2種のベクターのBamH Iサイトに挿入し、バキュロウイルストランスファーベクターpAcVSV-G/LTR-Rz(図8)、pAcVSV-G/L6-ter(図9)を作製した。
実施例3:LTR-Rz 発現バキュロウイルスの作成
構築が確認された4種類のトランスファーベクター(pAc/L6-ter、pAcVSV-G/L6-ter、pAc/LTR-Rz及びpAcVSV-G/LTR-Rz)をバキュロウイルスゲノムDNAと共にSf9細胞に導入し、組換えウイルスを作成した。ウイルスを含んだ培養上清を回収し、超遠心(25000 rpm、60 min)を行い、200倍濃縮ウイルス液を作成した。得られた濃縮ウイルス液を0.45μmフィルターで精製し、精製ウイルス溶液とした。この精製ウイルス液のウイルス力価をプラークアッセイ法により測定した。結果を以下の表1に示す。
実施例4:ウイルス粒子の解析
精製されたウイルス粒子内にVSV-Gが取り込まれているかを確認するため、クーマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)染色及びウエスタンブロット法を用いて、ウイルス粒子を解析した。詳細には、ウイルス力価が算出された各ウイルス(1×107 PFU)を10% SDS-PAGEで直接電気泳動を行い、得られたPAGEをCBBにより染色した。さらに、メンブレンに転写後、抗AcMNPV抗体および抗VSV-G抗体によりウエスタンブロッティングを行った。
CBB染色の結果、VSV-G(-)ウイルスでは、野生型ウイルスと同様のウイルス構成タンパク質であることが確認され、VSV-G(+)ウイルスでは、野生型と比較して異なった傾向を示した(図10)。これによりウイルス粒子内へのVSV-Gの取込みが予想された。また、抗VSV-G抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果、VSV-G特異的なフラグメントがVSV-G(+)ウイルスのみ検出された(図11)。さらに、抗AcMNPV抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果、全てのウイルスにおいてGp64およびVp39の検出が確認できた(図11)。
以上より、作成した組換えウイルスの構築が確認された。
実施例5:LTR-Rz発現バキュロウイルスベクターによる抗HIV-1タンパク質発現の抑制効果
本実験では、各種組換えウイルスをHeLa CD4+細胞に感染させ、同時にpNL-4-3-Lucを導入することで、抗HIV-1タンパク質発現の抑制効果を検討した。先ず、4種のウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させ、pNL-4-3-Luc(0.5μg)をFuGENE6により導入した。次いで、導入2日後の細胞内Luc量をルミノメーターにより測定し、HIV-1タンパク質発現の抑制効果を検討した。
その結果、LTR-Rzを発現しない全ての系では抑制効果が得られなかったのに対し、LTR-Rzを発現させた系では、大幅な抑制効果が得られた(図12)。また、AcVSV-G/LTR-Rzでは、Ac/LTR-Rzと比較し、その効果は増大し、約90%の抑制効果を示した(図12)。さらに、LDH法を用いて細胞毒性を検討したところ、全ての系において細胞毒性を示さなかった(図12)。
実施例6:LTR-Rz発現ウイルス感染によるLTR-Rzの発現
LTR-Rz発現ウイルスによるHIV-1タンパク質発現の抑制が確認されたため、この抑制がLTR-Rzによるものかどうか検討した。詳細には、細胞内LTR-Rz発現を、RT-PCR法により検討した。先ず、各種組換えウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させ、感染2日後に細胞内全RNAを抽出した。次いで、これらのRNAを鋳型として、LTR-Rz特異的に結合するプライマーを用いてRT-PCR法を行った。
その結果、全てのLTR-Rz導入系において、LTR-Rz特異的なフラグメントが検出された(図13)。
以上より、HIV-1タンパク質発現の抑制は、LTR-Rzに起因することが示唆された。
実施例7:LTR-Rz発現バキュロウイルス感染によるHIV-1 RNA切断活性の評価
LTR-Rz発現ウイルス感染によりLTR-Rzが発現していることが確認されたため、HIV-1タンパク質発現の抑制がLTR-Rzの切断活性によるものかを検討した。
先ず、各種ウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させ、pNL4-3-LucをFuGENE6を用いて導入した。次いで、細胞全RNAを回収し、RT-PCRにより、HIV-1 RNAの切断および発現抑制を検討した。プライマーは、LTR-Rzにより切断されるヌクレオチド配列の前方および後方にアニールするように設計した。従って、切断が起こる場合、RT-PCRにより増幅されるフラグメント量は減少することが予想される。
その結果、LTR-Rz が発現している系のみ、HIV-1 RNA量が減少していることが確認された(図14)。
これまでの結果を考慮すると、LTR-Rz発現バキュロウイルス感染により、LTR-Rzが発現し、このLTR-RzによってHIV-1 RNAの切断が起こることで転写制御が行われ、ウイルスタンパク質の発現が低下していると考えられる。また、これらの効果は、バキュロウイルスの導入効率に依存し、野生型と比較してVSV-Gキメラシュードタイプではより効果が高いことが確認された。
実施例8:LTR-Rz発現バキュロウイルス濃度依存的感染によるHIV-1タンパク質発現の抑制効果
次いで、各種ウイルスをMOI依存的(100, 50, 25, 12.5, 6.25, 1)にHeLa CD4+細胞に感染させ、バキュロウイルス濃度依存的なHIV-1タンパク質発現抑制を検討した。
その結果、L6-terを導入したウイルスは、pNL4-3のenv遺伝子の一部が欠損し、nef遺伝子の代わりにルシフェラーゼレポーター遺伝子を組み込んだpNL4-3-Lucのルシフェラーゼ(Luc)タンパク質発現を濃度依存的に抑制しなかったのに対し、LTR-Rz発現ウイルスは、Lucタンパク質発現を濃度依存的に抑制した(図15)。さらにAcVSV-G/LTR-RzをMOI 100で細胞に感染させた場合、Lucタンパク質発現は約95%抑制された(図15)。
以上より、LTR-Rz発現ウイルスは、HIV-1タンパク質発現を非常に効率的に抑制することから、遺伝子治療用ベクターとして非常に有用であることが示唆された。
実施例9:バキュロウイルス感染によるp35の発現
上述した全ての系においてバキュロウイルス感染による細胞障害性は検出されなかった。本来、バキュロウイルスは哺乳動物細胞でウイルスタンパク質を発現しないため細胞毒性が無い。実際、バキュロウイルスは、最高MOI 100感染価で導入を行っても細胞毒性を示さなかった(データ示さず)。また、バキュロウイルス感染細胞は、未処理の細胞に比し、長時間細胞形態を保存し、また生存を示す傾向が確認された(データ示さず)。これらの結果より、バキュロウイルス感染により細胞死を阻害し得ると予想された。そこで、バキュロウイルスを哺乳動物細胞に感染させそのメカニズムについて検討した。
その結果、バキュロウイルス感染細胞において、バキュロウイルス内在性抗アポトーシスタンパク質p35の発現が確認された(図16)。このp35の発現により細胞のアポトーシスなどが阻害され、ひいては細胞の生存に繋がったと考えられる。
実施例10:バキュロウイルス感染細胞のアポトーシス阻害効果
次いで、野生型ウイルスを感染させた系でアポトーシスが抑制されるかどうかを検討した。細胞としてはHuh-7を用いて、バキュロウイルスをMOI依存的(MOI 1, 10, 100)に感染させた。感染24時間後、放射線によるアポトーシスを誘導するため、UVイルミネーターにより10分間UV照射した。細胞死により培養上清中に遊離されるLDH脱水素酵素の活性を、アポトーシスの指標とした。
その結果、バキュロウイルス感染細胞は、UV照射によるアポトーシスに対して抵抗性を示し、また、その効果はバキュロウイルス濃度依存的に上昇したことから、野生型のウイルス感染により細胞死が軽減されたことが確認された(図17)。
以上より、バキュロウイルスによる遺伝子治療可能性が示された。
実施例11:バキュロウイルス感染によるアポトーシスの阻害
次いで、HIV-1感染に伴う細胞間でのアポトーシス誘導、及びそれに起因する細胞死が、p35により阻害可能か検討した。
ウイルスベクターを用いた遺伝子導入を生体内で行う場合、標的ウイルスの感染細胞は同種の正常細胞に比べはるかに少なく、大多数のウイルスベクターが標的ウイルス非感染細胞に導入されることが予想される。つまり、この非特異的な遺伝子導入を長所に変えることができれば治療効果は上昇し非常に有用なものになり得る。
そこで、HIV-1タンパク質によるアポトーシス誘導に注目した。HIV-1感染細胞は、Vprの発現によりアポトーシスを誘導することが報告されている(V. Ayyavoo et al, (1997), Nature Med., 3:1117-1123)。また、Nefは、感染細胞のFasリガンドの発現を上昇させる。このFasリガンドの発現は、Fasを介した系により、正常CD4陽性T細胞や細胞障害性T細胞などをアポトーシスに向かわせることが報告されている(R. Geleziunas et al, (2001), Nature, 410:834-838)。この正常免疫細胞のアポトーシスにより引き起こされる免疫機能の低下が免疫不全症の大きな原因となっている。つまり、この感染細胞が誘導するアポトーシスを抑制できれば免疫不全症を改善できると考えられる。
そこで、培養細胞において感染細胞、非感染細胞のアポトーシス誘導刺激を模すことで評価を行った。感染細胞モデルとしては、HIV-1刺激した細胞を用いた。非感染細胞モデルとしては、Fasを介して細胞死を誘導することが報告されている抗Fas抗体により刺激した細胞(Fas誘導型アポトーシスを示す細胞)を用いた。
その結果、バキュロウイルス感染細胞は、両アポトーシス刺激に対する抵抗性を獲得した(図18、19)。
以上より、バキュロウイルスベクターがHIV-1感染細胞に導入された場合、リボザイムによりウイルスタンパク質が阻害され、また、非感染細胞に導入された場合も感染細胞から誘導されるアポトーシスを阻害することが確認された。これらの複数効果を同一分子上で行えるウイルスは現存しない。従って、本バキュロウイルスベクターが、AIDS治療用ウイルスベクターとして非常に優れていることが示唆された。
HIV-1遺伝子を示す図である。 HIV-1 NL4-3株のNef領域をLucに置換したpNL-4-3-Lucの模式図である。 HIV-1遺伝子に対するリボザイムの構造およびその標的部位を示す図である。リボザイム発現ベクターpL6-LTR-Rzにおけるリボザイムの標的部位は、HIV-1におけるLTR U5の558-580残基である。 HIV-1 5’LTRの558-580残基を標的部位とするリボザイムLTR-Rzを発現し、かつpSV2neoを基盤とするリボザイム発現ベクターpL6-LTR-Rzの模式図である。HIV-1 5’LTRのU5領域の部分ヌクレオチド配列:GUGUGCCCGUCUGUUGUGUGACU(配列番号5)LTR-Rzのヌクレオチド配列:CACACGGGCAAAGCCGGAUUGCCGGAGUAGUCACAACACACU(配列番号6) pVL1393 MCSの模式図である。 バキュロウイルストランスファーベクターpAc/LTR-Rzの模式図である。 バキュロウイルストランスファーベクターpAc/L6-ter(コントロール)の模式図である。 バキュロウイルストランスファーベクターpAcVSV-G/LTR-Rzの模式図である。 バキュロウイルストランスファーベクターpAcVSV-G/L6-ter(コントロール)の模式図である。 CBB染色による、バキュロウイルス粒子の解析を示す図である。 各種ウイルス(1×107 PFU)を10% SDS-PAGEにおいて直接電気泳動を行い、抗VSV-G抗体(1:1000)および抗AcMNPV(1:2000)抗体を用いてウイルス粒子を解析した。得られたPAGEのCBB染色によりウイルス構成タンパク質を解析した。 ウエスタンブロッティングによる、バキュロウイルス粒子の解析を示す図である。 各種ウイルス(1×107 PFU)を10% SDS-PAGEにおいて電気泳動を直接行い、抗VSV-G抗体(1:1000)および抗AcMNPV(1:2000)抗体を用いてウイルス粒子を解析した。VSV-Gの取込みをウエスタンブロットにより確認した。 LTR-Rz発現バキュロウイルスによる、HIV-1タンパク質発現の抑制を示す図である。 各種ウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させ、同時にpNL-4-3-Luc(0.5μg)をFuGENE6により導入した。導入2日後、細胞可溶性タンパク質を抽出し、ルミノメーターによってLuc発現量を評価した。また、培養上清中に遊離したLDH量を測定することで、細胞毒性効果の指標とした。 LTR-Rz発現バキュロウイルス感染細胞におけるLTR-Rzの発現を示す図である。 各種ウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させた。導入2日後、細胞全RNAを抽出し、このRNAを鋳型としてRT-PCR法を行った。プライマーはそれぞれLTR-Rz特異的に結合するものと、コントロールとして細胞内GAPDH mRNAと結合するものを用いた。 LTR-Rz発現バキュロウイルスによる、HIV-1 RNA切断を示す図である。 各種ウイルスをMOI 50でHeLa CD4+細胞に感染させた。導入2日後、細胞全RNAを抽出し、このRNAを鋳型としてRT-PCR法を行った。プライマーはそれぞれLTR-Rzによる切断配列の前方および後方に設計し切断および減少が確認可能なプライマーと、コントロールとして細胞内GAPDH mRNAと結合するものを用いた。 LTR-Rz発現バキュロウイルス濃度依存的感染による、HIV-1タンパク質発現の抑制を示す図である。 各種ウイルスをMOI依存的(100, 50, 25, 12.5, 6.25, 1)に感染させ、同時にpNL-4-3-Luc(0.5μg)をHeLa CD4+細胞に導入した。導入2日後、細胞内可溶性タンパク質を回収し、ルミノメーターによりLucの発現を確認した。 バキュロウイルス感染によるp35の発現を示す図である。 野生型のウイルスをHuh-7細胞にMOI依存的(MOI 1, 10, 100)に感染させた。コントロールとしてp35をCMVプロモーター制御下に挿入したpCMV-p35を用い、細胞内のp35 mRNAの発現をRT-PCR法により検出した。 バキュロウイルス感染細胞におけるアポトーシス抵抗性を示す図である。 野生型のウイルスをMOI依存的(MOI 1, 10, 100)に感染させたHuh-7細胞を、感染24時間後、UVイルミネーターによりUV照射(10分間)した。さらに、12時間培養後、培養上清中の遊離LDHの酵素活性を測定することにより細胞死の割合を算出した。 バキュロウイルス感染細胞におけるアポトーシス抑制を示す図である。 HeLa CD4+細胞にバキュロウイルスをMOI 100で感染させ、感染24時間後にHIV-1により刺激した。その後、培養上清中の遊離LDHの酵素活性を測定することにより、細胞死の割合を算出した。 バキュロウイルス感染細胞におけるアポトーシス抑制を示す図である。 HeLa CD4+細胞にバキュロウイルスをMOI 100で感染させ、感染24時間後に抗Fas抗体により刺激した。細胞死は、LDH法および正細胞中のゲノムDNAを染色するPI染色法により評価した。

Claims (7)

  1. HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む、発現ベクター。
  2. バキュロウイルスベクターである、請求項1記載の発現ベクター。
  3. HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸が、リボザイム、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸、RNaseP、tRNaseZL、RNAアプタマーからなる群より選択される、請求項1記載の発現ベクター。
  4. HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸の標的が5’−LTRのU5領域である、請求項1〜3のいずれか1項記載の発現ベクター。
  5. VSV−Gをコードする核酸をさらに含む、請求項1記載の発現ベクター。
  6. HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを含有する、医薬。
  7. HIVウイルスタンパク質の産生を抑制し得る核酸およびp35をコードする核酸を含む発現ベクターを含有する、HIV感染症治療薬。
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