JP2007193423A - プログラム処理装置、並列処理プログラム、プログラム処理方法、並列処理コンパイラおよび並列処理コンパイラを格納した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】処理部が、並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成し、中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、データ依存枝情報を生成し、中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成し、中間語にスレッド間で依存するデータの通信命令を挿入して、通信命令を含むプログラムを生成し、各スレッドに分割し、実行コードに変換する方法。
【選択図】図1
Description
以下、図面(図1〜図16)を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、プログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、プログラム処理装置1Aは、並列処理プログラム50Aを入力して、通信命令を含む分割プログラム55Aを出力する。ここで、図2および図3を用いて、本実施形態で用いる並列処理プログラム50Aの説明をする。
なお、このプログラムは、C言語に「THREAD」という新たなキーワードが追加された拡張C言語によって記述されており、THREADに続く「(スレッド名)」によってスレッド名が指定され、これに続く括弧記号{ … }で囲まれたコード領域(スレッド領域)によってスレッドの有効な範囲が示されている。スレッド記述が追加されたプログラム(並列処理プログラム)とは、このようにスレッドの有効な範囲が記述されたプログラムのことを指すものとする。なお、いずれのスレッドにも含まれないコード領域の処理は「ベーススレッド」と呼ぶことにし、その他のスレッドと同等に扱うこととする。既存のCコンパイラを用いて、この拡張C言語によって書かれたソースコードから実行コードを生成するためには、例えばスレッド宣言を無効化するプリプロセッサ「#define THREAD(n)」を予めプログラムの最上部(またはプログラム内)に挿入すればよい。このプリプロセッサにより、例えば「THREAD(p1)」が空の文字列に変換され、これに続く括弧記号{ … }が通常のC言語におけるスコープ宣言として解釈され、既存のCコンパイラで正常に処理される。
図1に示すように、プログラム処理装置1Aは、構文解析部31と、データ依存性抽出部32Aと、スレッド間データ依存性抽出部33と、通信命令挿入部35Aと、プログラム分割・コード生成部39とを含んで構成されている。以下、プログラム処理装置1Aを構成する各要素について説明する。
構文解析部31は、並列処理プログラム50Aを入力して、当該プログラムの構文を解析する。また、並列処理プログラム50Aから中間語を生成する。構文解析部31は、通常のコンパイラが有する公知の構文解析の機能に加え、拡張C言語の予約語に追加されたTHREADキーワードを認識し、それに続く「(スレッド名)」でスレッド名を抽出し、これに続くスコープ({…})で囲まれるコード領域(スレッド領域)が、このスレッドであることを判別し、中間語に変換された各演算命令にスレッドの属性(スレッド属性)を付加する機能を有する。スレッド属性は、各演算命令がどのスレッドに含まれるかを判別するための情報であり、各スレッドに固有の番号を予め割り当てておき、スレッドに含まれるすべての演算命令にこの番号を割り振ることでスレッド属性情報を付加することができる。
THREAD(p0){
a = 1;
THREAD(p1){
b = 2;
}
}
という入れ子構造(スレッドp0の領域内にスレッドp1が含まれる構造)が存在した場合、演算b = 2;はスレッドp0とスレッドp1とに含まれる。このとき、この演算b = 2;は、最も内側のスレッドp1のスレッド属性を持つ。また、演算a = 1;のスレッド属性はスレッドp0である。
さらに、スレッド領域に関数呼出し命令が含まれる場合、その関数のベーススレッドは関数呼出し命令が属するスレッドと同一であるものとする。例えば、図3に示した並列処理プログラム50Aの21行目(RandomSignal())および25行目(printf())の命令は、それぞれスレッドp4内およびスレッドp5内における関数呼出し命令であり、これらの関数の処理は、これらを呼び出したスレッドで実行されることになるので、RandomSignal()およびprintf()のベーススレッドは、それぞれスレッドp4およびスレッドp5と同一となる。
また、説明の都合上、以下では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Aを用いて説明することにする。
データ依存性抽出部32Aは、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、データ依存性を抽出する。データ依存性抽出部32Aは、命令参照・生成データ抽出部321と、関数内間接参照・生成データ抽出部323と、命令ブロック抽出部324と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aと、データ依存枝生成部326と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327とを含んで構成されている。
命令参照・生成データ抽出部321は、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、中間語内の各命令の参照データリストおよび生成データリストを生成する。
命令参照・生成データ抽出部321で生成される各命令の参照データリストは、その命令が直接参照するすべてのデータからなり、単項演算命令の場合は一つの参照データを持ち、二項演算命令の場合は二つの参照データを持ち、関数呼出し命令の場合は関数呼出引数データすべてが参照データと見なされる。
また、命令参照・生成データ抽出部321で生成される各命令の生成データリストは、その命令が直接生成するデータからなり、戻り値のない関数の関数呼出し命令では直接生成するデータはなく、それ以外の命令では一つの直接生成するデータを持つ。
命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストは、関数内間接参照・生成データ抽出部323に引き渡される。また、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストは、各命令の依存性を抽出する処理において、適宜利用される。
関数内間接参照・生成データ抽出部323は、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストと生成データリストとを入力し、関数呼出し命令が存在した場合、呼出された関数内で参照または生成されるグローバル変数やポインタ型関数引数によるポインタ参照データ(以下、間接依存データという)を抽出するものである。
関数呼出し命令のデータ依存性解析においては、通常の演算命令としてのデータ依存性(以下、直接的データ依存性という)を考慮しなければならない他、関数内部の演算で発生したデータ依存性のうち関数呼出し側まで伝播する依存性(以下、間接的データ依存性という)を考慮しなくてはならない場合がある。直接的データ依存性を示すものとしては、関数呼出し引数(直接参照データ)や関数戻り値(直接生成データ)などがあり、この直接参照データおよび直接生成データは、命令参照・生成データ抽出部321から受け取った参照データリストおよび生成データリスト内に存在している。
関数内間接参照・生成データ抽出部323によって生成された関数呼出し命令の参照データリストおよび生成データリストは、各命令の依存性を抽出する処理において、適宜利用される。これにより、並列処理プログラム50A内の大局的なデータ依存性が抽出できるようになる。
命令ブロック抽出部324は、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、その中間語から命令ブロックを抽出する。ここで、命令ブロックとは、プログラムを分岐点、合流点および関数呼出命令の前後と、スレッド境界とを境界線として分割した結果生じるブロックのことである。以下、図3および図4を用いて、命令ブロック抽出部324の機能の一例について説明する。
命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報とを入力し、その命令ブロック情報を用いて、その中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出する。命令ブロック入力データとは、命令ブロック内の各命令が参照するデータのうち、別の命令ブロック内で生成されるものである。また、命令ブロック出力データとは、命令ブロック内の各命令が生成するデータのうち、別のブロック内で参照されるものである。以下、図3および図5を用いて、命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能の一例について説明する。
データ依存枝生成部326は、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって生成された命令ブロック入出力データ情報とを入力し、その命令ブロック情報と命令ブロック入出力データ情報とを用いて、データ依存枝を生成する。
データ依存枝とは、入力データと出力データとの間に依存関係(あるブロックの出力データを別のブロックが入力データとして使うという関係)が存在する場合に、命令ブロックの入出力データを「ノード(頂点)」とみなし、出力データノードから入力データノードに向けて接続するものである。ただし、このデータ依存関係が分岐点や合流点を隔てる場合は、対応する分岐ブロックまたは合流ブロックにデータノードを付加して、データ依存枝がこのデータノードを経由するようにする。なお、このデータ依存枝のグラフ構造は、公知の論文であるJohnson, Pingali, "Dependence-Based Program Analysis", ACM Conference on Programming Language Design and Implementation, pp.78-89 (1993)によって提案されたDependence Flow Graphがベースとなっている。このDependence Flow Graphは、前記説明の分岐点や合流点を隔てるデータ依存関係において、対応する分岐ブロックまたは合流ブロックにデータノードを付加して、データ依存枝がこのデータノードを経由することを特徴とするデータ依存関係を表現するためのグラフ構造である。以下、図3、図5および図6を用いて、データ依存枝生成部326の機能の一例について説明する。
なお、分岐ブロックB1に付加された出力データノードsigIn0には、sigIn0(T)と記されているが、これは、命令ブロックA2の条件文が成立する場合(Trueの場合)に、分岐ブロックB1に付加された出力データノードsigIn0を経由することを表している。
ここで、先行枝とは、そのデータ依存枝の始点ノード(命令ブロック出力ノード)を終点とする別のデータ依存枝を意味する。また、後続枝とは、そのデータ依存枝の終点ノード(命令ブロック入力ノード)を始点とする別のデータ依存枝を意味する。ただし、分岐ブロックや合流ブロックに付加されたデータノードはこれらのブロックの入力ノードであると同時に出力ノードでもあると見なす。データ依存枝生成部326は、例えば、データ依存枝「5」の始点ノード(命令ブロック出力ノード)を終点とする別のデータ依存枝としてデータ依存枝「4」を発見し、データ依存枝「5」の先行枝としてデータ依存枝「4」を設定する。また同様に、データ依存枝生成部326は、例えば、データ依存枝「4」の終点ノード(命令ブロック入力ノード)を始点とする別のデータ依存枝としてデータ依存枝「5」を発見し、データ依存枝「4」の先行枝としてデータ依存枝「5」を設定する。
出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、構文解析部31によって生成された中間語と、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)とを入力し、出力データ生成命令および入力データ参照命令を抽出する。以下、図7および図8を用いて、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327の機能の一例について説明する。
次に、各データ依存枝の終点側の命令ブロック内でこのデータを参照する命令を探索する。データ依存枝が後続枝を持たない場合は、このデータ依存枝に関わるデータを参照する命令(データ参照命令)が終点側の命令ブロック内に存在することを意味するので、この命令ブロック内で、該当するデータ参照命令を抽出する。同一データを参照する命令が同一命令ブロック内に複数存在する場合は、これらのうち最初に実行される命令をデータ参照命令とする。逆に、データ依存枝が後続枝を持つ場合は、このデータ依存枝に関わるデータを参照する命令(データ参照命令)が終点側の命令ブロック内に存在しないことを意味する。
図8には、図7で示されたデータ依存枝「6」〜「9」が存在しないが、これらのデータ依存枝がデータ生成命令と参照命令とをいずれも持たないからである。
スレッド間データ依存性抽出部33は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327よって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)とを入力し、スレッド間のデータ依存性を抽出する。スレッド間データ依存性抽出部33は、スレッド入出力データ抽出部331と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332とを含んで構成されている。
スレッド入出力データ抽出部331は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)を入力し、データ依存枝情報100A(図7参照)を用いて、スレッド入力データおよびスレッド出力データ(スレッド入出力データ)を抽出し、スレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)を生成する。
スレッド入力データとは、スレッド内の各命令が参照するデータのうち、別のスレッド内で生成されるものである。また、スレッド出力データとは、スレッド内の各命令が生成するデータのうち、別のスレッド内で参照されるものである。つまり、スレッド境界E1〜E6(図6参照)を横切るデータ依存枝がスレッド入出力データを表す。以下、図6、図7および図9を用いて、スレッド入出力データ抽出部331の機能の一例について説明する。
図7のデータ依存枝情報100Aに示すように、データ依存枝「1」〜「10」、「17」、「20」、「21」は、出力データノードのスレッドと入力データノードのスレッドとが同一であるので、出力データノードから入力データノードにスレッド間データ依存枝が接続されない。また、データ依存枝「11」〜「16」、「18」、「19」、「22」〜「24」は、出力データノードのスレッドと入力データノードのスレッドとが異なるので、出力データノードから入力データノードにスレッド間データ依存枝が接続される。
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)とを参照して、スレッド入力データ参照命令を抽出する。ここで、スレッド入力データ参照命令とは、スレッド間データ依存枝に関わる入力データ参照命令のことである。以下、図8ないし図11を用いて、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332の機能の一例について説明する。
判定の結果、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「13」、「14」、「16」、「18」、「19」については、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在するので(図8の出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照すると、データ参照命令と同一行にデータ生成命令が存在するので)、このデータ生成命令をスレッド出力データ生成命令として抽出する。
また、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「11」、「12」、「15」については、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在しないので(図8の出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照すると、データ参照命令と同一行にデータ生成命令が存在しないので)、スレッド出力データ生成命令を探索する必要がある。この探索方法については、図10を用いて説明する。
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在しない場合、先行枝方向にその出力データ生成命令を探索する。例えば、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「11」の先行枝「8」を抽出する。そして、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「8」のデータ生成命令記号が存在しないので、データ依存枝「8」の先行枝「3」と、先行枝「24」とを抽出する。
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、先行枝として抽出したデータ依存枝「3」のデータ生成命令記号「3:DEF」を抽出し、探索元のデータ依存枝「11」の生成命令リスト(スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リスト)に追加する。
また、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、先行枝として抽出したデータ依存枝「24」のデータ生成命令記号「24:DEF」を抽出し、探索元のデータ依存枝「11」の生成命令リスト(スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リスト)に追加する。
通信命令挿入部35Aは、構文解析部31によって生成された中間語と、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とを入力し、中間語に通信命令を挿入する。通信命令挿入部35Aは、データ送信命令挿入部351Aと、データ受信同期命令挿入部352Aとを含んで構成されている。
データ送信命令挿入部351Aは、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、中間語内のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令の直後にデータ送信命令を挿入する。以下、図11を用いて、データ送信命令挿入部351Aの機能の一例について説明する。
この際、送信先スレッドとしてスレッド入力データ参照命令「13:USE」が実行されるスレッド「p2」を指定する。
データ送信命令挿入部351Aは、データ送信命令として、例えば、既存の並列プログラミング用メッセージ通信ライブラリ関数のデータ送信処理を行う関数を呼び出す命令を中間語内に挿入することが可能である。
メッセージ通信方式の並列プログラミング環境であるMPIを例にとると、データ送信命令挿入部351Aは、データ送信処理を行う関数として、例えばMPI_Send()関数を呼び出す命令を挿入し、関数呼び出し引数として、データアドレス、データサイズ、データタイプ、送信先スレッド番号(各スレッドに予め割り当てられた固有の番号)、メッセージタグ番号(スレッド入力データ参照命令のデータ依存枝番号)を設定する。
データ受信同期命令挿入部352Aは、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、中間語内のスレッド入力データ参照命令の直前にデータ受信同期命令を挿入する。以下、図11を用いて、データ受信同期命令挿入部352Aの機能の一例について説明する。
データ受信同期命令挿入部352Aは、データ受信同期命令として、例えば、既存の並列プログラミング用メッセージ通信ライブラリ関数のデータ受信処理を行う関数を呼び出す命令を中間語内に挿入することが可能である。
メッセージ通信方式の並列プログラミング環境であるMPIを例にとると、データ受信同期命令挿入部352Aは、データ受信処理を行う関数として、例えばMPI_Recv()関数を呼び出す命令を挿入し、関数呼び出し引数として、データアドレス、データサイズ、データタイプ、送信元スレッド番号(MPI_ANY_SOURCE)、メッセージタグ番号(スレッド入力データ参照命令のデータ依存枝番号)を設定する。なお、送信元スレッド番号として「MPI_ANY_SOURCE」(「送信元は任意のスレッド」の意)としているのは、スレッド入力データ参照命令に対応するスレッド出力データ生成命令が複数個存在する場合に対応するためである。
プログラム分割・コード生成部39は、通信命令挿入部35Aによって生成された通信命令を含むプログラムを各プロセッサが行うスレッド処理に分割(プログラム分割)し、実行コード(機械コード)に変換(コード生成)するものである。その結果、プログラム分割・コード生成部39は、通信命令を含む分割プログラム55A(図1参照)を生成する。
プログラム分割の機能は、構文解析部31によって各命令に付加されたスレッド属性を参照して、プログラムを各スレッドの処理に分割するものである。
また、コード生成の機能は、通常のコンパイラが有する公知のコード生成の機能と特に変わらないため、コード生成の機能についてのさらに詳細な説明は省略する。
図12に示すように、プログラム処理装置1Aは、コンピュータであり、中央処理装置(処理部)10と、主記憶装置(処理部)20と、ファイル装置(記憶部)40と、入力装置INと、出力装置OUTとを含んで構成されている。また、ファイル装置40は、並列処理プログラム50Aを含んで構成され、主記憶装置20は、並列処理コンパイラ30Aを含んで構成されている。
主記憶装置20は、例えばRAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)等から構成され、中央処理装置10が実行するプログラムやデータ等を格納するものである。
並列処理コンパイラ30Aは、並列処理プログラム50Aをマルチプロセッサシステムが実行できる形式に変換する(マルチプロセッサシステムのための実行コードを生成する)ためのプログラムである。
ファイル装置40は、ファイルを格納するための装置であり、並列処理プログラム50A等を格納するものである。
並列処理プログラム50Aは、マルチプロセッサシステムに並列処理を実行させるためのプログラムであり、プログラマ等によって記述されたものである。
入力装置INは、キーボードや、マウス等によって構成され、操作者からの指示を入力する機能を有する。
また、出力装置OUTは、ディスプレイや、プリンタ等によって構成され、文字や画像等を出力する機能を有する。
続いて、図面(図17〜図22)を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、データ構造の依存性に関するものであり、並列処理プログラム内にデータ構造が含まれている場合に、データ構造に作用する命令間の依存性を抽出し、抽出結果を用いて、命令ブロックの入出力データの抽出とデータ依存枝情報の生成とを行い、その命令ブロックのデータ依存枝情報を用いて出力データ生成命令・入力データ参照命令を抽出し、出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を生成する点が、第1の実施形態と異なる。したがって、それ以外の第1の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報とを入力し、データ構造に作用する命令間の依存性を抽出し、その命令ブロック情報を用いて、その中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出する。以下、図18ないし図20を用いて(適宜図17参照)、命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能のうち、第1の実施形態における命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能との違い(データ構造に作用する命令間の依存性を抽出する機能)のみを説明する。
$94 := a[0] ...... (1)
$94 = 1 ...... (2)
という2つの命令に分解される(命令ブロックA11参照)。命令(1)は、配列aの0番目の要素のアドレスを計算し、中間変数$94に記憶する演算である。命令(2)は、アドレス$94に右辺式「1」を代入する演算である。なお、データ構造要素のアドレスを表す中間変数(ここでは$94)は、任意の演算命令で引用される場合(以下に示す書換え命令および読出し命令)、そのアドレスに格納されている要素データ値を指す。
10 中央処理装置(処理部)
20 主記憶装置(処理部)
30A 並列処理コンパイラ
31 構文解析部
32A、32B データ依存性抽出部
33 スレッド間データ依存性抽出部
35A 通信命令挿入部
39 プログラム分割・コード生成部
40 ファイル装置(記憶部)
50A、50B 並列処理プログラム
55A、55B 通信命令を含む分割プログラム
321 命令参照・生成データ抽出部
322 ポインタエイリアス解析部
323 関数内間接参照・生成データ抽出部
324 命令ブロック抽出部
325A、325B 命令ブロック入出力データ抽出部
326 データ依存枝生成部
327 出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部
331 スレッド入出力データ抽出部
332 スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部
333 プロセッサ間通信命令挿入部
341 スレッド間転送ポインタ抽出部
342 ポインタエイリアスID演算命令挿入部
351A データ送信命令挿入部
352A データ受信同期命令挿入部
353 スレッド起動命令挿入部
IN 入力装置
OUT 出力装置
Claims (5)
- スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置であって、
前記プログラム処理装置は、記憶部と、処理部とを備え、
前記処理部は、
前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成する構文解析部と、
前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成するデータ依存性抽出部と、
前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成するスレッド間データ依存性抽出部と、
前記中間語と前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記中間語に、前記スレッド間で依存するデータの通信命令を挿入して、当該通信命令を含むプログラムを生成する通信命令挿入部と、
前記通信命令を含むプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて前記各スレッドに分割し、実行コードに変換するプログラム分割・コード生成部と
を備えることを特徴とするプログラム処理装置。 - 請求項1に記載のプログラム処理装置の記憶部に入力される並列処理プログラムであって、
前記プログラム処理装置の処理部によって、各スレッドの開始地点と終了地点が、前記並列処理プログラム内に記述された予約されたキーワードまたは記号によって特定され、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性が付加され、当該スレッド属性に基づいて前記各スレッドに分割され、実行コードに変換される
ことを特徴とする並列処理プログラム。 - スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置によるプログラム処理方法であって、
前記プログラム処理装置は、記憶部と、処理部とを備え、
前記処理部は、
前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成し、
前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成し、
前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成し、
前記中間語と前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記中間語に、前記スレッド間で依存するデータの通信命令を挿入して、当該通信命令を含むプログラムを生成し、
前記通信命令を含むプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて前記各スレッドに分割し、実行コードに変換する
ことを特徴とするプログラム処理方法。 - 請求項3に記載のプログラム処理方法をコンピュータに実行させるための並列処理コンパイラ。
- 請求項4に記載の並列処理コンパイラを格納した記録媒体。
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