JP4923240B2 - プログラム処理装置、並列処理プログラム、プログラム処理方法、並列処理コンパイラ、並列処理コンパイラを格納した記録媒体およびマルチプロセッサシステム - Google Patents

プログラム処理装置、並列処理プログラム、プログラム処理方法、並列処理コンパイラ、並列処理コンパイラを格納した記録媒体およびマルチプロセッサシステム Download PDF

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Description

本発明は、並列処理システムを実現するためのプログラム開発およびマルチプロセッサ構成技術、特に、並列処理システムを実現するためのコンパイラおよび実行システムの技術に関する。
従来、並列処理システムを実現するためのプログラム開発技術には、主に二つの技術が存在していた。一つは、逐次プログラムの自動並列コンパイラをベースとした開発環境を提供する技術(自動並列コンパイラ技術)であり、もう一つは、逐次処理言語を拡張した並列処理言語を用いた開発環境を提供する技術(並列処理言語技術)である。
前者の自動並列コンパイラ技術として、マルチプロセッサ用自動並列化コンパイラ技術がある(例えば、非特許文献1、2または3参照)。これは、高級プログラミング言語(主にFortranまたはC言語)によって記述された逐次プログラムから並列処理プログラムを自動生成する技術である。具体的には、ループ(繰り返し処理部分)を分割して、それぞれの分割されたループを別々のプロセッサが並列実行するループ並列や、並列して実行することが可能な処理部分を別々のプロセッサが並列実行するブロック並列などが主な並列化手法である。
また、自動並列コンパイラ技術として、命令レベル並列化コンパイラ技術がある(例えば、非特許文献4または5参照)。これは、高級プログラミング言語(主にC言語)またはそれに類似する言語によって記述された逐次プログラムから、VLIW(Very Long Instruction Word)型プロセッサ(複数の演算器を持つプロセッサ)のための実行コードを自動生成する技術である。この実行コードは、水平命令コードと言われ、すべての演算器に対する実行命令が一つの命令の中に埋め込まれたものである。また、VLIWは、依存関係にない複数の命令を一つの命令にまとめて同時に実行するマイクロプロセッサの高速化技術の一つである。
後者の並列処理言語技術として、並列プログラミング言語がある(例えば、非特許文献6、7または8参照)。これは、マルチプロセッサ用並列処理プログラムを直接記述する言語である。高級プログラミング言語をベースに、並列実行ループや並列実行ブロックなどを明示的に記述するための拡張をしたものであり、数多くの並列プログラミング言語が提唱されている。なお、非特許文献6はVPP Fortranについて、非特許文献7はHPF(High Performance Fortran)について、非特許文献8はConcurrent Cについて記載されたものである。
また、並列処理言語技術として、メッセージ通信方式プログラミング技術がある(例えば、非特許文献9または10参照)。これは、高級プログラミング言語(主にFortranまたはC言語)に、プロセッサ間メッセージ通信関数をライブラリ化した並列プログラミング環境(MPI:Message Passing Interface, PVM:Parallel Virtual Machine)を提供する技術である。このメッセージ通信方式プログラミング技術では、ネットワークを介して接続された複数のPC(Personal Computer)や、ワークステーションなどでプログラムを並列実行する。さらに、このメッセージ通信方式プログラミング技術は、分散メモリ型マルチプロセッサシステムや共有メモリ型マルチプロセッサシステムのための並列実行プログラムの開発にも利用される。なお、非特許文献9はMPI(Message Passing Interface)について、非特許文献10はPVM(Parallel Virtual Machine)について記載されたものである。
並列処理システムを実現するためのマルチプロセッサ構成技術には、主に三つの技術が存在する。ノイマン型プログラム駆動制御方式、データフローマシン型データ駆動制御方式、そしてそれらの融合技術であるハイブリッドデータフローマシンによる制御方式(融合型アーキテクチャ)である。
ノイマン型プログラム駆動制御方式は、メモリに格納されたプログラムを、プログラムカウンタにより逐次的に読み出して実行する方式である(例えば、非特許文献11または12参照)。現在実用化されているマルチプロセッサシステムには、一般的にノイマン型プロセッサが搭載されている。この方式は、ノイマン型プロセッサが必要とするデータ送信命令、データ受信命令や、同期処理命令などがプログラム内に埋め込まれており、各プロセッサが読み込んだ命令を順番に実行する方式である。
また、データフローマシン型データ駆動制御方式は、参照データ(入力データ)がすべて生成されて実行可能になった命令から順次に実行する方式である(例えば、非特許文献13ないし16参照)。
さらに、ハイブリッドデータフローマシンによる制御方式は、複数の命令を集めた命令ブロックをデータフロー処理の単位とし、命令ブロック間の同期処理をデータ駆動で制御し、命令ブロック内部の処理をプログラム駆動で制御する方式である。この方式は、具体的には、各プロセッサの実行プログラムとデータ送信命令とをプログラム駆動による制御で実行する。また、データ受信命令と同期命令とをプログラム駆動による制御で実行するのではなく、プロセッサ間データ通信とこのデータを参照する命令との依存関係を保証する機構(外部データを参照する命令が、その外部データを受信するまで実行を中断する機構)によって実行する方式である(例えば、非特許文献17参照)。ハイブリッドデータフローマシンは、例えば、非特許文献17の30ページのTable 1のCategoryでMacro-dataflowとHybridにおいて提案されている。
岡本、合田、宮沢、本多、笠原、「OSCARマルチグレインコンパイラにおける階層型マクロデータフロー処理」、情報処理学会論文誌、Vol. 35, No. 4, pp.513-521 (1994) Eigenmann, Hoeflinger, Padua, "On the Automatic Parallelization of the Perfect Benchmarks", IEEE Trans. on Parallel and Distributed Systems, Vol. 9, No.1, pp.5-21 (1998) Hall, Anderson, Amarasinghe, Murphy, Liao, Bugnion, Lam, "Maximizing Multiprocessor Performance with the SUIF Compiler", IEEE Computer, Vol. 29, No. 12, pp.84-89 (1996) Fisher, "Trace scheduling: A Technique for global Microcode Compaction", IEEE Trans. Computers, Vol. 30, No. 7, pp.478-490, 1981 Wakabayashi, Tanaka, "Global Scheduling Independent of Control Dependencies Based on Condition Vectors", Proceedings of 29th ACM/IEEE Conference on Design Automation, pp.112-115, 1992 岩下英俊、「HPFからみたVPP Fortran」、情報処理、38巻2号、pp.114-121、1997年2月 "HPF推進協議会 (HPFPC)"、[online]、[平成17年8月10日検索]、インターネット<URL : http://www.hpfpc.org/> Gehani, et al, "Concurrent C", Software, Practice and Experience, Vol.16, No. 9, pp.821-844, 1986 "Message Passing Interface Forum"、[online]、[平成17年8月10日検索]、インターネット<URL : http://www.mpi-forum.org/index.html> "PVM"、[online]、[平成17年8月10日検索]、インターネット<URL : http://www.csm.ornl.gov/pvm/pvm_home.html> Hennessy, Patterson, "Computer Architecture: A Quantitative Approach", Morgan Kaufman, San Mateo (1990) Kai Hwang, "Advanced Computer Architecture with Parallel Programming", McGraw-Hill (1993) Arvind, Iannucci, "A Critique of multiprocessing von Neumann style", Proceedings of 10th Annual Symposium on Computer Architecture (1983) Srini, "An Architectural Comparison of Dataflow Systems", IEEE Computer, Vol 19, No. 3, pp.68-88 (1986) Arvind, Nikhil, "Executing a Program on the MIT Tagged-Token Dataflow Architecture", IEEE Trans. Computer, Vol. 39, pp.300-318 (1990) 児玉、坂井、山口,「データ駆動型シングルチッププロセッサEMC-Rの動作原理と実装」, 情報処理学会論文誌, Vol. 32, No. 7 (1991) Ben Lee, Ali R. Hurson: "Dataflow Architectures and Multithreading", IEEE Computer, Volume 27, Number 8, pp.27-39, 1994)
しかしながら、前記自動並列コンパイラ技術によれば、逐次プログラムから並列処理プログラムを自動的に生成することが可能であるが、プログラムの分割方法や、分割されたプログラムのプロセッサへの割当方法などを柔軟に変更することができないため、プログラマがプログラム分割や、プロセッサ割当などに直接関与することができない。また、サーバ用途のCMP(Chip MultiProcessor)への応用が進んでおり、計算負荷が大きい科学計算などが主な応用分野であるが、応用分野が限定されており、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)などといった分野に応用する技術がない。ここで、CMPとは、複数のプロセッサを1チップに集積し、共有バスで結合する技術のことをいう。
また、前記命令レベル並列化コンパイラ技術は、専用IC(Integrated Circuit)の回路設計にも応用されており、実用的な技術ではあるが、実現できる並列度が比較的低い。したがって、比較的高い並列度の並列処理システムには応用できない。
さらに、前記並列プログラミング言語は、科学技術分野などの特定の分野が対象となっており、限定された分野においてのみ使用されている。したがって、さらに幅広い分野には応用できない。
また、前記メッセージ通信方式プログラミング技術は、システムLSIの上流設計においても採用されている技術であるが、個々のプロセッサ用にプログラムを開発し、通信命令を明示的に記述する必要があるために、プログラムの開発効率が悪い。つまり、プログラムのデバッグが困難であり、プロセッサに対する処理の割当の変更などのチューニングが困難である。
そこで、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することを可能にする技術を出願人は開発したが、実際上この実行コードをマルチプロセッサシステムに適用するにあたっては、さらにマルチプロセッサシステムがポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を適切に行うための実行コードを生成する手段を開発する必要が生じている。
前記したノイマン型プログラム駆動制御方式は、データ依存性の保証(データを生成する命令とこれを参照する命令の実行順序を守る)を、プログラム制御によって実現する方式である。したがって、データ送信命令、データ受信命令や、同期処理命令などがソフトウェアによって実行され、これらの命令が各プロセッサによって順番に実行されるため、これらの処理時間が並列処理を行う上での大きなボトルネックになる。
さらに、分散メモリ型マルチプロセッサシステムは、共有メモリ型マルチプロセッサに比べると、共有メモリへのアクセス競合がないために高い並列性を発揮できるが、各プロセッサのメモリ空間が独立であるために、ポインタデータやポインタ参照データをプロセッサ間で共有することができず、並列処理プログラムを開発する上で大きな制約になる。
また、前記したデータフローマシン型データ駆動制御方式は、実行可能になった命令から順次に実行する方式であるため、理論上は高い並列性を実現することが可能である。しかし、実行可能な命令を管理する機構や、実行可能になった命令を複数のプロセッサに割り当てる機構が必要であるため、ハードウェア構成が複雑になる。また、実行プログラムを作成するために、データフローマシン専用のプログラミング言語とそのための専用のコンパイラとを用いる必要があり、プログラム開発上大きな制約となっている。したがって、実用化が難しい。
さらに、前記したハイブリッドデータフローマシンによる制御方式は、命令ブロック間の同期処理をデータ駆動で制御するため、ノイマン型プログラム駆動制御方式と比較して、並列処理に要する時間を軽減することができる。また、ハイブリッドデータフローマシンによる制御方式は、命令ブロック内部の処理をプログラム駆動で制御するため、データフローマシン型データ駆動制御方式と比較して、実行可能な命令を管理するための処理のオーバヘッドを軽減することができる。しかし、プログラム駆動制御で実行される命令ブロックの起動がデータ駆動制御方式(通信されたデータの中に起動すべき命令ブロックが指定されている方式)によるものであり、データフローマシンの複雑なハードウェア機構が必要不可欠である。また、命令ブロック起動時に、命令ブロック内で参照する外部データが揃っている必要があるため、命令ブロックを起動するために待機時間が発生するため、それがプロセッサ間通信において、遅延時間を発生する原因となる。
そこで本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することを可能とし、さらにポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合にも適用できる実行コードを生成することを可能とすることを課題とする。また、マルチプロセッサによって並列処理を行う際に、複雑なハードウェア構成を不要とし、プロセッサ間通信で発生する遅延時間を短縮し、高性能なマルチプロセッサシステムの開発を容易にすることを課題とする。さらに、ポインタデータやポインタ参照データを異なるメモリ空間を持つプロセッサ間で共有することを可能にし、並列処理プログラムの開発の上で大きな自由度を提供することを課題とする。
本発明は、課題を解決するために創案されたものであり、請求項1に記載のプログラム処理装置は、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置であって、前記プログラム処理装置は、記憶部と、処理部とを備え、前記処理部が、前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成する構文解析部と、前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成するデータ依存性抽出部と、前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成するスレッド間データ依存性抽出部と、前記中間語を入力し、前記異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、前記中間語の当該ポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成するポインタ通信補助命令生成部と、前記第1のプログラムと前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成するスレッド間データ通信命令挿入部と、前記第2のプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換するプログラム分割・コード生成部とを備える構成とした。
このような構成によれば、構文解析部は、スレッド記述が追加された並列処理プログラムからスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成することが可能である。また、データ依存性抽出部は、構文解析部によって生成された中間語から命令ブロック入出力データを抽出し、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成することが可能である。さらに、スレッド間データ依存性抽出部は、構文解析部によって生成された中間語から、データ依存性抽出部によって抽出されたデータ依存枝情報に基づいて、異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成することが可能である。また、ポインタ通信補助命令生成部は、異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、中間語のポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成することが可能である。さらに、スレッド間データ通信命令挿入部は、スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、第1のプログラムのスレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、第1のプログラムのスレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成することが可能である。また、プログラム分割・コード生成部は、第2のプログラムを各命令のスレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換することが可能である。したがって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
また、請求項2に記載の並列処理プログラムは、請求項1に記載のプログラム処理装置の記憶部に入力される並列処理プログラムであって、前記プログラム処理装置の処理部によって、各スレッド処理の開始地点と終了地点が、前記並列処理プログラム内に記述された予約されたキーワードまたは記号によって特定され、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性が付加され、当該スレッド属性に基づいて前記各スレッドが行う処理に分割され、実行コードに変換される構成とした。
このような構成によれば、プログラム処理装置の処理部は、各スレッドの開始地点と終了地点を、プログラム処理装置の記憶部に入力された並列処理プログラム内に記述された予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定した開始地点および終了地点によって指定したスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加し、当該スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換することが可能である。したがって、このようなプログラムを入力することによってプログラム処理装置は、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
また、請求項3に記載のプログラム処理方法は、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置によるプログラム処理方法であって、前記プログラム処理装置が、記憶部と、処理部とを備え、前記処理部が、前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成し、前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成し、前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成し、前記中間語を入力し、前記異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、前記中間語の当該ポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成し、前記第1のプログラムと前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成し、前記第2のプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換する構成とした。
このような方法によれば、プログラム処理装置の処理部は、スレッド記述が追加された並列処理プログラムからスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成することが可能である。また、プログラム処理装置の処理部は、中間語から命令ブロック入出力データを抽出し、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成することが可能である。さらに、プログラム処理装置の処理部は、中間語から、データ依存枝情報に基づいて、異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成することが可能である。また、プログラム処理装置の処理部は、異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、中間語のポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成することが可能である。さらに、プログラム処理装置の処理部は、スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、第1のプログラムのスレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、第1のプログラムのスレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成することが可能である。また、プログラム処理装置の処理部は、第2のプログラムを各命令のスレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換することが可能である。したがって、プログラム処理装置は、このような方法を実行することで、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
さらに、請求項4に記載の並列処理コンパイラは、請求項3に記載のプログラム処理方法をコンピュータに実行させるための並列処理コンパイラとした。
このような構成によれば、並列処理コンパイラは、コンピュータに前記したプログラム処理方法を実行させることが可能である。したがって、この並列処理コンパイラをコンピュータに組み込み、コンピュータに前記したプログラム処理方法を実行させることによって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
また、請求項5に記載の記録媒体は、請求項4に記載の並列処理コンパイラを格納した記録媒体とした。
このような構成によれば、記録媒体に格納された並列処理コンパイラをコンピュータに組み込み、コンピュータに前記したプログラム処理方法を実行させることによって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
さらに、請求項6に記載のマルチプロセッサシステムは、請求項1に記載のプログラム処理装置によって、並列処理プログラムが各スレッドに分割され、生成された実行コードに基づいて処理を行うマルチプロセッサシステムであって、前記マルチプロセッサシステムが、各プロセッサに記憶部と、処理部とを備え、前記処理部が、前記プロセッサ間の制御を、データフローマシン型のデータ駆動制御方式により行うプロセッサ間通信処理部と、前記プロセッサ内の制御を、ノイマン型プログラム駆動制御方式により行うプロセッサ内処理部とを備え、前記プロセッサ間通信処理部が、前記プロセッサ内処理部との同期を行うことで、前記プロセッサ間での通信を実行し、前記プロセッサ間の通信データハザードを検出する機能を有し、前記プロセッサ内処理部が、前記記憶部に格納された前記実行コードに基づいて処理を行い、前記データハザードの検出結果に応じて、前記実行コードの実行または中断状態を制御する機能を有する構成とした。
このような構成によれば、マルチプロセッサシステムは、請求項1に記載のプログラム処理装置によって生成された通信命令を含む実行コードに基づいて処理を行なうので、データフローマシン型のデータ駆動制御方式により行うプロセッサ間通信処理部が、通信されたデータの中で起動すべき命令ブロックを指定する必要がなくなり、複雑なハードウェア構成が不要となる。また、プロセッサ間通信処理部とプロセッサ内処理部とが構造的に分離されながらも、プロセッサ間通信処理部におけるデータ通信ハザード検出とプロセッサ内処理部における処理の実行または中断状態の制御を密に同期させることが可能となり、プロセッサ間通信で発生する遅延時間を短縮することができる。さらに、マルチプロセッサシステムで必要とされるデータ送受信や同期処理機能をすべてプロセッサ間通信処理部が備える構成をとることにより、プログラム制御方式により処理を行う部分(プロセッサ内処理部)のプログラムの開発が容易になり、高性能なマルチプロセッサシステムの開発が容易になる。
また、請求項7に記載のマルチプロセッサシステムは、請求項6に記載のマルチプロセッサシステムにおいて、前記記憶部が、ポート情報を保持するデータ通信ポートテーブルを格納し、当該ポート情報が、直接アクセス型データのプロセッサ間通信を行うためのデータサイズと、データ格納アドレスと、送信信ポートIDの情報に加え、ポインタ参照データまたはポインタデータのプロセッサ間通信を行うためのポートエイリアス情報を含み、当該ポートエイリアス情報が、ポインタが参照し得るすべてのデータオブジェクトのデータサイズと、データ格納アドレスと、エイリアスIDとからなるポインタエイリアスに関する情報を含み、直接アクセス型データをプロセッサ間通信する場合は、送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、前記直接アクセス型データのポート情報を取得し、当該ポート情報のデータ格納アドレスにより当該直接アクセス型データの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、当該データ格納アドレスのデータと、前記送信ポートIDとを受信側の前記プロセッサに送信し、受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、受信した前記送信ポートIDからデータの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記データを当該データ格納アドレスに格納し、ポインタ参照データをプロセッサ間通信する場合は、送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、当該ポインタ参照データの前記ポートエイリアス情報を取得し、当該ポートエイリアス情報から当該ポインタが参照しているデータオブジェクトの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、前記送信ポートIDと、前記ポインタ参照データのエイリアスIDと、当該ポインタが参照しているデータオブジェクト全体とを受信側の前記プロセッサに送信し、受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、受信した前記送信ポートIDと、前記エイリアスIDとからデータオブジェクトの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記データオブジェクトを当該データ格納アドレスに格納し、ポインタデータをプロセッサ間通信する場合は、前記送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、当該ポインタの前記ポートエイリアス情報を取得し、当該ポートエイリアス情報から当該ポインタが参照しているデータオブジェクトの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、当該ポインタの値から当該データ格納アドレスを引いたポインタオフセット値を計算し、前記送信ポートIDと、前記ポインタのエイリアスIDと、当該ポインタオフセット値とを受信側の前記プロセッサに送信し、前記受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、受信した前記送信ポートIDと、前記エイリアスIDとからデータオブジェクトの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記ポインタオフセット値に当該データ格納アドレスを足すことによって前記受信側の前記プロセッサの前記記憶部で有効となるポインタ値を求め、前記受信側の前記プロセッサの前記記憶部に当該ポインタ値を格納する構成とした。
このような構成によれば、プロセッサ間通信処理部がポートエイリアス情報を備えることにより、ポインタデータやポインタ参照データを異なるメモリ空間を持つプロセッサ間で共有することを可能にし、並列処理プログラムの開発の上で大きな自由度を提供できる。
さらに、請求項8に記載のマルチプロセッサシステムは、請求項6または請求項7に記載のマルチプロセッサシステムにおいて、前記プロセッサ内処理部が、外部データを最初に参照する命令の直前に前記プログラム処理装置によって挿入されたスレッド間データ受信同期命令を実行するにおいて、当該スレッド間データ受信同期命令に含まれる当該データの受信ポート情報を前記プロセッサ間通信処理部に転送し、前記プロセッサ間通信処理部が、当該受信ポート情報からデータ受信状態を調べ、データが未受信の場合は前記プロセッサ内処理部における処理の実行を中断させる構成とした。
このような構成によれば、プロセッサ間通信処理部が、他のプロセッサから送信されるデータの個別の受信状態を瞬時に調べ、必要な外部データが未受信の場合は、直ちにプロセッサ内処理部の実行を中断させる機能を備えているため、命令ブロック内で参照する外部データがすべて揃う前にプロセッサ内処理部における処理の実行を開始することが可能であり、データ待機時間を大幅に短縮することができる。
請求項1に記載のプログラム処理装置によれば、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。したがって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能になる。
また、請求項2に記載の並列処理プログラムによれば、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、並列処理プログラムがプログラム処理装置に入力されることによって、プログラム処理装置が、並列処理プログラムをマルチプロセッサシステムに高性能な並列処理を実行させるための実行コードに変換することが可能である。したがって、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能になる。
さらに、請求項3に記載のプログラム処理方法によれば、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラム処理装置が、プログラム処理方法を実行することで、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。したがって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能になる。
また、請求項4に記載の並列処理コンパイラによれば、この並列処理コンパイラをコンピュータに組み込み、コンピュータに前記したプログラム処理方法を実行させることによって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、コンピュータは、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。したがって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能になる。
さらに、請求項5に記載の記録媒体によれば、この記録媒体に格納された並列処理コンパイラをコンピュータに組み込み、コンピュータに前記したプログラム処理方法を実行させることによって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力して、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。したがって、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能になる。
また、請求項6に記載のマルチプロセッサシステムによれば、マルチプロセッサによって並列処理を行う際に、複雑なハードウェア構成が不要となり、プロセッサ間通信で発生する遅延時間を短縮し、高性能なマルチプロセッサシステムの開発を容易にすることが可能となる。
さらに、請求項7に記載のマルチプロセッサシステムによれば、ポインタデータやポインタ参照データを異なるメモリ空間を持つプロセッサ間で共有することを可能にし、並列処理プログラムの開発の上で大きな自由度を提供できる。
また、請求項8に記載のマルチプロセッサシステムによれば、データ待機時間を大幅に短縮することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
以下、図面(図1〜図16)を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、プログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、プログラム処理装置1Aは、並列処理プログラム50Aを入力して、通信命令を含む分割プログラム55Aを出力する。ここで、図2および図3を用いて、本実施形態で用いる並列処理プログラム50Aの説明をする。
図2に示すプログラムは、プログラマ等が記述したプログラムであり、スレッド記述を追加する前のプログラムの一例である。なお、このプログラムはC言語で記述されたものである。
また、図3に示すプログラムは、プログラマ等が記述したプログラムであり、図2に示したプログラムにスレッド記述を追加した後のプログラム(以下、並列処理プログラムともいう)の一例である。ここで、「スレッド」とは、一つのプロセッサが実行するプログラムの単位であるとし、これらのスレッドを別々のプロセッサで並列処理することを想定している。
なお、このプログラムは、C言語に「THREAD」という新たなキーワードが追加された拡張C言語によって記述されており、THREADに続く「(スレッド名)」によってスレッド名が指定され、これに続く括弧記号{ … }で囲まれたコード領域(スレッド領域)によってスレッドの有効な範囲が示されている。スレッド記述が追加されたプログラム(並列処理プログラム)とは、このようにスレッドの有効な範囲が記述されたプログラムのことを指すものとする。なお、いずれのスレッドにも含まれないコード領域の処理は「ベーススレッド」と呼ぶことにし、その他のスレッドと同等に扱うこととする。既存のCコンパイラを用いて、この拡張C言語によって書かれたソースコードから実行コードを生成するためには、例えばスレッド宣言を無効化するプリプロセッサ「#define THREAD(n)」を予めプログラムの最上部(またはプログラム内)に挿入すればよい。このプリプロセッサにより、例えば「THREAD(p1)」が空の文字列に変換され、これに続く括弧記号{ … }が通常のC言語におけるスコープ宣言として解釈され、既存のCコンパイラで正常に処理される。
図1に戻って、プログラム処理装置1Aの説明を続ける。
図1に示すように、プログラム処理装置1Aは、構文解析部31と、データ依存性抽出部32Aと、スレッド間データ依存性抽出部33と、通信命令挿入部35Aと、プログラム分割・コード生成部39とを含んで構成されている。以下、プログラム処理装置1Aを構成する各要素について説明する。
(構文解析部31の説明)
構文解析部31は、並列処理プログラム50Aを入力して、当該プログラムの構文を解析する。また、並列処理プログラム50Aから中間語を生成する。構文解析部31は、通常のコンパイラが有する公知の構文解析の機能に加え、拡張C言語の予約語に追加されたTHREADキーワードを認識し、それに続く「(スレッド名)」でスレッド名を抽出し、これに続くスコープ({…})で囲まれるコード領域(スレッド領域)が、このスレッドであることを判別し、中間語に変換された各演算命令にスレッドの属性(スレッド属性)を付加する機能を有する。スレッド属性は、各演算命令がどのスレッドに含まれるかを判別するための情報であり、各スレッドに固有の番号を予め割り当てておき、スレッドに含まれるすべての演算命令にこの番号を割り振ることでスレッド属性情報を付加することができる。
ここで、スレッド領域が入れ子構造をなす場合、即ち、あるスレッド領域の中に別のスレッド領域が存在する場合、各演算命令は、これを含むスレッド領域のうち最も内側のもののスレッド属性を持つとする。例えば、
THREAD(p0){
a = 1;
THREAD(p1){
b = 2;
}
}
という入れ子構造(スレッドp0の領域内にスレッドp1が含まれる構造)が存在した場合、演算b = 2;はスレッドp0とスレッドp1とに含まれる。このとき、この演算b = 2;は、最も内側のスレッドp1のスレッド属性を持つ。また、演算a = 1;のスレッド属性はスレッドp0である。
さらに、スレッド領域に関数呼出し命令が含まれる場合、その関数のベーススレッドは関数呼出し命令が属するスレッドと同一であるものとする。例えば、図3に示した並列処理プログラム50Aの21行目(RandomSignal())および25行目(printf())の命令は、それぞれスレッドp4内およびスレッドp5内における関数呼出し命令であり、これらの関数の処理は、これらを呼び出したスレッドで実行されることになるので、RandomSignal()およびprintf()のベーススレッドは、それぞれスレッドp4およびスレッドp5と同一となる。
また、説明の都合上、以下では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Aを用いて説明することにする。
(データ依存性抽出部32Aの説明)
データ依存性抽出部32Aは、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、データ依存性を抽出する。データ依存性抽出部32Aは、命令参照・生成データ抽出部321と、関数内間接参照・生成データ抽出部323と、命令ブロック抽出部324と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aと、データ依存枝生成部326と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327とを含んで構成されている。
(命令参照・生成データ抽出部321の説明)
命令参照・生成データ抽出部321は、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、中間語内の各命令の参照データリストおよび生成データリストを生成する。
命令参照・生成データ抽出部321で生成される各命令の参照データリストは、その命令が直接参照するすべてのデータからなり、単項演算命令の場合は一つの参照データを持ち、二項演算命令の場合は二つの参照データを持ち、関数呼出し命令の場合は関数呼出引数データすべてが参照データと見なされる。
また、命令参照・生成データ抽出部321で生成される各命令の生成データリストは、その命令が直接生成するデータからなり、戻り値のない関数の関数呼出し命令では直接生成するデータはなく、それ以外の命令では一つの直接生成するデータを持つ。
命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストは、関数内間接参照・生成データ抽出部323に引き渡される。また、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストは、各命令の依存性を抽出する処理において、適宜利用される。
(関数内間接参照・生成データ抽出部323の説明)
関数内間接参照・生成データ抽出部323は、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストと生成データリストとを入力し、関数呼出し命令が存在した場合、呼出された関数内で参照または生成されるグローバル変数やポインタ型関数引数によるポインタ参照データ(以下、間接依存データという)を抽出するものである。
関数呼出し命令のデータ依存性解析においては、通常の演算命令としてのデータ依存性(以下、直接的データ依存性という)を考慮しなければならない他、関数内部の演算で発生したデータ依存性のうち関数呼出し側まで伝播する依存性(以下、間接的データ依存性という)を考慮しなくてはならない場合がある。直接的データ依存性を示すものとしては、関数呼出し引数(直接参照データ)や関数戻り値(直接生成データ)などがあり、この直接参照データおよび直接生成データは、命令参照・生成データ抽出部321から受け取った参照データリストおよび生成データリスト内に存在している。
関数内間接参照・生成データ抽出部323は、命令参照・生成データ抽出部321から受け取った参照データリストおよび生成データリストを参照して、関数内部で参照される(関数引数以外の)間接依存データ(関数内間接参照データ)を抽出し、各関数呼出し命令の参照データリストに追加する。また、関数内間接参照・生成データ抽出部323は、命令参照・生成データ抽出部321から受け取った参照データリストおよび生成データリストを参照して、関数内部で生成される(書換えられる)(関数戻り値以外の)関数依存データ(関数内間接生成データ)を抽出し、各関数呼出し命令の生成データリストに追加する。関数内間接参照・生成データ抽出部323の処理は、通常のコンパイラが有する公知の間接依存データを抽出する処理と特に変わらないため、説明を省略する。
関数内間接参照・生成データ抽出部323によって生成された関数呼出し命令の参照データリストおよび生成データリストは、各命令の依存性を抽出する処理において、適宜利用される。これにより、並列処理プログラム50A内の大局的なデータ依存性が抽出できるようになる。
(命令ブロック抽出部324の説明)
命令ブロック抽出部324は、構文解析部31によって生成された中間語を入力し、その中間語から命令ブロックを抽出する。ここで、命令ブロックとは、プログラムを分岐点、合流点および関数呼出命令の前後と、スレッド境界とを境界線として分割した結果生じるブロックのことである。以下、図3および図4を用いて、命令ブロック抽出部324の機能の一例について説明する。
命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50Aの7行目にある繰り返し文を見付け、条件式「t<signalLength」の前でプログラムが合流すると判定し、プログラム合流点(合流ブロック)C1を抽出する。また、命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50Aの7行目にある条件式「t<signalLength」の後でプログラムが分岐すると判定し、プログラム分岐点(分岐ブロック)B1を抽出する(図4参照)。さらに、命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50Aの21行目にある関数呼出命令D1「RandomSignal」と、25行目にある関数呼出命令D2「printf」とを抽出する(図4参照)。また、命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50Aから各スレッドp1〜p5による処理の直前と直後の各スレッド境界E1〜E6を抽出する(図4参照)。
図4は、命令ブロック抽出部324が、構文解析部31によって生成された中間語から命令ブロックを抽出した結果を示すプログラムグラフである。なお、図4の各演算の左に示した記号(例えば[p1])は、その演算を実行するスレッド名を示しており、[*]は前記説明のベーススレッドを示している。構文解析部31によって生成された中間語における各演算処理は、2項演算または単項演算に分割される(演算が分割される際に利用される途中変数には、「$xx」という名の一時変数が割り当てられる)。
以上説明した命令ブロック抽出部324の機能によって、命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50Aからプログラム分岐点B1、プログラム合流点C1、関数呼出命令D1、関数呼出命令D2およびスレッド境界E1〜E6を抽出することによって、図4に示すように、並列処理プログラム50Aを命令ブロックA1〜A7に分割することができる。このように、命令ブロック抽出部324は、並列処理プログラム50A内の各命令に命令ブロックおよびスレッドを対応付けた命令ブロックに関する情報(命令ブロック情報)を生成することができる。
また、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロックに関する情報(命令ブロック情報)は、命令ブロック入出力データ抽出部325Aに引き渡される。
(命令ブロック入出力データ抽出部325Aの説明)
命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報とを入力し、その命令ブロック情報を用いて、その中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出する。命令ブロック入力データとは、命令ブロック内の各命令が参照するデータのうち、別の命令ブロック内で生成されるものである。また、命令ブロック出力データとは、命令ブロック内の各命令が生成するデータのうち、別のブロック内で参照されるものである。以下、図3および図5を用いて、命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能の一例について説明する。
命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック内の各命令が参照するデータとして、例えば、並列処理プログラム50Aの9行目にある変数sigIn2を見付ける。命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報を参照して、この変数sigIn2が命令ブロックA3内の命令で参照されていると判定する。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報と、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストとを参照して、この変数sigIn2が、参照される命令ブロックA3以外の命令ブロック(命令ブロックA1内の命令または命令ブロックA4)で生成されていると判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック入力データとして、変数sigIn2を抽出することができる。
また、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック内の各命令が生成するデータとして、例えば、並列処理プログラム50Aの10行目にある変数sigOutを見付ける。命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報を参照して、この変数sigOutが命令ブロックA3内の命令で生成されていると判定する。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報と、命令参照・生成データ抽出部321によって生成された参照データリストおよび生成データリストとを参照して、この変数sigOutが、生成される命令ブロックA3以外の命令ブロック(命令ブロックA4)で参照されていると判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック出力データとして、変数sigOutを抽出することができる。
図5は、命令ブロック入出力データ抽出部325Aが、構文解析部31によって生成された中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出した結果を示すプログラムグラフである。図5には、例として、命令ブロック入力データF1や、命令ブロック出力データG1などが示されている。
以上説明した命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能によって、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック情報を用いて、図5に示すように、並列処理プログラム50Aから命令ブロック入出力データを抽出することができる。このように、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロックと、その命令ブロック内の入出力データとを対応付けた命令ブロック入出力データに関する情報(命令ブロック入出力データ情報)を生成することができる。
また、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって生成された命令ブロック入出力データに関する情報(命令ブロック入出力データ情報)とは、データ依存枝生成部326に引き渡される。
(データ依存枝生成部326の説明)
データ依存枝生成部326は、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって生成された命令ブロック入出力データ情報とを入力し、その命令ブロック情報と命令ブロック入出力データ情報とを用いて、データ依存枝を生成する。
データ依存枝とは、入力データと出力データとの間に依存関係(あるブロックの出力データを別のブロックが入力データとして使うという関係)が存在する場合に、命令ブロックの入出力データを「ノード(頂点)」とみなし、出力データノードから入力データノードに向けて接続するものである。ただし、このデータ依存関係が分岐点や合流点を隔てる場合は、対応する分岐ブロックまたは合流ブロックにデータノードを付加して、データ依存枝がこのデータノードを経由するようにする。なお、このデータ依存枝のグラフ構造は、公知の論文であるJohnson, Pingali, "Dependence-Based Program Analysis", ACM Conference on Programming Language Design and Implementation, pp.78-89 (1993)によって提案されたDependence Flow Graphがベースとなっている。このDependence Flow Graphは、前記説明の分岐点や合流点を隔てるデータ依存関係において、対応する分岐ブロックまたは合流ブロックにデータノードを付加して、データ依存枝がこのデータノードを経由することを特徴とするデータ依存関係を表現するためのグラフ構造である。以下、図3、図5および図6を用いて、データ依存枝生成部326の機能の一例について説明する。
図6は、データ依存枝生成部326が、構文解析部31によって生成された中間語からデータ依存枝を生成した結果を示すプログラムグラフである。
データ依存枝生成部326は、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって生成された命令ブロック入出力データ情報を参照して、例えば、命令ブロックA5の命令ブロック入力データとしてsigIn0を見付ける。ここで、命令ブロックA5からプログラムグラフ上を逆方向に辿りながら、sigIn0を生成する命令ブロック(即ち出力データとしてsigIn0を持つ命令ブロック)を探索する。この逆方向探索の途中で分岐ブロックB1をT分岐枝(命令ブロックA2の条件文が成立する、即ち「True」の場合にプログラムが進行する方向)を経由して通過するので、その分岐ブロックB1にsigIn0(T)のデータノードを付加し、このデータノードと命令ブロックA5の入力データノードsigIn0の間をデータ依存枝K1で接続する。さらに探索を続けると、合流ブロックC1を通過するので、この合流ブロックC1にもsigIn0のデータノードを付加し、このデータノードと分岐ブロックB1のデータノードsigIn0(T)の間をデータ依存枝K2で接続する。合流ブロックC1からの探索は、命令ブロックA1と命令ブロックA7への2つの合流元の方向に続ける。命令ブロックA1は出力データとしてsigIn0を持つので、この出力データノードと合流ブロックC1のデータノードsigIn0をデータ依存枝K3で接続し、この方向の探索を終了する。一方、命令ブロックA7への探索については、その後、出力データとしてsigIn0を持つ命令ブロックA6に到達するので、同様に、この出力データノードと合流ブロックC1のデータノードsigIn0をデータ依存枝K4で接続し、全体の探索が終了する。
なお、分岐ブロックB1に付加された出力データノードsigIn0には、sigIn0(T)と記されているが、これは、命令ブロックA2の条件文が成立する場合(Trueの場合)に、分岐ブロックB1に付加された出力データノードsigIn0を経由することを表している。
このように、データ依存枝生成部326は、データ依存枝を作成することができる。また、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報を用いて命令ブロックとスレッドとの対応を把握し、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって生成された命令ブロック入出力データ情報を用いて命令ブロックと入出力データノードとの対応を把握することで、ノード間を接続したデータ依存枝に関する情報(データ依存枝情報)を生成することができる。データ依存枝情報に関しては、図7を用いて説明する。
図7は、データ依存枝生成部326が、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって抽出された命令ブロック入出力データ情報とを用いて生成した、データ依存枝に関する情報(データ依存枝情報)を示す表である。データ依存枝情報100Aは、出力データノードに関する情報(出力データノードのブロック名、スレッド名および変数名)、入力データノードに関する情報(入力データノードのブロック名、スレッド名および変数名)、先行枝および後続枝を含むものである。
ここで、先行枝とは、そのデータ依存枝の始点ノード(命令ブロック出力ノード)を終点とする別のデータ依存枝を意味する。また、後続枝とは、そのデータ依存枝の終点ノード(命令ブロック入力ノード)を始点とする別のデータ依存枝を意味する。ただし、分岐ブロックや合流ブロックに付加されたデータノードはこれらのブロックの入力ノードであると同時に出力ノードでもあると見なす。データ依存枝生成部326は、例えば、データ依存枝「5」の始点ノード(命令ブロック出力ノード)を終点とする別のデータ依存枝としてデータ依存枝「4」を発見し、データ依存枝「5」の先行枝としてデータ依存枝「4」を設定する。また同様に、データ依存枝生成部326は、例えば、データ依存枝「4」の終点ノード(命令ブロック入力ノード)を始点とする別のデータ依存枝としてデータ依存枝「5」を発見し、データ依存枝「4」の先行枝としてデータ依存枝「5」を設定する。
以上説明したデータ依存枝生成部326の機能によって、データ依存枝生成部326は、命令ブロック入出力データ抽出部325Aによって抽出された命令ブロック入出力データ情報を用いて、図7に示すように、並列処理プログラム50Aからデータ依存枝情報100Aを生成することができる。
また、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aは、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327に引き渡される。
(出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327の説明)
出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、構文解析部31によって生成された中間語と、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)とを入力し、出力データ生成命令および入力データ参照命令を抽出する。以下、図7および図8を用いて、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327の機能の一例について説明する。
出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aを参照して、まず、各データ依存枝の始点側の命令ブロック内でこのデータを生成する命令を探索する。データ依存枝が先行枝を持たない場合は、このデータ依存枝に関わるデータを生成する命令(データ生成命令)が始点側の命令ブロック内に存在することを意味するので、この命令ブロック内で、該当するデータ生成命令を抽出する。同一データを生成する命令が同一命令ブロック内に複数存在する場合は、これらのうち最後に実行される命令をデータ生成命令とする。逆に、データ依存枝が先行枝を持つ場合は、このデータ依存枝に関わるデータを生成する命令(データ生成命令)が始点側の命令ブロック内に存在しないことを意味する。
次に、各データ依存枝の終点側の命令ブロック内でこのデータを参照する命令を探索する。データ依存枝が後続枝を持たない場合は、このデータ依存枝に関わるデータを参照する命令(データ参照命令)が終点側の命令ブロック内に存在することを意味するので、この命令ブロック内で、該当するデータ参照命令を抽出する。同一データを参照する命令が同一命令ブロック内に複数存在する場合は、これらのうち最初に実行される命令をデータ参照命令とする。逆に、データ依存枝が後続枝を持つ場合は、このデータ依存枝に関わるデータを参照する命令(データ参照命令)が終点側の命令ブロック内に存在しないことを意味する。
図8は、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327が、構文解析部31によって生成された中間語と、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aとを用いて前記データ生成命令探索および前記データ参照命令探索によって生成した、出力データ生成命令および入力データ参照命令に関する情報(出力データ生成命令・入力データ参照命令情報)を示す表である。出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aは、各データ依存枝について、その始点側の命令ブロック内のデータ生成命令に関する情報(ブロック名、スレッド名および命令)、データ生成命令記号、その終点側の命令ブロック内のデータ参照命令に関する情報(ブロック名、スレッド名および命令)およびデータ参照命令記号を含むものである。
データ生成命令記号は、データ生成命令に関する情報を記号化したものであり、「データ依存枝番号:DEF」と標記している。また、データ参照命令記号は、データ参照命令に関する情報を記号化したものであり、「データ依存枝番号:USE」と標記している。
図8には、図7で示されたデータ依存枝「6」〜「9」が存在しないが、これらのデータ依存枝がデータ生成命令と参照命令とをいずれも持たないからである。
以上説明した出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327の機能によって、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aを用いて、図8に示すように、出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを生成することができる。
また、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aと、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aとは、スレッド間データ依存性抽出部33に引き渡される。
(スレッド間データ依存性抽出部33の説明)
スレッド間データ依存性抽出部33は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327よって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)とを入力し、スレッド間のデータ依存性を抽出する。スレッド間データ依存性抽出部33は、スレッド入出力データ抽出部331と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332とを含んで構成されている。
(スレッド入出力データ抽出部331の説明)
スレッド入出力データ抽出部331は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100A(図7参照)を入力し、データ依存枝情報100A(図7参照)を用いて、スレッド入力データおよびスレッド出力データ(スレッド入出力データ)を抽出し、スレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)を生成する。
スレッド入力データとは、スレッド内の各命令が参照するデータのうち、別のスレッド内で生成されるものである。また、スレッド出力データとは、スレッド内の各命令が生成するデータのうち、別のスレッド内で参照されるものである。つまり、スレッド境界E1〜E6(図6参照)を横切るデータ依存枝がスレッド入出力データを表す。以下、図6、図7および図9を用いて、スレッド入出力データ抽出部331の機能の一例について説明する。
スレッド入出力データ抽出部331は、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aを参照して、データ依存枝情報100Aにスレッド間データ依存枝を挿入したスレッド間データ依存枝情報120Aを生成する。ここで、スレッド間データ依存枝とは、異なるスレッドのデータノードを接続するデータ依存枝を意味する。
図7のデータ依存枝情報100Aに示すように、データ依存枝「1」〜「10」、「17」、「20」、「21」は、出力データノードのスレッドと入力データノードのスレッドとが同一であるので、出力データノードから入力データノードにスレッド間データ依存枝が接続されない。また、データ依存枝「11」〜「16」、「18」、「19」、「22」〜「24」は、出力データノードのスレッドと入力データノードのスレッドとが異なるので、出力データノードから入力データノードにスレッド間データ依存枝が接続される。
図9は、スレッド入出力データ抽出部331が、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100Aを用いて生成した、スレッド間データ依存枝情報120Aを示す表である。図7のデータ依存枝情報100Aと比較して、「スレッド間データ依存枝」の列が追加されており、そこにスレッド間データ依存枝であるか否かを示す値が各データ依存枝に対して設定できるようになっている。
また、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120Aは、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332に引き渡される。
(スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332の説明)
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)と、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)とを参照して、スレッド入力データ参照命令を抽出する。ここで、スレッド入力データ参照命令とは、スレッド間データ依存枝に関わる入力データ参照命令のことである。以下、図8ないし図11を用いて、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332の機能の一例について説明する。
図9に示すスレッド間データ依存枝情報120Aを用いて説明する。スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入力データ参照命令として、スレッド間データ依存枝「11」〜「16」、「18」、「19」、「22」〜「24」それぞれのデータ参照命令「11:USE」〜「16:USE」、「18:USE」、「19:USE」、「22:USE」〜「24:USE」を抽出する。また、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、抽出したデータ依存枝を用いて、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって生成された出力データ生成命令および入力データ参照命令を参照して、スレッド出力データ生成命令を抽出する。
図8に示す出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを用いて説明する。スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、抽出したデータ依存枝「11」〜「16」、「18」、「19」、「22」〜「24」のうち、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在するか否かを判定する。
判定の結果、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「13」、「14」、「16」、「18」、「19」については、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在するので(図8の出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照すると、データ参照命令と同一行にデータ生成命令が存在するので)、このデータ生成命令をスレッド出力データ生成命令として抽出する。
また、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「11」、「12」、「15」については、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在しないので(図8の出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照すると、データ参照命令と同一行にデータ生成命令が存在しないので)、スレッド出力データ生成命令を探索する必要がある。この探索方法については、図10を用いて説明する。
図10は、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332が、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在しない場合における、スレッド出力データ生成命令の探索方法を説明するための図である。
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入力データ参照命令の直接のデータ生成命令が存在しない場合、先行枝方向にその出力データ生成命令を探索する。例えば、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「11」の先行枝「8」を抽出する。そして、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、データ依存枝「8」のデータ生成命令記号が存在しないので、データ依存枝「8」の先行枝「3」と、先行枝「24」とを抽出する。
スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、先行枝として抽出したデータ依存枝「3」のデータ生成命令記号「3:DEF」を抽出し、探索元のデータ依存枝「11」の生成命令リスト(スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リスト)に追加する。
また、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、先行枝として抽出したデータ依存枝「24」のデータ生成命令記号「24:DEF」を抽出し、探索元のデータ依存枝「11」の生成命令リスト(スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リスト)に追加する。
以上説明したスレッド抽出データ生成命令の探索方法によって、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを生成することが可能である。
図11は、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332が、スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを、スレッド入出力データ抽出部331が生成したスレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)に挿入して生成した情報(スレッド間データ依存命令対情報)を示す表である。図11に示すように、スレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストは、各データ依存枝に対して、複数存在する場合もある。
また、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120Aと、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とは、通信命令挿入部35Aに引き渡される。
(通信命令挿入部35Aの説明)
通信命令挿入部35Aは、構文解析部31によって生成された中間語と、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とを入力し、中間語に通信命令を挿入する。通信命令挿入部35Aは、データ送信命令挿入部351Aと、データ受信同期命令挿入部352Aとを含んで構成されている。
(データ送信命令挿入部351Aの説明)
データ送信命令挿入部351Aは、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、中間語内のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令の直後にデータ送信命令を挿入する。以下、図11を用いて、データ送信命令挿入部351Aの機能の一例について説明する。
データ送信命令挿入部351Aは、例えば、スレッド入力データ参照命令「13:USE」に対応するスレッド出力データ生成命令「13:DEF」の直後にデータ送信命令を挿入する。また、例えば、データ送信命令挿入部351Aは、スレッド入力データ参照命令「11:USE」に対応するスレッド出力データ生成命令「3:DEF」と「24:DEF」のそれぞれの直後にデータ送信命令を挿入する。
この際、送信先スレッドとしてスレッド入力データ参照命令「13:USE」が実行されるスレッド「p2」を指定する。
データ送信命令挿入部351Aは、データ送信命令として、例えば、既存の並列プログラミング用メッセージ通信ライブラリ関数のデータ送信処理を行う関数を呼び出す命令を中間語内に挿入することが可能である。
メッセージ通信方式の並列プログラミング環境であるMPIを例にとると、データ送信命令挿入部351Aは、データ送信処理を行う関数として、例えばMPI_Send()関数を呼び出す命令を挿入し、関数呼び出し引数として、データアドレス、データサイズ、データタイプ、送信先スレッド番号(各スレッドに予め割り当てられた固有の番号)、メッセージタグ番号(スレッド入力データ参照命令のデータ依存枝番号)を設定する。
(データ受信同期命令挿入部352Aの説明)
データ受信同期命令挿入部352Aは、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、中間語内のスレッド入力データ参照命令の直前にデータ受信同期命令を挿入する。以下、図11を用いて、データ受信同期命令挿入部352Aの機能の一例について説明する。
データ受信同期命令挿入部352Aは、例えば、スレッド入力データ参照命令「11:USE」の直前にデータ受信同期命令を挿入する。
データ受信同期命令挿入部352Aは、データ受信同期命令として、例えば、既存の並列プログラミング用メッセージ通信ライブラリ関数のデータ受信処理を行う関数を呼び出す命令を中間語内に挿入することが可能である。
メッセージ通信方式の並列プログラミング環境であるMPIを例にとると、データ受信同期命令挿入部352Aは、データ受信処理を行う関数として、例えばMPI_Recv()関数を呼び出す命令を挿入し、関数呼び出し引数として、データアドレス、データサイズ、データタイプ、送信元スレッド番号(MPI_ANY_SOURCE)、メッセージタグ番号(スレッド入力データ参照命令のデータ依存枝番号)を設定する。なお、送信元スレッド番号として「MPI_ANY_SOURCE」(「送信元は任意のスレッド」の意)としているのは、スレッド入力データ参照命令に対応するスレッド出力データ生成命令が複数個存在する場合に対応するためである。
また、通信命令挿入部35Aによって中間語に通信命令が挿入されて生成された通信命令を含むプログラムは、プログラム分割・コード生成部39に引き渡される。
(プログラム分割・コード生成部39の説明)
プログラム分割・コード生成部39は、通信命令挿入部35Aによって生成された通信命令を含むプログラムを各プロセッサが行うスレッド処理に分割(プログラム分割)し、実行コード(機械コード)に変換(コード生成)するものである。その結果、プログラム分割・コード生成部39は、通信命令を含む分割プログラム55A(図1参照)を生成する。
プログラム分割の機能は、構文解析部31によって各命令に付加されたスレッド属性を参照して、プログラムを各スレッドの処理に分割するものである。
また、コード生成の機能は、通常のコンパイラが有する公知のコード生成の機能と特に変わらないため、コード生成の機能についてのさらに詳細な説明は省略する。
以上説明した第1の実施形態によれば、プログラム処理装置1Aは、並列処理プログラム50Aを解析し、既存の分散メモリシステムおよび既存の共有メモリシステムに適用可能な通信命令を含む分割プログラム55Aを生成することが可能である。
図12は、プログラム処理装置1A(図1参照)のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、プログラム処理装置1Aは、コンピュータであり、中央処理装置(処理部)10と、主記憶装置(処理部)20と、ファイル装置(記憶部)40と、入力装置INと、出力装置OUTとを含んで構成されている。また、ファイル装置40は、並列処理プログラム50Aを含んで構成され、主記憶装置20は、並列処理コンパイラ30Aを含んで構成されている。
中央処理装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)等から構成され、主記憶装置20に格納されているプログラムを実行する機能を有する。
主記憶装置20は、例えばRAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)等から構成され、中央処理装置10が実行するプログラムやデータ等を格納するものである。
並列処理コンパイラ30Aは、並列処理プログラム50Aをマルチプロセッサシステムが実行できる形式に変換する(マルチプロセッサシステムのための実行コードを生成する)ためのプログラムである。
ファイル装置40は、ファイルを格納するための装置であり、並列処理プログラム50A等を格納するものである。
並列処理プログラム50Aは、マルチプロセッサシステムに並列処理を実行させるためのプログラムであり、プログラマ等によって記述されたものである。
入力装置INは、キーボードや、マウス等によって構成され、操作者からの指示を入力する機能を有する。
また、出力装置OUTは、ディスプレイや、プリンタ等によって構成され、文字や画像等を出力する機能を有する。
中央処理装置10は、主記憶装置20に格納された並列処理コンパイラ30Aの指令を受け、ファイル装置40に保存された並列処理プログラム50Aを主記憶装置20に読み出す。中央処理装置10は、主記憶装置20に読み出した並列処理プログラム50A中の命令の処理順序や、各命令が参照するデータと、各命令が生成するデータとを解析した結果得られるデータ依存枝情報100A(図7参照)およびスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を生成し、主記憶装置20に格納する。なお、並列処理プログラム50Aは、例えば、プログラマ等が入力装置INを介して入力し、ファイル装置40に格納することが可能である。
次いで、中央処理装置10は、主記憶装置20に格納された並列処理コンパイラ30Aの指令を受け、データ依存枝情報100A(図7参照)およびスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を参照して、通信命令を主記憶装置20に格納された並列処理プログラム50A中に埋め込む。
次いで、中央処理装置10は、主記憶装置20に格納された並列処理コンパイラ30Aの指令を受け、通信命令が埋め込まれた並列処理プログラム50Aをスレッド毎に分割する。中央処理装置10は、スレッド毎に分割された通信命令を含む分割プログラム55Aをファイル装置40に保存する。また、中央処理装置10は、出力装置OUTを介して当該プログラムを出力することが可能である。
図13は、プログラム処理装置1A(図1参照)の動作を示すフローチャートである。図13を参照して(適宜図1参照)、プログラム処理装置1Aの動作について説明する。
図13に示すように、まず、構文解析部31は、並列処理プログラム50Aの構文を解析する処理(構文解析処理)を行う(S10)。次に、データ依存性抽出部32Aは、構文解析処理の結果生成された中間語を用いて、データ依存性を抽出する処理(データ依存性抽出処理)を行う(S20)。スレッド間データ依存性抽出部33は、スレッド間のデータ依存性を抽出する処理(スレッド間データ依存性抽出処理)を行う(S30)。次に、通信命令挿入部35Aは、通信命令を挿入して通信命令を含むプログラムを生成する処理(通信命令挿入処理)を行う(S40A)。その後、プログラム分割・コード生成部39は、通信命令を含むプログラムを分割し、実行コードに変換する処理(プログラム分割・コード生成処理)を行う(S50)。
図14は、データ依存性抽出処理S20(図13参照)の詳細を示すフローチャートである。図14を参照して(適宜図1参照)、データ依存性抽出処理S20(図13参照)について説明する。
図14に示すように、まず、中間語から命令参照・生成データ抽出部321は、各命令の参照・生成データを抽出する(S21)。次に、関数内間接参照・生成データ抽出部323は、中間語から関数内間接参照・生成データを抽出する(S22)。そして、命令ブロック抽出部324は、中間語から命令ブロックを抽出する(S23)。次に、命令ブロック入出力データ抽出部325Aは、中間語から命令ブロック入出力データを抽出する(S24)。そして、データ依存枝生成部326は、命令ブロック出力データとこれを入力する命令ブロック入力データとの間にデータ依存枝を付加する(S25)。この処理により、データ依存枝生成部326は、データ依存枝情報100A(図7参照)を生成することができる。その後、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、出力データ生成命令・入力データ参照命令を抽出する(S26)。この処理により、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)を生成することができる。これらの処理により、データ依存性抽出部32Aは、中間語を用いて、データ依存枝情報100A(図7参照)および出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)を生成することができる。
図15は、スレッド間データ依存性抽出処理S30(図13参照)の詳細を示すフローチャートである。図15を参照して(適宜図1参照)、スレッド間データ依存性抽出処理S30(図15参照)について説明する。
図15に示すように、まず、スレッド入出力データ抽出部331は、スレッド入出力データを抽出する(S31)。これにより、スレッド入出力データ抽出部331は、スレッド間データ依存枝情報120A(図9参照)を生成することができる。次に、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令を抽出する(S32)。この処理により、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332は、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を生成することができる。これらの処理により、スレッド間データ依存性抽出部33は、スレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を生成することができる。
図16は、通信命令挿入処理S40A(図13参照)の詳細を示すフローチャートである。図16を参照して(適宜図1参照)、通信命令挿入処理S40A(図16参照)について説明する。
図16に示すように、まず、データ送信命令挿入部351Aは、中間語内のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令の直後にデータ送信命令を挿入する(S42A)。次に、データ受信同期命令挿入部352Aは、データ送信命令を含む中間語内のスレッド入力データ参照命令のスレッド入力データ参照命令の直前にデータ受信同期命令を挿入する(S43A)。これらの処理により、通信命令挿入部35Aは、中間語に通信命令を挿入することができる。
プログラム分割・コード生成処理S50(図13参照)は、プログラム分割・コード生成部39が、通信命令挿入部35Aによって生成された通信命令を含むプログラムを各スレッドが行う処理に分割(プログラム分割)し、実行コードに変換(コード生成)する処理である。その結果、プログラム分割・コード生成部39は、通信命令を含む分割プログラム55A(図1参照)を生成することができる。プログラム分割およびコード生成の処理は、通常のコンパイラが有する公知のプログラム分割およびコード生成の処理と特に変わらないため、プログラム分割およびコード生成の処理についてのさらに詳細な説明は省略する。
(第2の実施形態)
続いて、図面(図17〜図22)を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、データ構造の依存性に関するものであり、並列処理プログラム内にデータ構造が含まれている場合に、データ構造に作用する命令間の依存性を抽出し、抽出結果を用いて、命令ブロックの入出力データの抽出とデータ依存枝情報の生成とを行い、その命令ブロックのデータ依存枝情報を用いて出力データ生成命令・入力データ参照命令を抽出し、出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を生成する点が、第1の実施形態と異なる。したがって、それ以外の第1の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
データ構造とは、配列データやC言語のstructure(structureは通称「構造体」と呼ばれる)のように複数の単一データから構成されるデータの集合体である。ここで、単一データとは、各命令によって生成・参照される情報の対象(演算命令が作用するデータの単位)のことであり、通常の「データ」のことである。以下では、説明の便宜上、各命令によって生成・参照される情報の対象を「単一データ」、複数の単一データから構成されるデータの集合体を「データ構造」と呼ぶことにする。
単一データの場合、これを生成する命令(代入命令)によって完全に書き換えられるので、データ生成命令からデータ参照命令へと単純なデータ依存性を派生する(データ参照命令がデータ生成命令に依存する)。この単純なデータ依存性がデータフローマシン(データ駆動型制御)の動作原理になる。また、このデータ依存性を単一データ依存性と呼ぶことにする。
データ構造の場合、一つの演算命令がその一部(データ構造中の一要素)だけをアクセスし(アクセス=「書換え」または「読出し」)、しかも、アクセスするデータ構造要素の具体的な特定をコンパイル時に行うことが不可能な場合がある。例えば、変数インデックスによる配列アクセスやポインタ参照データがこれに該当する。このため、このデータ構造のアクセスの曖昧さを考慮した依存性(Read-after-write依存性(true dependency)およびWrite-after-write依存性(output dependency))を以下のように定義する。
Read-after-write依存性は、データ構造の任意の要素に対する「書換え命令」から同データ構造の任意の要素に対する「読出し命令」へ派生する依存性を意味するものとする。これは、単一データのデータ依存性と同性質のものであるが、書換え命令が作用する要素と読出し命令が作用する要素が同一であるとは限らない場合でも、前記した「アクセスの曖昧さ」を考慮して依存性を派生させるものである。
Write-after-write依存性は、データ構造の任意の要素に対する「書換え命令」から同データ構造の任意の要素に対する「書換え命令」へ派生する依存性を意味するものとする。
単一データのデータ依存性では、Write-after-write依存性は存在しない。なぜならば、単一データに対するデータ生成命令は、それ以前に実行された同一データに対するデータ生成命令によって定義されたデータを完全に無効化し(完全に書換え)、これらのデータ生成命令が派生するデータ依存性は、論理的に分離されるためである。
データ構造に対する複数の「書換え命令」については、このような書換えの無効化が必ずしも起こらない(書換える要素が異なる場合がある)ため、データ構造の過去の書換え履歴をすべて記憶しておく必要が生じる。このような過去の書換え履歴をすべて記憶する手段を用いて、書換え命令同士のデータ依存枝による逐次化を図る。このWrite-after-write依存性は、データ構造に対する書換え命令が、仮想的には、「データ構造のすべての要素を読込む」「データ構造の一要素を書き換え、他のすべての要素をそのままにしてデータ構造全体を生成する」という2つの動作で構成されていると解釈することによって、通常のデータ依存性(単一データのデータ依存性)と同様の扱いが可能になる。また、データ構造に作用する命令間のデータ依存性をデータ構造依存性と呼ぶことにする。
第2の実施形態は、データ構造を含む並列処理プログラム50B(図17参照)から命令ブロック入出力データを抽出し、データ依存枝情報および出力データ生成命令・入力データ参照命令を抽出することができる構成となっている。
図17は、第2の実施形態におけるプログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。図17に示すように、プログラム処理装置1Bは、データ構造を含む並列処理プログラム50Bを入力して、通信命令を含む分割プログラム55Bを出力する。第2の実施形態では、プログラム処理装置1Bのデータ依存性抽出部32Bに含まれる命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能が、第1の実施形態の命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能と異なる。以下、プログラム処理装置1Bを構成する各要素の中で、命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能について説明する。
図18に示すプログラムは、プログラマ等が記述した並列処理プログラムであり、データ構造が含まれる並列処理プログラムの一例である。ここでは、構文解析部31が並列処理プログラム50Bを入力して、当該プログラムの構文を解析し、中間語を生成する場合について説明する。また、説明の都合上、以下では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Bを用いて説明することにする。
(命令ブロック入出力データ抽出部325Bの説明)
命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報とを入力し、データ構造に作用する命令間の依存性を抽出し、その命令ブロック情報を用いて、その中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出する。以下、図18ないし図20を用いて(適宜図17参照)、命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能のうち、第1の実施形態における命令ブロック入出力データ抽出部325Aの機能との違い(データ構造に作用する命令間の依存性を抽出する機能)のみを説明する。
図19は、命令ブロック入出力データ抽出部325Bが、構文解析部31によって生成された中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出した結果を示すプログラムグラフである。図19には、例として、命令ブロック入力データノードF2や、命令ブロック出力データノードG2などが示されている。以下、命令ブロック入出力データ抽出部325Bによる命令ブロック入出力データの抽出方法を説明する。
図19に示すように、並列処理プログラム50Bは、命令ブロック抽出部324によって命令ブロックA11〜A16に分割されている。例えば、図18に示した並列処理プログラム50Bの3行目のデータ構造要素に作用する命令「a[0] = 1;」は、構文解析部31によって、
$94 := a[0] ...... (1)
$94 = 1 ...... (2)
という2つの命令に分解される(命令ブロックA11参照)。命令(1)は、配列aの0番目の要素のアドレスを計算し、中間変数$94に記憶する演算である。命令(2)は、アドレス$94に右辺式「1」を代入する演算である。なお、データ構造要素のアドレスを表す中間変数(ここでは$94)は、任意の演算命令で引用される場合(以下に示す書換え命令および読出し命令)、そのアドレスに格納されている要素データ値を指す。
命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、例えば、配列aの要素のアドレスを計算して中間変数$94に記憶する命令「$94 := a[0]」を命令ブロックA11内に見付ける。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、この中間変数(データ構造要素アドレス)$94が代入式の左辺にある命令「$94 = 1」を命令ブロックA11内に見付け、この命令「$94 = 1」が、配列aに対する書換え命令(データ構造書換え命令)であると判定する。同様な方法を用いて、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、例えば、命令ブロックA12内にデータ構造書換え命令「$95 = b」、命令ブロックA14内にデータ構造書換え命令「$103 = $101」を見付ける。このようにして、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、データ構造書換え命令を抽出することができる。
また、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、例えば、配列aの要素のアドレスを計算して中間変数$96に記憶する命令「$96 := a[i]」を命令ブロックA13内に見付ける。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、この中間変数(データ構造要素アドレス)$96が代入式の右辺にある命令「$97 := $96 + 1」を命令ブロックA13内に見付け、この命令「$97 := $96 + 1」が、配列aに対する読出し命令(データ構造読出し命令)であると判定する。同様な方法を用いて、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、例えば、命令ブロックA13内にデータ構造読出し命令「$100 := $99 - 1」、命令ブロックA16内にデータ構造読出し命令「$107 := printf(“a[i + 1] = %d\n”, $105)」を見付ける。このようにして、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、データ構造読出し命令を抽出することができる。
命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、データ構造書換え命令からデータ構造書換え命令へと派生する依存関係が存在する場合、その依存関係を前記したWrite-after-write依存性であると判定する。また、データ構造書換え命令からデータ構造読出し命令へと派生する依存関係が存在する場合、その依存関係を前記したRead-after-write依存性であると判定する。
図20は、命令ブロック入出力データ抽出部325Bが抽出したデータ構造の依存性を説明するための図である。図20に示すように、例えば、データ構造書換え命令「$94 = 1」からデータ構造書換え命令「$95 = b」へ派生する依存性がWrite-after-write依存性として示されている。また、例えば、データ構造書換え命令「$95 = b」からデータ構造読出し命令「$97 := $96 + 1」へ派生する依存性がRead-after-write依存性として示されている。
命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、Write-after-write依存性またはRead-after-write依存性の依存関係にあるデータを別ブロック内に探し、それを命令ブロック入出力データとして抽出する。命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報を参照して、例えば、配列aに対するデータ構造書換え命令「$94 = 1」が命令ブロックA11内にあると判定する。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、配列aに対するデータ構造書換え命令「$95 = b」が命令ブロックA11以外の命令ブロック(命令ブロックA12)に存在し、この命令が、データ構造書換え命令「$94 = 1」に対してWrite-after-write依存性を示すと判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、命令ブロックA11の命令ブロック出力データとして、配列aを抽出することができる。同時に、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、命令ブロックA12の命令ブロック入力データとして、配列aを抽出することができる。図19には、それぞれ命令ブロック出力データノードG2および命令ブロック入力データノードF2として示されている。例えば、命令ブロック出力データノードG2および命令ブロック入力データノードF2には、*a<3>と標記されているが、これは配列a[3]の任意の要素を示している。
このような方法により、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、命令ブロック入出力データを抽出することができる。抽出した結果得られた命令ブロック入出力データは、図19のプログラムグラフに付加された命令ブロック入出力データノードとして示されている。このように、命令ブロック入出力データ抽出部325Bは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロックと、その命令ブロック内の入出力データ(データ構造を含む)とを対応付けた命令ブロック入出力データに関する情報(命令ブロック入出力データ情報)を生成することができる。
また、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Bによって生成された命令ブロック入出力データ(データ構造を含む)に関する情報(命令ブロック入出力データ情報)とは、データ依存枝生成部326に引き渡される。
図21は、データ依存枝生成部326(図17参照)によって生成されたデータ依存枝情報を示す表である。データ依存枝生成部326は、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Bによって生成された命令ブロック入出力データ情報とを入力し、単一データのデータ依存枝情報を生成する際と同様の処理によって、データ構造のデータ依存枝情報を生成することが可能である。第2の実施形態においては、並列処理プログラム50Bを用いており、この場合、先行枝および後続枝が存在しないため、データ依存枝情報100Bには、先行枝の項目および後続枝の項目が省略されている。
図22は、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327(図17参照)によって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を示す表である。出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、構文解析部31によって生成された中間語と、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100B(図21参照)とを入力し、単一データのデータ依存枝情報を生成する際と同様の処理によって、出力データ生成命令および入力データ参照命令を抽出することが可能である。
以上説明した第2の実施形態によれば、プログラム処理装置1Bは、データ構造を含む並列処理プログラム50Bを解析し、既存の分散メモリシステムおよび既存の共有メモリシステムに適用可能な通信命令を含む分割プログラム55Bを生成することが可能である。
また、プログラム処理装置1Bのハードウェア構成については、プログラム処理装置1A(図1参照)のハードウェア構成と変わらないため、説明を省略する。
(第3の実施形態)
続いて、図面(図23〜図34)を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、ポインタ(メモリ上のアドレスを記憶する変数)が指すデータオブジェクト間のデータ依存性を抽出し、得られたポインタエイリアスデータ依存性を用いて、ポインタ参照データ(ポインタによって指定されたメモリ上のアドレスに記憶されたデータ)の出力データ生成命令・入力データ参照命令を抽出する点が、第2の実施形態と異なる。また、スレッド間でのポインタによる通信が存在する場合に、スレッド間で転送されるポインタを抽出し、ポインタエイリアスID演算命令を挿入する機能が追加された点が、第2の実施形態と異なる。また、データ送信命令およびデータ受信命令を挿入する機能が、第2の実施形態と異なる。さらに、スレッド起動命令を挿入する機能が追加された点が、第2の実施形態と異なる。したがって、それ以外の第2の実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
ポインタを介してアクセスするポインタ参照データは、ポインタがデータ構造(配列データ等)を指す可能性があることから、これもデータ構造の一種と見なすことにする。
図23は、第3の実施形態におけるプログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。図23に示すように、プログラム処理装置1Cは、ポインタ参照データを含む並列処理プログラム50Cを入力して、通信命令を含む分割プログラム55Cを出力する。第3の実施形態では、プログラム処理装置1Cのデータ依存性抽出部32Cに含まれるポインタエイリアス解析部322の機能が追加された点が第2の実施形態と異なり、プログラム処理装置1Cのデータ依存性抽出部32Cに含まれる命令ブロック入出力データ抽出部325Cの機能が、第2の実施形態の命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能と異なる。以下、プログラム処理装置1Cを構成する各要素の中で、ポインタエイリアス解析部322の機能および命令ブロック入出力データ抽出部325Cについて説明する。その他の第2の実施形態と異なる点については、後記する。
図24に示すプログラムは、プログラマ等が記述した並列処理プログラムであり、データ構造が含まれる並列処理プログラムの一例である。ここでは、構文解析部31が並列処理プログラム50Cを入力して、当該プログラムの構文を解析し、中間語を生成する場合について説明する。また、説明の都合上、以下では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Cを用いて説明することにする。
(ポインタエイリアス解析部322の説明)
ポインタエイリアス解析部322は、エイリアスリスト(ポートエイリアス情報)を生成する。エイリアスリストとは、ポインタが指すすべてのデータオブジェクト(データ構造または単一データ)のリストのことである。ポインタエイリアス解析部322は、命令参照・生成データ抽出部321によって抽出された命令の参照データリストおよび生成データリストを用いて、エイリアスリストを順次更新していく。エイリアスリストの更新は、ポインタへの代入命令において行う。エイリアスリストの更新方法については、公知の方法と特に変わらない。
図24に示した並列処理プログラム50Cを例に、エイリアスリストの更新について説明する。ポインタ変数への代入命令の中には、データ構造のアドレスを代入する命令(データ構造アドレス代入命令)と、ポインタ値を代入する命令(ポインタ値代入命令)とが存在する。
データ構造アドレス代入命令は、ポインタをp1とすると、「p1 = [データ構造のアドレス] + (整数変数または整数定数)」という形で表せる命令である。ポインタエイリアス解析部322は、この命令において、ポインタp1のエイリアスリストにデータ構造を追加する。例えば、ポインタエイリアス解析部322は、並列処理プログラム50Cの3行目の命令「pa = a + 1」において、ポインタpaが指すすべてのデータオブジェクトに相当する「*a<3>」をpaのエイリアスリストに追加する。paのエイリアスリストには何もなかったので、追加した後は、paのエイリアスリスト:{*a<3>}に更新される。同様に、例えば、ポインタエイリアス解析部322は、並列処理プログラム50Cの5行目の命令「pa1 = &a1」において、ポインタpa1が指すすべてのデータオブジェクトに相当する「a1」をpa1のエイリアスリストに追加する。pa1のエイリアスリストには何もなかったので、追加した後は、pa1のエイリアスリスト:{a1}に更新される。
ポインタ値代入命令は、ポインタをp1およびp2とすると、「p1 = p2 + (整数変数または整数定数)」という形で表せる命令である。ポインタエイリアス解析部322は、この命令において、ポインタp1のエイリアスリストにp2のエイリアスリストの全要素を追加する。例えば、ポインタエイリアス解析部322は、並列処理プログラム50Cの4行目の命令「paa = pa + 1」において、paのエイリアスリストの全要素を追加する。この段階において、paのエイリアスリストは、{*a<3>}である(前記した通り、3行目の命令「pa = a + 1」において、paのエイリアスリスト:{*a<3>}と更新された)ので、ポインタエイリアス解析部322は、paのエイリアスリスト:{*a<3>}をpaaのエイリアスリストに追加する。paaのエイリアスリストには何もなかったので、追加した後は、paaのエイリアスリスト:{*a<3>}に更新される。
(命令ブロック入出力データ抽出部325Cの説明)
命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報と、ポインタエイリアス解析部322によって生成されたポインタのエイリアスリストとを入力し、ポインタエイリアスデータ依存性を抽出し、その命令ブロック情報を用いて、その中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出する。以下、図24ないし図27を用いて(適宜図23参照)、命令ブロック入出力データ抽出部325Cの機能のうち、第2の実施形態における命令ブロック入出力データ抽出部325Bの機能との違い(ポインタエイリアスデータ依存性を抽出する機能)のみを説明する。
図25は、命令ブロック入出力データ抽出部325Cが、構文解析部31によって生成された中間語から命令ブロック入力データと、命令ブロック出力データとを抽出した結果を示すプログラムグラフである。以下、命令ブロック入出力データ抽出部325Cによる命令ブロック入出力データの抽出方法を説明する。
ポインタ参照データは、ポインタのエイリアスリストの各オブジェクトおよびエイリアスリストが一部(または全部)重複する他のポインタ参照データに対して(即ち同じデータを指す可能性があるすべてのデータに対して)データ依存性を持つ。このデータ依存性をポインタエイリアスデータ依存性と呼ぶことにする。命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、このポインタエイリアスデータ依存性を抽出する機能も有する。
命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、例えば、ポインタpaに対するデータ参照命令「$118 := *pa」がA22ブロック内にあると判定する。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、ポインタpaに対するデータ書換え命令「pa = $112」が命令ブロックA22以外の命令ブロック(命令ブロックA21)に存在すると判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA21の命令ブロック出力データとして、ポインタpaを抽出することができる。同時に、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA22の命令ブロック入力データとして、ポインタpaを抽出することができる。図25には、それぞれ命令ブロック出力データノードG3および命令ブロック入力データノードF3として示されている。例えば、命令ブロック出力データノードG3および命令ブロック入力データノードF3には、pa{*a<3>}と標記されているが、これはポインタpaの値と、paのエイリアスリスト:{*a<3>}とが命令ブロックA21から出力され、命令ブロックA22に入力されることを示している。同様の方法により、命令ブロック入力データノードF4、命令ブロック入力データノードF5、命令ブロック出力データノードG4、命令ブロック出力データノードG5が抽出される。
また、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、ポインタpaによるポインタ参照データ*paに対するデータ書換え命令「$118 = b」がA22ブロック内にあると判定する。また、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令「$118 = b」におけるpaのエイリアスリストを参照する。前記した通り、命令ブロックA22は、命令ブロック入力データとして、命令ブロックA21からpaのエイリアスリスト:{*a<3>}を受け取り、その後、命令「$118 = b」までにpaのエイリアスリストの追加は行われていないので、命令「$118 = b」におけるpaのエイリアスリストは、paのエイリアスリスト:{*a<3>}である。同様に、命令ブロックA24は、命令ブロック入力データとして、命令ブロックA21からpaaのエイリアスリスト:{*a<3>}を受け取り、その後、命令「$126 = $125」までにpaaのエイリアスリストの追加は行われていないので、命令「$126 = $125」におけるpaaのエイリアスリストは、paaのエイリアスリスト:{*a<3>}である。
命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、paのエイリアスリストの各オブジェクトおよびこのpaのエイリアスリストが一部(または全部)重複する他のポインタ参照データを探し、ポインタエイリアスデータ依存性を示すデータとして抽出する。つまり、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令「$118 = b」におけるpaのエイリアスリストのオブジェクトとして*a<3>を抽出し、(命令「$118 = b」におけるpaのエイリアスリスト:{*a<3>}が、命令「$126 = $125」におけるpaaのエイリアスリスト:{*a<3>}と全部が重複するので)命令「$118 = b」におけるpaのエイリアスリストが一部(または全部)重複する他のポインタ参照データとして*paaを抽出する。したがって、命令「$118 = b」におけるpaは、*a<3>および*paaとポインタエイリアスデータ依存性を持つ。
命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、例えば、ポインタ参照データ*paとポインタエイリアスデータ依存性を示すオブジェクト*a<3>またはポインタ参照データ*paaの中で、Write-after-write依存性またはRead-after-write依存性の依存関係にあるデータを別ブロック内に探し、それを命令ブロック入出力データとして抽出する。命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報を参照して、ポインタ参照データ*paによるデータ書換え命令「$118 = b」が命令ブロックA22にあると判定し、これとWrite-after-write依存性を示すポインタ参照データ*paaによるデータ書換え命令「$126 = $125」が命令ブロックA22以外の命令ブロック(命令ブロックA24)にあると判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA22の命令ブロック出力データとして、ポインタ参照データ*paを抽出することができる。同時に、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA24の命令ブロック入力データとして、ポインタ参照データ*paaを抽出することができる。図25には、それぞれ命令ブロック出力データノードI1および命令ブロック入力データノードH1として示されている。
また、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロック情報を参照して、ポインタ参照データ*paによるデータ書換え命令「$118 = b」が命令ブロックA22にあると判定し、これとRead-after-write依存性を示す配列aに対するデータ読出し命令「$120 := $119 + 1」が命令ブロックA22以外の命令ブロック(命令ブロックA23)にあると判定する。その結果、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA22の命令ブロック出力データとして、ポインタ参照データ*paを抽出することができる。同時に、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロックA23の命令ブロック入力データとして、*a<3>を抽出することができる。図25には、それぞれ命令ブロック出力データノードI1および命令ブロック入力データノードH2として示されている。同様の方法により、命令ブロック入力データノードH3〜H6、命令ブロック出力データノードI2〜I5が抽出される。さらに、図25において、符号の付されていない命令ブロック入出力データノードは、単一データ間のデータ依存性を示すものであり、命令ブロック入出力データ抽出部325Aと同様の機能により抽出できる。
このような方法により、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、ポインタエイリアスデータ依存性を含む命令ブロック入出力データを抽出することができる。このように、命令ブロック入出力データ抽出部325Cは、命令ブロック抽出部324によって抽出された命令ブロックと、その命令ブロック内の入出力データ(ポインタエイリアスデータ依存性を含む)とを対応付けた命令ブロック入出力データに関する情報(命令ブロック入出力データ情報)を生成することができる。
また、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Cによって生成された命令ブロック入出力データ(ポインタエイリアスデータ依存性を含む)に関する情報(命令ブロック入出力データ情報)とは、データ依存枝生成部326に引き渡される。
図26は、データ依存枝生成部326(図23参照)によって生成されたデータ依存枝情報を示す表である。データ依存枝生成部326は、構文解析部31によって生成された中間語と、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報と、命令ブロック入出力データ抽出部325Cによって生成された命令ブロック入出力データ情報とを入力し、単一データのデータ依存枝情報を生成する際と同様の処理によって、ポインタ参照データのデータ依存枝情報を生成することが可能である。第3の実施形態においては、並列処理プログラム50Cを用いており、この場合、先行枝および後続枝が存在しないため、データ依存枝情報100Cには、先行枝の項目および後続枝の項目が省略されている。
図27は、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327(図23参照)によって生成された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を示す表である。出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327は、構文解析部31によって生成された中間語と、データ依存枝生成部326によって生成されたデータ依存枝情報100C(図26参照)とを入力し、単一データのデータ依存枝情報を生成する際と同様の処理によって、出力データ生成命令および入力データ参照命令を抽出することが可能である。なお、データ依存枝2(図27参照)のデータ生成命令は、本来ならば存在しない(a1に代入する命令が命令ブロックA21内に存在しない)。このような場合は、a1をプログラムコード上で宣言する箇所に仮想的に挿入された「変数宣言命令」である[*] a1 : declaredを便宜上のデータ生成命令としている。
また、図23に示すように、プログラム処理装置1Cは、スレッド間で転送されるポインタを含む並列処理プログラム50Dを入力して、ポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラムを生成する。また、それを元にして通信命令を含む分割プログラム55Dを出力する。第3の実施形態では、前記した相違点の他、プログラム処理装置1Cの通信命令挿入部35Cに含まれるポインタ通信補助命令生成部34(スレッド間転送ポインタ抽出部341およびポインタエイリアスID演算命令挿入部342を含む)の機能が追加された点が第2の実施形態と異なり、プログラム処理装置1Cの通信命令挿入部35Cに含まれるデータ送信命令挿入部351Cおよびデータ受信同期命令挿入部352Cの機能が、第2の実施形態のデータ送信命令挿入部351Aおよびデータ受信同期命令挿入部352Aの機能と異なる。さらに、第3の実施形態では、プログラム処理装置1Cの通信命令挿入部35Cに含まれるスレッド起動命令挿入部353の機能が追加された点が第2の実施形態と異なる。以下、プログラム処理装置1Cを構成する各要素の中で、ポインタ通信補助命令生成部34(スレッド間転送ポインタ抽出部341およびポインタエイリアスID演算命令挿入部342を含む)およびスレッド間データ通信命令挿入部(データ送信命令挿入部351C、データ受信同期命令挿入部352Cおよびスレッド起動命令挿入部353)について説明する。
図28に示すプログラムは、プログラマ等が記述した並列処理プログラムであり、スレッド間で転送されるポインタを含む並列処理プログラムの一例である。ポインタ通信補助命令生成部34の機能の説明では、構文解析部31が並列処理プログラム50Dを入力して、当該プログラムの構文を解析し、中間語を生成し、その中間語を用いてプログラム処理装置1Cが処理を行う場合について説明する。また、説明の都合上、ポインタ通信補助命令生成部34の機能の説明では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Dを用いて説明することにする。さらに、データ送信命令挿入部351C、データ受信同期命令挿入部352Cおよびスレッド起動命令挿入部353の機能の説明では、構文解析部31が並列処理プログラム50Aを入力して、当該プログラムの構文を解析し、中間語を生成する場合について説明する。また、説明の都合上、データ送信命令挿入部351C、データ受信同期命令挿入部352Cおよびスレッド起動命令挿入部353の機能の説明では、中間語として適宜、並列処理プログラム50Aを用いて説明することにする。
(ポインタ通信補助命令生成部34の説明)
ポインタ通信補助命令生成部34は、構文解析部31によって生成された中間語と、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報と、ポインタエイリアス解析部322によって生成されたエイリアスリストとを入力し、スレッド間で転送されるポインタを抽出し、構文解析部31によって生成された中間語にポインタエイリアスID演算命令を挿入する。ポインタ通信補助命令生成部34は、スレッド間転送ポインタ抽出部341と、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342とを含んで構成されている。
(スレッド間転送ポインタ抽出部341の説明)
スレッド間転送ポインタ抽出部341は、スレッド入出力データ抽出部331によって生成されたスレッド間データ依存枝情報を参照して、ポインタ型のスレッド間データ依存枝(ポインタ型スレッド間データ依存枝)を抽出する。それにより、スレッド間で転送されるポインタ(スレッド間転送ポインタ)を抽出する。以下、図28または図29を用いて、スレッド間転送ポインタ抽出部341の機能の一例について説明する。
図29は、並列処理プログラム50D内の関数GetDataのプログラムグラフである。図29に示すように、スレッド間転送ポインタ抽出部341は、ポインタaaのスレッド間データ依存枝K11がベーススレッド[*]とスレッド[p0]を横切ることを抽出し、スレッド間転送ポインタとしてポインタaaを抽出する。スレッド間転送ポインタに関する情報(ポインタaaがスレッド間転送ポインタであるという情報)は、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342に引き渡される。
(ポインタエイリアスID演算命令挿入部342の説明)
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、構文解析部31によって生成された中間語と、ポインタエイリアス解析部322によって抽出されたエイリアスリストと、スレッド間転送ポインタ抽出部341によって抽出されたスレッド間転送ポインタに関する情報とを参照して、構文解析部31によって生成された中間語にポインタエイリアスID演算命令を挿入する。以下、図28ないし図30を用いて、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342の機能の一例について説明する。
ここで、ポインタエイリアス解析部322の機能の補足をする。ポインタ型関数引数は、関数呼出し命令の呼出し引数の代入命令であると解釈する。例えば、図28に示した並列処理プログラム50Dの12行目から19行目には、関数GetData(int * aa)が存在するが、この関数のポインタ型関数引数int * aaは、これを呼び出す命令(PointerTest内のGetData(a)等)の呼出し引数(a)の代入命令であると解釈する(aa = aと解釈する)。
ポインタ型関数引数は関数呼出し命令の呼出し引数の代入命令であるという解釈に基づいて、図28に示した並列処理プログラム50Dの関数GetDataの引数int * aaのエイリアスリストについて説明する。図28に示した並列処理プログラム50Dの4行目「GetData(a)」において、ポインタエイリアス解析部322は、aaのエイリアスリストに*a<10>を追加し、aaのエイリアスリスト:{*a<10>}とする。同様に、5行目「GetData(b)において、ポインタエイリアス解析部322は、aaのエイリアスリストに*b<10>を追加し、aaのエイリアスリスト:{*a<10>,*b<10>}とする。6行目「p = c + 5」において、ポインタエイリアス解析部322は、pのエイリアスリストに*c<20>を追加し、pのエイリアスリスト:{*c<20>}とする。7行目「GetData(p)」において、ポインタエイリアス解析部322は、pのエイリアスリスト:{*c<20>}をaaのエイリアスリスト:{*a<10>,*b<10>}に追加し、aaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}とする。8行目「p = b」において、ポインタエイリアス解析部322は、pのエイリアスリスト:{*c<20>}に*b<10>を追加し、pのエイリアスリスト:{*b<10>,*c<20>}とする。9行目「GetData(p)」において、ポインタエイリアス解析部322は、pのエイリアスリスト:{*b<10>,*c<20>}をaaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}に追加し、aaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}とする。
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、以上説明したように、pのエイリアスリスト:{*b<10>,*c<20>}と、aaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}とを含んだエイリアスリストをポインタエイリアス解析部322から入力する。
並列処理プログラム50Dのように、ポインタ変数を含むプログラムの場合、分散メモリシステムにおけるポインタの通信およびポインタ参照データの通信の実装は難しい問題である。ポインタaaが参照するデータを操作するスレッドp0内では、aaのエイリアスオブジェクトすべてに別々のメモリを割り当て、お互いの干渉を回避する必要がある。また、スレッド間通信としては、aaが実際に参照するデータ(いずれも配列データ)をベーススレッドからスレッドp0に転送し、スレッドp0を実行後、aaが参照するデータをベーススレッドへ転送する。ポインタおよびポインタ参照データを通信するためには、ポインタが実際にどのオブジェクトを参照しているかを実行時に把握(エイリアスを解決)する必要がある。また、異なるプロセッサにおけるメモリ空間はそれぞれ独立しているため、プロセッサ間のアドレス変換が必要になる。ここでは、エイリアスIDの演算命令を中間語に挿入することにより、ポインタのエイリアス情報をプログラム上で管理する機構を示す。
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、スレッド間転送ポインタ抽出部341によって抽出されたスレッド間転送ポインタ変数と、そのポインタ値計算に関わるポインタ変数ごとにエイリアスID変数を割り当てる。言い換えると、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、「スレッド間転送ポインタ変数」および「エイリアスID変数を必要とするポインタ変数へのポインタ値代入命令で参照されるポインタ」にはエイリアスID変数が必要であると判定し、エイリアスID変数を割り当てる。エイリアスID変数は、グローバルスコープを持つ整数型データであり、その値は、ポインタのエイリアスリストの要素番号(インデックス)を指す。
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、スレッド間転送ポインタ抽出部341によって抽出されたスレッド間転送ポインタ変数としてaa、aaへのポインタ値代入命令で参照されるポインタとしてpを抽出する。その結果、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、エイリアスID変数を必要とするポインタとして、aaおよびpを抽出し、これらのポインタにエイリアスID変数を割り当てる。ポインタaaのエイリアスID変数N1「aa_3e859b0」と、ポインタpのエイリアスID変数N2「p_bbfb78」とが示されている。
また、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、これらのエイリアスID変数の定義域(取り得る整数値の範囲)を指定する。ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、aaのエイリアスリストが{*b<10>,*a<10>,*c<20>}なので、それぞれの要素番号をID = 0, ID = 1, ID = 2としてポインタaaのエイリアスID変数N1の定義域を{0,1,2}とする。同様に、pのエイリアスリストが{*b<10>,*c<20>}なので、それぞれの要素番号をID = 0, ID = 1としてポインタpのエイリアスID変数N2の定義域を{0,1}とする。
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、ポインタ変数にエイリアスオブジェクトのアドレスや別のポインタ変数が代入またはオフセット代入(アドレス値 + オフセット値)されるポインタ代入演算の直前に、そのポインタのエイリアスIDを計算する演算を挿入する。エイリアスID演算命令は、以下のエイリアスID代入演算命令と、エイリアスID変換演算命令とを含むものである。
図30は、(並列処理プログラム50D内の関数PointerTestに)ポインタエイリアスIDの演算命令が挿入された結果を示すプログラムグラフである。図30に示すように、エイリアスID変数には、エイリアスID変数N1や、エイリアスID変数N2が存在する。ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、エイリアスID代入演算命令Q1、Q2、Q3およびQ4、エイリアスID変換演算命令R1およびR2を挿入する。以下に、エイリアスID代入演算命令およびエイリアスID変換演算命令の挿入方法について説明する。
ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、ポインタ代入演算の右辺値がエイリアスオブジェクトのアドレスの場合、そのオブジェクトに対応する要素番号をエイリアスID変数に代入するエイリアスID代入演算命令を挿入する。例えば、図30に示した例では、命令「GetData(a)」は、関数呼出し命令の呼出し引数の代入命令であると解釈され、このポインタ代入演算命令の右辺値がエイリアスオブジェクト*a<10>のアドレスであるので、そのオブジェクト*a<10>に対応する要素番号である<ID = 1>をエイリアスID変数に代入する演算命令を、命令T1の直前にエイリアスID代入演算命令Q1として挿入する。同様に、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、<ID = 0>をエイリアスID変数に代入する演算命令を、命令T2の直前にエイリアスID代入演算命令Q2として挿入する。
また、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、ポインタ代入演算の右辺値が別のポインタ変数の場合、エイリアスID変換テーブルを作成して、エイリアスIDを変換するエイリアスID変換演算命令を挿入する。エイリアスID変換テーブルとは、右辺ポインタのエイリアスリストの要素番号と左辺ポインタのエイリアスリストの要素番号とを対応付けたテーブルである。
例えば、図30に示した例では、命令T3は、関数呼出し命令の呼出し引数の代入命令であると解釈され、このポインタ代入演算命令の右辺値が別のポインタ変数pであるので、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、エイリアスID変換テーブルを作成する。エイリアスID変換テーブルでは、aaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}の*b<10>の要素番号<ID = 0>とpのエイリアスリスト:{*b<10>,*c<20>}の*b<10>の要素番号<ID = 0>とが対応付けられており、aaのエイリアスリスト:{*b<10>,*a<10>,*c<20>}の*c<20>の要素番号<ID = 2>とpのエイリアスリスト:{*b<10>,*c<20>}の*c<20>の要素番号<ID = 1>とが対応付けられている。したがって、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、エイリアスID変換テーブルを作成して、pのエイリアスID変数が取り得る値{0,1}をそれぞれ{0,2}に変換する演算命令を、命令U1の直前にエイリアスID変換演算命令R1として挿入する。同様に、ポインタエイリアスID演算命令挿入部342は、pのエイリアスID変数が取り得る値{0,1}をそれぞれ{0,2}に変換する演算命令を、命令U2の直前にエイリアスID変換演算命令R2として挿入する。
さらに、関数PointerTestから呼び出される関数GetData内において、ポインタaaが参照しうるオブジェクトは、エイリアスID変数aa_3e859b0によって、その特定が可能となる。
以上説明したように、ポインタ通信補助命令生成部34は、構文解析部31が生成した中間語にポインタのエイリアスID演算命令を挿入し、ポインタエイリアスID演算命令を含むプログラムを生成することができる。したがって、ポインタが参照するオブジェクトの特定が可能となる。
(スレッド間データ通信命令挿入部36の説明)
スレッド間データ通信命令挿入部36は、ポインタ通信補助命令生成部34によってポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラムと、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とを入力し、スレッド間における通信命令をポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラムに挿入する。スレッド間データ通信命令挿入部36は、データ送信命令挿入部351Cと、データ受信同期命令挿入部352Cと、スレッド起動命令挿入部353とを含んで構成されている。
(データ送信命令挿入部351Cの説明)
データ送信命令挿入部351Cは、ポインタ通信補助命令生成部34によってポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラムと、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とを入力し、そのスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を参照して、そのプログラム内のスレッド出力データを生成する命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入するものである。以下、図8、図11および図31を用いて、データ送信命令挿入部351Cの機能の一例について説明する。
図31は、ポインタエイリアスIDの演算命令を含むプログラムにスレッド間データ送信命令およびスレッド間データ受信同期命令が挿入された結果を示すプログラムグラフである。図31に示すように、データ送信命令挿入部351Cは、スレッド間データ送信命令V1〜V10を挿入し、データ受信同期命令挿入部352Cは、スレッド間データ受信同期命令W1〜W7を挿入する。スレッド間データ受信同期命令W1〜W7の説明については後記する。
データ送信命令挿入部351Cは、例えば、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130Aのスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、スレッド入力データ参照命令「13:USE」のスレッド出力データ生成命令「13:DEF」を見付ける。また、データ送信命令挿入部351Cは、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照して、スレッド出力データ生成命令「13:DEF」のスレッド名「p1」および命令「sigOut = $31」を取得する。同様に、データ送信命令挿入部351Cは、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照して、スレッド入力データ参照命令「13:USE」のスレッド「p2」および命令「sigOut += $34」を取得する。その後、データ送信命令挿入部351Cは、スレッド出力データ生成命令「13:DEF」の出力データ「sigOut」からスレッド「p2」にあるスレッド入力データ参照命令「13:USE」の「sigOut」にデータを送信する命令(スレッド間データ送信命令)V1「DT:sigOut => (p2:sigOut)」を、ポインタ通信補助命令生成部34によってポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラム内のスレッド出力データ生成命令「sigOut = $31」の直前に挿入する。図31では、データを送信する命令をDT(Data Transfer)で示している。
同様な方法により、データ送信命令挿入部351Cは、ポインタ通信補助命令生成部34によってポインタエイリアスID演算命令が挿入されたプログラム内にスレッド間データ送信命令V2〜V10を挿入する。
また、データ送信命令挿入部351Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令およびスレッド間データ送信命令を含むプログラムは、データ受信同期命令挿入部352Cに引き渡される。
(データ受信同期命令挿入部352Cの説明)
データ受信同期命令挿入部352Cは、データ送信命令挿入部351Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令およびスレッド間データ送信命令を含むプログラムと、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110A(図8参照)と、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)とを入力し、そのスレッド間データ依存命令対情報130A(図11参照)を参照して、そのプログラム内のスレッド入力データを参照する命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入するものである。以下、図8、図11および図31を用いて、データ受信同期命令挿入部352Cの機能の一例について説明する。
データ受信同期命令挿入部352Cは、例えば、スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部332によって生成されたスレッド間データ依存命令対情報130Aのスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令リストを参照して、スレッド入力データ参照命令「13:USE」を見付ける。また、データ受信同期命令挿入部352Cは、出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部327によって抽出された出力データ生成命令・入力データ参照命令情報110Aを参照して、スレッド入力データ参照命令「13:USE」の命令「sigOut += $34」を取得する。その後、データ受信同期命令挿入部352Cは、スレッド入力データ参照命令「13:USE」のスレッド入力データ「sigOut」によるスレッド間データの受信同期命令(スレッド間データ受信同期命令)W1「DS:sigOut」を、データ送信命令挿入部351Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令およびスレッド間データ送信命令を含むプログラム内のスレッド入力データ参照命令「sigOut += $34」の直前に挿入する。図31では、データの受信同期命令をDS(Data Synchronize)で示している。
同様な方法により、データ受信同期命令挿入部352Cは、データ送信命令挿入部351Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令およびスレッド間データ送信命令を含むプログラム内にスレッド間データ受信同期命令W2〜W7を挿入する。これにより、データが受信されていない場合、処理が一時停止し、受信後に次の命令が実行可能になる(データ受信要求を明示的に発行するわけではない)。
また、データ受信同期命令挿入部352Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令、スレッド間データ送信命令およびスレッド間データ受信同期命令を含むプログラムは、スレッド起動命令挿入部353に引き渡される。
(スレッド起動命令挿入部353の説明)
スレッド起動命令挿入部353は、データ受信同期命令挿入部352Cによって生成されたポインタエイリアスID演算命令、スレッド間データ送信命令およびスレッド間データ受信同期命令を含むプログラムと、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報とを入力し、その命令ブロック情報を参照して、スレッドが制御依存する分岐命令において、そのスレッドに到達する分岐枝の直後にスレッドを起動する命令(スレッド起動命令)を挿入する。以下、図32を用いて、スレッド起動命令挿入部353の機能の一例について説明する。
図32は、ポインタエイリアスIDの演算命令、スレッド間データ送信命令およびスレッド間データ受信同期命令を含むプログラムにスレッド起動命令が挿入された結果を示すプログラムグラフである。図32に示すように、スレッド起動命令挿入部353は、スレッド起動命令X1を挿入する。
スレッド起動命令挿入部353は、命令ブロック抽出部324によって生成された命令ブロック情報を参照して、スレッド(p1〜p5)が制御依存する分岐命令として分岐ブロックB1を見付ける。それらのスレッドに到達する分岐枝(分岐ブロックB1から命令ブロックA3に接続される分岐枝)の直後にスレッド(p1〜p5)を起動する命令(スレッド起動命令)X1を挿入する。図32では、スレッドを起動する命令をCT(Control Transfer)で示している。
また、スレッド起動命令挿入部353によって生成されたポインタエイリアスID演算命令、スレッド間データ送信命令、スレッド間データ受信同期命令およびスレッド起動命令を含むプログラムは、プログラム分割・コード生成部39に引き渡される。
以上説明した第3の実施形態によれば、プログラム処理装置1Cは、ポインタ変数を含む並列処理プログラム50Dを解析して、ポインタの通信処理およびポインタ参照データの通信処理を行う場合であっても、分散メモリシステムに適用可能な通信命令を含む分割プログラム55Dを生成することが可能である。
また、プログラム処理装置1C(図23参照)のハードウェア構成については、プログラム処理装置1A(図1参照)のハードウェア構成と変わらないため、説明を省略する。
図33は、第3の実施形態における通信命令挿入処理S40Cの詳細を示すフローチャートである。図33を参照して(適宜図23参照)、通信命令挿入処理S40Cについて説明する。この通信命令挿入処理S40Cは、第1の実施形態における通信命令挿入処理S40Aに対応するものである。
図33に示すように、まず、データ送信命令挿入部351Cは、ポインタ通信補助命令生成処理S41を行い、ポインタエイリアスID演算命令を含むプログラムを生成する。このポインタ通信補助命令生成処理S41の詳細な説明については後記する。また、データ送信命令挿入部351Cは、ポインタエイリアスID演算命令を含むプログラム内のスレッド入力データ参照命令のスレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入する(S42C)。さらに、データ受信同期命令挿入部352Cは、ポインタエイリアスID演算命令およびスレッド間データ送信命令を含むプログラム内のスレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入する(S43C)。その後、スレッド起動命令挿入部353は、ポインタエイリアスID演算命令、スレッド間データ送信命令およびスレッド間データ受信同期命令を含むプログラム内のスレッドが制御依存する分岐命令において、そのスレッドに到達する分岐枝の直後にスレッド起動命令を挿入する(S44C)。これらの処理により、通信命令挿入部35Cは、構文解析部31によって生成された中間語に通信命令(ポインタエイリアスID演算命令、スレッド間データ送信命令、スレッド間データ受信同期命令およびスレッド起動命令を含む通信命令)を挿入することができる。
図34は、ポインタ通信補助命令生成処理S41の詳細を示すフローチャートである。図34を参照して(適宜図23参照)、ポインタ通信補助命令生成処理S41について説明する。
図34に示すように、まず、スレッド間転送ポインタ抽出部341は、スレッド間で転送されるポインタを抽出する(S411)。次に、スレッド間転送ポインタ抽出部341は、構文解析部31によって生成された中間語内のスレッド間で転送されるポインタを定義する命令に対してポインタエイリアスID演算命令を挿入する(S412)。これらの処理により、スレッド間転送ポインタ抽出部341は、構文解析部31によって生成された中間語にポインタエイリアスID演算命令を挿入することができる。
以上の第1の実施形態ないし第3の実施形態に係るプログラム処理装置によれば、プログラマ等が逐次プログラムに簡単な記述を追加するだけで、マルチプロセッサシステムが高性能な並列処理を実行するための実行コードを生成することが可能である。
(マルチプロセッサシステム)
以下、図面(図35〜図42)を用いて本発明の実施形態におけるマルチプロセッサシステムについて説明する。
図35は、マルチプロセッサシステム全体の構成を示す図である。図35に示すように、プロセッサP(P0)、プロセッサP(P1)およびプロセッサP(P2)が通信ネットワークCSによって接続されている。ここで、プロセッサの数は特に限定されるものではない。
プロセッサPは、プロセッサ間通信処理部(処理部)(以下、「通信処理部60」と表す)と、プロセッサ内処理部(処理部)(以下、「プログラム処理部70」と表す)と、ローカルメモリ(記憶部)80とを含んで構成される。通信処理部60は、プログラム処理部70との同期を行うことで、プロセッサP間での通信を実行し、プロセッサP間の通信データハザードを検出する機能を有する。また、プログラム処理部70は、ローカルメモリ80に格納された実行コード(プログラム処理装置1Cによって生成された通信命令を含む分割プログラム55D(図23参照))に基づいて処理を行い、通信処理部60が検出したデータハザードの検出結果に応じて、実行コードの実行または中断状態を制御する機能を有する。実行コードに含まれる通信命令は、プログラム処理部70と通信処理部60とが協調しながら実行する。
なお、図35には、プロセッサP0の構成が示されている。プロセッサP1およびプロセッサP2の構成については、プロセッサP0の構成と同様であるため、図35には示されていない。
通信処理部60は、プログラム処理部70からのデータ送信指令を受け、受信側のプロセッサにデータを送信する。一方、受信側の通信処理部60は、受信したデータをローカルメモリ80に格納する。
プログラム処理部70は、外部データを参照する命令を実行する際に、その外部データが未受信の場合、データが到着するまで命令の実行を中断する。また、データ送信命令を実行する際、通信ネットワークCSの状態または送信先のプロセッサの状態によってデータ送信ができない場合も、データ送信障害が解消されてデータ送信が完了するまで処理を中断する。
通信が必要なプロセッサ対には、通信チャネルが割り当てられているとする。通信チャネルは、ルータを用いたパケット通信方式、回路スイッチング方式や、リコンフィギャラブルスイッチングネットワーク等の通信ネットワークによって実現される。
図36は、通信処理部60の詳細な構成を示す図である。
図36に示すように、通信処理部60は、データ受信部61と、データ通信ポートテーブル62と、データ送信部63とを含んで構成される。
データ受信部61は、各入力ポートに独立に割り当てられたFIFO(first-in-first-out)型受信バッファ61aを含み、これら受信バッファ61aは、各入力ポートから受信するデータをローカルメモリ80へ書き込む操作を制御する。
受信バッファ61aは、バッファメモリ61bと、状態フラグ61cと、カウンタ61dとを含んで構成される。
バッファメモリ61bは、受信データを一時的に格納する。
状態フラグ61cは、バッファの3つの状態("empty”, “full”, “non-empty”)を示す。”empty”は、受信データがローカルメモリ80にもバッファメモリ61bにも存在しない状態を表し、”full”はバッファメモリ61bが埋まった状態を表し、”non-empty”は”empty”でも”full”でもない状態を表す。
カウンタ61dは、バッファメモリ61bに格納されているデータブロック数を示す。ここで、データブロックとは、一回のデータ通信で転送されるデータの集合である。
受信バッファ61aは、ループ(繰り返し実行される処理)の内部に別々のプロセッサが並列実行するスレッドが埋め込まれている場合に、これらのスレッド間(プロセッサ間)で繰り返し発生するデータ通信を一時的にバッファリングするために設けられており、このことにより、これらのスレッド(プロセッサ)がパイプライン方式で並列実行することが可能になる。
図37は、データ通信ポートテーブル62のデータ構造を示す図である。
図37に示すように、データ通信ポートテーブル62は、プロセッサ間データ通信を実行するためのポート情報620を保持するテーブルであり、各プロセッサの通信処理部60(図36参照)の中に搭載されるものである。ポート情報620は、ポートID621と、ポートタイプ622と、ポートサイズ623と、ポートアドレス624と、ポートバッファアドレス625と、エイリアスIDアドレス626と、送信先テーブル627と、ポートエイリアステーブル628とを含んで構成される。
ポートID621は、データ送信命令の中で、送信データを指定するためのIDである。
ポートタイプ622は、通信方向(入力、出力)、データタイプ(直接アクセスデータ、間接アクセスデータ、ポインタデータ)などの種別を表すものである。
ここで、「直接アクセスデータ(直接アクセス型データ)」とは、ポインタ型データ以外の、データ格納アドレスが静的に定まる関数内ローカル変数またはグローバル変数を指す。「間接アクセスデータ(ポインタ参照データ)」とは、ポインタによってその格納アドレスが定まるデータを指す。「ポインタデータ」とは、ポインタ型データを指す。
ポートサイズ623は、ポートが扱うデータの大きさでありバイト単位で表す。
ポートアドレス624は、データが格納されているローカルメモリ80内のアドレスを表すものである。
ポートバッファアドレス625は、受信データを一時的に格納するポートバッファ(受信バッファ)へのポインタ(受信データを一時的に格納するポートバッファ(受信バッファ)のアドレス)である。なお、ポートバッファアドレス625は、ポートタイプ622の通信方向が入力のときに有効となる情報である。
エイリアスIDアドレス626は、エイリアスID変数が格納されているローカルメモリ80内のアドレスを表すものである。なお、エイリアスIDアドレス626は、ポートタイプ622のデータタイプが間接アクセスデータまたはポインタデータのときに有効となる情報である。
送信先テーブル627は、送信先プロセッサのプロセッサID627aと、ポートID627bとを保持するものである。ここで、プロセッサID627aは、送信先プロセッサを識別するためのIDであり、ポートID627bは、送信先プロセッサへデータ送信要求と一緒に送信するデータIDとして使用するものである。
ポートエイリアステーブル628は、送信データがポインタを介した「間接アクセスデータ」や、「ポインタデータ」の場合、ポインタのエイリアスオブジェクトのエイリアスID、データサイズ、データ格納アドレスなどを含んだポインタエイリアスに関する情報を(それぞれエイリアスID628a、オブジェクトサイズ628b、オブジェクトアドレス628cとして)テーブル化したものである。
図36に戻って、図37を参照しながら、通信処理部60の構成の説明を続ける。
データ送信部63は、プログラム処理部70によってデータ送信命令が実行されると、プログラム処理部70から送信データに対応するポートIDを受け取る。
また、データ送信部63は、送信データに対応するポートIDを受け取ると、データ通信ポートテーブル62内からそのポートIDにマッチするポート情報620を取得する。
さらに、データ送信部63は、ポート情報を取得すると、各送信先プロセッサに対して、データ送信要求を出し、送信許可が返信されるまで待ち続ける。データ送信要求には、受信ポートID、エイリアスIDなどの通信情報が付加される。ここで、エイリアスIDには、送信データがポインタを介した間接アクセスデータまたはポインタデータである場合は、実行コード(実行プログラム)中のエイリアスID演算命令によって適宜更新されているポインタのエイリアスID変数の値を使用し、送信データが直接アクセスデータである場合は、任意の値を使用する。
また、データ送信部63は、ポートタイプが間接アクセスデータまたはポインタデータの場合は、ポートエイリアステーブル628の当該エイリアスID628aがポインタのエイリアスID変数の値と一致する情報(以下、ポートエイリアス情報ともいう)を取得する。
さらに、データ送信部63は、ここで、ポートタイプに応じた方法で、ローカルメモリ80から送信データを読み出し、通信ネットワークCSを介して送信する。ポートタイプに応じた方法とは、ポートタイプが直接アクセスデータの場合は、ポートアドレス624に格納アドレスからデータを読み出して送信先プロセッサに送信し、ポートタイプが間接アクセスデータの場合は、ポートエイリアステーブル628から取得したポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス628cによって指定されるアドレスからデータを読み出して送信先プロセッサに送信し、ポートタイプがポインタデータの場合は、ポインタ値からポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス628cを引いたポインタオフセット値を計算し、このオフセット値を送信先プロセッサに送信する。
データ受信部61は、送信元プロセッサからデータ送信要求を受信する。
また、データ受信部61は、データ送信要求の中に含まれている通信情報(受信ポートID、エイリアスID)を用いて、データ通信ポートテーブル62内の該当ポートIDを持つポート情報620を取得する。
さらに、データ受信部61は、ポートタイプが「間接アクセスデータ」または「ポインタデータ」の場合は、ポートエイリアステーブル(図37参照)の当該エイリアスID628aがポインタのエイリアスID変数の値と一致するポートエイリアス情報を取得する。
さらに、データ受信部61は、受信データを一時的に格納する受信バッファ61aを、ポート情報に含まれるポートバッファアドレス625(図37参照)を用いて選択する。
また、データ受信部61は、データ受信障害がない場合、データ送信許可を返信する。データ受信障害とは、別のプロセッサからのデータ送信が進行している場合や、複数のプロセッサから同時にデータ送信要求が到着し、その中で優先度が一番高いものではない場合、受信バッファ61aの状態フラグ61cが”full"の場合などである。また、データ受信部61は、データ受信障害がある場合、データ送信不許可を返信し、受信を拒否する。
また、データ受信部61は、通信ネットワークCSを介して受信したデータを、ポートタイプに応じた方法で受信バッファ61aに転送する。ここで、ポートタイプに応じた方法とは、ポートタイプが直接アクセスデータの場合は、受信データを受信バッファ61aに転送し、ポートタイプが間接アクセスデータの場合は、受信データとエイリアスIDを受信バッファ61aに転送し、ポインタデータの場合は、受信したポインタオフセット値にポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス628cを加えてポインタ値を計算し、このポインタ値とエイリアスIDを受信バッファ61aに転送する方法である。
受信バッファ61aは、データ受信部61から転送データを受け取ると、受信バッファ61aの状態フラグ61cに応じてローカルメモリ80への書込み操作を制御する。
状態フラグ61cが”empty”の場合は、受信バッファ61aは、データ受信部61から受け取った転送データをローカルメモリ80へ直接書き込む。このときの書込み先アドレスは、ポートタイプが直接アクセスデータまたはポインタデータの場合は、ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)であり、ポートタイプが間接アクセスデータの場合は、ポートエイリアス情報(ポートエイリアステーブル628から取得した情報)に含まれるオブジェクトアドレス(オブジェクトアドレス628cによって指定されるアドレス)である。さらに、受信バッファ61aは、ポートタイプが間接アクセスデータまたはポインタデータの際には、転送データとともにデータ受信部61から受け取ったエイリアスIDを、エイリアスIDアドレス(エイリアスIDアドレス626によって指定されるアドレス)に格納する。
状態フラグ61cが”non-empty”の場合は、ローカルメモリ80に受信データが存在していることを意味するので、受信バッファ61aは、データ受信部61から受け取った転送データをバッファメモリ61bへ書き込む。
受信バッファ61aに蓄えられるデータは、現在のスレッド処理では参照されずに(現在のスレッド処理で参照する受信データがすでに存在するので)、次回のスレッド処理以降で参照されるデータである。
状態フラグ61cが”empty”または”non-empty”のいずれの場合も、受信データを格納後、状態フラグ61cは、”non-empty”または”full”になる。
受信バッファ61aの状態フラグ61cが初めから”full"のときは、前記説明の通り受信を拒否するので、データが受信バッファ61aに転送されることはない。
プログラム処理部70において現在のスレッド処理が終了した場合、スレッド終了信号がデータ受信部61に送信される。データ受信部61は、このスレッド終了信号を受けて、各受信バッファ61aにおいて、カウンタ61dが1以上の場合、即ちバッファメモリ61bにデータが蓄えられている場合、先頭データブロックをローカルメモリ80に書き込む。このときの書込み先アドレスは、データ通信ポートテーブル62から得られるポート情報620およびポートエイリアス情報(ポートエイリアステーブル628から取得した情報)をアクセスし、ポートタイプが直接アクセスデータまたはポインタデータの場合は、ポートアドレス624に格納されているアドレスを使用し、ポートタイプが間接アクセスデータの場合は、ポートエイリアス情報に含まれるオブジェクトアドレス628cに格納されているアドレスを使用する。
さらに間接アクセスデータまたはポインタデータの際に同時にバッファメモリ61bに格納されているエイリアスIDは、エイリアスIDアドレス626に格納される。
前記説明の通り、スレッド処理が終了した時に、受信バッファ61aに一時的に蓄えられた先頭データブロックをローカルメモリ80に自動的に転送する機能は、次回のスレッド処理で参照されるデータを直ちに参照可能にするために必要である。
また、前記説明の通り、プログラム処理部70によってデータ送信命令が実行されると、データ送信部63は、各送信先プロセッサに対して、データ送信要求を出し、送信許可が返信されるまで待ち続けるが、この間データ出力ハザードが発生し、データ送信部63は、その出力データハザードが解消されるまで、プログラム処理部70における以降の命令実行を中断させる信号を発生する。
プログラム処理部70においてデータ受信同期命令が実行された場合、受信データに対応する受信バッファアドレスをプログラム処理部70がデータ受信部61へ転送し、当該受信バッファアドレスに対応する受信バッファ61aの状態フラグ61cが”empty”の場合、データ入力ハザードが発生し、データ受信部61は、このハザードが解消されるまで、プログラム処理部70における以降の命令実行を中断させる信号を発生する。
図38は、データ送信処理の流れを示すフローチャートである。図38を参照(適宜図36および図37参照)して、データ送信処理の流れを説明する。
まず、プログラム処理部70は、データ送信命令を実行し(S101)、ポートID(送信ポートID)をデータ送信部63に転送する(S102)。
データ送信部63は、ポートID(受信ポートID)を受信し、データ通信ポートテーブル62からポート情報620を取得する(S103)。データ送信部63は、ポート情報620を取得すると、各送信先プロセッサに対して、受信ポートID、エイリアスIDなどの通信情報が付加されたデータ送信要求を送信し、送信許可を受信するまで待機する(S104)。データ送信部63は、取得したポート情報620内のポートタイプ622の判定を行う(S105)。ポートタイプ622が「間接アクセスデータ」または「ポインタデータ」の場合は(S105で「間接アクセスデータ」or「ポインタデータ」)、データ送信部63は、ポートエイリアステーブル628からポートエイリアス情報を取得し(S106)、S107に進む。ポートタイプ622が「直接アクセスデータ」の場合は(S105で「直接アクセスデータ」)、S107に進む。
S107では、データ送信部63は、取得したポート情報620内のポートタイプ622の判定を行う(S107)。ポートタイプ622が「直接アクセスデータ」の場合は(S107で「直接アクセスデータ」)、データ送信部63は、ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)からデータを読み出して、送信データとして設定する(S108)。ポートタイプ622が「間接アクセスデータ」の場合は(S107で「間接アクセスデータ」or「ポインタデータ」)、データ送信部63は、(ポートエイリアステーブル628から取得したポートエイリアス情報の)オブジェクトアドレス(オブジェクトアドレス628cによって指定されるアドレス)からデータを読み出して、送信データとして設定する(S109)。ポートタイプ622が「ポインタデータ」の場合は、データ送信部63は、ポインタオフセット値を送信データとして設定する(S110)。ポインタオフセット値は、ポインタ値からポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス628cを引いて算出する。データ送信部63は、通信ネットワークCSを介して送信データを(送信先プロセッサに)送信する(S111)。
図39は、データ受信処理の流れを示すフローチャートである。図39を参照(適宜図36および図37参照)して、データ受信処理の流れを説明する。
まず、データ受信部61は、送信元プロセッサからデータ送信要求を受信し(S201)、受信したデータ送信要求内の通信情報を用いて、データ通信ポートテーブル62からポート情報620を取得する(S202)。データ受信部61は、取得したポート情報620内のポートタイプ622の判定を行う(S203)。ポートタイプ622が「間接アクセスデータ」または「ポインタデータ」の場合は(S203で「間接アクセスデータ」or「ポインタデータ」)、データ受信部61は、ポートエイリアステーブル628からポートエイリアス情報を取得し(S204)、S205に進む。ポートタイプ622が「直接アクセス」の場合は(S203で「直接アクセスデータ」)、S205に進む。
S205では、データ受信部61は、受信障害があるか否かを判定する(S205)。データ受信部61は、受信障害があると判定した場合(S205で「あり」)、送信不許可を返信し(S206)受信処理を終了する。受信障害がないと判定した場合(S205で「なし」)、送信許可を返信し(S207)、S208に進む。
S208では、データ受信部61は、通信ネットワークCSを介してデータを受信する(S208)。また、データ受信部61は、取得したポート情報620内のポートタイプ622の判定を行う(S209)。ポートタイプ622が「直接アクセスデータ」の場合は(S209で「直接アクセスデータ」)、データ受信部61は、受信データを受信バッファ61aに転送する(S210)。ポートタイプ622が「間接アクセスデータ」の場合は(S209で「間接アクセスデータ」)、データ受信部61は、受信データとエイリアスIDからなるデータブロックを受信バッファ61aに転送する(S211)。ポートタイプ622が「ポインタデータ」の場合は(S209で「ポインタデータ」)、データ受信部61は、受信したポインタオフセット値から計算したポインタ値と受信エイリアスIDからなるデータブロックを受信バッファに転送する(S212)。ポインタ値は、受信したポインタオフセット値にポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス628cを加えて算出される。
図40は、受信バッファにおける転送データ格納処理の流れを示すフローチャートである。図40を参照(適宜図36および図37参照)して、受信バッファ61aにおける転送データ格納処理の流れを説明する。
受信バッファ61aは、データ受信部61から転送データを受け取り(S301)、状態フラグ61cの判定を行う(S302)。
状態フラグ61cが”empty”でなければ(S302でNo」)、バッファメモリ61bに受信データを格納する(S303)。
状態フラグ61cが”empty”であれば(S302でYes」)、データはローカルメモリ80に格納されるので、さらにポートタイプの判定を行う(S304)。ポートタイプが「直接アクセスデータ」の場合は(S304で「直接アクセスデータ」)、受信バッファ61aは、(ポート情報620の)ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)に受信データを書き込む(S305)。ポートタイプが「間接アクセスデータ」の場合は(S304で「間接アクセスデータ」)、受信バッファ61aは、ポートエイリアス情報のオブジェクトアドレス(オブジェクトアドレス628cによって指定されるアドレス)に受信データを書き込み、さらに、(データ受信部61から受信した)エイリアスIDをエイリアスIDアドレス(エイリアスIDアドレス626によって指定されるアドレス)に書き込む(S306)。ポートタイプ622が「ポインタデータ」の場合は(S304で「ポインタデータ」)、受信バッファ61aは、ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)に受信データを書き込み、さらに、エイリアスIDをエイリアスIDアドレス(エイリアスIDアドレス626によって指定されるアドレス)に書き込む(S307)。
図41は、スレッド処理終了時の受信バッファ更新処理の流れを示すフローチャートである。図41を参照(適宜図36および図37参照)して、スレッド処理終了時の受信バッファ更新処理の流れを説明する。
プログラム処理部70が、現在のスレッド処理を終了した後にスレッド処理終了信号をデータ受信部61に送信し(S401)、データ受信部61は、すべての受信バッファ61aについて以下の処理(図41の破線で囲まれた処理)を行う。
データ受信部61は、各受信バッファ61aにおいて、そのカウンタ61dが1以上か否かの判定を行う(S402)。1以上の場合(S402でYes)、バッファメモリ61bにデータが格納されていることを意味するので、バッファメモリ61bに格納されている先頭データブロックを読出し(S403)、さらにデータ通信ポートテーブル62からポートID621をもとに該当するポート情報620を取得し(S404)、ポートタイプ622の判定を行う(S405)。
ポートタイプ622が「直接アクセスデータ」の場合は(S405で「直接アクセスデータ」)、受信バッファ61aは、(ポート情報620の)ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)に受信データを書き込む(S406)。ポートタイプ622が「間接アクセスデータ」の場合は(S405で「間接アクセスデータ」)、受信バッファ61aは、(ポートエイリアス情報の)オブジェクトアドレス(オブジェクトアドレス628cによって指定されるアドレス)に受信データ(バッファメモリ61bに格納されているデータ)を書き込み、さらに、エイリアスID(バッファメモリ61bに格納されているデータ)をエイリアスIDアドレス(エイリアスIDアドレス626によって指定されるアドレス)に書き込む(S407)。ポートタイプ622が「ポインタデータ」の場合は(S405で「ポインタデータ」)、受信バッファ61aは、ポートアドレス(ポートアドレス624によって指定されるアドレス)に受信データを書き込み、さらに、エイリアスIDをエイリアスIDアドレス(エイリアスIDアドレス626によって指定されるアドレス)に書き込む(S408)。
図42は、通信データ入力ハザード検出処理の流れを示すフローチャートである。図42を参照(適宜図36および図37参照)して、通信データ入力ハザード検出処理の流れを説明する。
プログラム処理部70がデータ受信同期命令を実行した場合(S501)、受信データに対応する受信バッファ61aのアドレスをプログラム処理部70がデータ受信部61に転送し(S502)、S503に進む。
S503では、データ受信部61は、受け取った受信バッファ61aのアドレスを用いて該当する受信バッファ61aを選択し、その状態フラグ61cの判定を行う(S503)。
状態フラグ61cが”empty”の場合は(S503でYes)、命令中断フラグをプログラム処理部70に通知し(プログラム処理部70に命令の実行を中断させる信号を発生し)(S504)、S503に戻る。状態フラグ61cが”empty”でない場合は(S503でNo)、処理を終了する。
以上の実施形態において説明したように、本実施形態におけるマルチプロセッサシステムは、プログラム処理装置によって生成された通信命令を含む実行コードに基づいて処理を行なうので、データフローマシン型のデータ駆動制御方式により行う通信処理部が、通信されたデータの中で起動すべき命令ブロックを指定する必要がなくなり、複雑なハードウェア構成が不要となる。また、通信処理部とプログラム処理部とが構造的に分離されながらも、通信処理部におけるデータ通信ハザード検出とプログラム処理部における処理の実行または中断状態の制御を密に同期させることが可能となり、プロセッサ間通信で発生する遅延時間を短縮することができる。さらに、マルチプロセッサシステムで必要とされるデータ送受信や同期処理機能をすべて通信処理部が備える構成をとることにより、プログラム制御方式により処理を行う部分(プログラム処理部)として、例えば既存のマイクロプロセッサを使用する構成も可能となり、プログラム処理部のプログラムの開発が容易になり、高性能なマルチプロセッサシステムの開発が容易になる。
また、通信処理部がポートエイリアス情報を備えることにより、ポインタデータやポインタ参照データを異なるメモリ空間を持つプロセッサ間で共有することを可能にし、並列処理プログラムの開発の上で大きな自由度を提供できる。
さらに、通信データ入力ハザード検出処理により、データ受信部61は、他のプロセッサから送信されるデータの個別の受信状態を瞬時に調べ、必要な外部データが未受信の場合は、直ちにプログラム処理部70における処理の実行を中断させる機能を備えているため、命令ブロック内で参照する外部データがすべて揃う前にプログラム処理部70における処理の実行を開始することが可能であり、データ待機時間を大幅に短縮することができる。
第1の実施形態に係るプログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。 第1の実施形態に係るスレッド記述追加前のプログラムの一例である。 第1の実施形態に係るスレッド記述追加後のプログラム(並列処理プログラム)の一例である。 第1の実施形態に係る中間語から命令ブロックを抽出した結果を示すプログラムグラフである。 第1の実施形態に係る中間語から命令ブロック入出力データを抽出した結果を示すプログラムグラフである。 第1の実施形態に係る中間語からデータ依存枝を生成した結果を示すプログラムグラフである。 第1の実施形態に係るデータ依存枝情報を示す表である。 第1の実施形態に係る出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を示す表である。 第1の実施形態に係るスレッド間データ依存枝情報を示す表である。 第1の実施形態に係るスレッド出力データ生成命令の探索方法を説明するための図である。 第1の実施形態に係るスレッド間データ依存命令対情報を示す表である。 第1の実施形態に係るプログラム処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係るプログラム処理装置の動作を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係るデータ依存性抽出処理の流れを示すフローチャートである。 第1の実施形態に係るスレッド間データ依存性抽出処理の詳細を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る通信命令挿入処理の詳細を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るプログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。 第2の実施形態に係る並列処理プログラムの一例である。 第2の実施形態に係る中間語から命令ブロック入出力データを抽出した結果を示すプログラムグラフである。 第2の実施形態に係るデータ構造の依存性を説明するための図である。 第2の実施形態に係るデータ依存枝情報を示す表である。 第2の実施形態に係る出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を示す表である。 第3の実施形態に係るプログラム処理装置の機能例を示す機能ブロック図である。 第3の実施形態に係る並列処理プログラムの一例である。 第3の実施形態に係る中間語から命令ブロック入出力データを抽出した結果を示すプログラムグラフである。 第3の実施形態に係るデータ依存枝情報を示す表である。 第3の実施形態に係る出力データ生成命令・入力データ参照命令情報を示す表である。 第3の実施形態に係る並列処理プログラムの一例である。 第3の実施形態に係る並列処理プログラム内の呼び出し先の関数のプログラムグラフである。 第3の実施形態に係る並列処理プログラム内の呼び出し元の関数のプログラムグラフである。 第3の実施形態に係る中間語にデータ送信命令およびデータ受信同期命令を挿入した結果を示すプログラムグラフである。 第3の実施形態に係る中間語にスレッド起動命令を挿入した結果を示すプログラムグラフである。 第3の実施形態に係る通信命令挿入処理の詳細を示すフローチャートである。 第3の実施形態に係るポインタ通信補助命令生成処理の詳細を示すフローチャートである。 マルチプロセッサシステム全体の構成を示す図である。 通信処理部の詳細な構成を示す図である。 データ通信ポートテーブルのデータ構造を示す図である。 データ送信処理の流れを示すフローチャートである。 データ受信処理の流れを示すフローチャートである。 受信バッファにおける転送データ格納処理の流れを示すフローチャートである。 スレッド処理終了時の受信バッファ更新処理の流れを示すフローチャートである。 通信データ入力ハザード検出処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1A、1B、1C プログラム処理装置
10 中央処理装置(処理部)
20 主記憶装置(処理部)
30A 並列処理コンパイラ
31 構文解析部
32A、32B、32C データ依存性抽出部
33 スレッド間データ依存性抽出部
34 ポインタ通信補助命令生成部
35A、35C 通信命令挿入部
36 スレッド間データ通信命令挿入部
39 プログラム分割・コード生成部
40 ファイル装置(記憶部)
50A、50B、50C、50D 並列処理プログラム
55A、55B、55C、55D 通信命令を含む分割プログラム
321 命令参照・生成データ抽出部
322 ポインタエイリアス解析部
323 関数内間接参照・生成データ抽出部
324 命令ブロック抽出部
325A、325B、325C 命令ブロック入出力データ抽出部
326 データ依存枝生成部
327 出力データ生成命令・入力データ参照命令抽出部
331 スレッド入出力データ抽出部
332 スレッド出力データ生成命令・スレッド入力データ参照命令抽出部
333 プロセッサ間通信命令挿入部
341 スレッド間転送ポインタ抽出部
342 ポインタエイリアスID演算命令挿入部
351A、351C データ送信命令挿入部
352A、352C データ受信同期命令挿入部
353 スレッド起動命令挿入部
IN 入力装置
OUT 出力装置
P プロセッサ
55 通信命令を含む分割プログラム
60 通信処理部
61 データ受信部
62 データ通信ポートテーブル
63 データ送信部
70 プログラム処理部
80 ローカルメモリ
620 ポート情報
622 ポートタイプ
623 ポートサイズ
624 ポートアドレス
627 送信先テーブル
628 ポートエイリアステーブル
628c オブジェクトアドレス
CS 通信ネットワーク

Claims (8)

  1. スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置であって、
    前記プログラム処理装置は、記憶部と、処理部とを備え、
    前記処理部は、
    前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成する構文解析部と、
    前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成するデータ依存性抽出部と、
    前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成するスレッド間データ依存性抽出部と、
    前記中間語を入力し、前記異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、前記中間語の当該ポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成するポインタ通信補助命令生成部と、
    前記第1のプログラムと前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成するスレッド間データ通信命令挿入部と、
    前記第2のプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換するプログラム分割・コード生成部と
    を備えることを特徴とするプログラム処理装置。
  2. 請求項1に記載のプログラム処理装置の記憶部に入力される並列処理プログラムであって、
    前記プログラム処理装置の処理部によって、各スレッド処理の開始地点と終了地点が、前記並列処理プログラム内に記述された予約されたキーワードまたは記号によって特定され、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性が付加され、当該スレッド属性に基づいて前記各スレッドが行う処理に分割され、実行コードに変換される
    ことを特徴とする並列処理プログラム。
  3. スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うプログラム処理装置によるプログラム処理方法であって、
    前記プログラム処理装置は、記憶部と、処理部とを備え、
    前記処理部は、
    前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成し、
    前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成し、
    前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成し、
    前記中間語を入力し、前記異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、前記中間語の当該ポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成し、
    前記第1のプログラムと前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成し、
    前記第2のプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換する
    ことを特徴とするプログラム処理方法。
  4. 記憶部を備え、スレッド記述が追加された並列処理プログラムを入力し、各スレッドに当該プログラムを分割し、マルチプロセッサシステムのための実行コードの生成を行うコンピュータに、
    前記記憶部に入力された前記並列処理プログラム中の各スレッドの開始地点および終了地点を、予約されたキーワードまたは記号によって特定し、特定された開始地点および終了地点によって指定されたスレッド領域に含まれる各演算命令にスレッド属性を付加した中間語を生成し、
    前記中間語を入力し、当該中間語から命令ブロック入出力データを抽出して、当該命令ブロック入出力データに基づいて、単一演算命令によって生成または参照されるデータの依存性である単一データ依存性に関する情報と、データ構造に作用する命令間のデータ依存性であるデータ構造依存性に関する情報と、ポインタ参照データに作用する命令間のデータ依存性であるポインタエイリアスデータ依存性に関する情報とを含むデータ依存枝情報を生成し、
    前記中間語と前記データ依存枝情報とを入力し、当該データ依存枝情報に基づいて、当該中間語から異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝と、当該データ依存枝に対応するスレッド出力データ生成命令およびスレッド入力参照命令とを抽出して、スレッド間データ依存命令対情報を生成し、
    前記中間語を入力し、前記異なるスレッド同士を接続するデータ依存枝の中からポインタデータを抽出し、前記中間語の当該ポインタデータを定義する命令の直前にポインタエイリアスID演算命令を挿入して、第1のプログラムを生成し、
    前記第1のプログラムと前記スレッド間データ依存命令対情報とを入力し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド出力データ生成命令の直後にスレッド間データ送信命令を挿入し、前記スレッド間データ依存命令対情報に基づいて、前記第1のプログラムの前記スレッド入力データ参照命令の直前にスレッド間データ受信同期命令を挿入し、スレッド起動命令をそのスレッドが制御依存する分岐命令または関数入り口箇所に挿入して、第2のプログラムを生成し、
    前記第2のプログラムを入力し、当該プログラムを各命令の前記スレッド属性に基づいて各スレッドに分割し、実行コードに変換することを
    実行させるための並列処理コンパイラ。
  5. 請求項4に記載の並列処理コンパイラを格納した記録媒体。
  6. 請求項1に記載のプログラム処理装置によって、並列処理プログラムが各スレッドに分割され、生成された実行コードに基づいて処理を行うマルチプロセッサシステムであって、
    前記マルチプロセッサシステムは、各プロセッサに記憶部と、処理部とを備え、
    前記処理部は、
    前記プロセッサ間の制御を、データフローマシン型のデータ駆動制御方式により行うプロセッサ間通信処理部と、
    前記プロセッサ内の制御を、ノイマン型プログラム駆動制御方式により行うプロセッサ内処理部と
    を備え、
    前記プロセッサ間通信処理部は、
    前記プロセッサ内処理部との同期を行うことで、前記プロセッサ間での通信を実行し、前記プロセッサ間の通信データハザードを検出する機能を有し、
    前記プロセッサ内処理部は、
    前記記憶部に格納された前記実行コードに基づいて処理を行い、前記データハザードの検出結果に応じて、前記実行コードの実行または中断状態を制御する機能を有する
    ことを特徴とするマルチプロセッサシステム。
  7. 前記記憶部は、
    ポート情報を保持するデータ通信ポートテーブルを格納し、
    当該ポート情報は、
    直接アクセス型データのプロセッサ間通信を行うためのデータサイズと、データ格納アドレスと、送信ポートIDの情報に加え、
    ポインタ参照データまたはポインタデータのプロセッサ間通信を行うためのポートエイリアス情報を含み、
    当該ポートエイリアス情報は、
    ポインタが参照し得るすべてのデータオブジェクトのデータサイズと、データ格納アドレスと、エイリアスIDとからなるポインタエイリアスに関する情報を含み、
    直接アクセス型データをプロセッサ間通信する場合は、
    送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    前記直接アクセス型データのポート情報を取得し、当該ポート情報のデータ格納アドレスにより当該直接アクセス型データの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、当該データ格納アドレスのデータと、前記送信ポートIDとを受信側の前記プロセッサに送信し、
    受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    受信した前記送信ポートIDからデータの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記データを当該データ格納アドレスに格納し、
    ポインタ参照データをプロセッサ間通信する場合は、
    送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    当該ポインタ参照データの前記ポートエイリアス情報を取得し、当該ポートエイリアス情報から当該ポインタが参照しているデータオブジェクトの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、前記送信ポートIDと、前記ポインタ参照データのエイリアスIDと、当該ポインタが参照しているデータオブジェクト全体とを受信側の前記プロセッサに送信し、
    受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    受信した前記送信ポートIDと、前記エイリアスIDとからデータオブジェクトの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記データオブジェクトを当該データ格納アドレスに格納し、
    ポインタデータをプロセッサ間通信する場合は、
    前記送信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    当該ポインタの前記ポートエイリアス情報を取得し、当該ポートエイリアス情報から当該ポインタが参照しているデータオブジェクトの送信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、当該ポインタの値から当該データ格納アドレスを引いたポインタオフセット値を計算し、前記送信ポートIDと、前記ポインタのエイリアスIDと、当該ポインタオフセット値とを受信側の前記プロセッサに送信し、
    前記受信側の前記プロセッサの前記プロセッサ間通信処理部が、
    受信した前記送信ポートIDと、前記エイリアスIDとからデータオブジェクトの受信側の前記プロセッサの前記記憶部におけるデータ格納アドレスを特定し、受信した前記ポインタオフセット値に当該データ格納アドレスを足すことによって前記受信側の前記プロセッサの前記記憶部で有効となるポインタ値を求め、前記受信側の前記プロセッサの前記記憶部に当該ポインタ値を格納する
    ことを特徴とする請求項6に記載のマルチプロセッサシステム。
  8. 前記プロセッサ内処理部は、
    外部データを最初に参照する命令の直前に前記プログラム処理装置によって挿入されたスレッド間データ受信同期命令を実行するにおいて、当該スレッド間データ受信同期命令に含まれる当該データの受信ポート情報を前記プロセッサ間通信処理部に転送し、
    前記プロセッサ間通信処理部は、
    当該受信ポート情報からデータ受信状態を調べ、データが未受信の場合は前記プロセッサ内処理部における処理の実行を中断させる
    ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のマルチプロセッサシステム。
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