JP2007192218A - ガスタービンエンジン構成要素を修復する方法及びガスタービンエンジン構成要素 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアフォイルを本来の形状に修復し、かつこのエアフォイルの寿命を延ばすタービンエアフォイルの翼弦幅の寸法を修復する方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジン構成要素を修復する方法は、タービンエアフォイルの後縁38をほぼ本来の寸法に戻すために、該エアフォイルを翼弦幅40の寸法に従って修復するステップを備える。タービンエアフォイルの後縁38の侵食部分が除去されて、充填材74が、レーザクラッド法によってこの後縁38に溶着される。レーザクラッド加工中は、充填材74がスロット46に入らないように、仕切り部材72が、このスロット46に挿入される。レーザクラッド加工後は、後縁38を本来の大きさに戻すように、この後縁38が機械加工される。この方法によって、後縁38が修復され、エアフォイルの寿命が延びると同時に空気力学的効率が回復する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ガスタービンエンジン構成要素の修復に関し、特にタービンエアフォイルの翼弦幅(chordwidth)の寸法を復元する方法に関する。
従来のガスタービンエンジンは、通常、交互に配置された回転するタービンブレード及び静止しているタービンベーンを有するタービン部を備える。燃焼器部からの高温ガスの流れが、タービンブレード及びベーンに対して膨張し、圧縮機部を駆動するエンジンの主軸に結合しているタービンブレードを回転駆動させる。
エンジンの作動中に、高温のガスによって、ブレード及びベーンの表面を腐食させる腐食環境が発生し、その結果、腐食による穴が頻繁に生じる。また、高温ガス、燃焼による煤、及び高温ガス流中の微粒子によって、タービンブレード及びベーンが磨耗するとともに、ブレード、ベーンならびに他のタービンエンジン構成要素の表面が侵食され、これにより、タービンエンジン構成要素の本来の設計寸法が頻繁に変化する。例えば、タービンベーンは、エアフォイルの形状に形成され、その前縁及び後縁の間に翼弦幅が画定される。エアフォイルの翼弦幅と厚さとの間のアスペクト比によって、タービンベーンの空気力学的な効率が決定される。不都合にも、タービンベーンの後縁は、タービンエンジンの作動中に磨耗や侵食を受けやすい。後縁が侵食されると、タービンベーンの翼弦幅の寸法長さが減少する。従って、翼弦幅とエアフォイル厚さとの間のアスペクト比が減少し、これにより、タービンベーンの空気力学的効率が低下する。
例えば、疲労による構成要素の微細な亀裂を修復するために、従来からエンジン構成要素を修復する方法が用いられてきたが、これらの方法は、いくらかの理由により好ましくない。1つの従来の修復方法は、微細な亀裂を修復するために、エンジン構成要素をろう付けすることを含む。通常、ろう付けは、微細な亀裂を充填するようにろう付け用の充填材を溶かすために、エンジン構成要素もしくはエンジン構成要素の比較的大きな領域を高温に加熱することを含む。この高温によって、エンジン構成要素に好ましくない残留熱応力が発生するとともに、修復領域の金属の微細構造に好ましくない変化が生じる可能性がある。
従って、高レベルの残留応力を発生させることなくエアフォイルを本来の形状に修復し、かつタービンエアフォイルの耐用年数を延ばすために、タービンエアフォイルを翼弦幅寸法に従って修復する方法が必要である。
本発明によるガスタービンエンジン構成要素の修復方法は、侵食された翼弦幅寸法を復元翼弦幅寸法にするために、タービンエアフォイルを翼弦幅寸法に従って修復することを含む。この方法は、タービンエアフォイルの後縁の侵食部分を除去するステップと、レーザクラッディングによる堆積によって、後縁の形状を再形成するステップと、を備える。
1つの例示的な方法においては、タービンエアフォイルは、該エアフォイルの後縁を貫通して延びているスロットを備える。仕切り部材は、レーザクラッディング用の充填材が、レーザクラッド加工中にスロットに入らないように、このスロットに挿入される。充填材が、仕切り部材に隣接して堆積し、スロットの一部分を再形成する。レーザクラッド加工中は、仕切り部材が、タービンエアフォイルの再形成された後縁から熱を逃がし、かつ熱影響領域の大きさを最小限にするヒートシンクとしても機能する。
従って、開示された例によって、タービンエアフォイルの後縁を、空気力学的効率を回復させるためにほぼ本来の翼弦幅寸法にするように修復する方法がもたらされる。
図1は、航空機用のガスタービンエンジンなどの実施例の燃焼機関10の選択した部分を示している。この実施例では、燃焼機関10は、圧縮機部12と、燃焼器部14と、タービン部16と、を備える。燃焼機関10は、周知の方法で作動し、圧縮空気即ち酸化剤を圧縮機部12から燃焼器部14に供給する。圧縮空気即ち酸化剤は、燃料と混合して反応し、高温のガス18の流れを発生させる。タービン部16によって、高温ガス18の流れが、圧縮機部12を動かす機械エネルギに変換される。排気ノズル20は、高温ガス18を燃焼機関10の外側に案内し、航空機や他の輸送手段にスラストを与える。
図示された実施例においては、タービン部16は、交互に列になっている回転式のエアフォイル即ちブレード22と、固定式のエアフォイル即ちベーン24と、を備える。ベーン24は、第1段、第2段、第3段、第4段などのそれぞれの段に配置される。ブレード22及びベーン24は、鋳造、鍛造、或いは他の周知の製造法によって、コバルトやニッケル超合金などの超合金金属材料から形成される。
図2に示されているベーン24の断面を参照すると、このベーン24は、前縁36と、後縁38と、を備える。燃焼機関10(図1)においては、前縁36は、概ね燃焼器部14に向けて配置され、後縁38は、概ね排気ノズル20に向けて配置される。
前縁36及び後縁38によって、ベーン24の翼弦幅(chordwidth)40が画定される。厚さ寸法42は、翼弦幅40を横断する向きである。図示された実施例においては、厚さ42に対する翼弦幅40のアスペクト比によって、ベーン24の空気力学的効率が、少なくとも部分的に決定される。即ち、比較的大きなアスペクト比が、より高い空気力学的効率に対応し、一方で比較的小さなアスペクト比が、より低い空気力学的効率に対応する。
ベーン24は、スロット46を画定するように後縁38に向けて延びている内部キャビティ44を備える。スロット46が、後縁38を貫通して開いている。タービンベーン24の内側のペデスタル48によって、該ベーン24の負圧面50及び正圧面52が支持される。内部キャビティ44及びスロット46によって、ベーン24の重量が低減されるとともに、該ベーン24の内部冷却が可能になる。
図3は、図2に示される一部分の詳細な図を示している。図示された実施例では、点線54は、後縁38の浸食された面を示している。一実施例においては、燃焼機関10の現場での運転の結果、侵食面54が生じる。実線56は、後縁38の本来の表面を示している。本来の表面56は、侵食前の後縁38の形状及び寸法を示している。従って、本来の表面56は、新たに製造されたベーン24の後縁38の鋳造時または鍛造時のままの状態であり得る。或いは、本来の表面56は、燃焼機関10の設計書に見られるような後縁38の設計時の寸法である。
時間が経つにつれて、燃焼器部14からの高温ガス18の摩擦、煤、或いは高温ガス流18中の微粒子によって、本来の表面56が浸食され、侵食面54が発生する。この侵食により、翼弦幅40の寸法が量58だけ縮小し、これによって、ベーン24の空気力学的効率が、上述のように低下する。
図4を参照すると、侵食面54を修復して本来の翼弦幅40に戻すために、後縁38の一部分55が、機械加工、研削、グリットブラスト、或いは他の周知の除去方法によって除去される。図示された実施例においては、該部分55が除去されて比較的平らな面70が形成され、これによりこの面70は、以下のように後縁38を再形成するためにレーザクラッディング部を溶着させる素地として機能する。
後縁38の一部分55が除去された後、レーザクラッディングによって、比較的平らな面70にクラッド材が溶着され、後縁38が再形成される。レーザクラッディングを行う前に、銅製の仕切り部材72が、後縁38のスロット46に挿入される。この銅製の仕切り部材72は、後縁38を再形成させるために用いられる充填材74(図5)が、レーザクラッド加工中にスロット46に入るのを防止する。これにより、レーザクラッド加工後にスロット46の形状を元に戻すために、該スロット46を機械加工する必要がない利点がもたらされる。
さらに、銅製の仕切り部材72は、レーザクラッド加工中に後縁38から熱(矢印73によって図示)を逃がすヒートシンクとして機能する。この仕切り部材72を通して熱を逃がすことによって、後縁38の熱影響領域の大きさが最小限になり、ひいては従来技術の溶接法やろう付け法に関する問題である熱ひずみが低減される。
図5を参照すると、充填材74は、粉末もしくは他の種類の充填材として、周知の方法で平らな面70に堆積され、後縁38を徐々に形成していく。一実施例においては、充填材74は、クラッディングを行った部分とベーン24の本来の超合金との間の接合を強化するために、該ベーン24を初めに形成するのに用いられた超合金と同様の組成になっている。別の実施例においては、充填材74は、AMS5837に記載されている規格による組成物である。
レーザによって、堆積した充填材74が、周知の方法で固められる(即ち、融解して融合する)。充填材74の融解ならびに融合は、比較的迅速で正確であり、これによりベーン24の修復間隔時間が短く、再現性が高い利点がもたらされる。さらに、レーザクラッディングにより、後縁38及び充填材74の比較的小さい量だけが融解して融合する。つまり、比較的大きな熱影響領域を発生させる従来技術のろう付けや溶接の欠点であるこの後縁38の熱影響領域の大きさを最小限にする。
固まった充填材74が後縁38に堆積し、ベーン24の平らな面70において本来の超合金材料に接合される過度に大きなクラッディング部76を形成する。このクラッディング部76は、翼弦幅40の寸法において本来の表面56より量78だけ大きい。これにより、後縁38が、翼弦幅40の寸法を本来のエアフォイルの形状に完全に復元するのに十分に、確実に堆積するという利点がもたらされる。
過度に大きなクラッディング部76が後縁38に溶着した後に、銅製の仕切り部材72が、この後縁38から取り外される。次に、このクラッディング部76が、本来の表面56の翼弦幅40の寸法に機械加工される。一実施例においては、機械加工は、レーザクラッディングを行った部分からベーン24本来の未修復部分への円滑な遷移領域を形成する周知の研削、グリットブラスト、研磨、或いは他の周知の機械加工法を含む。
上述の実施例は、ベーン24もしくは他のタービン構成要素を修復する方法を開示している。ベーン24の後縁38は、燃焼機関10の作動中に侵食され、これによりタービンベーン24の空気力学的効率が低下する。後縁38の侵食部分が除去され、レーザクラッディングを用いてこの後縁38が再形成される。故に、ベーン24の翼弦幅寸法40が、該ベーン24の空気力学的効率を向上させ、かつこのベーン24の寿命を延ばすように、ほぼ本来の寸法に修復される。
実施例の燃焼機関の図。 前縁及び後縁を有する実施例のタービンベーンの断面図。 図2のベーンにおける後縁の侵食面及び本来の面を示す図。 図3のベーンの侵食部分を除去し、仕切り部材を後縁を貫通しているスロットに挿入する図。 後縁の再形成によって、過度に大きなクラッディング部が発生し、その後このクラッディング部が機械加工されて、ベーンの本来の翼弦幅寸法に近い翼弦幅寸法を有する修復した後縁が得られる図。
符号の説明
38…後縁
46…スロット
48…ペデスタル
54…侵食面
56…本来の表面
70…面
72…仕切り部材
74…充填材
76…クラッディング部
78…量

Claims (19)

  1. ガスタービンエンジン構成要素を修復する方法であって、
    (a)侵食された翼弦幅の寸法を復元翼弦幅寸法にするために、タービンエアフォイルを翼弦幅の寸法に従って修復するステップ、
    を備えることを特徴とする修復方法。
  2. ステップ(a)は、上記タービンエアフォイルの後縁を、充填材を用いて上記の翼弦幅寸法に従ってレーザクラッディングを行うことを特徴とする請求項1に記載の修復方法。
  3. 充填材が上記タービンエアフォイルの後縁のスロットに入らないように、仕切り部材をこのスロットに挿入するステップ(b)、を備えることを特徴とする請求項2に記載の修復方法。
  4. 上記充填材を上記仕切り部材に隣接して堆積させ、上記スロットのスロット長さを延ばすステップ(c)、を備えることを特徴とする請求項3に記載の修復方法。
  5. さらに、上記仕切り部材を通して上記後縁から熱を逃がすステップを備えることを特徴とする請求項3に記載の修復方法。
  6. 上記充填材を堆積する前に、実質的に平らなクラッディング面を形成するように、上記後縁を機械加工するステップ(b)、を備えることを特徴とする請求項2に記載の修復方法。
  7. ステップ(a)は、復元翼弦幅寸法より大きい過度に大きな翼弦幅寸法を得るように、上記充填材を堆積することを特徴とする請求項2に記載の修復方法。
  8. ステップ(a)は、上記の復元翼弦幅寸法を得るために、上記の過度に大きな翼弦幅寸法を機械加工することを特徴とする請求項7に記載の修復方法。
  9. ステップ(a)の復元翼弦幅寸法は、概ね上記タービンエアフォイルの本来の翼弦幅寸法であることを特徴とする請求項1に記載の修復方法。
  10. 圧縮機部と、燃焼器部と、タービン部と、を備え、このタービン部は、請求項1に記載の方法によって修復されたタービンエアフォイルを有することを特徴とするガスタービンエンジン。
  11. ガスタービンエンジン構成要素を修復する方法であって、
    (a)仕切り部材をガスタービンエンジンのタービン構成要素の開口部に挿入するステップと、
    (b)充填材を上記開口部の近くに堆積するステップと、
    (c)上記充填材をレーザによって固め、レーザクラッディング部を形成するステップと、を備えることを特徴とする修復方法。
  12. ステップ(a)の開口部は、スロットを備え、ステップ(a)は、銅製の仕切り部材をこのスロットに挿入することを特徴とする請求項11に記載の修復方法。
  13. 上記仕切り部材を通して上記のレーザクラッディング部から熱を逃がすステップ(d)、を備えることを特徴とする請求項12に記載の修復方法。
  14. 前縁と、後縁と、を有するタービンエアフォイルを備えるガスタービンエンジン構成要素であって、
    この後縁は、レーザクラッディング部を有することを特徴とする構成要素。
  15. 上記後縁は、該後縁の負圧面側及び、この後縁の負圧面側と反対側の上記後縁の正圧面側を画定するスロットを備えることを特徴とする請求項14に記載の構成要素。
  16. 上記のレーザクラッディング部は、上記後縁の負圧面側に第1のレーザクラッディング部と、上記後縁の正圧面側に第2のレーザクラッディング部と、を備えることを特徴とする請求項14に記載の構成要素。
  17. 上記後縁は、鋳造部と、この鋳造部と上記のレーザクラッディング部との間の実質的に平らな接合部分と、を備えることを特徴とする請求項14に記載の構成要素。
  18. 上記のレーザクラッディング部は、上記タービンエアフォイルの翼弦幅寸法の少なくとも一部分をなしていることを特徴とする請求項14に記載の構成要素。
  19. 圧縮機部と、燃焼器部と、タービン部と、を備え、このタービン部は、請求項14に記載のタービンエアフォイルを備えることを特徴とするガスタービンエンジン。
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