JP2007187758A - 音響再生システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構成により、壁面による反射音の発生を効率的に抑制することができ、所望の音場を形成することができる音響再生システムを提供する。
【解決手段】 音響再生システムは、互いに向き合った平面スピーカ11および12を有する。平面スピーカ11は、音源20からのオーディオ信号により駆動され、平面スピーカ12へ向けて平面波を放射する。吸音制御部30は、平面スピーカ11からの平面波の反射を抑制する駆動力を平面スピーカ12に与える反射抑制信号を、音源20から出力されるオーディオ信号にフィルタ処理を施すことにより生成する。
【選択図】図1
【解決手段】 音響再生システムは、互いに向き合った平面スピーカ11および12を有する。平面スピーカ11は、音源20からのオーディオ信号により駆動され、平面スピーカ12へ向けて平面波を放射する。吸音制御部30は、平面スピーカ11からの平面波の反射を抑制する駆動力を平面スピーカ12に与える反射抑制信号を、音源20から出力されるオーディオ信号にフィルタ処理を施すことにより生成する。
【選択図】図1
Description
この発明は、吸音機能を備えた音響再生システムに関する。
快適な音響再生を行うためには、所期の音場を得るために必要な音波のみが音響空間内において発生されるようにする必要がある。そのためには、音場生成にとって不要な反射波を壁面において生じさせないように、吸音手段を壁面に設ける必要がある。この種の吸音手段として、グラスウール等を用いた吸音壁がある。しかし、この吸音壁は、吸音特性を調整することができないという欠点がある。そこで、快適な音響環境を実現するための手段として、いわゆるアクティブ吸音が期待される。このアクティブ吸音に関しては、各種の技術が提案されている。例えば非特許文献1は、スピーカを用いたアクティブ吸音装置を開示している。このアクティブ吸音装置は、スピーカの前面に配置されたマイクロホンおよび振動センサと、マイクロホンにより検出されるスピーカの前面の音圧と振動センサにより検出されるスピーカの振動面の振動速度をスピーカの入力端子に帰還させる帰還回路を有している。この帰還回路を介した音圧と振動速度の帰還量を適切に調整することにより、帰還回路を含んだスピーカ全体としての音響インピーダンスを空気の音響インピーダンスにマッチングさせることができる。この音響インピーダンスマッチングの得られた状態では、空気中を伝播してスピーカに入射する音波のエネルギーがスピーカによって全て消費され、スピーカ前面における音の反射が防止される。また、特許文献1は、複数のセルを面状に配列したアクティブ吸音壁を開示している。このアクティブ吸音壁において、各セルには、セルに設けられた入口から入射する音波の音圧を検出する音圧検出器と、セルの入口の方向に振動する振動板と、音圧検出器により検出される音圧に基づいて振動版の振動を制御する回路とが設けられている。特許文献1に開示の技術では、例えばセル毎に音圧検出器により検出される音圧が最小となるように振動板の振動が制御され、吸音が行われる。
特開平10−63271号公報
"速度・音圧帰還形スピーカを用いた吸音力可変システム"、田代勇樹、今井章久、小西睦男、平成元年10月日本音響学会講演論文集、pp.525〜526
ところで、部屋内においてスピーカから放射された音波は、部屋内の広い範囲に届く。このような状況において上述したアクティブ吸音の技術により充分な吸音を行うためには、スピーカを利用した吸音装置を部屋内に多数配置し(非特許文献1に開示の技術を利用する場合)、あるいは広い面積のアクティブ吸音壁を部屋に設置する必要がある(特許文献1に開示の技術を利用する場合)。しかし、それでは音響再生システムが極めて大規模なものとなってしまい、現実的でない。
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により、壁面による反射音の発生を効率的に抑制することができ、所望の音場を形成することができる音響再生システムを提供することを目的としている。
この発明は、音源と、前記音源から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面波を放射する音響再生用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカと向き合い、反射抑制信号が与えられることにより、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の吸音を行う吸音手段と、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の吸音を前記吸音手段に行わせるための反射抑制信号を前記音響再生用スピーカに供給されるオーディオ信号または前記音響再生用スピーカからの放射音の検出結果に基づいて生成する吸音制御手段とを具備することを特徴とする音響再生システムを提供する。
かかる発明によれば、音響再生用平面スピーカから放射される平面波は、その幅方向において音圧分布および空気粒子の振動速度分布が凡そ一様であるので、簡単な構成の吸音手段および吸音制御手段により、音響再生用平面スピーカからの平面波が入射する吸音手段の全域において平面波の吸音を行うことができる。
かかる発明によれば、音響再生用平面スピーカから放射される平面波は、その幅方向において音圧分布および空気粒子の振動速度分布が凡そ一様であるので、簡単な構成の吸音手段および吸音制御手段により、音響再生用平面スピーカからの平面波が入射する吸音手段の全域において平面波の吸音を行うことができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムにおいて、平面スピーカ11および12は、互いに向かい合った状態で部屋内に設置されている。音源20は、CDから再生されたオーディオ信号またはマイクロホンにより外界から収音された音を示すオーディオ信号を出力する装置である。平面スピーカ11は、この音源20から出力されるオーディオ信号によって駆動され、前方に向けて平面波を放射する音響再生用平面スピーカとして機能する。この平面スピーカ11により放射される平面波は平面スピーカ12の表面に垂直に入射する。その際、何ら策を講じないとすると、平面スピーカ11から放射されて平面スピーカ12の表面に入射した音波は、そこで反射されて反射波となる。吸音制御部30は、この反射波の発生を抑制する駆動力を平面スピーカ12に与え、平面スピーカ12を吸音用平面スピーカとして機能させる回路である。さらに詳述すると、吸音制御部30は、反射波抑制のための駆動力を平面スピーカ12に与える反射抑制信号を、音源20から出力されるオーディオ信号から生成するフィルタ処理を実行する。本実施形態では、このフィルタ処理の内容を次のようにして決定する。
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムにおいて、平面スピーカ11および12は、互いに向かい合った状態で部屋内に設置されている。音源20は、CDから再生されたオーディオ信号またはマイクロホンにより外界から収音された音を示すオーディオ信号を出力する装置である。平面スピーカ11は、この音源20から出力されるオーディオ信号によって駆動され、前方に向けて平面波を放射する音響再生用平面スピーカとして機能する。この平面スピーカ11により放射される平面波は平面スピーカ12の表面に垂直に入射する。その際、何ら策を講じないとすると、平面スピーカ11から放射されて平面スピーカ12の表面に入射した音波は、そこで反射されて反射波となる。吸音制御部30は、この反射波の発生を抑制する駆動力を平面スピーカ12に与え、平面スピーカ12を吸音用平面スピーカとして機能させる回路である。さらに詳述すると、吸音制御部30は、反射波抑制のための駆動力を平面スピーカ12に与える反射抑制信号を、音源20から出力されるオーディオ信号から生成するフィルタ処理を実行する。本実施形態では、このフィルタ処理の内容を次のようにして決定する。
まず、本実施形態では、吸音制御部30に実行させるフィルタ処理の内容を求めるために、図2に示すように、平面スピーカ11と平面スピーカ12との間の収音点Pにマイクロホンを配置する。そして、平面スピーカ12には何も入力信号を与えず、音源20から平面スピーカ11にインパルスを与え、その際の収音点Pにおけるインパルス応答ho(t)をマイクロホンにより採取する。このインパルス応答ho(t)は、音源20から平面スピーカ11を経由して収音点Pに至る経路のインパルス応答、すなわち、直接音成分のインパルス応答hdir(t)と、音源20から平面スピーカ11を経由し、さらに平面スピーカ12による反射を経て収音点Pに至る経路のインパルス応答、すなわち、反射音成分のインパルス応答href(t)を含んだものとなる。この方法では、収音点Pにおいて採取されるインパルス応答ho(t)から反射音成分のインパルス応答href(t)を分離し、これに加工を施すことにより、音源20から平面スピーカ11を経由して平面スピーカ12に至るまでの経路のインパルス応答h’(t)を求め、さらにインパルス応答h’(t)を逆相化したインパルス応答h(t)=−h’(t)を求める。そして、このインパルス応答h(t)を畳み込むフィルタ処理を吸音制御部30に実行させるのである。以下、図3〜図5を参照し、この方法の詳細について説明する。
まず、図3は、収音点Pにおいて採取されたインパルス応答ho(t)を例示するものである。収音点Pの位置を適切に選ぶと、図3に示すように、インパルス応答h(t)には2つのピークが現れる。最初のピークは、直接音成分のインパルス応答hdir(t)のピークである。2番目のピークは、反射音成分のインパルス応答href(t)のピークである。そして、音源20から平面スピーカ11へのインパルスの出力時刻をt=0とした場合、この出力時刻から最初のピークまでの時間Δt1は、音源20から平面スピーカ11を経由して収音点Pに至る直接音成分の伝播遅延時間に相当する(図2参照)。また、この最初のピークから2番目のピークまでの時間Δt2は、インパルス音が収音点Pと平面スピーカ12との間を往復するのに要する伝播遅延時間に相当する(図2参照)。
ここで、2番目のピークを含む前後数ミリ秒の期間TR内の波形は、反射音の波形であると考えられる。そこで、図3に示すインパルス応答において、反射音波形が現れていると考えられる区間、具体的には2番目のピークを含む前後数ミリ秒の期間TR内の波形をそのまま残し、他の区間の波形値を0とすることによりインパルス応答href(t)を得る。図4はこのようにして得られるインパルス応答href(t)を例示している。そして、図5に示すように、このインパルス応答href(t)を時間軸に沿ってΔt2/2だけマイナス方向に移動させ、かつ、逆相化し、インパルス応答h(t)を得る。そして、このようにして得られるインパルス応答波形h(t)をオーディオ信号のサンプリング周期に相当する周期でサンプリングしてフィルタ係数列を求め、音源20から出力されるオーディオ信号にこのフィルタ係数列を畳み込むフィルタ処理を吸音制御部30に実行させるのである。
このような構成によれば、平面スピーカ11から放射された音波が平面スピーカ12に入射するときにこれと逆相の音波が同平面スピーカ12から放射され、両者が相殺されることにより吸音が行われる。ここで、平面スピーカ11から放射される平面波は、その幅方向において音圧の分布および空気粒子の振動速度の分布が凡そ一様である。従って、本実施形態によれば、平面スピーカ11からの平面波が入射する平面スピーカ12の全域において、均一かつ充分に平面波の吸音を行うことができる。また、本実施形態において平面スピーカ12は、平面スピーカ11から放射された平面波のみを吸音するように制御される。従って、平面スピーカ12の吸音動作が外乱の影響を受けることはない。
<第2実施形態>
本実施形態における音響再生システムの構成は、上記第1実施形態(図1)のものと同様である。本実施形態と上記第1実施形態との差異は、吸音制御部30に実行させるフィルタ処理の内容の決定方法にある。以下、図6を参照し、本実施形態におけるフィルタ処理の決定方法について説明する。
本実施形態における音響再生システムの構成は、上記第1実施形態(図1)のものと同様である。本実施形態と上記第1実施形態との差異は、吸音制御部30に実行させるフィルタ処理の内容の決定方法にある。以下、図6を参照し、本実施形態におけるフィルタ処理の決定方法について説明する。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、平面スピーカ11を音源20からのインパルスにより駆動し、平面スピーカ11および12間の適当な収音点Pにおいてインパルス応答ho(t)を採取する。既に説明したように、この収音点Pにおけるインパルス応答ho(t)は、次式に示すように、直接音成分のインパルス応答hdir(t)と反射音成分のインパルス応答href(t)の和となる。
ho(t)=hdir(t)+href(t) ……(1)
ho(t)=hdir(t)+href(t) ……(1)
ここで、音源20から平面スピーカ11および吸音制御部30の両方にインパルスが与えられたとする。また、その際の音源20から平面スピーカ12を介して収音点Pに至るまでの経路のインパルス応答がh2(t)であったとする。この場合、収音点Pにおいて採取されるインパルス応答ho(t)は、次式に示す通りとなる。
ho(t)=hdir(t)+href(t)+h2(t) ……(2)
ho(t)=hdir(t)+href(t)+h2(t) ……(2)
収音点Pにおいて採取される信号から反射音成分をなくすためには、上記式においてho(t)=hdir(t)が成立する必要があり、そのためには次式が成立する必要がある。
h2(t)=−href(t) ……(3)
h2(t)=−href(t) ……(3)
一方、吸音制御部30のフィルタ処理において畳み込むインパルス応答をh(t)、吸音制御部30の出力端子から収音点Pまでのインパルス応答をh3(t)とすると、次式が成立する。
h2(t)=h(t)*h3(t) ……(4)
この式をh(t)について解き、式(3)の条件を適用すると次式が得られる。
h(t)=h2(t)*h3(t)−1
=−href(t)*h3(t)−1 ……(5)
h2(t)=h(t)*h3(t) ……(4)
この式をh(t)について解き、式(3)の条件を適用すると次式が得られる。
h(t)=h2(t)*h3(t)−1
=−href(t)*h3(t)−1 ……(5)
なお、上記式(4)および(5)において、“*”は畳み込み演算子である。また、href(t)は、上記第1実施形態において説明した手順により得ることができる。また、h3(t)は、吸音制御部30の出力端子から何らかの信号sf(t)を平面スピーカ12に与え、そのとき収音点Pにおいて採取される信号srf(t)を用いて、次式により得ることができる。
h3(t)=srf(t)*sf(t)−1 ……(6)
h3(t)=srf(t)*sf(t)−1 ……(6)
本実施形態では、以上のような手順によりインパルス応答h(t)を求め、このインパルス応答h(t)を示すフィルタ係数列を音源20の出力信号に畳み込むフィルタ処理を吸音制御部30に実行させる。本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
<第3実施形態>
図7はこの発明の第3実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムは、上記第1実施形態および第2実施形態における音響再生システムに対し、係数制御部40を追加した構成となっている。この係数制御部40は、定期的に、または図示しない操作部の操作に応じて、吸音制御部30が実行するフィルタ処理の内容を最適化する処理を実行する。また、本実施形態における吸音制御部30は、係数制御部40による制御の下、音源20の出力信号にフィルタ処理を施して平面スピーカ12に供給する他、音源20の出力信号を遮断することが可能な構成となっている。
図7はこの発明の第3実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムは、上記第1実施形態および第2実施形態における音響再生システムに対し、係数制御部40を追加した構成となっている。この係数制御部40は、定期的に、または図示しない操作部の操作に応じて、吸音制御部30が実行するフィルタ処理の内容を最適化する処理を実行する。また、本実施形態における吸音制御部30は、係数制御部40による制御の下、音源20の出力信号にフィルタ処理を施して平面スピーカ12に供給する他、音源20の出力信号を遮断することが可能な構成となっている。
係数制御部40は、例えば次のようにして吸音制御部30のフィルタ処理の最適化を実行する。まず、係数制御部40は、吸音制御部30を遮断状態とし、音源20から平面スピーカ11のみにインパルスを与え、収音点Pにおけるインパルス応答ho(t)を採取する。そして、インパルス応答ho(t)から直接音成分のインパルス応答hdir(t)を抽出する。次に係数制御部40は、音源20の出力信号が吸音制御部30のフィルタ処理を経て平面スピーカ12に供給されるように吸音制御部30の状態を切り換えた後、音源20にインパルスを繰り返し出力させ、収音点Pにおけるインパルス応答ho(t)を繰り返し採取する。そして、係数制御部40は、インパルス応答ho(t)を採取する都度、インパルス応答ho(t)と直接音成分のインパルス応答hdir(t)との比較を行い、両者の差が小さくなるように吸音制御部30がフィルタ処理に用いるフィルタ係数列を修正する。そして、インパルス応答ho(t)と直接音成分のインパルス応答hdir(t)との誤差が所定の閾値内に収束したときにインパルス応答の採取およびフィルタ係数列の修正を終了し、以後、その時点におけるフィルタ係数列を用いたフィルタ処理を吸音制御部30に実行させる。
本実施形態によれば、音響再生システムの設置された部屋の環境に変化が生じた場合に、それに応じた適切な吸音がなされるように吸音制御部30のフィルタ処理を最適化することができる。
<第4実施形態>
図8はこの発明の第4実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態では、オーディオ信号の音響出力を行う平面スピーカ11に1枚の平面スピーカ12を対向させ、この平面スピーカ12に吸音処理を行わせた。これに対し、本実施形態では、上下方向に並んだ複数枚の平面スピーカ12Aに吸音処理を行わせる。また、複数枚の平面スピーカ12Aは平面スピーカ11に対して傾斜しており、反射抑制信号が与えられない状態では、複数枚のうち上半分の平面スピーカ12Aは、平面スピーカ11から到来する平面波を斜め上方に反射し、下半分の平面スピーカ12Aは、平面スピーカ11から到来する平面波を斜め下方に反射する。このため、聴者が複数枚の平面スピーカ12Aから充分に離れていれば、平面スピーカ11からの平面波が平面スピーカ12Aにより反射されたとしても、その反射波が聴者に直接届くのを回避することができる。なお、以上のように複数枚の平面スピーカ12Aを上下方向に並べる代わりに、水平方向に並べても同様な効果を得ることができる。
図8はこの発明の第4実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態では、オーディオ信号の音響出力を行う平面スピーカ11に1枚の平面スピーカ12を対向させ、この平面スピーカ12に吸音処理を行わせた。これに対し、本実施形態では、上下方向に並んだ複数枚の平面スピーカ12Aに吸音処理を行わせる。また、複数枚の平面スピーカ12Aは平面スピーカ11に対して傾斜しており、反射抑制信号が与えられない状態では、複数枚のうち上半分の平面スピーカ12Aは、平面スピーカ11から到来する平面波を斜め上方に反射し、下半分の平面スピーカ12Aは、平面スピーカ11から到来する平面波を斜め下方に反射する。このため、聴者が複数枚の平面スピーカ12Aから充分に離れていれば、平面スピーカ11からの平面波が平面スピーカ12Aにより反射されたとしても、その反射波が聴者に直接届くのを回避することができる。なお、以上のように複数枚の平面スピーカ12Aを上下方向に並べる代わりに、水平方向に並べても同様な効果を得ることができる。
本実施形態では、複数枚の平面スピーカ12Aは、各々と平面スピーカ11との位置関係が異なっている。このため、複数枚の平面スピーカ12Aに対応した複数の吸音制御部30Aが設けられている。各平面スピーカ12Aに対応した吸音制御部30Aは、平面スピーカ11からの平面波が平面スピーカ12Aにより反射されるとき、その反射波(実線矢印Y)と逆相の平面波(破線矢印Y’)を平面スピーカ12Aから放射させる反射抑制信号を平面スピーカ12Aに供給する。上記第1〜第3実施形態と同様、各吸音制御部30Aは、音源20の出力信号にフィルタ処理を施すことにより反射抑制信号を生成する。各吸音制御部30Aに実行させるフィルタ処理の内容の決定方法は、上記第1および第2実施形態と基本的に同様であり、個々の平面スピーカ12Aの前方に収音点Pを設け、これら収音点Pにおいて採取される各インパルス応答ho(t)に基づいて各々決定すればよい。
本実施形態においても上記各実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、複数枚の平面スピーカ12Aが平面スピーカ11に対して傾いている。このため、各平面スピーカ12Aによる吸音が不十分である場合でも、各平面スピーカ12Aは、平面スピーカ11からの平面波を聴者のいる方向とは異なる方向に反射する。従って、聴者に対して平面スピーカ12Aからの反射波が直接届くのを回避することができる。
<第5実施形態>
図9はこの発明の第5実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態と同様、この音響再生システムも、互いに向かい合った平面スピーカ11および12を有している。そして、平面スピーカ11は音源20から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面スピーカ12に向けて平面波を放射する。平面スピーカ12の近傍には、音圧を検出して音圧信号Fを出力するマイクロホン31と、平面スピーカ12の振動面の振動速度を検出して振動速度信号Vを出力する振動速度センサ32とが設けられている。吸音制御部35は、上述した非特許文献1に開示されたアクティブ吸音の技術に従い、平面スピーカ12の音響インピーダンスをその前方の空気の音響インピーダンスにマッチングさせ、平面スピーカ11から放射される平面波を平面スピーカ12に吸音させる装置である。この吸音を行わせるため、吸音制御部35は、マイクロホン31から出力される音圧信号Fと振動速度センサ32から出力される振動速度信号Vとから反射抑制信号を生成し、平面スピーカ12に帰還する。
図9はこの発明の第5実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態と同様、この音響再生システムも、互いに向かい合った平面スピーカ11および12を有している。そして、平面スピーカ11は音源20から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面スピーカ12に向けて平面波を放射する。平面スピーカ12の近傍には、音圧を検出して音圧信号Fを出力するマイクロホン31と、平面スピーカ12の振動面の振動速度を検出して振動速度信号Vを出力する振動速度センサ32とが設けられている。吸音制御部35は、上述した非特許文献1に開示されたアクティブ吸音の技術に従い、平面スピーカ12の音響インピーダンスをその前方の空気の音響インピーダンスにマッチングさせ、平面スピーカ11から放射される平面波を平面スピーカ12に吸音させる装置である。この吸音を行わせるため、吸音制御部35は、マイクロホン31から出力される音圧信号Fと振動速度センサ32から出力される振動速度信号Vとから反射抑制信号を生成し、平面スピーカ12に帰還する。
図10は吸音制御部35の構成例を示すものである。この吸音制御部35は、振動速度信号Vに係数Xを乗算して出力する乗算器351と、音圧信号Fに係数Yを乗算して出力する乗算器352と、乗算器351および352の各出力信号を加算して出力する加算器353と、加算器353の出力信号に係数Kを乗算し、反射抑制信号として出力する乗算器Kとにより構成されている。この吸音制御部35を介したフィードバック制御が行われる状態において、係数Kが充分に大きい場合には、平面スピーカ11側から見た平面スピーカ12の音響インピーダンスZは、平面スピーカ12の定数や係数Kに依存せず、係数XおよびYの比に依存した値となる。従って、この係数XおよびYの比を調節し、平面スピーカ12の音響インピーダンスを空気の音響インピーダンスにマッチングさせ、平面スピーカ11からの平面波を平面スピーカ12に吸音させることが可能である。
本実施形態において、平面スピーカ11から平面スピーカ12に入射する平面波は、その幅方向において凡そ一様な音圧分布、空気粒子の振動速度分布を有している。従って、平面スピーカ12の近傍の例えば各1箇所または少数の箇所において音圧信号Fおよび振動速度信号Vを取得し、これから生成した反射抑制信号を平面スピーカ12に与えたとしても、平面スピーカ12の全面において充分かつ均一な吸音効果を生じさせることができる。
<第6実施形態>
図11はこの発明の第6実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態と同様、平面スピーカ11は音源20から出力されるオーディオ信号により駆動され、前方に向けて平面波を放射する。この平面スピーカ11の前方には聴者(図示略)を挟んで吸音セルアレイ13が対向配置されている。この吸音セルアレイ13は、特許文献1に開示されたアクティブ吸音壁と基本的に同様な原理により吸音を行うものである。しかし、本実施形態における吸音セルアレイ13およびこれを制御する装置の構成は、特許文献1に開示されたものよりも簡素なものとなっている。
図11はこの発明の第6実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。上記各実施形態と同様、平面スピーカ11は音源20から出力されるオーディオ信号により駆動され、前方に向けて平面波を放射する。この平面スピーカ11の前方には聴者(図示略)を挟んで吸音セルアレイ13が対向配置されている。この吸音セルアレイ13は、特許文献1に開示されたアクティブ吸音壁と基本的に同様な原理により吸音を行うものである。しかし、本実施形態における吸音セルアレイ13およびこれを制御する装置の構成は、特許文献1に開示されたものよりも簡素なものとなっている。
吸音セルアレイ13において、背後壁131は平面スピーカ11とほぼ同じ広さの平坦な壁であり、平面スピーカ11と対向している。背後壁131の平面スピーカ11側の面には複数のセル130が面状に配列されている。各セル130は、隣接するセル130との境界壁である仕切り板132により囲まれている。各セル130は、平面スピーカ11側に音波の入口を有しており、この入口には空気粒子の運動エネルギーを吸収するための多孔材133が設けられている。また、各セル130の背後壁131近傍には振動板134が設けられている。この振動板134は、多孔材133に対して接近または後退する方向に振動する。
吸音セルアレイ13を構成する複数のセル130は、各々連続した領域を占める所定個数のセル130からなる複数のセルグループに分割されている。そして、本実施形態において各セル130を制御するための装置は、以下説明するようにセルグループ単位で設けられている。
まず、背後壁131における平面スピーカ11とは反対側の面には、各セルグループに対応した複数の駆動回路141が設けられている。ここで、各セルグループに対応した駆動回路141は、各々同一セルグループに属する複数のセル130内の各振動板134を一括して駆動する。
音圧検出器142および吸音制御部143も、セルグループ毎に1個ずつ設けられている。各音圧検出器142は、セルグループ毎に1個ずつ選ばれたセル130内の音圧を各々検出するものであり、各々セル130の多孔材133の近傍に固定されている。
各セルグループに対応した吸音制御部143は、同セルグループ内のセル130に設けられた音圧検出器142の出力信号から反射抑制信号を生成し、同一セルグループに対応して設けられた駆動回路141に各々供給する。各駆動回路141は、この反射抑制信号に従って各々に割り当てられた振動板134の駆動を行う。
さらに詳述すると、各セルグループに対応した吸音制御部143は、平面スピーカ11から放射された平面波が同セルグループのセル130に入射する際、音圧検出器142により検出される音圧が最小となるように、駆動回路141を介して振動板134の振動の制御を行う。このような制御が行われる結果、多孔材133の近傍に音圧波の節および空気粒子速度波の腹が生じ、平面スピーカ11から入射する平面波のエネルギーは多孔材133において吸収される。
本実施形態において、平面スピーカ11から吸音セルアレイ13の各セル130に入射する平面波は、その幅方向において凡そ一様な音圧分布、粒子速度分布となっている。従って、所定個数のセル130からなるセルグループ単位で反射抑制信号を生成し、振動板134の振動の制御を一括して行ったとしても、各セルグループにおいて充分かつ均一な吸音効果を生じさせることができる。
特許文献1に開示されたアクティブ吸音壁では、音圧検出器とこの音圧検出器の出力信号に基づいて振動板の振動を制御する回路をセル毎に設けているため、広い面積のアクティブ吸音壁を得ようとすると構成が大規模なものとなる。しかしながら、本実施形態では、セルグループ単位で音圧検出器142、吸音制御部143および駆動回路141を設ければよいので音響再生システムの構成を簡素なものにすることができる。
<第7実施形態>
本実施形態における音響再生システムは、上記第1実施形態と同様な構成を有している。本実施形態の特徴は、アクティブ吸音に関する技術を利用し、吸音制御部30(図1参照)に実行させるフィルタ処理を決定する点にある。以下、図12〜図14を参照し、本実施形態における吸音制御部30のフィルタ処理の決定方法を説明する。まず、音響再生システムの使用環境に平面スピーカ11および12を設置した状態において、図12に示すように、平面スピーカ12の近傍に音圧信号Fを検出して出力するマイクロホン31と振動速度信号Vを検出して出力する振動速度センサ32とを設ける。また、音圧信号Fに時間関数f11(t)を畳み込み、振動速度信号Vに時間関数f12(t)を畳み込み、両畳み込み演算の結果の和である反射抑制信号を平面スピーカ12に帰還する帰還回路40を設ける。そして、音源20から平面スピーカ11に基準信号を与え、平面スピーカ11から平面スピーカ12に向けて基準信号音を放射させたときに、平面スピーカ12の前面において適切に吸音が行わせることができるような畳み込み演算用の時間関数f11(t)およびf12(t)を求める。ここで、帰還回路40として例えば前掲図10の吸音制御部35を用いる場合、この過程では、時間関数f11(x)およびf12(t)に相当するものとして、係数YおよびXの適正値を求めることになる。
本実施形態における音響再生システムは、上記第1実施形態と同様な構成を有している。本実施形態の特徴は、アクティブ吸音に関する技術を利用し、吸音制御部30(図1参照)に実行させるフィルタ処理を決定する点にある。以下、図12〜図14を参照し、本実施形態における吸音制御部30のフィルタ処理の決定方法を説明する。まず、音響再生システムの使用環境に平面スピーカ11および12を設置した状態において、図12に示すように、平面スピーカ12の近傍に音圧信号Fを検出して出力するマイクロホン31と振動速度信号Vを検出して出力する振動速度センサ32とを設ける。また、音圧信号Fに時間関数f11(t)を畳み込み、振動速度信号Vに時間関数f12(t)を畳み込み、両畳み込み演算の結果の和である反射抑制信号を平面スピーカ12に帰還する帰還回路40を設ける。そして、音源20から平面スピーカ11に基準信号を与え、平面スピーカ11から平面スピーカ12に向けて基準信号音を放射させたときに、平面スピーカ12の前面において適切に吸音が行わせることができるような畳み込み演算用の時間関数f11(t)およびf12(t)を求める。ここで、帰還回路40として例えば前掲図10の吸音制御部35を用いる場合、この過程では、時間関数f11(x)およびf12(t)に相当するものとして、係数YおよびXの適正値を求めることになる。
次に図13に示すように、マイクロホン31と振動速度センサ32にインパルス応答を測定するための測定器41を接続する。そして、帰還回路40による上記の帰還制御を行わせつつ、音源20から平面スピーカ11にインパルスを与え、音源20から平面スピーカ11および12を経由してマイクロホン31に至るまでの経路のインパルス応答h11(t)と音源20から平面スピーカ11および12を経由して振動速度センサ32に至るまでの経路のインパルス応答h12(t)を測定器41により測定する。
そして、次式により与えられるインパルス応答h(t)を求める。音響再生システムの稼動時には、図14に示すように、このインパルス応答h(t)に対応したフィルタ係数列を音源20の出力信号に畳み込むフィルタ処理を吸音制御部30に実行させ、この結果得られる反射抑制信号を平面スピーカ12に供給させるのである。
h(t)
=f11(t)*h11(t)+f12(t)*h12(t) ……(7)
h(t)
=f11(t)*h11(t)+f12(t)*h12(t) ……(7)
本実施形態によれば、音響再生システムの稼動時には、マイクロホン31および振動速度センサ32を用いたフィードバック制御が行われなくても、同フィードバック制御において平面スピーカ12に供給されるものと同じ反射抑制信号が吸音制御部30により音源20の出力信号から生成され、平面スピーカ12に供給される。従って、稼動時には、平面スピーカ12のフィードバック制御を行うことなく、平面スピーカ11からの平面波を平面スピーカ12に吸音させることができる。
<第8実施形態>
本実施形態における音響再生システムは、上記第1実施形態と同様な構成を有している。上記第7実施形態と同様、本実施形態の特徴は、アクティブ吸音に関する技術を利用し、吸音制御部30(図1参照)に実行させるフィルタ処理を決定する点にある。以下、図15〜図18を参照し、本実施形態における吸音制御部30のフィルタ処理の決定方法を説明する。
本実施形態における音響再生システムは、上記第1実施形態と同様な構成を有している。上記第7実施形態と同様、本実施形態の特徴は、アクティブ吸音に関する技術を利用し、吸音制御部30(図1参照)に実行させるフィルタ処理を決定する点にある。以下、図15〜図18を参照し、本実施形態における吸音制御部30のフィルタ処理の決定方法を説明する。
まず、音響再生システムの稼動環境とは異なる実験室等の環境において、平面スピーカ12と、マイクロホン31と、振動速度センサ32と、上記第7実施形態の帰還回路40とを図15に示すように接続する。そして、平面スピーカ12に向けて基準信号音を放射し、平面スピーカ12に適切に吸音が行わせることができるような畳み込み演算用の時間関数f11(t)およびf12(t)を求める。
次に、時間関数f11(t)およびf12(t)を求めた環境と同じ環境において、図16に示すように、平面スピーカ12の入力端子に測定器42を測定し、平面スピーカ12に基準信号音を与えたときに平面スピーカ12の入力端子に発生する信号、すなわち、基準信号音に対するスピーカ応答pst(t)を測定する。
次に、時間関数f11(t)、f12(t)、スピーカ応答pst(t)の得られた平面スピーカ12と平面スピーカ11とを、音響再生システムの稼動環境に設置し、図17に示すように平面スピーカ11に音源20を接続し、平面スピーカ12の入力端子に測定器42を接続する。そして、音源20から平面スピーカ11にインパルスを与え、音源20から平面スピーカ11および12を経由して平面スピーカ12の入力端子に至るまでの経路のインパルス応答hsp(t)を測定器42により測定する。
そして、次式により与えられるインパルス応答h(t)を求める。音響再生システムの稼動時には、図18に示すように、このインパルス応答h(t)に対応したフィルタ係数列を音源20の出力信号に畳み込むフィルタ処理を吸音制御部30に実行させ、この結果得られる反射抑制信号を平面スピーカ12に供給させるのである。
h(t)
=f11(t)*(hsp(t)/pst(t))
+f12(t)*(hsp(t)/pst(t)) ……(8)
上記式(7)において、hsp(t)/pst(t)は、時間関数f11(t)およびf12(t)を取得した環境と音響再生システムの稼動環境との差異を補正し、音響再生システムの稼動環境において適切な吸音効果が得られるようにする役割を果たす。
h(t)
=f11(t)*(hsp(t)/pst(t))
+f12(t)*(hsp(t)/pst(t)) ……(8)
上記式(7)において、hsp(t)/pst(t)は、時間関数f11(t)およびf12(t)を取得した環境と音響再生システムの稼動環境との差異を補正し、音響再生システムの稼動環境において適切な吸音効果が得られるようにする役割を果たす。
本実施形態においても、上記第7実施形態と同様、稼動時にはマイクロホン31および振動速度センサ32を用いた平面スピーカ12のフィードバック制御を行うことなく、平面スピーカ11からの平面波を平面スピーカ12に吸音させることができる。また、本実施形態によれば、平面スピーカ12に吸音を行わせるのに必要な畳み込み演算用の時間関数f11(t)およびf12(t)を音響再生システムの稼動環境とは異なる実験室等において求め、この時間関数f11(t)およびf12(t)を用いて稼動時に実行すべきフィルタ処理の内容を決定することができるので、音響再生システムを稼動状態に至らせるまでの調整作業が容易であるという利点がある。
<第9実施形態>
図19はこの発明の第9実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムは、4チャネルの平面スピーカ10FL、10FR、10RLおよび10RRを有している。ここで、平面スピーカ10FLは平面スピーカ10RRと対向しており、平面スピーカ10FRは平面スピーカ10RLと対向している。
図19はこの発明の第9実施形態である音響再生システムの構成を示すブロック図である。この音響再生システムは、4チャネルの平面スピーカ10FL、10FR、10RLおよび10RRを有している。ここで、平面スピーカ10FLは平面スピーカ10RRと対向しており、平面スピーカ10FRは平面スピーカ10RLと対向している。
音源20Aは、FL、FR、RLおよびRRの各チャネルのオーディオ信号を出力する。このFL、FR、RLおよびRRの各チャネルのオーディオ信号は、加算器60FL、60FR、60RLおよび60RRを各々介し、平面スピーカ10FL、10FR、10RLおよび10RRに各々供給される。
吸音制御部30FLは、平面スピーカ10FLから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を平面スピーカ10RRに与える反射抑制信号FL’を、FLチャネルのオーディオ信号から生成する。この反射抑制信号FL’は加算器60RRを介して平面スピーカ10RRに供給される。また、吸音制御部30RRは、平面スピーカ10RRから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を平面スピーカ10FLに与える反射抑制信号RR’を、RRチャネルのオーディオ信号から生成する。この反射抑制信号RR’は加算器60FLを介して平面スピーカ10FLに供給される。同様に吸音制御部30FRは、反射抑制信号FR’をFRチャネルのオーディオ信号から生成し、これを加算器60RLを介して平面スピーカ10RLに供給し、吸音制御部30RLは、反射抑制信号RL’をRLチャネルのオーディオ信号から生成し、これを加算器60FRを介して平面スピーカ10FRに供給する。なお、各吸音制御部において反射抑制信号を得るためのフィルタ処理は、既に他の実施形態において開示した各方法により決定することが可能である。
本実施形態では、吸音制御部30FL、30FR、30RLおよび30RRによる制御の下、相互に対向した平面スピーカ10FLおよび10RRの対並びに平面スピーカ10FRおよび10RLの対において、一方の平面スピーカが放射した平面波をこれと向かい合った他方の平面スピーカが吸音する。従って、平面スピーカ10FL、10FR、10RLおよび10RRにより囲まれた領域には、各平面スピーカからの直接音成分のみからなる明瞭性の良い音を提供することができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明にはこれら以外にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明にはこれら以外にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記第1、第2、第3実施形態では、平面スピーカ11および12間に1個の収音点を設け、この収音点において取得されるインパルス応答を用いて吸音制御部30に実行させるフィルタ処理の内容を決定したが、収音点を複数設け、それらの収音点において得られる各インパルス応答を平均したものを用いてフィルタ処理の内容を決定するようにしてもよい。
(2)上記第3実施形態において、収音点を複数設けて、各収音点において得られる各インパルス応答から、各インパルス応答を直接音成分のみにすることができるフィルタ処理のフィルタ係数列を推定するようにしてもよい。
(3)上記第5実施形態では、平面スピーカ12の近傍において検出した音圧信号と振動速度信号の両方を同平面スピーカ12に帰還するアクティブ吸音を行ったが、音圧信号または振動速度信号の一方を平面スピーカ12に帰還するアクティブ吸音を行うようにしてもよい。
(4)上記第7および第8実施形態では、平面スピーカ12の近傍において検出した音圧信号と振動速度信号の両方を同平面スピーカ12に帰還する構成において適切なアクティブ吸音が行われるための条件を求めたが、音圧信号または振動速度信号の一方を平面スピーカ12に帰還する構成において適切なアクティブ吸音が行われるための条件を求め、この結果を利用して吸音制御部30に実行させるフィルタ処理の内容を決定するようにしてもよい。
(5)上記第9実施形態では、全てのチャネルのオーディオ信号を平面スピーカにより再生する例を示したが、全てのスピーカが平面スピーカである必要はない。複数チャネルのオーディオ信号の再生を行う複数のスピーカの中には平面スピーカでないスピーカが混在してもよい。この場合において、複数のスピーカの中の平面スピーカについては、2個ずつ互いに向き合うように配列する。そして、互いに向き合った平面スピーカに対しては上記第9実施形態において開示したように吸音制御部を各々設け、これらの吸音制御部による制御の下、各平面スピーカには、対向する平面スピーカから放射される平面波の吸音を行わせる。この態様においても、上記第9実施形態と同様な効果が得られる。
(6)上記各実施形態において、吸音用の平面スピーカまたは吸音セルアレイの駆動回路に対する反射抑制信号の供給を行うか否かを切り換える手段を設け、音響再生用平面スピーカから放射される平面波の吸音を行うか否かを切り換えるように構成してもよい。
11,12,12A,10FL,10FR,10RL,10RR……平面スピーカ、20,20A……音源、30,30A,35,143,30FL,30FR,30RL,30RR……吸音制御部、13……吸音セルアレイ、130……セル、141……駆動回路、142……音圧検出器、134……振動板、133……多孔材。
Claims (9)
- 音源と、
前記音源から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面波を放射する音響再生用平面スピーカと、
前記音響再生用平面スピーカと向き合い、反射抑制信号が与えられることにより、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の吸音を行う吸音手段と、
前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の吸音を前記吸音手段に行わせるための反射抑制信号を前記音響再生用スピーカに供給されるオーディオ信号または前記音響再生用スピーカからの放射音の検出結果に基づいて生成する吸音制御手段と
を具備することを特徴とする音響再生システム。 - 前記吸音手段は、平面スピーカであり、
前記吸音制御手段は、前記吸音手段である平面スピーカの近傍の音圧または同平面スピーカの振動面の振動速度を検出するセンサと、前記音響再生用スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を前記吸音手段である平面スピーカに与える反射抑制信号を前記センサの出力信号から生成し、前記吸音手段である平面スピーカに帰還する吸音制御部とを具備することを特徴とする請求項1に記載の音響再生システム。 - 前記吸音手段は、各々内部に振動板を有する複数のセルを前記音響再生用平面スピーカと向き合った平面をなすように配列してなる吸音セルアレイを具備し、
前記吸音制御手段は、前記吸音セルアレイを各々所定個数のセルからなる複数のセルグループに分割した各セルグループに対応して設けられ、各々同一セルグループに属する複数のセル内の各振動板を一括して駆動する複数の駆動回路と、各セルグループに対応して設けられ、各々に対応したセルグループの代表的なセルにおける音圧を各々検出する複数の音圧検出器と、前記音響再生用スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を各々に対応したセルグループの各セルの振動板に与える反射抑制信号を、各々に対応したセルグループの代表的なセルに設けられた音圧検出器の出力信号から生成し、生成した反射抑制信号を同セルグループに対応して設けられた駆動回路に各々帰還する複数の吸音制御部とを具備することを特徴とする請求項1に記載の音響再生システム。 - 前記吸音手段は、平面スピーカであり、
前記吸音制御手段は、前記音響再生用スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を前記吸音手段である平面スピーカに与える反射抑制信号を、前記音源から出力されるオーディオ信号から生成することを特徴とする請求項1に記載の音響再生システム。 - 前記吸音手段は、前記音響再生用平面スピーカに対して傾斜した複数の平面スピーカにより構成され、
前記吸音制御手段は、前記吸音手段を構成する平面スピーカ毎に、前記音響再生用スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を当該平面スピーカに与える反射抑制信号を、前記音源から出力されるオーディオ信号から生成する複数の吸音制御部を具備することを特徴とする請求項1に記載の音響再生システム。 - 互いに向き合い、対向する平面スピーカに向けて平面波を放射する2個の平面スピーカの対を少なくとも1対含む複数のスピーカと、
前記複数のスピーカに供給する各オーディオ信号を各々出力する音源と、
前記互いに向かい合った2個の平面スピーカを制御する手段であって、対向する平面スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を各平面スピーカに与える反射抑制信号を、各平面スピーカに供給する各オーディオ信号から生成する吸音制御手段と
を具備することを特徴とする音響再生システム。 - 音源と、前記音源から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面波を放射する音響再生用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカと向き合った吸音用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を前記吸音用平面スピーカに与える反射抑制信号を、前記音源から出力されるオーディオ信号にフィルタ処理を施すことにより生成する吸音制御手段とを具備する音響再生システムにおける前記フィルタ処理の内容を決定する方法において、
前記音響再生用平面スピーカをインパルスにより駆動し、前記音響再生用平面スピーカと前記吸音用平面スピーカとの間の収音点におけるインパルス応答を取得し、この取得したインパルス応答を加工することにより前記フィルタ処理に用いるフィルタ係数列を求めることを特徴とする方法。 - 音源と、前記音源から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面波を放射する音響再生用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカと向き合った吸音用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を前記吸音用平面スピーカに与える反射抑制信号を、前記音源から出力されるオーディオ信号にフィルタ処理を施すことにより生成する吸音制御手段とを具備する音響再生システムにおける前記フィルタ処理の内容を決定する方法において、
前記吸音用平面スピーカの近傍に音圧または振動速度を検出するセンサを設けるとともに、このセンサの出力信号から反射抑制信号を生成して前記吸音用平面スピーカに帰還する帰還回路を設け、前記音響再生用平面スピーカを基準信号により駆動して基準信号音を前記音響再生用スピーカから前記吸音用平面スピーカに放射させ、前記吸音用平面スピーカによる前記基準信号音の吸音が行われるように前記センサの出力信号から前記反射抑制信号を生成する前記帰還回路の信号処理の内容を決定する第1の過程と、
前記音源から前記音響再生用平面スピーカおよび前記吸音用平面スピーカを経由して前記センサに至る経路のインパルス応答を取得する第2の過程と、
前記第1の過程において決定した信号処理の内容と前記第2の過程において取得したインパルス応答に基づいて前記吸音制御部に実行させるフィルタ処理に用いるフィルタ係数列を求める第3の過程と
を具備することを特徴とする方法。 - 音源と、前記音源から出力されるオーディオ信号により駆動され、平面波を放射する音響再生用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカと向き合った吸音用平面スピーカと、前記音響再生用平面スピーカから放射された平面波の反射を抑制する駆動力を前記吸音用平面スピーカに与える反射抑制信号を、前記音源から出力されるオーディオ信号にフィルタ処理を施すことにより生成する吸音制御手段とを具備する音響再生システムにおける前記フィルタ処理の内容を決定する方法において、
前記音響再生システムの稼動環境とは異なる環境において、前記吸音用平面スピーカの近傍に音圧または振動速度を検出するセンサを設けるとともに、このセンサの出力信号から反射抑制信号を生成して前記吸音用平面スピーカに帰還する帰還回路を設け、基準信号音を前記吸音用平面スピーカに放射し、前記吸音用平面スピーカによる前記基準信号音の吸音が行われるように前記センサの出力信号から前記反射抑制信号を生成する前記帰還回路の信号処理の内容を決定する第1の過程と、
前記第1の過程が実行される環境と同一環境において、前記基準信号音を前記吸音用平面スピーカに放射したときに前記吸音用平面スピーカの入力端子に現れるスピーカ応答を取得する第2の過程と、
前記音響再生システムの稼動環境において、前記音源から前記音響再生用平面スピーカにインパルスを与えたときに前記吸音用平面スピーカの入力端子に現れるスピーカ応答を取得する第3の過程と、
前記第1の過程において決定した信号処理の内容と、前記第2の過程において取得したスピーカ応答と、前記第3の過程において取得したスピーカ応答に基づいて前記吸音制御部に実行させるフィルタ処理に用いるフィルタ係数列を求める第4の過程と
を具備することを特徴とする方法。
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