JP2007178398A - 光検査方法および光検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射光、散乱光、透過光の光量変化が発生しにくい位相物体が被検査体である場合にも、高S/N比で良好な光検査を実現する。
【解決手段】光源11から放射されるレーザ光を伝搬させるコアを有する光ファイバに導光し、光ファイバが射出側端部に有するプローブ部22の先端部領域に光スポットを形成し、光スポットにより被検査体2の走査を行い、被検査体2を介した検査光における位相変化を検出する。
【選択図】図1
【解決手段】光源11から放射されるレーザ光を伝搬させるコアを有する光ファイバに導光し、光ファイバが射出側端部に有するプローブ部22の先端部領域に光スポットを形成し、光スポットにより被検査体2の走査を行い、被検査体2を介した検査光における位相変化を検出する。
【選択図】図1
Description
この発明は、光検査方法および光検査装置に関する。
近来、シリコンウエハの欠陥検査等を「近接場光」を利用して行うことが提案されている。例えば、回折限界以下の寸法の微細構造体をプローブとして用い、プローブ先端部を照明することでその近傍に近接場光を発生させ、発生した近接場光により被検査面を走査することにより、プローブ近傍に局在している近接場光と試料面との電磁気的な相互作用により散乱した光や被検査体を透過した光を検出することで、被検面から反射光強度やスペクトル、偏光状態等の光学的情報を得ることができる。
シリコンウエハの欠陥検査等を行う検査装置として、対物レンズによる観察系を含む通常の光学顕微鏡装置に近接場光検出用光プローブを組み込み、対物レンズによる観察系での低分解能の検査後、近接場光を利用した高分解能の検査へ切り替える構成のものが提案されている(特許文献1)が、対物レンズによる広範囲検査後、近接場光による微細な検査領域への光プローブの位置合わせが容易でなく、検査に長時間を要すると考えられる。
光プローブとして、光ファイバの先端部にテーパ角の異なる2つの領域を同心面的に形成し、光ファイバの軸心部分に形成されたテーパ角の大きい「尖った形状の部分」を近接場滲出面としてその面にAuやAg等の金属薄膜を形成し、近接場光滲出面の周囲にテーパ角の小さい通常伝搬光射出面を形成し、通常伝搬光射出面から射出した通常伝搬光がテーパの作用で、近接場光滲出面からの滲出近接場光よりも光プローブ軸上で離れた位置に集光するようにしたものを用いる検査方法が提案されている(特許文献2〜4)。
特許文献2の検査方法では、通常伝搬光の集光位置と滲出近接場光とがともに「光プローブの軸方向」に位置するので、通常伝搬光による検査から滲出近接場光への切り替えは光プローブ先端と被検面との「プローブ軸方向の距離」を切り替えるのみでよく、切り替えが容易であるので、検査の高速化を実現できる。
本発明は、光学検査において、反射光、散乱光、透過光の光量変化が発生しにくい位相物体が被検査体である場合にも、高S/N比の検査を可能とすることを課題とする。
本発明の光検査方法は、被検査体を光学的に検査する方法であって、光源から放射されるレーザ光を伝搬させるコアを有する光ファイバに導光し、光ファイバの射出側端部に形成されたプローブ部の先端部領域に、コアを導光した伝搬光に基づく光スポットを形成し、この光スポットにより被検査体の走査を行い、被検査体を介した検査光における位相変化を検出することを特徴とする(請求項1)。
被検査体における位相変化を検出することにより、反射光、散乱光、透過光の光量変化が発生しにくいバイオ試料のような位相物体が被検査体である場合にも、高S/N比で光学検査を実現できる。
この明細書において、「検査」は、被検査体を光学的に走査して「被検査体の状態を光学的に観察する」場合や「被検査体に対して光学的な測定を行う」場合を総称する。
被検査体を介した検査光における位相変化は、光源から放射されたレーザ光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバのコアに伝搬させて被検査体を透過させた透過光を検査光とし、分波された他方の光束と合波することにより検出できる(請求項2)。以下、この方法をマッハツェンダ型の光検査方法と呼ぶ。
被検査体を介した検査光における位相変化は、光源から射出された光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバのプローブ部を介して被検査体を透過させ、透過光を反射させて再び被検査体を透過させて戻り光とし、戻り光を検査光として「分波された他方の光束を参照鏡により反射させた参照光」と合波することによっても検出できる(請求項3)。以下、この方法をマイケルソン型の光検査方法と呼ぶ。
請求項4記載の光検査方法は、請求項1または2または3に記載の光検査方法において、光ファイバのプローブ部の先端部領域に形成される光スポットを、プローブ部先端の直近部分に形成される近接場光スポットと、この近接場光スポットよりもプローブ部の回転軸上でプローブ部先端から離れた位置に形成される通常伝搬光スポットの2種類とし、これら2種類の光スポットのうちの任意の1を選択して被検査体の走査を行うことを特徴とする。
請求項5記載の光検査装置は、請求項1〜4の任意の1に記載の光検査方法を使用して、被検査体を光学的に検査する装置であって、レーザ光源と、光ファイバプローブと、走査手段と、位相変化検出手段とを有する。
「レーザ光源」は、レーザ光束を放射する。
「光ファイバプローブ」は、レーザ光源から放射されたレーザ光をコア部により伝搬させる光ファイバと、その射出側端部に形成されたプローブ部とを有し、レーザ光を導光させて、プローブ部の先端部領域に光スポットを形成する。
「走査手段」は、光スポットにより被検査体を走査する手段である。走査手段としては、従来から広く知られた「3軸の移動ステージ」等を利用することができる。
「位相変化検出手段」は、被検査体を介した検査光における位相変化を検出する手段である。検査者は検出した位相変化に基づき被検査体の光学物性を知ることができる。
光ファイバプローブの光ファイバは「シングルモード」のものであり、その長さには特に制限がなく、設計条件に応じて適宜の長さのものを用いることができる。光源からのレーザ光は、光ファイバのコア部をシングルモードの伝搬光(通常伝搬光)である「実質的な平行光束」として伝搬する。
「光ファイバプローブ」は、レーザ光源から放射されたレーザ光をコア部により伝搬させる光ファイバと、その射出側端部に形成されたプローブ部とを有し、レーザ光を導光させて、プローブ部の先端部領域に光スポットを形成する。
「走査手段」は、光スポットにより被検査体を走査する手段である。走査手段としては、従来から広く知られた「3軸の移動ステージ」等を利用することができる。
「位相変化検出手段」は、被検査体を介した検査光における位相変化を検出する手段である。検査者は検出した位相変化に基づき被検査体の光学物性を知ることができる。
光ファイバプローブの光ファイバは「シングルモード」のものであり、その長さには特に制限がなく、設計条件に応じて適宜の長さのものを用いることができる。光源からのレーザ光は、光ファイバのコア部をシングルモードの伝搬光(通常伝搬光)である「実質的な平行光束」として伝搬する。
請求項6記載の光検査装置は、請求項5記載の光検査装置における「位相変化検出手段」として、光源からのレーザ光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバプローブのコア部に導光する「分波手段」と、光ファイバプローブから被検査体を透過させた透過光を検査光として、分波した他方の光束と合波する「合波手段」を有し、合波手段による合波状態により検査光における位相変化を検出する。
請求項7記載の光検査装置は、請求項5記載の光検査装置における「位相変化検出手段」として、光源からのレーザ光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバプローブのコア部に導光する「分波手段」と、光ファイバプローブを介して被検査体を透過した光を透過側で反射させて、被検査体を再度透過させ戻り光とする反射手段と、分波された他方の光束を反射させる参照鏡と、戻り光を検査光として、参照鏡で反射させた参照光と合波する「合波手段」を有し、合波手段による合波状態により検査光における位相変化を検出する。
請求項8記載の光検査装置は、請求項5〜7の任意の1に記載の光検査装置において、光ファイバプローブのプローブ部が、プローブ部先端の直近部分に近接場光スポットを形成するテーパ角:θ2をもつ円錐状の近接場光滲出部と、この近接場光滲出部を同心面状に囲繞して形成され、テーパ角:θ1(<θ2)を持ち、通常伝搬光を射出させて、近接場光スポットよりもプローブ部先端から回転軸上で離れた位置に通常伝搬光スポットを形成させる通常伝搬光射出部とを有し、少なくとも近接場光滲出部の少なくとも一部に表面プラズモン伝搬のための導電性被覆層が形成されたことを特徴とする。
近接場光滲出部のテーパ角:θ2は、コア部を伝搬した光が全反射する角度に設定され、通常伝搬光射出部のテーパ角:θ1は、コア部を伝搬した光が全反射しない角度に設定される。
通常伝搬光射出面は「円錐面状」に形成してもよいし、射出する通常伝搬光の集光を助長する「レンズ面機能をもつ曲面」、例えばトロイダル面等として形成してもよい。
導電性被覆層は、AuやAg等の金属薄膜が好適であり、近接場光滲出面から滲出した近接場光は、被覆層を伝搬して、円錐面状の近接場光滲出面の尖った先端部に光スポットを形成する。
通常伝搬光射出面は「円錐面状」に形成してもよいし、射出する通常伝搬光の集光を助長する「レンズ面機能をもつ曲面」、例えばトロイダル面等として形成してもよい。
導電性被覆層は、AuやAg等の金属薄膜が好適であり、近接場光滲出面から滲出した近接場光は、被覆層を伝搬して、円錐面状の近接場光滲出面の尖った先端部に光スポットを形成する。
請求項8記載の光検査装置では、通常伝搬光による広範囲検査と近接場光による高分解能検査を1つの装置で行うことができる。また、通常伝搬光スポットと近接場光スポットが軸上で離れた位置にあるため、それぞれの検査を高S/N比で行うことができる。
請求項9記載の光検査装置は、請求項8記載の光検査装置において、表面プラズモン伝搬のための導電性被覆層が近接場光滲出部にのみ形成されていることを特徴とする。金属薄膜の被覆層は、表面に凹凸があると、射出される光の波面に乱れを生じる。被覆層を通常伝搬光射出面に形成しないことにより、光ファイバプローブから射出される通常伝搬光の波面の崩れを抑えることができる。
本発明の光検査方法を用いることにより、被検査体が、反射光、散乱光、透過光の光量変化が発生しにくい位相物体である場合にも、干渉光学系の導入により位相変化を検出でき、高S/N比で光検査を実現することができる。
以下、実施の形態を説明する。
図1、図2に示す検査装置1および1Aは、例えば「被検査体である試料の微小領域における光学物性を測定する光学顕微鏡」等として実施することができる。
図1、図2に示す検査装置1および1Aは、例えば「被検査体である試料の微小領域における光学物性を測定する光学顕微鏡」等として実施することができる。
図1は「マッハツェンダ型の光検査装置」、図2は「マイケルソン型の光検査装置」の実施の形態をそれぞれ示している。
まず、図2を参照して、マイケルソン型の光検査装置の実施の形態を説明する。
検査装置1は、レーザ光を放射する光源11と、光源11を駆動する駆動電源11a、光源11から放射されるレーザ光の波長を切り替える光波長切換部17、光源11から射出されたレーザ光の光路中に配置されたビームスプリッタ12aと、ビームスプリッタ12aにて分波されたレーザ光を反射させてビームスプリッタ12aに戻す参照鏡18eと、光源11から射出されたレーザ光がビームスプリッタ12aを透過した光路中に配置された1/2波長板18a、1/4波長板18b、これら波長板の調整を行う調整手段18と、波長板18a、18bを透過した光を被検査体2に照射し被検査体を透過させ、透過した光を反射させる反射部材2bと、反射部材2bで反射し被検査体を再び透過した戻り光40aと参照鏡18eで反射した参照光40bを併せて検出する光検出器14、プローブ制御部15、画像処理部16、画像表示部19および制御手段100を有する。制御手段100はマイクロコンピュータ等により構成され装置全体を制御する。
検査装置1は、レーザ光を放射する光源11と、光源11を駆動する駆動電源11a、光源11から放射されるレーザ光の波長を切り替える光波長切換部17、光源11から射出されたレーザ光の光路中に配置されたビームスプリッタ12aと、ビームスプリッタ12aにて分波されたレーザ光を反射させてビームスプリッタ12aに戻す参照鏡18eと、光源11から射出されたレーザ光がビームスプリッタ12aを透過した光路中に配置された1/2波長板18a、1/4波長板18b、これら波長板の調整を行う調整手段18と、波長板18a、18bを透過した光を被検査体2に照射し被検査体を透過させ、透過した光を反射させる反射部材2bと、反射部材2bで反射し被検査体を再び透過した戻り光40aと参照鏡18eで反射した参照光40bを併せて検出する光検出器14、プローブ制御部15、画像処理部16、画像表示部19および制御手段100を有する。制御手段100はマイクロコンピュータ等により構成され装置全体を制御する。
光源11は駆動電源11aにより駆動され、光波長切換部17により設定された波長のレーザ光を放射する。放射されたレーザ光のうち、ビームスプリッタ12aを透過した光は、1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過する。1/2波長板18a、1/4波長板18bは、透過光の光軸の周りに回転調整可能であり調整手段18により態位調整されて、レーザ光の偏光を制御する。
1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過したレーザ光は、一部が光ファイバプローブ13のコア31へ入射し、シングルモード波として伝搬部21のコア31内を伝搬する。光ファイバプローブ13の光伝搬部21が曲がっていると「伝搬するレーザ光の偏光状態が光伝搬部21の曲がりにより乱れる(直線偏光が楕円化する)」ので、1/4波長板18bの態位調整により「この偏光状態の乱れを補正」し、プローブ部22に入射するレーザ光を直線偏光にする。
このように、1/4波長板18bは「光伝搬部21の曲がりによる伝搬レーザ光の偏光状態の乱れを補正」するものであるので、偏光状態に乱れを生じないような構成の光ファイバプローブである場合には不要であり省略することもできる。また、図2において、1/4波長板18bは1/2波長板18aよりも光源側に配置してもよい。1/2波長板18a、1/4波長板18b光は、ビームスプリッタ12aより光源側に配してもよい。
ビームスプリッタ12aは、光源11から放出された光を2光束に分波するとともに、戻ってきた光を合波する。
ビームスプリッタ12aにて分波された1光束は、ビームスプリッタ12aを透過し、光ファイバプローブ13のコア31を伝搬して、光ファイバプローブ先端部のプローブ部22から射出され、被検査体2の光ファイバプローブ13側の面2aに入射して被検査体2を透過し、反射部材2bで反射して被検査体2を再び透過して戻り光40aとして光ファイバープローブのコア31を伝搬し、ビームスプリッタ12aに戻る。戻り光40aは被検査体2を透過しているため被検査体2の位相情報を有している。
分波された他方の光束は、参照鏡18eで反射して参照光40bとなりビームスプリッタ12aに戻る。ビームスプリッタ12aは参照光40bと戻り光40aを合波し、光検出器14へ導く。
光検出器14は、参照光40bと戻り光40aの合波を受光し干渉縞強度情報を取得する。干渉縞強度情報を光電変換することにより、位相分布信号を生成し、位相分布信号をもとに画像処理部16で画像を作成して表示装置19に表示する。検査者は、この画像に基づき、被検査体2の光学物性を検査することができる。
光ファイバプローブ13は、コア31とこれを囲繞するクラッド32とを有し、レーザ光を伝搬させる伝搬部21と、伝搬部21の射出側端部に通常伝搬光射出部20aと近接場光滲出部20bを有するプローブ部22とを有する。コア31、クラッド32は、それぞれ2酸化シリコン系ガラスから成り、ゲルマニウム、リン等を添加することにより、コア31よりもクラッド32の屈折率が低くなるように組成制御されている。
図3(b)は光ファイバプローブ13のプローブ部22を、図2の下方から見た状態を示している。プローブ部22は、通常伝搬光射出部20aと近接場光滲出部20bとからなっており、通常伝搬光射出部20aに対応するコア端面が「通常伝搬光射出面」であり、近接場光滲出部20bに対応するコア端面が「近接場光滲出面」である。通常伝搬光射出部20aは、近接場光滲出部20bを囲繞して、近接場光滲出面と同心面的、即ち、近接場光滲出部20bと回転対称軸を共通にして形成されている。
図3を参照して、近接場光滲出部20bについて説明する。
近接場光滲出面は「尖った円錐面状」に形成され、その表面に被覆層が導電性薄膜として形成されている。近接場光滲出面をなす円錐面の頂角を「α2」とすると頂角:α2は、コアを伝搬して上記円錐面に入射する通常伝搬光の入射角が「全反射角以上かつ90度未満」となるような角に設定されている。通常伝搬光が光ファイバプローブ13のコア31の中心線に平行であるとして、上記入射角をθ2とすると入射角:θ2は「θ2=90度―α2/2」である。入射角:θ2は「コア31の中心線に直交する面」に対して「近接場光滲出面をなす円錐面」のなす角であるので、「近接場光滲出部のテーパ角:θ2」と呼ぶ。
図3(a)において、コアを伝搬する通常伝搬光Lがプローブ部に到達すると、通常伝搬光Lは、その一部が近接場光滲出面に入射し、他は通常伝搬光射出面に入射する。近接場光滲出面に入射する通常伝搬光Lは「入射角が全反射角以上」であるので、その大部分が近接場光滲出面で全反射し、その際滲出するエバネセント光(近接場光)が被覆層20dを伝搬し、近接場光滲出部20bの尖端部に近接場光スポットPLを形成する。近接場光スポットPLは上記尖端部から数nm〜数10nmの位置に形成される。
近接場光滲出面に形成される「近接場光伝搬のための被覆層」は、導電性があれば、材料として特に制限はないが、表面プラズモンによる近接場光スポットの増強効果が得られることや「化学的安定性に優れる」ことから「Au薄膜」とすることが好ましい。
滲出する近接場光の強度には「被覆層の材料に応じた波長依存性」がある。この波長依存性は一般に、図5(a)に示す如き「山形」になる。このとき、近接場光強度率が最大値:P0の1/2の値:P1となる「波長:λ21とλ22の間の波長帯」にある波長を選択することにより、高い強度の近接場光スポットを実現できる。
被覆層をAu薄膜とした場合、上記波長帯は480〜700nm程度である。
被覆層をAu薄膜とした場合、上記波長帯は480〜700nm程度である。
近接場光強度はまた、近接場光滲出面のテーパ角:θ2にも依存する。このテーパ角依存性は、一般に図5(b)に示す如き「山形」になる。このとき、近接場光強度率が最大値:P0の1/2の値:P1となる、テーパ角:θa、θbの間のテーパ角を選択することにより、高い強度の近接場光スポットを実現できる。
被覆層をAu薄膜とし、光源からのレーザ光の波長を532nmとした場合、上記テーパ角の好適な範囲は45度〜55度の範囲である。
被覆層をAu薄膜とし、光源からのレーザ光の波長を532nmとした場合、上記テーパ角の好適な範囲は45度〜55度の範囲である。
図6(b)は、近接場光滲出部20bの変形例を示している。この例では、光ファイバプローブの射出側端部のプローブ部における近接場光滲出部20b1において、近接場光滲出面の全体が被覆層20d1により被覆されているのではなく、近接場光滲出面をなす円錐面の頂部は、被覆層20d1により被覆されていない。このように円錐面頂部が露呈した近接場光滲出部としてもよい。円錐面頂部が露呈した近接場光滲出部とすることで、通常伝搬光による位相測定の際に、通常伝搬光射出面から射出される通常伝搬光の波面の乱れが少なくなり、高いS/N比の位相検査が可能となる。
図3を参照して、通常伝搬光射出部20aについて説明する。
通常伝搬光射出面をなす円錐面の頂角を「α1(>α2)」とすると角:α1は、この円錐面に入射する通常伝搬光の入射角が「0より大きく全反射未満」であるような角として設定されている。通常伝搬光が光ファイバプローブ13のコア31の中心線に平行であるとして、上記入射角をθ1とすると「θ1=90度―α1/2」である。入射角:θ1は上記中心線に直交する面に対して通常伝搬光射出面をなす円錐面のなす角でもあるので、通常伝搬光射出部のテーパ角:θ1と呼ぶ。
図3(a)において、コアを伝搬して通常伝搬光射出面に入射した通常伝搬光は、入射角が全反射角未満であるため通常伝搬光射出面から射出する。
通常伝搬光射出部20aから射出された通常伝搬光は、通常伝搬光射出面の円錐面の傾き(テーパ)により屈折し、図3(a)に示す如くに集光し、近接場光スポットPLよりも「軸(コア31の中心線)上で離れた位置(近接場光滲出部の尖端部から数百nm〜数μm程度離れた位置)」に高い強度の通常伝搬光スポットSPを形成する。
光ファイバプローブ13の近接場光滲出部20bの尖端から、通常伝搬光スポットSPまでの距離(「D」とする。)は、前述した通常伝搬光射出面のテーパ角:θ1を調整することにより制御できる。
図4(a)は、テーパ角:θ1と距離:Dとの関係を示している。
図4(a)は、テーパ角:θ1と距離:Dとの関係を示している。
図4(a)に示されているのは、コア31の屈折率が1.53、射出側媒質が空気である場合で、テーパ角:θ1=50度は全反射角に相当し、テーパ角:θ1がそれより小さくなるにつれて距離:Dは増大し、通常伝搬光スポットは、光ファイバプローブの尖端部から数100nm〜数μm程度離れた位置で集光する。これはテーパ角:θ1が小さくなるほど、通常伝搬光射出部20a1での屈折角が小さくなることによる。
また、上記距離:Dは、光ファイバプローブのプローブ部22における近接場光滲出部20bの直径:B(図3(b))と、通常伝搬光射出部20aの直径:Aとの比:B/Aにも依存する。この依存関係を図4(b)に示す。この図からわかるように、直径比:B/Aを0.25以下とすることで通常伝搬光スポットを、光ファイバプローブの先端から離れた位置に形成できることがわかる。
通常伝搬光スポットSPの径:Hは、通常伝搬光射出部20aの直径:Aおよびテーパ角:θ1および光源が放射するレーザ光の波長:λに依存する。通常伝搬光射出部20aの直径:Aおよびテーパ角:θ1および光源が放射するレーザ光の波長:λを調整することで、必要な測定分解能と同程度の光スポットの径を形成することができる。光スポット径:Hを小さくする場合には、直径:Aを小さく、テーパ角:θ1を大きく、波長:λを短くする。逆に光スポット:Hを大きくする場合には、直径:Aを大きく、テーパ角:θ1を小さく、波長:λを長くればよい。
図5(c)は、テーパ角:θ1が10度の場合における、光源が放出するレーザ光の波長を変化させた場合の、通常伝搬光スポットの径:Hの推移を示す。
屈折率が1.53の通常伝搬光射出部20aから空気中に光が射出される場合、通常伝搬光スポットの径:Hを0.4μm(半値全幅)に制御する際は、通常伝搬光射出部の直径Aを2μm、テーパ角:θ1を20度、レーザ光の波長を0.4μmとする。この場合、光プローブ部先端から通常伝搬光スポット間の距離は1.2μmとなる。
図2において、プローブ部22に形成された被覆層は「近接場光スポットを形成するために必要なもの」であるので、図6(c)に示すように近接場光滲出部20bにのみ形成してもよい。
一般に、通常伝搬光射出部20aに被覆層を形成すると、被覆層を形成しない場合に比べて射出する通常伝搬光の光強度が低下する。しかし、被覆層の材質、層厚、光源11から放出される波長を選択することにより通常伝搬光を用いた検査が可能である。
例えば、被覆層の材質をAuとし、層厚を80nm以下とした場合、被覆層がない場合と比較して多少の光強度の低下はあるが、光プローブ13の先端部から数百nm〜数μm程度離れた位置で集光し、高い光強度を有する光スポットの形成できる。
さらに、通常伝搬光スポットによる検査の際のS/N比向上の観点からすると、導電性材料の材料特性である複素屈折率分散を考慮し、光透過率が最大もしくはその近傍となる波長を選択することが好ましい。例えば、導電性被覆層がAuの場合には、光透過率分布は図4(c)のような凸形状を成す。「光透過率が最大もしくはその近傍となる波長」は、光透過率が最大値:T0の1/2の値:T1となる波長:λ11、λ12間の波長帯の波長であり、例えば、被覆層をAuとした場合、480〜700nmの範囲の波長帯の波長を選択することが望ましい。
図2に戻ると、光ファイバプローブ13は上に説明した如く構成されており、光射出部近傍をプローブ制御部15に装着されている。プローブ制御部15は、例えば「3軸アクチュエータ」等により構成された公知のものであって、光ファイバプローブ13の射出側端部を被検査体2に対して「近接離間させる方向(図の上下方向、前記「軸の方向」)」及びこれに直交する2方向に変位させる機能を有する。
近接場光スポットによる検査と通常伝搬光スポットによる検査を切り替えるときには、制御手段100によりプローブ制御部15を制御して、光ファイバプローブ13の射出側端部と被検査体2との距離を変化させ、被検査体2の面2aを「近接場光スポットもしくは通常伝搬光スポットの形成されている位置」に合致させ、この状態で被検査体2に平行な2方向に走査することにより被検査体2の走査を行う。上記切り替えに伴う「光ファイバプローブ13の射出側端部と被検面2との距離の変化量」は、予め実験的に決定してデータ化し制御手段100に記憶させておく。この切り替えに応じて、波長変換部17で光源から発振するレーザ光の波長を、検査に最適な波長に切り替える。
なお、被検査体の走査は、光ファイバプローブ13の射出端側を固定し、被検査体2を変位させることにより行うようにしてもよいし、光ファイバプローブ13の射出側端部と被検査体2との距離の切り替えを「被検査体2の変位(図2の上下方向の変位)」により行い、近接場光スポットもしくは通常伝搬光スポットによる2次元の走査を、光ファイバプローブ射出側端部の変位により行うようにしてもよい。即ち、被検面と光ファイバプローブとの3次元的な相対変位により走査を実行することができる。
以下に、図1を参照して「マッハツェンダ型の光検査装置」を実施した実施形態を説明する。煩雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものには図2における符号と同一の符号を付し、これらについての説明は、図2に関連した説明を援用する。
図1に示す実施の形態では、ビームスプリッタ12aで分波された2光束のうち、1光束は1/2波長板18a、1/4波長板18bを透過して、光ファイバプローブ13のコア31を伝搬し、プローブ部を介して被検査体2を透過した透過光40dとなり、ビームスプリッタ12bに入射する。透過光40dは被検査体2を透過しているため、被検査体2の位相情報を含んでいる。
分波された他方の光束は、反射鏡18eで反射され、1/2波長板18cを透過して基準光40eとなりビームスプリッタ12bに入射する。1/2波長板18cは基準光40eの偏光方向を透過光40dの偏光方向と一致させる。ビームスプリッタ12bは、透過光40dと基準光40eを合波し光検出器14に導光する。光検出器14は、透過光40dにおける位相差情報を含んだ干渉縞の強度情報を検出し、マイケルソン型の光検査の場合と同様、画像処理部16で画像とされ、画像表示部19に表示される。
図1、図2の光検出装置により、同一の被検査体2に対し、広範囲検査と高分解能検査を切り替えて、同一被検査体2を継続して光検査する場合の過程を以下に説明する。
まず、通常伝搬光スポットSPにより被検査体の検査を行うときには、光ファイバプローブ13の先端(尖端部)と被検査体2の間隔を「通常伝搬光スポットSPによる走査に適した距離(数100nm〜数μm)」に設定し、通常伝搬光スポットSPによる走査を行う。近接場光スポットPLは表面プラズモンとカップリングして近接場光滲出部の先端部に留どまり、被検面には達しないため「通常伝搬光スポットSPによる走査」には影響しない。このとき光源11から射出されるレーザ光の波長は、波長変換部17により「通常伝搬光を使用した検査に適した波長」に設定する。
被検査体2を介した検査光(マイケルソン型の光検査では「戻り光」、マッハツェンダ型の光検査では「透過光」)における位相差情報を、画像表示部19に表示した画像から得た「被検査体2の位相情報」に基づき、より詳細な物性検査を望む微小領域が特定され、当該領域へ光ファイバプローブ13を被検査体2に平行な方向に移動させて「位置あわせ」を行い、当該領域のみを対象として「近接場光スポットによる高分解能検査」を実施する。このとき、光源11からのレーザ光の波長は「近接場光による検査に適した波長」に切り替える。
近接場光スポットPLが形成されている状態で、プローブ制御部15によりプローブ部22を面2aに近接する方向に移動させる。近接場光滲出部20bの尖端部と面2aとの距離が、光源11から射出されるレーザ光の波長の1/4以下となると、近接場光スポットPLが面2aに照射される。近接場光スポットPLにより被検査体2を走査し、被検査体2を介した検査光により、高分解能の検査を行う。
以上のように、光ファイバプローブ13の先端のプローブ部22を被検査体2の面2aに対して近接離間する方向に移動させることにより、マイケルソン型の光検査の場合も、マッハツェンダ型の光検査の場合も「近接場光による高分解能検査と通常伝搬光による低分解能検査」を選択的に行うことができる。
また、通常伝搬光を利用した広範囲検査から近接場光を利用した高分解能検査へ切り替えて同一被検査体の検査を継続して行う場合、用いる光ファイバプローブを「低分解能用と高分解能用に交換」する必要が無く、広範囲検査と同軸での高分解能検査が可能となるため、煩雑な作業を強いられることなく両分解能検査を行うことができる。
光ファイバプローブ13のプローブ部22を面2aに平行な方向に走査する際、プローブ部22の先端部の面2aに対する高さを一定とすることで検査中に近接離間方向への変位制御が不要となり、先に説明した通常伝搬光スポットとプローブ部22の先端部との間の距離(数百nm〜数μm程度)と相俟ってより高速な走査が可能となり、測定時間の大幅な短縮につながる。
この光検査方法によれば、通常伝搬光を利用した測定の際、検査光における位相差を検出する光学系とすることで、位相物体の測定が可能となる。また、通常伝搬光スポットを用いることで、光ファイバプローブのプローブ部13からの射出光が集光していない場合と比較して、被検査体2からより多くの戻り光を得られるため、S/N比が向上し、高コントラストな検査結果を得ることができる。
さらに、従来の近接場光を使用した高分解能検査と比較した場合、測定点一点あたりの測定範囲が広いことから、同一の測定点数、走査ライン数において広範囲の測定を実施できる。
以上のように、この発明の光検査方法・光検査装置により、効率的で高性能な光検査を実現できる。
1 検査装置
2 被検査体
2b 反射部材
11 光源
12 ビームスプリッタ
13 光ファイバプローブ
14 光検出器
17 光波長変換部
18a 1/2波長板
18b 1/4波長板
18c 1/2波長板
19 画像表示部
2 被検査体
2b 反射部材
11 光源
12 ビームスプリッタ
13 光ファイバプローブ
14 光検出器
17 光波長変換部
18a 1/2波長板
18b 1/4波長板
18c 1/2波長板
19 画像表示部
Claims (9)
- 被検査体を光学的に検査する方法であって、
光源から放射されるレーザ光を伝搬させるコアを有する光ファイバに導光し、上記光ファイバの射出側端部に形成されたプローブ部の先端部領域に光スポットを形成し、
上記光スポットにより被検査体の走査を行い、
上記被検査体を介した検査光における位相変化を検出することを特徴とする光検査方法。 - 請求項1記載の光検査方法において、
光源から放射されたレーザ光を2光束に分波し、
分波された1光束を、光ファイバを介して被検査体を透過させ、分波された他方の光と合波し、上記被検査体を透過させた光束における位相変化を検出することを特徴とする光検査方法。 - 請求項1記載の光検査方法において、
光源から放射された光を2光束に分波し、
分波された1光束を、光ファイバを介して被検査体に照射し、被検査体を往復透過させて戻り光とし、
分波された他方の光束を参照鏡により反射させた参照光と上記戻り光を合波し、上記戻り光における位相変化を検出することを特徴とする光検査方法。 - 請求項1または2または3に記載の光検査方法において、
光ファイバのプローブ部の先端部領域に形成される光スポットが、
プローブ部先端の直近部分に形成される近接場光スポットと、
この近接場光スポットよりもプローブ部先端から離れた位置に形成される通常伝搬光スポットの2種類であり、
これら2種類の光スポットのうちの任意の1を選択して被検査体の走査を行うことを特徴とする光検査方法。 - レーザ光源と、
上記レーザ光源から放射されたレーザ光をコア部により伝搬させる光ファイバと、上記光ファイバの射出側端部に形成されたプローブ部とを有し、上記レーザ光を導光させて、上記プローブ部の先端部領域に光スポットを形成する光ファイバプローブと、
上記光スポットにより被検査体を走査する走査手段と、
上記被検査体を介した検査光における位相変化を検出する位相変化検出手段とを有することを特徴とする光検査装置。 - 請求項5記載の光検査装置において、
上記位相変化検出手段が、
光源からのレーザ光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバプローブのコア部に導光する分波手段と、
上記光ファイバプローブから被検査体を透過した検査光と、上記分波手段により分波された他方の光束とを合波する合波手段と、
上記合波手段による合波状態により上記検査光の位相変化を検出する位相変化検出手段とを有することを特徴とする光検査装置。 - 請求項5記載の光検査装置において、
上記位相変化検出手段が、
光源からのレーザ光を2光束に分波し、分波された1光束を光ファイバプローブのコア部に導光する分波手段と、
上記光ファイバプローブから被検査体を透過した光を反射させて、上記被検査体を再度透過させて戻り光とする反射手段と、
上記分波手段により分波された他方の光束を反射させる参照鏡と、
上記参照鏡により反射された参照光と上記戻り光とを合波する合波手段と、
上記合波手段による合波状態により上記検査光の位相変化を検出する位相変化検出手段とを有することを特徴とする光検査装置。 - 請求項5〜7の任意の1に記載の光検査装置において、
光ファイバプローブのプローブ部が、
プローブ部先端の直近部分に近接場光スポットを形成するテーパ角:θ2をもつ円錐状の近接場光滲出部と、
この近接場光滲出部を同心面状に囲繞して形成され、テーパ角:θ1(<θ2)を持ち、通常伝搬光を射出させて、上記近接場光スポットよりもプローブ部先端から離れた位置に通常伝搬光スポットを形成させる通常伝搬光射出部を有し、
少なくとも上記近接場光滲出部の一部に表面プラズモン伝搬のための導電性被覆層が形成されたことを特徴とする光検査装置。 - 請求項8記載の光検査装置において、
表面プラズモン伝搬のための導電性被覆層が近接場光滲出部にのみ形成されていることを特徴とする光検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005380273A JP2007178398A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | 光検査方法および光検査装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005380273A JP2007178398A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | 光検査方法および光検査装置 |
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JP2007178398A true JP2007178398A (ja) | 2007-07-12 |
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ID=38303715
Family Applications (1)
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JP2005380273A Pending JP2007178398A (ja) | 2005-12-28 | 2005-12-28 | 光検査方法および光検査装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007178398A (ja) |
-
2005
- 2005-12-28 JP JP2005380273A patent/JP2007178398A/ja active Pending
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