JP2007176716A - セメントキルンの運転制御方法およびセメントの製造方法 - Google Patents

セメントキルンの運転制御方法およびセメントの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セメントキルンの運転の安定化を図る。
【解決手段】セメントキルン2の窯尻から排出されるガスのSO2濃度とセメントキルン2内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、窯尻から排出されるガスのSO2濃度を測定し、その測定値からセメントキルン2内の原料の温度分布を推定する第2工程と、セメントキルン2内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナー5を調整する第3工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、セメントキルンの運転を安定化させるための制御方法、およびこれを用いたセメントの製造方法に関するものである。
セメントキルン内の原料温度は、クリンカの品質確保や粒径の制御、或いは微粉炭燃焼フレームから耐火物を保護するコーティングの適正な付着等に大きく影響を与えることが知られている。しかしながら、実際に測定できるのはセメントキルンの原料出口付近の温度のみであるため、従来は、上記セメントキルン内の原料温度をセメントキルンの運転制御用パラメータとして利用することはできなかった。
セメントキルンの運転制御に関する先行技術としては、例えば非特許文献1に記載の方法が知られている。この方法においては、セメントキルン内の原料温度と焼成雰囲気に依存するセメントキルンの窯尻(原料入口側)のSO2濃度を連続測定し、その測定値を、運転状況を把握するためのパラメータの一つとして利用している。しかしながら、上記非特許文献1においては、セメントキルン内の原料温度が高ければ上記SO2濃度も上昇するという単純な相関関係の把握に留まり、上記SO2濃度と原料の温度分布との定量的な関係を把握するまでには至らなかったため、例えば上記SO2濃度からセメントキルン内の原料温度を推定したり、或いはこれに基づいてセメントキルンの運転制御を行うことはできなかった。実際には、主に石こうからなる上記コーティングが脱落したときと、石炭の燃焼が不完全燃焼となりCOを発生したときに、上記SO2濃度が上昇することを利用して、それら状況を把握するレベルに留まっていた。
ピーター・ドーバー(Peter Dover)著、「サルファ ダイオクサイド サイクルズ イン キルンズ − プラクティカル メソッズ フォー リデューシング ビルドアップ アンド ブロッケイジ プロブレムズ(Sulphur dioxide cycles in kilns - Practical methods for reducing build-up and blockage problems)」、英国、第26回国際セメントセミナー講演集(26th Proc Int Cem Semin)、1990年、p.151−169
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、セメントキルン内の原料の温度分布を容易に把握することができるとともに、これに基づいてセメントキルンの運転制御を行うことにより、セメントキルンの運転の安定化を図ることができるセメントキルンの運転制御方法およびこれを用いたセメントの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係るセメントキルンの運転制御方法は、セメントキルンの窯尻から排出されるガスのSO2濃度とセメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、上記窯尻から排出されるガスのSO2濃度を測定し、その測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の本発明に係るセメントキルンの運転制御方法は、セメントキルンに投入される直前の原料を1Cy原料として、この1Cy原料のSO3濃度とセメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、上記1Cy原料のSO3濃度を測定し、その測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするものである。
請求項3に記載の本発明に係るセメントキルンの運転制御方法は、セメントキルンの窯尻から排出されるガスのKCl等の塩化物濃度およびSO2濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、上記窯尻から排出されるガスのKCl等の塩化物濃度およびSO2濃度を測定し、それら測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするものである。
請求項4に記載の本発明に係るセメントキルンの運転制御方法は、セメントキルンに投入される直前の原料を1Cy原料として、この1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、上記1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度を測定し、それら測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のセメントキルンの運転制御方法において、上記第1工程では、プロセスシミュレーションを利用して、セメントキルンの窯尻から排出されるガスに含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係、或いは1Cy原料に含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求めるものとし、上記プロセスシミュレーションは、セメント焼成プロセスを複数の単位操作モデルの組合せによってモデル化する第1ステップと、上記単位操作モデルの組合せ順序に沿って、上記単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことで、上記セメントキルン内における物質収支および熱収支を解析する第2ステップとを有し、上記第1ステップでは、原料が造粒していない領域に適用する単位操作モデルとして、上記領域に流入する燃焼ガスの一部が原料と平衡状態に達するとみなして、それに対応する分割率で燃焼ガスの流れを分割する流量分割モデルと、上記流量分割モデルで分割された一方の燃焼ガスと上記領域に存在する原料とが平衡状態に達したときの各々の流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデルと、上記平衡計算モデルで原料と平衡状態に達した燃焼ガスと、上記流量分割モデルで分割された他方の燃焼ガスとを混合したときの燃焼ガスの流量および組成データを計算して出力する機能を有する所定の単位操作モデル(例えば、平衡計算モデル、混合計算モデル、ヒータモデルなど)とを用いるとともに、上記分割率をX、上記領域における燃焼ガスと原料の反応界面をA、上記領域における燃焼ガスと原料間の揮発物質の物質移動係数をk、上記領域に流入する燃焼ガスの流量をQとして、上記分割率Xを、X=A・k/Qにより設定するようにしたことを特徴とするものである。
ここで、平衡計算の手法としては、生成される可能性のある生成物質を予め与えておき、マスバランスを保ちながら、系の自由エネルギーが最小になるように生成物質を決定する手法を採用することができる。この手法においては、設定できる生成物質の数に理論上制限はなく、また反応式を設定する必要もないため、複雑な平衡計算を容易に実行することができる。この平衡計算で得られた揮発成分の気相分圧とフリーボードガス中の気相分圧の差で物質移動量を計算することにより、複雑な化学種や揮発成分の物質移動量を正確かつ容易に計算することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のセメントキルンの運転制御方法において、上記第1工程では、プロセスシミュレーションを利用して、セメントキルンの窯尻から排出されるガスに含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係、或いは1Cy原料に含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求めるものとし、上記プロセスシミュレーションは、セメント焼成プロセスを複数の単位操作モデルの組合せによってモデル化する第1ステップと、上記単位操作モデルの組合せ順序に沿って、上記単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことで、上記セメントキルン内における物質収支および熱収支を解析する第2ステップとを有し、上記第1ステップでは、原料が造粒している領域に適用する単位操作モデルとして、上記領域に流入する燃焼ガスの流れを、注目する揮発物質の数量に応じて分割することにより、注目する揮発物質の各々に対応するガスの流れを形成する第1流量分割モデルと、上記第1流量分割モデルで形成したガスの流れのそれぞれに、一つの注目する揮発物質のみが含まれるように他の揮発物質を分離するセパレータモデルと、上記セパレータモデルで他の揮発物質を分離した各ガスの流れの一部がそれぞれ原料と平衡状態に達するとみなして、それぞれに対応する分割率で、各ガスの流れを分割する第2流量分割モデルと、原料の粒子中に残存する各揮発物質が構成する核の大きさに応じて、上記領域に流入する原料の流れを分割することにより、上記第2流量分割モデルで分割された各ガスの流れに対応する原料の流れを生成する第3流量分割モデルと、上記第2流量分割モデルで分割された各ガスと、これに対応する上記第3流量分割モデルで分割された原料とが平衡状態に達したときの各々の流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデルとを使用するとともに、上記第2流量分割モデルにおいては、揮発物質iに対応するガスの分割率をXi、上記領域における燃焼ガスと原料の反応界面をA、揮発物質iの物質移動係数をki、揮発物質iに対応するガスの分割前の流量をQiとして、上記揮発物質iに対応するガスの分割率Xiを、Xi=A・ki/Qiにより設定し、これら単位操作モデルの組み合わせにより、上記領域における原料と燃焼ガス間の物質移動量を揮発物質i毎に求めるようにしたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の本発明に係るセメントの製造方法は、請求項1〜6の何れかに記載の運転制御方法によりセメントキルンを運転制御してクリンカを製造し、当該クリンカからセメントを製造することを特徴とするものである。
本発明によれば、第1工程において、セメントキルンの窯尻から排出されるガスに含まれる特定物質の濃度(SO2濃度、KCl等の塩化物濃度)と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係、或いは1Cy原料に含まれる特定物質の濃度(SO3濃度、Cl濃度)と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求めた後、第2工程において、上記特定物質の濃度を測定して、その測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定し、その後、第3工程において、原料の温度分布が一定に保たれるように微粉炭燃焼バーナーを調整するようにしたため、原料の温度分布の変化に起因する様々な問題点(例えば、クリンカの品質のバラツキや、サイクロンの閉塞、或いは耐火物の劣化など)を解消することができ、長期に亘り安定した状態でセメントキルンを運転することができる。
図1は、セメント焼成工程のプロセスフローを示す図で、図中符号1がプレヒータ、2がセメントキルン、3がクリンカクーラである。
プレヒータ1は、上下方向に相互に接続された複数のサイクロン4を有し、その最上段4aに供給された粉体原料を下段のサイクロンに送る過程で、セメントキルン2から排出されたガス等を利用して粉体原料を予熱するようになっている。最下段4bのサイクロン4(1Cy)はセメントキルン2に接続されており、プレヒータ1で所定温度(約800℃)に予熱された原料(1Cy原料)がセメントキルン2に連続的に送り込まれるように構成されている。
セメントキルン2は、回転自在で略円筒形状の本体部2aを有し、その軸線が水平方向に対して僅かに傾斜した状態で配置されている。このセメントキルン2は、本体部2aの一端(以下、窯尻と称する)がプレヒータ1に接続される一方、他端(以下、窯前と称する。)がクリンカクーラ3に接続され、窯尻から流入した原料が本体部2aの回転により窯前に向けて順次移動して行くように構成されている。本体部2aの窯前側には微粉炭燃焼バーナー5が設置され、この微粉炭燃焼バーナー5で微粉炭を燃焼させることにより発生した燃焼ガスが、図1に示すように、窯前から窯尻に向けて、すなわち原料の流れと反対の方向に吹き込まれるようになっている。原料は、窯尻から窯前に移動する過程で融液を生じて、その後は徐々に粒径を増して行き、窯前に到達する頃には一定の粒径にまで成長した状態となる。窯前から排出された原料は、クリンカクーラ3で冷却された後、クリンカとして取り出される。こうして製造されたクリンカは、続く仕上工程において、石こうと混合されて、粉砕されることにより、粉末状のセメントに仕上げられる。
図1に示すセメント焼成工程においては、先ずプレヒータ1上部(500℃程度)で、粘土鉱物の分解により結晶水が放出される。石灰石の熱分解は、800℃程度(プレヒータ1下部)から始まり、この熱分解によりCaOが生成される。そして、このCaOとAl23、Fe23、SiO2の固相反応により、CA(CaO・Al23)、C3A(3CaO・Al23)、C2S(2CaO・SiO2)、C4AF(2CaO・Al23 -2CaO・Fe23 固溶体)等が1200℃程度までの間に生成されて行く。1250℃程度になると、C3AやC4AF等が溶解を開始して、液相が生成され、この液相を介してC2SがCaOと反応することにより、C3S(3CaO・SiO2)が生成される。最高温度の1450℃程度に達すると、原料中のCaOは殆ど無くなる。その後、原料はセメントキルン2内でクリンカクーラ3からの二次空気により徐々に温度を下げて、原料出口では1250℃程度になり、クリンカクーラ3では200℃程度まで急冷される。この過程で、液相からC2SとC3Sの間隙にC3A(3CaO・Al23)、C4AF(2CaO・Al23−2CaO・Fe23固溶体)が析出して行く。
次に、本発明に係るセメントキルンの運転制御方法の一実施形態について説明する。
この運転制御方法は、セメントキルン2の焼成帯(例えば窯前からの距離で2〜17mの範囲)および脱着帯(同じく17〜30mの範囲)の原料温度と、窯尻ガス或いは1Cy原料に含まれる特定物質の濃度(窯尻ガスのSO2濃度、窯尻ガスのKCl等の塩化物濃度、1Cy原料のSO3濃度、1Cy原料のCl濃度)との関係を求める第1工程と、上記特定物質の濃度を測定し、その測定値からセメントキルン2内の原料の温度分布を推定する第2工程と、原料の温度分布が一定に保たれるように微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有する。
先ず、第1工程では、プロセスシミュレーション(後述)を利用して、窯尻ガス或いは1Cy原料に含まれる特定物質の濃度と、セメントキルン2内の原料の温度分布との関係を求める。
図2は、セメントキルン2内の温度変化と、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度との関係を示すグラフである。このグラフでは、焼成帯(後述する図8のK6およびK7ブロック)と脱着帯(図8のK3〜K5ブロック)の原料温度が予め設定された基準温度(例えば、図8のブロック平均原料温度)にあるときの各ガス濃度と、この基準温度から、焼成帯と脱着帯の原料温度の一方および両方を変化させたときの各ガス濃度をそれぞれ示している。
このグラフによれば、脱着帯と焼成帯の一方の原料温度が上昇すると、窯尻ガスのSO2濃度が上昇し、双方の温度が上昇すると、その効果が合計されることが分かる。温度変化に対するSO2濃度の変化は焼成帯の方が大きいことから、SO2濃度のみを測定することによっても、焼成帯のおおまかな温度変化を把握することが可能である。
一方、窯尻ガスのKCl濃度については、焼成帯の原料温度が上昇すると、逆に低下し、脱着帯の原料温度が変化しても余り変化しないことが分かる。
したがって、窯尻ガスのSO2濃度に加えて、KCl濃度を測定するようにすれば、両者の変化から、脱着帯と焼成帯の原料温度の変化を正確に把握することが可能である。
なお、窯尻のガス濃度は、原料の温度に依存する他、クリンカの化学組成、特にK2O、Na2O、SO3、Clに大きく影響を受ける。したがって、シミュレーションではクリンカの化学組成が重要な入力パラメーターであり、この化学組成を定期的に見直すことで、正確な温度を把握することが可能である。
図3(a)は、脱着帯の温度変化と、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度との関係を示すグラフ、図3(b)は、焼成帯の温度変化と、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度との関係を示すグラフである。これらグラフによれば、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度の変化は、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度の変化とほぼ同傾向であり、脱着帯の原料温度が上昇すると、SO3濃度およびCl濃度は何れも上昇し、一方、焼成帯の原料温度が上昇すると、SO3濃度は上昇するが、Cl濃度は減少することが分かる。つまり、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度を測定すれば、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度と同様に、脱着帯と焼成帯の原料温度の変化を正確に把握することが可能である。
図4は、脱着帯および焼成帯の温度と、クリンカ中のSO3濃度およびCl濃度とを入力パラメータとして変化させたときの、窯尻のSO2、KCl、NaCl、HClのガス濃度、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度の計算結果を示す図表である。また、図5は、図4のデータを用いて、多変量回帰分析により求めた脱着帯の原料温度の推定式を示す図表である。
図5において、R2は決定係数で、この値が1に近いほど推定精度が高いことを示している。R2値の右側の数値は、クリンカのSO3濃度(%)、Cl濃度(ppm)、窯尻ガスのSO2濃度(%)、SO2とKClの濃度比、KCl濃度(%)、NaCl濃度(%)、KClとNaClの濃度比、KClとHClの濃度比、1Cy原料のSO3濃度(%)およびCl濃度(ppm)の何れかの組合せにより多元一次式を構成するときの各々の係数値であり、右端の数値は定数項である。また、各係数値および定数項の下のカッコ内の数値はt検定によるt値を表している。t値はその絶対値が約2以上であるときに95%の有意水準で係数が有意であることを示している。すなわち、脱着帯の原料温度の推定式として、R2が高く、また有意な変数で構成される回帰式は、No.6,7,12,13,14,16であった。
No.6の回帰式によれば、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度から脱着帯の原料温度を推定でき、これにクリンカのSO3濃度およびCl濃度を説明変数として加えたNo.7の回帰式を用いるようにすれば、さらに推定精度が高くなる。また、No.12の回帰式は、窯尻ガスのKCl濃度と、窯尻ガスのKClとNaClの濃度比とから脱着帯の原料温度を推定するものであり、これにクリンカのCl濃度を説明変数として加えたものがNo.13の回帰式、窯尻ガスのKClとNaClの濃度比の代わりにNaClの濃度を用いたものがNo.14の回帰式である。また、No.16の回帰式は、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度から脱着帯の原料温度を推定するものである。このように、脱着帯の原料温度は、窯尻ガスのSO2濃度とKCl濃度の組合せ、或いは窯尻ガスのKCl濃度とNaClの濃度の組合せから推定することができ、クリンカのSO3濃度およびCl濃度を用いることで、さらにその精度を高めることができる。また、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度によっても脱着帯の原料温度が推定できることが分かる。
図6は、図4のデータを用いて、多変量回帰分析により求めた焼成帯の原料温度の推定式を示す図表である。この図6に示すように、焼成帯の原料温度の推定式として、R2が高く、また有意な変数で構成される回帰式は、No.1,3,6,9,10,13であった。
No.1の回帰式によれば、窯尻ガスのSO2濃度のみから焼成帯の原料温度を推定でき、No.6の回帰式のように、説明変数として、窯尻ガスのSO2濃度の他に、クリンカのSO3濃度、Cl濃度および窯尻ガスのKCl濃度を加えるようにすれば、さらに推定精度が高くなる。また、No.3の回帰式は、窯尻ガスのSO2濃度とクリンカのSO3濃度から焼成帯の原料温度を推定するものであり、同様に、No.9の回帰式は、クリンカのSO3濃度と窯尻ガスのKCl濃度から、No.10の回帰式は、クリンカのSO3濃度およびCl濃度、窯尻ガスのKCl濃度、窯尻ガスのKClとNaClの濃度比から、No.13の回帰式は、クリンカのSO3濃度およびCl濃度、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度から、それぞれ焼成帯の原料温度を推定するものである。このように、焼成帯の原料温度は、窯尻ガスのSO2濃度のみから推定することが可能であり、これにクリンカのSO3濃度やCl濃度、窯尻ガスのKCl濃度等を用いることで、その精度をさらに高めることが可能である。また、クリンカのSO3濃度と窯尻ガスのKCl濃度の組合せ等からも、同様に焼成帯の原料温度を推定することが可能である。
こうして、第1工程において、脱着帯や焼成帯の原料温度を推定するための回帰式を求めた後、第2工程に移行する。第2工程では、先ず、第1工程で求めた回帰式の説明変数に該当する物質の濃度を測定し、次いで、その測定値からセメントキルン2内の原料の温度分布を推定する。例えば、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度を測定し、それら測定値を図5のNo.6の回帰式に代入すれば、脱着帯の原料温度を推定することができ、SO2濃度の測定値を図6のNo.1の回帰式に代入すれば、焼成帯の原料温度を推定することができる。また、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度を測定し、それら測定値を図5のNo.16の回帰式に代入することによっても、脱着帯の原料温度を推定することができる。また、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度の測定値と、クリンカのSO3濃度およびCl濃度とを、図6のNo.13の回帰式に代入することにより、焼成帯の原料温度を推定することも可能である。
第3工程では、第2工程で求めた温度分布が、予め設定された温度分布に一致するか否かを判定し、判定の結果、両者が一致する場合には、微粉炭燃焼バーナー5を現状のままで維持する。一方、両者が一致しない場合には、微粉炭燃焼バーナー5の微粉炭流の近傍から吹き込む一次空気の流量を調整する。具体的には、一次空気を増やすと、前焼き(窯尻側の温度は低くなるが、窯前側の最高温度は高く、一気に焼成するタイプ)となる一方、一次空気を減らすと、奥焼き(窯前側の最高温度は高くならないが、窯尻側の温度は高く、じっくり焼成するタイプ)となるので、かような性質を利用して、セメントキルン2内の原料の温度分布が所望温度となるように一次空気の流量を調整する。なお、セメントキルン2内の原料の温度分布の調整方法は、これに限られるものではなく、例えば、微粉炭燃焼バーナーの改造や原料組成の変更等によっても、セメントキルン2内の原料の温度分布を調整することが可能である。
次に、上記第1工程において、窯尻ガス或いは1Cy原料に含まれる特定物質の濃度と、セメントキルン2内の原料の温度分布との関係を求めるのに用いるプロセスシミュレーションについて説明する。
プロセスシミュレーションは、主に化学工学プラントにおける混合装置、蒸留塔、反応塔等において起こる現象を数学モデル化して、物質収支や熱収支を計算するもので、その処理には、CPU、RAM、記憶装置、入力装置および表示装置等を有する周知のコンピュータが利用される。このコンピュータの記憶装置には、CPUにより実行される各種処理プログラム(プロセスシミュレーションソフトなど)や制御データ等を記憶する記憶領域、上記プログラムで扱われる各種データ(単位操作モデルの定義データなど)を記憶する記憶領域などが設けられ、この記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することで、以下に示す各ステップの処理等が行われるようになっている。
本実施形態では、セメントキルン2やプレヒータ1で起こる化学プロセスを複数の単位操作モデルの組合せによってモデル化する第1ステップと、単位操作モデルの組合せ順序に沿って、単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことで、セメントキルン2やプレヒータ1内における物質収支や熱収支を解析する第2ステップとを有する。
ここで、上記単位操作モデルとしては、例えば、平衡計算モデル、流量分割モデル、混合計算モデル、化学量論反応モデルなどが予め用意されている。
各単位操作モデルには、各々の機能と、予め設定すべき条件が定義されていて、それぞれの単位操作モデルにストリームの情報(例えば、原料やガスの成分、流量、温度、圧力等のデータ)を入力すると、定義された機能と設定条件(反応装置の大きさや運転条件など)に基づく所定の計算が行われて、その計算結果(原料やガスの成分、流量、温度、圧力等)が出力されるようになっている。
平衡計算モデルは、生成される可能性のある物質(生成物質)の種類や相などを予め設定しておくことにより、生成物質の自由エネルギーが最小となるように化学平衡計算・相平衡計算を行って生成物質の種類、相、流量を決定する機能を有している。また、流量分割モデルは、予め設定された分割率でガスや原料等のストリームを分割する機能を有し、混合計算モデルは、複数のストリームを混合する機能を有している。また、化学量論反応モデルは、予め設定された反応式や反応率を用いて生成物質の種類や流量を計算する機能、ヒータモデルは、出口温度やエンタルピー変化を計算する機能、セパレータモデルは、特定の成分を与えられた比率で分割する機能をそれぞれ有している。各単位操作モデルは、原料やガスのストリーム(仮定したストリームを含む。)に沿って相互に接続され、その接続順序に沿って単位操作が順次実行されるようになっている。
例えば、図7に示すような単位操作モデルの組合せによってある化学プロセスをモデル化した場合、ストリームF1の情報を与えれば、単位操作モデルAにてストリームF2の情報が計算される。次いで、単位操作モデルBにてストリームF3の情報が計算されることとなるが、ストリームF5の情報が不明であるため、ストリームF5の情報の予想値(或いは初期値)とストリームF2の情報を用いてストリームF3の情報が計算される。その後、単位操作モデルCにてストリームF4の情報が計算された後、単位操作モデルD(流量分割モデル)にて所定の分割率でストリームF4が分割されて、その分割された各ストリームF5、F6の情報がそれぞれ計算される。次いで、ストリームF5の情報の計算値と上記予想値との比較が行われ、その差が所定の範囲内に収まる場合(所定の収束条件が満たされる場合)には計算が終了となり、一方、所定の範囲内に収まらない場合には、前回の計算値との差が所定の範囲内に収まるまで、単位操作モデルB、C、Dにおける計算が繰り返される。その結果、計算終了時には、系のマスバランスとヒートバランスが満たされた状態になる。
例えば、前述したセメント焼成プロセスをモデル化する場合には、単位操作モデルに入力されるストリームの情報が、原料や燃焼ガスの成分、流量、温度、圧力等のデータとなる。
本実施形態では、塩素や硫黄のガスと原料間の物質移動やクリンカ鉱物の生成を計算するブロックとして、図8に示すように、セメントキルン2を長さ方向で8ブロック(原料の入口側からK1〜K8)に分割する。また、各ブロックの平均原料温度と長さを図8に示すように設定し、各ブロックにおいては、熱交換を計算せず、設定した原料温度分布に従って昇温される原料の加熱および反応に必要な熱量がガスから供給され、ガス温度が原料入口に向かって順次低下していくものとする。なお、原料の温度は、ここで設定しなくとも、燃焼ガスと原料間の熱交換モデルをシミュレーションに組み込むことで決定することも可能である。
セメントキルン2内では、図9(a)に示すように、燃焼ガスと原料間で揮発物質の揮発或いは凝縮による物質移動が生じている。また、燃焼ガスと原料の流れが対向流となっていて、その一方の燃焼ガスの流速が比較的大きいため、燃焼ガスと原料とが平衡状態には達していない。
そこで、本実施形態では、図9(b)に示すように、セメントキルン2内のある領域(例えば、領域S)に流入する燃焼ガスの一部のみが原料と平衡状態に達するとみなして、それに対応する分割率で燃焼ガスの流れを分割する流量分割モデルM1と、この流量分割モデルM1で分割された一方の燃焼ガスと上記領域Sに存在する原料とが平衡状態に達したときの各々の流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデルM2と、流量分割モデルM1で分割された他方の燃焼ガスと平衡計算モデルM2で平衡状態に達した燃焼ガス(平衡計算モデルM2から出力された流量および組成データの燃焼ガス)とを混合したときの燃焼ガスの流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデル(若しくは混合計算モデル)M3と用いる。
塩素や硫黄の揮発・凝縮量は、数1に示すように、揮発物質の原料近傍の蒸気圧と原料上方(フリーボード)ガスの蒸気圧の差、物質移動係数、反応界面で表すことができる。
Figure 2007176716
ここで、Jiは揮発物質iの物質移動(揮発・凝縮)量、Aは反応界面、kiは揮発物質iの物質移動係数、Peqiは揮発物質iの原料近傍での平衡蒸気圧、Piは揮発物質iのフリーボードガス中の蒸気圧である。また、物質移動を部分平衡で表現した上記モデルにおいて、物質移動量は数2で表される。
Figure 2007176716
数2において、Qeqは原料と平衡に達するフリーボードガス量である。そして、数1と数2から、次の関係式を得ることができる。
Figure 2007176716
したがって、上記領域に流入する流量Qのフリーボードガスを、流量分割モデルで分割する場合の分割率は、数4に示すようになる。
Figure 2007176716
例えば、キルン2内で原料が造粒する前の1250℃未満で、原料ベッド上のガス境膜拡散が支配的かつ、各揮発物質iの拡散係数に大きな差がない場合には、種々の揮発・凝縮物質の平均値としての物質移動係数kから、流量分割モデルの分割率Xを求めることができる。
しかしながら、温度が1250℃以上となり、原料が造粒してクリンカとなると、揮発物質のクリンカ細孔拡散を無視できなくなる。この場合、後述の未反応核モデルにて計算される物質移動係数は、未反応の半径、つまり揮発物質が揮発していない半径に依存し、この半径は、塩素と硫黄とで異なる(例えば、揮発率の大きい塩素の方が、半径が小さくなる)ため、kiを物質i毎(塩素と硫黄)に決定する必要がある。また、この場合には、数5に示すように、フリーボードガスを、揮発物質として物質iのみを含むガス(流量Qi)に分割してXiを決定する必要がある。
Figure 2007176716
以下に、物質移動係数の算出方法について、原料が造粒していないとき(K1〜K2ブロック)と、原料が造粒しているとき(K3〜K8ブロック)とに分けて説明する。
(1)原料造粒なし
Watkinsonらは、文献(S. H. Tscheng, and A. P. Watkinson, The Canadian Journal of Chemical Engineering, 57, 433(1979))において、セメントキルン中のガスと原料の熱移動係数は、原料の表面の状態に影響を受け、理論値の10倍程度になると述べている。これを参考に、本実施形態では、シャーウッド数Shを数6の数式により求めることとするが、これ以外の数式を用いて求めるようにしてもよい。
Figure 2007176716
ここで、Shはシャーウッド数、Reはレイノルズ数、Scはシュミット数である。レイノルズ数およびシュミット数は、数7および数8により求めることができる。
Figure 2007176716
Figure 2007176716
上記数式において、dはキルン内径(m)、Vfはフリーボードガス流速(m/s)、ρfはフリーボードガス密度(kg/m3)、μfはフリーボードガス粘度(kg/ms)、Dは拡散係数(m2/s)である。
ガス境膜物質移動係数Kfは、上述したシャーウッド数を用いて、数9により求めることができる。
Figure 2007176716
ここで、拡散係数Dは、主要な拡散物質がSO2で、他成分はN2が大部分を占めることから、SO2とN2の相互拡散係数を用いる。
(2)原料造粒あり
セメント原料は1250℃付近で融液(酸化物溶体)を生じ、最高温度である1450℃付近では、融液が全体の25%程度に達するとされている。セメントキルン2は1〜3rpmで回転しているため、融液を生じてからは、原料は徐々に造粒し、窯前に到達する頃には直径30mm程度のクリンカとなる。この際に、硫酸カルシウムを主成分とする溶融塩が核となって造粒するため、溶融塩は中心部に偏在するともいわれているが、本実施形態では、造粒は比較的速やかに終了し、溶融塩はクリンカに均一に分布するものとして考える。そして、さらに温度が上昇した際には、硫酸塩や塩化物が細孔を拡散して外周より揮発し、その界面が徐々に中心部に移動していくものと考える。この現象に対して、本実施形態では、粒子内部に未反応の部分(未反応核)が存在し、反応とともに粒子径が減少すると仮定する未反応核モデルを使用する。
また、クリンカベッド中のクリンカ粒子間には若干のガスの流れがあると考えられるため、以下に示すように、ガス境膜拡散についても検討し、クリンカ細孔拡散とガス境膜拡散の総括物質移動係数を算出する。
〈ガス境膜拡散物質移動係数kf
クリンカベッド中のガス流速はベッドの深さとともに急激に減少すると考えられるので、図10に示すように、ベッドの表面にはベッド中のガス流速がフリーボードガス速度と等しい表面層があり、それよりも深い部分ではガスの流れは0であると考え、ベッド全体の平均ガス流速を数10により計算する。ここでは、ベッド表面層の深さを粒子径の2倍、粒子径を30mmとして計算する。
Figure 2007176716
数10において、Uはクリンカベッド中ガス流速、Ssはクリンカベッド断面中の表面層の面積(m2)、Sbはクリンカベッド断面積(m2)、Vslは表面層中のガス流速(フリーボードガス流速)、dsは表面層の厚さ(m)である。
本実施形態では、クリンカ粒子と周囲を流れるガスとの物質移動を表す式として、Ranz-Marshall式を用いる。主な拡散物質であるSO2、KClについては、別々に物質移動係数を算出することが可能であるので、拡散係数、シャーウッド数およびシュミット数の各々に対象物質iの添字を付加する。
Figure 2007176716
Figure 2007176716
Figure 2007176716
以上の数式において、Shiはシャーウッド数、Reはレイノルズ数、Sciはシュミット数、dpはクリンカ粒子径(m)、ρcはクリンカベッド中ガス密度(kg/m3)、μcはクリンカベッド中ガス粘度(kg/ms)、Diは物質iの拡散係数(m2/s)である。拡散係数は、SO2に関しては、SO2とN2の相互拡散係数を、KClに関しては、KClとN2の相互拡散係数をそれぞれ用いる。
ガス境膜物質移動係数kfiは、上述したシャーウッド数を用いて、数14により求めることができる。
Figure 2007176716
〈クリンカ細孔拡散物質移動係数kc
前述したように、塩素と硫黄とでは最終的な揮発率が異なるため、それぞれについて未反応核を設定する二重核モデルを構築した。図11にその概念図を示す。この二重核モデルは、粒子の内側より、P1:酸化物溶体と溶融塩(塩化物および硫酸塩)で満たされている部分と、P2:酸化物溶体と溶融塩(ただし、塩化物はなく硫酸塩のみ)で満たされている部分と、P3:細孔が酸化物溶体のみで満たされている部分とにより構成されている。
また、この二重核モデルにおいて、SO2ガスとKClガスの濃度分布は、図11に示すようになる。この濃度分布から分かるように、硫酸塩の分解により生じるSO2ガスは、硫酸塩の核(P2)の外周での平衡濃度とガス境膜の内側での濃度勾配が拡散の駆動力となり、同様にKClガスは、塩化物+硫酸塩の核(P1)の外周での平衡濃度とガス境膜の内側での濃度勾配が拡散の駆動力となる。したがって、ある半径ri(i=塩素、硫黄)の球面における単位時間当たりのフラックスは、数15に示すように、半径方向の濃度勾配に比例しその比例定数は細孔内の有効拡散係数となる。これを粒子の半径Rからriまで、そのときの濃度をPiとPeqi として、数16に示すように積分することにより、数17を得ることができる。ここで、数1よりkci=J/A/(Peqi−Pi)となるので、J=dN/dt、A=4πR2を代入することにより、数18に示すように、クリンカ細孔の物質移動係数kciを得ることができる。
Figure 2007176716
Figure 2007176716
Figure 2007176716
Figure 2007176716
数18において、Miは、造粒時の粒子に均一に存在していたときの塩素と硫黄量を1とする存在量比である。揮発により存在量比がMiとなったときの物質移動係数kci を、数18より求めることができる。図12に原料の造粒後の未反応核変化の概念図を示す。なお、硫黄については造粒を始めるK3ブロック以降で凝縮が揮発を上回り、存在比が増加する場合がある。その場合の未反応核の半径は不変で、凝縮により内部の硫黄の濃度が均一に上昇するものとした。図12では、Ms3<Ms4であるが、未反応核半径は不変(rs3=rs4=R)であるので、K3およびK4ブロックでのSO2の物質移動係数は、Ms3=Ms4=1で計算する。なお、細孔内の有効拡散係数は、クリンカの気孔率および細孔の曲りくねり度を考慮して拡散係数の10分の1程度とした。
〈総括物質移動係数〉
総括物質移動係数kiは、上記のようにして求めたガス境膜拡散物質移動係数kfi およびクリンカ細孔拡散物質移動係数kciから、次式を用いて求めることができる。
Figure 2007176716
次に、セメントキルン2の各ブロックにおける単位操作モデルの接続例について説明する。図13は、原料が造粒していないK2ブロックにおける単位操作モデルの接続例(対向流モデル:原料造粒なし)を示す図である。なお、このモデルは、K1ブロックにおいても適用されるものである。
図13に示すように、このK2ブロックにおいては、単位操作モデルとして、流量分割モデル2、ヒータモデル2、平衡計算モデル2およびセパレータモデル2を用いている。
すなわち、本モデルでは、流量Qのフリーボードガスの一部が原料と平衡状態に達するとみなして、流量分割モデル2において、数4で計算される分割率X(数9の物質移動係数kfを用いて求めた分割率)でフリーボードガス流を分割した後、平衡計算モデル2において、流量分割モデル2で分割されたガスと原料の平衡計算を行い、この平衡計算モデルで生成されるガスを、セパレータモデル2において、固相や液相から分離して、フリーボードガス流に混合するようにしている。また、平衡計算モデル2で設定した温度まで原料流を加熱するのに必要な熱量や反応に必要な熱量を、ヒートストリームを介してヒータモデル2から引き去ることで、このK2ブロックの出口でのフリーボードガス流の温度を計算するようにしている。
図14は、原料が造粒されてクリンカとなったときのK6ブロックにおける単位操作モデルの接続例(対向流モデル:原料造粒あり)を示す図である。なお、このモデルは、K3〜K5,K7およびK8ブロックにおいても適用されるものである。
図14に示すように、このK6ブロックにおいては、単位操作モデルとして、流量分割モデル6−1,6−2,6−3,6−4,6−5、ヒータモデル6、平衡計算モデル6−1,6−2、セパレータモデル6−1,6−2,6−3,6−4を用いている。
本モデルにおいては、前述した二重核モデル(図11)を用いて、揮発物質の物質移動量を塩素と硫黄とに分けて把握するために、先ず、流量分割モデル6−1,6−2およびセパレータモデル6−1,6−2によって、フリーボードガス流を、KClやNaCl等の塩化物ガスを揮発物質として含む第1ガスストリームと、SO2等の硫黄を含むガス成分を揮発物質として含む第2ガスストリームとに分割する。具体的には、後述する分割率XCl、Xsがそれぞれ1以下となるように、先ず、流量分割モデル6−1によりフリーボードガス流を分割した後、その一方を流量分割モデル6−2によりさらに分割する。次いで、セパレータモデル6−1によって、流量分割モデル6−2で分割された一方のガス流からSO2等の硫黄を含むガス成分を分離して、塩素分を含む第1ガスストリーム(流量QCl)を形成し、同様に、セパレータモデル6−2によって、流量分割モデル6−2で分割された他方のガス流からKClやNaCl等の塩素分を含むガス成分を分離して、硫黄分を含む第2ガスストリーム(流量Qs)を形成する。
その後、流量分割モデル6−3,6−4によって、第1および第2ガスストリーム(流量QCl、Qs)を、数5で求めた分割率XCl、Xs(数19の総括物質移動係数kiを用いて求めた分割率)でそれぞれ分割する。
また、本モデルにおいては、流量分割モデル6−5によって、原料流を、第1原料ストリームと第2原料ストリームとに配分するようにしている。具体的には、K3ブロックの入口での塩素、硫黄のモル流量を1とし、これに対する、K4〜K8ブロックの入口での塩素の流量比をMCl4〜MCl8、硫黄の流量比をMS4〜MS8 として、第2原料ストリームへ配分する量比Rsを、Rs=(MS−MCl)/MSにより求め、この比率を用いて、原料流を第1原料ストリームと第2原料ストリームとに分割する。分割後、セパレータ6−3において、第2原料ストリームに含まれる塩化物を分離して、当該塩化物を第1原料ストリームに混合することにより、塩化物・硫酸塩の溶融塩部分からなる原料ストリームを平衡計算モデル6−1に接続し、硫酸塩だけの溶融塩部分からなる原料ストリームを平衡計算モデル6−2に接続する。
その後、平衡計算モデル6−1において、塩化物・硫酸塩の溶融塩部分からなる原料ストリームと、流量分割モデル6−3で分割された第1ガスストリームの平衡計算を行う一方、平衡計算モデル6−2において、硫酸塩だけの溶融塩部分からなる原料ストリームと、流量分割モデル6−4で分割された第2ガスストリームの平衡計算を行い、それら平衡計算モデル6−1および6−2で生成されるガスを、セパレータモデル6−4において、固相や液相から分離して、フリーボードガス流に混合する。また、平衡計算モデル6−1および6−2で設定した温度まで原料流を加熱するのに必要な熱量や反応に必要な熱量を、ヒートストリームを介してヒータモデル6から引き去ることにより、このK6ブロックの出口でのフリーボードガス流の温度を計算する。
以上により、揮発物質の物質移動量を塩素と硫黄とに分けて、すなわちクリンカ細孔拡散での両者の違いを考慮して導き出すことができる。
なお、図11の二重核モデルの溶融塩を含まない部分P3に対応する原料ストリームを別途設けて、原料流を3分割とすることも可能であるが、KClやSO2の平衡蒸気圧は溶融塩の組成でほぼ決定され、仮に3分割しても、先のP1およびP2におけるそれぞれの溶融塩部分の組成は2分割の場合と比べ大差ないと考えられるため、本モデルでは2分割としている。また、図11に示すように、塩化物・硫酸塩の溶融塩部分(P1)と硫酸塩だけの溶融塩部分(P2)のSO2の分圧は等しく、P1からのSO2の揮発はないため、本モデルでは、平衡計算モデル6―1で生成される可能性のある物質として、SO2等の硫黄を含むガスを設定しないようにしている。
このように、複数の単位操作モデルを組み合わせることにより、セメントキルン2やプレヒータ1の各ブロックにおける化学プロセスをモデル化することができ、それら単位操作モデルの組合せ順序に沿って、単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことにより、セメントキルン2やプレヒータ1内における物質収支や熱収支を解析することができる。その際に、例えば、脱着帯および焼成帯の温度や、クリンカ中のSO3濃度およびCl濃度等の条件を変化させるようにすれば、図4に示すようなデータ、すなわち、それぞれの条件のときの窯尻のSO2、KCl、NaCl、HClのガス濃度、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度等を得ることができる。
そして、上記プロセスシミュレーションにより得られたデータを、前述したように多変量回帰分析することにより、脱着帯や焼成帯の原料温度推定式(図5および図6)を導き出すことができ、その推定式の説明変数に該当する物質の濃度を実際に測定することにより、セメントキルン2内の原料の温度分布を推定することができる。
したがって、本実施形態によれば、セメントキルン2内の原料の温度分布をセメントキルン2の運転制御用パラメータとして利用することができ、この原料の温度分布が一定に保たれるように微粉炭燃焼バーナー5を調整することにより、原料の温度分布の変化に起因する様々な問題点(例えば、クリンカの品質のバラツキや、サイクロンの閉塞、或いは耐火物の劣化など)を解消することができ、長期に亘り安定した状態でセメントキルンを運転することができる。
なお、本実施形態では、窯尻ガスに含まれるSO2濃度や塩化物濃度、或いは1Cy原料に含まれるSO3濃度やCl濃度を測定し、その測定結果に基づいて、セメントキルン内の原料の温度分布を推定するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上述した物質濃度と、これ以外の他の物質濃度との組合せにより、セメントキルン内の原料の温度分布を推定することも可能である。例えば、窯尻ガスのSO2濃度や塩化物濃度と同様に、O2濃度を測定して、その測定値をセメントキルン内の原料温度分布の推定に活用したり、或いは、窯尻ガスや1Cy原料等に含まれる鉛などの他の揮発成分の濃度を測定して、その測定値をセメントキルン内の原料温度分布の推定に活用したりすることも可能である。
セメント焼成プロセスを示す概略構成図である。 セメントキルン内の温度変化と、窯尻ガスのSO2濃度およびKCl濃度との関係を示すグラフである。 セメントキルン内の温度変化と、1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度との関係を示すグラフであり、(a)は脱着帯、(b)は焼成帯の温度変化を表している。 セメントキルン内の原料温度とクリンカ中のSO3濃度およびCl濃度を入力パラメータとして変化させたときの、窯尻ガスおよび1Cy原料に含まれる各物質の濃度変化を示す図表である。 多変量回帰分析により求めた脱着帯の原料温度の推定式を示す図表である。 多変量回帰分析により求めた焼成帯の原料温度の推定式を示す図表である。 プロセスシミュレーションの一般的な流れを説明するための図である。 セメントキルンのブロック構成を示す図である。 セメントキルン内の燃焼ガスと原料の流れを示す図である。 クリンカベッドの表面積を説明するための図である。 未反応核モデルを示す模式図である。 未反応核変化の概念図である。 原料が造粒していないときの単位操作モデルの接続例を示す図である。 原料が造粒されてクリンカとなったときの単位操作モデルの接続例を示す図である。
符号の説明
1 プレヒータ
2 セメントキルン
5 微粉炭燃焼バーナー

Claims (7)

  1. セメントキルンの窯尻から排出されるガスのSO2濃度とセメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、
    上記窯尻から排出されるガスのSO2濃度を測定し、その測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、
    セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするセメントキルンの運転制御方法。
  2. セメントキルンに投入される直前の原料を1Cy原料として、この1Cy原料のSO3濃度とセメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、
    上記1Cy原料のSO3濃度を測定し、その測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、
    セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするセメントキルンの運転制御方法。
  3. セメントキルンの窯尻から排出されるガスのSO2濃度および塩化物濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、
    上記窯尻から排出されるガスのSO2濃度および塩化物濃度を測定し、それら測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、
    セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするセメントキルンの運転制御方法。
  4. セメントキルンに投入される直前の原料を1Cy原料として、この1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求める第1工程と、
    上記1Cy原料のSO3濃度およびCl濃度を測定し、それら測定値からセメントキルン内の原料の温度分布を推定する第2工程と、
    セメントキルン内の原料の温度分布が一定に保たれるように、微粉炭燃焼バーナーを調整する第3工程とを有することを特徴とするセメントキルンの運転制御方法。
  5. 上記第1工程では、プロセスシミュレーションを利用して、セメントキルンの窯尻から排出されるガスに含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係、或いは1Cy原料に含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求めるものとし、
    上記プロセスシミュレーションは、
    セメント焼成プロセスを複数の単位操作モデルの組合せによってモデル化する第1ステップと、
    上記単位操作モデルの組合せ順序に沿って、上記単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことで、上記セメントキルン内における物質収支および熱収支を解析する第2ステップとを有し、
    上記第1ステップでは、原料が造粒していない領域に適用する単位操作モデルとして、
    上記領域に流入する燃焼ガスの一部が原料と平衡状態に達するとみなして、それに対応する分割率で燃焼ガスの流れを分割する流量分割モデルと、
    上記流量分割モデルで分割された一方の燃焼ガスと上記領域に存在する原料とが平衡状態に達したときの各々の流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデルと、
    上記平衡計算モデルで原料と平衡状態に達した燃焼ガスと、上記流量分割モデルで分割された他方の燃焼ガスとを混合したときの燃焼ガスの流量および組成データを計算して出力する機能を有する所定の単位操作モデルとを用いるとともに、
    上記分割率をX、上記領域における燃焼ガスと原料の反応界面をA、上記領域における燃焼ガスと原料間の揮発物質の物質移動係数をk、上記領域に流入する燃焼ガスの流量をQとして、上記分割率Xを、
    X=A・k/Q
    により設定するようにしたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のセメントキルンの運転制御方法。
  6. 上記第1工程では、プロセスシミュレーションを利用して、セメントキルンの窯尻から排出されるガスに含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係、或いは1Cy原料に含まれる各物質の濃度と、セメントキルン内の原料の温度分布との関係を求めるものとし、
    上記プロセスシミュレーションは、
    セメント焼成プロセスを複数の単位操作モデルの組合せによってモデル化する第1ステップと、
    上記単位操作モデルの組合せ順序に沿って、上記単位操作モデルの各々に設定された単位操作を順次実行し、その一連の操作を所定の収束条件が満たされるまで繰り返すことで、上記セメントキルン内における物質収支および熱収支を解析する第2ステップとを有し、
    上記第1ステップでは、原料が造粒している領域に適用する単位操作モデルとして、
    上記領域に流入する燃焼ガスの流れを、注目する揮発物質の数量に応じて分割することにより、注目する揮発物質の各々に対応するガスの流れを形成する第1流量分割モデルと、
    上記第1流量分割モデルで形成したガスの流れのそれぞれに、一つの注目する揮発物質のみが含まれるように他の揮発物質を分離するセパレータモデルと、
    上記セパレータモデルで他の揮発物質を分離した各ガスの流れの一部がそれぞれ原料と平衡状態に達するとみなして、それぞれに対応する分割率で、各ガスの流れを分割する第2流量分割モデルと、
    原料の粒子中に残存する各揮発物質が構成する核の大きさに応じて、上記領域に流入する原料の流れを分割することにより、上記第2流量分割モデルで分割された各ガスの流れに対応する原料の流れを生成する第3流量分割モデルと、
    上記第2流量分割モデルで分割された各ガスと、これに対応する上記第3流量分割モデルで分割された原料とが平衡状態に達したときの各々の流量および組成データを計算して出力する平衡計算モデルとを使用するとともに、
    上記第2流量分割モデルにおいては、揮発物質iに対応するガスの分割率をXi、上記領域における燃焼ガスと原料の反応界面をA、揮発物質iの物質移動係数をki、揮発物質iに対応するガスの分割前の流量をQiとして、上記揮発物質iに対応するガスの分割率Xiを、
    i=A・ki/Qi
    により設定し、
    これら単位操作モデルの組み合わせにより、上記領域における原料と燃焼ガス間の物質移動量を揮発物質i毎に求めるようにしたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のセメントキルンの運転制御方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の運転制御方法によりセメントキルンを運転制御してクリンカを製造し、当該クリンカからセメントを製造することを特徴とするセメントの製造方法。
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